JP3964060B2 - アポトーシス抑制剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、アポトーシス抑制剤に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、中枢神経型プロスタサイクリン受容体に特異的なリガンドとして知られているイソカルバサイクリン誘導体を有効成分とし、神経細胞等のアポトーシスに対して優れた抑制作用を有する新規なアポトーシス抑制剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アポトーシス (apoptosis)は遺伝的にプログラムされた細胞死の一種であり、形態学的には以下のプロセス、すなわち核の凝縮;細胞縮小;空胞化・細胞表面の平滑化;細胞間間隔の拡大;周囲からの細胞の遊離;細胞の断片化(アポトーシス小体);マクロファージ等による貪食のプロセスを経て起こる。また生化学的には、エンドヌクレアーゼ活性によりDNAのヌクレオソーム単位が 180〜200 塩基長のDNAに断片化することも知られている(Immunology Today 7:115-119, 1986;Science 245:301-305, 1989 )。
【0003】
現在では、このアポトーシスは発生・分化、正常組織や細胞のターン・オーバーなどの生理的な機構に加え、脳梗塞後等の虚血性神経細胞死、癌腫の退縮、放射線や抗癌剤の作用、AIDS等のウイルス感染によるリンパ球の減少、炎症などの疾患にも関与することが明らかにされ、これを調整する薬剤(すなわち、アポトーシス抑制剤、アポトーシス誘導剤)の開発は、脳神経系や癌、老化など幅広い分野において新しい作用機序に基づく薬剤を生み出すものと期待されている。
【0004】
アポトーシスを誘導する物質、要因としては、グルココルチコイド、グルタミン酸等の神経伝達物質の毒性、放射線照射、NK細胞、キラー細胞、腫瘍壊死因子(TNF)、またはリンフォトキシン(LT)等のサイトカイン類等が報告されている。また、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシミド(Cycloheximide)またはRNA合成阻害剤であるアクチノマイシンD(Actinomycin D )が、ヒト白血病細胞HL-60 に対してアポトーシスを誘導することも報告されている。さらに、最近では、免疫細胞のアポトーシスに関与する細胞膜分子であるFas抗原に対する抗Fasモノクローナル抗体が調製され、抗Fas抗体の医薬への応用については種々の研究がなされている。
【0005】
一方、アポトーシスを抑制する因子としては、インターロイキン1変換酵素の阻害物質、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)等が報告されている。また、bcl-2 関連遺伝子産物も、アポトーシスを抑制し、細胞の延命機能を有することが知られている。ただし、これらのアポトーシス抑制因子は全て生体由来のペプチドあるいはタンパク質であって、化学合成等の工業的手段によって得られるアポトーシス抑制物質は従来知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この出願の発明者等は、脳機能の生理的作用を詳細に検討する過程で、中枢神経型プロスタサイクリン受容体の特異的リガンドとして働く各種のイソカルバサイクリン誘導体を発明し、既に特許出願している [特願平7-51589 号(特開平8-245498号公報)、特願平8-243122号(特開平10-87608号公報)、特願平8-260957号(特開平10-101610 号公報、特願平9-160320号] 。そして、これらの物質の生理活性をさらに検討した結果、そのうちの幾つかが顕著なアポトーシス抑制効果を示すことを見出した。
【0007】
従って、この出願の発明は、発明者等による以上のとおりの知見をさらに発展させ、化学合成によって大量かつ安価に製造することのできる新規なアポトーシス抑制剤を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願は、上記の課題を解決する第1の発明として、次式(1)
【0009】
【化5】
Figure 0003964060
【0010】
(式中R1 は炭素数1〜6の炭化水素鎖を示し、R2 は水素原子または保護基を示す)
で表される15R−イソカルバサイクリン誘導体を有効成分とするアポトーシス抑制剤を提供する。
この第1発明のアポトーシス抑制剤においては、上記15R−イソカルバサイクリン誘導体が、次式(2)
【0011】
【化6】
Figure 0003964060
【0012】
で表される15R−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンまたはそのメチルエステルであることを好ましい態様としている。
さらにこの出願は、第2の発明として、次式(3)
【0013】
【化7】
Figure 0003964060
【0014】
(式中R1 は炭素数1〜6の炭化水素鎖を示し、R2 は水素原子または保護基を示す)
で表される15−デオキシ−イソカルバサイクリン誘導体を有効成分とするアポトーシス抑制剤を提供する。
この第2発明においては、上記15−デオキシ−イソカルバサイクリン誘導体が、次式(4)
【0015】
【化8】
Figure 0003964060
【0016】
で表される15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンまたはそのメチルエステルであることを好ましい態様としている。
なお、上記式(1)および(3)において、R2 を構成する保護基とは、製剤上許容される塩、エステル等を意味し、例えば、メチルエステル、エチルエステル等を構成するアルキル基が示される。
【0017】
以下、これらの発明について、その実施形態をさらに詳しく説明する。
【0018】
【発明の実施の形態】
この出願の第1発明のアポトーシス抑制剤の有効成分である15R−イソカルバサイクリン誘導体は、例えば15R−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリン(以下、15R−TICと記載することがある)またはそのメチルエステルであり、この出願の発明者等による先願発明(特開平8-245498号公報)に記載された方法に従って作成することができる。
【0019】
また、第2発明の有効成分である15−デオキシ−イソカルバサイクリン誘導体は、例えば15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリン(以下、Deoxy−TICと記載することがある)またはそのメチルエステルであり、同じくこの出願の発明者等による特許出願(特願平9-160320号)に記載の方法によって製造することができる。
【0020】
この発明のアポトーシス抑制剤は、これらのイソカルバサイクリン誘導体のいずれかを実質的な含有成分として製剤化することができるが、下記の参考例2にも示したように、中枢神経に作用させる場合には、脳への移行効率を考慮して、それらのメチルエステル等を含有成分としてして製剤化するのが好ましい。このメチルエステル等は脳内で15R−TICまたはDeoxy−TIC等のイソカルバサイクリン誘導体に変換し、神経細胞アポトーシスに対して抑制効果を発揮する。また、体細胞のアポトーシス抑制を目的とする場合には、15R−TICまたはDeoxy−TIC等のイソカルバサイクリン誘導体を有効成分として製剤化することができる。そして、この発明のアポトーシス抑制剤は、これらの有効成分の他に、公知のアポトーシス抑制性物質を含有していてもよい。
【0021】
この発明のアポトーシス抑制剤は、一般的な医薬製剤の形態でヒトまたは動物に投与することができ、例えば、静注、皮下注、または経口によりヒトまたは動物に投与することができる。
この発明のアポトーシス誘導剤は、イソカルバサイクリン誘導体を有効成分として5μM 以上の濃度で含有させ、その他の成分とともに製剤化することができる。その他の成分としては、医薬製造分野で通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤の希釈剤、賦形剤等を例示することができる。また、剤形としては、各種の形態が治療目的に応じて選択可能であり、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等を例示することができる。
【0022】
例えば、注射剤を調製する場合は、液剤、乳剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましく、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用することができる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖、グリセリン等を含有させることも可能であり、また、溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を配合することもできる。
【0023】
前記各形態の医薬製剤には、さらに必要に応じて慣用される着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等を配合することができ、また、他の医薬品有効成分を含有させることもできる。
次に実施例を示してこの発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例に限定されるものではない。
【0024】
【実施例】
実施例1
高酸素培養により誘導される海馬ニューロン・アポトーシスに対する15R−TICおよびDeoxy−TICの効果を試験した。
(1)被検試料
・イソカルバサイクリン:帝人株式会社からの供与純品を使用した。
【0025】
・15S−TIC:特開平8-245498号公報の実施例2で作成した15S−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステルを用い、同公報実施例3の方法に準じて作成した。
・15R−TIC:特開平8-245498号公報の実施例3と同一の方法により作成した。
【0026】
・Deoxy−TIC:下記参考例1に記載の方法により作成した。
・bFGF:市販品を使用した。
(2)方法
妊娠20日のウイスター系ラットから無菌的に摘出した胎仔の脳から海馬領域を切り出し、この海馬領域をDL−システイン(0.2mg/ml)、ウシ血清アルブミン(0.2mg/ml)、グルコース(5mg/ml)、DNAseI(0.01% )およびパパイン(9 unit/ml )を含むPBS(Ca,Mg-free)で30分間震盪培養することにより海馬ニューロンを分散した。次いで、各ニューロンを、DME/F−12培地(5 %ウマ血清および5 %ウシ胎児血清含有)を満たした24 well plate (ポリエチレンイニンコーティング済み)に、5 x 105 cells/cm2 の割合で蒔き、5 %炭酸ガス培養器(9 %酸素)にて2日間培養した。その後、培養液を血清除去DME/F−12培地(5 μg/mlトランスフェリン、5 μg/mlインスリンおよび5 nMプロゲステロン含有)に換え、各被検試料を培地に加え、30分後に50%酸素中に移した。48時間50%酸素中で培養した後、細胞の生存率を測定した。また、9%酸素中で培養した細胞の培地にも同様に各被検試料を添加し、生存率を測定した。
【0027】
細胞生存率は、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定した後、抗MAP2抗体で染色し、DABで発色させ、その200 倍顕微鏡写真からMAP2陽性細胞を計測して算出した。
(3)結果
図1は、bFGFの添加量を50 ng/mlとし、その他の被検試料の添加量を5 μMとした場合の、9%または50%酸素培養における海馬ニューロンの生存率である。9%酸素培養で、試料無添加の条件をコントロールとした。イソカルバサイクリンおよび15S−TICを添加した場合には、コントロール条件と同様、海馬ニューロンは高濃度酸素により誘導されるアポトーシスによってその生存率を大幅に減少させた。これに対して、この発明に係る15R−TICおよびDeoxy−TICを添加した場合には、公知のアポトーシス抑制物質であるbFGFと同等もしくはそれ以上の割合で細胞生存率の向上が観察された。
【0028】
図2は、海馬ニューロンのアポトーシスに対する各被検試料の濃度依存効果である。なお、この図2では、9%酸素培養における細胞生存率を 100%とし、各被検試料の添加による生存率を平均値±S.D.(n−4)で表示している。この図2から明らかなように、イソカルバサイクリンおよび15S−TICは試験した濃度範囲で効果を示さなかったが、15R−TICおよびDeoxy−TICは添加量依存的にアポトーシス抑制効果を示し、3000 nM濃度ではコントロールと同等の抑制効果が観察された。なお、50%抑制濃度(IC50)は、Deoxy−TICは30 nMであり、15R−TICは300nMであった。
【0029】
以上の結果から、この発明のアポトーシス抑制剤の有効成分である15R−TICおよびDeoxy−TICは、生体細胞、とりわけ神経系細胞のアポトーシスに対して優れた抑制効果を有することが確認された。
実施例2
海馬CA1錐体神経細胞(pyramidal neuron)の虚血誘発性アポトーシスに対する15R−TICの効果をスナネズミ(mongolian gerbils )を用いた
in vivo 実験系において試験した。
【0030】
15R−TICが in vivo神経細胞死を抑制するか否かを調べるため、浸透圧ミニポンプを用い、3分間の一過性前脳虚血処置を施したスナネズミの左側脳室に7日間(一過性虚血の2日前から5日後まで)に渡って15R−TIC溶液を連続的に注入した。CA1錐体神経細胞の生存数は、ニッスル染色した脳切片中の10μm 以上の細胞体を有する神経細胞を数えることによって決定した。
【0031】
その結果、15R−TICの脳内投与は、前脳虚血によって誘発されるCA1錐体神経細胞の減少を抑制することが確認された。すなわち、15R−TICを投与したスナネズミの神経細胞数(20μm 厚切片中984 ± 299個、n=4)は、虚血処置を施していないコントロールの神経細胞数(1061±220 個、n=4)と同等であった。一方、溶媒を注入したスナネズミのCA1錐体神経細胞数(142 ±28個、n=4)は、コントロール個体または15R−TIC注入個体に比して有意に減少していた。また、溶媒を注入したスナネズミの錐体神経細胞は徐々に変性し、核が縮小し、そして、全体が破壊細胞となる。
【0032】
これらの結果は、実施例1および2で示したin vitroの作用と同様に、15R−TICがin vivo でも神経細胞の生存促進因子として有効に作用することを示している。
参考例1
特願平9-160320号の実施例1の記載に従い、下記の化学反応式に沿って、Deoxy−TICを以下のとおりに作成した。
【0033】
【化9】
Figure 0003964060
【0034】
<1>アルデヒド化合物(12)の合成
10ml容量の skulenkチューブに、(トリフェニルホスホラニリデン)アセトアルデヒド(21.8mg, 71.6μmol )のベンゼン(1.5ml )溶液を入れ、次いで前記アルデヒド化合物(11)(23.0mg, 65.3μmol )のベンゼン(1.5ml )溶液を加え、20時間還流させた。反応混合物を冷却後、溶媒を除去し、残渣を、ヘキサンおよびエチルアセテートの2:1並びに1:1混合物を用いてSiO2 クロマトグラフィー精製し、アルデヒド化合物(12)を得た(14.8mg, 61%)。
【0035】
TLC Rf 0.55(1:1ヘキサン/エチルアセテート)であった。
<2>炭酸エステル化合物(13)の合成
10ml容量の丸底フラスコに、前記アルデヒド化合物(12)(7.6mg, 20.2 μmol )のメタノール(1.0ml )溶液を入れ、次いで、CeCl7 2 O(10mg, 27μmol )とNaBH4 (2mg, 53 μmol )を添加し、5分間撹拌した。
【0036】
その後、反応混合物にエチルアセテートと水を添加した。エチルアセテートを溶媒として用い、3度抽出を行った。有機相を一緒にして、MgSO4 により乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。
得られた粗生成物を、10ml容量の丸底フラスコに入れ、CH2 Cl2 (2.0ml )に溶解させた。この溶液にDMAP(37.0mg, 0.303mmol )およびクロルギ酸メチルエステル(0.015ml, 0.194mmol)を添加し、4時間撹拌した。その後、NaHCO3 水溶液を加え、エチルアセテートにより抽出した。有機相を一緒にしてNa2 SO4 により乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。ヘキサンとエチルアセテートの4:1混合物を用いてSiO2 によるクロマトグラフィー精製し、前記の炭酸エステル化合物(13)(8.0mg, 91 %)を得た。TLC Rf 0,42(2:1ヘキサン/エチルアセテート)。
<3>付加体化合物(15)の合成
20ml容量の skulenkチューブに、トリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(O)−クロロホルム付加物(2.1mg, 2.0μmol )と1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(1.6mg, 4.0μmol )のTHF(1.0ml )溶液を入れた。この溶液に、前記の炭酸エステル化合物(13)(8.0mg, 18.3 μmol )およびジスルホン(7.6mg, 19.7 μmol )のTHF(1.0ml )溶液を加え、15時間撹拌した。
【0037】
反応混合物を、NH4 Cl水溶液に注ぎ、エチルアセテートにより抽出した。有機相を一緒にしてMgSO4 により乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。ヘキサンとエチルアセテートの2:1、1:1並びに1:2混合物を用いてSiO2 クロマトグラフィーにより精製し、目的とする付加体化合物(15)を得た(9.6mg、70%)。TLC Rf 0.27(1:1ヘキサン/エチルアセテート)。
<4>化合物(16);15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステルの合成
10ml容量の丸底フラスコに、Mg(10mg, 0.4mmol )を入れ、次いで、前記の付加体化合物(15)(7.5mg, 10.0 μmol )のメタノール(1.5ml )溶液を加えて3時間撹拌した。
【0038】
反応混合物にHCl(1N)水溶液を加え、エチルアセテートにより抽出した。有機相を一緒にしてMgSO4 により乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。
得られた粗生成物を10ml容量の丸底フラスコに入れ、酢酸と水との9:1混合物(2.0ml )に溶解させた。40時間撹拌した後に、エチルアセテートを添加し、NaHCO3 水溶液により洗浄した。有機相をNa2 SO4 により乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。次いで、3:1のヘキサンとエチルアセテート混合物を用い、SiO2 クロマトグラフィー精製して、目的とする化合物(16)の15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステルを得た(2.2mg, 58 %)。TLC Rf 0.6 (1:1ヘキサン/エチルアセテート)。
<5>15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンの合成
10ml容量のテストチューブに、前記化合物(16)(1.0mg, 2.6μmol )のメタノール(0.5ml )溶液を入れ、NaOH水溶液(3N,0.2ml )を加え、室温で12時間撹拌した。NaHSO4 を添加した後にエチルアセテートと水を加えた。pHは3とした。
【0039】
有機相を分離し、水性相をエチルアセテートにより抽出した。有機相を一緒にし、MgSO4 により乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。CH2 Cl2 とメタノールとの10:1混合物を用いてSiO2 (0.5g)クロマトグラフィー精製し、目的とする15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンを得た(0.9mg, 94 %)。TLC Rf 0.39(9:1CH2 Cl2 /メタノール)。
参考例2
イソカルバサイクリン誘導体の脳への移行をポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)法により試験した。
(1)被検試料
11C標識15R−TIC−メチルエステル(RTA):
下記参考例の方法に従って作成した15R−TIC−メチルエステルの16−m−トリル基のメチル基炭素を11Cで標識した標識化合物。
【0040】
11C標識15R−TIC−メチルエステル(RTC):
下記参考例の方法に従って作成した15R−TIC−メチルエステルのメチルエステル基のメチル基炭素を11Cで標識した標識化合物。
(2)方法
成獣アカゲザル(体重約8kg)に、上記被検試料のトレーサー量(0.2 μg/kg以下)を静注し、静注後から60分後までの脳内における被検試料の挙動をPET装置を用いて画像化した。この画像からROI(region of interest:関心領域)値を計測し、以下の式に従って取り込み量を算出した。
【数1】
Figure 0003964060
(3)結果
図3(A)には各標識化合物の脳全体での取り込み量を示し、図3(B)には視床における取り込み量を示した。RTAおよびRTCは同程度に血液−脳関門を通過したが(図4A、B)、RTAはRTCよりもずっと多く脳内に保持されていた。このことは、脱エステル化11C標識15R−TICが脳内で保持されることを示しており、換言すれば、RTAが15R−TICのプロドラッグとして機能する可能性が示唆された。
【0041】
これらの結果からも明らかなように、全身投与された15R−TIC−メチルエステルは、効率よく脳内に移行することが確認された。そして、この標識化合物は投与後60分間以上も脳内に止まることから、15R−TIC−メチルエステル(15R−TICの前駆体)は脳内で15R−TICに変換してプロスタサイクリン受容体に結合し、そのアポトーシス抑制作用を脳内で発揮することが示唆された。
【0042】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、化学合成によって簡便かつ安価に製造可能な化合物を有効成分とする新規なアポトーシス抑制剤が提供される。この薬剤の有効成分であるイソカルバサイクリン誘導体は、血液脳関門を通過して中枢神経系に作用することがPET研究等により明らかにされているため、特に、神経細胞のアポトーシスを原因とする各種疾患の治療に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】海馬ニューロンのアポトーシスに対する抑制効果を示したグラフ図である。
【図2】海馬ニューロンのアポトーシスに対する各種化合物の抑制効果と濃度との関係を示したグラフ図である。
【図3】(A)(B)は、各々、標識したイソカルバサイクリン誘導体の脳全体および視床における取り込み量を経時的にプロットしたグラフ図である。

Claims (4)

  1. 神経細胞のアポトーシスに対して抑制作用を有する薬剤であって、
    次式(2)
    Figure 0003964060
    で表される15R−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンまたはそのメチルエステルを有効成分とする神経細胞アポトーシス抑制剤。
  2. 神経細胞のアポトーシスが、虚血性神経細胞アポトーシスである請求項1の神経細胞アポトーシス抑制剤。
  3. 神経細胞のアポトーシスに対して抑制作用を有する薬剤であって、
    次式(4)
    Figure 0003964060
    で表される15−デオキシ−16−m−トリル−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンまたはそのメチルエステルを有効成分とする神経細胞アポトーシス抑制剤。
  4. 神経細胞のアポトーシスが、虚血性神経細胞アポトーシスである請求項3の神経細胞アポトーシス抑制剤。
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