JP2003246793A - ジヌクレオチドの製造法 - Google Patents

ジヌクレオチドの製造法

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JP2003246793A JP2003061225A JP2003061225A JP2003246793A JP 2003246793 A JP2003246793 A JP 2003246793A JP 2003061225 A JP2003061225 A JP 2003061225A JP 2003061225 A JP2003061225 A JP 2003061225A JP 2003246793 A JP2003246793 A JP 2003246793A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ウリジン5’−モノリン酸、2’−デオ
キシシチジン5’−モノリン酸、ジフェニルホスホロク
ロリデートおよびピロホスフェートを反応させることを
特徴とするP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4
−(ウリジン5’−)テトラホスフェートの製造法。 【効果】 本発明の製造法は、安価な原料であるウリジ
ン5’−モノリン酸を使用でき、しかも高収率でP1
(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン
5’−)テトラホスフェートを製造でき、大量合成に好
適な製造法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、慢性気管支炎、副
鼻腔炎などの治療薬として有用なP1−(2’−デオキ
シシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホ
スフェートの効率的な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】下記式[I]で表されるP1−(2’−
デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テ
トラホスフェートまたはその塩は、P2Y2および/ま
たはP2Y4プリン受容体(purine receptor)の選択
的アゴニスト(agonist)であり、慢性気管支炎(chron
ic bronchitis)、副鼻腔炎などの治療薬としての開発
が期待されている化合物である(例えば、特許文献1参
照)。
【0003】
【化1】
【0004】従来、P1−(2’−デオキシシチジン
5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェート
は結晶としては取得されておらず、凍結乾燥させて得た
白色粉末(white solid)としてのみ調製されていた。
しかし、従来の粉末品は純度が低く(HPLC純度:8
2%)、特に原料であるウリジン5’−トリリン酸とP
1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン
5’−)テトラホスフェートとの分離が難しく、従来精
製に使用されていたイオン交換クロマトグラフィー法だ
けでは高純度のP1−(2’−デオキシシチジン5’
−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートを調
製することは非常に困難なことであった(例えば、特許
文献1参照)。かかる純度の低い白色粉末品は、吸湿し
やすい等の欠点を有することから、P 1−(2’−デオ
キシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラ
ホスフェートを医薬品として製剤化する際には湿気に配
慮した特別の製造装置を必要としたり、製剤製造後も厳
重な包装を必要とした。さらに、従来の粉末品は安定性
が悪いため、有効期限の非常に短い薬剤とならざるを得
ず、高純度の安定結晶体の取得が望まれていた。
【0005】P1−(2’−デオキシシチジン5’−)
4−(ウリジン5’−)テトラホスフェートは、2’
−デオキシシチジン5’−モノリン酸とウリジン5’−
トリリン酸を出発原料とし、活性化剤としてジサイクロ
ヘキシルカルボジイミドを用いて合成されていたが、従
来法の合成収率は約9%と極めて低く(例えば、特許文
献1、実施例20参照)、到底実用的な方法とはなり得
なかった。従って、高収率で大量合成に適した製造法の
開発も切望されていた。
【0006】
【特許文献1】国際公開第98/34942号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、医薬品とし
て製剤化するのに適したP1−(2’−デオキシシチジ
ン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェー
トの大量合成に適した効率の良い製造法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはP1
(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン
5’−)テトラホスフェートの安定化に関して鋭意研究
を重ねた結果、陰イオン交換樹脂を用いたクロマトグラ
フィー処理と活性炭を用いたクロマトグラフィー処理を
併用することにより純度95%以上のP1−(2’−デ
オキシシチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テト
ラホスフェートを調製することができ、このような高純
度のP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウ
リジン5’−)テトラホスフェートを調製することによ
り初めてP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4
(ウリジン5’−)テトラホスフェートの結晶化に成功
した。得られたP1−(2’−デオキシシチジン5’
−)P4−(ウリジン5’−)テトラホスフェート結晶
は従来品と比較して格段に純度が高く、吸湿性がなく、
優れた安定性を有するものであることを確認した。ま
た、本発明者らは、高価なウリジン5’−トリリン酸で
はなく、安価なウリジン5’−モノリン酸を用いたP1
−(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン
5’−)テトラホスフェートの合成法に関しても鋭意研
究を重ねた結果、ジフェニルホスホロクロリデートおよ
びピロホスフェートを用いることにより効率よくP1
(2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン
5’−)テトラホスフェートを製造できることを見いだ
し、これらの知見を基に本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、ウリジン5’−モノ
リン酸、2’−デオキシシチジン5’−モノリン酸、ジ
フェニルホスホロクロリデートおよびピロホスフェート
を反応させることを特徴とするP1−(2’−デオキシ
シチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホス
フェートの製造法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のP1−(2’−デオキシ
シチジン5’−)P4−(ウリジン5’−)テトラホス
フェート(以下、「dCP4U」と記載することもあ
る)の製造法は、ウリジン5’−モノリン酸(以下、
「UMP」と記載することもある)、2’−デオキシシ
チジン5’−モノリン酸(以下、「dCMP」と記載す
ることもある)、ジフェニルホスホロクロリデート(以
下、「DPC」と記載することもある)およびピロホス
フェート(以下、「PPi」と記載することもある)を
反応させることを特徴とする。
【0011】より具体的には、最初にUMPとDPCを
反応させてUMPジフェニルホスフェート(UMP−D
PP)を合成し、これにPPiを反応させて反応液中に
ウリジン5’−トリリン酸(UTP)を生成させ、得ら
れたUTPを単離することなく、DPC存在下、UTP
とdCMPとを反応させて目的とするdCP4Uを製造
する方法である。
【0012】UMPからUMP−DPPの合成は、例え
ば、常法により調製したUMPトリアルキルアミン塩
(例:UMPトリブチルアミン塩)をDMF、ジメチル
アセトアミド(DMAC)等のアミド系溶媒、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒、アセ
トン等のケトン系溶媒、ジメチルイミダゾリジノン、ヘ
キサメチルリン酸トリアミド等の単独または混合溶媒に
溶解し、DPCと必要によりトリアルキルアミンを加
え、10〜50℃で30分〜5時間程度反応させること
により実施できる。
【0013】UMP−DPPと反応させるPPiとして
は、PPi−有機アルカリ塩が好ましく、具体的にはP
Piのヘキシルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリエチ
ルアミン塩、トリブチルアミン塩等が挙げられる。
【0014】UMP−DPPとPPi−有機アルカリ塩
との反応は、PPi−有機アルカリ塩をDMF、DMA
C、ホルムアミド等のアミド系溶媒、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒、アセトン等の
ケトン系溶媒、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチ
ルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニ
トリル等の単独または混合溶媒に溶解し、これを上記の
UMP−DPP合成液に添加し、10〜50℃で30分
〜5時間程度反応させることにより行うことができる。
【0015】上記のPPi−有機アルカリ塩とUMP−
DPPとの反応は、任意の塩基を共存させて反応させて
もよく、かかる塩基としては、例えばピリジン、2,6
−ルチジン,2,4−ルチジン、α−ピコリン,β−ピ
コリン、γ−ピコリン、2−,4−ジメチルアミノピリ
ジン、α−コリジン、β−コリジン、γ−コリジン等の
ピリジン系塩基等が挙げられ、特にピリジンが好まし
い。なお、かかる塩基が反応溶媒を兼用してもかまわな
い。使用する塩基の濃度は特に制限されず、原料として
使用したUMPに対して6当量以上、望ましくは18当
量以上を添加するのが好ましい。
【0016】上記PPi−有機アルカリ塩とUMP−D
PPとの反応により反応液中にはUTPが合成される。
この反応液中に生成したUTPとdCMPを、DCPの
存在下、反応させることによりdCP4Uを合成する。
用いるdCMPは、dCMPそのものであってもよく、
またUMPと同様に、dCMPジフェニルホスフェート
(dCMP−DPP)に変換後、反応液に添加してもか
まわない。
【0017】dCP4Uの合成反応は、上記のUTP合
成液に、原料として使用したUMPに対して1.1当量
以上のDPCと0.5〜1.5当量のdCMPまたはd
CMP−DPPを添加し、10〜50℃で30分〜5時
間程度反応させることにより行うことができる。
【0018】このようにして得られたdCP4Uは、以
下の方法で精製、結晶化することで、dCP4U結晶を
取得することができる。
【0019】dCP4Uの結晶は、粗dCP4Uを特定
の手段で精製し、精製されたdCP4U溶液に親水性有
機溶媒を加えてdCP4Uを結晶として析出させること
により得られる。以下、精製と結晶化に分けて説明
する。
【0020】dCP4Uの精製 dCP4Uの精製は、陰イオン交換クロマトグラフィー
と活性炭クロマトグラフィーの2つのクロマトグラフィ
ーを併用することにより行うことができる。両クロマト
グラフィ−を用いた精製は何れを先に行ってもよいが、
最初に陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、次いで
活性炭クロマトグラフィーを行うことが、dCP4Uの
純度向上の点から好ましい。
【0021】ここで用いられる陰イオン交換樹脂として
は、スチレン系或いはアクリル系樹脂を基材とする樹脂
であればよく、強塩基性陰イオン交換樹脂(例えば、ア
ンバーライトIRA402〔ローム&ハース社製〕、ダ
イアイオンPA−312、ダイアイオンSA−11A
〔三菱化学社製〕)、または弱塩基性陰イオン交換樹脂
(例えば、アンバーライトIRA67〔ローム&ハース
社製〕、ダイアイオンWA−30〔三菱化学社製〕)の
いずれを用いてもかまわない。活性炭としては、破砕状
或いは粒状に整形されたクロマト用活性炭を使用すれば
よく、例えば和光純薬工業社、二村化学工業社製等の市
販品を使用できる。
【0022】各クロマトグラフィーは、バッチ式、カラ
ム式等いずれの形式であってもよく、カラムクロマトグ
ラフィーを行う場合、陰イオン交換カラムクロマトグラ
フィーの溶出剤としては、酸(例:塩酸)水溶液或いは
これに食塩等を添加してイオン強度を高めたもの、活性
炭カラムクロマトグラフィーの溶出剤としては、水また
はアルカリ(例:水酸化ナトリウム)水溶液をそれぞれ
使用することができる。各溶出剤の濃度は、0.001
〜10Mの範囲内から好適なものを小規模試験により適
宜決定すればよい。
【0023】dCP4Uの結晶化 dCP4Uの結晶化は、得られた精製dCP4U溶液に
親水性有機溶媒を加えてdCP4Uを結晶として析出さ
せることにより行われる。
【0024】ここで使用できる親水性有機溶媒として
は、メタノール、エタノール等炭素数6以下のアルコー
ル類、アセトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル
類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムア
ミド等のアミド類等を例示することができ、特にアルコ
ール類、エタノールが好ましい。
【0025】より具体的には、精製dCP4U溶液或い
はこれを濃縮して得られるスラリー液に、所望によりp
Hを5〜10、好ましくは6〜9に調整後、60℃以
下、好ましくは20℃以下の温度条件下で親水性有機溶
媒を添加し、dCP4Uを結晶として析出させることに
よりdCP4Uの安定結晶を得ることができる。
【0026】かくして得られた本発明のdCP4U結晶
は少なくとも、dCP4Uが95%以上、UTPが3%
以下、の純度を有するものである。このようなdCP4
U結晶の中でもさらに、dCP4Uが97%以上、UT
Pが2%以下、の純度を有するものが好ましく、さらに
dCP4Uが98%以上、UTPが1%以下、の純度を
有するものが特に好ましい。
【0027】このような高純度のdCP4U結晶は、
塩、水和物または含水塩の形態であってもよく、塩とし
てはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カ
ルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、
アンモニウム塩等の薬学的に許容される塩が例示され
る。塩の置換数は、1〜4個の金属が置換したものが挙
げられる。
【0028】また、水和物としてはdCP4U1分子に
対し1〜14分子の水が結合または付着したものが例示
される。さらに、含水塩としては、例えばdCP4U結
晶のアルカリ金属塩1分子に1〜14分子の水分子が結
合または付着したものを挙げることができる。
【0029】なお、本発明のdCP4Uの結晶には互変
異性体も包含されうる。
【0030】このようにして得られたdCP4Uの結晶
は、必要により減圧乾燥、通風乾燥、加熱乾燥等の通常
の方法により乾燥後、容器(ビン、袋、カン、アンプル
等)に充填する。容器における封入状態は、開放、密
閉、気密、密封のいずれの状態であってもよいが、保存
安定性を維持する観点から開放状態でない方が好まし
い。
【0031】
【実施例】以下、実施例を示し本発明を具体的に説明す
るが、本発明がこれに限定されないのは明らかである。
【0032】実施例1 UMPからのdCP4Uの合成 脱水したピロリン酸のトリエチルアミン塩(TEA−P
Pi)(10mmol)、フォルムアミド2.5mlおよ
びピリジン7.6mlを加えて撹拌した。一方、別の容
器に脱水したウリジン5'−モノリン酸のトリブチルア
ミン塩(UMP−TBA)(10mmol)にDMAC
3.6ml、ジオキサン3.2mlおよびトリブチルア
ミン3.3mlを加えて撹拌し、DPC2.3mlを滴
下した。室温で1時間撹拌してUMP−DPPを生成さ
せ、先に調製しておいたTEA−PPi脱水液に加え
た。室温で1時間撹拌し、UTPを生成させた。さらに
別の容器に2’−デオキシシチジン5'−モノリン酸の
トリブチルアミン塩(TBA−dCMP)4.9g(10
mmol)にDMAC7.2mlを加えて懸濁し、DP
C2.2ml(1.1当量)を加えて40分間撹拌し
た。その後、トリブチルアミン(TBA)9.5mlを
加えてさらに20分間撹拌し、dCMP-DPPを調製
した。得られたdCMP-DPP溶液を、先に調製して
おいたUTP合成液に加えて室温で56時間撹拌した。
反応液に水を加えて反応を停止し、30%水酸化ナトリ
ウム水溶液でpHを11に調整した。濃縮により溶媒を
留去した後、6mol/L塩酸でpHを7.0に調整
し、酢酸エチルで分液を行った。分液後の水層をHPL
C(272nm)で分析した結果、dCP4Uの合成収
率は37.7%であった。
【0033】参考例 dCP4U・4Nの結晶の製造 (1)DCCを用いる方法 UTP、dCMP、およびDCCを用い、20mmol
eの反応スケールでdCP4Uを常法(WO98/34
942)により調製した。得られたdCP4U合成液を
水で1000mlに液量調整後、中塩基性アニオン交換
樹脂(アンバーライトIRA−67[ローム&ハース社
製])を充填したカラムにアプライし、水、0.18M
塩酸水溶液および0.5M食塩含有0.005M塩酸水
溶液の順で溶出し、dCP4U含有画分を取得した。得
られたdCP4U画分4000mlをクロマト用活性炭
(太閤顆粒活性炭SGP[二村化学工業(株)社製])
を充填したカラムにアプライし、0.05M水酸化ナト
リウム水溶液8000mlを用いてdCP4Uを溶出し
た。上記dCP4U画分を濃縮してスラリーを調製後、
pH6.0に調整し、撹拌しながら徐々にエタノールを
添加し、さらに10℃に冷却しながらスラリーを撹拌し
てdCP4U・4Na結晶を晶析させ、これを分離して
dCP4U・4Na結晶8.9gを得た。得られた結晶
は約60℃で約4時間減圧乾燥後、機器分析等に供し
た。
【0034】(2)DPCを用いる方法 UTP・3Na12.8kgを135Lの水に溶解し、
カチオン交換樹脂[三菱化学(株)]を充填したカラム
にアプライし、通過液と水溶出分画を集め、撹拌しなが
らトリブチルアミン(TBA)13.6kgを徐々に加
えて中和した。得られた液を濃縮し、フォルムアミド1
0kgを加え、ジオキサンを用いて共沸脱水を行った。
脱水後、ピリジン11.6kgを加えて希釈し、UTP
のピリジン溶液を調製した。一方で別のタンクにメタノ
ール18LにdCMP7.5kgを加え、撹拌しながら
TBA4.5kgを徐々に加え60℃に加温した。溶解
後、濃縮を行い乾固させた。75℃で真空乾燥し、割砕
した後、その中の10.3kgをジメチルアセトアミド
(DMAC)16.7kgに懸濁し、ジフェニルホスホ
ロクロリデート(DPC)4.4kgを加えて10分間
撹拌した。その後、TBA10.8kgを加えて30分
間撹拌し、dCMP-DPP溶液とした。得られたdC
MP-DPP溶液を、先に調製しておいたUTPのピリ
ジン溶液に撹拌しながら添加した。添加後、室温で一晩
撹拌し、脱イオン水を加えて反応を停止した。30%水
酸化ナトリウム水溶液31Lを加えて30分間撹拌し、
分液により遊離したTBAを除去した。その後、6mo
l/L塩酸溶液でpHを約7に調整した。濃縮により溶
媒を除去し、95%エタノールを同容量加えて一晩静置
した。上層のエタノール層を吸引除去した後、水あめ状
の沈殿に水を加えて溶解し、濃縮により残留した溶媒を
除去した。得られたdCP4U合成液を2500Lに液
量調整し、中塩基性アニオン交換樹脂(アンバーライト
IRA−97[ローム&ハース社製])を充填したカラ
ムにアプライした。水、0.1mol/L塩酸水溶液お
よび0.4mol/L食塩含有0.005mol/L塩
酸水溶液の順で溶出し、dCP4U含有分画を取得し
た。得られたdCP4U分画2100Lをクロマト用活
性炭(太閤顆粒活性炭SGP[二村化学工業(株)社
製])を充填したカラムにアプライし、0.05mol
/L水酸化ナトリウム水溶液1200Lを用いてdCP
4Uを溶出した。上記dCP4U溶出分画を濃縮し、3
0%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調
整し、撹拌しながら95%エタノールを加えてdCP4
U・4Na結晶を晶析させ、これを分離した。得られた
結晶を60℃で4時間乾燥し、目的とするdCP4U・
4Na結晶4.2kg(水分5.9%、収率22%)を
得た。
【0035】〔dCP4U・4Na結晶の物性〕上記参
考例の(1)または(2)で調製したdCP4U・4N
a結晶とWO98/34942の実施例20記載の方法
と同じ方法でdCP4U・4Naの白色粉末(凍結乾燥
品)との物性を比較した。
【0036】(3)機器分析 純度検定 上記実施例(1)および(2)で得られたdCP4U・
4Na結晶および各クロマトグラフィー処理による精製
後のdCP4U画分の純度を高速液体クロマトグラフィ
ー法で分析した結果を表1および2に示す。なお、高速
液体クロマトグラフィー法は、以下の条件で行った。 カラム:HITACHIGEL#3013−N(日立計
測器サービス株式会社製) 溶出液:10%CH3CN、0.18M NH4Cl、
0.03M KH2PO4、0.03M K2HPO4 検出法:UV262nmによる検出
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】結晶形 dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)の代表的な結
晶の写真を図1に示す。
【0040】水分 カールフィッシャー法により結晶品の水分含量を測定し
た結果、乾燥の程度により変動するものの、6.9〜1
7.4重量%の水分で安定化し、計算によりdCP4U
1分子に対し3.5〜10分子の水分子が結合または付
着していることが明らかとなった。
【0041】融点 常法により融点を測定した結果、結晶品の融点は202
〜210℃であった。なお、凍結乾燥品の融点は約19
5〜210℃である。
【0042】X線回析 理学電機製X線回折装置RINT2500V型を用い、
下記の測定条件でX線回折スペクトルを測定した(測定
誤差±0.1°)。図2および表3はdCP4U・4N
a結晶の3.5水和物のデータであり、図3および表4
はdCP4U・4Na結晶の10水和物のデータであ
る。また、参考として凍結乾燥品のX線回折スペクトル
を図4に示す。 (測定条件) X線管球:Cu−Kα X線出力:50kV−300mA 走査速度:4.0°/分 走査間隔:0.02° 測角範囲:2〜40° スリット:DS−0.5°,RS−0.15mm,SS
−0.5° 前処理 :メノウ乳鉢にて粉砕
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】吸湿性 水分約17.4%のdCP4U・4Na結晶(10水和
物)を(ア)温度25℃、相対湿度57%、(イ)温度
25℃、相対湿度75%、(ウ)温度25℃、相対湿度
93%のそれぞれの条件下で2日間保存した場合、分
解、重量変化とも観察されず、安定で吸湿性を有しない
ことが確認された。さらに、(エ)温度40℃、相対湿
度75%の過酷な条件下で7日間保存しても変化は観察
されなかった。これに対し、凍結乾燥品(初発水分含
量:約1%)を(ア)温度25℃、相対湿度75%、
(イ)温度25℃、相対湿度93%のそれぞれの条件下
で2日間保存した場合、水分含量が徐々に増加し、2日
目には潮解し、どろどろの状態となった。
【0046】安定性 dCP4U・4Na結晶(10水和物)と凍結乾燥品を
ビンに密封し、60℃で13日間保存した(加速試
験)。その結果、結晶品の分解は全く観察されなかった
が、凍結乾燥品は約2.2%の純度の低下が観察され、
一部が分解していることが明らかであった。
【0047】NMR 結晶品または凍結乾燥品をそのままジルコニア製ロータ
に充填して13C−CPMAS−NMRの測定を行った。
測定条件を以下に示す。13 C−CPMAS−NMR 1)装置 Chemagnetics社製 CMX-300 2)測定方法 CPMAS(sideband suppresion) 3)測定温度 室温 4)観測核 13C 5)観測周波数 75.502MHz 6)プロトン励起パルス幅 4.5μs 7)コンタクトタイム 0.5msec. 8)観測幅 30.03kHz 9)観測ポイント 2048 10)データポイント 16384 11)観測繰り返し時間 15.0sec.(図6、図7),60.0sec.(図5) 12)化学シフト基準 ヘキサメチルベンゼン(外部標準17.35ppm) 13)試料回転速度 5kHz 14)積算回数 256回
【0048】図5および表5にdCP4U・4Na結晶
の3.5水和物の13C−CPMAS−NMRスペクトル
を、図6および表6にdCP4U・4Na結晶の10水
和物の13C−CPMAS−NMRスペクトルを、図7お
よび表7にdCP4Uの白色粉末(凍結乾燥品)の13
−CPMAS−NMRスペクトルを示す。なお、図5〜
7のピーク番号は表5〜7のピーク番号である。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【発明の効果】また、本発明の製造法は、安価な原料で
あるUMPを使用でき、しかも高収率でdCP4Uを製
造することができ、大量合成に好適な製造法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)の結
晶構造(偏光顕微鏡、440倍)を示す図である。な
お、図中の1mmは25μmに相当する。
【図2】dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)のX
線回折スペクトルを示したものである。
【図3】dCP4U・4Na結晶(10水和物)のX線
回折スペクトルを示したものである。
【図4】dCP4Uの白色粉末(凍結乾燥品)のX線回
折スペクトルを示したものである。
【図5】dCP4U・4Na結晶(3.5水和物)の13
C−CPMAS−NMRスペクトルを示したものであ
る。
【図6】dCP4U・4Na結晶(10水和物)の13
−CPMAS−NMRスペクトルを示したものである。
【図7】図7は、dCP4Uの白色粉末(凍結乾燥品)
13C−CPMAS−NMRスペクトルを示したもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 浩史 千葉県銚子市栄町2丁目1361−1 (72)発明者 野田 豊 千葉県銚子市春日町2367−14 Fターム(参考) 4C057 AA22 CC03 DD01 MM04 MM05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウリジン5’−モノリン酸、2’−デオ
    キシシチジン5’−モノリン酸、ジフェニルホスホロク
    ロリデートおよびピロホスフェートを反応させることを
    特徴とするP1−(2’−デオキシシチジン5’−)P4
    −(ウリジン5’−)テトラホスフェートの製造法。
  2. 【請求項2】 最初にウリジン5’−モノリン酸とジフ
    ェニルホスホロクロリデートを反応させてウリジン5’
    −モノリン酸ジフェニルホスフェートを合成し、これに
    ピロホスフェートを反応させて反応液中にウリジン5’
    −トリリン酸を生成させ、得られたウリジン5’−トリ
    リン酸を単離することなく、ジフェニルホスホロクロリ
    デート存在下、2’−デオキシシチジン5’−モノリン
    酸とウリジン5’−トリリン酸を反応させてP1
    (2’−デオキシシチジン5’−)P4−(ウリジン
    5’−)テトラホスフェートを製造する請求項1記載の
    製造法。
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