JP3966885B2 - 血小板増殖促進剤 - Google Patents
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Description
hG−CSF活性を有するポリペプチド中の基を化学修飾剤で化学修飾したポリペプチドとしては、hG−CSF活性を有するポリペプチドの分子中の少なくとも1個のアミノ基をポリエチレングリコール誘導体で修飾した化学修飾hG−CSFが知られている(特許文献4、5および6参照)。これらの化学修飾hG−CSFが、血小板の増殖を促進する効果を有することは知られていない。
(2)アミノ基に結合する基が下記式(Ib−1)
アミノ基、カルボキシ基、メルカプト基またはグアニジノ基の少なくとも1個の基の化学修飾剤をさらに詳しく述べると、アミノ基の化学修飾剤が式(I)
で表されるポリアルキレングリコール誘導体であり、メルカプト基の化学修飾剤が式(IV)
で表されるポリアルキレングリコール誘導体、または、式(V)
本発明に用いられる化学修飾基に関し、R1、R4およびR5で示されるアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖または分岐状のもの、例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル、tert−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ヘキシル,イソヘキシル,ヘプチル,オクチル,イソオクチル,デシル,ドデシル,テトラデシル,ヘキサデシル,オクタデシル等があげられ、R1で示されるアルカノイル基は炭素数1から18の直鎖または分岐状のもの、例えば、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリル,ピバロイル,ペンタノイル,ラウロイル,ミリストイル,パルミトイル,ステアロイル等があげられ、R3、YおよびHalで示されるハロゲンは、塩素,臭素,ヨウ素の各原子があげられ、Wで示されるカルボキシ基の反応性誘導体としては、酸クロリド、酸ブロミド等の酸ハライド類、p−ニトロフェニルエステル、N−オキシコハク酸イミド等の活性エステル類、炭酸モノエチルエステル、炭酸モノイソブチルエステル等との混合酸無水物類等があげられる。n,r,s,uおよびvで表される正の整数は、1〜1,000であり、とりわけnについては7〜500が、r,s,uおよびvについては1〜200が好ましい。本発明の化学修飾基の分子量は、500〜100,000の範囲内であり、好ましくは1,000〜40,000の範囲内にあるものである。
ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体あるいはポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールの共重合体の誘導体等のポリアルキレングリコール誘導体またはスチレン−マレイン酸共重合体の誘導体等の化学修飾剤とアミノ基、カルボキシ基、メルカプト基またはグアニジル基を有するポリペプチド(hG−CSF誘導体)とを反応させることにより、hG−CSF活性を有するポリペプチドの化学修飾を行うことができる。
また、スチレン−マレイン酸共重合体の誘導体とを反応させる方法としては、公知の方法〔例えば、BIO INDUSTRY 5,499-505(1988)、特開昭64−85922、特開平1−99573等〕あるいはそれに準じた方法を用いることができる。
式(Ia)の各基の定義において、アルキル基、アルカノイル基、ハロゲンおよび正の整数は、前記式(I)の定義と同じである。
また、本発明により新規の化学修飾されたhG−CSFまたはhG−CSF誘導体を提供することができる。
化学修飾hG−CSFおよび化学修飾hG−CSF誘導体にはポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体の誘導体またはスチレン−マレイン酸共重合体の誘導体が1〜5分子結合する。したがって、本化学修飾hG−CSFならびに本化学修飾hG−CSF誘導体は1〜5分子結合体の混合物で用いるか、あるいは1〜5分子結合体をそれぞれ分離して用いる。本化学修飾hG−CSFならびに化学修飾hG−CSF誘導体の分離には、通常の長鎖ポリペプチド等の分離に用いられるイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー、硫安分画等の方法を準用することができる。
実験方法1
ローリーの方法〔Lowry,O.H.,et al.,ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),193,265(1951)〕により蛋白質量の測定を行う。
実験方法2
レムリの方法〔U.K.Laemmli:ネイチャー(Nature),227, 680(1970)〕によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、該ゲル上に分離された蛋白質をクマシーブリリアントブルーで染色した後、クロマトスキャナー(CS−930 島津製作所)で測定することにより蛋白質量を求める。
試験例1 化学修飾hG−CSFおよび化学修飾hG−CSF誘導体のG−CSF活性およびマウス白血病細胞NFS60に対する増殖促進作用
後述する参考例4、6、8、9、12、15、17、19、20および実施例4で得られた化学修飾G−CSFおよび化学修飾hG−CSF誘導体のマウス骨髄細胞に対するG−CSF活性を、岡部らの方法[M.Okabe et al.,Blood,75,1788(1990)]に従って測定した。また、NFS60細胞[K.Holmesら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,6687(1985)]に対する増殖促進活性を、浅野らの方法〔薬理と治療、19,2767(1991)〕に従って測定した。その結果を第2表に示した。
第3表および第4表に示した試験においては、雄性BALB/cマウス(10週令)1群5匹を用い、第5表に示した試験においては、雄性BALB/cマウス(6週令)1群4匹を用い、これらマウスに137Cs放射線源(RI−433,東芝製)をマウス当たり3Gyを全身放射線照射(以下、Rxと略記する)した後、スペシファイド・パソジェン・フリー(SPF)飼育環境施設のクリーンラック内で飼育した。飲料水および餌は自由摂取させた。無処理対照群として、放射線を照射しないマウスを同様にして飼育した。
雄性BALB/cマウス(9週令)1群5匹に、抗癌剤5−フルオロウラシル(5−FU,協和醗酵工業社製)を100mg/kg腹腔内に投与した。5−FU投与翌日に参考例4で得られた化学修飾hG−CSF(Tri体)を生理食塩水溶液に溶解したものをマウス1匹当たり1回5μg/0.2mlを皮下に投与した。経時的にマウス眼底静脈より採血し、自動血球計数器で血小板数を測定した。その結果を第6表に示した。
雄性BALB/cマウス(8週令)1群4匹に137Cs放射線源(RI−433,東芝製)をマウス当たり10GyをRxした後、SPF飼育環境施設のクリーンラック内で飼育した。放射線照射翌日に同系のマウスの骨髄細胞(ナイロンウール非付着細胞)の2×106個を放射線マウスの静脈内に移植した。約2時間経過後に、参考例4で得られた化学修飾hG−CSF(Tri体)を生理食塩水溶液に溶解したものをマウス1匹当たり1回10μg/0.2ml、20μg/0.2mlまたは40μg/0.2ml皮下に投与した。経時的にマウス眼底静脈より採血し、自動血球計数器で血小板数を測定した。その結果を第7表に示した。
5〜10週令のBALB/c系雄マウスを1群4匹用い、参考例4で得られた化学修飾hG−CSF(Tri体)を1匹あたり25μg単回投与した。あるいは1匹あたり20μgを投与した後、投与後1、5、9日目に20μgずつ計4回投与したが、ともに症状変化は全くなく、死亡例も認められなかった。
また、化学修飾hG−CSFまたは化学修飾hG−CSF誘導体とともに、他のサイトカインや低分子血小板増殖促進剤を用いることもできる。他のサイトカインとしては、インターロイキン3、インターロイキン6、白血病阻害因子、幹細胞因子(Stem Cell Factor)、マクロファージ・コロニー刺激因子、トロンボポエチン等があげられる。低分子血小板増殖促進剤としては、コナゲニン、Y25510、2−ピラノン誘導体、FK565等があげられる。
なお、本発明の血小板増殖促進剤は、通常の各種製薬担体、賦形剤、希釈剤、安定化剤あるいは吸着防止剤などを含むことができる。
下記方法により、次の組成からなる注射剤を調製した。
参考例4で得られた化学修飾hG−CSF誘導体 (Tri体)10mgをPBS溶液80mlに溶解し、ポリソルベート80(和光純薬社製)を2mg、ヒト血清アルブミン(シグマ社製)100mgおよびD−マンニトールl.5gを加え、PBSで容量を100mlにあわせた。得られた溶液を0.22μmのディスポーザブル製メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mlずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分0.2mgを含有する)を得た。
下記方法により、次の組成からなる注射剤を調製した。
参考例4で得られた化学修飾hG−CSF誘導体(Tri体)50mgをPBS溶液80mlに溶解し、ポリソルベート80(和光純薬社製)を2mgおよびD−マンニトール1.5gを加え、PBSで容量を100mlにあわせた。得られた溶液を0.22μmのディスポーザブル製メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mlずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分1.0mgを含有する)を得た。
下記方法により、次の組成からなる注射剤を調製した。
参考例4で得られた化学修飾hG−CSF誘導体( Tri体)10mgをPBS溶液80mlに溶解し、ポリソルベート80(和光純薬社製)を2mg、ヒト血清アルブミン(シグマ社製)100mgおよびD−マンニトール1.5gを加え、リン酸でpHを約5に調整した後、注射用蒸留水で容量を100mlにあわせた。得られた溶液を0.22μmのディスポーザブル製メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mlずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分0.2mgを含有する)を得た。
以後の参考例においても、化学修飾hG−CSF誘導体の純度およびポリエチレングリコール誘導体の結合分子数はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認した。
6−クロル−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンの製造
10gの無水炭酸ナトリウムを含む100mlの無水トルエンに平均分子量4000のモノメトキシポリエチレングリコール(日本油脂社製)20gを溶解し、110℃で30分間加熱した後、塩化シアヌル500mgを加え、110℃で24時間加熱した。反応残留物を濾去し、石油エーテル300mlを加えて、沈澱を生じさせ、該沈澱を数回石油エーテルで洗浄し、標記塩化物を10g取得した(収率50%)。
6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンのN−ヒドロキシサクシンイミドエステルの製造
参考例1で得られた塩化物500mgを無水テトラヒドロフラン9mlに溶解した。一方、γ−アミノ酪酸10mg、トリエチルアミン28μlを無水ジメチルアミド1mlに溶解した液に上記溶液を添加後、室温下16時間攪拌した。次いで、減圧乾固の後、塩化メチレン30ml、10mMリン酸緩衝液(pH10)15mlを加え分配した。上層を2N塩酸でpH1にした後、塩化メチレン30mlを加え、再び分配した。下層を分画し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾別し、減圧濃縮を行い、標記カルボン酸を150mg取得した(収率30%)。
配列番号1に示したアミノ酸配列を有するhG−CSFの1番目のスレオニンをアラニンに、3番目のロイシンをスレオニンに、4番目のグリシンをチロシンに、5番目のプロリンをアルギニンに、17番目のシステインをセリンにそれぞれ置換したhG−CSF誘導体(第1表、化合物k)を以下のようにして得た。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体300mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.2)100mlに、参考例2で得られた活性エステル800mgを添加し、4℃で24時間反応させた。10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH8.0)100mlを加えた後、10mMトリス塩酸緩衝液−0.35M硫酸アンモニウム(pH8.0)で充たされたブチルトヨパール650M(東ソー製)(2.2cm×26cm)に100ml/hrの流速で通塔した。
カルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルの製造 充分脱水した平均分子量5000のカルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコール(日本油脂社製)4g(0.8mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)184mgを無水塩化メチレン40mlに溶解後、氷冷下アルゴン気流中DCC 330mgを加え,30分間攪拌した。その後、室温に戻し、1.5時間攪拌後、不溶物(DCU)を濾別し濾液を16mlまで減圧濃縮した。これを無水ジエチルエーテル240mlに滴下して沈殿を生成させ、沈殿を無水ジエチルエーテルで洗浄後、減圧下溶媒を除去し、標記化合物を2.8g(0.56mmol)取得した(収率70%)。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体202.5mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)225mlを、5%水酸化ナトリウムでpH8.1に調整し、氷冷下で参考例5で得られたカルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル1.1gを添加し、4℃で6時間反応させた。その後、26.7mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む水溶液0.5mlを加え、反応液とした。反応液を8000rpm、4℃で40分間遠心分離し、その上清370mlに最終濃度0.68Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、10mMトリス塩酸緩衝液−0.68M硫酸アンモニウム(pH7.5)で充されたブチルトヨパール650M(東ソー社製)(5cm×6.6cm=130ml)に、130ml/hrの流速で通塔した。
カルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルの製造
充分脱水した平均分子量10000のカルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコール(日本油脂社製)12g(1.2mmol)、HONSu 276mgを無水塩化メチレン120mlに溶解後、氷冷下アルゴン気流中DCC495mgを加え、30分間撹拌した。その後、室温に戻し1.5時間撹拌し不溶物(DCU)を濾別し、濾液を48mlまで減圧濃縮した。これを無水ジエチルエーテル720mlに滴下して沈殿を生じさせ、沈殿を無水ジエチルエーテルで洗浄後、減圧下で溶媒を除去し、標記化合物を10.0g(1.0mmol)取得した(収率83%)。
配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するG−CSF40.8mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)30mlを、5%水酸化ナトリウムでpH8.3に調整し氷冷下で参考例7で得られたカルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル326mgを添加し、4℃で6時間反応させた。その後、3.9mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む水溶液0.1mlを加え、反応液とした。反応液に硫酸アンモニウムをその濃度が最終的に0.7Mとなるように添加し、10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH7.5)で充されたブチルトヨパール650M(東ソー社製)(2.5cm×8.1cm=40ml)に、40ml/hrの流速で通塔した。次いで10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH7.5)120mlを40ml/hrの流速で通塔して洗浄後後、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)系に、直線勾配で0.7〜0M硫酸アンモニウムを総量240ml、40ml/hrの流速で通塔し、溶出を行った。目的物は、硫酸アンモニウム0.33Mから0.05Mで溶出された。溶出画分90mlを限外濾過〔分子量分画1万:YM10(アミコン社製)〕し、6mlまで濃縮した。該濃縮液をPBSで充されたセファクリルS−300(ファルマシア社製)(2.5cm×45cm=220ml)に44ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。化学修飾hG−CSFポリペプチドは、PBSを流し始めて60mlから102mlあたりに溶出され、ポリエチレングリコール誘導体1から4分子の結合体(Mono体〜Tetra体)の混合物であった(収量9.5mg、収率23%)。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体304.2mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)338mlを、5%水酸化ナトリウムでpH8.1に調整し氷冷下で参考例7で得られたカルボキシルメチルモノメトキシポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル4.8gを添加し、4℃で6時間反応させた。その後、58.1mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む水溶液0.5mlを加え、反応液とした。反応液を8000rpm、4℃で40分間遠心分離し、その上清に最終濃度0.68Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、10mMトリス塩酸緩衝液−0.68M硫酸アンモニウム(pH8.0)で充されたブチルトヨパール650M(東ソー社製)(5cm×7.1cm=140ml)に、140ml/hrの流速で通塔した。次いで10mMトリス塩酸緩衝液−0.68M硫酸アンモニウム(pH8.0)420mlを140ml/hrの流速で通塔して洗浄後、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)420mlを140ml/hrの流速で通塔し、溶出を行った。目的物は、82mlから184mlで溶出された。溶出画分102mlを、PBSで充されたセファクリルS−300(ファルマシア社製)(10cm×50cm=3900ml)に780ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。化学修飾hG−CSFポリペプチドはPBSを流し始めて1600mlから2070mlあたりに溶出され、ポリエチレングリコール誘導体1から4分子の結合体(Mono体〜Tetra体)の混合物であった(収量216mg 収率71%)。
6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルの製造
γ−アミノ酪酸412mg(4.0mmol)を0.1Mホウ酸緩衝液(pH10)300mlに溶解し、氷冷下6−クロル−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジン20g(2mmol)(生化学工業社製)を加えて、4℃で一昼夜撹拌した。さらに室温で6時間撹拌した後、1N塩酸でpH1に調整し、クロロホルム抽出を行った。クロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥後濾別した。減圧下で溶媒を除去し、生じた固形物に乾燥したアセトンを添加し、溶解させた。該アセトン溶液を減圧濃縮し、室温に放置することにより標記カルボン酸を再結晶化させ、該結晶を15.8g(1.6mmol)取得した。
配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するhG−CSF40.8mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)30mlを、5%水酸化ナトリウムでpH7.2に調整し、氷冷下で参考例10で得られた6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル326mgを添加し、4℃で48時間反応させた。その後、3.9mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む水溶液0.1mlを加え、反応液とした。反応液に最終濃度0.7Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH7.5)で充されたブチルトヨパール650M(東ソー社製)(2.5cm×8.1cm=40ml)に、40ml/hrの流速で通塔した。次いで10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH7.5)120mlを40ml/hrの流速で通塔して洗浄後、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)系に、直線勾配で0.7〜0M硫酸アンモニウムを総量240ml、40ml/hrの流速で通塔し、溶出を行った。目的物は、硫酸アンモニウム0.35Mから0.07Mで溶出された。溶出画分90mlを限外濾過〔分子量分画1万:YM10(アミコン社製)〕し、6mlまで濃縮した。該濃縮液をPBSで充されたセファクリルS−300(ファルマシア社製)(2.5cm×47cm=230ml)に46ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。化学修飾hG−CSFポリペプチドはPBSを流し始めて110mlから145mlあたりに溶出され、ポリエチレングリコール誘導体1から3分子の結合体(Mono体〜Tri体)の混合物であった(収量7.8mg、収率19%)。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体540mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)600mlを、5%水酸化ナトリウムでpH7.2に調整し氷冷下で参考例10で得られた6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル8.7gを添加し4℃で48時間反応させた。その後、105mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む水溶液0.5mlを加え、反応液とした。反応液を8000rpm、40分間、4℃で遠心分離し、その上清600mlに硫酸アンモニウムをその濃度が最終的に0.68Mとなるように添加し、10mMトリス塩酸緩衝液−0.68M硫酸アンモニウム(pH7.5)で充されたブチルトヨパール650M(東ソー社製)(5cm×18cm=350ml)に350ml/hrの流速で通塔した。次いで10mMトリス塩酸緩衝液−0.68M硫酸アンモニウム(pH7.5)700mlを350ml/hrの流速で通塔して洗浄後、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)系に直線勾配で0.68〜0M硫酸アンモニウムを総量2800ml、350ml/hrの流速で通塔し、溶出を行った。目的物は、硫酸アンモニウム0.39Mから0.20Mで溶出された。溶出画分800mlを限外濾過〔分子量分画1万:YM10(アミコン社製)〕し、100mlまで濃縮した。該濃縮液をPBSで充されたセファクリルS−300(ファルマシア社製)(10cm×50cm=3900ml)に780ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。化学修飾hG−CSFポリペプチドはPBSを流し始めて1750mlから2250mlあたりに溶出され、ポリエチレングリコール誘導体1から3分子の結合体(Mono体〜Tri体)の混合物であった(収量303mg、収率56%)
6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンの製造
充分乾燥した平均分子量12000のモノメトキシポリエチレングリコール(日本油脂社製)100g(8.33mmol)、酸化亜鉛(和光純薬工業社製)9.3g、モレキュラーシーブス(タイプ4A)(和光純薬工業社製)83.5gを乾燥ベンゼンに溶解し、アルゴン気流中室温で一昼夜放置した。その後、モレキュラーシーブスを除去し、再び新しいモレキュラーシーブス42gを加え、同様に一昼夜放置した。次に、モレキュラーシーブスを除去し、蒸留装置を用いてアルゴン気流中80℃で蒸留し、初留50mlを除去した。さらにモレキュラーシーブス(タイプ4A)を100g程度詰め込んだソックスレー抽出装置(固相用)を用いて、アルゴン気流中80℃で一昼夜脱水還留を行った。反応液を冷却後、736mg(4.0mmol)の塩化シアヌルを加え、5日間同様にして脱水還留を行った。この際使用した塩化シアヌルは、乾燥したジエチルエーテルより再結晶したものを用いた。その後、室温で冷却し乾燥ベンゼン300mlを加え、3600rpmで10分間遠心分離し、不溶物を除去した。上清を300mlまで減圧濃縮し、乾燥したジエチルエーテル3000ml中に滴下し沈殿を生成させた。該沈殿を回収し、乾燥ジエチルエーテルで洗浄後、減圧下で溶媒を除去し、乾燥沈殿物を取得した。
6−(3−カルボキシブロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルの製造
参考例13の方法に準じ合成し、充分乾燥させた6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジン25g(1.0mmol)とN−ヒドロキシスクシンイミド240mgを無水塩化メチレン400mlに溶解し、氷冷下アルゴン気流中DCC431mgを加え、30分撹拌した。その後、室温に戻し1.5時間撹拌し、不溶物(DCU)を濾別し、濾液を160mlまで減圧濃縮した。これを無水ジエチルエーテル2400mlに滴下して沈殿を生じさせ、該沈殿を無水ジエチルエーテルで洗浄後、減圧下で溶媒を除去し標記化合物を21.4g(0.89mmol)取得した(収率89%)。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体504mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)560mlを、5%水酸化ナトリウムでpH7.3に調整し、氷冷下で参考例14で得られた6−(3−カルボキシプロピルアミノ)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル22.4gを添加し、4℃で48時間反応させた。
4−ニトロフェニルオキシカルボニル−(O−メトキシポリエチレングリコール)の製造
充分乾燥した平均分子量10000のメトキシポリエチレングリコール5.5g(0.55mmol)(日本油脂社製)を27.5mlの乾燥塩化メチレンに溶解し、0.153mlのトリエチルアミン、222mgの4−ニトロフェニルクロロホルメイトを加え、アルゴン気流中、室温で4時間攪拌した。この間、トリエチルアミンでpHを7.5〜8.5に保った。反応液を20mlまで減圧濃縮し、300mlの乾燥ジエチルエーテル中に滴下して沈殿を生じさせた。該沈殿を乾燥ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で溶媒を除去した。該沈殿を乾燥した酢酸エチルより再結晶化させ、減圧乾燥して標記化合物を4.8g(0.48mmol)取得した(収率87%)。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体40.5mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.3)45mlを、5%水酸化ナトリウムでpH8.7に調整し、氷冷下で参考例16で得られた4−ニトロフェニルオキシカルボニル−(O−メトキシポリエチレングリコール)4.3gを添加し、4℃で3日間反応させ、反応液とした。反応液に最終濃度0.7Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH7.5)で充されたブチルトヨパール650M(東ソー社製)(2.5cm×12cm=60ml)に、60ml/hrの流速で通塔した。次いで10mMトリス塩酸緩衝液−0.7M硫酸アンモニウム(pH7.5)180mlを60ml/hrの流速で通塔して洗浄後、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)系に、直線勾配で0.7〜0M硫酸アンモニウムを総量360ml、60ml/hrの流速で通塔し、溶出を行った。次いで10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)180mlを60ml/hrの流速で未溶出部分の溶出を行った。目的物は、硫酸アンモニウム0.4Mから0Mで溶出された。溶出画分210mlを限外濾過〔分子量分画1万:YM10(アミコン社製)〕し、30mlまで濃縮した。該濃縮液をPBSで充されたセファクリルS−300〔ファルマシア社製(5cm×51cm=1000ml)〕に200ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。
6−(1−アミノプロピルオキシカルボニルオキシ−4’−ニトロフェニル)−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジンの製造
120mg(1.6mmol)の3−アミノ−1−プロパノールを0.1Mホウ酸緩衝液(pH10)200mlに溶解し氷冷下8g(0.8mmol)の6−クロル−2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−s−トリアジン(生化学工業社製)を加え、4℃で一昼夜攪拌した。反応液を2N塩酸でpH1.0に調整し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム相を2N塩酸で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。減圧下で溶媒を除去し、生じた固形物に乾燥アセトンを添加し、溶解させた。該アセトン溶液を減圧濃縮し、室温に放置することによりアルコール体を再結晶化させ、該結晶を5.5g取得した。(収率69%)
次に充分乾燥した該アルコール体5.3g(0.53mmol)を乾燥塩化メチレン26.5mlに溶解後0.147mlのトリエチルアミンを加え、さらに214mg(1.06mmol)の4−ニトロフェニルクロロホルメートを加え、4℃で4時間攪拌した。その後、反応液を20mlに減圧濃縮し、300mlの乾燥ジエチルエーテル300mlに滴下して沈殿を生じさせた。この沈殿を乾燥シエチルエーテルで洗浄し、減圧下で溶媒を除去後、乾燥した酢酸エチルより再結晶し、減圧乾燥により標記化合物を4.6g(0.46mmol)取得した(収率87%)。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体29.25mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)6.5mlに、氷冷下で活性化ポリエチレングリコール試薬M−SCM−20000(Shearwater Polymer社製)287mgを添加し、4℃で6時間反応させた後、50mg/mlのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液35μlを加え、反応液とした。該反応液をPBSで充されたセファクリルS−300(ファルマシア社製)(2.5cm×45cm=220ml)に44ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。
参考例3で得られたhG−CSF誘導体28.8mgを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)6.7mlに、氷冷下で活性化ポリエチレングリコール試薬M−SSPA−20000(Shearwater Polymer社製)98mgを添加し、4℃で24時間反応させた後、40mg/mlのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液30μlを加え、反応液とした。該反応液をPBSで充されたセファクリルS−300(ファルマシア社製)(2.5cm×45cm=220ml)に44ml/hrの流速で通塔した後、同流速でPBSを通塔した。
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