JP3961911B2 - 熱式流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力計を内蔵した熱式流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、圧力計の種類として、マノメータ式、ブルドン管式、静電容量式、差動トランス式、半導体ダイアフラム式などが知られている。これらは、一般に、大きな圧力の検出に用いられており、大型で構造が複雑であり、高価なものが多い。また、圧力計の圧力検出方式は、圧力/力平衡型と物理現象利用型とに分けることができる。圧力/力平衡型の圧力計は、生じた力を重力などの力に釣り合わせることによって、圧力を検出する。これに対して、物理現象利用型の圧力計は、物質の弾性や電気抵抗、圧電効果、電離などのいろいろな物理量の変化を捉えることによって、圧力を検出する。
【0003】
一方、フローセンサを利用した熱式流量計には、圧力計を内蔵したものがある(例えば特開平10−185642号公報)。図6は、圧力計を内蔵した従来の熱式流量計の構成を示す説明図である。熱式流量計20は、複数のフローセンサ21と、圧力計22と、フローセンサ21および圧力計22を搭載する基板23と、リード線24と、付属回路25とを備えている。
【0004】
付属回路25は、圧力計22から得られる流体の圧力に基づいて、フローセンサ21から得られる流体の流量の計測値を補正する。つまり、熱式流量計20は、流体の圧力が変化すると流量値の精度が悪くなるため、圧力計22から得られる圧力の測定値に基づいて高精度の流量値を算出するようにしている。また、流量を計測しているときに、何らかの原因により配管等に過大な圧力が生じる場合がある。そこで、圧力計22から得られる圧力の測定値を監視し、測定値が異常な場合には警報を出力するなどして危険な状態を回避するようにしている。
【0005】
図7は熱式流量計におけるフローセンサの概略構成を示す斜視図である。図7において、Fは流体の通流方向である。フローセンサは、シリコン基台B上に設けられた、発熱体からなるヒータ素子Rhと、測温抵抗体からなる一対の温度センサRu,Rdと、測温抵抗体からなる周囲温度センサRrとを備えている。第1の温度センサRuは、ガスの通流方向Fに沿ってヒータ素子Rhの上流側に配置され、第2の温度センサRdは、通流方向Fに沿ってヒータ素子Rhの下流側に配置されている。周囲温度センサRrは、周辺温度を計測するためのセンサであり、ヒータ素子Rhの影響を受けないように一定距離だけ離して配置されている。
【0006】
流体の流量FQは、ヒータ素子Rhから発せられる熱の拡散度合(温度分布)が流体の通流の速度によって変化することを利用して、温度センサRu,Rdにおける熱による抵抗値変化に基づいて計測されるようになっている。具体的には、ヒータ素子Rhから発せられた熱が、上流側の温度センサRuと下流側の温度センサRdとに加わる。このとき、流体の流量FQに応じて、温度センサRdの熱による抵抗値の変化は温度センサRuの熱による抵抗値の変化よりも大きくなる。この原理を利用して流体の流量FQを計測するようになっている。
【0007】
図8は、図7のフローセンサを用いた回路の一部である、ヒータ駆動回路1と流量検出回路3の構成を示すブロック図である。ヒータ駆動回路1は、ブリッジ回路2、トランジスタQ1、差動増幅器A1、固定抵抗R3,R4,R5,R6およびコンデンサC1からなる。ブリッジ回路2は、ヒータ素子Rhを駆動する回路であり、ヒータ素子Rhと周囲温度計測用の温度センサRrと一対の固定抵抗R1,R2とからなる。電源電圧+Vは、図示しない所定の電源から供給され、トランジスタQ1を介してブリッジ回路2に印加される。差動増幅器A1は、ヒータ素子Rhと温度センサRrとの抵抗値の変化に応じてブリッジ回路2のブリッジ出力電圧を検出し、そのブリッジ出力電圧が零(0)になるようにトランジスタQ1を帰還制御して、ブリッジ回路2に印可するヒータ駆動電圧を調整するようになっている。このように構成されたヒータ駆動回路1は、ヒータ素子Rhの発熱温度がその周囲温度よりも常に一定温度だけ高くなるように制御する。
【0008】
一方、流量検出回路3は、ブリッジ回路4、差動増幅器A2、固定抵抗Rfからなる。ブリッジ回路4は、一対の温度センサRu,Rdと一対の固定抵抗Rx,Ryとからなる。電源電圧+Vは、図示しない所定の電源から供給され、ブリッジ回路4に印加される。差動増幅器A2は、ブリッジ回路4の出力電圧V4,V5の差の電位を温度センサRu,Rdによって計測された温度差に相当する温度差信号Vtとして出力する。このように、流量検出回路3は、一対の温度センサRu,Rdの熱による抵抗値変化を温度差信号Vtに変換する。フローセンサに沿って通流する流体の流量FQは、この温度差信号Vtから求めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の圧力計においては多くの検出方式が実用化されている。しかしながら、このような圧力計は、大型で構造が複雑であり、高価格になるという問題点があった。また、熱式流量計において、圧力変化に伴う流量計測誤差を補正したり、配管等に生じる過大な圧力を監視したりしようとすると、流体の流量を計測するフローセンサとは別に圧力計を設ける必要があるので、熱式流量計が大型化し、高価格になるという問題点があった。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は圧力計を内蔵する熱式流量計において、小型、低コストで簡易な構成の圧力計を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、流体の温度を検出する周囲温度センサと、この周囲温度センサで検出される温度よりも一定温度だけ高くなるように発熱するヒータ素子と、このヒータ素子の上流側に配置された第1の温度センサと、前記ヒータ素子の下流側に配置された第2の温度センサとを備えたフローセンサを利用して前記流体の流量を検出する熱式流量計において、前記第1の温度センサで検出される温度と前記第2の温度センサで検出される温度との差を示すセンサ出力信号を出力する流量検出手段と、前記ヒータ素子に供給される駆動電気量を検出する駆動電気量検出手段と、前記駆動電気量に基づいて前記フローセンサを流れる流体の圧力を求める圧力算出手段と、前記流量検出手段から出力されたセンサ出力信号に基づいて前記流体の流量を求める流量算出手段と、前記流体の圧力に応じて前記流量の値を補正する手段とを備えるものである。圧力の算出は、気体の圧力によりその熱伝導率が異なり、熱伝導率の違いによりヒータ素子に供給される駆動電気量が異なることによるものである。本発明の流量計では、ヒータ素子から発せられる熱の拡散度合(温度分布)に基づいて流量が算出されるとともに、このヒータ素子に供給される駆動電気量に基づいて圧力が算出される。つまり、流量を算出するために設けられたヒータ素子をそのまま利用して、圧力が算出される。
また、本発明の熱式流量計の1構成例は、前記ヒータ素子に供給される駆動電気量と前記流体の圧力とを対応付けたデータを記憶する圧力変換テーブルを備え、前記圧力算出手段は、前記駆動電気量検出手段で検出された駆動電気量に基づいて、前記圧力変換テーブルを参照して前記流体の圧力を求めるものである。このように、駆動電気量検出手段で検出された駆動電気量に最も近い値を圧力変換テーブルから読み出したデータの中から検索し、検索した駆動電気量のデータに対応する圧力を圧力変換テーブルから読み出したデータの中から求めることにより、流体の圧力を求めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[参考例]
以下、本発明の参考例について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の参考例に係る圧力計の構成を示すブロック図である。この圧力計は、圧力センサのヒータ素子に駆動電気量を供給して発熱させるヒータ駆動回路1と、圧力センサと接する気体の圧力を求める演算部5と、気体の圧力算出のためのデータを記憶する記憶部6と、演算部5により演算されたデータやその演算のために必要なデータなどを表示する表示部7とを備えている。
【0014】
ここで、本参考例の圧力センサについて説明する。図1に示すように、ヒータ駆動回路1の一部の素子は圧力センサを構成している。圧力センサは、シリコン基台B上に設けられた、発熱体からなるヒータ素子Rhと、測温抵抗体からなる周囲温度センサRrとを備えている。この圧力センサの構造は、図7に示したフローセンサから温度センサRu,Rdを取り去ったものに相当する。
【0015】
ヒータ駆動回路1は、ブリッジ回路2、トランジスタQ1,Q2、差動増幅器A1、固定抵抗R3,R4,R5,R6およびコンデンサC1からなる。ブリッジ回路2は、ヒータ素子Rhを駆動する回路であり、ヒータ素子Rhと周囲温度計測用の温度センサRrと一対の固定抵抗R1,R2とからなる。電源電圧+Vは、図示しない所定の電源から供給され、トランジスタQ1を介してブリッジ回路2に印加される。
【0016】
ブリッジ回路2の平衡条件は、抵抗R1の抵抗値/ヒータ素子Rhの抵抗値=抵抗R2の抵抗値/温度センサRrである。ブリッジ回路2に電圧が印加されると、ヒータ素子Rhが発熱し、その結果、ヒータ素子Rhの抵抗値が増加して、前記平衡条件が成立するところでバランスする。差動増幅器A1は、抵抗R1とヒータ素子Rhの接続点の電位であるヒータ駆動電圧V1と、抵抗R2と温度センサRrの接続点の電位V3とが一定の電位差(例えば0)となるようにトランジスタQ1を帰還制御する。
【0017】
ここで、周囲温度が上昇して温度センサRrの抵抗値が増加すると、ブリッジ回路2の平衡が失われて、抵抗R2と温度センサRrの接続点の電位V3が上昇するので、差動増幅器A1は、ブリッジ回路2を再度平衡にさせるべく、トランジスタQ1のベース電圧を低下させる。これにより、ブリッジ回路2に印加される電圧が上昇して、ヒータ素子Rhの発熱量が増大し、ヒータ素子Rhの抵抗値が増加して、前記平衡条件が成立するところでバランスする。
【0018】
一方、周囲温度が低下して温度センサRrの抵抗値が減少すると、抵抗R2と温度センサRrの接続点の電位V3が低下するので、差動増幅器A1は、トランジスタQ1のベース電圧を上昇させる。これにより、ブリッジ回路2に印加される電圧が低下して、ヒータ素子Rhの発熱量が減少し、ヒータ素子Rhの抵抗値が減少して、前記平衡条件が成立するところでバランスする。このようにして、ヒータ駆動回路1は、ヒータ素子Rhの発熱温度が温度センサRrで検出される周囲温度よりも常に一定温度だけ高くなるようにヒータ素子Rhを制御する。
【0019】
トランジスタQ2は、ヒータ素子Rhと並列に接続された、ヒータ駆動回路1のスイッチ素子である。演算部5は、ヒータ駆動電圧V1を監視して、このヒータ駆動電圧V1が所定の上限値を超えた場合には、トランジスタQ2にベース電流を流してトランジスタQ2をオンさせ、ヒータ素子Rhに対するヒータ駆動電圧V1の印加を停止させる。これにより、ヒータ素子Rhの異常発熱を防止することができる。
【0020】
次に、演算部5は、ヒータ素子Rhに供給される駆動電気量をヒータ駆動回路1の電圧V1,V2から求め、この駆動電気量に基づいて、ヒータ素子Rhと周囲温度センサRrとに接する気体の圧力PQを求める。この演算部5は、ヒータ駆動電気量検出手段5aと圧力算出手段5bとを備えている。
【0021】
ヒータ駆動電気量検出手段5aは、ヒータ素子Rhに供給される駆動電気量として、例えばヒータ消費電力を求める。ヒータ消費電力は、ヒータ素子Rhに印加されるヒータ駆動電圧V1とヒータ素子Rhを含むブリッジ回路2に印加される電圧V2と固定抵抗R1の値とから、ヒータ素子Rhに供給されるヒータ駆動電流Iを求め、このヒータ駆動電流Iとヒータ駆動電圧V1とからI×V1により求めることができる。
【0022】
なお、ヒータ駆動電気量検出手段5aは、ヒータ素子Rhに供給されるヒータ駆動電流Iを駆動電気量としてもよい。また、ヒータ駆動電気量検出手段5aは、ヒータ素子Rhに印加されるヒータ駆動電圧V1を駆動電気量としてもよい。つまり、ヒータ駆動電気量検出手段5aは、ヒータ素子Rhの発熱量に相当する電気量を電圧、電流、電力のいずれかで求めるようにすればよい。
【0023】
圧力算出手段5bは、ヒータ駆動電気量検出手段5aで求められた駆動電気量(ヒータ駆動電圧、ヒータ駆動電流またはヒータ消費電力)に基づいて気体の圧力PQを求める。以下、駆動電気量と圧力の関係について説明する。図2は、ヒータ消費電力と気体の圧力PQとの関係を示す特性図である。この図2に示した特性は、圧力が既知の気体を予め校正された圧力計に流すことで求めたものである。図2によれば、圧力PQが大きくなるとヒータ消費電力も大きくなることが分かり、ヒータ消費電力から圧力PQを一義的に特定できることが分かる。
【0024】
図2の例では、ヒータ消費電力について説明しているが、ヒータ素子Rhに供給されるヒータ駆動電圧またはヒータ駆動電流についても同様で、ヒータ駆動電圧またはヒータ駆動電流から圧力PQを一義的に特定できる。このように、ヒータ素子Rhに供給される駆動電気量から気体の圧力PQを特定できるのは、気体の熱伝導率が圧力PQによって変化するからである。
【0025】
図3は、気体の圧力PQと熱伝導率との関係を示す特性図である。図3によれば、圧力PQが大きくなると熱伝導率も大きくなることが分かり、圧力PQと熱伝導率とは互いに一義的に特定されることが分かる。以上のように、気体の圧力PQが変化するとこの気体の熱伝導率が変化し、そして気体の熱伝導率が変化するとヒータ素子Rhに供給される駆動電気量が変化するという関係がある。
【0026】
記憶部6の圧力変換テーブル6aは、図2に示した関係、すなわちヒータ素子Rhに供給される駆動電気量と気体の圧力PQとを対応付けたデータを記憶している。この圧力変換テーブル6aに記憶されているデータは、演算部5の圧力算出手段5bからの要求に従って、圧力PQを特定するために読み出される。圧力算出手段5bは、この圧力変換テーブル6aのデータとヒータ駆動電気量検出手段5aで求められた駆動電気量に基づいて圧力PQを特定する。
【0027】
すなわち、圧力算出手段5bは、ヒータ駆動電気量検出手段5aで求められた駆動電気量に最も近い値を圧力変換テーブル6aから読み出したデータの中から検索し、検索した駆動電気量のデータに対応する圧力PQを圧力変換テーブル6aから読み出したデータの中から求め、この圧力PQ(圧力計測値)を圧力信号として出力する。
【0028】
また、圧力算出手段5bは、算出した圧力PQを監視して、この圧力PQが所定の上限値を超えた場合には圧力異常とみなし、圧力異常信号を出力する。これにより、気体が流れる配管等に生じる過大な圧力を監視して、危険な状態を回避することができる。なお、図2、図3に示した特性は気体の種類によって異なる。したがって、圧力PQを測定する気体のデータを圧力変換テーブル6aに予め登録しておく必要がある。
【0029】
圧力計の表示部7は、演算部5により演算されたデータやその演算のために必要な条件データなどを表示する。表示するデータとしては、例えばヒータ駆動電気量検出手段5aで求められた駆動電気量(ヒータ駆動電圧、ヒータ駆動電流またはヒータ消費電力)、ブリッジ回路2に印加される電圧V2、圧力算出手段5bにより読み出された圧力変換テーブル6aの駆動電気量のデータ、圧力算出手段5bで算出された圧力などがある。
【0030】
以上説明したように、本参考例によれば、ヒータ素子Rhに供給される駆動電気量と気体の圧力PQとが一定の関係にあることを利用して、駆動電気量に基づいて圧力PQを算出するようにしたので、ヒータ素子Rhなどからなる簡易な構成で圧力計を実現することができ、小型化を実現し、コストの低減を図ることができる。
【0031】
なお、圧力計は上記参考例に限定されるものではない。例えば、圧力算出手段5bは、駆動電気量と圧力とを関係付ける予め設定された関係式を用いて、ヒータ駆動電気量検出手段5aで求められた駆動電気量から圧力を求めるようにしてもよい。予め設定された関係式を用いることにより、記憶部6の圧力変換テーブル6aを参照することなく、圧力を求めることができる。
【0032】
[第1の実施の形態]
図4は本発明の第1の実施の形態に係る熱式流量計の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。この熱式流量計は、ヒータ駆動回路1と、フローセンサの第1の温度センサで検出される温度と第2の温度センサで検出される温度との差を示すセンサ出力信号Voutを出力する流量検出回路3と、フローセンサを流れる流体の圧力を求めると共に、流体の流量を求める演算部5’と、流体の圧力算出と流量算出のためのデータを記憶する記憶部6’と、演算部5’により演算されたデータやその演算のために必要なデータなどを表示する表示部7’とを備えている。
【0033】
ここで、熱式流量計のフローセンサについて説明する。図4に示すように、ヒータ駆動回路1と流量検出回路3の一部の素子はフローセンサを構成している。フローセンサは、シリコン基台B上に設けられた、発熱体からなるヒータ素子Rhと、測温抵抗体からなる一対の温度センサRu,Rdと、測温抵抗体からなる周囲温度センサRrとを備えている。このフローセンサの構造は図7に示したとおりである。
【0034】
ヒータ駆動回路1は、ブリッジ回路2、トランジスタQ1,Q2、差動増幅器A1、固定抵抗R3,R4,R5,R6およびコンデンサC1からなる。このヒータ駆動回路1の動作は参考例と同じである。
【0035】
流量検出回路3は、ブリッジ回路4、差動増幅器A2、減算器SUB、固定抵抗Rf,R7,R8,R9,R10およびコンデンサC2,C3からなる。ブリッジ回路4は、一対の温度センサRu,Rdと一対の固定抵抗Rx,Ryとからなる。電源電圧+Vは、図示しない所定の電源から供給され、ブリッジ回路4に印加される。
【0036】
図7に示したフローセンサに沿って流体が流れると、上流側に位置する温度センサRuは、下流側に位置する温度センサRdに比べて、より強く冷やされる。これにより、2つの温度センサRu,Rd間に温度差が現れ、この温度差は温度センサRu,Rdの抵抗値変化となり、ブリッジ回路4の出力電圧V4の変化となる。差動増幅器A2は、ブリッジ回路4の出力電圧V4,V5の差の電位を温度センサRu,Rdによって計測された温度差に相当する温度差信号Vtとして出力する。
【0037】
減算器SUBは、差動増幅器A2から出力された温度差信号Vtを演算部5’から出力されたゼロ点調整量Vadjによってオフセットし、このオフセットした温度差信号をセンサ出力信号Vout(=Vt+Vadj)として出力する。ゼロ点調整量Vadjは、温度センサRu,Rdや固定抵抗Rx,Ry等の抵抗値のバラツキに起因する熱式流量計個々の流量計測誤差を補正するための信号である。
【0038】
演算部5’は、フローセンサを流れるガスの流量FQが零(0)のときに流量検出回路3から出力されるセンサ出力信号Voutが零となるようにゼロ点調整量Vadjを出力する。このゼロ点調整量Vadjは、熱式流量計の出荷時に調整される。
【0039】
以上のように、流量検出回路3は、一対の温度センサRu,Rdの熱による抵抗値変化を温度差信号Vtに変換する。フローセンサに沿って通流するガスの流量FQは、この温度差信号Vtをオフセットしたセンサ出力信号Voutから求めることができる。
【0040】
次に、演算部5’は、ヒータ素子Rhに供給される駆動電気量をヒータ駆動回路1の電圧V1,V2から求め、この駆動電気量に基づいて流体の圧力PQを求めると共に、流量検出回路3から出力されたセンサ出力信号Voutに基づいて流体の流量FQを求める。この演算部5’は、ヒータ駆動電気量検出手段5aと、圧力算出手段5bと、流量検出回路3から出力されたセンサ出力信号Voutに基づいて流体の流量を求める流量算出手段5cとを備えている。
【0041】
ヒータ駆動電気量検出手段5aの動作は参考例と同じである。圧力算出手段5bは、ヒータ駆動電気量検出手段5aで求められた駆動電気量(ヒータ駆動電圧、ヒータ駆動電流またはヒータ消費電力)に基づいて流体の圧力PQを求める。記憶部6’の圧力変換テーブル6aの構成は参考例に示したものと同じであり、この圧力変換テーブル6aを参照して流体の圧力PQを求める圧力算出手段5bの動作も参考例と同じである。
【0042】
次に、流量算出手段5cは、流量検出回路3から出力されたセンサ出力信号Voutに基づいて流体の流量FQを求める。以下、センサ出力信号Voutと流量FQの関係について説明する。図5は、熱式流量計におけるセンサ出力信号Voutと流体の流量FQとの関係を示す特性図である。図5に示した特性は、流量が既知の流体を予め校正された熱式流量計に流すことで求めたものである。図5によれば、流体の流量FQが大きくなるとセンサ出力信号Voutも大きくなることが分かり、センサ出力信号Voutから流量FQを一義的に特定できることが分かる。
【0043】
記憶部6’の流量変換テーブル6bは、図5に示した関係、すなわちセンサ出力信号Voutと流体の流量FQとを対応付けたデータを記憶している。この流量変換テーブル6bに記憶されているデータは、流量算出手段5cからの要求に従って、流体の流量FQを特定するために読み出される。そして、流量算出手段5cは、流量検出回路3から出力されたセンサ出力信号Voutに最も近い値を流量変換テーブル6bから読み出したデータの中から検索し、検索したセンサ出力信号Voutのデータに対応する流量FQを流量変換テーブル6bから読み出したデータの中から求め、この流量FQ(ガス流量計測値)を流量信号として出力する。
【0044】
また、流量算出手段5cは、圧力算出手段5bにより算出された流体の圧力PQに応じて、流量FQの値を補正する。具体的には、流量算出手段5cは、流量検出回路3から出力されたセンサ出力信号Voutに応じて流量FQを求めた後に、圧力PQの値に応じて流量FQに補正を施す。これにより、圧力PQの変化に伴う流量FQの誤差をなくすことができ、高精度の流量計測値を得ることができる。
【0045】
こうして、演算部5’は、圧力算出手段5bにより算出された圧力PQの値を圧力信号として出力するとともに、流量算出手段5cにより算出された流量FQの値を流量信号として出力する。また、演算部5’は、ヒータ駆動電圧V1を監視して、このヒータ駆動電圧V1が所定の上限値を超えた場合には、トランジスタQ2をオンさせ、ヒータ素子Rhに対するヒータ駆動電圧V1の印加を停止させる。これにより、ヒータ素子Rhの異常発熱を防止することができる。
【0046】
熱式流量計の表示部7’は、演算部5’により演算されたデータやその演算のために必要な条件データなどを表示する。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ヒータ素子Rhに供給される駆動電気量に基づいて圧力PQを算出するようにしたので、熱式流量計に内蔵される圧力計を小型、低コストで簡易な構成で実現することができる。また、本実施の形態によれば、圧力を検出するために用いられるヒータ駆動回路1は、本来、流体の流量を検出するために用いられる回路である。したがって、流体の圧力を検出するための手段と流量を検出するための手段とを別々に設ける必要がないので、圧力計を別途設ける場合に比べて、熱式流量計の小型化を実現することができ、コストを低減することができる。
【0048】
なお、本発明の熱式流量計は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、流量算出手段5cは、センサ出力信号Voutと流体の流量FQとを関係付ける予め設定された関係式を用いて、流量検出回路3から出力されたセンサ出力信号Voutから流体の流量FQを求めるようにしてもよい。予め設定された関係式を用いることにより、記憶部6’の流量変換テーブル6bを参照することなく、流量FQを求めることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、所定の温度になるように発熱するヒータ素子と、ヒータ素子に供給される駆動電気量を検出する駆動電気量検出手段と、駆動電気量に基づいて、ヒータ素子に接する気体の圧力を求める圧力算出手段とを設けることにより、ヒータ素子に供給される駆動電気量に基づいて気体の圧力を求めるようにしたので、簡易な構成で圧力計を実現することができ、小型化を実現し、コストの低減を図ることができる。
【0050】
また、ヒータ素子に供給される駆動電気量と気体の圧力とを対応付けたデータを記憶する圧力変換テーブルを設けることにより、気体の圧力を求めることができる。
【0051】
また、フローセンサを利用して流体の流量を検出する熱式流量計において、ヒータ素子に供給される駆動電気量を検出する駆動電気量検出手段と、駆動電気量に基づいてフローセンサを流れる流体の圧力を求める圧力算出手段とを設けることにより、ヒータ素子に供給される駆動電気量に基づいて流体の圧力を求めるようにしたので、熱式流量計に内蔵される圧力計を小型、低コストで簡易な構成で実現することができる。また、流量を検出するための手段の一部を圧力を検出するための手段としても利用することができるので、圧力計を別途設ける場合に比べて、熱式流量計の小型化を実現することができ、コストを低減することができる。
【0052】
また、ヒータ素子に供給される駆動電気量と流体の圧力とを対応付けたデータを記憶する圧力変換テーブルを設けることにより、流体の圧力を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例に係る圧力計の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の圧力計におけるヒータ消費電力と気体の圧力との関係を示す特性図である。
【図3】 気体の圧力と熱伝導率との関係を示す特性図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係る熱式流量計の構成を示すブロック図で
ある。
【図5】 図4の熱式流量計におけるセンサ出力信号と流体の流量との関係を示す特性図である。
【図6】 圧力計を内蔵した従来の熱式流量計の構成を示す説明図である。
【図7】 熱式流量計におけるフローセンサの構成を示す斜視図である。
【図8】 図7のフローセンサを用いた回路の一部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…ヒータ駆動回路、2、4…ブリッジ回路、3…流量検出回路、5、5’…演算部、5a…ヒータ駆動電気量検出手段、5b…圧力算出手段、5c…流量算出手段、6、6’…記憶部、6a…圧力変換テーブル、6b…流量変換テーブル、7、7’…表示部、Vout…センサ出力信号、Rh…ヒータ素子、Ru…第1の温度センサ、Rd…第2の温度センサ、Rr…周囲温度センサ。
Claims (2)
- 流体の温度を検出する周囲温度センサと、この周囲温度センサで検出される温度よりも一定温度だけ高くなるように発熱するヒータ素子と、このヒータ素子の上流側に配置された第1の温度センサと、前記ヒータ素子の下流側に配置された第2の温度センサとを備えたフローセンサを利用して前記流体の流量を検出する熱式流量計において、
前記第1の温度センサで検出される温度と前記第2の温度センサで検出される温度との差を示すセンサ出力信号を出力する流量検出手段と、
前記ヒータ素子に供給される駆動電気量を検出する駆動電気量検出手段と、
前記駆動電気量に基づいて前記フローセンサを流れる流体の圧力を求める圧力算出手段と、
前記流量検出手段から出力されたセンサ出力信号に基づいて前記流体の流量を求める流量算出手段と、
前記流体の圧力に応じて前記流量の値を補正する手段とを備えることを特徴とする熱式流量計。 - 請求項1記載の熱式流量計において、
前記ヒータ素子に供給される駆動電気量と前記流体の圧力とを対応付けたデータを記憶する圧力変換テーブルを備え、
前記圧力算出手段は、前記駆動電気量検出手段で検出された駆動電気量に基づいて、前記圧力変換テーブルを参照して前記流体の圧力を求めることを特徴とする熱式流量計。
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