JP3964809B2 - ジヌクレオチドの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、慢性気管支炎、副鼻腔炎などの治療薬として有用なP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの効率的な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記式[I]で表されるP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートまたはその塩は、P2Y2および/またはP2Y4プリン受容体(purine receptor)の選択的アゴニスト(agonist)であり、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、副鼻腔炎などの治療薬としての開発が期待されている化合物である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【化1】
Figure 0003964809
【0004】
従来、P1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートは結晶としては取得されておらず、凍結乾燥させて得た白色粉末(white solid)としてのみ調製されていた。しかし、従来の粉末品は純度が低く(HPLC純度:82%)、特に原料であるウリジン5’−トリリン酸とP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートとの分離が難しく、従来精製に使用されていたイオン交換クロマトグラフィー法だけでは高純度のP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを調製することは非常に困難なことであった(例えば、特許文献1参照)。
かかる純度の低い白色粉末品は、吸湿しやすい等の欠点を有することから、P1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを医薬品として製剤化する際には湿気に配慮した特別の製造装置を必要としたり、製剤製造後も厳重な包装を必要とした。さらに、従来の粉末品は安定性が悪いため、有効期限の非常に短い薬剤とならざるを得ず、高純度の安定結晶体の取得が望まれていた。
【0005】
1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートは、2’−デオキシシチジン5’−モノリン酸とウリジン5’−トリリン酸を出発原料とし、活性化剤としてジサイクロヘキシルカルボジイミドを用いて合成されていたが、従来法の合成収率は約9%と極めて低く(例えば、特許文献1、実施例20参照)、到底実用的な方法とはなり得なかった。従って、高収率で大量合成に適した製造法の開発も切望されていた。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第98/34942号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、医薬品として製剤化するのに適したP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの大量合成に適した効率の良い製造法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの安定化に関して鋭意研究を重ねた結果、陰イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィー処理と活性炭を用いたクロマトグラフィー処理を併用することにより純度95%以上のP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを調製することができ、このような高純度のP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを調製することにより初めてP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの結晶化に成功した。得られたP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェート結晶は従来品と比較して格段に純度が高く、吸湿性がなく、優れた安定性を有するものであることを確認した。
また、本発明者らは、高価なウリジン5’−トリリン酸ではなく、安価なウリジン5’−モノリン酸を用いたP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの合成法に関しても鋭意研究を重ねた結果、ジフェニルホスホロクロリデートおよびピロホスフェートを用いることにより効率よくP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを製造できることを見いだし、これらの知見を基に本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ウリジン5’−モノリン酸、2’−デオキシシチジン5’−モノリン酸、ジフェニルホスホロクロリデートおよびピロホスフェートを反応させることを特徴とするP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの製造法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェート(以下、「dCP4U」と記載することもある)の製造法は、ウリジン5’−モノリン酸(以下、「UMP」と記載することもある)、2’−デオキシシチジン5’−モノリン酸(以下、「dCMP」と記載することもある)、ジフェニルホスホロクロリデート(以下、「DPC」と記載することもある)およびピロホスフェート(以下、「PPi」と記載することもある)を反応させることを特徴とする。
【0011】
より具体的には、最初にUMPとDPCを反応させてUMPジフェニルホスフェート(UMP−DPP)を合成し、これにPPiを反応させて反応液中にウリジン5’−トリリン酸(UTP)を生成させ、得られたUTPを単離することなく、DPC存在下、UTPとdCMPとを反応させて目的とするdCP4Uを製造する方法である。
【0012】
UMPからUMP−DPPの合成は、例えば、常法により調製したUMPトリアルキルアミン塩(例:UMPトリブチルアミン塩)をDMF、ジメチルアセトアミド(DMAC)等のアミド系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の単独または混合溶媒に溶解し、DPCと必要によりトリアルキルアミンを加え、10〜50℃で30分〜5時間程度反応させることにより実施できる。
【0013】
UMP−DPPと反応させるPPiとしては、PPi−有機アルカリ塩が好ましく、具体的にはPPiのヘキシルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩等が挙げられる。
【0014】
UMP−DPPとPPi−有機アルカリ塩との反応は、PPi−有機アルカリ塩をDMF、DMAC、ホルムアミド等のアミド系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の単独または混合溶媒に溶解し、これを上記のUMP−DPP合成液に添加し、10〜50℃で30分〜5時間程度反応させることにより行うことができる。
【0015】
上記のPPi−有機アルカリ塩とUMP−DPPとの反応は、任意の塩基を共存させて反応させてもよく、かかる塩基としては、例えばピリジン、2,6−ルチジン,2,4−ルチジン、α−ピコリン,β−ピコリン、γ−ピコリン、2−,4−ジメチルアミノピリジン、α−コリジン、β−コリジン、γ−コリジン等のピリジン系塩基等が挙げられ、特にピリジンが好ましい。なお、かかる塩基が反応溶媒を兼用してもかまわない。使用する塩基の濃度は特に制限されず、原料として使用したUMPに対して6当量以上、望ましくは18当量以上を添加するのが好ましい。
【0016】
上記PPi−有機アルカリ塩とUMP−DPPとの反応により反応液中にはUTPが合成される。この反応液中に生成したUTPとdCMPを、DCPの存在下、反応させることによりdCP4Uを合成する。
用いるdCMPは、dCMPそのものであってもよく、またUMPと同様に、dCMPジフェニルホスフェート(dCMP−DPP)に変換後、反応液に添加してもかまわない。
【0017】
dCP4Uの合成反応は、上記のUTP合成液に、原料として使用したUMPに対して1.1当量以上のDPCと0.5〜1.5当量のdCMPまたはdCMP−DPPを添加し、10〜50℃で30分〜5時間程度反応させることにより行うことができる。
【0018】
このようにして得られたdCP4Uは、以下の方法で精製、結晶化することで、dCP4U結晶を取得することができる。
【0019】
dCP4Uの結晶は、粗dCP4Uを特定の手段で精製し、精製されたdCP4U溶液に親水性有機溶媒を加えてdCP4Uを結晶として析出させることにより得られる。以下、▲1▼精製と▲2▼結晶化に分けて説明する。
【0020】
▲1▼dCP4Uの精製
dCP4Uの精製は、陰イオン交換クロマトグラフィーと活性炭クロマトグラフィーの2つのクロマトグラフィーを併用することにより行うことができる。両クロマトグラフィ−を用いた精製は何れを先に行ってもよいが、最初に陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、次いで活性炭クロマトグラフィーを行うことが、dCP4Uの純度向上の点から好ましい。
【0021】
ここで用いられる陰イオン交換樹脂としては、スチレン系或いはアクリル系樹脂を基材とする樹脂であればよく、強塩基性陰イオン交換樹脂(例えば、アンバーライトIRA402〔ローム&ハース社製〕、ダイアイオンPA−312、ダイアイオンSA−11A〔三菱化学社製〕)、または弱塩基性陰イオン交換樹脂(例えば、アンバーライトIRA67〔ローム&ハース社製〕、ダイアイオンWA−30〔三菱化学社製〕)のいずれを用いてもかまわない。
活性炭としては、破砕状或いは粒状に整形されたクロマト用活性炭を使用すればよく、例えば和光純薬工業社、二村化学工業社製等の市販品を使用できる。
【0022】
各クロマトグラフィーは、バッチ式、カラム式等いずれの形式であってもよく、カラムクロマトグラフィーを行う場合、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの溶出剤としては、酸(例:塩酸)水溶液或いはこれに食塩等を添加してイオン強度を高めたもの、活性炭カラムクロマトグラフィーの溶出剤としては、水またはアルカリ(例:水酸化ナトリウム)水溶液をそれぞれ使用することができる。各溶出剤の濃度は、0.001〜10Mの範囲内から好適なものを小規模試験により適宜決定すればよい。
【0023】
▲2▼dCP4Uの結晶化
dCP4Uの結晶化は、得られた精製dCP4U溶液に親水性有機溶媒を加えてdCP4Uを結晶として析出させることにより行われる。
【0024】
ここで使用できる親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール等炭素数6以下のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等を例示することができ、特にアルコール類、エタノールが好ましい。
【0025】
より具体的には、精製dCP4U溶液或いはこれを濃縮して得られるスラリー液に、所望によりpHを5〜10、好ましくは6〜9に調整後、60℃以下、好ましくは20℃以下の温度条件下で親水性有機溶媒を添加し、dCP4Uを結晶として析出させることによりdCP4Uの安定結晶を得ることができる。
【0026】
かくして得られた本発明のdCP4U結晶は少なくとも、dCP4Uが95%以上、UTPが3%以下、の純度を有するものである。このようなdCP4U結晶の中でもさらに、dCP4Uが97%以上、UTPが2%以下、の純度を有するものが好ましく、さらにdCP4Uが98%以上、UTPが1%以下、の純度を有するものが特に好ましい。
【0027】
このような高純度のdCP4U結晶は、塩、水和物または含水塩の形態であってもよく、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の薬学的に許容される塩が例示される。塩の置換数は、1〜4個の金属が置換したものが挙げられる。
【0028】
また、水和物としてはdCP4U1分子に対し1〜14分子の水が結合または付着したものが例示される。さらに、含水塩としては、例えばdCP4U結晶のアルカリ金属塩1分子に1〜14分子の水分子が結合または付着したものを挙げることができる。
【0029】
なお、本発明のdCP4Uの結晶には互変異性体も包含されうる。
【0030】
このようにして得られたdCP4Uの結晶は、必要により減圧乾燥、通風乾燥、加熱乾燥等の通常の方法により乾燥後、容器(ビン、袋、カン、アンプル等)に充填する。容器における封入状態は、開放、密閉、気密、密封のいずれの状態であってもよいが、保存安定性を維持する観点から開放状態でない方が好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないのは明らかである。
【0032】
実施例1 UMPからのdCP4Uの合成
脱水したピロリン酸のトリエチルアミン塩(TEA−PPi)(10mmol)、フォルムアミド2.5mlおよびピリジン7.6mlを加えて撹拌した。一方、別の容器に脱水したウリジン5'−モノリン酸のトリブチルアミン塩(UMP−TBA)(10mmol)にDMAC3.6ml、ジオキサン3.2mlおよびトリブチルアミン3.3mlを加えて撹拌し、DPC2.3mlを滴下した。室温で1時間撹拌してUMP−DPPを生成させ、先に調製しておいたTEA−PPi脱水液に加えた。室温で1時間撹拌し、UTPを生成させた。さらに別の容器に2’−デオキシシチジン5'−モノリン酸のトリブチルアミン塩(TBA−dCMP)4.9g(10mmol)にDMAC7.2mlを加えて懸濁し、DPC2.2ml(1.1当量)を加えて40分間撹拌した。その後、トリブチルアミン(TBA)9.5mlを加えてさらに20分間撹拌し、dCMP-DPPを調製した。得られたdCMP-DPP溶液を、先に調製しておいたUTP合成液に加えて室温で56時間撹拌した。反応液に水を加えて反応を停止し、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを11に調整した。濃縮により溶媒を留去した後、6mol/L塩酸でpHを7.0に調整し、酢酸エチルで分液を行った。分液後の水層をHPLC(272nm)で分析した結果、dCP4Uの合成収率は37.7%であった。
【0033】
参考例 dCP4U・4Nの結晶の製造
(1)DCCを用いる方法
UTP、dCMP、およびDCCを用い、20mmoleの反応スケールでdCP4Uを常法(WO98/34942)により調製した。
得られたdCP4U合成液を水で1000mlに液量調整後、中塩基性アニオン交換樹脂(アンバーライトIRA−67[ローム&ハース社製])を充填したカラムにアプライし、水、0.18M塩酸水溶液および0.5M食塩含有0.005M塩酸水溶液の順で溶出し、dCP4U含有画分を取得した。
得られたdCP4U画分4000mlをクロマト用活性炭(太閤顆粒活性炭SGP[二村化学工業(株)社製])を充填したカラムにアプライし、0.05M水酸化ナトリウム水溶液8000mlを用いてdCP4Uを溶出した。
上記dCP4U画分を濃縮してスラリーを調製後、pH6.0に調整し、撹拌しながら徐々にエタノールを添加し、さらに10℃に冷却しながらスラリーを撹拌してdCP4U・4Na結晶を晶析させ、これを分離してdCP4U・4Na結晶8.9gを得た。得られた結晶は約60℃で約4時間減圧乾燥後、機器分析等に供した。
【0034】
(2)DPCを用いる方法
UTP・3Na12.8kgを135Lの水に溶解し、カチオン交換樹脂[三菱化学(株)]を充填したカラムにアプライし、通過液と水溶出分画を集め、撹拌しながらトリブチルアミン(TBA)13.6kgを徐々に加えて中和した。得られた液を濃縮し、フォルムアミド10kgを加え、ジオキサンを用いて共沸脱水を行った。脱水後、ピリジン11.6kgを加えて希釈し、UTPのピリジン溶液を調製した。
一方で別のタンクにメタノール18LにdCMP7.5kgを加え、撹拌しながらTBA4.5kgを徐々に加え60℃に加温した。溶解後、濃縮を行い乾固させた。75℃で真空乾燥し、割砕した後、その中の10.3kgをジメチルアセトアミド(DMAC)16.7kgに懸濁し、ジフェニルホスホロクロリデート(DPC)4.4kgを加えて10分間撹拌した。その後、TBA10.8kgを加えて30分間撹拌し、dCMP-DPP溶液とした。
得られたdCMP-DPP溶液を、先に調製しておいたUTPのピリジン溶液に撹拌しながら添加した。添加後、室温で一晩撹拌し、脱イオン水を加えて反応を停止した。
30%水酸化ナトリウム水溶液31Lを加えて30分間撹拌し、分液により遊離したTBAを除去した。その後、6mol/L塩酸溶液でpHを約7に調整した。濃縮により溶媒を除去し、95%エタノールを同容量加えて一晩静置した。上層のエタノール層を吸引除去した後、水あめ状の沈殿に水を加えて溶解し、濃縮により残留した溶媒を除去した。
得られたdCP4U合成液を2500Lに液量調整し、中塩基性アニオン交換樹脂(アンバーライトIRA−97[ローム&ハース社製])を充填したカラムにアプライした。水、0.1mol/L塩酸水溶液および0.4mol/L食塩含有0.005mol/L塩酸水溶液の順で溶出し、dCP4U含有分画を取得した。
得られたdCP4U分画2100Lをクロマト用活性炭(太閤顆粒活性炭SGP[二村化学工業(株)社製])を充填したカラムにアプライし、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液1200Lを用いてdCP4Uを溶出した。
上記dCP4U溶出分画を濃縮し、30%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整し、撹拌しながら95%エタノールを加えてdCP4U・4Na結晶を晶析させ、これを分離した。得られた結晶を60℃で4時間乾燥し、目的とするdCP4U・4Na結晶4.2kg(水分5.9%、収率22%)を得た。
【0035】
〔dCP4U・4Na結晶の物性〕
上記参考例の(1)または(2)で調製したdCP4U・4Na結晶とWO98/34942の実施例20記載の方法と同じ方法でdCP4U・4Naの白色粉末(凍結乾燥品)との物性を比較した。
【0036】
(3)機器分析
▲1▼純度検定
上記実施例(1)および(2)で得られたdCP4U・4Na結晶および各クロマトグラフィー処理による精製後のdCP4U画分の純度を高速液体クロマトグラフィー法で分析した結果を表1および2に示す。なお、高速液体クロマトグラフィー法は、以下の条件で行った。
カラム:HITACHIGEL#3013−N(日立計測器サービス株式会社製)
溶出液:10%CH3CN、0.18M NH4Cl、0.03M KH2PO4、0.03M K2HPO4
検出法:UV262nmによる検出
【0037】
【表1】
Figure 0003964809
【0038】
【表2】
Figure 0003964809
【0039】
▲2▼結晶形
dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)の代表的な結晶の写真を図1に示す。
【0040】
▲3▼水分
カールフィッシャー法により結晶品の水分含量を測定した結果、乾燥の程度により変動するものの、6.9〜17.4重量%の水分で安定化し、計算によりdCP4U1分子に対し3.5〜10分子の水分子が結合または付着していることが明らかとなった。
【0041】
▲4▼融点
常法により融点を測定した結果、結晶品の融点は202〜210℃であった。なお、凍結乾燥品の融点は約195〜210℃である。
【0042】
▲5▼X線回析
理学電機製X線回折装置RINT2500V型を用い、下記の測定条件でX線回折スペクトルを測定した(測定誤差±0.1°)。図2および表3はdCP4U・4Na結晶の3.5水和物のデータであり、図3および表4はdCP4U・4Na結晶の10水和物のデータである。また、参考として凍結乾燥品のX線回折スペクトルを図4に示す。
(測定条件)
X線管球:Cu−Kα
X線出力:50kV−300mA
走査速度:4.0°/分
走査間隔:0.02°
測角範囲:2〜40°
スリット:DS−0.5°,RS−0.15mm,SS−0.5°
前処理 :メノウ乳鉢にて粉砕
【0043】
【表3】
Figure 0003964809
【0044】
【表4】
Figure 0003964809
【0045】
▲6▼吸湿性
水分約17.4%のdCP4U・4Na結晶(10水和物)を(ア)温度25℃、相対湿度57%、(イ)温度25℃、相対湿度75%、(ウ)温度25℃、相対湿度93%のそれぞれの条件下で2日間保存した場合、分解、重量変化とも観察されず、安定で吸湿性を有しないことが確認された。さらに、(エ)温度40℃、相対湿度75%の過酷な条件下で7日間保存しても変化は観察されなかった。
これに対し、凍結乾燥品(初発水分含量:約1%)を(ア)温度25℃、相対湿度75%、(イ)温度25℃、相対湿度93%のそれぞれの条件下で2日間保存した場合、水分含量が徐々に増加し、2日目には潮解し、どろどろの状態となった。
【0046】
▲7▼安定性
dCP4U・4Na結晶(10水和物)と凍結乾燥品をビンに密封し、60℃で13日間保存した(加速試験)。その結果、結晶品の分解は全く観察されなかったが、凍結乾燥品は約2.2%の純度の低下が観察され、一部が分解していることが明らかであった。
【0047】
▲8▼NMR
結晶品または凍結乾燥品をそのままジルコニア製ロータに充填して13C−CPMAS−NMRの測定を行った。測定条件を以下に示す。
13C−CPMAS−NMR
1)装置 Chemagnetics社製 CMX-300
2)測定方法 CPMAS(sideband suppresion)
3)測定温度 室温
4)観測核 13
5)観測周波数 75.502MHz
6)プロトン励起パルス幅 4.5μs
7)コンタクトタイム 0.5msec.
8)観測幅 30.03kHz
9)観測ポイント 2048
10)データポイント 16384
11)観測繰り返し時間 15.0sec.(図6、図7),60.0sec.(図5)
12)化学シフト基準 ヘキサメチルベンゼン(外部標準17.35ppm)
13)試料回転速度 5kHz
14)積算回数 256回
【0048】
図5および表5にdCP4U・4Na結晶の3.5水和物の13C−CPMAS−NMRスペクトルを、図6および表6にdCP4U・4Na結晶の10水和物の13C−CPMAS−NMRスペクトルを、図7および表7にdCP4Uの白色粉末(凍結乾燥品)の13C−CPMAS−NMRスペクトルを示す。なお、図5〜7のピーク番号は表5〜7のピーク番号である。
【0049】
【表5】
Figure 0003964809
【0050】
【表6】
Figure 0003964809
【0051】
【表7】
Figure 0003964809
【0052】
【発明の効果】
また、本発明の製造法は、安価な原料であるUMPを使用でき、しかも高収率でdCP4Uを製造することができ、大量合成に好適な製造法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)の結晶構造(偏光顕微鏡、440倍)を示す図である。なお、図中の1mmは25μmに相当する。
【図2】dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)のX線回折スペクトルを示したものである。
【図3】dCP4U・4Na結晶(10水和物)のX線回折スペクトルを示したものである。
【図4】dCP4Uの白色粉末(凍結乾燥品)のX線回折スペクトルを示したものである。
【図5】dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)の13C−CPMAS−NMRスペクトルを示したものである。
【図6】dCP4U・4Na結晶(10水和物)の13C−CPMAS−NMRスペクトルを示したものである。
【図7】図7は、dCP4Uの白色粉末(凍結乾燥品)の13C−CPMAS−NMRスペクトルを示したものである。

Claims (2)

  1. ウリジン5’−モノリン酸、2’−デオキシシチジン5’−モノリン酸、ジフェニルホスホロクロリデートおよびピロホスフェートを反応させることを特徴とするP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの製造法。
  2. 最初にウリジン5’−モノリン酸とジフェニルホスホロクロリデートを反応させてウリジン5’−モノリン酸ジフェニルホスフェートを合成し、これにピロホスフェートを反応させて反応液中にウリジン5’−トリリン酸を生成させ、得られたウリジン5’−トリリン酸を単離することなく、ジフェニルホスホロクロリデート存在下、2’−デオキシシチジン5’−モノリン酸とウリジン5’−トリリン酸を反応させてP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを製造する請求項1記載の製造法。
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