JP3962088B2 - 位相コントラスト画像形成 - Google Patents
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Description
本発明は、位相コントラスト画像に基づいて所定の強度パターンを合成する方法とシステムに関する。
背景技術
照射ビームのエネルギーの吸収または遮蔽により物体の照射面に画像を形成することは良く知られている。例えば、オーバヘッドプロジェクタにおいては、OHPシートは、プロジェクタの光ビームの一部を吸収または遮断し、これによりOHPシートの像の拡大画像がスクリーン上に形成される。しかし、これは、画像形成システムからの発光の一部が反射または吸収されることによる光強度損失をもたらす。
例えば、合成強度パターンの光強度損失やシステムの部品内での発熱パワー散逸等をもたらすエネルギーの損失を回避するために、幾つかの方法とシステムが開発されており、その場合、光ビームの振幅または強度の代わりに光ビームの位相が変調される。光ビームの位相の変調はエネルギー損失を引き起こさないからである。この位相変調は、位相変調の振幅または強度変調への変換を伴う。
ホログラフィー光学素子などの回折光学素子を用いて位相変調を行う。ここで、位相変調の強度変調への変換により形成された画像の各点において得られる強度変調は、画像の各点における光強度が回折光学素子の全表面から受光された光の可干渉な重ね合わせにより形成されるので、回折光学素子の各点における位相変調値に依存する。回折光学素子は、所定の強度パターンの合成に対して設計するにはむしろ複雑である。
画像形成方法とシステムはまた、位相変調と関連して用いられる。これらの方法とシステムは、位相変調の強度変調への変換により形成される画像の一点の強度が、位相変調器の一点における位相変調値にのみ依存するという事実を特徴とする。この点が画像形成システムにより問題の画像の点上に結像されるからである。この1対1の関係はこれらのシステムにおける位相変調器の設計を簡単にする。この種の方法とシステムは位相コントラスト画像形成方法及びシステムと呼ばれる。
位相コントラスト画像形成方法は、当初、顕微鏡分野において開発された。顕微鏡による観察対象の多くはかなり透明であり、従って殆どまたは全く光を吸収しない。光がこのような対象を通過するときの支配的な効果は空間的に変化する位相シフトの発生であるが、人の目は光の強度および色には応答するが、光の位相には応答しないので人はこれを見ることができない。
1935年、フリッツ・ゼルニケ(Fritz Zernik)は、空間フィルタ原理に従い、また観測強度が対象による位相シフトに線形関係する利点を有する位相コントラスト法を提案した。
t(x,y)=exp[jφ(x,y)] (1)
で示される振幅透過率を有する透明物体が画像形成システム内で可干渉に照明される。説明を簡略化するため、倍率を1と仮定し、またシステムの出射および入射瞳の有限範囲を省略する。さらに、位相シフトと強度の間で直線性を得る必要条件は、位相シフトφが1ラジアン以下であることであり、その場合の振幅透過は、
t(x,y)=1+jφ(x,y) (2)
により近似できる。
φ2オーダー以上の項は、この近似では省略される。(2)式の第一項は変化なしに試料を通過する強い波動成分を導き、一方第二項はシステムの光軸から偏向されるより弱い回折光を生成する。
従来の顕微鏡により生成された画像は、
と表すことができる、ここでφ2の項は0で近似されている。回折光は、強い背景光と直角位相であるため観測可能でない。ゼルニケは、背景が焦点面の光軸上の焦点に導かれ、一方高次の空間周波数を含む回折光は焦点から散開することを認識したので、彼は、位相変更板を焦点面内に挿入して、収束光および回折光の間で位相関係を修正することを提案した。
位相変更板は、小さな透明誘電体のドットがコートされているガラス基板から構成することができる。このドットは、焦点面の中心に配置されると共にこのドットが収束光の位相を回折光の位相遅延に対してπ/2ラジアンまたは3π/2ラジアンだけ遅延させるような厚さと屈折率を有する。前者の場合には、画像平面内の強度は、
になるが、後者の場合には、
になる。
このようにして、画像強度は、位相シフトφに線形に関係付けられる。背景の位相がπ/2ラジアンだけ遅延されると、結果は正の位相コントラストとして知られ、一方3π/2ラジアンの遅延は負の位相コントラストを与えると言われる。
上述の方法は、大きな直流成分に重ね合わされる小さな位相信号を与える位相コントラスト画像形成法を導くものである。これは、通常は直流成分を減衰させて位相変調信号に含まれる情報を増幅する必要があるため本方法の重要な欠点の要因となる。しかし、直流成分の減衰はエネルギー損失を導く。この種のフィルタリングは通常は暗視野フィルタリングと呼ばれる。
上述の位相コントラスト画像形成方法のもう一つの欠点は、実用的な実際の用途では、非常にしばしば満足されない位相シフトφが1ラジアン以下であるという仮定に基づいていることである。しかし、この理論は、基本的な仮定が満足されないという事実を無視してなおこのような用途に適用されており、またこの理論は最適化されていない人為的な解をもたらす。
欧州特許第0657760号には、位相コントラスト画像形成システムが開示され、そこでは画像シミュレーシヨンおよび投影システムは、テキサスインストルメント屈曲ビームデジタルミラー装置(DMD)に基づいている。屈曲ビームDMDは、反射光のアナログ位相変調に用いられ、位相変調は位相コントラスト画像生成法を利用して振幅変調に変換される。屈曲ビームDMDは、フリッカーのない変調波をもたらし、従って光学画像センサの同期は不要になる。開示されたシステムはゼルニケ法に従って動作し、従って対応する上述の欠点を有する。
位相コントラスト画像形成システムのもう一つの例が、英国特許第2199716号に開示され、そこではミサイル誘導システム用の光学誘導ビーム投影器が開示され、これは空間的に強度変調された誘導ビームを提供するものである。空間位相変調器が誘導ビームを生成するために用いられる。空間位相変調器の位相寸符号化は、2つの位相値0とπ/2の周期方形波変調(50%デューティーサイクル)を構成する。位相変調は、フーリエ変換レンズおよび背景信号にπ/2だけの位相シフトを与える位相板により振幅変調に変換される。位相コントラスト画像に基づいて光誘導ビームの特定の強度パターンを合成する方法はこの書類には開示されていない。
位相コントラスト画像形成システムの同様の例が、「位相コントラストに基づくアレイ照明装置」、Applied Optics Vol.27, No.14、2915〜2921頁(1988年)に開示されている。一様な強度の幅広いビームを損失なしに明るいスポットの配列に変換する方法が開示されている。入力空間位相マスクは、位相値πを有する位相ドットの周期アレイを構成し、位相マスクの残る領域は位相値0を有する。位相変調は、フーリエ変換レンズおよび背景信号の位相シフトをπだけ与える位相板により振幅変調に変換される。この方法は2進位相値0とπを持つ周期アレイ構成の実施に制限される。
光ビームの空間位相変調については、例えば、「ソビエト連邦におけるコンピュータエ学の特別号」Optics and Lasers in Engineering, Vol.15, No.5(1991年)に開示されたようにいわゆる「放射焦点調整器」(radiation focusator)、すなわちコンピュータ生成ホログラフィー光学素子を用いることがよく知られている。しかし、このような素子は、合成には複雑である。通常は、それらは、フレネル領域またはフラウンホーファ領域に所望の画像が形成されるようにして合成を行う。従って、このようにして、生成された画像における画素の強度は、ホログラフィー光学素子の画素の幾つかの、通常は全ての位相値の関数である。明らかに、これは汎用のホログラフィー光学素子の設計を複雑にし、また改良された非常に時間のかかるアルゴリズムが適用されなければならない。さらに、ホログラフィー光学要素の複雑な設計は、このような要素を動的に変化自在な空間位相変調器に実装することをほとんど不可能にする。
ホログラフイー光学要素のさらに他の欠点は、搬送周波数が軸外れシステム形状で生ずる非回折光から回折光を分離するために必要とされ、これらの高周波数項をサポートしうる回折媒体を必要とすることである。
発明の開示
本発明の目的は、強固、コンパクト、簡単な設計で、比較的安価に製造できる上述の種類の装置を提供することである。
本発明の他の目的は、位相コントラスト画像形成による改良された方法と装置を提供することにある。この位相コントラスト画像形成は、テイラー級数
の全ての項を考慮し、従って位相シフトφが1ラジアン以下という仮定に基づいていない。テイラー級数の各項が、関数t(x,y)の直流値に寄与するということに留意することが重要である。この事実は、直流値は式(2)の数値1により表されると今でも信じられているので、技術的には認められていない。
本発明のさらに別の目的は、位相変調信号に含まれる情報を増幅するために信号の直流成分を減衰させる必要のない位相コントラスト画像形成の改良された方法と装置を提供することにある。
本発明のもう一つの別の目的は、空間位相変調器の画素と生成された強度パターンの画素の間に単純な1対1マッピングを用いる簡単な画像操作に基づく改良された方法を提供することにある。
本発明によれば、強度パターンを低い電磁エネルギー損失で合成する方法が提供され、この方法は、入射電磁放射の位相変調用の空間位相マスクを用いて、空間位相マスクの個々の画素のフェーザー値による電磁放射の空間変調からなり、各フェーザー値は、
1)フーリエ変換されたフェーザー値は、所定の空間周波数に対する所定の値をとり、かつ
2)空間位相マスクの特定の画素のフェーザー値は、強度パターンの画素の画像の特有の強度レベルに対応する、
ように決定され、さらに、電磁放射の一部を位相シフトさせる空間位相フィルターを備え、位相フィルターにより位相シフトされた電磁放射の一部と電磁放射の残部の間での画像形成システムの画像平面内における干渉による強度パターンを生成する画像形成システムと組み合わせて用いられる。
本方法は、二つの空間次元(平面符号化)における空間位相マスクの符号化に関連するが、本方法の原理は1〜3空間次元における、および/または時間次元における位相符号化に利用できる。
電磁放射は、任意の周波数領域の電磁スペクトルでよい。つまり、ガンマ線領域、紫外線領域、可視領域、赤外線領域、遠赤外線領域、X線領域、マイクロ波領域、HF(高周波)領域等がある。本方法はまた電子放射、中性子放射などの粒子放射に対しても適用可能である。
好適には、電磁放射は単色または準単色であり、従って電磁放射のエネルギーは狭い周波数帯域に集中される。強度パターンは、電磁放射の共通源から射出されるが、それぞれの位相は異なって変化する二つの電磁波の干渉により合成されるので、電磁放射の2つの波が可干渉であり、従ってそれらの重ね合わせが所望の強度パターンを生成することを補償するよう射出された電磁放射の周波数範囲が十分に狭いことが要求される。周波数範囲が広すぎる場合は、2つの波は非可干渉であり、かつ位相情報は、2つの波の強度の和をもたらす非可干渉波の重ね合わせの際に失われる。重ね合わせられる電磁放射の個別の遅延差は、放射波長より小さいことが要求される。これは、電磁放射が比較的広帯域になることを許容する緩和要件である。例えば、可視領域では、本発明によるシステムにおける光源としてXeランプまたはHgランプを用いて、レーザ光源に比べて、スペックルノイズが減少するという利点が得られる。電磁放射の空間コヒーレンスの要件は、対応するシステムの空間帯域幅積に依存し、また要求されるシステムの性能がシステムの理論的に得られる性能にどのくらい近いかに依存する。
好適には、電磁放射は、レーザやメーザ、位相同期レーザダイオードアレイなどのコヒーレントな電磁放射源により生成される。ただし、HgランプやXeランプなどの高圧アークランプも使用出来、また白熱ランプさえも低性能システムにおける電磁放射源として用いることができる。
空間位相マスクは、これに入射する電磁波の位相を変化させる構成要素である。空間位相マスクは入射電磁波を透過または反射する。通常は、空間位相マスクは多数の画素に分割され、それらの各々は入射電磁波を、その位相を特定の所定値だけ変えることにより変調する。これらの所定値は、構成要素に適用される手法に依存して異なる方法で各々の画素に割り当てられる。例えば、空間光変調器においては、各々の画素は光学的あるいは電磁的にいずれかによりアドレスされる。電気アドレス法は、各画素が電子回路を介してアドレスされ、アドレスされた画素により発生させる位相変化に対応する制御信号を受けるという点で固体メモリのアドレス法に類似している。光学的アドレス法は、各画素を光ビームをそれに向けて照射することによりアドレスし、光ビームの強度は光ビームに照射された画素により生成される位相変化に対応する。
空間位相マスクは、固定位相マスク、液晶を備える液晶ディスプレイ技術に基づく装置、ダイナミックミラー装置、デジタルマイクロミラーアレイ、変形自在ミラー装置、薄膜空間光変調器、レーザダイオードアレイ(集積光源と位相変調器)、スマート画素アレイなどを利用して実現される。
空間位相フィルタは、通常は、特定の位置に誘電体層をコートした光学的にフラットなガラス板などの固定位相マスクである。但し、前段落で示した空間位相マスクを空間位相フィルタに用いてもよい。
画像形成システムは、空間位相マスクの位相変調画素を合成強度パターンのターゲット面上にマッピングする。このシステムは、4fレンズ構成(光の透過を利用する2つのフーリエ変換レンズまたは光の反射を利用する1つのフーリエ変換レンズ)または単一の撮像レンズから構成される。但し、空間位相フィルタに対してフィルタ面を与える任意の光学的画像形成システムを位相コントラスト画像形成システムに用いてもよい。
本発明による方法においては、合成強度パターンは画像形成システムの画像平面内での2つの電磁波の重ね合わせにより生成される。空間位相マスクはそれに入射する電磁波の位相値を変化させて、画像形成システムは空間位相マスクから反射またはそれを透過して位相が変化した電磁波を空間位相フィルタに向かわせる。位相フィルタは電磁放射の一部を位相シフトさせて、画像形成システムは画像平面内で、電磁放射の位相シフトされた部分を空間位相フィルタにより位相シフトされない電磁放射の一部と合成するように構成される。
本発明の好適な実施形態によれば、空間位相マスクはレンズの前側焦点面に配置され、一方空間位相フィルタはこのレンズの後側焦点面に配置され、これにより位相マスクにおける第一の電磁場はこのレンズにより位相フィルタにおける第二の電磁場にフーリエ変換される。このようにして、第一の電磁場の特定の空間周波数は、空間位相フィルタの特定の位置を介して伝送される。例えば、ゼロ周波数(直流)における電磁放射のエネルギーは、位相フィルタのフーリエ平面とレンズの光軸との交点であって、0次回折領域を意味している点を介して伝送される。
空間位相フィルタは、電磁放射の直流部分を位相シフトさせ、電磁放射の残部は変化させずにそのままにするか、その代わりに、電磁放射の直流部分を変化させずにそのままにし、電磁放射の残部を位相シフトさせるように構成されると現時点では好ましい。後者は、電磁放射の直流部分のエネルギーレベルが非常に高くて、位相フィルタの位相シフト部分がそれにより破壊されるおそれがある場合に好適である。例えば、レーザ切断においては、レーザビームの直流レベルは、位相フィルタのレーザビームの直流部分が横断する点に配置された位相シフトドットが蒸発するほど高くすることができる。さらに、0次回折領域の電磁放射を遮蔽(0透過率)することも可能であるが、このとき放射の直流エネルギーは失われる。
以下、電磁放射の直流部分が位相シフトされたとき、位相マスクの位相値φ(x,y)の関数として合成強度パターンの強度を表現することとする。
空間位相マスクに入射する電磁放射は、関数A(x,y)により表すことができる。ここで、A(x,y)は空間位相マスクの点(x,y)における入射場の複素数(振幅と位相)である。点(x,y)においては、空間位相マスクは、値φ(x,y)を持つ入射放射の位相を変調し、その結果、空間位相マスクを反射または透過後の場は、関数A(x,y)×eiφ(x,y)により表せる。ここでeiφ(x,y)は空間位相マスクの点(x,y)のフェーザー値である。A(x,y)は、好適には空間位相マスクの全表面にわたって一定値であるので、以下の方程式からは説明を簡単にするためこの項を外すことにする。
空間位相フィルタに入射する電磁放射を表す式は、ここでは交流項と直流項に分離しうる。場の直流項を
で示すと、場の交流項は
項により与えられる。空間位相フィルタが電磁放射の直流部分の位相をθだけ変化させると、画像形成システムの画像平面における合成強度パターンの強度は、
により与えられる。ここで、(x',y')は、空間位相マスクの点(x,y)の画像形成システムにより形成された画像の画像平面内の座標である。
この式の第二項は、空間位相マスクのフェーザーeiφ(x,y)に付加する複素数であり、合成強度パターンI(x',y')のコントラスト制御パラメータと解釈できる点を留意すべきである。
本発明の好適な実施例によれば、フェーザーの平均値は、強度レベルの範囲を制御するために調節される。
電磁放射の直流部分を位相シフトさせる代わりに、電磁放射の他の部分を位相シフトさせることで所定の強度パターンを合成することも可能である。これは、位相フィルタの1つ以上の任意の領域に入射する電磁放射の位相シフト用に空間位相フィルタを用い、電磁放射の残部の位相を変化させずにそのままにして、次に電磁放射のこの2つの部分を重ね合わせることにより達成できる。空間位相マスクおよび空間位相フィルタに対する対応する数学的処理および対応する設計手順はもちろん、前述のセクションで示した方法に対するものより複雑になるだろう。
0周波数以外の空間周波数の電磁放射の一部を位相シフトさせる簡単な例は、適当なキャリア周波数を持つ光学材料(すなわち、回折格子またはプリズム)を利用して、電磁放射の直流部分をフーリエ平面(空間位相フィルタと同一の面)の別の空間周波数に移動させることにより、あるいは好適には回折格子またはプリズムの機能を空間位相マスクに含めて、さらに空間位相フィルタを用いて、この空間周波数での電磁放射の位相を変化させ、電磁放射の残部の位相を変化させずにそのままにすることにより提供される。
本発明の他の好適な実施形態によれば、位相マスクはレンズの後側焦点面に配置されるのではなく、代わりにレンズのフレネル領域に配置される。この場合、位相フィルタにおける電磁場は、空間位相マスクにおける電磁場のフーリエ変換により与えられる。これは、数学的処理および設計手順をさらに複雑にし、例えば式(7)における項
は、位相フィルタの一つあるいは複数の位相変化点におけるフレネル変換値により置換されなければならない。しかし、フレネル変換は、空間位相マスクのフェーザー値とフーリエ変換に伴う二次位相係数の乗算によりフーリエ変換から計算される。
各々の画素の合成強度パターンの各々の強度レベルは、空間位相マスクの画素の少なくとも2つの異なるフェーザー値により生成されるということは、本発明の重要な側面である。
例えば、空間位相フィルタが電磁放射の直流部分を位相シフトさせるとき、好適には、位相マスクの画素のフェーザーの平均
は、1/2に等しくあるべきであり、位相シフトθの値は、πに等しくあるべきであるということが後述される。この場合、画素(x,y)の画像(x',y')における合成強度パターンの強度は、
I(x',y')=2(1-cosφ(x',y')) (8)
により与えられる。
共役複素フェーザー(逆符号のφの値)は、同等の強度レベルI(x',y')をもたらすことが分かる。平均フェーザーの絶対値
の任意の値に対して、同一の合成強度パターンの強度レベルを生成する2つのフェーザーが存在することが示される。
さらに、空間位相フィルタが直流部分以外の電磁放射の一部を位相シフトさせる場合、特定の強度レベルを生成するフェーザー値は、問題の画素位置に依存する。すなわちフェーザー値、およびそのフェーザー値を有する画素の位置は共に合成強度パターンの画素の画像における強度レベルを規定する。さらに、空間位相マスクの各々の画素に対して、合成強度パターンの各強度レベルは、相補的位相値の2つの異なるフェーザーの一方により表されることは確かである。
この自由度は、生成される各々の強度レベルに対して、また空間位相マスクの各々の画素に対して選択することができ、2つのフェーザーのうちの一方が、フェーザー値と対応する強度値の間の1対1の関数依存の2つの区間を保証する適当な位相値を持つフェーザーを選択することにより、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の位相を制御するのに用いられる。
フェーザーの選択のこの自由度を、空間位相マスクの隣接画素のフェーザーを、それらの差が最大となるよう選択して、これにより位相マスクから射出される電磁放射を、電磁放射の直流部分をその交流部分から良好に分離する高い空間周波数が最大量含まれるように生成の最大内容を有して生成するために利用してもよい。ただし、各々の画素の2つの可能なフェーザー値から選択する他の手段を電磁放射の所望の空間周波数内容を生成するのに選んでもよい。
好適には、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の位相は、各フェーザーと対応する強度レベルの関係が単調増加か単調減少関数かを制御するために調節される。
以下では、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の絶対値を調節して所定の値を得る本発明による1組の異なる方法について述べる。都合により、これらの方法は組み合わせてもよい。
上記方法の1つによれば、位相マスクの画素の個別のフェーザーは、特定の空間周波数におけるこれらフェーザーのフーリエ変換の所望の絶対値が、強度パターンの画素の強度の間の所定の相対的な強度レベルを維持しながら得られるまで一定値ずつ、すなわち、反復的に調節される。
別の方法によれば、位相マスクの画素の個別のフェーザーは、画像処理で知られているヒストグラム法を利用して調節される。ヒストグラムは、強度値の関数として特定の強度値を持つ合成強度パターンの画素の個数を示す棒グラフである。ヒストグラムを所定の分布に適合させるヒストグラム等化などの任意のヒストグラム法が、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の絶対値が所定の値となるまで反復して用いられる。
さらに別の方法によれば、位相マスクのフェーザーパターンは、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の絶対値を調節するために空間的にスケーリングされる。
さらに他の方法によれば、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の絶対値は、ラスタ法、面積比変調、スポット直径変調などの階調符号化法を利用して調節される。
上記の説明から明らかなように、特定の空間周波数におけるフェーザーのフーリエ変換の絶対値調節の結果として、強度レベルはある合成強度パターンと次ののものとで異なっていてもよい。従って、一連の異なる強度パターンが一様な強度レベルを示すように強度パターンの強度範囲に依存して放射源のパワーを制御することが好適である。
本発明の好適な実施形態によれば、位相フィルタの形状は空間位相マスクのフェーザーの空間周波数内容に整合するように合わせられる。例えば、電磁放射の残部から位相フィルタリングされた電磁放射の一部の所望の分離を最適にするようににである。
合成強度パターンを可変拡縮するズーム手段をさらに備える画像形成システムは、本発明の範囲内にある。画像形成システムのズーミングは、例えば位相マスクのフェーザー値のパターンのスケーリングに応じて動的に制御自在である。
本発明によれば、放射源のパワーは、位相マスクにおけるパターンの空間スケーリングおよび/または合焦系のズーミングに応じて制御自在である。
本発明によるコンパクトで集積化したシステムを提供するために、フーリエ変換レンズの光学的機能は空間位相マスクのフェーザーに符号化される。フーリエ変換レンズは、屈折的にまたは回折的に位相マスクに符号化される。
同様に、出力レンズの光学的機能は、屈折的または回折的のいずれかにより位相フィルタに符号化される。
さらに、位相マスクにより変調された電磁放射部分が画像平面内でほぼ平坦な強度プロフィールを有するよう空間位相マスクのフェーザー値に補償を符号化してもよい。この補償がないと、位相マスクにより変調された電磁放射部分は、それに重ね合わされた位相フィルタリングから生じる摂動を有する平坦プロフィルを持つことになる。これは、合成強度パターンのエッジに「リンギング」(振動)をもたらす。
本発明の他の好適な実施形態によれば、電磁放射源は、任意の色の強度パターンを生成する、例えば赤、緑及び青のような3つの異なる色に対応する異なる波長の1つ以上の光源からなる。さらに、各々がそれ自身の波長により照明される幾つかの独立システムを単一の多重波長システムに組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、位相コントラスト画像生成の4f光学系を示し、
図2は、位相コントラスト画像生成の2f光学系を示し、
図3は、位相コントラスト画像生成の1f光学系を示し、
図4は、(A)が反射SLMの軸外読出を、(B)が反射SLMの軸上読出を示し、
図5は、1次元における所定の強度パターンの例を概略的に示し、
図6は、図5に対応する位相符号化結果を概略的に示したものである。
好適な実施形態の詳細な説明
図1は4f位相コントラスト画像形成システム(1)を示している。レーザ(2)は光ビームを放出し、このビームは、ビームエキスパンダ(3)により一様強度の平面光波に拡大されて、空間位相マスク(4)に送出される。この光ビームは、空間位相マスク(4)およびフーリエ変換レンズ(5)を透過する。空間位相マスクは、レンズ(5)の前側焦点面に配置され、また空間位相フィルタ(6)は、レンズ(7)の前側焦点面でもあるレンズ(5)の後側焦点面に配置される。フーリエ変換レンズ(5、7)は、同一の焦点距離を持つ必要はない。異なる焦点距離は、1とは異なる倍率を導く。位相フィルタ(6)は、空間位相マスク(4)により変調された光位相の0次回折部分(8)を位相シフトする。合成強度パターンがレンズ(7)の後側焦点面(9)に生成され、また動的合焦系(10)は合成強度パターンを合焦面(11)に結像する。
光学系はコンピュータ(12)により制御される。コンピュータ(12)は、位相フィルタ(4)の画素の各々をアドレスし、フェーザー値をアドレスされた画素に送出するインタフェース手段を備える。さらに、コンピュータ(12)は、レーザ(2)のパワーを制御するレーザ制御手段と、動的合焦系(10)の焦点合わせと画像比を制御する結像制御手段を備える。さらに、コンピュータ(12)はシステム(1)により合成されるべき画像パターンを入力するキーボードや、ディスケットドライブ、光ディスクドライブ、ネットワークインタフェース、モデムなどの入力手段もまた備える。コンピュータは、入力された画像パターンから、例えばここに示したヒストグラム法に基づいて、位相マスクの画素に送出されるべきフェーザー値を計算する。任意であるが、位相フィルタ(6)の位相シフトは、コンピュータ(12)のオプションの位相制御手段により調節、制御自在であり、これはさらに例えば式(18)を利用して位相シフトを調節する。
図2は2f位相コントラスト画像形成システム(20)を示す。レーザ(21)は、光ビームを放出し、この光ビームは、ビームエキスパンダ(22)により一様強度の平面光波に拡大されて、空間位相マスク(23)と偏光ビームスプリッタ(24)と1/4波長板(25)に向け送出される。偏光ビームスプリッタ(24)と1/4波長板(25)は、従来のビームスプリッタに伴うビームスプリッタ中の双方向透過によるビーム分割に起因するパワー損失なしに特定の直線偏光の光のビーム分割を可能とする。偏光ビームスプリッタ(24)および1/4波長板(25)を透過した後、光ビームはフーリエ変換レンズ(26)を透過し、空間位相フィルタ(27)で反射される。空間位相マスク(23)はレンズ(26)の前方焦点面に配置され、また空間位相フィルタ(27)はレンズ(26)の後側焦点面に配置される。位相フィルタ(27)は、空間位相マスク(23)により位相符号化される光の0次回折部分(28)を位相シフトする。合成強度パターンは、レンズ(26)の後側焦点面(29)に生成され、また動的合焦系(30)は、合成強度パターンを合焦面(31)に結像する。図1に示したシステムに対して示したように、システム(20)はコンピュータ(32)により制御される。
図3は1f位相コントラスト画像形成システム(40)を示す。レーザ(41)は、光ビームを放出し、この光ビームは、ビームエキスパンダ(42)により一様強度の平面光に拡大されて空間位相マスク(43)に向けて送出される。光ビームは、空間位相マスク(43)と画像形成レンズ(44)を透過する。レンズ(44)の後側焦点面に配置された位相フィルタ(45)は、空間位相マスク(43)により位相符号化された光の0次回折部分を位相シフトする。合成強度パターンは、レンズ(44)の画像平面(46)に生成され、また動的合焦系(47)は、合成強度パターンを合焦面(48)に結像する。図1に示したシステムに対して説明したように、システム(40)はコンピュータ(49)により制御される。
図4は、(A)反射位相マスク(50)(または空間光変調器)の軸外読出動作及び(B)ビームスプリッタ(52)を有する反射位相マスク(51)の軸上読出動作の詳細を示す。両構成(A、B)は、図1〜3に示したシステムにおいて利用できる。
直流位相フィルタリングの位相符号化
以下、直流周波数範囲でフィルタを行うシステムに基づいて空間位相マスクと空間位相フィルタを符号化する例を述べる。この例で選択したシステムは、図1で示した4fレンズ構成に基づくものであり、このレンズは可視周波数範囲の電磁放射により照明される。この電磁放射は以下では単に光放射と呼ぶ。
照明光は単色であり、ほぼ平坦な振幅プロフィルを持つと仮定すると、空間位相マスクから射出される空間振幅分布は以下のように示される。
ここで、
は、空間的に符号化されたフェーザー値を示し、ΔxΔyは、入力位相変調空間光変調器の面積である。
α(x,y)を、空間的に不変な直流値
と、空間的に変化する交流寄与分Δα(x,y)を表す2つの項に分離すると都合がよいことがわかる。この直流値は、
として求められる。
次に、交流項は、
により表される。
α(x,y)を空間的に不変な直流項と区間的に変化する交流項に分離することは重要な点であり、本例の残部を通じて、特に空間フィルタリング手順において用いられる。
本例で用いられる空間フィルタは、光軸を中心として座標(fx,fy)により示される空間周波数領域だけ広がっている円形位相コントラストフィルタ(異なる横方向形状も用いることができる)として選択される。
ここで、
は半径方向の空間周波数を示し、Δfrは、円形(circ)位相フィルタの大きさを表している。
空間周波数領域(フィルタリング面)には、空間位相マスクからの空間的に変調された光放射のフーリエ変換
が存在する。空間位相コントラストフィルタにより行われるフーリエ変換光放射に対するフィルタリング動作は、簡単な逐点乗算手順である。続いて、空間的にフィルタリングされた光は、第二レンズにより逆フーリエ変換
され(フーリエ変換と反射出力座標)、従って画像平面内(座標(x',y'))で得られる空間振幅分布は、
と書ける。
を境界とする照明領域内、
では、
が得られる。
領域
における最低強度レベルとして完全な暗さに相当する
を要求することは、
が成立することを意味する。ここで、φ0=φ(x0',y0')なる略記が用いられる。
式(15)の解は、
により与えられる。
要件
は、次のことを意味し、
その結果、
が導かれる。ここで、+符号はθの値が以下の範囲にある場合であり、
また−符号はθ値が以下の範囲にある場合である。
の対応する領域は、
である。
を表す式を代入すると、簡単な強度表現式
が得られる。ここで、
である。
位相のみの変換は、エネルギーが保存されるので、次式が成り立つ。
特殊なケース:
の最も都合の良い選定は、
とすることであり、これにより出力強度は、
と表せる。
この場合、位相→強度マッピングは区間[0;π]→[0;4]により表される。
と設定することにより、位相関数φ(x,y)に対する次の要件
が得られる。
を表す式を式(24)に代入すると、式(26)の最初の積分表現に従い、
が得られる。
符号化手順:
・光学的構成の出力側では所定の強度分布(画像)
が望まれる。
・グレイスケール範囲[0;gmax]で一般的に表される画像のピクセル化は関係
を有する。
・所望の画像
に対するヒストグラムはグレイスケール範囲[0;gmax]内で調節(adj)され、従って前のステップは、以下を満たしている。
・それから、位相値が以下のように計算される。
・前述と同様にピクセル化は、以下の関係を有する。
・この関係は、位相ヒストグラム内で同じ位相値を持つ入力ピクセルの半分を共役複素化することにより満たされる。
・位相共役位相クリッピングは、フィルタ面における低周波数項と高周波数項の分離を最適化するための空間周波数内容を操作する価値ある手段(余分の自由度)を備える。
・本方式は、式(22)が差分
のみの関数なので、入力空間位相変調器前後での位相エラーに対して耐久性がある。さらに、個別のピクセル位相値における小さな変動は、平均値
が非常に多数のフェーザーの和の結果であるために、有害な効果はもたらさない。
・もし所望の強度分布が全てのエネルギーを含むには小さ過ぎるとき、すなわちヒストグラムが最大拡大され、さらに式(24)の左辺がなお右辺より小さいときは、入力位相対象は、式(24)が満足されるまで拡大される。スケールが不変の出力強度レベルを得るためには、動的な合焦系が必要である。同様に、強度不変性は、光源からの放射パワーを制御することにより得られる。一方、残留背景照明は無視することができ、また狭い一般的に形状づけられたライン構造(例えば、式(14))に対して9-(1-に等しい背景定数)の利得因子を持つ強度レベルを得ることができる。
実施例1:
上記の手順における個々のステップを例示する非常に簡単な例を以下に述べる。本例を簡略化するため、一次元のみで考えることにする。本例における空間位相マスクを符号化する出発点は以下のパラメータに基づく。
強度分布として画像平面内で合成される図5に示したピクセル化3段関数を考える。上記のパラメータの選択から、空間位相マスクの位相値と画像強度値の間の簡単な関係が得られる。
さらに進んで、合成される画像の集積強度
を計算する必要がある。集積強度は、x軸がグレイレベル値を表し、y軸が所定のグレイレベル値においての画像内でのピクセルの数を表す画像ヒストグラムから容易に計算される。ヒストグラムを用いることにより、
は、全てのグレイレベル値(x軸)にそれらのピクセルカウント数(y軸)を乗じたものの重み付き和として簡単に見いだされる。これは、いわば、画像の「重み付け」を表す。この簡単な例では、ヒストグラム計算は、我々が良好に区分された分離を持つ3グレイレベルを持つだけなので、必要ではない。
集積強度に対する値は等式
に従わなければならない。
図5から、
が得られ、これによりmaxに対する値は、
であると評価できる。
対応する調節された強度レベル
はこの結果、7/4、7/8および0になる。ここで、これらの値を用いて、以下の関係式から空間位相マスクの位相値を計算することができる。
これから、3つの位相値1.45、0.97および0ラジアンが得られる。
空間位相マスクを符号化するために必要な最後のステップは、次の等式を満たすことである。
共役複素フェーザー値(同様の強度レベルを与える2つのフェーザー)を用いるように選択できるので、ここから多くの方法を取ることができる。簡単な方法は図6に示したように、全ての第二フェーザーをその共役複素値に反転させることである。従って、位相マスクで用いられる最終位相値は、±1.45、±0.97および0ラジアンである。
最後のステップとして、基準を選択されたフェーザー符号化が満たしているかをチェックする。
位相符号化に統合された一般的な位相補正手順
式(14)において、空間位相マスクの位相値と、領域
内で得られた強度分布の間に解析的関係
が得られた。
上記の関係を導く解析は、
領域内で一定値であるという仮定に基づいた。換言すれば、次の近似
が適用された。
しかし、ある空間フィルタパラメータに対して、この式の左辺は、全
領域を通じて空間的に不変の定数値ではなく、その代わりに変動/振動がゆっくりと現れる。これは、位相フィルタリングされた直流値と直接伝搬された交流値の間の最終合成に僅かなエラーを導入する。この問題を解消するために、システムに既に存在する要素における位相のみの符号化を用いることにより歪みを消すことができる技術が必要になる。以下では、上記の歪みを消すプレ歪みを統合する手順が記述され、これは、システムの入力側の空間位相マスクのフェーザー値を修正することに純粋に基づくものである。この技術は、システムの実行に固有の他の種類の歪みを解消することもできる。さらに、この方法は直流よりも他の空間周波数でフィルタリングするシステムに適用することができる。
手順
入力位相関数を符号化するとき、入力位相分布を調節された(電子)画像のグレイレベル分布Islmの関数として表し、入力空間光変調器をアドレスする逆関数
を用いると有用である。ここで、
は、一定値としてではなく、光学画像領域内で滑らかな振動挙動を示すことが考慮されている。Islmの最大値は、gmaxで示される。
ここで、平均位相値
の空間変化を補償する位相関数を符号化するために適用することが必要なグレイレベル補正ΔIslm(x',y')についての公式
を導出することができる。ここで、第二の関係式は、
とθ=πを設定することにより、第一の関係式から導出されたものである。
第一の関係式に第二の関係式を代入すると、
が得られる。
しかし、この公式は、これがIslmで示されるヒストグラム調節グレイレベル分布に関係するので、直接には有用ではない。
ヒストグラム調節によって修正されていない元の入力グレイレベル分布I(x,y)に上記の補正項を関係させる公式が必要になる。これは、グレイレベル補正の効果もまたヒストグラム調節の手順内に取り込まれなければならないので、重要である。
ヒストグラムのスケーリングは、
を与える。ここで、ImaxおよびIslm,maxは、元と調節された後の電子グレイレベル分布にそれぞれ生じる最大グレイレベル値である。
同様に、この関係は強度補正項ΔIslmに適用することができ、
が得られ、その結果、
となる。
補正項に対するグレイレベルが十分なダイナミックレンジを有するためには、
という事実を用いて、上記関係から不等式
を導出することができる。
第一項は、強度補正に対する式中で支配的な項なので、はるかに簡単な補正式
で実際には十分である。
提案する用途
・特に、CO2およびNd:YAGレーザをベースとしたシステムを用いた二次および三次元表面に対するレーザ加工、マーキング、烙印、トリミング、硬化処理、スクライビング、ラベル付け、溶接、および切断処理。主要な利点は、エネルギーがシステムに吸収されない(これにより、光学装置の損傷を防止する)ということ、代わりにこの吸収されないエネルギーを利用して画像平面内での所望の光分布の強度レベルを増加させるということにある。加工物の選択された領域では同時に高出力が得られる。
・位相コントラスト画像形成に基づく効率的で動的なスポットアレイ発生器。双安定素子、光子スイッチおよびスマートピクセルなどの光電子素子アレイに対してバイアスまたは保持ビームを与えるためのもの。
・マシンビジョン用途用の構造化光(無損失)の発生。例えば、並列に更新できる周期的および斜め周期メッシュグリッド照明。
・フォトリソグラフィー用途(逐次走査の必要なしの並列レーザ3次元直接書き込み)。例えば、Geドープシリカへの導波路の高出力レーザ直接書き込み。
・純粋な位相変調(放射focusators)を用いた一般的空間光強度変調。
・レーザビーム成形(動的)。
・レーザ走査装置を必要としない高効率の並列画像投影。
・動的赤外シーン投影(DIRSP)。
・回折格子およびマスク生成のための露光装置。
・LIDAR用途。
・並列レーザ印刷
・レーザショー用途
・大気探査
Claims (65)
- 画像の強度パターンI(x',y')を合成する位相コントラスト画像形成方法であって、
多数の個々の画素(x,y)を有し、各画素(x,y)が入射した電磁放射の位相を所定のフェーザー値
で変調する位相マスク(4、23、43)の画素(x,y)の配置により、強度パターンI(x',y')をピクセル化するステップと、
前記空間位相マスク(4、23、43)に向けて電磁放射を放射するステップと、
変調された電磁放射をフーリエあるいはフレネル変換するステップと、
フーリエあるいはフレネル面で直流を構成する空間周波数領域で、変調された電磁放射を残りの電磁放射に対して所定の位相シフト値θだけ位相シフトするステップと、
位相シフトされたフーリエあるいはフレネル変換変調電磁放射を、それぞれフーリエあるいはフレネル変換することにより、前記位相マスク(4、23、43)の各画素(x,y)が画像の対応する画素(x',y')に投影されて強度パターンを形成するステップと、
位相マスク(4、23、43)の画素のフェーザー
の平均値を
とするとき、選定した位相シフト値θに対して、
により、前記位相マスク(4、23、43)のフェーザー値
と位相シフト値θを計算するステップと、
各画素に対して、特定のグレイレベルを表す2つのフェーザー値のうちのひとつを選択するステップと、
前記空間位相マスク(4、23、43)の画素(x,y)に選定したフェーザー値
を供給するステップと、
を備えている位相コントラスト画像形成方法。 - 電磁放射の直流成分をフーリエあるいはフレネル面の第2の部分へ移動させるステップと、
前記フーリエあるいはフレネル面の第2の部分のフーリエあるいはフレネル変換された変調電磁放射を残部の電磁放射に対してθだけ位相シフトさせるステップと、
をさらに備える請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 前記電磁放射の直流成分を移動させるステップは、回折格子、プリズム等の光学素子の適切な搬送周波数での使用を備えている請求項4記載の方法。
- 前記電磁放射の直流成分を移動させるステップは、適切な搬送周波数での回折格子、プリズム等の光学素子の機能の空間位相マスクへの符号化を備えている請求項4記載の方法。
- 強度パターンの強度範囲に応じて電磁放射の出力を調整するステップをさらに備える請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 前記位相シフトθは、π/4〜7π/4の範囲である請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
- 前記位相シフトθは、π/2〜3π/2の範囲である請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
- 前記位相シフトθは、3π/4〜5π/4の範囲である請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 前記位相シフトθは、約πである請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
- 前記強度パターンをスケーリングする画像をズームするステップをさらに備える請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
- 前記画像のズーミングは、動的に制御自在である請求項22記載の方法。
- 前記画像のズーミングは、前記位相マスク(4、23、43)のスケーリングに依存して制御自在である請求項22または23のいずれかに記載の方法。
- 前記位相マスク(4、23、43)のパターンの空間スケーリングおよび/または前記画像のズーミングに応じて前記電磁放射の出力を制御するステップをさらに備える請求項22〜24のいずれかに記載の方法。
- 前記位相シフトは、空間光変調器を用いて行われる請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
- 出力レンズの光学的機能を、前記位相フィルタ(6、27、45)に符号化するステップをさらに備えている請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
- 電磁放射を放射するステップは、任意の色の強度パターンを生成する、赤、緑および青等の3つの異なる色に対応する波長の異なる電磁放射の放射を備える請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
- 画像の画像パターンI(x',y')を合成する位相コントラスト画像形成システム(1)であって、
電磁放射を射出する電磁放射源(2、21、41)と、
多数の独立した画素(x,y)を有し、それぞれの画素(x,y)は入射した電磁波を所定のフェーザー値
で変調するもので、前記電磁波の伝播軸上に配置されて、電磁放射を位相変調する空間位相マスク(4、23、43)と、
前記位相変調放射の伝播軸上に配置され、前記位相変調電磁放射をフーリエあるいはフレネル変換する手段(5、26、44)と、
フーリエあるいはフレネル面の直流を構成する空間周波数領域で、変換された電磁放射を残部の電磁放射に対して所定の位相シフト値θだけ位相シフトする空間位相フィルター(6、27、45)と、
位相シフトされたフーリエあるいはフレネル変換変調電磁放射を、それぞれフーリエあるいはフレネル変換することにより、前記位相マスク(4、23、43)の各画素(x,y)が画像の対応する画素(x',y')に投影されて画像パターンを形成する手段(7、10、26、30、44、47)と、
選定した位相シフト値θについて、位相マスク(4、23、43)の画素のフェーザー
の平均値を
とするとき、
をほぼ満たす前記位相マスク(4、23、43)のフェーザー値
と位相シフト値θを備えている、位相コントラスト画像形成システム(1)。 - 電磁放射の直流成分をフーリエあるいはフレネル面の第2の部分へ移動させる手段と、
前記フーリエあるいはフレネル面の第2の部分の変換変調電磁放射を残部の電磁放射に対してθだけ位相シフトさせる前記フーリエあるいはフレネル面の第2の部分に配置された位相フィルター(6、27、45)と、
をさらに備える請求項30〜35のいずれかに記載のシステム(1)。 - 前記直流成分を構成する空間周波数領域をフーリエあるいはフレネル面の第2の部分に移動させる手段は、適切な搬送周波数の回折格子、プリズム等の光学素子からなる請求項36記載のシステム(1)。
- 前記直流成分を構成する空間周波数領域をフーリエあるいはフレネル面の第2の部分に移動させる手段は、適切な搬送周波数での回折格子、プリズム等の光学素子の機能が符号化された位相マスク(4、23、43)を備えでいる請求項36記載のシステム(1)。
- 強度パターンの強度範囲に応じて電磁放射の出力を調整する手段をさらに備える請求項30〜40のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記位相シフトθは、π/4〜7π/4の範囲である請求項45〜48のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記位相シフトθは、π/2〜3π/2の範囲である請求項45〜49のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記位相シフトθは、3π/4〜5π/4の範囲である請求項45〜50のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記位相シフトθは、約πである請求項30〜51のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記強度パターンをスケーリングするズーム手段(10、30、47)をさらに備える請求項30〜52のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記位相フィルター(6、27、45)は、空間光変調器からなる請求項30〜53のいずれかに記載のシステム(1)。
- 電磁放射源(2、21、41)は、任意の色の強度パターンを生成する、赤、緑および青等の3つの異なる色に対応する波長の異なる電磁放射を放射するよう調整されている請求項30〜56のいずれかに記載のシステム(1)。
- 第1および第2のフーリエ変換レンズ(5、7)と、前記第1レンズ(5)の前側焦点面に配置される前記空間位相マスク(4、23、43)と、前記第1レンズ(5)の後側焦点面に配置される前記空間位相フィルター(6、27、45)と、その前側焦点面が前記第1レンズ(5)の後側焦点面位置に配置されている前記第2のレンズ(7)とをさらに備える請求項30〜57のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記空間位相フィルタ(45)が、その後側焦点面に配置される一枚のフーリエ変換レンズ(44)をさらに備えている請求項30〜58のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記空間位相フィルタ(6、27、45)が、その後側焦点面に配置される一枚の結像レンズをさらに備えている請求項30〜59のいずれかに記載のシステム(1)。
- 偏光ビームスプリッタ(24)と4分の1波長板(25)および/または入射する電磁放射を反射する位相フィルタ(27)をさらに備える請求項30〜60に記載のシステム(1)。
- 前記空間位相フィルタ(6、27、45)は、直流を構成する空間周波数領域の放射の位相を変化させ、放射の残部の位相を変化させずにそのままにする請求項30〜61のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記空間位相フィルタ(6、27、45)は、直流を構成する空間周波数領域の放射の位相を変化させず、放射の残部の位相を変化させる請求項30〜61のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記空間位相フィルタ(6、27、45)は、直流を構成する空間周波数領域の放射を遮蔽し、放射の残部は変化させずにそのままにする請求項30〜61のいずれかに記載のシステム(1)。
- 前記電磁放射源(2、21、41)は、レーザ(2、21、41)である請求項30〜64のいずれかに記載のシステム(1)。
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