JP3966190B2

JP3966190B2 - Stainless steel with excellent machinability and cold workability

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Publication number: JP3966190B2
Application number: JP2003051742A
Authority: JP
Inventors: 万慶後藤; 英樹中川; 博史横田
Original assignee: Aichi Steel Corp
Current assignee: Aichi Steel Corp
Priority date: 2003-02-27
Filing date: 2003-02-27
Publication date: 2007-08-29
Anticipated expiration: 2023-02-27
Also published as: JP2004256900A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、Ｃａの添加により被削性、冷間加工性に優れ、構造用部材、機械部品および電子機器材として幅広く利用することができ、耐食性にも優れたステンレス鋼に関する。
【０００２】
【従来の技術】
構造用部材、機械部品、電子機器等の各種部品の中には、切削により所定の部品形状を得て製造されるものが多数ある。これらの部品のうち、優れた耐食性が要求されるものに対しては、従来ＳＵＳ３０３、ＳＵＳ４３０Ｆ等の快削ステンレス鋼が使用されてきた。これらの鋼は、Ｃｒ、Ｎｉ等のステンレス鋼としての基本特性を維持するための成分に加えて、被削性向上元素であるＳを添加して被削性を基本成分のみ添加された鋼に比べて向上させたことを特徴とするものである。
【０００３】
しかしながら、これらの快削ステンレス鋼は被削性向上元素を添加することによって被削性については当然向上しているが、逆に耐食性については劣化してしまう。従って、被削性と耐食性の両方が優れていることが同時に要求される部品に対して適用することができず、そのような部品に対しては機械加工時の生産性、工具寿命等の点で満足できる状態が得られないことを承知の上で、基本成分のみ添加された鋼を使用しているのが通常であった。
【０００４】
また、従来から、快削ステンレス鋼が使用されてきた機器の各部品において、その性能向上のために一部の部品で高度な寸法精度と優れた耐食性が共に要求される部品（例えば化学プラント、原子力関連部品）が最近増加してきた。このような部品に対しても、耐食性の要求レベルを考えると従来の快削ステンレス鋼を使用することはできないため、低い工具寿命を改善することが難しく、耐食性等の基本性能を劣化させることなく被削性を向上させた鋼の提供が強く望まれていた。
【０００５】
このような問題を解決するため、従来の基本成分のみ(被削性向上元素を含まない)のステンレス鋼の耐食性を劣化させることなく被削性を向上させることのできる方策の検討も盛んに行われてきており、特許出願もされている。特に、ＣａはＳに比べ耐食性をあまり低下することなく被削性を改善できる元素として注目されており、例えば、特許文献１〜５に記載された発明が提案されている。
【０００６】
【特許文献１】
特開平４−４１６５１号公報
【特許文献２】
特開平６−１４５９０８号公報
【特許文献３】
特開平７−１５０３０８号公報
【特許文献４】
特開平７−３３１３９１号公報
【特許文献５】
特開２００１−２３４２９８号公報
【０００７】
特許文献１に記載の発明は、Ｍｎ／Ｓを３以下、硫化物の平均粒径を１．２μｍ以下に規制することにより、被削性向上元素であるＳを添加しても耐食性を劣化することなく被削性を向上できることを特徴とするものである。そして被削性向上元素としては、他にＳｅ、Ｃａの添加が効果があることが記載されているが、後述のＣａ酸化物系介在物の組成については特に何も検討されていない。被削性向上元素としてＣａが添加された特許の中で、後述のＣａ酸化物系介在物の組成について何ら検討されることなく出願されている特許は、他にも多数存在する。
【０００８】
また、特許文献２〜４に記載の発明は、被削性向上元素のうちＣａを用い、特定範囲に成分を調整することによって、鋼中にゲーレナイト２ＣａＯ・Ａｌ_２Ｏ_３・ＳｉＯ_２又はアノールサイトＣａＯ・Ａｌ_２Ｏ_３・２ＳｉＯ_２等の低融点の酸化物系介在物を生成させ、この介在物の存在によって被削性を向上させたことを特徴とするものである。
【０００９】
さらに、特許文献５に記載のＣａ添加ステンレス鋼は、その請求の範囲には何ら生成させる酸化物の種類について規定がないものの、その発明は、ＡｌとＣａの量を適切に調整して、被削性改善に有効な酸化物であるアノールサイトを生成させることを目的として成されたものであり(特許文献５第２欄第１８〜１９行及び第３欄第３〜４行参照)、実施例に記載の酸化物の組成も全てアノールサイトである。従って、その点で特許文献２〜４と全く共通した技術について記載されたものである。
【００１０】
この被削性改善方策は、従来主として構造用鋼に適用されていたものである。すなわち、鋼中に低融点の酸化物系介在物を生成することで、主に超硬合金で切削した場合に、工具面にＣａを含む複合酸化物の厚い付着物が生じ、付着物層が工具面を保護し、工具が切りくずで直接擦過されたり、工具中の元素が熱拡散で切りくず中に移行して工具性能が劣化するのを防ぐことにより、被削性を改善するものである。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法をステンレス鋼にそのまま適用した場合には次のような問題点がある。
すなわち、鋼中にアノールサイトやゲーレナイトを生成するには、必然的にＡｌを添加しなければならない。その結果、硬質な介在物であるＡｌ_２Ｏ_３が生成されることとなる。本発明者等が詳細に調査した結果、確かに低融点の酸化物を生成させることによる効果はあるが、Ａｌ_２Ｏ_３の生成によって得られる効果が相殺されてしまい、当初期待した程の効果が得られないことがわかった。
【００１２】
従って、従来提案されているＣａ添加による被削性改善方法では、ステンレス鋼の被削性を十分に改善させることができず、前記手法に比べステンレス鋼の被削性を大幅に向上させることのできる新しい技術の開発が強く望まれていた。
【００１３】
また、ステンレス鋼は製品となるまでの多くの工程で冷間加工が実施される。本発明のステンレス鋼も例外ではなく、引抜、転造等の塑性変形を伴う加工が実施されることも多い。従って、被削性だけでなく、塑性変形を伴う加工性についても同時に優れた特性を有する材料の開発が必要となっていた。
【００１４】
本発明は、上記の従来の問題を解消し、耐食性、熱間加工性等の他の要求特性を劣化させることなく、優れた被削性を得ることができ、かつ冷間加工性にも優れたステンレス鋼の提供を可能にすることを目的とする。
【００１５】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、質量％で、Ｃ：０．１５％以下、Ｓｉ：０．１０〜１．００％、Ｍｎ：０．１０〜２．００％、Ｐ：０．０４５％以下、Ｓ：０．０１０〜０．０５０％、Ｎｉ：１５．０％以下、Ｃｒ：１１．０〜２０．０％、Ｍｏ：３．０％以下、Ｎ：０．１５％以下、Ｃａ：１０〜１００ｐｐｍ、Ｏ：２０〜２００ｐｐｍを含有し、残部Ｆｅおよび不可避不純物からなり、全ての酸化物系介在物中の、ＣａＯ、ＭｎＯ、ＳｉＯ_２の３種類の酸化物系介在物組成の合計含有率が８０％以上であり、存在する全ての酸化物系介在物の総個数のうちＰｓｅｕｄｏ−Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ、Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ、Ｔｒｉｄｙｍｉｔｅ、Ｃｒｉｓｔｏｂａｌｉｔｅ、Ｒｈｏｄｏｎｉｔｅの合計の割合が５０％以上であることを特徴とする被削性、冷間加工性に優れたステンレス鋼にある。
【００１６】
本発明において注目すべきことは、上記特定の組成のステンレス鋼を用い、かつ酸化物系介在物であるPseudo-Wollastonite、Wollastonite、Tridymite、Cristobalite、Rhodonite(すなわち、ＣａＯ・ＳｉＯ_２とＭｎＯ・ＳｉＯ_２の複合体)を鋼中に多量に生成させて、優れた被削性と冷間加工性を確保している点にある。
【００１７】
図１に、ＣａＯ−ＭｎＯ−ＳｉＯ_２系平衡状態図を示す。本発明では、硬質なＡｌ_２Ｏ_３介在物の生成は、工具を損傷し、被削性を劣化させるため、Ａｌ_２Ｏ_３の生成は可能な限り抑制している。そのため、本発明では、脱酸剤としてＡｌを使用せず、Ｓｉ脱酸により製造する。そして、本発明では、酸化物としてＡｌ_２Ｏ_３の代わりに、ＭｎＯを生成させ、これを有効利用することにより、被削性、冷間加工性が共に優れた鋼が得られることを見出したものである。
【００１８】
さらに、本発明者等が詳細に調査した結果、非金属介在物として生成させたＣａＯ・ＳｉＯ_２とＭｎＯ・ＳｉＯ_２の複合体が、冷間加工性にも大きな改善効果を及ぼしていることがわかった。具体的には、この複合体が冷間での引抜加工やねじの転造加工の際に材料とダイス間で潤滑効果をもたらし、焼付き防止に大きな効果があるという顕著な効果を有することを新規に見出したものである。
【００１９】
本発明は、以上説明した知見を得ることにより完成されたものであり、具体的には、全ての酸化物系介在物中の、ＣａＯ、ＭｎＯ、ＳｉＯ_２の３種類の酸化物系介在物組成の合計含有率が８０％以上であり、存在する全ての酸化物系介在物の総個数のうちＰｓｅｕｄｏ−Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ、Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ、Ｔｒｉｄｙｍｉｔｅ、Ｃｒｉｓｔｏｂａｌｉｔｅ、Ｒｈｏｄｏｎｉｔｅの合計の割合を５０％以上とすることによって、被削性、冷間加工性を狙い通りに向上できることを見出したものである。
【００２０】
なお、ここで言うPseudo-Wollastonite、Wollastonite、Tridymite、Cristobalite、Rhodoniteとは、図１の状態図におけるＸの範囲を指す。このＸの範囲は特別に設定された範囲ではなく、既に公知となっている前記状態図にも記載されているPseudo-Wollastonite、Wollastonite、Tridymite、Cristobalite、Rhodoniteの範囲と全く同じ範囲である。そして、酸化物系介在物の組成及び個数は、ＳＥＭ、ＥＰＭＡ等を用いることにより容易に測定できるものである。すなわち、ＳＥＭ、ＥＰＭＡを用いて酸化物系介在物の組成及びその含有割合を分析すると、図１の状態図に記載されているＣａＯ、ＭｎＯ、ＳｉＯ_２のそれぞれの含有割合を求めることができる。この値を図１で示される状態図上にプロットし、その位置が本発明で規定したＸの範囲にあるかを調べることにより、この介在物が本発明で規定した組成の介在物であるかどうかは容易に判定することができる。
【００２１】
しかしながら、本発明鋼はＡｌ脱酸しないことにより、Ａｌ_２Ｏ_３の生成を抑制しているものの少量のＡｌ_２Ｏ_３は当然存在している。また、他の酸化物が検出される場合もある。実際にＳＥＭ、ＥＰＭＡを用いて酸化物系介在物の組成を検出すると、前記３種類以外の介在物が検出されることがある。そこで、本発明では権利範囲を明確にするために、これらの介在物は無視して図１の状態図上にプロットし、それぞれの介在物が前記Ｘの範囲の組成であるかどうかを判定するものとする。
【００２２】
但し、測定装置の仕様により、測定できる最小の介在物の大きさが異なるので、使用する装置により前記酸化物系介在物の総個数測定結果が変化することを防止するため、本発明では、対象とする介在物を２μｍ以上の大きさ（介在物の最も長い部分の長さ）のものに限定する。２μｍ以上の大きさの酸化物系介在物のうち前記酸化物系介在物の個数の割合が５０％以上となる場合を本発明の範囲とする。
【００２３】
次に本発明である被削性、冷間加工性に優れたステンレス鋼の成分組成等の数値を限定した理由について以下に説明する。
Ｃ：０．１５％以下
Ｃは、ステンレス鋼の基本特性である耐食性を維持する元素であるＣｒと結合して炭化物を形成し、耐食性の確保に寄与するＣｒを減少させるため、耐食性に悪影響を及ぼす元素である。また、素地に固溶し、硬さを上昇させる影響も有する。そして、０．１５％を超えると硬さが急激に上昇して被削性に悪影響を及ぼすとともに、耐食性が大きく劣化するため、上限を０．１５％とした。
【００２４】
Ｓｉ：０．１０〜１．００％
Ｓｉは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素であるとともに(本発明はＡｌを脱酸剤として使用しないため、脱酸剤としてはＳｉが主となる。)、本発明の特徴である酸化物系介在物を生成するためにも必要な元素である。Ｓｉ量が０．１０％未満になると脱酸が十分にできなくなると共に、生成する酸化物中のＳｉＯ₂を必要量確保できず、被削性の向上が不十分となるため、下限を０．１０％とした。また、Ｓｉは、多すぎると靭性を低下させるので、上限を１．００％とした。
【００２５】
Ｍｎ：０．１０〜２．００％
本発明では酸化物系介在物として、ＣａＯ・ＳｉＯ_２とＭｎＯ・ＳｉＯ_２の複合体を生成させるとともに、ＭｎＳの両方の効果によって優れた被削性を確保している。本発明で生成させるＣａＯ・ＳｉＯ_２とＭｎＯ・ＳｉＯ_２の複合体は、工具面に付着して工具面を保護することにより被削性を改善するが、硫化物系介在物であるＭｎＳは切り屑破砕性を改善することによって被削性を改善する効果がある。そして、この効果は、前記した酸化物系介在物が超硬合金による高速切削時に大きな効果を有するのに対し、ＭｎＳは超硬合金による切削時と高速度工具鋼による切削時の両方において効果を発揮する。従って、優れた被削性を確保するためにはＭｎＯ・ＳｉＯ₂とＭｎＳの両方を十分に生成させる必要があり、そのためには、最低でも０．１０％以上含有させる必要がある。しかしながら、多量に含有させすぎると、熱間加工性が低下するため、上限を２．００％とした。
【００２６】
Ｐ：０．０４５％以下
Ｐは、不純物として不可避的に少量含有する元素であるが、偏析を起こしやすく、熱間加工性を低下させる元素であるため、上限を０．０４５％とした。
【００２７】
Ｓ：０．０１０〜０．０５０％
Ｓは鋼の被削性を向上させるのに有効な元素であり、ＭｎＳを生成して、切り屑破砕性を改善する効果のある元素であるため、この効果を十分に得るためには０．０１０％以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含有させると著しく耐食性が低下するため、上限を０．０５０％とした。
【００２８】
Ｎｉ：１５．０％以下
本発明であるＣａ快削ステンレス鋼の適切な酸化物を生成したことによる被削性向上効果は、ステンレス鋼の組織に関係なくその効果を発揮する。すなわち、Ｎｉはオーステナイト生成元素であり、他の成分によっても若干の影響はあるが、１５．０％以下の範囲でその含有量を上下させると、得られるステンレス鋼はフェライト系になったり、マルテンサイト系になったり、オーステナイト系になったりする。しかしながら、前記した被削性向上効果はどの組織状態であっても同様に優れた効果が得られるため、前記した広い範囲に設定した。但し、多量に含有させても、Ｎｉの有する耐食性向上効果が飽和し、経済的に見合う効果が得られなくなるので、上限を１５．０％とした。
【００２９】
Ｃｒ：１１．０〜２０．０％
Ｃｒはステンレス鋼の基本的特徴である優れた耐食性を維持するための基本元素であり、最低でも１１．０％以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含有させると熱間加工性が低下して製造が難しくなるので、上限を２０．０％とした。
【００３０】
Ｍｏ：３．０％以下
ＭｏもＣｒと同様に耐食性を向上させるのに有効な元素である。しかしながら、多量に含有させると熱間加工性を低下させるため、上限を３．０％とした。
【００３１】
Ｎ：０．１５％以下
Ｎは強力なオーステナイト生成元素であり、オーステナイト組織を安定して得ようとする場合には、少量添加することにより目的とする効果を得ることができる。しかしながら、Ｎは固溶強化による硬度向上効果が大きく、多量の添加は被削性に悪影響を及ぼすため、上限を０．１５％とした。
【００３２】
Ｃａ：１０〜１００ｐｐｍ
Ｃａは被削性の改善を目的とする本発明にとって最も重要な元素である。本発明では前記した通り、Ｃａの添加によって酸化物系介在物であるＣａＯ・ＳｉＯ_２を生成させ、ＭｎＯ・ＳｉＯ_２との複合体を生成し、これが工具面を保護することにより、被削性を改善させている。従って、その効果を得るために最低でも１０ｐｐｍ以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含有させると溶製時にノズル閉塞を生じ、製造が難しくなるので、上限を１００ｐｐｍとした。
【００３３】
Ｏ：２０〜２００ｐｐｍ
本発明では被削性改善を目的とする酸化物系介在物の生成が必須となるため、その生成に必要な量のＯの含有が必要であり、下限を２０ｐｐｍとした。しかしながら、Ｏを多量に含有しすぎると、生成させることが必要な酸化物以外の他の酸化物系介在物が生成しやすくなって、図１のＸの範囲内の酸化物の個数を総個数の５０％以上生成させることが困難となるため、上限を２００ｐｐｍとした。
【００３４】
Ｘの範囲の酸化物系介在物の個数５０％以上
図１におけるＸの範囲内の酸化物、すなわちＣａＯ・ＳｉＯ_２とＭｎＯ・ＳｉＯ_２の複合体は、本発明にとって被削性及び冷間加工性向上のために重要な介在物であり、その存在によって切削加工中に工具面に付着物層を形成し、工具面を保護して工具寿命を改善するとともに、引抜、転造等の冷間加工中に、材料とダイス間で潤滑効果をもたらし、耐焼付性を改善する。
【００３５】
そして、前記効果を十分に得るためには、鋼中に存在する酸化物系介在物の中の図１のＸの範囲内の組成を有する介在物の個数比率を５０％以上とする必要がある。なお、前記した通り、この比率を達成するためには、前記した範囲に成分を調整し、かつ脱酸剤としてＡｌを使用せず、Ｓｉを使用して、Ａｌ系の酸化物系介在物の生成を抑える必要がある。
【００３６】
具体的には、溶解酸化期に鋼中の非金属介在物の主体がＭｎＯ・ＳｉＯ_２となるよう原料投入するとともに、還元期にＣａ−Ｓｉ原料を投入するようにすると良い。Ｃａ−Ｓｉ原料の投入により、必要なＣａと脱酸のためのＳｉを投入することができる。また、Ｃａ−Ｓｉ原料は例えばＣａ−Ｓｉワイヤーフィーダにより添加することができる。
【００３７】
また、請求項２の発明のように、請求項１の鋼にさらに、被削性向上元素であるＰｂ：０．３０％以下、Ｂｉ：０．３０％以下、Ｓｅ：０．３０％以下、Ｔｅ：０．３０％以下のうちの１種又は２種以上を添加することにより、請求項１の発明鋼に比べさらに、被削性を向上させることができる。以下に、これらの元素の含有率の範囲を限定した理由について説明する。
【００３８】
Ｐｂ：０．３０％以下、Ｂｉ：０．３０％以下、Ｓｅ：０．３０％以下、Ｔｅ：０．３０％以下
Ｐｂ、Ｂｉ、Ｓｅ、Ｔｅは本発明の被削性をさらに向上することができる元素であり、前記した通りの酸化物系介在物を生成させた上にさらに、Ｐｂ、Ｂｉ、Ｓｅ、Ｔｅの元素を少量添加すると耐食性を劣化させることなく被削性を改善することができる。しかしながら、多量に添加すると、熱間加工性が低下して製造が難しくなるので、４元素共に上限を０．３０％とした。
【００３９】
なお、請求項３の発明のように、請求項１、２の被削性、冷間加工性に優れたステンレス鋼において、不純物として含有するＡｌを０．００５％以下に規制することが好ましい。これにより、Ａｌ_２Ｏ_３の生成を可能な限り少なく抑えることができ、その生成による被削性の低下を確実に抑制することができる。以下にその限定理由を説明する。
【００４０】
Ａｌ：０．００５％以下
本発明の被削性向上効果を十分に得るためには、硬質な酸化物系介在物であるＡｌ_２Ｏ_３の生成を可能な限り抑制し、ＭｎＯ・ＳｉＯ_２とＣａＯ・ＳｉＯ_２の複合体を酸化物系介在物の総個数の５０％以上生成させることが必須である。従って、本発明鋼の製造に際しては、脱酸元素としてＡｌは使用しない。従来、ステンレス鋼の製造の際には、脱酸剤として通常Ａｌを使用しており、その場合のＡｌの含有率は０．０１５〜０．０３０％程度とほとんど不純物のレベルに等しく、既に公開となっている特許の多くの中には、Ａｌ脱酸を行う場合でも実質的に不純物であるとして、何も記載されていない特許が多数存在している。本発明では、硬質介在物であるＡｌ_２Ｏ_３及びＡｌを含む酸化物系介在物であるアノールサイトやゲーレナイトの生成を防止する必要があり、そのためには不純物として含有するＡｌ量も厳しく規制することが望ましく、その上限を０．００５％とした。
【００４１】
また、請求項４は、全ての酸化物系介在物の総個数のうち、ＭｎＯを５％以上含有するＰｓｅｕｄｏ−Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ、Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ、Ｔｒｉｄｙｍｉｔｅ、Ｃｒｉｓｔｏｂａｌｉｔｅ、Ｒｈｏｄｏｎｉｔｅの合計が５０％以上であることを特徴とする請求項１〜３に記載の被削性、冷間加工性に優れたステンレス鋼である。
【００４２】
本発明にとって指定した組成からなる酸化物系介在物の存在は非常に重要である。特にその中でも酸化物中に存在するＭｎＯの役割が大きいことは前記した通りであり、その存在は、被削性、冷間加工性の改善、特に冷間加工性の改善のために重要な役割を果たしている。従って、酸化物系介在物中のＭｎＯの比率を少なくとも５％以上とすることにより、その効果をより確実なものとすることができる。なお、介在物中のＭｎＯを増量させるには、溶解酸化期のＯ含有量を高くすれば良い。すなわち、溶解酸化期のＯ量の調整によって適切なＭｎＯ量となるように容易に調整が可能である。
【００４３】
【実施例】
次に、本発明のＣａ快削ステンレス鋼により得られる効果を実施例により明らかにする。表１、２は供試材の化学成分を示すものである。
【００４４】
【表１】

【００４５】
【表２】

【００４６】
このうち、表１は、フェライト系ステンレス鋼の供試材であり、表２は、オーステナイト系ステンレス鋼の供試材である。表１、２に示すように、供試材は、従来鋼に相当するＣ鋼とＣ鋼に被削性向上元素であるＣａを添加し、従来の製造方法であるＡｌ脱酸により製造した比較鋼Ｂ鋼、さらにＢ鋼とほぼ同一成分であるが、Ａｌを脱酸剤として使用せず、かつ酸化物系介在物としてＭｎＯが生成されるよう製鋼原料を添加して製造した本発明鋼であるＡ鋼の３種類を準備した。
【００４７】
従来鋼としては、ＳＵＳ４３０、ＳＵＳ４１０Ｌ、ＳＵＳ４３４、ＳＵＳ３０４、ＳＵＳ３１６、ＳＵＳ３０１の６種類を選び、それぞれについて前記したＡ鋼、Ｂ鋼を準備し、Ｃａ添加及び生成された酸化物系介在物の組成による被削性、耐食性、冷間加工性への影響を調査した。また、本発明鋼であるＡ鋼については、被削性向上元素であるＰｂ、Ｂｉ、Ｓｅ、Ｔｅを添加した鋼についても準備し同時に評価した。さらに、他の条件の影響を確認するため、一部の成分か又はＸの範囲の酸化物系介在物の個数比率が本発明の範囲外であるＵ〜Ｙ鋼、本発明鋼ではあるが、ＭｎＯ量が請求項４に記載した望ましい範囲外であるＺ１鋼も合わせて評価した。このように、Ｃａ、Ａｌ以外の成分がほぼ同一のＡ、Ｂ、Ｃ鋼を準備したのは、Ｎｉ、Ｃｒ量が変化すると、それによって耐食性、被削性のレベルが大きく変化してしまうため、酸化物系介在物の組成による各種特性への影響が正確に評価できなくなるためである。
【００４８】
供試材は１０ｔｏｎ溶解炉で溶製し、ＡＯＤで精錬を行った後鋼塊を製造し、これを熱間圧延し、フェライト系ステンレス鋼は焼なまし、オーステナイト系ステンレス鋼は固溶化熱処理した後、後述するそれぞれの試験の試験片形状に加工することにより準備した。
【００４９】
まず、前記供試材全てについて鋼中の酸化物系介在物の組成分析を実施した。分析は臭素−メタノール法にて酸化物系介在物を抽出し、抽出された介在物の中で大きさ２μｍ以上の介在物５０個を無作為に選択し、ＥＰＭＡを用いて1個ずつ成分分析を実施した。分析された介在物の中には、ＣａＯ、ＭｎＯ、ＳｉＯ_２以外にＡｌ_２Ｏ_３が多量に検出される供試材があり、かつ他の組成の介在物も少量検出されたが、供試材のうち、Ａｌ脱酸を行っていないものについては、前述したように、ＣａＯ、ＭｎＯ、ＳｉＯ_２以外の介在物は少量(最大でも２０％以下)しか検出されなかったため、３つの組成の介在物の含有率のみ(但し、プロットする前に３つの組成の介在物のみで合計が１００％となるよう補正、表３は補正前の数値を示す。)から図１に示された状態図上にプロットして、規定された範囲の介在物かどうか判定した。また、従来鋼、比較鋼のうち、Ａｌ脱酸を行った実施例については、多量のＡｌ_２Ｏ_３が検出されたため、このようなプロットによる判定は意味がないと判断し、判定対象から除外した。なお、この場合の介在物は主な組成にＡｌ_２Ｏ_３を含むものであり、本発明で規定する組成の介在物でないことは勿論である。結果を表３に示す。
【００５０】
【表３】

【００５１】
表３から明らかなように、Ａｌ脱酸した供試材であるＢ、Ｃ鋼は本発明鋼であるＡ鋼に比べＡｌ_２Ｏ_３の含有率が高く、ＭｎＯはわずかしか含有していない。それに対し、Ｚ鋼を除く本発明鋼は、脱酸剤としてＡｌを使用せず、かつ製鋼原料の適切な選択及び添加によって、Ｂ、Ｃ鋼に比べ介在物中のＭｎＯが増加するようにしているので、図１で指定した範囲の組成を有する介在物が５０％以上となっていることが確認された。また、Ｚ鋼はＭｎＯ量の違いによる被削性、耐食性、冷間加工性への影響を確認するために準備して後述の評価を行ったものである。すなわち、Ｚ鋼は、ＭｎＯについては、比較鋼Ｂ鋼、従来鋼Ｃ鋼と同等となるようにし、Ａｌ脱酸をしないことによりＡｌ_２Ｏ_３を可能な限り低減し、主となる成分をＣａＯ、ＳｉＯ_２のみとしたものである。
【００５２】
次に、以上説明した方法により準備した供試材の性能評価として、被削性を評価するための旋削工具寿命試験と、耐食性を評価するための腐食液への浸漬試験及び冷間加工性を評価するためのネジ転造試験を実施した結果について説明する。
【００５３】
まず、それぞれの試験の実施方法について説明する。
旋削工具寿命試験は、φ６０の丸棒を準備し、表４に示す条件で評価し、寿命となるまでの時間を測定した。そして、結果はフェライト系ステンレス鋼については、従来鋼であるＣ−１鋼の時間を基準とし、オーステナイト系ステンレス鋼については、従来鋼であるＣ−４鋼の時間を基準とし、それぞれ基準となる鋼の工具寿命までの時間を１００とした場合の整数比で結果を示した。
【００５４】
【表４】

【００５５】
耐食性の評価である浸漬試験は、４０℃の５％ＮａＣｌ＋２％Ｈ_２Ｏ_２水溶液中にφ２０×２０ｍｍの試験片を２４ｈｒ浸漬し、試験前と試験後の重量変化（すなわち腐食減量）を測定することにより、評価した。
【００５６】
冷間加工性は、ネジ転造試験により評価した。ネジ転造試験は、φ２７の丸棒を準備し、転造加工によってピッチ７ｍｍ、山部直径３１ｍｍ、谷部直径２３ｍｍの台形ネジを加工するという方法で実施した。そして、転造が正常に実施できるかどうか、転造した後の鋼材に異常がないか等を調査した。後述の表３には、ダイスが割れたり、転造加工後の鋼材にミクロ割れが発生する等によって、正常な転造加工ができなかったものを×、ネジ谷部に若干の肌荒れがみられたが、製品としては問題のない転造加工ができたものを○、肌荒れもなく、何の問題もなく転造加工ができたものを◎で示した。なお、評価結果は前記した供試材のうち、オーステナイト系ステンレス鋼の供試材のみ示した。これはオーステナイト系ステンレス鋼は加工硬化が大きく、今回評価した試験条件は、従来鋼ではかなり加工が困難な条件に設定しているからである。なお、フェライト系ステンレス鋼の結果は表３に示していないが、供試材全てについて正常に転造加工することができた。以上説明した試験を実施した結果を表３に示す。
【００５７】
表３から明らかなように、本発明であるＡ鋼はそれぞれの対応する比較鋼、従来鋼に比べると、耐食性はほぼ同等であるが、被削性については大幅に向上することがわかる。特に、被削性向上元素としてＣａに加え、Ｐｂ、Ｂｉ、Ｓｅ、Ｔｅを追加添加した本発明鋼は特に被削性が優れていた。それに対し、比較鋼であるＢ鋼はＣａの添加により、従来鋼であるＣ鋼に比べると若干優れた被削性を有しているが、その差は大きくなく十分な改善効果が得られないことがわかる。また、ＭｎＯ量について従来鋼とほぼ同等量としたＺ１鋼も本発明鋼であるＡ鋼とほぼ同じ結果(被削性、耐食性)が得られた。この結果から、Ｃａをステンレス鋼の被削性改善のために使用する場合には、単純に添加するだけでは不十分であり、生成される介在物の組成を本発明で規定した通りにすると非常に効果的であることが証明された。
さらに、冷間加工性についても、本発明鋼については加工硬化の大きいオーステナイト系ステンレス鋼についても全て正常な転造加工をすることができた。
【００５８】
以上説明した本発明鋼に対し、一部の条件が本発明の範囲外である比較鋼は、いずれかの特性が劣ることが明らかとなった。すなわち、成分は満足するが、Ｘの範囲の組成の酸化物の割合が５０％未満であるＵ、Ｖ鋼は、被削性が劣るものであり、本発明の各成分のうち、Ｓ、Ｎの含有率が本発明の条件を満足しないＷ〜Ｙ鋼は、Ｗ鋼は被削性が優れるが耐食性が劣るものであり、Ｘ鋼は、逆に耐食性は優れるが被削性が劣るものであり、Ｙ鋼は、従来鋼に比べれば被削性が優れているが、本発明鋼に比べると被削性が若干劣ることが確認できた。また、ＭｎＯの効果を確認するために準備した発明鋼Ｚ１は、前記した通り被削性、耐食性については優れているが、ＭｎＯ量が少ない影響から転造加工性が他の発明鋼に比べ若干劣ることが明らかとなった。Ｚ１鋼と同様に、Ａｌ脱酸した供試材である従来鋼Ｃ鋼と比較鋼Ｂ鋼も全て介在物中のＭｎＯ量が少ないことが特徴であるが、このＢ、Ｃ鋼は、転造加工性が大きく劣ることがわかった。この結果より転造加工のような大きな塑性変形を伴う加工には、ＭｎＯの存在が非常に重要であり、酸化物の組成をＸの範囲内にするとともに、ＭｎＯ量を５％以上とすることがより好ましいことがわかる。
【００５９】
【発明の効果】
上述のごとく、本発明によれば、組成範囲を上記特定の範囲に限定し、かつ、鋼中に存在する介在物の５０％以上を図１で示すＸの範囲とすることによって、耐食性を劣化することなく被削性を改善するとともに、転造加工等の塑性変形を伴う冷間加工性を大幅に改善し、従来では困難とされてきたオーステナイト系ステンレス鋼における台形ネジの転造加工を可能とする鋼材の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明で規定している酸化物系介在物の組成の範囲を説明するＣａＯ−ＭｎＯ−ＳｉＯ_２状態図。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to stainless steel that is excellent in machinability and cold workability due to the addition of Ca, can be widely used as a structural member, mechanical component, and electronic equipment material, and has excellent corrosion resistance.
[0002]
[Prior art]
Many types of parts such as structural members, mechanical parts, and electronic devices are manufactured by obtaining a predetermined part shape by cutting. Of these parts, free-cutting stainless steels such as SUS303 and SUS430F have been used for those requiring excellent corrosion resistance. In addition to the components for maintaining the basic characteristics of stainless steel such as Cr and Ni, these steels are added to the steel with machinability only added by adding S, which is an element for improving machinability. It is characterized by an improvement compared to the above.
[0003]
However, these free-cutting stainless steels are naturally improved in machinability by adding a machinability improving element, but on the contrary, the corrosion resistance is deteriorated. Therefore, it cannot be applied to parts that are required to have both good machinability and corrosion resistance at the same time. With the knowledge that satisfactory conditions cannot be obtained, it was usual to use steel with only the basic components added.
[0004]
In addition, in each part of equipment that has conventionally used free-cutting stainless steel, parts that require both high dimensional accuracy and excellent corrosion resistance (for example, chemical plants, Nuclear-related parts) have increased recently. Even for such parts, considering the required level of corrosion resistance, conventional free-cutting stainless steel cannot be used, so it is difficult to improve the low tool life and without degrading basic performance such as corrosion resistance. The provision of steel with improved machinability has been strongly desired.
[0005]
In order to solve these problems, we are actively investigating measures that can improve machinability without degrading the corrosion resistance of conventional basic components (not including elements that improve machinability). Have been filed for patents. In particular, Ca is attracting attention as an element that can improve the machinability without significantly reducing the corrosion resistance compared to S. For example, the inventions described in Patent Documents 1 to 5 have been proposed.
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-4-41651
[Patent Document 2]
JP-A-6-145908
[Patent Document 3]
JP-A-7-150308
[Patent Document 4]
JP-A-7-331391
[Patent Document 5]
JP 2001-234298 A
[0007]
According to the invention described in Patent Document 1, by limiting Mn / S to 3 or less and the average particle size of sulfide to 1.2 μm or less, corrosion resistance deteriorates even when S which is a machinability improving element is added. The machinability can be improved without any problems. As a machinability improving element, it is described that addition of Se and Ca is effective, but nothing has been studied about the composition of the Ca oxide inclusions described later. Among the patents in which Ca is added as a machinability improving element, there are many other patents that have been filed without any study on the composition of the Ca oxide inclusions described below.
[0008]
In addition, the inventions described in Patent Documents 2 to 4 use Ca among the machinability improving elements, and adjust the components to a specific range, whereby the gehlenite 2CaO · Al is contained in the steel.₂O₃・ SiO₂Or anolsite CaO · Al₂O₃・ 2SiO₂Such low melting point oxide inclusions are produced, and the machinability is improved by the presence of these inclusions.
[0009]
Further, although the Ca-added stainless steel described in Patent Document 5 does not define any kind of oxide to be generated in the scope of claims, the present invention appropriately adjusts the amounts of Al and Ca to cover the oxide. It was made for the purpose of generating ananol sites that are effective oxides for improving machinability (see Patent Document 5, second column, lines 18 to 19 and third column, lines 3 to 4). All the oxide compositions described in the examples are also ananol sites. Therefore, the technology that is completely common to Patent Documents 2 to 4 in that respect is described.
[0010]
This machinability improvement measure has been conventionally applied mainly to structural steel. That is, by producing oxide inclusions with a low melting point in steel, a thick deposit of complex oxide containing Ca is generated on the tool surface when cutting mainly with cemented carbide, and the deposit layer is It protects the tool surface and improves the machinability by preventing the tool from being scratched directly by chips and preventing the elements in the tool from moving into the chips due to thermal diffusion. is there.
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
However, when this method is applied to stainless steel as it is, there are the following problems.
That is, in order to produce ananolite and gehlenite in steel, Al must be added. As a result, Al is a hard inclusion₂O₃Will be generated. As a result of detailed investigations by the present inventors, there is certainly an effect of generating a low melting point oxide, but Al₂O₃It was found that the effect obtained by the generation of is offset, and the effect as initially expected cannot be obtained.
[0012]
Therefore, the machinability improvement method by Ca addition proposed conventionally cannot fully improve the machinability of stainless steel, and greatly improves the machinability of stainless steel as compared with the above method. There was a strong demand for the development of new technologies.
[0013]
Stainless steel is cold worked in many steps until it becomes a product. The stainless steel of the present invention is no exception, and processing involving plastic deformation such as drawing and rolling is often performed. Accordingly, it has been necessary to develop a material having excellent characteristics not only for machinability but also for workability accompanied by plastic deformation.
[0014]
The present invention eliminates the above-mentioned conventional problems, can obtain excellent machinability without deteriorating other required characteristics such as corrosion resistance and hot workability, and is excellent in cold workability. The purpose is to make available stainless steel.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
The invention of claim 1quality%: C: 0.15% or less, Si: 0.10-1.00%, Mn: 0.10-2.00%, P: 0.045% or less, S: 0.010-0. 050%, Ni: 15.0% or less, Cr: 11.0 to 20.0%, Mo: 3.0% or less, N: 0.15% or less, Ca: 10 to 100 ppm, O: 20 to 200 ppm Containing, balance Fe and inevitable impurities,All ofOxide inclusionsIn,CaO, MnO, SiO₂ The total content of the three types of oxide inclusion compositions is 80% or more,ExistAll ofStainless steel with excellent machinability and cold workability, characterized in that the total ratio of Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Tridymite, Cristobalite, Rhodonite is 50% or more of the total number of oxide inclusions is there.
[0016]
What should be noted in the present invention is that the stainless steel having the above specific composition is used, and oxide inclusions such as Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Tridymite, Cristobalite, Rhodonite (that is, CaO.SiO2).₂And MnO · SiO₂) Is produced in a large amount in steel to ensure excellent machinability and cold workability.
[0017]
FIG. 1 shows CaO—MnO—SiO.₂The system equilibrium diagram is shown. In the present invention, hard Al₂O₃The formation of inclusions damages the tool and degrades the machinability.₂O₃Is suppressed as much as possible. Therefore, in this invention, it does not use Al as a deoxidizer but manufactures by Si deoxidation. In the present invention, Al is used as the oxide.₂O₃It has been found that by producing MnO instead of, and effectively using this, a steel having excellent machinability and cold workability can be obtained.
[0018]
Furthermore, as a result of detailed investigations by the present inventors, CaO · SiO generated as non-metallic inclusions₂And MnO · SiO₂It was found that this composite had a great improvement effect on cold workability. Specifically, this composite has a remarkable effect that it provides a lubrication effect between the material and the die during cold drawing or screw rolling, and has a great effect in preventing seizure. Newly found.
[0019]
The present invention has been completed by obtaining the knowledge described above. Specifically,All ofOxide inclusionsIn,CaO, MnO, SiO₂ The total content of the three types of oxide inclusion compositions is 80% or more,ExistAll ofIt has been found that by making the total ratio of Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Tridymite, Cristobalite, Rhodonite out of the total number of oxide inclusions 50% or more, machinability and cold workability can be improved as intended. It is a thing.
[0020]
Here, Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Tridymite, Cristobalite, Rhodonite refer to the range of X in the state diagram of FIG. The range of X is not a specially set range, and is exactly the same as the range of Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Tridymite, Cristobalite, and Rhodonite described in the above-described state diagram. The composition and number of oxide inclusions can be easily measured by using SEM, EPMA, or the like. That is, when the composition of oxide inclusions and the content ratio thereof are analyzed using SEM and EPMA, CaO, MnO, and SiO described in the phase diagram of FIG.₂Each content rate of can be calculated | required. Whether this inclusion is an inclusion of the composition defined in the present invention by plotting this value on the phase diagram shown in FIG. 1 and examining whether the position is in the range of X defined in the present invention. It can be easily determined.
[0021]
However, the steel of the present invention does not deoxidize Al,₂O₃A small amount of Al that suppresses the formation of₂O₃Of course exists. In addition, other oxides may be detected. When the composition of oxide inclusions is actually detected using SEM or EPMA, inclusions other than the above three types may be detected. Therefore, in the present invention, in order to clarify the scope of rights, these inclusions are ignored and plotted on the state diagram of FIG. 1 to determine whether each inclusion has a composition in the X range. Shall.
[0022]
However, since the size of the minimum inclusions that can be measured varies depending on the specifications of the measuring apparatus, the present invention is intended to prevent the total number measurement result of the oxide inclusions from changing depending on the apparatus used. The inclusions are limited to those having a size of 2 μm or more (the length of the longest part of the inclusions). The case where the ratio of the number of oxide inclusions in the oxide inclusions having a size of 2 μm or more is 50% or more is defined as the scope of the present invention.
[0023]
Next, the reason why the numerical values such as the component composition of stainless steel excellent in machinability and cold workability according to the present invention are limited will be described below.
C: 0.15% or less
C is an element that adversely affects the corrosion resistance because it forms a carbide by combining with Cr, which is an element that maintains the corrosion resistance, which is a basic characteristic of stainless steel, and reduces the Cr contributing to ensuring the corrosion resistance. It also has the effect of dissolving in the substrate and increasing the hardness. And if it exceeds 0.15%, the hardness will rapidly increase and adversely affect the machinability and the corrosion resistance will be greatly deteriorated, so the upper limit was made 0.15%.
[0024]
Si: 0.10 to 1.00%
Si is an element necessary as a deoxidizer during steelmaking (since the present invention does not use Al as a deoxidizer, Si is mainly used as a deoxidizer), and is an oxidation characteristic of the present invention. It is also an element necessary for producing physical inclusions. When the amount of Si is less than 0.10%, deoxidation cannot be performed sufficiently, and SiO in the generated oxide is reduced.₂Therefore, the lower limit was set to 0.10%. Moreover, since Si will reduce toughness if it is too much, the upper limit was made 1.00%.
[0025]
Mn: 0.10 to 2.00%
In the present invention, as the oxide inclusions, CaO.SiO₂And MnO · SiO₂In addition to producing the composite, excellent machinability is ensured by the effects of both MnS. CaO · SiO produced in the present invention₂And MnO · SiO₂This composite improves the machinability by adhering to the tool surface and protecting the tool surface, but MnS, which is a sulfide-based inclusion, improves the machinability by improving the chip crushability. effective. This effect is significant when the oxide inclusions described above have a large effect during high-speed cutting with cemented carbide, while MnS has an effect both during cutting with cemented carbide and when cutting with high-speed tool steel. Demonstrate. Therefore, in order to ensure excellent machinability, MnO · SiO₂Therefore, it is necessary to sufficiently generate both MnS and MnS, and for that purpose, it is necessary to contain at least 0.10% or more. However, if the content is too large, the hot workability deteriorates, so the upper limit was made 2.00%.
[0026]
P: 0.045% or less
P is an element inevitably contained in a small amount as an impurity, but is an element that easily causes segregation and lowers hot workability, so the upper limit was made 0.045%.
[0027]
S: 0.010 to 0.050%
S is an effective element for improving the machinability of steel, and is an element that has the effect of improving the chip crushability by producing MnS. The content of 010% or more is necessary. However, since the corrosion resistance is remarkably lowered when contained in a large amount, the upper limit was made 0.050%.
[0028]
Ni: 15.0% or less
The machinability improving effect due to the generation of an appropriate oxide of the Ca free-cutting stainless steel according to the present invention exhibits the effect regardless of the structure of the stainless steel. That is, Ni is an austenite-forming element, and there is a slight influence by other components, but if the content is increased or decreased within a range of 15.0% or less, the resulting stainless steel becomes ferritic or martens Become a site or austenite. However, the above-described machinability improvement effect is set to the above-described wide range because an excellent effect can be obtained in any structure. However, even if it is contained in a large amount, the corrosion resistance improving effect of Ni is saturated and an economically appropriate effect cannot be obtained, so the upper limit was made 15.0%.
[0029]
Cr: 11.0-20.0%
Cr is a basic element for maintaining excellent corrosion resistance, which is a basic characteristic of stainless steel, and must be contained at least 11.0%. However, if it is contained in a large amount, the hot workability deteriorates and the production becomes difficult, so the upper limit was made 20.0%.
[0030]
Mo: 3.0% or less
Mo is also an element effective for improving the corrosion resistance like Cr. However, the upper limit is set to 3.0% in order to reduce hot workability when contained in a large amount.
[0031]
N: 0.15% or less
N is a strong austenite-forming element. When a stable austenite structure is to be obtained, the desired effect can be obtained by adding a small amount. However, N has a great effect of improving hardness by solid solution strengthening, and adding a large amount adversely affects machinability, so the upper limit was made 0.15%.
[0032]
Ca: 10 to 100 ppm
Ca is the most important element for the present invention for the purpose of improving machinability. In the present invention, as described above, CaO · SiO which is an oxide inclusion by addition of Ca.₂To produce MnO.SiO₂This produces a composite with this, which improves the machinability by protecting the tool surface. Therefore, in order to obtain the effect, the content of at least 10 ppm is necessary. However, if a large amount is contained, nozzle clogging occurs at the time of melting, and the production becomes difficult, so the upper limit was made 100 ppm.
[0033]
O: 20 to 200 ppm
In the present invention, the production of oxide inclusions for the purpose of improving machinability is essential, so it is necessary to contain O in an amount necessary for the production, and the lower limit is set to 20 ppm. However, if an excessive amount of O is contained, oxide inclusions other than the oxides that need to be generated are easily generated, and the total number of oxides within the range of X in FIG. Therefore, the upper limit was set to 200 ppm.
[0034]
50% or more of oxide inclusions in the range of X
Oxide within the range of X in FIG. 1, that is, CaO.SiO₂And MnO · SiO₂This composite is an important inclusion for improving the machinability and cold workability for the present invention, and its presence forms a deposit layer on the tool surface during cutting, thereby protecting the tool surface. In addition to improving tool life, it provides a lubrication effect between the material and the die during cold working such as drawing and rolling, and improves seizure resistance.
[0035]
And in order to acquire the said effect fully, it is necessary to make the number ratio of the inclusion which has a composition in the range of X of FIG. 1 among the oxide type inclusions which exist in steel more than 50%. . As described above, in order to achieve this ratio, the components are adjusted to the above-described range, and Al is not used as a deoxidizer, Si is used, and Al-based oxide inclusions are used. It is necessary to suppress generation.
[0036]
Specifically, the main component of the non-metallic inclusions in the steel during the dissolution and oxidation period is MnO · SiO₂It is preferable that the raw material is charged so that the Ca—Si raw material is charged during the reduction period. Necessary Ca and Si for deoxidation can be charged by charging the Ca—Si raw material. Moreover, Ca-Si raw material can be added, for example with a Ca-Si wire feeder.
[0037]
Further, as in the invention of claim 2, the steel of claim 1 further includes a machinability improving element Pb: 0.30% or less, Bi: 0.30% or less, Se: 0.30% or less, By adding one or more of Te: 0.30% or less, the machinability can be further improved as compared with the invention steel of claim 1. The reason for limiting the range of the content of these elements will be described below.
[0038]
Pb: 0.30% or less, Bi: 0.30% or less, Se: 0.30% or less, Te: 0.30% or less
Pb, Bi, Se, and Te are elements that can further improve the machinability of the present invention. In addition to the formation of the oxide inclusions as described above, Pb, Bi, Se, and Te Addition of a small amount of element can improve machinability without deteriorating corrosion resistance. However, if added in a large amount, the hot workability deteriorates and the production becomes difficult, so the upper limit was made 0.30% for all four elements.
[0039]
As in the invention of claim 3, in the stainless steel excellent in machinability and cold workability of claims 1 and 2, it is preferable to limit Al contained as impurities to 0.005% or less. As a result, Al₂O₃Generation can be suppressed as little as possible, and a decrease in machinability due to the generation can be surely suppressed. The reason for limitation will be described below.
[0040]
Al: 0.005% or less
In order to sufficiently obtain the machinability improving effect of the present invention, Al which is a hard oxide inclusion₂O₃Generation is suppressed as much as possible, and MnO · SiO₂And CaO ・ SiO₂It is essential to produce 50% or more of the total number of oxide inclusions. Therefore, Al is not used as a deoxidizing element in the production of the steel of the present invention. Conventionally, in the production of stainless steel, Al is usually used as a deoxidizer, and the Al content in that case is approximately 0.015 to 0.030%, which is almost equal to the level of impurities and has already been disclosed. In many of the patents that have become, even when Al deoxidation is performed, there are many patents that are not described as being substantially impurities. In the present invention, Al which is a hard inclusion₂O₃In addition, it is necessary to prevent the formation of anolite and gehlenite, which are oxide inclusions containing Al, and for that purpose, it is desirable to strictly control the amount of Al contained as an impurity, and the upper limit is set to 0.005% .
[0041]
In addition, claim 4All ofThe total of Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Trimite, Cristobalite, Rhodonite containing 5% or more of MnO is 50% or more of the total number of oxide inclusions, Stainless steel with excellent machinability and cold workability.
[0042]
The presence of oxide inclusions of the specified composition for the present invention is very important. In particular, the role of MnO present in the oxide is large as described above, and its presence is an important role for improving machinability and cold workability, particularly for improving cold workability. Plays. Therefore, the effect can be made more reliable by setting the ratio of MnO in the oxide inclusions to at least 5% or more. In order to increase the amount of MnO in the inclusions, the O content during the dissolution oxidation period may be increased. That is, it can be easily adjusted to an appropriate amount of MnO by adjusting the amount of O in the dissolution oxidation period.
[0043]
【Example】
Next, the effect obtained by the Ca free-cutting stainless steel of the present invention will be clarified by examples. Tables 1 and 2 show the chemical components of the test materials.
[0044]
[Table 1]

[0045]
[Table 2]

[0046]
Of these, Table 1 shows test materials for ferritic stainless steel, and Table 2 shows test materials for austenitic stainless steel. As shown in Tables 1 and 2, the specimens were manufactured by adding Al, which is a machinability improving element, to C steel and C steel corresponding to conventional steel, and manufactured by Al deoxidation, which is a conventional manufacturing method. Steel B steel, which is almost the same component as steel B, but with the present invention steel manufactured by adding steelmaking raw materials so that Al is not used as a deoxidizer and MnO is generated as oxide inclusions Three types of A steel were prepared.
[0047]
As conventional steel, six types of SUS430, SUS410L, SUS434, SUS304, SUS316, and SUS301 are selected, and the above-described A steel and B steel are prepared, and Ca is added and the covered by the composition of the generated oxide inclusions. The effects on machinability, corrosion resistance, and cold workability were investigated. Moreover, about steel A which is this invention steel, the steel which added Pb, Bi, Se, and Te which is a machinability improvement element was prepared, and it evaluated simultaneously. Furthermore, in order to confirm the influence of other conditions, the number ratio of some components or oxide inclusions in the range of X is outside the scope of the present invention, the U to Y steel, the present invention steel, Z1 steel whose MnO amount is outside the desirable range described in claim 4 was also evaluated. As described above, A, B, and C steels having substantially the same components other than Ca and Al were prepared because the level of corrosion resistance and machinability greatly changed when the amount of Ni and Cr changed. This is because the influence of the composition of oxide inclusions on various properties cannot be accurately evaluated.
[0048]
The test material was melted in a 10 ton melting furnace, refined by AOD, and then a steel ingot was manufactured, which was hot-rolled, ferritic stainless steel was annealed, and austenitic stainless steel was solution heat treated. Then, it prepared by processing into the test piece shape of each test mentioned later.
[0049]
First, composition analysis of oxide inclusions in steel was performed for all the test materials. For analysis, oxide inclusions are extracted by the bromine-methanol method, 50 inclusions with a size of 2 μm or more are randomly selected from the extracted inclusions, and component analysis is performed one by one using EPMA. Carried out. Among the inclusions analyzed, CaO, MnO, SiO₂Besides Al₂O₃There are specimens in which a large amount is detected, and inclusions of other compositions are also detected in small quantities. Among the specimens, those not subjected to Al deoxidation, as described above, CaO, MnO, SiO₂Since only a small amount of inclusions other than (a maximum of 20% or less) was detected, only the content of inclusions of three compositions (however, before plotting, the total of the inclusions of three compositions alone is 100%) Thus, Table 3 shows the values before correction.) Is plotted on the state diagram shown in FIG. 1 to determine whether the inclusion is within the specified range. Moreover, about the Example which performed Al deoxidation among conventional steel and a comparative steel, a lot of Al₂O₃Therefore, it was determined that such a determination based on the plot had no meaning, and was excluded from the determination targets. In this case, inclusions are mainly composed of Al.₂O₃Of course, it is not an inclusion of the composition defined in the present invention. The results are shown in Table 3.
[0050]
[Table 3]

[0051]
As is apparent from Table 3, the B and C steels, which are Al deoxidized specimens, are more Al than the A steel that is the steel of the present invention.₂O₃The content rate of is high, and MnO is contained little. On the other hand, the steels of the present invention excluding Z steel do not use Al as a deoxidizing agent, and MnO in inclusions is increased compared to B and C steels by appropriately selecting and adding steelmaking raw materials. Therefore, it was confirmed that inclusions having a composition in the range specified in FIG. In addition, Z steel was prepared in order to confirm the influence on machinability, corrosion resistance, and cold workability due to the difference in the amount of MnO, and was evaluated later. In other words, the Z steel is equivalent to the comparative steel B steel and the conventional steel C steel with respect to MnO, and Al is not deoxidized.₂O₃Is reduced as much as possible, and the main components are CaO, SiO₂Only.
[0052]
Next, as a performance evaluation of the specimen prepared by the method described above, a turning tool life test for evaluating machinability, an immersion test in a corrosive liquid for evaluating corrosion resistance, and cold workability The result of carrying out a thread rolling test for evaluation will be described.
[0053]
First, a method for performing each test will be described.
In the turning tool life test, a φ60 round bar was prepared, evaluated under the conditions shown in Table 4, and the time until the end of the life was measured. The results are based on the time of C-1 steel, which is a conventional steel for ferritic stainless steel, and are based on the time of C-4 steel, which is a conventional steel, for austenitic stainless steel. The results are shown as an integer ratio when the time to steel tool life is 100.
[0054]
[Table 4]

[0055]
The immersion test, which is an evaluation of corrosion resistance, is 5% NaCl + 2% H at 40 ° C.₂O₂Evaluation was performed by immersing a test piece of φ20 × 20 mm in an aqueous solution for 24 hr and measuring the weight change (that is, corrosion weight loss) before and after the test.
[0056]
Cold workability was evaluated by a thread rolling test. The screw rolling test was carried out by preparing a round rod of φ27 and processing a trapezoidal screw having a pitch of 7 mm, a peak diameter of 31 mm, and a valley diameter of 23 mm by rolling. And it investigated whether rolling could be implemented normally, whether there were any abnormalities in the steel after rolling. In Table 3 to be described later, those that could not be normally rolled due to cracks in the die or micro-cracking in the steel material after the rolling process were observed. However, the product that could be rolled without any problem as a product was marked with ◯, and the product that was able to be rolled without any roughness and marked with no problem was marked with ◎. In addition, the evaluation result showed only the test material of austenitic stainless steel among the above-mentioned test materials. This is because austenitic stainless steel has a large work hardening, and the test conditions evaluated this time are set to conditions that are considerably difficult to process with conventional steels. In addition, although the result of ferritic stainless steel is not shown in Table 3, all the test materials could be normally rolled. The results of carrying out the tests described above are shown in Table 3.
[0057]
As can be seen from Table 3, the steel A according to the present invention has substantially the same corrosion resistance as the corresponding comparative steel and conventional steel, but the machinability is greatly improved. In particular, the steel according to the present invention, in which Pb, Bi, Se, and Te are added in addition to Ca as a machinability improving element, was particularly excellent in machinability. On the other hand, steel B, which is a comparative steel, has a slightly superior machinability compared to steel C, which is a conventional steel, due to the addition of Ca, but the difference is not large and a sufficient improvement effect cannot be obtained. I understand that. In addition, the Z1 steel with the same amount of MnO as that of the conventional steel also obtained almost the same results (machinability and corrosion resistance) as the steel A of the present invention. From this result, when Ca is used for improving the machinability of stainless steel, it is not sufficient to simply add Ca. If the composition of inclusions produced is as defined in the present invention, Proved to be effective.
Further, with regard to the cold workability, the present invention steels could all be rolled normally even with austenitic stainless steels with high work hardening.
[0058]
As compared with the steel of the present invention described above, it has been clarified that the comparative steel having some conditions outside the scope of the present invention is inferior in any of the characteristics. That is, although the components are satisfactory, U and V steels in which the proportion of oxides having a composition in the range of X is less than 50% are inferior in machinability, and among the components of the present invention, S, N The W to Y steels whose content ratio does not satisfy the conditions of the present invention are excellent in machinability but inferior in corrosion resistance. Steel X is inferior in corrosion resistance but inferior in machinability. Yes, Y steel was superior in machinability compared to the conventional steel, but it was confirmed that the machinability was slightly inferior compared to the steel of the present invention. In addition, the inventive steel Z1 prepared for confirming the effect of MnO is excellent in machinability and corrosion resistance as described above, but its rolling workability is slightly higher than that of other inventive steels due to the small amount of MnO. It became clear that it was inferior. Like the Z1 steel, the conventional steel C steel and the comparative steel B steel, which are Al deoxidized specimens, are all characterized by a small amount of MnO in the inclusions. It was found that workability was greatly inferior. From this result, the presence of MnO is very important for processing involving large plastic deformation such as rolling, and the composition of the oxide should be within the range of X and the amount of MnO should be 5% or more. Is more preferable.
[0059]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the composition range is limited to the specific range, and 50% or more of the inclusions present in the steel are in the range of X shown in FIG. In addition to improving the machinability without drastically improving the cold workability with plastic deformation such as rolling, it is possible to perform the rolling process of trapezoidal screws in austenitic stainless steel, which has been considered difficult in the past It is possible to provide steel materials.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a CaO—MnO—SiO explaining the range of the composition of oxide inclusions defined in the present invention.₂State diagram.

Claims

In mass%, C: 0.15% or less, Si: 0.10~1.00%, Mn: 0.10~2.00%, P: 0.045% or less, S: 0.010-0 0.050%, Ni: 15.0% or less, Cr: 11.0 to 20.0%, Mo: 3.0% or less, N: 0.15% or less, Ca: 10 to 100 ppm, O: 20 to 200 ppm It contains, and the balance Fe and unavoidable impurities, all oxide inclusions in, and the CaO, MnO, the total content of the three kinds of oxide inclusions composition of SiO ₂ is 80% or more, there all oxide inclusions of Pseudo-Wollastonite of the total number of, Wollastonite, Tridymite, Cristobalite, machinability total proportion of Rhodonite is characterized in that 50% or more, cold pressing Sex in excellent stainless steel.

In addition to the steel according to claim 1, one or more of Pb: 0.30% or less, Bi: 0.30% or less, Se: 0.30% or less, Te: 0.30% or less Stainless steel excellent in machinability and cold workability, characterized by containing.

The stainless steel excellent in machinability and cold workability according to claim 1, wherein Al contained as an impurity is 0.005% or less.

The total of Pseudo-Wollastonite, Wollastonite, Tristonite, Cristobalite, Rhodonite containing 5% or more of MnO among the total number of all oxide inclusions is 50% or more. Stainless steel with excellent machinability and cold workability.