JP3966930B2 - 耐ワンダリング性能にすぐれた空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、すぐれたトラクション性能および制動性能を確保してなお、たとえば轍等の凹凸のある路面の傾斜面上を車両が走行する場合に生じる、運転者が予測できないタイヤの複雑な動きの発生、いわゆるワンダリング現象の発生を有効に抑制して、直進安定性を大きく向上させた、耐ワンダリング性能にすぐれた空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーカスコードをタイヤ赤道面と実質的に直交する方向に延在させて配設したラジアルタイヤは、耐摩耗性および操縦安定性にすぐれることから、近年の車両の高速化とも相俟って、乗用車の他、小型トラック、トラック・バス等の車両においても、ラジアルタイヤがバイアスタイヤに比して多用されるに至っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、道路網の整備拡充等によって車両の高速走行が日常的に行われている昨今においては、バイアスタイヤよりもラジアルタイヤにおいて発生し易いワンダリング現象を十分に抑制して直進安定性を高め、安全性を一層向上させることが強く要求されるに至っている。
【0004】
ここで、ラジアルタイヤにおけるワンダリング現象の発生についてみるに、図8に例示するように、タイヤTが轍等の傾斜面R上を転動するときは、タイヤTに負荷荷重W、路面からの反力FR およびキャンバースラストFC のそれぞれが作用し、そして、これらのそれぞれの力の水平方向分力の合力としての横力FYが働くことになるところ、タイヤをラジアル構造とした場合は、バイアス構造のタイヤに比べて、踏面剛性が高くなる他、ラジアルタイヤの構造上、トレッド部の剛性がサイド部のそれよりはるかに高くなること等に起因して、バイアス構造のタイヤよりキャンバースラストFC が小さくなり、これがため、図では傾斜面Rの下側に向く横力FY が、キャンバースラストFC の減少分に相当するだけ相対的に大きくなって、タイヤTの傾斜面下方への滑り落ち傾向が強くなり、轍乗越しが困難となるワンダリング現象が発生する。
【0005】
ところで、キャンバースラストFC は、タイヤが傾斜面R上を転動するに際して、図9にタイヤの子午線断面図で示すように、それのトレッド部Tr が、傾斜面Rの上方側、すなわち山側でそこに強く接地し、傾斜面Rの谷側では逆に浮き上がり傾向にあり、とくに山側では、トレッド部Tr の強い接地によって、接地端近傍で、トレッド部Tr に曲げ変形bsho が生じ、この曲げ変形bsho がトレッドゴムに、図に破線で示すような剪断変形SS をもたらし、そして、この剪断変形SS が、傾斜面Rの上方に向く横力Fcs を生じさせることに基づいて発生されることになる。
【0006】
かかるキャンバースラストFC につき、タイヤの構成各部の剛性差が小さく、かつ比較的柔構造のバイアスタイヤにあっては、トレッド部Tr の十分大きな曲げ曲げ変形bsho を確保し得ることから、発生するキャンバースラストFC もまた大きくなるのに対し、ラジアルタイヤでは、トレッド部の剛性がサイド部剛性より著しく高くなることに起因して、トレッドゴムの剪断変形SS が自づと小さくなり、キャンバースラストFC の低下が余儀なくされることになる。
【0007】
従って、空気入りラジアルタイヤにおいてキャンバースラストFC の増加をもたらすためには、曲げ変形bsho を大きくすることによって、トレッドゴムの剪断変形SS を大ならしめること、またはその剪断変形SS を直接的に増加させることが有効である。
【0008】
ここで、前記曲げ変形bsho の増大のためには、トレッド部Tr の、曲げ変形量がとくに多くなるトレッド端近傍部分のタイヤ幅方向断面内での曲げ剛性を低減させることが有効となる。
【0009】
そこでこの発明は、かかる知見の下で、ラジアルタイヤに固有の特性はそのままに、ラジアルタイヤのキャンバースラストを増加させることによって、轍路等の傾斜面上でのワンダリング現象の発生を十分に抑制して直進安定性を大きく向上させた、耐ワンダリング性能にすぐれた空気入りラジアルタイヤを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
耐ワンダリング性能にすぐれた空気入りラジアルタイヤとしては、ともに一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトロイド状のトレッド部とを具えるとともに、それらの各部を補強するラジアルカーカスと、ラジアルカーカスの外周側でトレッド部を補強するベルトとを具えるものにおいて、トレッド部に、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも3本のジクザグ状の折曲溝を設け、各折曲溝の溝幅を溝深さの0.3倍以上とし、少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の折れ曲がり幅を、タイヤ赤道線に最も近接して位置する折曲溝のそれの0.7倍未満としたものとすることができる。
ここで、「折曲溝の折れ曲がり幅」とは、溝中心線の最大振れ幅をいうものとする。
【0011】
ここで、トレッド部のジグザグ状の折曲溝は、リブパターン、リブラグパターン等のタイヤにおいて、トラクション性能の確保のために、トレッド陸部の、タイヤ幅方向のトータルエッジ長さを大きくする上で好適であり、かかる観点からは、各折曲溝の折れ曲がり幅を大きくすることが好ましい。
【0012】
しかるに、図9に関連して先に述べたように、曲げ変形bsho を増大させることを目的として、トレッド部Tr の、曲げ変形量がとくに多くなるトレッド端近傍部分の曲げ剛性を低減させるためには、そのトレッド端近傍部分に位置する少なくとも一本の折曲溝の折れ曲がり幅を、タイヤ赤道線に最も近接して位置する折曲溝のそれに比して狭くすることが好ましい。すなわち、トレッド端近傍部分が曲げ変形を受ける場合には、そこに存在する折曲溝の溝底を支点として、その周りでトレッド部が曲がり変形することになるところ、折曲溝、ひいては、その溝底が大きな振れ幅でジグザグ状に折れ曲がると、溝底位置が、タイヤ周上で、比較的大きなトレッド幅方向成分を有することになって、トレッド端近傍部分でのトレッド部の曲げ変形が、そのトレッド幅方向成分の存在の故に拘束されることになるので、上記曲げ変形を有効に増大させるためには、トレッド端近傍部分に存在する少なくとも一本の折曲溝の折れ曲がり幅を、タイヤ赤道面に近接して位置する折曲溝のそれより狭くして、それの溝底の、トレッド幅方向成分を低減することが、ジグザグ状の折曲溝を少なくとも3本設けることと相俟って、上記トラクション性能等を確保してなお、トレッド端近傍部分での曲げ変形量を増大させるために効果的である。
【0013】
そしてこの場合は、少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の折れ曲がり幅を、タイヤ赤道線に最も近接して位置する折曲溝のそれの0.7倍未満とすることによって、上記曲げ変形の増大をより実効あるものとすることができる。
【0014】
またここでは、各折曲溝の溝幅を溝深さの0.3倍以上とすることで、トレッド部の上記曲げ変形時に溝壁どうしが接触して該変形を妨げるのを防止することができる。即ち、上記曲げ変形の増大をより実効のあるものとすることができる。
【0015】
ところで、この発明に係る空気入りラジアルタイヤでは、とくに、トレッド部に、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも3本のジグザク状の折曲溝を設け、各折曲溝の溝幅を溝深さの0.3倍以上とし、少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の、溝底での折れ曲がり幅を、トレッド表面でのそれより狭くする。
なおここでの、「溝底での折れ曲がり幅」とは、溝底中心線の最大振れ幅を、また、「トレッド表面での折れ曲がり幅」とは、溝開口中心線の最大振れ幅をそれぞれいうものとする。
このことによってもまた上記タイヤとほぼ同様の変形態様をもたらして、そのタイヤと同等の作用効果を実現することができる。
【0016】
このような構成を、先に述べたタイヤに適用した場合には、折曲溝の溝底の、トレッド幅方向の成分が一層低減されることになるので、折曲溝の、トレッド表面での折れ曲がり幅、いいかえれば、その折曲溝にて区画される陸部の、トレッド幅方向のトータルエッジ長さはそのままに、トレッド端近傍部分の曲げ剛性をより小ならしめて、そこでの曲げ変形量をさらに増大させることができる。
【0017】
この発明においてより好ましくは、トレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の、溝底の中心線を、トレッド表面の溝開口中心線よりトレッド幅方向の外側に位置させ、これによって、傾斜面上を転動時のタイヤに、図9に示すところに関連して述べた、トレッドゴムの剪断変形SS の直接的な増大をもたらす。
すなわち、溝底中心線を、溝開口中心線よりトレッド幅方向の外側に位置させた場合には、タイヤの負荷転動時の負荷荷重により、前記折曲溝の近傍部分のトレッドゴムは、折曲溝の溝底がトレッド幅方向のさらに外側へ変位する向きの倒れ込み変形を受け、この結果として、トレッドゴムの前記剪断変形SS に相当する変形が直接的に増大することになる。
【0018】
そしてまた好ましくは、少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の、トレッド表面への開口部近傍で、タイヤ赤道線側に位置する一方の溝壁に、その折曲溝を半径方向外方へ拡開する突曲面部分を設け、より好ましくは、その突曲面部分の曲率半径を、トレッド幅方向の外側へ凸となる溝壁部分で、凹となる溝壁部分より大きくする。
【0019】
ここでこの突曲面部分は、トレッド部の接地圧を低減させることによって、キャンバースラストを打消す方向に発生する剪断応力を低減させるべく機能し、このことは、その突曲面部分の曲率半径を上述したように選択した場合にとくに顕著である。
【0020】
ところで、キャンバースラストを打消す方向に発生する剪断応力の低減は、少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝よりタイヤ赤道線側に位置する陸部に、傾向的にトレッド幅方向に延びてその折曲溝に開口するサイプを設け、そのサイプをもって接地圧の低減を図った場合にもまた実現することができ、かかる接地圧の低減は、サイプの長さを、トレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で、他の部分より長くした場合、サイプ幅を、トレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で、他の陸部部分より広くした場合、および、サイプ密度をトレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で他の部分より大きくした場合にとくに効果的である。
【0021】
そしてさらに、このタイヤにおいて、折曲溝から延びてトレッド端に開口する横溝を設けることによってトレッドパターンをリブラグパターンまたはブロックパターンとした場合には、トラクション性能および制動性能をより一層高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、この発明の一の実施形態を示すトレッドパターンの展開図であり、このタイヤは、ともに一対の、図示しないビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトロイド状のトレッド部1とを具えるとともに、それらの各部を補強するラジアルカーカスと、ラジアルカーカスの外周側でトレッド部1を補強するベルトとを具える。
【0023】
ここでは、トレッド部1に、タイヤ周方向に連続して延びる3本のジグザグ状の折曲溝、すなわち、トレッド部中央域に延在する1本の折曲溝2およびトレッド部の各側域に延在する各1本の折曲溝3をそれぞれ設け、各折曲溝2,3の溝幅を溝深さの0.3倍以上とするとともに、トレッド幅方向の最外側に位置するそれぞれの折曲溝3の折れ曲がり幅w1 、つまり、図示のような溝中心線の最大振れ幅を、タイヤ赤道線に最も近接して位置する折曲溝2の折れ曲がり幅w2 の0.7倍未満とする。
なおここで、それぞれの折曲溝2,3の溝幅を、それらのそれぞれの溝深さの0.3倍以上とするのは、トレッド部の上記曲げ変形時に、溝壁どうしが接触して該変形を妨げるのを防止して、上記曲げ変形の増大をより実効のあるものとするためである。
【0024】
このように構成してなる空気入りラジアルタイヤが、図2に要部断面図で示すように、傾斜面R上を負荷転動する場合には、トレッド部1の山側接地端の近傍での曲げ変形bsho は、前述したように、その接地端に近接して位置する、折曲溝3の溝底を支点として行われることになり、ここで、折曲溝3、ひいては、それの溝底での折れ曲がり幅w1 は、他の折曲溝2の折れ曲がり幅w2 より狭いことにより、上記曲げ変形bsho は十分大きく行われ、この結果として、図9に示すトレッドゴムの剪断変形SS もまた大きくなり、キャンバースラストFC が有効に増大されるので、ワンダリング現象の発生が効果的に阻止されることになる。
【0025】
なおここで、折曲溝3の折れ曲がり幅w1 を赤道線に近接して位置する折曲溝2の折れ曲がり幅w2 の0.7倍以上とした場合には、上記曲げ変形bsho の変形量を十分な程度にまで大ならしめることができず、従って、ワンダリング現象の発生を、所期した程にまで抑制することが困難である。
【0026】
ところで、以上に述べたタイヤにおいて、トレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝3の、溝底での折れ曲がり幅、いいかえれば、溝底中心線の最大振れ幅を、トレッド表面への溝開口での折れ曲がり幅w1 、すなわち、溝開口中心線の最大振れ幅より狭くした場合には、その溝底を支点とする曲げ変形bsho が一層容易になり、その変形量をより大きくすることができるので、ワンダリング現象の抑制をさらに実効あるものとすることができる。なおこの場合には、折曲溝3の、トレッド表面での折れ曲がり幅w1 はそのままであるので、トレッド幅方向の溝縁長さ、すなわち、エッジ長さを長く確保して、すぐれたトラクション性能および制動性能をも併せて発揮させることができる。
【0027】
図3は、この発明の他の実施形態を示す要部断面図であり、これは、トレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝3の溝底中心線を、図2に示すところとの対比からも明らかなように、トレッド表面の溝開口中心線よりトレッド幅方向の外側に位置させたものである。
【0028】
これによれば、タイヤの、傾斜面R上での図示のような転動時の路面反力FRの作用によって、折曲溝3および、その周辺のトレッドゴム部分はともに変形し、その折曲溝3は、図に破線で示すように、それが倒れ込む方向の変形btを受け、また、折曲溝3を隔てて位置する陸部部分は、タイヤ赤道線側に向く剪断変形St1 ,St2 を受けるので、トレッド接地面には剪断応力ft1 ,ft2 が発生し、これらの応力ft1 ,ft2 は、図9に示す、傾斜面Rの上方に向く横力FcS 、ひいては、キャンバースラストFC の増大をもたらすことになる。
【0029】
また、図3に実線で示すような傾斜折曲溝3への路面反力FR の入力を併せて考えると、折曲溝3の溝壁は、その路面反力FR によって、図4に破線で示すように、折曲溝3をそれの深さ方向の中間部分で括れさせる方向の剪断変形Sc1,Sc2 を生じ、それらの剪断変形Sc1 ,Sc2 が、トレッド接地面に剪断応力fc1 ,fc2 をもたらすことになり、これらの応力fc1 ,fc2 のうち、タイヤ赤道線側の陸部部分に生じる応力fc1 は、キャンバースラストFC の低減をもたらすことになる。
【0030】
ところで、タイヤの、傾斜面R上での実際の転動に当っては、図3および4のそれぞれに示す変形態様が相互に複合した状態で発生することになるので、キャンバースラストFC のより効果的な増大のためには、前述した剪断応力fc1 を極力低減させることが好ましい。そこで、図5に示す実施形態では、折曲溝3の、トレッド表面への開口部近傍で、タイヤ赤道側に位置する一方の溝壁3aに、折曲溝3を半径方向外方へ拡開する向きの突曲面部分3bを設ける。このことによれば、突曲面部分3bは、その部分の接地圧を減じて、前述した剪断変形Sc1 、ひいては、剪断応力fc1 を有効に低減させるべく機能するので、キャンバースラストFC の増大を十分実効あるものとすることができる。
【0031】
そしてこのことは、上記突曲面部分3bの曲率半径rを、トレッド幅方向の外側へ凸となる溝壁部分で、凹となる溝壁部分より大きくして、凸となる溝壁部分での接地圧をより減じた場合にとくに顕著である。
【0032】
なお、接地圧の同様の低減は、図6に示すように、折曲溝3よりタイヤ赤道線側に位置する陸部4に、傾向的にトレッド幅方向に延びてその折曲溝3に開口するサイプ5をトレッド周方向に間隔をおいて複数本設けた場合にもまた実現することができ、このことは、サイプ5の、トレッド幅方向の長さ、幅および密度を、トレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で、凹となる陸部部分より長く、あるいは広く、あるいは大きくした場合のそれぞれにおいてとくに顕著である。
【0033】
以上、図1に示すリブパターンに基づいてこの発明を説明したが、トラクション性能および制度性能の一層の向上をもたらすためには、トレッドパターンを、図7に示すように、トレッド端に開口する横溝6を設けたリブラグパターンとすることが好ましく、また、ブロックパターンとすることも好適である。
【0034】
【実施例】
サイズが195/85R16 114/112L LTのラジアルタイヤに6.0kgf/cm2 の空気圧を充填するとともに、そのタイヤを、後輪が複輪タイプの2トン積小型トラックに装着し、その小型トラックを、最大積載荷重の積載下にて、轍路を含む舗装路をテストドライバーによって走行した。このときの直進安定性を官能評価して耐ワンダリング性能を評価としたところ、表1に示す通りとなった。
【0035】
なお、タイヤのトレッドパターンは、比較タイヤ、発明タイヤともに、図1に示すような、三本のジグザグ折曲溝を有するリブパターンとし、各タイヤの寸法諸元は表1に示す通りとした。
【0036】
ここで、直進安定性指数は、比較タイヤ1をコントロールとして示し、指数値は大きいほどすぐれた結果を示すものとした。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
この発明によれば、トレッド部へのジグザグ状折曲溝の形成により、すぐれたトラクション性能および制動性能を確保してなお、とくには、トレッド部最外側の折曲溝の、溝底での折れ曲がり幅を、トレッド表面でのそれより狭くして、傾斜面に対するトレッド部の接地端近傍での曲がり変形を十分大ならしめることで、表1に示すところからも明らかなように、キャンバースラストの増加を実現して、ワンダリング現象の発生を有効に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一の実施形態を示すトレッドパターン展開図である。
【図2】 最外側折曲溝の作用を示す要部断面図である。
【図3】 最外側折曲溝の溝底を、溝開口よりトレッド幅方向外側に位置させた実施形態を示す要部断面図である。
【図4】 図3に示す折曲溝の他の変形態様を示す要部断面図である。
【図5】 他の実施形態を示す要部断面図である。
【図6】 さらに他の実施形態を示す図である。
【図7】 他の実施形態のトレッドパターン展開図である。
【図8】 ワンダリング現象の発生態様を例示する図である。
【図9】 キャンバースラストの発生機構を例示する図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2,3 折曲溝
3a 溝壁
3b 突曲面部分
4 陸部
5 サイプ
6 横溝
R 傾斜面
W 負荷荷重
FR 反力
FC キャンバースラスト
FY 横力
SS ,St1 ,St2 ,Sc1 ,Sc2 剪断変形
FcS ,ft1 ,ft2 ,fc2 横力
bsho 曲げ変形
w1 ,w2 折れ曲がり幅
Claims (8)
- ともに一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトロイド状のトレッド部とを具えるとともに、それらの各部を補強するラジアルカーカスと、ラジアルカーカスの外周側でトレッド部を補強するベルトとを具える空気入りラジアルタイヤにおいて、
トレッド部に、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも3本のジグザク状の折曲溝を設け、各折曲溝の溝幅を溝深さの0.3倍以上とし、少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の、溝底での折れ曲がり幅を、トレッド表面でのそれより狭くしてなる空気入りラジアルタイヤ。 - 少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の、溝底中心線を、トレッド表面の溝開口中心線よりトレッド幅方向の外側に位置させてなる請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝の、トレッド表面への開口部近傍で、タイヤ赤道線側に位置する一方の溝壁に、その折曲溝を半径方向外方へ拡開する突曲面部分を設けてなる請求項1もしくは2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記突曲面部分の曲率半径を、トレッド幅方向の外側へ凸となる溝壁部分で、凹となる溝壁部分より大きくしてなる請求項3記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝よりタイヤ赤道線側に位置する陸部に、傾向的にトレッド幅方向に延びてその折曲溝に開口するサイプを設け、前記サイプの、トレッド幅方向の長さを、トレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で、凹となる陸部部分より長くしてなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝よりタイヤ赤道線側に位置する陸部に、傾向的にトレッド幅方向に延びてその折曲溝に開口するサイプを設け、前記サイプの幅または、幅および前記長さを、トレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で、凹となる陸部部分より広くしてなる請求項項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 少なくともトレッド幅方向の最外側に位置する折曲溝よりタイヤ赤道線側に位置する陸部に、傾向的にトレッド幅方向に延びてその折曲溝に開口するサイプを設け、前記サイプの配設密度または、配設密度および前記長さ、もしくは、配設密度、前記長さおよび幅を、トレッド幅方向の外側へ凸となる陸部部分で、凹となる陸部部分より大としてなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 折曲溝から延びてトレッド端に開口する横溝を設けてなる請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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