JP3968029B2 - 光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台 - Google Patents
光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3968029B2 JP3968029B2 JP2003028238A JP2003028238A JP3968029B2 JP 3968029 B2 JP3968029 B2 JP 3968029B2 JP 2003028238 A JP2003028238 A JP 2003028238A JP 2003028238 A JP2003028238 A JP 2003028238A JP 3968029 B2 JP3968029 B2 JP 3968029B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- swivel
- shaft
- numerically controlled
- controlled lathe
- turning
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Machine Tool Units (AREA)
- Turning (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンタクトレンズなどの光学レンズやそのレンズ成形金型をバイトで切削加工する場合に用いられる光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来品の旋回台を示す図であり、これについて説明する。この旋回台(A)は、上下部にテーパーを設けた旋回軸(1)と、該旋回軸(1)の上部に設けた末広がりのテーパーを支持するテーパーメタル軸受である上軸受と、前記旋回軸(1)の下部に設けた上方広がりのテーパーを支持するテーパーメタル軸受である下軸受と、該下軸受と前記上軸受をボルトで締付け固定するケースと、前記旋回軸(1)の中間部にウォームホイール(41)を取付けると共にそれと噛合するウォーム軸(42)及び駆動装置とから成る回動手段(4)と、少なくとも以上の部品から構成されたものである。この場合、従来の主要部品の精度は振れを2μm以下に製作しており、この部品を組立てる際、全体の振れが2μm以下になるように組立てられていた。このため、図中に示すようにケースと上軸受、ケースと下軸受の各取付面には隙間が設けられており、この隙間を利用して組立て時に、スペースを入れて調整が行われていた。尚、前記上軸受,下軸受,ケースは、旋回軸(1)が太く且つその中間部にウォームホイール(41)が取付けられているため、組立てる関係上、ケースと上軸受及び下軸受が一体化されたものを製作することは困難であり、それを一体化する発想も当然なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記旋回台(A)を組立てる場合、旋回軸(1)と上軸受のテーパーの隙間及び、旋回軸(1)と下軸受のテーパーの隙間との量が均一になるように神経を使うと共にスペーサーの厚さ調整に手間が掛っていた。特に振れが2μm以下になるように、上軸受と下軸受のボルトの締付け具合を微調整させ、その位置を規制して調整する必要があるため、熟練技術を駆使する必要があった。一方、組立て時の調整には隙間が必要であったので長期間使用すると、ケースにボルトで締付けられて固定した上軸受と下軸受の位置がずれ易くなる。そのテーパーの隙間がずれると、大きな振れとなって使用できないものが多く発生していた。従って、従来の旋回台(A)は一般に精度が低下すると、返却されて修理が行われていた。この時、旋回台(A)は分解され、各部品が研磨し直されてそれを組立て、芯合せがボルトの締付け具合とスペーサーの厚さによって調整され、修理が完了したものを使用しているのが現状であり、定期的に修理を行う必要があった。又、前記旋回台(A)の上部には刃物台(B)が搭載されて一緒に回動するため、刃物台(B)の重量は旋回軸(1)の下部テーパーと下軸受で受け止められ、上軸受のテーパーの隙間量がずれて振れを生じ易い状態となっていた。更にこの時、旋回軸(1)上面の面積が狭いため、刃物台(B)の底面は上軸受の上面や固定された受台に接触しながら回動する。この摺動面の凹凸、平面度、平行度などの精度によって摩擦の大小が決まるため、摺動面は精度良く仕上げられているが、必ず摩擦は生じ、旋回の応答性が悪くなり易いものであった。従って、長期間使用していると、上下軸受の位置がずれるため、頻繁に修理をする必要がある等の問題点があった。
【0004】
しかも前記旋回台(A)を用いて光学レンズ加工用数値制御旋盤で図4に示すコンタクトレンズをバイトで製作する場合、特に図5に示すようなコンタクトレンズの外周部(約0.5mm)に設けた4段逆カーブのベベルを切削加工する場合には、旋回台(A)の振れ精度の関係上、一般に最初の段の位置と次の段までの位置を決めた後、所定の曲率半径でバイト(T)が旋回され、次の段も前回同様にしてバイト(T)が旋回されると共に各段毎に順次位置決めと旋回を行いながら切削加工されていた。この時、バイト(T)の位置を決めながら且つ所定の曲率半径で旋回させて、各段を連続して切削加工する場合もあるが、この場合にはベベルの仕上がりが悪くなり、コンタクトレンズを研磨する際に時間が多く掛ると共にその時間を多く掛けても各段差部分がダレてしまうため、結果的に所望の精度が確保出来ないものになる等の問題点もあった。尚、一般にコンタクトレンズのベベル(約0.5mm)は、角膜の間に介在する涙液を出し入れするために設けられ、このベベル形状は多種類に及んでいる。この理由は人によって角膜の形状が異なり、特に眼病の人においては、その差異が著しく、これに合せるために、ベベルを数段に形成したものが多く使用されている。
【0005】
本発明は組立てが容易で且つ振れ精度を向上させると共にコストダウンが可能となり、更にコンタクトレンズなどの光学レンズの生産性が向上出来る光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的としては、旋回軸の摩擦を減少させて長期間に渡って高精度が保持され、保守が簡単である光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、上方広がりのテーパー状の頭部を上部に有すると共に下部に円柱部を有した旋回軸と、該旋回軸の頭部が支持されるためのテーパー穴の開口部を上部に有すると共に旋回軸の円柱部が挿入されるための挿入穴を下部に有した旋回軸ケースとから少なくとも構成させる旋回台と成す。また旋回軸を略独楽形状にすると良く、旋回軸を回動する回動手段として、旋回軸の中間部にウォームホイールを取付け、該ウォームホイールと噛合するウォーム軸と、そのウォーム軸を駆動する駆動装置とから少なくとも成し、且つウォーム軸にプーリーを介して減速するものとしても良い。更に旋回軸の円柱部下端にストッパー部材を設けたり、旋回軸ケース内部にオイルを充填させ、且つそのオイルの量が外部から確認できるオイルゲージを具備させると良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2は本発明の実施形態を示す図であり、これに基づいて説明する。(1)は上方広がりのテーパー状の頭部(11)を上部に有すると共に円柱部(12)を下部に有した略独楽形状の旋回軸であり、該旋回軸(1)の頭部(11)の上面中央には、刃物台(B)を固着させるための突出部(13)が突設されている。又、前記旋回軸(1)の中心を貫通し且つそれと連通すると共に外部とも連通するオイル穴(14)が複数穿設されている。更に前記旋回軸(1)の頭部(11)と円柱部(12)には、その表面にオイル膜が形成され易くするために図示しないオイル溝が複数設けられている。(2)は旋回軸(1)の頭部(11)が支持されるためのテーパー穴に形成した開口部(21)を上部に有すると共に前記旋回軸(1)の円柱部(12)が挿入されるための挿入穴(22)を下部に有した旋回軸ケースであり、該旋回軸ケース(2)は、上部に鍔部を有する略円筒状に形成され、且つ略円筒状の側部には、後述するウォームホイール(41)とウォーム軸(42)が噛合できる図示しない逃げ部が形成されている。又、前記旋回軸ケース(2)の内部にはオイルが充填される。尚、前記旋回軸ケース(2)に充填されたオイルが漏れないように、図示しないオイルシールが各所に施されている。(3)は旋回軸ケース(2)を挿入して取付けられる外ケースであり、該外ケース(3)の上面は旋回軸ケース(2)の鍔部と当接すると共に外ケース(3)の下部は旋回軸ケース(2)とボルトによって固定されている。また前記外ケース(3)は後述するウォーム軸(42)を軸支している。
【0009】
(4)は旋回軸(1)を回動させるために具備された回動手段であり、該回動手段(4)としては、前記旋回軸(1)の中間部に取付けたウォームホイール(41)と、該ウォームホイール(41)と噛合するウォーム軸(42)と、そのウォーム軸(42)を駆動する駆動装置(44)とから少なくとも成されている。また前記旋回軸(1)がより細かく旋回出来るように、図3に示すように前記ウォーム軸(42)がプーリー(43)を介して減速されるものとするのが好ましい。更に前記ウォームホイール(41)とウォーム軸(42)にスピロイドギアを用いると、バックラッシュが小さくなり、より正確で微細な旋回が行えるものとなる。この場合、従来品よりもギア比を減らし、その減らした分をプーリー比によって補う。例えば、ギア比を60対1に、プーリー比を3対1にし、減速比を180対1とするのが好ましい。尚、前記回動手段(4)は上記構造に限定されるものではなく、例えば旋回軸(1)にモーターを直結させたものとしても良い。(5)は旋回軸(1)の円柱部(12)下端に設けたストッパー部材であり、該ストッパー部材(5)は挿入穴(22)よりも大きく且つ材質として摩耗係数の低い摺動材料を用いる。この時、前記摺動材料としては、米国のブサーク アンド シャンバン社で工作機械用のライナーベアリング材として開発された商品名「ターカイト」を用いるのが好ましい。これを用いると滑りが良くなるので、旋回時の摩擦が小さくなる。(6)は旋回軸(1)と旋回軸ケース(2)の開口部(21)の隙間にオイル膜が確保されるためのオイル量を外部から確認出来るために設けたオイルゲージであり、該オイルゲージ(6)は前記旋回軸ケース(2)内部と連通し、且つ外ケース(3)の外部に取付けられている(図2参照)。(7)は外ケース(3)を取付ける基台である。(A)は旋回台であり、(B)は旋回台(A)の上部に搭載した刃物台である。(C)はスピンドル(C1)の先端にレンズ素材(W)を取付けるワーク取付装置である(図3参照)。尚、前記旋回台(A)や前記刃物台(B)及び前記ワーク取付装置(C)等の動きは、数値入力することにより制御盤で制御される。
【0010】
次に本発明品の組立て方法について説明する。先ず基台(7)に外ケース(3)と旋回軸ケース(2)を図示しないボルトで固定する。次にウォームホイール(41)を旋回軸(1)の円柱部(12)側から挿入して装着させる。そしてウォームホイール(41)を取付けた旋回軸(1)を開口部(21)から挿入すると共に前記円柱部(12)を挿入穴(22)に挿入させて、旋回軸(1)を旋回軸ケース(2)内部に納める。この時、本実施形態の旋回軸ケース(2)は1度のチャッキングで開口部(21)のテーパー面と挿入穴(22)が仕上げられ、芯ずれが極めて小さいものとなるため、従来の如きケースに上軸受と下軸受を最適位置に取付ける熟練技術が不要となり、挿入穴(22)に円柱部(12)を挿入すれば、大きな上方広がりのテーパー状の頭部(11)位置がテーパー穴の開口部(21)で自然に決まり、且つこの状態が最適位置となる。尚、ストッパー部材(5)を取付ける場合は、先ず始めにウォームホイール(41)を旋回軸(1)に取付け、それを開口部(21)から挿入させた後、ストッパー部材(5)を旋回軸(1)の下端に固定する。その後、外ケース(3)を挿入すると共に基台(7)に固定させる。次にウォーム軸(42)を外ケース(3)から挿入すると共にウォームホイール(41)と噛合させた後、ウォーム軸(42)の両端を外ケース(3)に軸支する。その後、ウォーム軸(42)を駆動装置(44)と連結すれば良い。この時、ウォーム軸(42)にプーリー(43)を取付け、且つ駆動装置(44)の軸にも取付けると共にベルトを介在させて連結するのが好ましい。次にオイル穴(14)にオイル注入して旋回軸ケース(2)内部をオイルで充填させる。そして振れ精度を確認し、必要に応じて修正を行うと良い。この時、主要部品は、従来の上下軸受のような板状と異なり、剛性を持った一体形状の加工となるため、その部品精度は従来の部品よりも出し易くなり、振れが1μm以下に製作出来るものとなった。又、この部品が組立てられると、全体の振れは1μm前後で組立てられることが確認出来た。尚、前記組立て方法は上記順序に限定されるものではない。
【0011】
次に本発明品が用いられて図4に示すコンタクトレンズの切削加工を行う場合には、先ずレンズ素材(W)を図3に示す2点鎖線のようにスピンドル(C1)の先端に固定し、前記レンズ素材(W)を回転させる。そして刃物台(B)に取付けたバイト(T)は、制御盤の指令によって所定位置まで自動的に繰出され、且つ旋回台(A)も所定角度旋回され、内面光学部を従来と同様に切削加工して形成する。次にベベルの切削加工を行う。このベベルが図5に示す4段逆カーブに形成される場合の切削加工について説明する。予め決められた中心Oから曲率(旋回)半径Rのベースカーブ(BC)を基に、先ずr1の連結円弧が従来と同様にして切削加工された後、刃物台(B)は制御盤の指令によって繰出され、中心O1から曲率半径R1で切削加工をx1間及びy1間で行い、且つr2の連結円弧も切削加工する。次に上記同様に制御盤の指令により刃物台(B)と旋回台(A)を同時に作動させながら各段がそれぞれ、中心O2の曲率半径R2でx2間及びy2間を切削加工すると共にr3の連結円弧も切削加工し、且つ中心O3の曲率半径R3でx3間及びy3間を切削加工する。そして最後の段の逆カーブが、曲率半径R4で切削加工されて、所定サイズのコンタクトレンズの各段が連続して切削加工されるのである。尚、本発明は旋回台(A)の提案であり、ベベルの切削加工方法の提案ではないので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0012】
次に本発明の作用について説明する。本発明の旋回軸(1)上面は図1に示すように従来品と比べて広い面積を有し、且つ頭部(11)のテーパーと円柱部(12)の表面にはオイルが充填されオイル膜を形成するので、旋回軸(1)がオイル膜で浮いた状態となると共に刃物台(B)は旋回軸(1)上面に安定して載せられ、従来の如き上軸受上面や固定された受台と摺動することがなくなり、摩擦が極めて小さく、且つ上下のガタが生じにくく、従来品よりも遥かに応答性が良いものとなる。また部品点数が減少出来ると共に従来の上下軸受の位置を調整する熟練技術の必要な調整作業が不要となり組立て工程も減少出来る。従って、本発明は高精度が得られ易くなったので、旋回軸(1)の旋回移動量がプーリー(43)を介して更に細かいものとしても、その精度は長期間に渡って維持出来るものとなった。又、図5に示す4段逆カーブに形成されたベベルは、本発明の旋回台(A)を用いることにより、バイト(T)で各段を連続して切削加工できるため、工程時間が10秒〜15秒で済む。これは、従来の旋回台(A)が用いられて刃物台(B)の繰出しと旋回台(A)の旋回を別に行ってバイト(T)で切削加工した25秒〜30秒の場合と比べ、約半分の切削時間となるのである。
【0013】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0014】
請求項1のように旋回台(A)が、上方広がりのテーパー状の頭部(11)を上部に有すると共に下部に円柱部(12)を有した旋回軸(1)と、該旋回軸(1)の頭部(11)が支持されるためのテーパー穴の開口部(21)を上部に有すると共に旋回軸(1)の円柱部(12)が挿入されるための挿入穴(22)を下部に有した旋回軸ケース(2)とから少なくとも成されることにより、本実施形態の旋回軸ケース(2)は1度のチャッキングで開口部(21)のテーパー面と挿入穴(22)が仕上げられ、芯ずれが極めて小さいものとなるため、旋回台(A)を組立てる場合、従来の如き旋回軸(1)と軸受の隙間の量が均一になるように神経を使う必要がなくなり、且つ芯合せに上軸受と下軸受のボルトの締付け具合を微調整させる必要もなくなると共に組立て時に必要であったスペーサーを用いた隙間調整も不要となるため、長期間使用してもボルトの弛みによる上下軸受部分の位置ずれの心配がなくなり、保守管理が簡単となると共に長期間に渡って高精度の保持が可能となる。また従来の如きケースに上軸受と下軸受を最適位置に取付けて芯合せを行う熟練技術が不要となり、挿入穴(22)に円柱部(12)を挿入すれば、大きな上方広がりのテーパー状の頭部(11)位置がテーパー穴の開口部(21)で自然に決まり、芯合せの調整が殆ど不要となる。しかも旋回軸(1)を支える上部側テーパーの開口部(21)と下側の挿入穴(22)が一体部品で形成されているため、部品点数が減少し且つ組立て工数も減少し、コストダウンが可能となる。又、本発明の旋回台(A)を用いて光学レンズ加工用数値制御旋盤でコンタクトレンズなどを製作すると、加工時間が短縮でき、従来の機構で加工したものと比べて精度が非常に向上するものとなり、ロスも極めて少なくなるため、コンタクトレンズなどの生産性が向上出来るものとなる。尚、本発明はコンタクトレンズや光学レンズだけでなくレンズ成形金型をバイト(T)で切削加工する場合に用いれば、高精度に仕上げることも可能となる。
【0015】
請求項2のように旋回軸(1)を略独楽形状にすることにより、旋回軸(1)を支える上部側テーパーの開口部(21)と下側の挿入穴(22)が一体化した旋回軸ケース(2)として形成することが可能となるので、部品点数が減少し且つ組立てに起因する旋回軸(1)の倒れが生じにくいものとなる。又、旋回軸(1)の上面が、従来品と比べて広い面積を有しているため、刃物台(B)を安定して載せることが出来ると共に刃物台(B)の荷重が分散され、従来品の下軸受で受けるものと異なり本発明は頭部(11)で受け、芯振れが生じにくく安定し、且つ従来の如き旋回台(A)の作動時に刃物台(B)の底面が上軸受の上面や固定された受台に接触する恐れがないので、その摺動面の仕上げに気を使う必要がなくなり、しかも旋回軸(1)の摩擦が減少されて、応答性が良いものになると共に長期間に渡って高精度が保持可能となる。
【0016】
請求項3に示すように旋回軸(1)を回動するための回動手段(4)が具備されると共に、該回動手段(4)が、旋回軸(1)の中間部に取付けたウォームホイール(41)と、該ウォームホイール(41)と噛合するウォーム軸(42)と、そのウォーム軸(42)を駆動する駆動装置(44)とから少なくとも成され、且つウォーム軸(42)がプーリー(43)を介して減速することにより、ウォームホイール(41)の大きさを旋回軸(1)の頭部(11)よりも小さくすることが容易に可能となるため、従来のケース,上軸受,下軸受の機能を持たせた一体の旋回軸ケース(2)として製作出来るものとなった。
【0017】
請求項4に示すように旋回軸(1)の円柱部(12)下端に、挿入穴(22)よりも大きく且つ摩耗係数の低い摺動材料を用いたストッパー部材(5)を設けることにより、旋回軸(1)が浮上がることなく一定高さが維持でき、バイト(T)の芯高ズレの防止となり、製品精度が確保出来る効果があり、且つ滑りが良くなるので、旋回時の摩擦が小さくなる。
【0018】
請求項5のように旋回軸ケース(2)内部にオイルを充填させることにより、旋回軸(1)がオイル膜で浮いた状態となると共に摩擦が極めて小さく、且つ上下のガタが生じにくく、従来品よりも遥かに応答性が良いものとなる。
【0019】
請求項6のように旋回軸(1)と旋回軸ケース(2)の開口部(21)の隙間にオイル膜が確保されるオイル量を外部から確認出来るためのオイルゲージ(6)が、旋回軸ケース(2)内部と連通して具備されることにより、常にオイル量が外部から監視出来るため、旋回軸(1)は良好状態で長期間に渡って旋回させることが可能となり、いつまでも高精度の仕上面が得られ易くなり、且つ保守管理が簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部断面を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態の概略を示す斜視図である。
【図3】本発明品が取付けられた旋盤の切削加工状態を示す斜視図である。
【図4】旋盤で切削加工されたコンタクトレンズを示す断面図である。
【図5】コンタクトレンズのベベルを4段逆カーブに切削加工する場合のカーブについて示す説明図である。
【図6】従来品の要部断面を示す説明図である。
【符号の説明】
A 旋回台
B 刃物台
C ワーク取付装置
C1 スピンドル
1 旋回軸
11 頭部
12 円柱部
2 旋回軸ケース
21 開口部
22 挿入穴
4 回動手段
41 ウォームホイール
42 ウォーム軸
43 プーリー
44 駆動装置
5 ストッパー部材
6 オイルゲージ
【発明の属する技術分野】
本発明はコンタクトレンズなどの光学レンズやそのレンズ成形金型をバイトで切削加工する場合に用いられる光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来品の旋回台を示す図であり、これについて説明する。この旋回台(A)は、上下部にテーパーを設けた旋回軸(1)と、該旋回軸(1)の上部に設けた末広がりのテーパーを支持するテーパーメタル軸受である上軸受と、前記旋回軸(1)の下部に設けた上方広がりのテーパーを支持するテーパーメタル軸受である下軸受と、該下軸受と前記上軸受をボルトで締付け固定するケースと、前記旋回軸(1)の中間部にウォームホイール(41)を取付けると共にそれと噛合するウォーム軸(42)及び駆動装置とから成る回動手段(4)と、少なくとも以上の部品から構成されたものである。この場合、従来の主要部品の精度は振れを2μm以下に製作しており、この部品を組立てる際、全体の振れが2μm以下になるように組立てられていた。このため、図中に示すようにケースと上軸受、ケースと下軸受の各取付面には隙間が設けられており、この隙間を利用して組立て時に、スペースを入れて調整が行われていた。尚、前記上軸受,下軸受,ケースは、旋回軸(1)が太く且つその中間部にウォームホイール(41)が取付けられているため、組立てる関係上、ケースと上軸受及び下軸受が一体化されたものを製作することは困難であり、それを一体化する発想も当然なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記旋回台(A)を組立てる場合、旋回軸(1)と上軸受のテーパーの隙間及び、旋回軸(1)と下軸受のテーパーの隙間との量が均一になるように神経を使うと共にスペーサーの厚さ調整に手間が掛っていた。特に振れが2μm以下になるように、上軸受と下軸受のボルトの締付け具合を微調整させ、その位置を規制して調整する必要があるため、熟練技術を駆使する必要があった。一方、組立て時の調整には隙間が必要であったので長期間使用すると、ケースにボルトで締付けられて固定した上軸受と下軸受の位置がずれ易くなる。そのテーパーの隙間がずれると、大きな振れとなって使用できないものが多く発生していた。従って、従来の旋回台(A)は一般に精度が低下すると、返却されて修理が行われていた。この時、旋回台(A)は分解され、各部品が研磨し直されてそれを組立て、芯合せがボルトの締付け具合とスペーサーの厚さによって調整され、修理が完了したものを使用しているのが現状であり、定期的に修理を行う必要があった。又、前記旋回台(A)の上部には刃物台(B)が搭載されて一緒に回動するため、刃物台(B)の重量は旋回軸(1)の下部テーパーと下軸受で受け止められ、上軸受のテーパーの隙間量がずれて振れを生じ易い状態となっていた。更にこの時、旋回軸(1)上面の面積が狭いため、刃物台(B)の底面は上軸受の上面や固定された受台に接触しながら回動する。この摺動面の凹凸、平面度、平行度などの精度によって摩擦の大小が決まるため、摺動面は精度良く仕上げられているが、必ず摩擦は生じ、旋回の応答性が悪くなり易いものであった。従って、長期間使用していると、上下軸受の位置がずれるため、頻繁に修理をする必要がある等の問題点があった。
【0004】
しかも前記旋回台(A)を用いて光学レンズ加工用数値制御旋盤で図4に示すコンタクトレンズをバイトで製作する場合、特に図5に示すようなコンタクトレンズの外周部(約0.5mm)に設けた4段逆カーブのベベルを切削加工する場合には、旋回台(A)の振れ精度の関係上、一般に最初の段の位置と次の段までの位置を決めた後、所定の曲率半径でバイト(T)が旋回され、次の段も前回同様にしてバイト(T)が旋回されると共に各段毎に順次位置決めと旋回を行いながら切削加工されていた。この時、バイト(T)の位置を決めながら且つ所定の曲率半径で旋回させて、各段を連続して切削加工する場合もあるが、この場合にはベベルの仕上がりが悪くなり、コンタクトレンズを研磨する際に時間が多く掛ると共にその時間を多く掛けても各段差部分がダレてしまうため、結果的に所望の精度が確保出来ないものになる等の問題点もあった。尚、一般にコンタクトレンズのベベル(約0.5mm)は、角膜の間に介在する涙液を出し入れするために設けられ、このベベル形状は多種類に及んでいる。この理由は人によって角膜の形状が異なり、特に眼病の人においては、その差異が著しく、これに合せるために、ベベルを数段に形成したものが多く使用されている。
【0005】
本発明は組立てが容易で且つ振れ精度を向上させると共にコストダウンが可能となり、更にコンタクトレンズなどの光学レンズの生産性が向上出来る光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的としては、旋回軸の摩擦を減少させて長期間に渡って高精度が保持され、保守が簡単である光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、上方広がりのテーパー状の頭部を上部に有すると共に下部に円柱部を有した旋回軸と、該旋回軸の頭部が支持されるためのテーパー穴の開口部を上部に有すると共に旋回軸の円柱部が挿入されるための挿入穴を下部に有した旋回軸ケースとから少なくとも構成させる旋回台と成す。また旋回軸を略独楽形状にすると良く、旋回軸を回動する回動手段として、旋回軸の中間部にウォームホイールを取付け、該ウォームホイールと噛合するウォーム軸と、そのウォーム軸を駆動する駆動装置とから少なくとも成し、且つウォーム軸にプーリーを介して減速するものとしても良い。更に旋回軸の円柱部下端にストッパー部材を設けたり、旋回軸ケース内部にオイルを充填させ、且つそのオイルの量が外部から確認できるオイルゲージを具備させると良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2は本発明の実施形態を示す図であり、これに基づいて説明する。(1)は上方広がりのテーパー状の頭部(11)を上部に有すると共に円柱部(12)を下部に有した略独楽形状の旋回軸であり、該旋回軸(1)の頭部(11)の上面中央には、刃物台(B)を固着させるための突出部(13)が突設されている。又、前記旋回軸(1)の中心を貫通し且つそれと連通すると共に外部とも連通するオイル穴(14)が複数穿設されている。更に前記旋回軸(1)の頭部(11)と円柱部(12)には、その表面にオイル膜が形成され易くするために図示しないオイル溝が複数設けられている。(2)は旋回軸(1)の頭部(11)が支持されるためのテーパー穴に形成した開口部(21)を上部に有すると共に前記旋回軸(1)の円柱部(12)が挿入されるための挿入穴(22)を下部に有した旋回軸ケースであり、該旋回軸ケース(2)は、上部に鍔部を有する略円筒状に形成され、且つ略円筒状の側部には、後述するウォームホイール(41)とウォーム軸(42)が噛合できる図示しない逃げ部が形成されている。又、前記旋回軸ケース(2)の内部にはオイルが充填される。尚、前記旋回軸ケース(2)に充填されたオイルが漏れないように、図示しないオイルシールが各所に施されている。(3)は旋回軸ケース(2)を挿入して取付けられる外ケースであり、該外ケース(3)の上面は旋回軸ケース(2)の鍔部と当接すると共に外ケース(3)の下部は旋回軸ケース(2)とボルトによって固定されている。また前記外ケース(3)は後述するウォーム軸(42)を軸支している。
【0009】
(4)は旋回軸(1)を回動させるために具備された回動手段であり、該回動手段(4)としては、前記旋回軸(1)の中間部に取付けたウォームホイール(41)と、該ウォームホイール(41)と噛合するウォーム軸(42)と、そのウォーム軸(42)を駆動する駆動装置(44)とから少なくとも成されている。また前記旋回軸(1)がより細かく旋回出来るように、図3に示すように前記ウォーム軸(42)がプーリー(43)を介して減速されるものとするのが好ましい。更に前記ウォームホイール(41)とウォーム軸(42)にスピロイドギアを用いると、バックラッシュが小さくなり、より正確で微細な旋回が行えるものとなる。この場合、従来品よりもギア比を減らし、その減らした分をプーリー比によって補う。例えば、ギア比を60対1に、プーリー比を3対1にし、減速比を180対1とするのが好ましい。尚、前記回動手段(4)は上記構造に限定されるものではなく、例えば旋回軸(1)にモーターを直結させたものとしても良い。(5)は旋回軸(1)の円柱部(12)下端に設けたストッパー部材であり、該ストッパー部材(5)は挿入穴(22)よりも大きく且つ材質として摩耗係数の低い摺動材料を用いる。この時、前記摺動材料としては、米国のブサーク アンド シャンバン社で工作機械用のライナーベアリング材として開発された商品名「ターカイト」を用いるのが好ましい。これを用いると滑りが良くなるので、旋回時の摩擦が小さくなる。(6)は旋回軸(1)と旋回軸ケース(2)の開口部(21)の隙間にオイル膜が確保されるためのオイル量を外部から確認出来るために設けたオイルゲージであり、該オイルゲージ(6)は前記旋回軸ケース(2)内部と連通し、且つ外ケース(3)の外部に取付けられている(図2参照)。(7)は外ケース(3)を取付ける基台である。(A)は旋回台であり、(B)は旋回台(A)の上部に搭載した刃物台である。(C)はスピンドル(C1)の先端にレンズ素材(W)を取付けるワーク取付装置である(図3参照)。尚、前記旋回台(A)や前記刃物台(B)及び前記ワーク取付装置(C)等の動きは、数値入力することにより制御盤で制御される。
【0010】
次に本発明品の組立て方法について説明する。先ず基台(7)に外ケース(3)と旋回軸ケース(2)を図示しないボルトで固定する。次にウォームホイール(41)を旋回軸(1)の円柱部(12)側から挿入して装着させる。そしてウォームホイール(41)を取付けた旋回軸(1)を開口部(21)から挿入すると共に前記円柱部(12)を挿入穴(22)に挿入させて、旋回軸(1)を旋回軸ケース(2)内部に納める。この時、本実施形態の旋回軸ケース(2)は1度のチャッキングで開口部(21)のテーパー面と挿入穴(22)が仕上げられ、芯ずれが極めて小さいものとなるため、従来の如きケースに上軸受と下軸受を最適位置に取付ける熟練技術が不要となり、挿入穴(22)に円柱部(12)を挿入すれば、大きな上方広がりのテーパー状の頭部(11)位置がテーパー穴の開口部(21)で自然に決まり、且つこの状態が最適位置となる。尚、ストッパー部材(5)を取付ける場合は、先ず始めにウォームホイール(41)を旋回軸(1)に取付け、それを開口部(21)から挿入させた後、ストッパー部材(5)を旋回軸(1)の下端に固定する。その後、外ケース(3)を挿入すると共に基台(7)に固定させる。次にウォーム軸(42)を外ケース(3)から挿入すると共にウォームホイール(41)と噛合させた後、ウォーム軸(42)の両端を外ケース(3)に軸支する。その後、ウォーム軸(42)を駆動装置(44)と連結すれば良い。この時、ウォーム軸(42)にプーリー(43)を取付け、且つ駆動装置(44)の軸にも取付けると共にベルトを介在させて連結するのが好ましい。次にオイル穴(14)にオイル注入して旋回軸ケース(2)内部をオイルで充填させる。そして振れ精度を確認し、必要に応じて修正を行うと良い。この時、主要部品は、従来の上下軸受のような板状と異なり、剛性を持った一体形状の加工となるため、その部品精度は従来の部品よりも出し易くなり、振れが1μm以下に製作出来るものとなった。又、この部品が組立てられると、全体の振れは1μm前後で組立てられることが確認出来た。尚、前記組立て方法は上記順序に限定されるものではない。
【0011】
次に本発明品が用いられて図4に示すコンタクトレンズの切削加工を行う場合には、先ずレンズ素材(W)を図3に示す2点鎖線のようにスピンドル(C1)の先端に固定し、前記レンズ素材(W)を回転させる。そして刃物台(B)に取付けたバイト(T)は、制御盤の指令によって所定位置まで自動的に繰出され、且つ旋回台(A)も所定角度旋回され、内面光学部を従来と同様に切削加工して形成する。次にベベルの切削加工を行う。このベベルが図5に示す4段逆カーブに形成される場合の切削加工について説明する。予め決められた中心Oから曲率(旋回)半径Rのベースカーブ(BC)を基に、先ずr1の連結円弧が従来と同様にして切削加工された後、刃物台(B)は制御盤の指令によって繰出され、中心O1から曲率半径R1で切削加工をx1間及びy1間で行い、且つr2の連結円弧も切削加工する。次に上記同様に制御盤の指令により刃物台(B)と旋回台(A)を同時に作動させながら各段がそれぞれ、中心O2の曲率半径R2でx2間及びy2間を切削加工すると共にr3の連結円弧も切削加工し、且つ中心O3の曲率半径R3でx3間及びy3間を切削加工する。そして最後の段の逆カーブが、曲率半径R4で切削加工されて、所定サイズのコンタクトレンズの各段が連続して切削加工されるのである。尚、本発明は旋回台(A)の提案であり、ベベルの切削加工方法の提案ではないので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0012】
次に本発明の作用について説明する。本発明の旋回軸(1)上面は図1に示すように従来品と比べて広い面積を有し、且つ頭部(11)のテーパーと円柱部(12)の表面にはオイルが充填されオイル膜を形成するので、旋回軸(1)がオイル膜で浮いた状態となると共に刃物台(B)は旋回軸(1)上面に安定して載せられ、従来の如き上軸受上面や固定された受台と摺動することがなくなり、摩擦が極めて小さく、且つ上下のガタが生じにくく、従来品よりも遥かに応答性が良いものとなる。また部品点数が減少出来ると共に従来の上下軸受の位置を調整する熟練技術の必要な調整作業が不要となり組立て工程も減少出来る。従って、本発明は高精度が得られ易くなったので、旋回軸(1)の旋回移動量がプーリー(43)を介して更に細かいものとしても、その精度は長期間に渡って維持出来るものとなった。又、図5に示す4段逆カーブに形成されたベベルは、本発明の旋回台(A)を用いることにより、バイト(T)で各段を連続して切削加工できるため、工程時間が10秒〜15秒で済む。これは、従来の旋回台(A)が用いられて刃物台(B)の繰出しと旋回台(A)の旋回を別に行ってバイト(T)で切削加工した25秒〜30秒の場合と比べ、約半分の切削時間となるのである。
【0013】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0014】
請求項1のように旋回台(A)が、上方広がりのテーパー状の頭部(11)を上部に有すると共に下部に円柱部(12)を有した旋回軸(1)と、該旋回軸(1)の頭部(11)が支持されるためのテーパー穴の開口部(21)を上部に有すると共に旋回軸(1)の円柱部(12)が挿入されるための挿入穴(22)を下部に有した旋回軸ケース(2)とから少なくとも成されることにより、本実施形態の旋回軸ケース(2)は1度のチャッキングで開口部(21)のテーパー面と挿入穴(22)が仕上げられ、芯ずれが極めて小さいものとなるため、旋回台(A)を組立てる場合、従来の如き旋回軸(1)と軸受の隙間の量が均一になるように神経を使う必要がなくなり、且つ芯合せに上軸受と下軸受のボルトの締付け具合を微調整させる必要もなくなると共に組立て時に必要であったスペーサーを用いた隙間調整も不要となるため、長期間使用してもボルトの弛みによる上下軸受部分の位置ずれの心配がなくなり、保守管理が簡単となると共に長期間に渡って高精度の保持が可能となる。また従来の如きケースに上軸受と下軸受を最適位置に取付けて芯合せを行う熟練技術が不要となり、挿入穴(22)に円柱部(12)を挿入すれば、大きな上方広がりのテーパー状の頭部(11)位置がテーパー穴の開口部(21)で自然に決まり、芯合せの調整が殆ど不要となる。しかも旋回軸(1)を支える上部側テーパーの開口部(21)と下側の挿入穴(22)が一体部品で形成されているため、部品点数が減少し且つ組立て工数も減少し、コストダウンが可能となる。又、本発明の旋回台(A)を用いて光学レンズ加工用数値制御旋盤でコンタクトレンズなどを製作すると、加工時間が短縮でき、従来の機構で加工したものと比べて精度が非常に向上するものとなり、ロスも極めて少なくなるため、コンタクトレンズなどの生産性が向上出来るものとなる。尚、本発明はコンタクトレンズや光学レンズだけでなくレンズ成形金型をバイト(T)で切削加工する場合に用いれば、高精度に仕上げることも可能となる。
【0015】
請求項2のように旋回軸(1)を略独楽形状にすることにより、旋回軸(1)を支える上部側テーパーの開口部(21)と下側の挿入穴(22)が一体化した旋回軸ケース(2)として形成することが可能となるので、部品点数が減少し且つ組立てに起因する旋回軸(1)の倒れが生じにくいものとなる。又、旋回軸(1)の上面が、従来品と比べて広い面積を有しているため、刃物台(B)を安定して載せることが出来ると共に刃物台(B)の荷重が分散され、従来品の下軸受で受けるものと異なり本発明は頭部(11)で受け、芯振れが生じにくく安定し、且つ従来の如き旋回台(A)の作動時に刃物台(B)の底面が上軸受の上面や固定された受台に接触する恐れがないので、その摺動面の仕上げに気を使う必要がなくなり、しかも旋回軸(1)の摩擦が減少されて、応答性が良いものになると共に長期間に渡って高精度が保持可能となる。
【0016】
請求項3に示すように旋回軸(1)を回動するための回動手段(4)が具備されると共に、該回動手段(4)が、旋回軸(1)の中間部に取付けたウォームホイール(41)と、該ウォームホイール(41)と噛合するウォーム軸(42)と、そのウォーム軸(42)を駆動する駆動装置(44)とから少なくとも成され、且つウォーム軸(42)がプーリー(43)を介して減速することにより、ウォームホイール(41)の大きさを旋回軸(1)の頭部(11)よりも小さくすることが容易に可能となるため、従来のケース,上軸受,下軸受の機能を持たせた一体の旋回軸ケース(2)として製作出来るものとなった。
【0017】
請求項4に示すように旋回軸(1)の円柱部(12)下端に、挿入穴(22)よりも大きく且つ摩耗係数の低い摺動材料を用いたストッパー部材(5)を設けることにより、旋回軸(1)が浮上がることなく一定高さが維持でき、バイト(T)の芯高ズレの防止となり、製品精度が確保出来る効果があり、且つ滑りが良くなるので、旋回時の摩擦が小さくなる。
【0018】
請求項5のように旋回軸ケース(2)内部にオイルを充填させることにより、旋回軸(1)がオイル膜で浮いた状態となると共に摩擦が極めて小さく、且つ上下のガタが生じにくく、従来品よりも遥かに応答性が良いものとなる。
【0019】
請求項6のように旋回軸(1)と旋回軸ケース(2)の開口部(21)の隙間にオイル膜が確保されるオイル量を外部から確認出来るためのオイルゲージ(6)が、旋回軸ケース(2)内部と連通して具備されることにより、常にオイル量が外部から監視出来るため、旋回軸(1)は良好状態で長期間に渡って旋回させることが可能となり、いつまでも高精度の仕上面が得られ易くなり、且つ保守管理が簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部断面を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態の概略を示す斜視図である。
【図3】本発明品が取付けられた旋盤の切削加工状態を示す斜視図である。
【図4】旋盤で切削加工されたコンタクトレンズを示す断面図である。
【図5】コンタクトレンズのベベルを4段逆カーブに切削加工する場合のカーブについて示す説明図である。
【図6】従来品の要部断面を示す説明図である。
【符号の説明】
A 旋回台
B 刃物台
C ワーク取付装置
C1 スピンドル
1 旋回軸
11 頭部
12 円柱部
2 旋回軸ケース
21 開口部
22 挿入穴
4 回動手段
41 ウォームホイール
42 ウォーム軸
43 プーリー
44 駆動装置
5 ストッパー部材
6 オイルゲージ
Claims (6)
- スピンドル(C1)を装備するワーク取付装置(C)と、刃物台(B)を上部に搭載する旋回台(A)と、該旋回台(A)や前記刃物台(B)及び前記ワーク取付装置(C)等の動きを数値入力によって制御する制御盤とから少なくとも構成する数値制御旋盤に於いて、前記旋回台(A)が、上方広がりのテーパー状の頭部(11)を上部に有すると共に下部に円柱部(12)を有した旋回軸(1)と、該旋回軸(1)の頭部(11)が支持されるためのテーパー穴の開口部(21)を上部に有すると共に前記旋回軸(1)の円柱部(12)が挿入されるための挿入穴(22)を下部に有した旋回軸ケース(2)とから少なくとも成されたことを特徴とする光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台。
- 前記旋回軸(1)が略独楽形状である請求項1記載の光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台。
- 前記旋回軸(1)を回動するための回動手段(4)が具備されると共に、該回動手段(4)が、前記旋回軸(1)の中間部にウォームホイール(41)を取付け、該ウォームホイール(41)と噛合するウォーム軸(42)と、そのウォーム軸(42)を駆動する駆動装置(44)とから少なくとも成され、且つ前記ウォーム軸(42)がプーリー(43)を介して減速された請求項1記載の光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台。
- 前記旋回軸(1)の円柱部(12)下端に、前記挿入穴(22)よりも大きく且つ摩耗係数の低い摺動材料を用いたストッパー部材(5)を設けた請求項1又は2記載の光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台。
- 前記旋回軸ケース(2)内部にオイルが充填された請求項1記載の光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台。
- 前記旋回軸(1)と前記旋回軸ケース(2)の開口部(21)の隙間にオイル膜が確保されるオイル量を外部から確認出来るためのオイルゲージ(6)が、前記旋回軸ケース(2)内部と連通して具備された請求項5記載の光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003028238A JP3968029B2 (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | 光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003028238A JP3968029B2 (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | 光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004237385A JP2004237385A (ja) | 2004-08-26 |
JP3968029B2 true JP3968029B2 (ja) | 2007-08-29 |
Family
ID=32955753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003028238A Expired - Fee Related JP3968029B2 (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | 光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3968029B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103769617A (zh) * | 2014-01-24 | 2014-05-07 | 南通国盛精密机械有限公司 | 一种车床刀架 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5615646U (ja) * | 1979-07-13 | 1981-02-10 | ||
JP2515503Y2 (ja) * | 1990-02-28 | 1996-10-30 | 三井精機工業株式会社 | テーブルクランプ装置 |
JPH0493142A (ja) * | 1990-08-10 | 1992-03-25 | Hitachi Ltd | プラスチックレンズの切削加工方法 |
JP3708806B2 (ja) * | 1991-04-17 | 2005-10-19 | セイコーエプソン株式会社 | コンタクトレンズ製造方法 |
JPH10296572A (ja) * | 1997-04-25 | 1998-11-10 | Sankyo Seiki Mfg Co Ltd | スピンドル駆動装置 |
-
2003
- 2003-02-05 JP JP2003028238A patent/JP3968029B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103769617A (zh) * | 2014-01-24 | 2014-05-07 | 南通国盛精密机械有限公司 | 一种车床刀架 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004237385A (ja) | 2004-08-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6901830B2 (en) | Vertical lathe, tool head for vertical lathe, rotary table apparatus for machine tool | |
KR101453373B1 (ko) | 복수의 작업 공구가 장착된 회전하는 공구캐리어를 구비한 안경 렌즈용 가공 장치 | |
JPH0671547A (ja) | 眼鏡レンズの製造方法及び装置 | |
US20100248589A1 (en) | Precision guidang device in a machine for machining cylindrical components | |
JP6499629B2 (ja) | エアバランス機構、及びエアバランス機構の姿勢調整方法 | |
CN210550116U (zh) | 一种智能环抛机床 | |
JP2009101480A (ja) | 旋回装置およびそれを備えた円筒研削盤 | |
US6036585A (en) | Grinder and grinding method | |
JP3968029B2 (ja) | 光学レンズ加工用数値制御旋盤に於ける旋回台 | |
JP5125391B2 (ja) | 旋回装置およびそれを備えた円筒研削盤 | |
EP0006883A1 (en) | PROCESS AND APPARATUS FOR THE AUTOMATIC OR SEMI-AUTOMATIC MANUFACTURE OF ULTRA-PRECISE OPHTHALMIC LENSES, FOR EXAMPLE, CONTACT LENSES. | |
KR102453152B1 (ko) | 머시닝 센터용 회전 테이블 | |
JP4124098B2 (ja) | 工作機械 | |
JPH0623580A (ja) | レーザ加工機におけるノズル交換装置 | |
CN115488403A (zh) | 一种机车驱动空心轴十字齿加工装置及方法 | |
TW579313B (en) | Composite machining table and vertical lathe equipped with the same | |
KR101895539B1 (ko) | 머시닝센터를 이용한 차동기어 케이스 가공장치 | |
CN220218028U (zh) | 一种金刚石砂轮修整装置 | |
KR20210111961A (ko) | 리어 커버 가공 방법 | |
JPS637265A (ja) | ホ−ニング加工装置用ホ−ニングヘツド | |
CN115609290A (zh) | 一种回转装置的专业铣钻机床 | |
WO2022064629A1 (ja) | 工作機械 | |
JPH1158193A (ja) | 平面研削方法及び平面研削装置 | |
JP3443133B2 (ja) | レンズの心出し装置および心出し方法 | |
CN218363871U (zh) | 一种用于管模修复的打磨装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070508 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070601 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100608 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |