JP3964083B2 - 小動物飼育装置の給水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マウスあるいはラット等の実験用小動物の飼育装置において飲用水を供給する給水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、マウスあるいはラット等の実験用小動物を飼育する場合には、小動物用の飼育ケ−ジ収容スペ−スを上下方向に複数段の棚状に形成した飼育装置を用い、飼育作業の省力化および空間の有効利用を図るようにしている。そして、飼育装置の各飼育ケ−ジ収容スペ−スには、各ケ−ジ内の小動物に飲用水を供給するために、各ケ−ジ内へ突出するように給水装置の給水パイプが設けられている。各給水パイプは共通の給水ヘッダを介して飲用水供給源に接続されている。
【0003】
従来の給水パイプは、例えば米国特許第4,346,672号(1982年8月31日)明細書に記載されているように、小動物が鼻、口等で接触することにより揺動して自動開閉弁を開いて水を供給するように構成されたパイプまたはロッド等の細長い給水部材を有している。この給水部材は、小動物が接触する先端と反対側の基端に自動開閉弁を備えており、この自動開閉弁は、給水部材が通常位置にある時は閉じていて給水しないが、給水部材の先端に小動物が接触して給水部材が揺動すると、それに応じて自動開閉弁は開き、それを介して給水源から水が供給され、水は給水部材に沿って流れてその先端で小動物が水を飲めるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の小動物飼育装置の給水装置では、給水部材の保護のためと、給水部材先端でこぼれた水が小動物が入っているケ−ジ内にこぼれないようにするために、給水部材の周りを取り囲むように外管が設けられている。ところが、小動物は悪戯好きで、ケ−ジの内部にある床敷、こぼれた飼料、ケ−ジ内の汚物等を給水部材と外管の間に形成されている環状の隙間に故意に投げ込んだり、運び込んだりする。また、環状の隙間に詰めた床敷、飼料、汚物等に口でいたずらをしたりする。
【0005】
ところが、床敷等が環状隙間に詰まると、給水部材の先端が通常位置から動き、給水部材全体は斜めになって、自動開閉弁が開き、水が飲用として使用されることなくケ−ジ内に流出してしまう。また、水がケ−ジ内に流出しないように給水部材の外周の外管をケ−ジ外へ向かって低くなるように傾斜させておいても、上記環状隙間に詰め込まれた床敷等が水がケ−ジ外に導かれるのを阻止するため、結果的には水がケ−ジ内に逆流し漏水事故となる。しかも、床敷等は水に触れると意外に膨張して環状隙間を完全に詰まらせてしまう。さらに、小動物が環状隙間内に床敷等を押し込むいたずらを反復して行ったような場合には、床敷等の小片が隙間の奥深く入り込み、自動開閉弁のコイルばねにまで達してコイルばねの間に挟まり、コイルばねの弾力が片側または両側とも効かなくなってしまうことがある。このような事態が起きると開閉弁は開いたままになってしまい、漏水する。
【0006】
一方、給水部材と外管の間の隙間に床敷等が詰め込まれると、床敷等が給水部材の動きの邪魔をするため給水部材が動かなくなり、給水がなさず、小動物の摂水が不可能になると言う深刻な問題が生じる。
【0007】
また、給水部材が適当に動く程度に給水部材と外管の間の隙間に床敷等が詰まった場合には、給水部材が動くことによって給水部材から供給される水は、詰また床敷等を経由してから小動物の飲用に供されることになるので、著しく不衛生となり汚染の原因になる。
また、保護管のない従来の小動物用給水管は比較的細いので接続部が弱く、小動物により与えられる衝撃やぶら下がり等による外力、人の作業、ケージ交換、給餌、掃除、運搬、高圧滅菌消毒等の際の衝撃や打撃により、接続部より水洩れ、脱落等が起き易い。
【0008】
本発明は、以上に述べた課題の解決のためになされたもので、その目的は、小動物が床敷、飼料、汚物等を悪戯により詰め込む空隙があっても、給水作用が的確に行われ、しかも安全かつ衛生的に給水をすることができ、さらに外力や衝撃に強い構造をもつ小動物飼育装置の給水装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による小動物飼育装置の給水装置は、上記目的の達成のために、小動物による接触を受ける一端をもつ細長い給水部材と、給水部材の前記一端と反対側の基端部に設けられ、上流側が給水源に接続され下流側が給水部材に接続された開閉弁とを備え、前記開閉弁は、前記給水部材を通常位置に保つようにその基端を保持しかつ給水部材の一端に小動物が接触した時に給水部材が前記基端を中心とする揺動位置を取りうるように給水部材の基端を支持する保持手段を有し、また、開閉弁は、給水部材が通常位置にある時に閉じかつ揺動位置にある時に開いて、給水源からの給水が給水部材に沿ってその一端に向かって流れることを許すように構成され、さらに、前記給水部材の全周を狭い間隙を介して囲むように設けた外管と、この外管の周りを前記狭い間隙よりも広い間隙を介して囲むように設置したた保護管とを備え、前記給水部材の前記一端の側にある前記保護管の先端側は小動物の飼育空間を形成するケージの内側にあり前記保護管の前記先端側と反対側の基端側は前記ケージの外側にあり、前記保護管は、前記先端側が前記基端側よりも上方に位置するように水平線に対し傾斜して前記ケージの側壁にフランジを用いて取り付けられており、前記保護管の前記基端側の下方側部には配水管が設けられており、前記外管の先端は前記保護管の先端よりも前記保護管の内側に位置することを特徴とする
【0010】
前記保護管は、内外複数の管により構成することもできる。
【0011】
また、前記給水部材の全周の狭い間隙の幅は2乃至3mmとするのがよく、前記外管の周りの広い間隙の幅が6乃至9mmとするのが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明で用いる細長い給水部材2およびその外側に設けられる外管3を示している。また、外管3の周りには保護管4が設けられている。保護管4の構造は図2に示されている。給水部材2は例えば中実のロッドにより構成されており、その図1における左端は小動物による接触を受ける一端2aとなっており、この一端2aは外管3の先端より僅かに突出している。給水部材2の一端2aの反対側の基端には後述する自動開閉弁5が設けられている。外管3は単なるパイプにより構成され、その基端は拡大された径をもつおねじ部7に一体的に連結されている。おねじ部7はフランジ8と、給水源10への接続管9とを備えている。接続管9の内部は、おねじ部7の内部の通路11を経て外管3の内部に通じている。
【0014】
保護管4は、図2に示すように前記外管3より大きな径をもち、その外側の途中に環状フランジ13を一体的に備えている。また、保護管4の先端4aは斜めに切られており、基端内側にはめねじ14が形成されている。さらに、フランジ13とめねじ14の間の位置で、保護管4の下側には後述の作用を果たす排水管15が設けられている。保護管4は、図1に仮想線で示すように、小動物を飼育する公知のケ−ジCの側壁にフランジ13を用いて横方向に取り付けられる。この取り付け状態では、保護管4はケ−ジCの側壁を貫通し、その先端4aがケ−ジCの内側の飼育空間内に突出し、保護管4のめねじ14と排水管15はケ−ジCの外側に位置する。ケ−ジCの側壁にフランジ13を用いて取り付けられた保護管4の先端4aは、基端側より僅かに高くなるようにフランジ13の取り付け角度が決められており、保護管4の軸線は水平線に対して角度θをなしている。
【0015】
以上に述べた保護管4の内部には、前記外管3が図1に示すように挿着される。すなわち、外管3は保護管4内にその基端側から挿入され、保護管4のめねじ14に外管3のおねじ7が図1に示すように螺入される。これによって、保護管4と外管3の位置関係は図1に示すように設定される。すなわち、外管3は保護管4の内側にほぼ同心関係で収められ、外管3の先端は保護管4の斜に切られた端面4aから僅か内側に位置する。
【0016】
外管3の内側に設けられる前記給水部材2と自動開閉弁5の構造は図3および図4に示す通りである。図3では給水部材2は通常位置にあり、図4では給水部材2は揺動位置にある。外管3の途中部分の内部には、中心部に貫通孔19をもつ環状弁座部材18が固定されている。固定は例えば外管3のかしめ等により行うことができる。弁座部材18に対し作用する弁体は傘形弁ヘッド20と、この弁ヘッド20からそれと同心的かつ一体的に突出する弁棒21とから構成されている。弁棒21は、前記弁座部材18の貫通孔19を通って外管3の先端部へ向かって延び、ロッド状の前記給水部材2を構成している。弁ヘッド20は弁座部材18に関して外管3の基端側にあり、図3に示す通常位置では傘形弁ヘッド20の平面状座面は前記弁座部材18の平面状座面に面接触状態で接している。この面接触状態を保持するために、弁棒21(給水部材2)の途中部分に固定したばね受け22と弁座部材18の裏面との間に圧縮コイルばね23が介装されており、このばね23によって、傘形弁ヘッド20の平面状座面は弁座部材18の平面状座面に押しつけられている。このコイルばね23は、給水部材2を図3の通常位置に保つようにその基端を保持しかつ給水部材2の一端2aに小動物が接触した時に給水部材2がその基端を中心として図4に示すように揺動位置を取りうるように給水部材2の基端を支持する保持手段を構成する。
【0017】
本発明により設けられる給水管2とその外側の外管3の隙間の半径方向幅M(図3)は例えば2ないし3mm程度(通常2mm程度)に設定され、一方、外管3とその外側に設けられる保護管4との間に設けられる隙間N(図1)は例えば6ないし9mm程度(通常6mm程度)に設定される。
【0018】
次に、以上に述べた小動物飼育装置の給水装置の作用を説明する。ケ−ジC内の小動物が給水装置に対して何もしない状態では、給水部材2、外管3および保護管4は図1に示す状態にあり、給水部材2は図1および図3に示す通常位置にある。この状態では、給水部材の保持手段としての圧縮コイルばね23の作用により、傘形弁ヘッド20平面状座面は弁座部材18の平面状座面に面接触状態で押しつけられ、したがって開閉弁5は図3に示すように閉じており、給水源10(図1)から供給された水は、開閉弁5より下流側に流れることはない。
【0019】
小動物が水を飲むために、その鼻や口で給水部材2の一端2aに触ると、その力で給水部材2は通常位置からそれた図4の揺動位置へコイルばね23を弾性変形させつつ変位する。給水部材2が揺動すると、傘形弁ヘッド20が弁座部材18の座面に対し図4に示すように傾き、それらの間に隙間が形成されて開閉弁5が開く。したがって、図4に示すように前記隙間と貫通孔19を経て水が供給され、図4に矢印で示すように弁棒21すなわち給水部材2を伝って水が給水部材の先端(一端)2aに達し、小動物は水を飲むことができる。小動物が給水部材の一端2aに触れるのを止めると、コイルバネ23の力で給水部材2は図3に示す通常位置に戻り、開閉弁5が閉じて給水は止まる。
【0020】
なお、小動物が水を飲んでいる時にこぼれた水は保護管4内に落下し、角度θの傾斜により保護管4の内側をケ−ジ外へ向かって図2に破線で示すように流れ、排水管15から排出される。
【0021】
本発明により設けられる給水管2とその外側の外管3の隙間の半径方向幅M(図3)は例えば2ないし3mm程度(通常2mm程度)に設定されているいから、小動物が既述のようにいたずらにより、その隙間に、床敷、こぼれた飼料、ケ−ジ内の汚物等を詰め込もうとしても入れにくい。一方、外管3とその外側に設けられる保護管4との間に設けられる隙間N(図1)は例えば6ないし9mm程度(通常7mm程度)に設定される。したがって、隙間Nは隙間Mよりかなり広い。このため、いたずらをしたがる小動物は、より広い隙間Nの内部へ床敷、飼料、汚物等を詰め込もうとし、狭い方の隙間Mには詰め込みがなされない。そして、広い隙間Nの内部へ図1に示すように床敷、飼料、汚物等Dが詰め込まれても、隙間Nを構成する外管3と保護管4は互いに不動の部材であるから、詰め物がそこに入っても、基本的な給水機能に何の不都合も生じない。一方、給水機能に関係する隙間Mは狭いので、広い隙間Nへ汚物等を詰める作業に熱中する小動物は隙間Mへ物を詰めることまでは考えない。したがって、保護管3の内部にある給水部材2は自由に変位することができ、給水およびその停止の基本的機能に影響が及ぶことがない。
【0022】
以上に述べた実施の形態では、保護管は一個だけ設けられているが、必要によって複数の内外の保護管を設けてもよい。また、給水部材はロッド状のものを示したが、給水部材はパイプにより構成することもできる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、給水部材の周りを狭い間隙をおいて囲む外管を設け、その周りに、より広い間隙をおいて包囲する保護管を設けることによって、小動物が床敷、飼料、汚物等を悪戯により詰め込む間隙を別に与え、これにより給水部材の周りへ小動物が物を詰めることを未然に防止し、給水作用を所定通りに確保することが可能になる。
【0024】
また、給水部材は、その外側の外管により保護されるとともに、さらに外管は保護管によって保護されるので、給水装置全体の安全性が高まる効果が得られる。さらに、保護管の存在によって、給水装置は、小動物により与えられる衝撃やぶら下がり等による外力、人の作業、ケージ交換、給餌、掃除等の際の衝撃や打撃、そのほか地震等から完全に保護される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小動物飼育装置の給水装置を一部仮想線で示す側面図。
【図2】図1に示す給水装置の保護管のみを示す一部断面側面図。
【図3】図1の一部をなす給水部材、外管、開閉弁の通常状態を示す断面図。
【図4】図1の一部をなす給水部材、外管、開閉弁の揺動状態を示す断面図。
【符号の説明】
2 給水部材
2a 給水部材の一端
3 外管
4 保護管
5 開閉弁
10 給水源
18 弁座部材
19 貫通孔
20 傘形弁ヘッド
21 弁棒
23 保持手段(コイルばね)

Claims (4)

  1. 小動物による接触を受ける一端をもつ細長い給水部材と、
    前記給水部材の前記一端と反対側の基端部に設けられ、上流側が給水源に接続され下流側が給水部材に接続された開閉弁と、
    を備え、
    前記開閉弁は、前記給水部材を通常位置に保つようにその基端を保持しかつ給水部材の一端に小動物が接触した時に給水部材が前記基端を中心とする揺動位置を取りうるように給水部材の基端を支持する保持手段を有し、また、開閉弁は、給水部材が通常位置にある時に閉じかつ揺動位置にある時に開いて、給水源からの給水が給水部材に沿ってその一端に向かって流れることを許すように構成され、
    さらに、前記給水部材の全周を狭い間隙を介して囲むように設けた外管と、
    この外管の周りを前記狭い間隙よりも広い間隙を介して囲むように設置した保護管と、
    を備え
    前記給水部材の前記一端の側にある前記保護管の先端側は小動物の飼育空間を形成するケージの内側にあり前記保護管の前記先端側と反対側の基端側は前記ケージの外側にあり、前記保護管は、前記先端側が前記基端側よりも上方に位置するように水平線に対し傾斜して前記ケージの側壁にフランジを用いて取り付けられており、前記保護管の前記基端側の下方側部には配水管が設けられており、
    前記外管の先端は前記保護管の先端よりも前記保護管の内側に位置する
    ことを特徴とする小動物飼育装置の給水装置。
  2. 前記保護管は、内外複数の管から構成されている請求項1記載の小動物飼育装置の給水装置。
  3. 前記給水部材の全周の狭い間隙の幅が2乃至3mmである請求項1または2記載の小動物飼育装置の給水装置。
  4. 前記外管の周りの広い間隙の幅が6乃至9mmである請求項1、2または3記載の小動物飼育装置の給水装置。
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