JP3967638B2 - マイナスイオン発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,空調室などにマイナスイオンを過剰に含む空気を供給するためのマイナスイオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人間の自律神経は,交感神経と副交感神経を均等に使用することで正常に働く。マイナスイオンを取り込むと,副交感神経が活発になって交感神経が休まり,自律神経のバランスが改善してリラックスした気分になれる。文献「マイナスイオンの空気調和への応用」唐木千岳,臭気の研究31巻6号p.22〜p.26平成12年によると,種々の環境下のマイナスイオン濃度は,一般事務室では約300〜400個/cm3,駒ヶ根高原では約2,000〜3,000個/cm3,西沢渓谷の渓流では約4,000〜5,000個/cm3,西沢渓谷の滝では約20,000〜30,000/cm3,養老の滝では20,000〜25,000個/cm3である。滝壷近辺の快適感を得るためには,20,000〜30,000個/cm3程度のマイナスイオン濃度が必要となる。
【0003】
空調分野で利用される空気イオンの発生方法として,以下の2つがある。1つは,コロナ放電法である。針状の電極に高電圧を印加すると,針先でコロナ放電が生じ,先端近傍では正・負の電荷が発生する。このとき,電極に印加する電圧を負極性にして,正電荷は電極に直ちに吸収して消滅させ,負電荷(電子)は電極と反発して気中に放出させて,中性分子と結びついてマイナスイオンを発生させる。このマイナスイオンを気流にのせて空調室に搬送する。家電製品として販売されている空気清浄器のマイナスイオンの発生方法は,大部分がコロナ放電法である。従来,コロナ放電法を利用したイオンの発生方法として,特開平9−149943号や特開平7−204536号のごとき直流方式のものや,特許第2627585号のごとき交流方式のものが知られている。
【0004】
もう1つは,水噴霧法である。水が微細水滴に分裂する際に,付近の空気が帯電する現象を「レナード効果」と呼び,滝壷の近辺でマイナスイオンが大量に発生するのはこの原理による。空調機内で水を加圧スプレーで噴霧すると,主に小さな水滴はマイナスに,大きな水滴はプラスに帯電する。大きな水滴は重力で水槽に落ちたり,エリミネータに捕集されて減少するが,マイナスに帯電した小さな水滴は送風によって運ばれ,空気中で気化・蒸発しマイナスイオンに富んだ空気が形成される。この空気を空調室に搬送する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コロナ放電法により空調室内の居住空間に20,000〜30,000個/cm3程度のマイナスイオン濃度を供給するためには,拡散・希釈による濃度減衰を考慮すると,放電極と対極の間で発生させるマイナスイオンの濃度は数十万個/cm3の高濃度にする必要がある。特開平9−149943号や特開平7−204536号のような直流方式のコロナ放電で発生させた高濃度のマイナスイオンを空調室に供給した場合,空調室内に存在する金属テーブルなどの静電容量の大きい導体でも−1kV程度までは容易に帯電してしまう。接地された状態の人が,帯電した金属テーブルなどに触れた場合,瞬間的に数百μAの電流が人体を貫く。この際の電撃ショックは,体内にペースメーカを埋め込んだ人に対しては,その誤動作をひき起す原因になる。また,直流方式は,長期運転に伴う放電極先端部の汚れが交流方式と比較して激しく,汚れによって放電極先端部のコロナ放電が妨げられ,20日〜1ヶ月の運転後に発生する空気イオン量は,運転初期に発生する空気イオン量と比較して大幅に低減するという欠点がある。また,直流方式ではマイナスイオンのみを発生するため,空調室内の浮遊微粒子は負極性に帯電し,接地されない壁面や床面も負極性に帯電するため,負帯電の浮遊微粒子は負帯電の壁面や床面と反発しあって,付着しない。さらに,同極性の浮遊微粒子も互いに反発しあうため,凝集粗大化することもなく,還気を行う際に,粒子除去フィルタによる塵挨の除去効率が良くない。
【0006】
一方,文献「マイナスイオンの空気調和への応用」唐木千岳,臭気の研究31巻6号p.22〜p.26平成12年によれば,水噴霧法によって空気中に20,000個/cm3〜30,000個/cm3のマイナスイオン濃度を得るためには,空気の質量1kg(標準状態の空気1m3は0.87kg)に対して水1kgを噴霧しなければならない。外気中の絶対湿度が低い冬期は別として,夏期において,高温・多湿の外気を冷却・減湿した後,水噴霧法によってマイナスイオンを発生させた場合,空調室の湿度や温度が目標範囲を外れる可能性がある。また,水噴霧法のマイナスイオン発生装置は,コロナ放電法のイオン発生装置と比較して大型で高価であり,噴霧水の水処理費用も必要になる。
【0007】
本発明の目的は,このような直流方式のコロナ放電法や水噴霧法が抱える問題のない交流方式のコロナ放電を利用したマイナスイオン発生装置を,より改良することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は,交流高電圧源に接続された針状の放電極と,この放電極から離して配置され,並列に設けられた抵抗器と整流器を介して接地された対極を備え,それら放電極と対極の間でコロナ放電を行わせることにより発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を,気流によって送出する送風手段を備えたマイナスイオン発生装置であって,放電極先端部と対極の最短距離が10mm以上30mm以下であり,放電極に加えられる交流高電圧が,20Hz以上110Hz以下であり,放電極先端部付近の風速が0.5m/s以上であることを特徴としている。
【0009】
放電極に加えられる交流高電圧の実効値が,2.7kV以上7.1kV以下であることが好ましい。また,抵抗器の抵抗値が,20MΩ以上であることが好ましい。また,放電極と対極の間でコロナ放電を行わせることにより発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気において,マイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率が20%以上であっても良い。放電極と対極の間で発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を送出させる送風手段は,例えば空調室に空気を供給する空調機に備えられたファンである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,図面を参照にして説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかるマイナスイオン発生装置1を空調室2の天井部に配置した状態を示す説明図であり,図2は,マイナスイオン発生装置1の概略的な構成の説明図である。
【0011】
図1に示すように,空調室2内には,天井部から下方に向って送風される下向き気流10が形成されている。このような下向き気流10は,例えば空調室2に空気を供給する適当な給気手段(例えば空調機に備えられたファンなど)によって形成される。また,空調室2内の下部には,横向に形成された横向き気流11が流れている。なお,このような横向き気流11が,空調室2内の上部に形成されている場合もある。また,空調室2内の下部には,人12が存在する。
【0012】
図2に示すように,マイナスイオン発生装置1は,絶縁支持バー14の下面に,複数本の針状の放電極15を等間隔に並べて取り付け,それら各放電極15から離れた位置に対極16をそれぞれ設けた構成である。この例では,絶縁支持バー14は全長50cm,太さ19mmの高分子樹脂からなり,全部で20本のステンレス製からなる放電極15を23mmピッチで絶縁支持バー14の下面に取り付けている。対極16は,直径40mmの金属製リングを各放電極15を中心にしてそれぞれ設けられている。
【0013】
各放電極15には,絶縁支持バー14に備えられた各コンデンサ20と配線21を介して交流高電圧源(交流高電トランス)22が接続され,各放電極15に対して所望の交流高電圧を供給することができる。
【0014】
各対極16は,配線25を通じて並列に設けられた抵抗器26と整流器27に接続され,これら抵抗器26と整流器27を介して接地28されている。整流器27は,対極16に吸収された正電荷は接地28に流すが,負電荷は接地28に流さないようになっている。このため,対極16に吸収された負電荷は,抵抗器26を通らないと接地28に流れ出ることができない。
【0015】
交流高電圧源(交流高電トランス)22で発生させた交流高電圧を放電極15に供給すると,針状の放電極15の先端と対極16の最短距離の部分でコロナ放電が行われる。図示の例では,針状の放電極15を中心軸としてリング形状の対極16が配置されており,対極16全体が放電極15の先端から等距離にあるので,放電極15の先端から対極16の内側全周に向かって正・負の電荷が交互に飛び出す。こうして空気中に放出された電荷は,一部は対極16をくぐり抜けて放出され,残りは対極16に吸収される。この場合,正電荷は円滑に対極16に吸収され,整流器27を通って接地28に流れ出る。一方,負電荷は,対極16に吸収されても抵抗器26を通らないと接地28に流れ出ることができない。このため,放電極15の先端近傍で発生した正・負の電荷のうち,正電荷は選択的に対極16に大量に吸収されるが,負電荷は,正電荷ほどは対極16に吸収されない。こうして,放電極15と反発して負電荷(電子)が過剰に気中に放出され,雰囲気中の中性分子と結びついてマイナスイオンを過剰に含む空気を発生させる。そして,この発生したマイナスイオンを過剰に含む空気が,空調室2内において,下向き気流10に乗せられて天井部から下方に向って送風され,空調室2内の下部に存在している人12の周囲に供給される。これにより,空調室2内の人12はリラックスした気分になれる。また,空調室2内の下部において,横向き気流11によってマイナスイオンを過剰に含む空気が送風され,空調室2内の下部全体にマイナスイオンを行き渡せることができる。
【0016】
(放電極先端部と対極の最短距離)
図3は,放電極15の先端部と対極16の最短距離Sを説明するための拡大図である。なお,図示の例では,対極16は,直径40mmの金属製リングからなる。先ず,この最短距離Sについて好ましい範囲を調べた。図2で説明したマイナスイオン発生装置1において,放電極15の先端部と対極16の最短距離Sを変化させた。交流高電圧源22から各放電極15に対して50Hzの周波数の交流高電圧を供給し,100MΩの抵抗器26を用いることにより,コロナ放電によって発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を,風速1.2m/sの下向き気流10に乗せて空調室2内の下部に供給した。放電極15に供給する電圧が大きくなるとオゾン濃度も増大するが,10ppbを超えるオゾン濃度は健康に害をもたらす。そこで,オゾン濃度が10ppb以下となる範囲で最大値の交流高電圧を各放電極15に供給した。図1中に示したマイナスイオン発生装置1近傍の位置Aにおいて測定されるマイナスイオンとプラスイオンの各濃度(万個/cm3)と,最短距離Sとの関係を図4に示した。また図4には,最短距離Sと,放電極15に与える交流高電圧(実効値kV)の関係も示した。
【0017】
最短距離Sに依らず,プラスイオンはマイナスイオンの28%(S=10mm)〜67%(S=40mm)であり,気流中にはマイナスイオンが過剰に含まれていた。最短距離Sが10mm以上で,位置Aにおけるイオン濃度は,マイナスイオン濃度100,000個/cm3以上,プラスイオン濃度28,000個以上となった。空調室2内の下部にいる人12の周囲に20,000〜30,000個/cm3程度のマイナスイオン濃度を供給するためには,拡散・希釈による濃度減衰を考慮すると,気流中に含まれるマイナスイオン濃度が位置Aにおいて100,000個/cm3以上となるように,最短距離Sを10mm以上としなければならない。
【0018】
また,最短距離Sが短くなれば,それだけ放電極15に供給する電圧を少なくできるが,最短距離Sが10mmのとき,放電極15に供給する電圧が2.7kV未満では,プラスイオン濃度が急激に下がり,後述するように,直流方式のコロナ放電でマイナスイオンのみを発生させた場合と同様の問題が生ずる。このため,放電極15に供給する電圧は,2.7kV以上とする。
【0019】
一方,イオン発生装置1から1.5m下方に離れた位置に25mmのモノポールアンテナを配置し,電子部品を誤動作させやすい周波数帯域の100kHzから35MHzの周波数範囲の電磁放射ノイズが誘導するアンテナ端子間電圧の大きさ(peak to peak)をオシロスコープで測定した。その結果,放電極15に加える電圧が7.1kVを超えると,前述のアンテナ端子間電圧も20mVを超えて,ペースメーカの電子部品を誤動作させる危険性が生じた。電磁放射ノイズ発生を防止するためには,図4より,放電極15に加える電圧は7.1kV以下,最短距離Sは30mm以内にする必要がある。
【0020】
(放電極に加えられる交流高電圧)
次に,図2で説明したマイナスイオン発生装置1において,放電極15に加える交流高電圧の周波数を10Hz〜150Hzまで変えた場合の影響を調べた。図1において,マイナスイオン発生装置1の近傍の位置Aにおいて,マイナスイオン濃度200,000個/cm3,プラス側イオン濃度100,000個/cm3とし,過剰に発生させたマイナスイオンを,空調室2内の下向き気流10に乗せて下方に送風し,人12の周囲に供給した。また,空調室2内の下部において,横向き気流11によってマイナスイオンを横向に送風した。マイナスイオン発生装置1から下方へ0.9mにある人12の頭部の位置Cの帯電電位の変化と,位置Cから横向き気流11の下流側1.5mの位置B(床上1.0m)におけるイオン濃度の大きさをそれぞれ測定した。なお,横向き気流11は0.3m/s,人12の静電容量は100pFである。
【0021】
図5は,放電極15に加える交流高電圧の周波数が10Hzの場合に,人12の頭部の位置Cにおける帯電電位の時間的変化を示すグラフである。人12の帯電電位は,0.05秒おきにピーク値+10Vとピーク値−15Vを繰り返し,peak‐to‐peak値は25Vになった。peak‐to‐peak値が大きいと人体内の誘導電流も大きくなり,ペースメーカ誤動作の原因にもなる。安全性を考えて,peak‐to‐peak値を15V以下とすることを目標とした。
【0022】
図6は,放電極15に加える交流高電圧の周波数と人12に帯電する電位のピーク値の関係を示すグラフである。周波数が20Hz以上では,peak‐to‐peak値は15V以下となり,ペースメーカ安全性の目標は達成できる。商用周波数50/60Hzでは,peak‐to‐peak値は1V以下に過ぎない。
【0023】
図7は,マイナスイオン発生装置1の近傍の位置Aにおいて,マイナスイオン濃度200,000個/cm3,プラス側イオン濃度100,000個/cm3で発生させた場合の,周波数と位置Bにおけるイオン濃度の関係を示すグラフである。周波数が高くなると,正と負のイオンが結合・中和して消滅しやすい。110Hzでは,マイナスイオン濃度28,000個/cm3,プラスイオン濃度8,000個/cm3,正味のマイナスイオン濃度は28,000−8,000=20,000個/cm3となる。空調室2内の下部において,滝壷近辺の快適感を得ることが可能な20,000個/cm3程度のマイナスイオン濃度を得るためには,放電極15に加える交流高電圧の周波数は110Hz以下が適切である。
【0024】
(放電極先端部付近の風速)
次に,図8に示すように,放電極15の先端部と対極16の間で放電させながら下向き気流10に乗せて下方に送風した場合,下向き気流10と直交するように,プラスイオンを含んだ空気層とマイナスイオンを含んだ空気層が交互に形成される。これら空気層の層厚tは,例えば下向き気流10が1.2m/sで,放電極15に加える交流高電圧の周波数が商用周波50Hzであれば,t=12mmとなる。下向き気流10が大きいほど層厚tも大きくなって,搬送中における正負イオンの中和による消滅は起こりにくくなり,対極に吸収されて失われる割合も少なくなる。一方,下向き気流10が小さいと層厚tも小さくなり,搬送中における正負イオンの中和による消滅は起こりやすく,対極に吸収されて失われる割合も多くなる。また,マイナスイオン発生装置1で発生したマイナスイオンを空調室2内全体に搬送してマイナスイオン濃度を高めるためにも,下向き気流10は大きい方がよい。
【0025】
図9は,下向き気流10と位置Cにおけるイオン濃度の関係を示すグラフである。なお,放電極15の先端部と対極16の間の最短距離Sを15mmとし,マイナスイオン発生装置1の近傍の位置Aにおいて,マイナスイオン濃度を140,000個/cm3,プラスイオン濃度を60,000個/cm3とした。下向き気流10が0.5m/s以下では,位置Aで発生した空気イオンの大部分は位置Cに到達せずに失われてしまう。
【0026】
(抵抗器の抵抗値)
図10は,配線25を通じて対極16と接続されている抵抗器26の抵抗値と,マイナスイオン発生装置1の近傍の位置Aにおけるイオン濃度の関係を示すグラフである。抵抗器26の抵抗値が20MΩ未満では,プラスイオン濃度の方がマイナスイオン濃度よりも大きくなってしまう。気流中にはマイナスイオンが過剰に含ませるためには,抵抗器26の抵抗値は20MΩ以上にしなければならない。なお,20MΩ以上200MΩ以下の範囲では,抵抗値の増加と共にマイナスイオン濃度は増加し,プラスイオン濃度は減少した。抵抗値が200MΩを超えると,放電極15から飛び出したマイナスイオンの全部が対極16をくぐり抜けるので,マイナスイオン濃度は変化しない。
【0027】
(マイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率)
本発明のマイナスイオン発生装置1では,放電極15に交流高電圧を加えることにより,図11に示すように,空調室2内にマイナスイオン30とプラスイオン31の両方を含む空気を,下向き気流10によって供給することができる。こうして空調室2内に供給されたマイナスイオン30とプラスイオン31は,花粉,ダニの死骸,ウイルス等の浮遊微粒子32に取り付いて,電気引力により浮遊微粒子32同士を付着させ,粒子の凝集粗大化を促す。そして,粗大化した粒子33は,自重34によって重力落下を起こして気中から取除かれ,また,マイナスに帯電した粗大化した粒子33などは,プラスイオン31の付着によってプラスに帯電した壁面部分35にも電気引力36によって付着しやすくなる。これにより,浮遊微粒子33が除去されて,空調室2内の清浄度が向上する。
【0028】
ここで,図12に示す空調室2の天井に配置されたVHS給気口40に,本発明のマイナスイオン発生装置1を取り付けて,空調室2内にマイナスイオンを過剰に含む空気を供給した。なお,図12に示す空調室2内のほぼ中央には,テーブル41が配置してある。また,空調室2の天井には,VHS給気口40の他に,アネモ給気口42と排気口43が配置される。図13に示すように,VHS給気口40には,本発明のマイナスイオン発生装置1を2台取り付け,これらマイナスイオン発生装置1によって発生させるイオン濃度を様々に変えた場合に,テーブル41上における浮遊粒子の濃度と大きさがどのように変化するかを測定した。
【0029】
図14は,マイナスイオン発生装置1によって発生させたマイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率(%)と,テーブル31上における浮遊粒子の濃度と粒子径の関係を示すグラフである。マイナスイオン発生装置1で発生させるマイナスイオン濃度をおよそ50,000個/cm3,100,000個/cm3,200,000個/cm3に変え,各マイナスイオン濃度について,プラスイオン濃度の比率を10%刻みで変えた。マイナスイオン濃度がおよそ50,000個/cm3,100,000個/cm3,200,000個/cm3のいずれの場合でも,マイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率が20%までは,浮遊粒子の濃度(粒子個数)は減少,粒子径(重量基準50%の平均粒子径)は増大し,マイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率が20%以上では,浮遊粒子の濃度の減少と粒子径の増大は極めて緩慢になった。マイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率を20%以上にすれば,空調室2内の浮遊微粒子の凝集粗大化を達成でき,浮遊微粒子を除去し,清浄度が向上する。
【0030】
その他,放電極15の1本当たりから飛び出す空気イオンの量(放電電流)を測定した結果,1μAから10μAの範囲にあることがわかった。周波数50Hz,実効値6.3kV,送気風速1.2m/sにおいては,放電極15の1本当たりの放電電流は8μAであった。
【0031】
図15は,空調室2下部の排気口50に接続された排気ダクト51を介して排出された空気を還気ダクト52を介して給気ダクト53に送風し,空調室2上部の給気口54から空調室2に戻すように構成された空調室2の説明図である。給気ダクト53の出口と給気口54の間には,空調機55と,本発明のマイナスイオン発生装置1が装着してある。空調機55は,処理空気を給気口54から空調室2の上方に送出させる送風手段としてのファン56を備えている。排気ダクト51を通じて排出された室内空気の一部は排気され,残りが還気ダクト52に流れ込み,排気に見合う分の外気を取込んだ後,それらの混合空気が空調機55で処理され,ファン56の稼動によって空調室2の上方に送出される。その際に,処理空気は,マイナスイオン発生装置1によってマイナスイオンを過剰に含んだ状態とされて,給気口54から空調室2の上部に供給される。
【0032】
このように構成された空調室2では,マイナスイオン発生装置1の放電極15に交流高電圧を加えることにより,空調室2内にマイナスイオンとプラスイオンの両方を含む空気を,給気口54から吹き出される吹出し気流に乗せて,空調室2内に供給することができる。これにより,マイナスイオンを過剰に含む空気を空調室2内に供給し,リラックスした雰囲気を形成できる。また,空調室2内の浮遊微粒子32を凝集粗大化させた粒子33は,自重落下や壁面部分35への付着によって除去する他,空調機55に備えられているフィルタ(図示せず)によっても効率良く除去できる。こうして,空調室2内の清浄度を向上させることができる。
【0033】
以上,本発明の一例を説明したが,本発明はここに例示した形態に限定されない。例えば,コロナ放電で発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を,マイナスイオン発生装置1から送出させる気流は,図1で説明したような下向き気流10に限らず,図15で説明したような給気口54から横向に吹き出される気流でも良い。また図15では,本発明のマイナスイオン発生装置1を給気口54に設けた例を示したが,例えば還気ダクト52や給気ダクト53に本発明のマイナスイオン発生装置1を設け,コロナ放電で発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を,それら還気ダクト52内や給気ダクト53内の気流によって送出させるように構成しても良い。また,対極16の形状は,図2に示したようなリング形状に限らず,種々の形状をとりえる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば,マイナスイオンを過剰に含む空気を供給することにより,リラックスした雰囲気を形成できる。また,浮遊微粒子を効率良く除去することにより,清浄度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるマイナスイオン発生装置を空調室の天井部に配置した状態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるマイナスイオン発生装置の概略的な構成の説明図である。
【図3】放電極の先端部と対極の最短距離Sを説明するための拡大図である。
【図4】位置Aにおいて測定されるマイナスイオンとプラスイオンの各濃度と,最短距離Sとの関係を示すグラフである。
【図5】放電極に加える交流高電圧の周波数が10Hzの場合に,人の頭部の位置Cにおける帯電電位の時間的変化を示すグラフである。
【図6】放電極に加える交流高電圧の周波数と人に帯電する電位のピーク値の関係を示すグラフである。
【図7】周波数と位置Bにおけるイオン濃度の関係を示すグラフである。
【図8】下向き気流と直交するように,プラスイオンを含んだ空気層とマイナスイオンを含んだ空気層が交互に形成される。
【図9】下向き気流と位置Cにおけるイオン濃度の関係を示すグラフである。
【図10】対極と接続される抵抗器の抵抗値と位置Aにおけるイオン濃度の関係を示すグラフである。
【図11】空調室内にマイナスイオンとプラスイオンの両方を含む空気を供給している状態の説明図である。
【図12】天井に配置されたVHS給気口に本発明のマイナスイオン発生装置を取り付けた空調室の平面図である。
【図13】マイナスイオン発生装置を取り付けたVHS給気口の説明図である。
【図14】マイナスイオン濃度に対するプラスイオン濃度の比率(%)と浮遊粒子の濃度と粒子径の関係を示すグラフである。
【図15】マイナスイオンを過剰に含む空気を給気口からの吹出し気流で送出させるように構成した空調室の説明図である。
【符号の説明】
1 マイナスイオン発生装置
2 空調室
10 下向き気流
11 横向き気流
12 人
14 絶縁支持バー
15 放電極
16 対極
20 コンデンサ
21 配線
22 交流高電圧源
25 配線
26 抵抗器
27 整流器
28 接地
Claims (4)
- 交流高電圧源に接続された針状の放電極と,この放電極から離して配置され,並列に設けられた抵抗器と整流器を介して接地された対極を備え,それら放電極と対極の間でコロナ放電を行わせることにより発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を,気流によって送出する送風手段を備えたマイナスイオン発生装置であって,
放電極先端部と対極の最短距離が10mm以上30mm以下であり,
放電極に加えられる交流高電圧が,20Hz以上110Hz以下であり,
放電極先端部付近の風速が0.5m/s以上であることを特徴とする,マイナスイオン発生装置。 - 放電極に加えられる交流高電圧の実効値が,2.7kV以上7.1kV以下であることを特徴とする,請求項1に記載のマイナスイオン発生装置。
- 抵抗器の抵抗値が,20MΩ以上であることを特徴とする,請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生装置。
- 放電極と対極の間で発生させたマイナスイオンを過剰に含む空気を送出させる送風手段が,空調室に空気を供給する空調機に備えられたファンであることを特徴とする,請求項1,2又は3に記載のマイナスイオン発生装置。
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