JP3963740B2 - Rotary compressor - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉容器内に電動要素にて駆動される第1及び第2の回転圧縮要素を備え、第1の回転圧縮要素で圧縮され、密閉容器内に吐出された中間圧のガスを第2の回転圧縮要素で圧縮するロータリコンプレッサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種ロータリコンプレッサは、例えば特開平2−294587号公報に示されるように、密閉容器の下部に第1及び第2の回転圧縮要素、上部に電動要素が設けられ、シリンダとこのシリンダの下の開口面を閉塞する支持部材と電動要素の回転軸に一体形成された偏心部によりシリンダの内壁に沿って回転するローラと、このローラに先端部が当接してシリンダに設けられた溝内を往復摺動するベーンとから構成される第1の回転圧縮要素と、シリンダとこのシリンダの上の開口面を閉塞する支持部材と電動要素の回転軸に一体形成され前記第1の回転圧縮要素に設けた偏心部と180度対向して設けられた偏心部によりシリンダの内壁に沿って回転するローラと、このローラに先端部が当接してシリンダに設けられた溝内を往復摺動するベーンとで構成される第2の回転圧縮要素にて構成されている。
【0003】
そして、第1の回転圧縮要素の吸込ポートからガス(冷媒ガス)がシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により圧縮されて中間圧となりシリンダの高圧室側より吐出ポート、吐出消音室を経て密閉容器内に吐出される。密閉容器内に吐出された中間圧のガスは第2の回転圧縮要素の吸込ポートからシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により2段目の圧縮が行なわれて高温高圧のガスとなり、高圧室側より吐出ポート、吐出消音室を経て吐出される。
【0004】
ロータリコンプレッサから吐出されたガスは冷媒回路の放熱器に流入し、放熱した後、膨張弁で絞られて蒸発器で吸熱し、ロータリコンプレッサの第1の回転圧縮要素に吸入されるサイクルを繰り返す。
【0005】
また、係るロータリコンプレッサに、高低圧差の大きい冷媒、例えば二酸化炭素(CO2)を冷媒として用いた場合、吐出冷媒圧力は高圧となる第2の回転圧縮要素で12MPaGに達し、一方、低段側となる第1の回転圧縮要素で8MPaG(中間圧)となる(第1の回転圧縮要素の吸込圧力は4MPa)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなロータリコンプレッサに取り付けられたベーンは、シリンダの半径方向に設けられた案内溝に移動自在に挿入されている。そして、このベーンをローラ側に押し付けるため、従来よりスプリングによる付勢力と背圧室からの背圧によってベーンをローラに押し付ける構造が取られているが、内部中間圧のロータリコンプレッサの第2の回転圧縮要素では、密閉容器内の中間圧よりもシリンダ内の圧力が高くなるため、密閉容器内の圧力をベーンの背圧とすることはできない。また、第2の回転圧縮要素の吐出消音室より、ベーン背圧を導く案もあるが、除霜時のバイパス運転時には、第2の回転圧縮要素の吐出圧が低下し、ベーンをローラに押し付けることができない。
【0007】
そこで、第2の回転圧縮要素においてはシリンダの高圧室側と背圧室とを連通させ、図16にも示すようにオーバーシュート圧P0はPd(第2の回転圧縮要素の吐出圧)以上となり、全ての条件でベーンをローラに押し付けることが可能となる。しかしながら、第2の回転圧縮要素の吐出圧でベーンをローラに押しつけると、ベーンとローラの接触圧が異常に高くなって回転ロスが発生し、入力ロスが増大してしまうと共に、接触圧が高いとベーンとローラの摩耗が早まり当該ベーンとローラの耐久性を損ねてしまう問題があった。
【0008】
また、シリンダ内にガスを吸い込んだ圧縮初期の段階ではシリンダ内の高圧室側の圧力も中間圧まで低下するため、背圧室に流入したガスがシリンダ内に逆流してしまう。そのため、第2の回転圧縮要素ではガスを圧縮する容積が背圧室の容積分拡大されて圧縮効率が低下してしまう問題があった。また、ベーンはバネ部材でも押しているので、背圧室の圧力変動がバネ部材の耐久性に悪影響を及ぼす問題もあった。
【0009】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、所謂内部中間圧型多段圧縮式のロータリコンプレッサにおいて、背圧室からシリンダ内へのガスの逆流を阻止し、第2の回転圧縮要素における圧縮効率の低下を防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明のロータリコンプレッサでは、密閉容器内に電動要素と、該電動要素にて駆動される第1及び第2の回転圧縮要素を備え、第1の回転圧縮要素で圧縮されたガスを密閉容器内に吐出し、更にこの吐出された中間圧のガスを第2の回転圧縮要素で圧縮するものにおいて、第2の回転圧縮要素を構成するためのシリンダ及び電動要素の回転軸に形成された偏心部に嵌合されてシリンダ内で偏心回転するローラと、該ローラに当接してシリンダ内を低圧室側と高圧室側に区画するベーンと、ベーンに背圧を加えるための背圧室と、シリンダ内の高圧室側と背圧室とを連通する背圧通路と、該背圧通路に設けられ、シリンダ内の高圧室側から背圧室へのガスの流通を許容し、該背圧室からシリンダ内の高圧室側へのガスの流通を阻止する逆止弁とを備えており、例えば冷媒として二酸化炭素を用い、且つ、超臨界で運転される冷媒回路に用いられるので、背圧室に高圧を加えて第2の回転圧縮要素のベーンに背圧を加えながら、当該背圧室からシリンダ内にガスが逆流する不都合を解消することができるようになる。
【0011】
これにより、ロータリコンプレッサの第2の回転圧縮要素における圧縮効率の低下を防止することができるようになる。また、ベーンを押すためにバネ部材が設けられる場合には、当該バネ部材の信頼性も確保することができるようになるものである。
【0012】
特に、密閉容器内の中間圧の冷媒ガスをベーンの背圧に使用しているので、ベーンとローラの接触圧を低減することができて、回転ロスを少なくすることが可能となる。これにより、入力ロスの増大を抑えられるので、ベーンとローラの摩耗を減少させられてベーンとローラの耐久性を大幅に延長させることができるようになるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明のロータリコンプレッサの実施例として、第1及び第2の回転圧縮要素32、34を備えた内部中間圧型多段(2段)圧縮式のロータリコンプレッサ10の縦断面図、図2はロータリコンプレッサ10の正面図、図3ロータリコンプレッサ10の側面図、図4はロータリコンプレッサ10のもう一つの縦断面図、図5はロータリコンプレッサ10の更にもう一つの縦断面図、図6はロータリコンプレッサ10の電動要素14部分の平断面図、図7はロータリコンプレッサ10の回転圧縮機構部18の拡大断面図をそれぞれ示している。
【0014】
各図において、10は二酸化炭素(CO2)を冷媒として使用する内部中間圧型多段圧縮式のロータリコンプレッサで、このロータリコンプレッサ10は鋼板からなる円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間の上側に配置収納された電動要素14及びこの電動要素14の下側に配置され、電動要素14の回転軸16により駆動される第1の回転圧縮要素32(1段目)及び第2の回転圧縮要素34(2段目)からなる回転圧縮機構部18にて構成されている。
【0015】
尚、実施例のロータリコンプレッサ10の高さ寸法は220mm(外径120mm)、電動要素14の高さ寸法は約80mm(外径110mm)、回転圧縮機構部18の高さ寸法は約70mm(外径110mm)で、電動要素14と回転圧縮機構部18との間隔は約5mmとなっている。また、第2の回転圧縮要素34の排除容積は第1の回転圧縮要素32の排除容積よりも小さく設定されている。
【0016】
密閉容器12は実施例では厚さ4.5mmの鋼板より構成され、底部をオイル溜とし、電動要素14と回転圧縮機構部18を収納する容器本体12Aと、この容器本体12Aの上部開口を閉塞する略椀状のエンドキャップ(蓋体)12Bとで構成され、且つ、このエンドキャップ12Bの上面中心には円形の取付孔12Dが形成されており、この取付孔12Dには電動要素14に電力を供給するためのターミナル(配線を省略)20が取り付けられている。
【0017】
この場合、ターミナル20周囲のエンドキャップ12Bには、座押成形によって所定曲率の段差部12Cが環状に形成されている。また、ターミナル20は電気的端子139が貫通して取り付けられた円形のガラス部20Aと、このガラス部20Aの周囲に形成され、斜め外下方に鍔状に張り出した金属製の取付部20Bとから構成されている。取付部20Bの厚さ寸法は2.4±0.5mmとされている。そして、ターミナル20は、そのガラス部20Aを下側から取付孔12Dに挿入して上側に臨ませ、取付部20Bを取付孔12Dの周縁に当接させた状態でエンドキャップ12Bの取付孔12D周縁に取付部20Bを溶接することで、エンドキャップ12Bに固定されている。
【0018】
電動要素14は、密閉容器12の上部空間の内周面に沿って環状に取り付けられたステータ22と、このステータ22の内側に若干の間隙を設けて挿入配置されたロータ24とからなる。このロータ24は中心を通り鉛直方向に延びる回転軸16に固定されている。
【0019】
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26の歯部に直巻き(集中巻き)方式により巻装されたステータコイル28を有している(図6)。また、ロータ24もステータ22と同様に電磁鋼板の積層体30で形成され、この積層体30内に永久磁石MGを挿入して構成されている。
【0020】
前記第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34との間には中間仕切板36が挟持されている。即ち、第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34は、中間仕切板36と、この中間仕切板36の上下に配置されたシリンダ38、シリンダ40と、この上下シリンダ38、40内を180度の位相差を有して回転軸16に設けた上下偏心部42、44に嵌合されて偏心回転する上下ローラ46、48と、この上下ローラ46、48に当接して上下シリンダ38、40内をそれぞれ低圧室側と高圧室側に区画する後述する上下ベーン50(下側のベーンは図示せず)と、上シリンダ38の上側の開口面及び下シリンダ40の下側の開口面を閉塞して回転軸16の軸受けを兼用する支持部材としての上部支持部材54及び下部支持部材56にて構成される。
【0021】
上部支持部材54および下部支持部材56には、吸込ポート161、162にて上下シリンダ38、40の内部とそれぞれ連通する吸込通路58、60と、凹陥した吐出消音室62、64が形成されると共に、これら両吐出消音室62、64の開口部はそれぞれカバーにより閉塞される。即ち、吐出消音室62はカバーとしての上部カバー66、吐出消音室64はカバーとしての下部カバー68にて閉塞される。
【0022】
この場合、上部支持部材54の中央には軸受け54Aが起立形成されており、この軸受け54A内面には筒状のブッシュ122が装着されている。また、下部支持部材56の中央には軸受け56Aが貫通形成されており、この軸受け56A内面にも筒状のブッシュ123が装着されている。これらブッシュ122、123は後述する如き摺動性の良い材料にて構成されており、回転軸16はこれらブッシュ122、123を介して上部支持部材54の軸受け54Aと下部支持部材56の軸受け56Aに保持される。
【0023】
この場合、下部カバー68はドーナッツ状の円形鋼板から構成されており、周辺部の4箇所を主ボルト129・・・によって下から下部支持部材56に固定され、吐出ポート41にて第1の回転圧縮要素32の下シリンダ40内部と連通する吐出消音室64の下面開口部を閉塞する。この主ボルト129・・・の先端は上部支持部材54に螺合する。下部カバー68の内周縁は下部支持部材56の軸受け56A内面より内方に突出しており、これによって、ブッシュ123の下端面は下部カバー68によって保持され、脱落が防止されている(図9)。図10は下部支持部材56の下面を示しており、128は吐出消音室64内において吐出ポート41を開閉する第1の回転圧縮要素32の吐出弁である。
【0024】
ここで、下部支持部材56は鉄系の焼結材料(若しくは鋳物でも可)により構成されており、下部カバー68を取り付ける側の面(下面)は、平面度0.1mm以下に加工された後、スチーム処理が加えられている。このスチーム処理によって下部カバー68を取り付ける側の面は酸化鉄となるため、焼結材料内部の孔が塞がれてシール性が向上する。これにより、下部カバー68と下部支持部材56間にガスケットを介設する必要が無くなる。
【0025】
尚、吐出消音室64と密閉容器12内における上部カバー66の電動要素14側は、上下シリンダ38、40や中間仕切板36を貫通する孔である連通路63にて連通されている(図4)。この場合、連通路63の上端には中間吐出管121が立設されており、この中間吐出管121は上方の電動要素14のステータ22に巻装された相隣接するステータコイル28、28間の隙間に指向している(図6)。
【0026】
また、上部カバー66は吐出ポート39にて第2の回転圧縮要素34の上シリンダ38内部と連通する吐出消音室62の上面開口部を閉塞し、密閉容器12内を吐出消音室62と電動要素14側とに仕切る。この上部カバー66は図11に示す如く厚さ2mm以上10mm以下(実施例では最も望ましい6mmとされている)であって、前記上部支持部材54の軸受け54Aが貫通する孔が形成された略ドーナッツ状の円形鋼板から構成されており、上部支持部材54との間にビード付きのガスケット124(図12)を挟み込んだ状態で、当該ガスケット124を介して周辺部が4本の主ボルト78・・・により、上から上部支持部材54に固定されている。この主ボルト78・・・の先端は下部支持部材56に螺合する。
【0027】
上部カバー66を係る厚さ寸法とすることで、密閉容器12内よりも高圧となる吐出消音室62の圧力に十分に耐えながら、小型化を達成し、電動要素14との絶縁距離を確保することもできるようになる。更に、この上部カバー66の内周縁と軸受け54Aの外面間にはOリング126が設けられている(図12)。係るOリング126により軸受け54A側のシールを行なうことで、上部カバー66の内周縁で十分にシールを行ない、ガスリークを防ぐことができるようになり、吐出消音室62の容積拡大が図れると共に、Cリングにより上部カバー66の内周縁側を軸受け54Aに固定する必要も無くなる。ここで、図11において127は吐出消音室62内において吐出ポート39を開閉する第2の回転圧縮要素34の吐出弁である。
【0028】
次に、上シリンダ38の下側の開口面及び下シリンダ40の上側の開口面を閉塞する中間仕切板36内には、上シリンダ38内の吸込側に対応する位置に、図13、図14に示す如く外周面から内周面に至り、外周面と内周面とを連通して給油路を構成する貫通孔131が穿設されており、この貫通孔131の外周面側の封止材132を圧入して外周面側の開口を封止している。また、この貫通孔131の中途部には上側に延在する連通孔133が穿設されている。
【0029】
一方、上シリンダ38の吸込ポート161(吸込側)には中間仕切板36の連通孔133に連通する連通孔134が穿設されている(図15)。また、回転軸16内には図7に示す如く軸中心に鉛直方向のオイル孔80と、このオイル孔80に連通する横方向の給油孔82、84(回転軸16の上下偏心部42、44にも形成されている)が形成されており、中間仕切板36の貫通孔131の内周面側の開口は、これらの給油孔82、84を介してオイル孔80に連通している。
【0030】
後述する如く密閉容器12内は中間圧となるため、2段目で高圧となる上シリンダ38内にはオイルの供給が困難となるが、中間仕切板36を係る構成としたことにより、密閉容器12内の底部のオイル溜めから汲み上げられてオイル孔80を上昇し、給油孔82、84から出たオイルは、中間仕切板36の貫通孔131に入り、連通孔133、134から上シリンダ38の吸込側(吸込ポート161)に供給されるようになる。
【0031】
図16中Lは上シリンダ38の吸入側の圧力変動及び、吐出圧変動を示し、図中P1は中間仕切板36の内周面の圧力を示す。この図にL1で示す如く上シリンダ38の吸込側の圧力(吸入圧力)は、吸入過程においては吸入圧損により中間仕切板36の内周面側の圧力よりも低下する。この期間に中間仕切板36の貫通孔131、連通孔133から上シリンダ38の連通孔134を介して上シリンダ38内に給油が成されることになる。また、P0は、圧縮最高圧で吐出圧Pd以上の圧力となる。
【0032】
上述の如く上下シリンダ38、40、中間仕切板36、上下支持部材54、56及び上下カバー66、68はそれぞれ4本の主ボルト78・・・と主ボルト129・・・にて上下から締結されるが、更に、上下シリンダ38、40、中間仕切板36、上下支持部材54、56は、これら主ボルト78、129の外側に位置する補助ボルト136、136により締結される(図4)。この補助ボルト136は上部支持部材54側から挿入され、先端は下支持部材56に螺合している。
【0033】
また、この補助ボルト136は前述したベーン50の後述する案内溝70の近傍に位置している。このように補助ボルト136、136を追加して回転圧縮機構部18を一体化することで、内部が極めて高圧となることに対するシール性の確保が成されると共に、ベーン50の案内溝70の近傍を締め付けるので、後述する背圧室74からベーン50に加える高圧の背圧がリークする不都合も防止できるようになる。
【0034】
また、上シリンダ38内には前述したベーン50を収納する案内溝70と、この案内溝70の外側に位置してバネ部材としてのスプリング76を収納する収納部70Aが形成されており、この収納部70Aは案内溝70側と密閉容器12(容器本体12A)側に開口している(図8)。前記スプリング76はベーン50の外側端部に当接し、常時ベーン50をローラ46側に付勢する。そして、このスプリング76の密閉容器12側の収納部70A内には金属製のプラグ137が設けられ、スプリング76の抜け止めの役目を果たす。
【0035】
この場合、プラグ137の外寸は収納部70Aの内寸よりも小さく設定され、プラグ137は収納部70A内に隙間嵌めにより挿入される。また、プラグ137の周面には当該プラグ137と収納部70Aの内面間をシールするためのOリング138が取り付けられている。そして、上シリンダ38の外端、即ち、収納部70Aの外端と密閉容器12の容器本体12A間の間隔は、Oリング138からプラグ137の密閉容器12側の端部までの距離よりも小さく設定されている。係る寸法関係としたことにより、プラグ137を収納部70A内に圧入固定する場合の如く、上シリンダ38が変形して上部支持部材54との間のシール性が低下し、性能悪化を来す不都合を未然に回避することができるようになる。
【0036】
尚、プラグ137の外寸を収納部70Aの内寸よりも小さく設定して、プラグ137を収納部70A内に隙間嵌めした場合でも、上シリンダ38と密閉容器12間の間隔をOリング138からプラグ137の密閉容器12側の端部までの距離よりも小さく設定しているので、スプリング76側の高圧(ベーン50の背圧)によってプラグ137が収納部70Aから押し出される方向に移動しても、密閉容器12に当接して移動が阻止された時点で依然Oリング138は収納部70A内に位置してシールするので、プラグ137の機能には何ら問題は生じない。
【0037】
一方、第2の回転圧縮要素34のベーン50をローラ46に付勢する背圧を当該ベーン50に印加するための前述した背圧室74は、上シリンダ38内の案内溝70のローラ46と反対側に形成されている。この背圧室74は中間仕切板36と上部支持部材54間に渡って略円筒形状を呈して上シリンダ38内に貫通されている(図19)。この背圧室74はローラ46側の案内溝70とその反対側の収納部70A内に連通しており、後述する背圧通路72から上シリンダ38内の高圧室側の冷媒ガスを背圧室74に流入させて、案内溝70内のベーン50に背後から圧力(背圧)を加え、ベーン50をローラ46側に付勢する。
【0038】
前記背圧通路72は上シリンダ38に設けられている。この背圧通路72は内端が上シリンダ38内の高圧室側に開口すると共に、外端が背圧室74に開口し、上シリンダ38内の高圧室側と背圧室74とを連通している。この背圧通路72の途中には逆止弁88が設けられており、この逆止弁88は上シリンダ38内の高圧室側から背圧室74へのガスの流通のみを許容し、背圧室74から高圧室側への流通は阻止する(図19矢印)。
【0039】
ところで、逆止弁88を背圧通路72内に設けない場合、ローラ46が図19に破線で示す如き回転位置まで回転し、冷媒ガスを吸い込んだ段階の圧縮初期において、上シリンダ38内の高圧室側の圧力が略中間圧まで低くなると、背圧室74の圧力の方が高くなってしまうため、前回の圧縮時に背圧室74に流入した高圧の冷媒ガスは上シリンダ38内の高圧室側に逆流するようになる(図20矢印で示す)。背圧室74に流入した冷媒ガスが上シリンダ38内の高圧室側に逆流すると、その分ガスを圧縮する容積が拡大されるかたちとなるため、第2の回転圧縮要素34における圧縮効率が低下するが、本発明では係る逆流を阻止するので、圧縮効率の低下は防止される。
【0040】
また、図20の構造では背圧室74にガスが出入りする関係上、背圧室74は収納部70Aの圧力も大きく変動することになる。この圧力変動によりスプリング76も耐久性が低下するが、本発明では係る不都合も解消される。
【0041】
ところで、回転軸16と一体に180度の位相差を持って形成される上下偏心部42、44の相互間を連結する連結部90は、その断面形状を回転軸16の円形断面より断面積を大きくして剛性を持たせるために非円形状の例えばラグビーボール状とされている(図17)。即ち、回転軸16に設けた上下偏心部42、44を連結する連結部90の断面形状は上下偏心部42、44の偏心方向に直交する方向でその肉厚を大きくしている(図中ハッチングの部分)。
【0042】
これにより、回転軸16に一体に設けられた上下偏心部42、44を連結する連結部90の断面積が大きくし、断面2次モーメントを増加させて強度(剛性)を増し、耐久性と信頼性を向上させている。特に使用圧力の高い冷媒を2段圧縮する場合、高低圧の圧力差が大きいために回転軸16にかかる荷重も大きくなるが、連結部90の断面積を大きくしてその強度(剛性)を増し、回転軸16が弾性変形してしまうのを防止している。
【0043】
この場合、上側の偏心部42の中心をO1とし、下側の偏心部44の中心をO2とすると、偏心部42の偏心方向側の連結部90の面の円弧の中心はO1、偏心部44の偏心方向側の連結部90の面の円弧の中心はO2としている。これにより、回転軸16を切削加工機にチャックして上下偏心部42、44と連結部90を切削加工する際、偏心部42を加工した後、半径のみを変更して連結部90の一面を加工し、チャック位置を変更して連結部90の他面を加工し、半径のみを変更して偏心部44を加工すると云う作業が可能となる。これにより、回転軸16をチャックし直す回数が減少して生産性が著しく改善されるようになる。
【0044】
そして、この場合冷媒としては地球環境にやさしく、可燃性および毒性等を考慮して自然冷媒である炭酸ガスの一例としての前記二酸化炭素(CO2)を使用し、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油等既存のオイルが使用される。
【0045】
密閉容器12の容器本体12Aの側面には、上部支持部材54と下部支持部材56の吸込通路58、60、吐出消音室62及び上部カバー66の上側(電動要素14の下端に略対応する位置)に対応する位置に、スリーブ141、142、143及び144がそれぞれ溶接固定されている。スリーブ141と142は上下に隣接すると共に、スリーブ143はスリーブ141の略対角線上にある。また、スリーブ144はスリーブ141と略90度ずれた位置にある。
【0046】
そして、スリーブ141内には上シリンダ38に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管92の一端が挿入接続され、この冷媒導入管92の一端は上シリンダ38の吸込通路58に連通される。この冷媒導入管92は密閉容器12の上側を通過してスリーブ144に至り、他端はスリーブ144内に挿入接続されて密閉容器12内に連通する。
【0047】
また、スリーブ142内には下シリンダ40に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管94の一端が挿入接続され、この冷媒導入管94の一端は下シリンダ40の吸込通路60に連通される。この冷媒導入管94の他端はアキュムレータ146の下端に接続されている。また、スリーブ143内には冷媒吐出管96が挿入接続され、この冷媒吐出管96の一端は吐出消音室62に連通される。
【0048】
上記アキュムレータ146は吸込冷媒の気液分離を行なうタンクであり、密閉容器12の容器本体12Aの上部側面に溶接固定された密閉容器側のブラケット147にアキュムレータ側のブラケット148を介して取り付けられている。このブラケット148はブラケット147から上方に延在し、アキュムレータ146の上下方向の略中央部を保持しており、その状態でアキュムレータ146は密閉容器12の側方に沿うかたちで配置される。冷媒導入管92はスリーブ141から出た後、実施例では右方に屈曲した後、上昇しており、アキュムレータ146の下端はこの冷媒導入管92に近接するかたちとなる。そこで、アキュムレータ146の下端から降下する冷媒導入管94は、スリーブ141から見て冷媒導入管92の屈曲方向とは反対の左側を迂回してスリーブ142に至るように引き回されている(図3)。
【0049】
即ち、上部支持部材54と下部支持部材56の吸込通路58、60にそれぞれ連通する冷媒導入管92、94は密閉容器12から見て水平方向で反対の方向に屈曲されたかたちとされており、これにより、アキュムレータ146の上下寸法を拡大して容積を増やしても、各冷媒導入管92、94が相互に干渉しないように配慮されている。
【0050】
また、スリーブ141、143、144の外面周囲には配管接続用のカプラが係合可能な鍔部151が形成されており、スリーブ142の内面には配管接続用のネジ溝152が形成されている。これにより、スリーブ141、143、144にはロータリコンプレッサ10の製造工程における完成検査で気密試験を行なう場合に試験用配管のカプラを鍔部151に容易に接続できるようになると共に、スリーブ142にはネジ溝152を使用して試験用配管を容易にネジ止めできるようになる。特に、上下で隣接するスリーブ141と142は、一方のスリーブ141に鍔部151が、他方のスリーブ142にネジ溝152が形成されていることで、狭い空間で試験用配管を各スリーブ141、142に接続可能となる。
【0051】
そして、実施例のロータリコンプレッサ10は図18に示すような給湯装置153の冷媒回路に使用される。即ち、ロータリコンプレッサ10の冷媒吐出管96は水加熱用のガスクーラ154の入口に接続される。このガスクーラ154が給湯装置153の図示しない貯湯タンクに設けられる。ガスクーラ154を出た配管は減圧装置としての膨張弁156を経て蒸発器157の入口に至り、蒸発器157の出口は冷媒導入管94に接続される。また、冷媒導入管92の中途部からは図2、図3では図示していないが除霜回路を構成するデフロスト管158が分岐し、流路制御装置としての電磁弁159を介してガスクーラ154の入口に至る冷媒吐出管96に接続されている。尚、図18ではアキュムレータ146は省略されている。
【0052】
以上の構成で次に動作を説明する。尚、加熱運転では電磁弁159は閉じているものとする。ターミナル20および図示されない配線を介して電動要素14のステータコイル28に通電されると、電動要素14が起動してロータ24が回転する。この回転により回転軸16と一体に設けた上下偏心部42、44に嵌合された上下ローラ46、48が上下シリンダ38、40内を偏心回転する。
【0053】
これにより、冷媒導入管94および下部支持部材56に形成された吸込通路60を経由して、吸込ポート162から下シリンダ40の低圧室側に吸入された低圧(一段目吸入圧LP:4MPaG)の冷媒ガスは、ローラ48とベーンの動作により圧縮されて中間圧(MP1:8MPaG)となり下シリンダ40の高圧室側より吐出ポート41、下部支持部材56に形成された吐出消音室64から連通路63を経て中間吐出管121から密閉容器12内に吐出される。
【0054】
このとき、中間吐出管121は上方の電動要素14のステータ22に巻装された相隣接するステータコイル28、28間の隙間に指向しているので、未だ比較的温度の低い冷媒ガスを電動要素14方向に積極的に供給できるようになり、電動要素14の温度上昇が抑制されるようになる。また、これによって、密閉容器12内は中間圧(MP1)となる。
【0055】
そして、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスは、スリーブ144から出て(中間吐出圧は前記MP1)冷媒導入管92及び上部支持部材54に形成された吸込通路58を経由して吸込ポート161から上シリンダ38の低圧室側に吸入される(2段目吸入圧MP2)。この場合、冷媒ガスが吸込ポート161から上シリンダ38の低圧室側に吸入される段階では、背圧室74よりシリンダ38内の高圧室側の方が圧力が低くなるが、背圧通路72には逆止弁88を設けているので、背圧室74からシリンダ38内にガスが逆流しないので、背圧室74の背圧は低下せずベーン50に好適な背圧を加えることができる。
【0056】
また、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスをベーン50の背圧に使用しているので、ベーン50とローラ46の接触圧を低減させることができ、回転ロスを少なくすることが可能となる。これにより、入力ロスの増大を抑えられるので、ベーン50とローラ46の摩耗を減少させられてベーン50とローラ46の耐久性を大幅に延長させることができるようになる。
【0057】
シリンダ38内に吸入された中間圧の冷媒ガスは、ローラ46とベーン50の動作により2段目の圧縮が行なわれて高温高圧の冷媒ガスとなり(2段目吐出圧HP:12MPaG)、高圧室側から吐出ポート39を通り上部支持部材54に形成された吐出消音室62、冷媒吐出管96を経由してガスクーラ154内に流入する。このときの冷媒温度は略+100℃まで上昇しており、係る高温高圧の冷媒ガスは放熱して、貯湯タンク内の水を加熱し、約+90℃の温水を生成する。
【0058】
一方、ガスクーラ154において冷媒自体は冷却され、ガスクーラ154を出る。そして、膨張弁156で減圧された後、蒸発器157に流入して蒸発し、アキュムレータ146(図18では示していない)を経て冷媒導入管94から第1の回転圧縮要素32内に吸い込まれるサイクルを繰り返す。
【0059】
特に、低外気温の環境ではこのような加熱運転で蒸発器157には着霜が成長する。その場合には電磁弁159を開放し、膨張弁156は全開状態として蒸発器157の除霜運転を実行する。これにより、密閉容器12内の中間圧の冷媒(第2の回転圧縮要素34から吐出された少量の高圧冷媒を含む)は、デフロスト管158を通ってガスクーラ154に至る。この冷媒の温度は+50〜+60℃程であり、ガスクーラ154では放熱せず、当初は逆に冷媒が熱を吸収するかたちとなる。そして、ガスクーラ154から出た冷媒は膨張弁156を通過し、蒸発器157に至るようになる。即ち、蒸発器157には略中間圧の比較的温度の高い冷媒が減圧されずに実質的に直接供給されるかたちとなり、これによって、蒸発器157は加熱され、除霜されることになる。
【0060】
ここで、第2の回転圧縮要素34から吐出された高圧冷媒を減圧せずに蒸発器157に供給して除霜した場合には、膨張弁156が全開のために第1の回転圧縮要素32の吸込圧力が上昇し、これにより、第1の回転圧縮要素32の吐出圧力(中間圧)が高くなる。この冷媒は第2の回転圧縮要素34を通って吐出されるが、膨張弁156が全開のために第2の回転圧縮要素34の吐出圧力が第1の回転圧縮要素32の吸込圧力と同様となってしまうために第2の回転圧縮要素34の吐出(高圧)と吸込(中間圧)で圧力の逆転現象が発生してしまう。しかしながら、上述の如く第1の回転圧縮要素32から吐出された中間圧の冷媒ガスを密閉容器12から取り出して蒸発器157の除霜を行なうようにしているので、係る高圧と中間圧の逆転現象を防止することができるようになる。
【0061】
このように、上シリンダ38に背圧通路72を設け、この背圧通路72を上シリンダ38内の高圧室側に開口すると共に背圧室74側に開口し、上シリンダ38内の高圧室側と背圧室74とを連通している。そして、背圧通路72の途中に逆止弁88を設けている。これによって、シリンダ38内にガスを吸い込んだ段階で背圧室74よりシリンダ38内の高圧室側の方が圧力が低くなった場合でも、背圧室74からシリンダ38内にガスが逆流してしまうのを防止することができるようになり、ロータリコンプレッサ10の圧縮効率の低下を防止することが可能となる。また、背圧室74の圧力変動によってベーン50を押すためのスプリング76の信頼性が低下することも防止できる。
【0062】
尚、実施例では背圧通路72を上シリンダ38内に形成したが、それに限らず、上支持部材54に形成して吐出消音室62と背圧室74とを連通し、上シリンダ38内の高圧室側の冷媒ガスを、吐出消音室62を介して背圧室74に導入するようにしてもよい。その場合にも逆止弁88を設け、吐出消音室62から背圧室74への冷媒ガスの流通のみを許容するようにする。係る構成によれば、上シリンダ38の構造を簡素化することができるようになる。
【0063】
尚、ロータリコンプレッサ10に冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いたが、この冷媒に限らず、他の自然冷媒として炭化水素(HC)、アンモニア(NH3)などを用いても本発明は有効である。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、密閉容器内に電動要素と、該電動要素にて駆動される第1及び第2の回転圧縮要素を備え、第1の回転圧縮要素で圧縮されたガスを密閉容器内に吐出し、更にこの吐出された中間圧のガスを第2の回転圧縮要素で圧縮するロータリコンプレッサにおいて、第2の回転圧縮要素を構成するためのシリンダ及び電動要素の回転軸に形成された偏心部に嵌合されてシリンダ内で偏心回転するローラと、該ローラに当接してシリンダ内を低圧室側と高圧室側に区画するベーンと、ベーンに背圧を加えるための背圧室と、シリンダ内の高圧室側と背圧室とを連通する背圧通路と、該背圧通路に設けられ、シリンダ内の高圧室側から背圧室へのガスの流通を許容し、該背圧室からシリンダ内の高圧室側へのガスの流通を阻止する逆止弁とを備えており、例えば冷媒に二酸化炭素を用い、且つ、超臨界で運転される冷媒回路に用いられるので、背圧室に高圧を加えて第2の回転圧縮要素のベーンに背圧を加えながら、当該背圧室からシリンダ内にガスが逆流する不都合を解消することができるようになる。
【0065】
これにより、ロータリコンプレッサの第2の回転圧縮要素における圧縮効率の低下を防止することができるようになる。また、ベーンを押すためにバネ部材が設けられる場合には、当該バネ部材の信頼性も確保することができるようになるものである。
【0066】
特に、密閉容器内の中間圧の冷媒ガスをベーンの背圧に使用しているので、ベーンとローラの接触圧を低減することができて、回転ロスを少なくすることが可能となる。これにより、入力ロスの増大を抑えられるので、ベーンとローラの摩耗を減少させられてベーンとローラの耐久性を大幅に延長させることができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のロータリコンプレッサの縦断面図である。
【図2】図1のロータリコンプレッサの正面図である。
【図3】図1のロータリコンプレッサの側面図である。
【図4】図1のロータリコンプレッサのもう一つの縦断面図である。
【図5】図1のロータリコンプレッサの更にもう一つの縦断面図である。
【図6】図1のロータリコンプレッサの電動要素部分の平断面図である。
【図7】図1のロータリコンプレッサの回転圧縮機構部の拡大断面図である。
【図8】図1のロータリコンプレッサの第2の回転圧縮要素のベーン部分の拡大断面図である。
【図9】図1のロータリコンプレッサの下部支持部材及び下部カバーの断面図である。
【図10】図1のロータリコンプレッサの下部支持部材の下面図である。
【図11】図1のロータリコンプレッサの上部支持部材及び上部カバーの上面図である。
【図12】図1のロータリコンプレッサの上部支持部材及び上カバーの断面図である。
【図13】図1のロータリコンプレッサの中間仕切板の上面図である。
【図14】図13A−A線断面図である。
【図15】図1のロータリコンプレッサの上シリンダの上面図である。
【図16】図1のロータリコンプレッサの上シリンダの吸入側の圧力変動とオーバーシュート(吐出圧変動)を示す図である。
【図17】図1のロータリコンプレッサの回転軸の連結部の形状を説明するための断面図である。
【図18】図1のロータリコンプレッサを適用した給湯装置の冷媒回路図である。
【図19】図1のロータリコンプレッサの上シリンダの背圧通路を示す図である。
【図20】背圧通路に逆止弁を設けない場合の図19に相当する図である。
【符号の説明】
10 ロータリコンプレッサ
12 密閉容器
14 電動要素
16 回転軸
18 回転圧縮機構部
20 ターミナル
32 第1の回転圧縮要素
34 第2の回転圧縮要素
36 中間仕切板
38、40 シリンダ
39、41 吐出ポート
42 偏心部
44 偏心部
46 ローラ
48 ローラ
50 ベーン
54 上部支持部材
56 下部支持部材
62 吐出消音室
64 吐出消音室
66 上部カバー
68 下部カバー
70 案内溝
70A 収納部
72 背圧通路
74 背圧室
76 スプリング
78、129 主ボルト
88 逆止弁
90 連結部
132 封止材
137 プラグ
138 Oリング[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention includes first and second rotary compression elements driven by an electric element in a sealed container, and compresses the intermediate pressure gas discharged by the first rotary compression element and discharged into the sealed container. The present invention relates to a rotary compressor that compresses with two rotary compression elements.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, this type of rotary compressor is provided with first and second rotary compression elements at the lower part of the hermetic container and an electric element at the upper part as shown in, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 2-294857. A roller that rotates along the inner wall of the cylinder by a support member that closes the lower opening surface and an eccentric part that is integrally formed with the rotating shaft of the electric element, and a groove that is provided in the cylinder with its tip abutting against this roller A first rotary compression element composed of a vane reciprocatingly sliding, a cylinder, a support member for closing an opening surface on the cylinder, and a rotary shaft of the electric element. The roller that rotates along the inner wall of the cylinder by the eccentric portion provided opposite to the eccentric portion provided in the cylinder, and the tip of the roller abuts on this roller to reciprocate in the groove provided in the cylinder. Is configured by the second rotary compression element consists of a moving vane.
[0003]
Gas (refrigerant gas) is sucked into the low-pressure chamber side of the cylinder from the suction port of the first rotary compression element, and is compressed by the operation of the roller and vane to become an intermediate pressure from the high-pressure chamber side of the cylinder. It is discharged into the sealed container through the chamber. The intermediate pressure gas discharged into the hermetic container is sucked into the low pressure chamber side of the cylinder from the suction port of the second rotary compression element, and the second stage compression is performed by the operation of the roller and the vane, and the high temperature and high pressure gas. Then, it is discharged from the high pressure chamber side through the discharge port and the discharge silencer chamber.
[0004]
The gas discharged from the rotary compressor flows into the radiator of the refrigerant circuit, radiates heat, is throttled by the expansion valve, absorbs heat by the evaporator, and repeats the cycle of being sucked into the first rotary compression element of the rotary compressor.
[0005]
Further, when a refrigerant having a large high-low pressure difference, such as carbon dioxide (CO2), is used for the rotary compressor, the discharged refrigerant pressure reaches 12 MPaG in the second rotary compression element having a high pressure, The first rotary compression element becomes 8 MPaG (intermediate pressure) (the suction pressure of the first rotary compression element is 4 MPa).
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The vane attached to such a rotary compressor is movably inserted in a guide groove provided in the radial direction of the cylinder. In order to press the vane toward the roller, a structure is conventionally used to press the vane against the roller by the biasing force of the spring and the back pressure from the back pressure chamber, but the second rotation of the internal intermediate pressure rotary compressor In the compression element, since the pressure in the cylinder is higher than the intermediate pressure in the sealed container, the pressure in the sealed container cannot be the vane back pressure. There is also a plan to guide the vane back pressure from the discharge silencer chamber of the second rotary compression element, but during the bypass operation at the time of defrosting, the discharge pressure of the second rotary compression element decreases and the vane is pressed against the roller. I can't.
[0007]
Therefore, in the second rotary compression element, the high pressure chamber side of the cylinder and the back pressure chamber are communicated, and as shown in FIG. 16, the overshoot pressure P0 is equal to or higher than Pd (discharge pressure of the second rotary compression element). The vane can be pressed against the roller under all conditions. However, if the vane is pressed against the roller by the discharge pressure of the second rotary compression element, the contact pressure between the vane and the roller becomes abnormally high, causing a rotation loss, increasing the input loss, and increasing the contact pressure. As a result, the vane and the roller are quickly worn and the durability of the vane and the roller is impaired.
[0008]
In addition, at the initial stage of compression when the gas is sucked into the cylinder, the pressure on the high pressure chamber side in the cylinder also decreases to an intermediate pressure, so that the gas flowing into the back pressure chamber flows back into the cylinder. Therefore, in the second rotary compression element, there is a problem that the volume for compressing the gas is enlarged by the volume of the back pressure chamber and the compression efficiency is lowered. Further, since the vane is also pushed by the spring member, there is a problem that the pressure fluctuation in the back pressure chamber adversely affects the durability of the spring member.
[0009]
The present invention has been made to solve the conventional technical problem, and in a so-called internal intermediate pressure type multistage compression rotary compressor, the back flow of gas from the back pressure chamber into the cylinder is prevented, It aims at preventing the fall of the compression efficiency in 2 rotary compression elements.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
That is, in the rotary compressor of the present invention, an electric element and first and second rotary compression elements driven by the electric element are provided in an airtight container, and the gas compressed by the first rotary compression element is hermetically sealed. In the case of discharging into the container and further compressing the discharged intermediate-pressure gas with the second rotary compression element, the cylinder for forming the second rotary compression element and the rotating shaft of the electric element are formed. A roller fitted into the eccentric portion and rotated eccentrically in the cylinder; a vane that abuts against the roller and divides the inside of the cylinder into a low pressure chamber side and a high pressure chamber side; and a back pressure chamber for applying back pressure to the vane; A back pressure passage communicating the high pressure chamber side in the cylinder and the back pressure chamber; and a back pressure passage provided in the back pressure passage, allowing gas to flow from the high pressure chamber side to the back pressure chamber in the cylinder, and Block the flow of gas from the chamber to the high pressure chamber in the cylinder For example, carbon dioxide is used as a refrigerant, and the refrigerant circuit is operated in a supercritical state. Therefore, a high pressure is applied to the back pressure chamber and the back pressure is applied to the vanes of the second rotary compression element. As a result, it is possible to eliminate the disadvantage that the gas flows backward from the back pressure chamber into the cylinder.
[0011]
As a result, it is possible to prevent a reduction in compression efficiency in the second rotary compression element of the rotary compressor. Further, when a spring member is provided to push the vane, the reliability of the spring member can be ensured.
[0012]
In particular, since the intermediate pressure refrigerant gas in the sealed container is used for the back pressure of the vane, the contact pressure between the vane and the roller can be reduced, and the rotation loss can be reduced. As a result, an increase in input loss can be suppressed, so that the wear of the vanes and the rollers can be reduced, and the durability of the vanes and the rollers can be greatly extended.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings. FIG. 1 is a longitudinal sectional view of an internal intermediate pressure type multi-stage (two-stage) rotary
[0014]
In each figure,
[0015]
The height dimension of the
[0016]
In the embodiment, the sealed
[0017]
In this case, the
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
An
[0021]
The
[0022]
In this case, a bearing 54A is erected at the center of the
[0023]
In this case, the
[0024]
Here, the
[0025]
In addition, the
[0026]
Further, the
[0027]
By setting the
[0028]
Next, in the
[0029]
On the other hand, a
[0030]
As will be described later, since the inside of the sealed
[0031]
In FIG. 16, L indicates the pressure fluctuation and discharge pressure fluctuation on the suction side of the
[0032]
As described above, the upper and
[0033]
The
[0034]
The
[0035]
In this case, the outer dimension of the
[0036]
Even when the outer dimension of the
[0037]
On the other hand, the above-described back
[0038]
The
[0039]
By the way, when the
[0040]
Further, in the structure of FIG. 20, the gas in and out of the
[0041]
By the way, the connecting
[0042]
As a result, the cross-sectional area of the connecting
[0043]
In this case, if the center of the upper
[0044]
In this case, the refrigerant is environmentally friendly, uses carbon dioxide (CO2) as an example of carbon dioxide, which is a natural refrigerant in consideration of flammability and toxicity, and the oil as the lubricating oil is, for example, a mineral Existing oils such as oil (mineral oil), alkylbenzene oil, ether oil and ester oil are used.
[0045]
On the side surface of the container
[0046]
One end of a
[0047]
Also, one end of a
[0048]
The
[0049]
That is, the
[0050]
Further, a
[0051]
And the
[0052]
Next, the operation of the above configuration will be described. In the heating operation, the
[0053]
Thus, the low pressure (first stage suction pressure LP: 4 MPaG) sucked from the
[0054]
At this time, since the
[0055]
Then, the intermediate pressure refrigerant gas in the sealed
[0056]
In addition, since the intermediate pressure refrigerant gas in the sealed
[0057]
The intermediate-pressure refrigerant gas sucked into the
[0058]
On the other hand, the refrigerant itself is cooled in the
[0059]
In particular, in an environment of low outside air temperature, frost forms on the
[0060]
Here, when the high-pressure refrigerant discharged from the second
[0061]
As described above, the
[0062]
In the embodiment, the
[0063]
Although carbon dioxide (CO 2) is used as the refrigerant in the
[0064]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the present invention, an electric element and first and second rotary compression elements driven by the electric element are provided in a sealed container, and the gas compressed by the first rotary compression element. In the rotary compressor for discharging the discharged intermediate pressure gas into the sealed container and compressing the discharged intermediate pressure gas with the second rotary compression element, the rotary shaft of the cylinder and the electric element for constituting the second rotary compression element A roller that is fitted into the formed eccentric part and rotates eccentrically in the cylinder, a vane that abuts against the roller and divides the cylinder into a low pressure chamber side and a high pressure chamber side, and a back for applying back pressure to the vane A pressure chamber, a back pressure passage communicating the high pressure chamber side in the cylinder and the back pressure chamber, and a back pressure passage provided in the back pressure passage, allowing gas flow from the high pressure chamber side in the cylinder to the back pressure chamber, Flow of gas from the back pressure chamber to the high pressure chamber side in the cylinder For example, carbon dioxide is used as a refrigerant, and the refrigerant circuit is operated in a supercritical state. Therefore, a high pressure is applied to the back pressure chamber so that the vane of the second rotary compression element is used. While the back pressure is applied to the cylinder, it is possible to eliminate the disadvantage that the gas flows backward from the back pressure chamber into the cylinder.
[0065]
As a result, it is possible to prevent a reduction in compression efficiency in the second rotary compression element of the rotary compressor. Further, when a spring member is provided to push the vane, the reliability of the spring member can be ensured.
[0066]
In particular, since the intermediate pressure refrigerant gas in the sealed container is used for the back pressure of the vane, the contact pressure between the vane and the roller can be reduced, and the rotation loss can be reduced. As a result, an increase in input loss can be suppressed, so that the wear of the vanes and the rollers can be reduced, and the durability of the vanes and the rollers can be greatly extended.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of a rotary compressor according to an embodiment of the present invention.
2 is a front view of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
3 is a side view of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
4 is another longitudinal sectional view of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
FIG. 5 is still another longitudinal sectional view of the rotary compressor of FIG. 1;
6 is a plan sectional view of an electric element portion of the rotary compressor of FIG. 1;
7 is an enlarged cross-sectional view of a rotary compression mechanism portion of the rotary compressor of FIG.
8 is an enlarged cross-sectional view of a vane portion of a second rotary compression element of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
9 is a cross-sectional view of a lower support member and a lower cover of the rotary compressor of FIG.
10 is a bottom view of a lower support member of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
11 is a top view of an upper support member and an upper cover of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
12 is a cross-sectional view of an upper support member and an upper cover of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
13 is a top view of an intermediate partition plate of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
FIG. 14 is a cross-sectional view taken along line AA in FIG.
15 is a top view of an upper cylinder of the rotary compressor of FIG. 1. FIG.
16 is a diagram showing pressure fluctuation and overshoot (discharge pressure fluctuation) on the suction side of the upper cylinder of the rotary compressor of FIG. 1; FIG.
17 is a cross-sectional view for explaining the shape of a connecting portion of a rotary shaft of the rotary compressor in FIG. 1. FIG.
18 is a refrigerant circuit diagram of a hot water supply apparatus to which the rotary compressor of FIG. 1 is applied.
19 is a view showing a back pressure passage of an upper cylinder of the rotary compressor in FIG. 1. FIG.
20 is a view corresponding to FIG. 19 when a check valve is not provided in the back pressure passage.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (2)
前記第2の回転圧縮要素を構成するためのシリンダ及び前記電動要素の回転軸に形成された偏心部に嵌合されて前記シリンダ内で偏心回転するローラと、
該ローラに当接して前記シリンダ内を低圧室側と高圧室側に区画するベーンと、
前記ベーンに背圧を加えるための背圧室と、
前記シリンダ内の高圧室側と前記背圧室とを連通する背圧通路と、
該背圧通路に設けられ、前記シリンダ内の高圧室側から前記背圧室へのガスの流通を許容し、該背圧室から前記シリンダ内の高圧室側へのガスの流通を阻止する逆止弁とを備えたことを特徴とするロータリコンプレッサ。An electric element and a first and a second rotary compression element driven by the electric element are provided in the sealed container, and the gas compressed by the first rotary compression element is discharged into the sealed container. In the rotary compressor for compressing the discharged intermediate pressure gas by the second rotary compression element,
A cylinder for constituting the second rotary compression element, and a roller that is fitted into an eccentric portion formed on a rotary shaft of the electric element and rotates eccentrically in the cylinder;
A vane that abuts the roller and divides the cylinder into a low pressure chamber side and a high pressure chamber side;
A back pressure chamber for applying back pressure to the vane;
A back pressure passage communicating the high pressure chamber side in the cylinder and the back pressure chamber;
A reverse pressure passage provided in the back pressure passage to allow gas to flow from the high pressure chamber side in the cylinder to the back pressure chamber and to prevent gas flow from the back pressure chamber to the high pressure chamber side in the cylinder. A rotary compressor comprising a stop valve.
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