JP3960874B2 - コーナーキューブアレイおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置などにおいて好適に用いられるコーナーキューブアレイおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロレンズ、マイクロミラー、マイクロプリズムなどの、非常にサイズが小さい光学素子(マイクロ光学素子)の開発が進められており、光通信や表示装置の分野での利用が図られている。このようなマイクロ光学素子の実現によって、光学技術及びディスプレイ技術の分野が一段と発展・充実することが期待されている。
【0003】
このようなマイクロ光学素子を利用した表示装置として、再帰性反射板を備える反射型液晶表示装置が、例えば米国特許第5,182,663号、特開平11−7008号公報、特開2000−19490号公報などに記載されている。再帰性反射板を用いれば、光の入射方向と同じ方向に光を反射(すなわち再帰反射)させることができる。このため、上記反射型液晶表示装置では、使用者の目には、使用者の近傍から発せられた光の反射光が選択的に届き、外部のライトや太陽などの光源から発せられる光の反射光が届くことが防止される。これにより、外光の映り込みを抑えることができ、視認性を向上させることができる。また、この反射型液晶表示装置では、再帰性反射板によって外光の映り込みを低減しているので、反射板の反射率を低下させて反射光の強度を低下させる必要がない。これにより、明るくコントラストの高い表示を実現することが可能である。
【0004】
このような再帰性反射板は、例えば、コーナーキューブアレイを用いて形成される。コーナーキューブは立方体の一隅を形成する形状を有し、典型的には、互いに直交する3つの面を有する。このようなコーナーキューブアレイから形成された反射板は、入射された光を複数の反射面で反射することによって、入射方向にかかわらず光を元の方向に反射させることができる。以下、図5を参照しながら、コーナーキューブアレイを用いて形成された再帰性反射板を備える従来の反射型液晶表示装置80の構成を説明する。
【0005】
反射型液晶表示装置80は、コーナーキューブアレイ83が設けられた基板82と、観察者側に位置する透明基板81と、これらの基板81,82の間に挟持された高分子分散型液晶層84とを備える。コーナーキューブアレイ83上には金属反射膜85が形成されており、黒表示時において、透明基板81および光透過状態に制御された高分子分散型型液晶層84を透過してきた光を、その入射方向と同じ方向に反射することができる。コーナーキューブアレイ83の凹部は、透明平坦化部材86によって埋められており、この平坦化部材86の上に透明電極87が形成されている。また、透明基板81の液晶層側には、カラーフィルタ層88および透明電極89が設けられている。反射型液晶表示装置80では、透明電極87,89によって高分子分散型液晶層84に印加する電圧を制御することによって、高分子分散型液晶層84の光透過性(または散乱状態)を制御し、これにより、画像の表示を行なう。
【0006】
表示装置80において用いられるコーナーキューブのサイズL1は、画素サイズL2以下であることが好ましい。コーナーキューブのサイズL1が画素サイズL2よりも大きい場合、所定のコーナーキューブに入射する光が通過する画素と、そのコーナーキューブによって反射された光が通過する画素とが異なることがあり、その場合には混色等の問題が生じるからである。従って、例えば画素サイズL2が100μm程度の場合、コーナーキューブのサイズL1は、好適には、数十μm以下に設定される。
【0007】
このような従来の反射型液晶表示装置において利用されるコーナーキューブとして、三角錐状の凹部または凸部のみから構成される形状を有するものが知られている。三角錐状の凹部または凸部でコーナーキューブであれば、上述のような数十μm以下というようなサイズで且つ形状精度高く作製することが比較的容易である。
【0008】
一方、道路標識などにおいて用いられる比較的サイズの大きい再帰性反射板としては、より複雑な形状を有するコーナーキューブを用いるもの(コーナーキューブリフレクタ)が知られている。以下、図6(a)〜(c)を参照しながら、より複雑な形状を有するコーナーキューブリフレクタの構成を説明する。
【0009】
図6(a)および(b)に示すように、コーナーキューブリフレクタ90は、実質的に互いに直交する3つの略正方形の反射面S1,S2,S3を備えた構造を有する。コーナーキューブリフレクタ90に入射された光は、図6(c)に示すように、例えば3面S2,S3,S1で反射され、入射方向と同一の方向に戻る。なお、コーナーキューブリフレクタ90において、略正方形である各反射面S1,S2,S3は、立方体の6面における共通する頂点を有する3面に対応している。図6(a)に示すように、コーナーキューブリフレクタ90は、○で示す最頂点を有する凸部92(×で示す中位点によって規定されるレベルよりも上側にある部分)と、●で示す最底点を有する凹部94(×で示す中位点によって規定されるレベルよりも下側にある部分)とによって構成されている。以下、このようなコーナーキューブを立方体型コーナーキューブと称する。
【0010】
立方体型コーナーキューブを用いて形成される反射板は、三角錐状の凹部または凸部のみから形成されるコーナーキューブ(以下、三角錐型コーナーキューブと称する)を用いる場合に比べ、入射光をより効率良く再帰反射させることができる。以下、図7(a)〜(d)を参照しながら、三角錐型コーナーキューブおよび立方体型コーナーキューブのそれぞれを用いた場合における光の反射の様子について説明する。
【0011】
図7(a)および(b)は、三角錐型コーナーキューブ96を示し、図7(c)および(d)は、立方体型コーナーキューブ98を示す。図7(b)に示すように、三角錐型コーナーキューブ96では、コーナーキューブの中央部に入射した光Aは図において点線で示すように再帰反射されるが、その角部に入射した光Bは再帰反射されない。すなわち、三角錐型コーナーキューブ96では、図7(a)に示すように、その角部において非再帰反射領域96aが形成される。これに対し、図7(d)に示すように、立方体型コーナーキューブ98では、角部に入射した光であっても、再帰反射される。従って、立方体型コーナーキューブ98では、非再帰反射領域が形成されず、反射面における再帰反射可能領域が広くなるため、入射光のより多くを再帰反射させることが可能である。
【0012】
反射型表示装置において三角錐型コーナーキューブの再帰性反射板を用いた場合、黒表示時において液晶層を透過した光の一部は再帰反射されず、入射方向と異なる方向に反射されることになる。この場合、使用者から離れたところから発せられる光の反射光の一部が使用者の目に届くことになり、これによってコントラスト比の低下が生じる。これに対し、立方体型コーナーキューブから形成される再帰性反射板を用いれば、より高い効率で入射光を再帰反射させることができるので、コントラスト比を向上させることができる。
【0013】
しかし、反射型表示装置において好適に用いられるような、例えば100μm以下の微細なサイズで立方体型コーナーキューブを作製することは容易ではない。以下、従来の立方体型コーナーキューブアレイの作製方法を説明する。
【0014】
(ピン結束法)
ピン結束法では、六角柱形状を有する金属のピンの先端に、互いに直交する正方形の3面を有するプリズムを設け、それらを何本も束ねてプリズム集合体を作製する。近接する3つのピンのそれぞれに設けられたプリズムの各1面ずつを用いて立方体型コーナーキューブが形成される。
【0015】
ただし、この方法では、別々のピンに形成されたプリズムを集めてコーナーキューブアレイを形成するため、サイズの小さいコーナーキューブを作製することは実際には困難である。この方法を用いて作製できるコーナーキューブの寸法(図6(b)に示すL3に相当する寸法)は1mm程度が限界であり、数十μmサイズの立方体型コーナーキューブを形成することは困難である。
【0016】
(プレート法)
プレート法では、互いに平行な二平面を持つ平板を複数枚重ねあわせ、この重ね合わせた平板の端面において、平面に対して直角な方向に等しいピッチでV溝を切削して頂角が約90°の連続する屋根型の突起群を形成する。次に、各々の平板上に形成された屋根型突起群の屋根の頂部を、隣接する平板上に形成されたV溝の底部に一致させるように移動させることによって立方体型コーナーキューブアレイ用の金型を作製する。
【0017】
ただし、この方法では、屋根型の突起が形成された平板を隣接する平板に対して適切な位置関係を有するように精度良く並べ換えて固定する必要がある。従って、100μm以下のサイズを有する微細な立方体型コーナーキューブを形成することは困難である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、近年では、立方体型コーナーキューブアレイを微細なサイズで作製する技術も開発されてきている。このような技術は、例えば、Applied Optics Vol.35, No19 pp3466-3470における"Precision crystal corner cube arrays for optical gratings formed by (100) silicon planes with selective epitaxial growth"と題された論文に記載されている。この論文によれば、シリコン基板から結晶をエピタキシャル成長させることによって、微細なコーナーキューブアレイを作製している。
【0019】
このようにして得られる微細な立方体型コーナーキューブから再帰性反射板を作製すれば高い再帰反射率を実現することができる。これを表示装置に用いれば、混色を防止できるとともにコントラスト比を向上させることができる。しかし上記の方法では結晶成長を適切に制御する必要などが生じ、これ以外の方法によって、微細な立方体型コーナーキューブを作製するという課題があった。
【0020】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、表示装置の再帰性反射板として好適に利用される、微細な単位構造を持つコーナーキューブアレイおよびその製造方法を提供することをその目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のコーナーキューブアレイの製造方法は、凹部を表面に有する母材を用意する工程と、前記凹部に対応した凸形状を有する第1の部分、および、少なくとも1つの面を有する第2の部分を備える粒子を用意する工程と、前記母材上で前記第2の部分が露出されるように前記第1の部分を前記凹部内に配置させることによって、前記少なくとも1つの面を含むコーナーキューブを形成する工程とを包含する。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの面は、互いに直交する3つの平面を含む。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記凹部は三角錐形状を有し、前記粒子は立方体形状を有する。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記粒子は結晶であり、前記少なくとも1つの面は前記結晶の所定の結晶面によって規定される。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記粒子は、塩化ナトリウムからなることを特徴とする。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記粒子のサイズは、1μm以上1000μm以下である。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記母材上に形成された前記コーナーキューブの形状を、他の材料に転写する工程をさらに包含する。
【0028】
本発明のコーナーキューブアレイは、複数の凹部を表面に有する母材と、それぞれが、前記複数の凹部のそれぞれに対応した形状を持つ凸部を有し前記複数の凹部のそれぞれにおいて配置された複数の粒子とを備える。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記複数の粒子のそれぞれは、前記母材上で露出される少なくとも1つの面を有し、隣接する粒子の前記少なくとも1つの面によってコーナーキューブが形成されている。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの面は、互いに直交する3つの平面を含む。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記凹部は三角錐形状を有し、前記粒子は立方体形状を有する。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記粒子は結晶であり、前記少なくとも1つの面は前記結晶の所定の結晶面によって規定される。
【0033】
ある好ましい実施形態において、前記粒子が塩化ナトリウムからなることを特徴とする。
【0034】
本発明のコーナーキューブアレイの型は、複数の凹部を表面に有する母材と、それぞれが、前記複数の凹部のそれぞれに対応した形状を持つ凸部を有し前記複数の凹部のそれぞれにおいて配置された複数の粒子と、前記複数の粒子が配置された前記母材上に設けられた被覆膜とを備える。
【0035】
本発明のコーナーキューブアレイの製造方法は、母材を用意する工程と、少なくとも1つの面を有する部分を含む粒子を用意する工程と、前記母材上で前記部分が突出し、前記少なくとも1つの面が露出されるように、前記粒子を前記母材上に配置することによって、前記少なくとも1つの面を含むコーナーキューブを形成する工程とを包含する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態として作製される微細な立方体型コーナーキューブアレイを用いて構成される再帰性反射板について説明する。
【0037】
図1(a)および(b)は、本実施形態にかかる再帰性反射板を作製するために用いられる母材10を示す。母材としては、ニッケルなどの金属板を用いることができる。この母材10の表面には、複数の微細な三角錐状凹部11(三角錐の底面の一辺が例えば50μm程度)が、互いに60°異なる3つの方向のそれぞれにおいて、平坦部12と交互に配置するように形成されている。三角錐状凹部のそれぞれは、互いに直交する直角二等辺三角形の3面によって規定される形状を有し、立方体の角部に対応する形状をなす。このような凹部は、所定の形状の三角錐の凸部を有する高硬度のピンを切削加工によって作製し、このピンを母材となる金属板の表面に対して所定のピッチで多数回型押し形成することによって形成することができる。このようにして、所定の位置において複数の凹部が形成された母材が得られる。
【0038】
なお、母材に設けられる凹部は、互いに完全に離間するように形成されていても良いし、部分的に重畳するように形成されていてもよい。ただし好適には、凹部のそれぞれの中心部は、ハニカム格子点(合同な正六角形を隙間なく敷き詰めた場合における、各正六角形の頂点と各正六角形の重心点とに対応する点、あるいは、第1の方向に延びる等間隔(所定間隔)の複数の平行線と、上記第1の方向とは60°異なる第2の方向に延びる、等間隔かつ上記所定間隔と同一の間隔の複数の平行線との交点)に対応する位置に設けられる。
【0039】
次に、上述のような複数の凹部が形成された母材上に配置される粒子を用意する。ここで用意する粒子は、母材の凹部形状に対応した凸形状を有する第1の部分と、それ以外の第2の部分とを備えており、第2の部分は、コーナーキューブを構成する面となる少なくとも1つの面(ファセット)を有している。本実施形態では、このような粒子として、立方体状の塩化ナトリウム結晶を用いる。以下、この立方体状の塩化ナトリウム結晶の粒子を得る方法についてより詳細に説明する。
【0040】
図2(a)〜(c)は、本実施形態において用いられる、サイズ(例えば1辺が35μm)のそろった複数の微小な立方体状塩化ナトリウム粒子20を得る方法を示す。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、へき開した塩化ナトリウムの粒子(結晶体)21を、塩化ナトリウムが溶けない無極性液体22(例えばテトラヒドロフラン)中に分散させる。なお、へき開した塩化ナトリウム粒子21は、例えば、飽和塩水を煮詰めたり、機械的な粉砕を行ったりすることによって得ることができる。このようして得られた塩化ナトリウムの粒子21のそれぞれは立方体形状を有する。なお、粒子21は、塩化ナトリウムから構成される必要は無く、岩塩型結晶構造を有する材料(例えばMgOやKClなど)から形成してもよい。
【0042】
次に、図2(b)に示すように、塩化ナトリウム粒子21が分散された上述の液体(分散液)22を遠心分離機23に供し、分散液中の塩化ナトリウム粒子21を遠心分離する。これにより、液体中の各領域においてサイズがそろった立方体状塩化ナトリウム粒子20が得られる。図2(c)に示すように、所定の領域に存在する立方体状塩化ナトリウム粒子20をパスツールピペット等で抽出することで、所望のサイズの塩化ナトリウム粒子20を得ることができる。このようにして得られた略同サイズの塩化ナトリウムの粒子のそれぞれは、上述のように立方体形状を有し、それぞれが正方形の6つの面(ファセット)を備える。粒子の6つのファセットには、互いに直交する3つの平面が含まれる。
【0043】
次に、図3に示すように、サイズが揃った塩化ナトリウム粒子20を塩化ナトリウムが溶けない無極性液体(分散媒)に分散させることによって分散液を作製し、これを母材10上に流すことにより、母材10上に塩化ナトリウム粒子20を配置させる。より具体的には、母材10の凹部11に粒子20の角部が嵌ることによって、粒子20は母材10の凹部11に配置させられる。なお、粒子20は、母材10の凹部11の形状(三角錐形状)に対応する角部を有しているため、母材10上に分散液を流すだけで、粒子20は母材10の凹部11内において所定の向きに自動的に配置される。
【0044】
なお、このように液体中に分散させた粒子を母材の凹部内に配置させる方法としては、例えば、米国特許第5,545,291号、5,783,856号、5,824,186号、5,904,545号などに記載されている方法を利用してもよい。すなわち、凹部が形成された母材を、所定の角度で傾けた状態でベッセル内に収容し、このベッセル内において、上述の塩化ナトリウム粒子20を含む分散液を所定の流速で母材上に流すが、ベッセル内において母材は分散液中に浸漬されるとともに母材の近傍に設けられた流出口から分散液のフローが母材上に供給される。このとき、分散液の流速等を適切に設定すれば、母材上に設けられた三角錐状の凹部内に、塩化ナトリウムの粒子の角部が適切に嵌合させることができる。これにより、各凹部内に粒子を配置させることが可能である。
【0045】
図4に示すように、母材10の凹部内に粒子20が配置された状態において、立方体状の粒子20の一部20b(凹部内に位置する第1の部分20aとは異なる第2の部分)は、母材10上で突出しており、また、この部分20bに形成されているファセット25は母材上で露出されている。すなわち、母材10の凹部内には粒子20が部分的に配置されている。
【0046】
このようにして立方体型コーナーキューブアレイ40を形成することができる。立方体型コーナーキューブアレイ40の単位要素であるコーナーキューブは、上述の粒子20の露出した部分20bのファセット25によって構成される。より具体的にいうと、隣接する3つの立方体型粒子のファセット25によってコーナーキューブが形成される。コーナーキューブを構成する3つの粒子のファセットは互いに略直交するように配置されている。
【0047】
なお、塩化ナトリウムの粒子は結晶であり、コーナーキューブを構成する粒子のファセットは、結晶の所定の結晶面によって規定することができる。例えば、上記のファセットは、塩化ナトリウム結晶の{100}面に対応する。
【0048】
このように形成されたコーナーキューブは、微細であり、また、コーナーキューブの各面は、塩化ナトリウムの平坦な結晶面から構成されるため、形状制度も高い。従って、表示装置に用いられる再帰性反射板を作製するためのコーナーキューブアレイとして好適である。
【0049】
なお、コーナーキューブのサイズは粒子(および凹部)のサイズによって規定され得るが、反射型表示装置に好適に用いられる再帰性反射板を得るためには、コーナーキューブのサイズは画素サイズよりも小さいことが望ましい。ただし、粒子のサイズが小さすぎる場合、すなわち粒子のサイズが光(可視光)の波長以下である場合、干渉などの影響により、コーナーキューブアレイが再帰性反射板として機能しなくなるという問題が生じる。このため、粒子のサイズは、1μm〜1000μmであることが望ましい。
【0050】
本実施形態で作製されたコーナーキューブアレイ上に銀などの金属薄膜を蒸着することによって保護膜として機能する被覆膜を設けた後、電鋳法によって上記コーナーキューブアレイの型をとることにより、マイクロコーナーキューブアレイ金型を作製することができる。このようにして形成された金型を用いて、ローラによる転写などによって樹脂材料などにコーナーキューブアレイを転写するようにすれば、表示装置において用いられるコーナーキューブアレイを量産することが可能である。
【0051】
以上のようにして作製されたコーナーキューブアレイの表面に、アルミニウムなどの金属の薄膜を設け、反射領域を形成することによって、再帰性反射板が得られる。このようにして得られた再帰性反射板は、例えば、反射型液晶表示装置(例えば図5に示す高分子分散型液晶表示装置)や、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどにおいて好適に用いられ得る。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、凹部が形成された母材を得る方法としては、種々の方法を採用することができ、例えば、特開平7−205322号公報に記載されるような光化学的な手法を利用することもできる。すなわち、複数の正三角形の透過領域(または遮光領域)を有するマスクであって、各透過領域(または遮光領域)の透過率もしくは遮光率は、透過領域(または遮光領域)の中心部から周辺部に向かって次第に減少しているマスクを用いて露光および現像を行なう。これにより、互いに直交する二等辺三角形の3面を有する三角錐状の複数の突起を基板上の所定の位置に形成することができる。この基板を型として用いて凹凸を反転させたもの作製し、これを本実施形態の母材として利用することができる。
【0053】
また、本実施形態では直角二等辺三角形3面で規定される三角錐状の凹部内に立方体の粒子の一部を配置させる形態を説明したが、粒子が凹部の形状に対応する部分を含むものである限り、凹部形状および粒子形状は他の形状であってもよい。ただし、粒子は、凹部の形状に対応する部分以外の部分において、コーナーキューブを構成するための少なくとも1つのファセットを有している必要がある。なお、この粒子の少なくとも1つのファセットには、互いに直交する3面が含まれることが望ましい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、母材上に粒子を配置することによって、粒子の所定の面を含むコーナーキューブを形成することができ、このようにすれば、互いに直交する正方形3面からなる微細なコーナーキューブ(立方体型コーナーキューブ)のアレイ、もしくはその金型を作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるコーナーキューブアレイの製造工程を説明するための図であり、(a)は母材の断面図、(b)は母材の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるコーナーキューブアレイの製造工程を説明するための別の図であり、(a)〜(c)は好適な粒子を得るための工程をそれぞれ示す。
【図3】本発明の実施形態にかかるコーナーキューブアレイの製造工程を説明するためのさらに別の図であり、粒子を母材上に配置させる工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるコーナーキューブアレイの製造工程を説明するためのさらに別の図であり、完成されたコーナーキューブアレイの斜視図である。
【図5】従来の反射型液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図6】立方体型コーナーキューブアレイを示す図であり、(a)は平面図、(b)は中位点よりも高い部分を示す側面図、(c)は斜視図である。
【図7】三角錐型コーナーキューブと立方体型コーナーキューブとを比較して示す図であり、(a)は三角錐型コーナーキューブの平面図、(b)は三角錐型コーナーキューブの斜視図、(c)は立方体型コーナーキューブの平面図、(d)は立方体型コーナーキューブの斜視図を示す。
【符号の説明】
10 母材
11 三角錐状凹部
12 平坦部
20 サイズのそろった微小な立方体状塩化ナトリウム粒子(結晶)
21 へき開した塩化ナトリウム
22 無極性溶媒
23 遠心分離器
40 立方体型コーナーキューブアレイ

Claims (11)

  1. 複数の凹部を表面に有する母材であって、前記複数の凹部の中心部が正六角形の各頂点と前記正六角形の重心点とに対応する位置に設けられている母材を用意する工程と、
    それぞれが、前記複数の凹部のそれぞれに対応した凸形状を有する第1の部分、および、互いに直交する3つの面を有する第2の部分を備える複数の粒子を用意する工程と、
    前記複数の粒子のそれぞれにおいて前記母材上で前記第2の部分が露出されるように前記第1の部分を前記凹部内に配置させることによって、前記複数の粒子のうちの隣接する3つの粒子の面から構成されたコーナーキューブを形成する工程と
    を包含するコーナーキューブアレイの製造方法。
  2. 前記凹部は三角錐形状を有し、前記粒子は立方体形状を有する請求項に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  3. 前記粒子は結晶であり、前記少なくとも1つの面は前記結晶の所定の結晶面によって規定される請求項またはに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  4. 前記粒子は、塩化ナトリウムからなることを特徴とする請求項に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  5. 前記粒子のサイズは、1μm以上1000μm以下である請求項1からのいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  6. 前記母材上に形成された前記コーナーキューブの形状を、他の材料に転写する工程をさらに包含する請求項1からのいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  7. 複数の凹部を表面に有する母材であって、前記複数の凹部の中心部が正六角形の各頂点と前記正六角形の重心点とに対応する位置に設けられている母材と、
    それぞれが、前記複数の凹部のそれぞれに対応した凸形状を有する第1の部分と、前記母材上で露出される互いに直交する3つの面を有する第2の部分とを含む複数の粒子であって、前記複数の凹部のそれぞれにおいて配置されて、前記複数の粒子のうちの隣接する3つの粒子の面によってコーナーキューブが形成されている複数の粒子と
    を備えるコーナーキューブアレイ。
  8. 前記凹部は三角錐形状を有し、前記粒子は立方体形状を有する請求項に記載のコーナーキューブアレイ。
  9. 前記粒子は結晶であり、前記少なくとも1つの面は前記結晶の所定の結晶面によって規定される請求項またはに記載のコーナーキューブアレイ。
  10. 前記粒子が塩化ナトリウムからなることを特徴とする請求項に記載のコーナーキューブアレイ。
  11. 複数の凹部を表面に有する母材であって、前記複数の凹部の中心部が正六角形の各頂点と前記正六角形の重心点とに対応する位置に設けられている母材と、
    それぞれが、前記複数の凹部のそれぞれに対応した凸形状を有する第1の部分と、互いに直交する3つの面を有する第2の部分とを含む複数の粒子であって、前記第2の部分が前記母材上で突出するように前記第1の部分が前記複数の凹部のそれぞれにおいて配置されて、前記複数の粒子のうちの隣接する3つの粒子の面によってコーナーキューブが形成されている複数の粒子と、
    前記複数の粒子が配置された前記母材上に設けられた被覆膜と
    を備えるコーナーキューブアレイの型。
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