JP3959130B2 - 汚泥処理におけるアルミニウム回収方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄水場などで発生する沈澱汚泥に含まれているアルミニウムを、沈澱汚泥の処理過程で汚泥から分離回収するアルミニウム回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
浄水場では、河川,湖沼から取水した粘土系懸濁質を含む水を図9のようなプロセスで浄化しており、取水中の懸濁質の凝集剤として硫酸アルミニウム,あるいはアルミン酸ナトリウムなどをアルミニウム凝集剤添加し、続く撹拌,沈澱工程でアルミニウム成分の混入している沈澱汚泥をアルミニウム回収設備へ移して処理するようにしている。
【0003】
また、図10は水道協会雑誌(日本水道協会発行)の第59巻9号(1990年)「浄水スラッジ処理におけるアルミニウム回収」(執筆者:小林 三樹)で紹介されている、硫酸アルミニウム回収を伴う汚泥処理のプロセスフロー図であり、図9のプロセス過程で生じたた沈澱汚泥を予備濃縮した後、pH3.3以下になるようにアルミニウム溶解性薬品である硫酸を添加して沈降濃縮槽に導入し、ここで水酸化アルミニウムが溶解している上澄水と沈降濃縮汚泥とに分離した上で、上澄水は回収アルミニウム液貯槽に回収し、一方の沈降濃縮汚泥は消石灰を加えて混和槽に導入して汚泥を中和,凝集させた後に、脱水機により真空,ないし加圧脱水して含水率の低い脱水汚泥に変える。なお、回収した上澄液はアルミニウム凝集剤として再利用され、残った脱水汚泥は例えば埋め立て処分される。
【0004】
ここで、予備濃縮後の汚泥濃度を2%として、前記した従来のプロセスにより沈澱汚泥汚泥から回収したアルミニウム回収率,アルミニウム濃度,硫酸添加量などについて試算すると、次記のようになる。すなわち、1000Kgの濃縮汚泥を処理する場合に、汚泥中に含まれている汚泥固形分は20Kgで、この汚泥固形分には図9の浄水プロセスでのアルミニウム凝集剤の注入により生じた水酸化アルミニウムを含んでおり、その含有率を20%とすると水酸化アルミニウムの量は4Kgであり、かつ1Kgの水酸化アルミニウムを溶解する硫酸所要量(汚泥中の水酸化アルミニウムと反応する当量の硫酸量)は1.9Kgであることから、1000Kgの沈澱汚泥に対する硫酸の必要添加量は7.6Kgとなる。なお、水酸化アルミニウムの硫酸による溶解は次式で表される。
【0005】
【化1】
2Al (OH)3+3H2 SO4 →Al(SO4 )3+6H2
また、この硫酸添加汚泥を次の沈降濃縮工程で汚泥濃度が8%まで濃縮されるとして、上澄水のアルミニウム濃度,アルミニウム回収率を算出すると、アルミニウム濃度は0.264%,アルミニウム回収率は80.2%である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来のアルミニウム回収方法で、回収アルミニウム液のアルミニウム濃度を高めるには、予備濃縮汚泥の含有水率をできるだけ低めることが、またアルミニウム回収率を高めるには濃縮汚泥の濃度を高めることが必要である。しかして、従来方式では沈澱汚泥の濃縮に沈降濃縮法を採用しているために、汚泥濃度は高々8%程度でそれ以上の濃度増大は期待できないことからアルミニウム回収率が低く、また、アルミニウム液を上澄液として固液分離した後の濃縮汚泥についても、汚泥中には間隙水として未回収のアルミニウム液を多く含んでいるために、これを脱水処理するには汚泥の10〜20重量%の消石灰を多量に加える必要があるほか、脱水汚泥の埋め立て処分先では汚泥からアルカリ成分が溶出するなどの環境上での問題もある。
【0007】
本発明は上記の点にかんがみなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、アルミニウム回収効率が高く、しかもアルミニウム回収後の汚泥に対しては、消石灰などを加えることなく低含水率にケーキ化された脱水汚泥が得られるようにし、併せてアルミニウム回収に使用するアルミニウム溶解性薬品を外部から供給せずに系内で生成できるようにした汚泥処理におけるアルミニウム回収方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のアルミニウム回収方法は次記のように行うものとする。
1)濃縮工程を経て減容化した汚泥にアルミニウム溶解性薬品を添加した後に、汚泥を電気浸透式脱水機に導入してその電極間に直流電圧を印加し、電気浸透作用により汚泥の含有水と一緒にアルミニウム液を一方の電極側に集めた上でろ過部材を通して回収するものし、ここで使用するアルミニウム溶解性薬品は、硫酸などの酸性薬品、あるいは水酸化ナトリウムなどのアルカリ性薬品を用いることができる。
【0009】
2)汚泥を電気浸透式脱水機に導入してその電極間に直流電圧を印加するとともに、一方の電極側からアルミニウム溶解性薬品を汚泥に供給し、電気浸透作用により汚泥中に浸透するアルミニウム溶解性薬品でアルミニウム成分を溶解させつつ、汚泥の含有水と一緒にアルミニウム液を他方の電極側に集めた上でろ過部材を通して回収する。
【0010】
3)当初に汚泥に硫酸ソーダなどの電解質を添加した後に、汚泥を電気浸透式脱水機に導入してその電極間に直流電圧を印加し、電気浸透作用により電離した電解質の成分を汚泥の含有水と一緒にろ液として回収するとともに、このろ液をアルミニウム溶解性薬品として電気浸透式脱水機へ導入する汚泥に添加してアルミニウム回収を行う。
【0011】
上記のように、汚泥に含まれているアルミニウムの回収処理に電気浸透脱水法を採用することにより、アルミニウム溶解性薬品との反応で生じたアルミニウム液は、電気浸透作用の下で汚泥の含有水と一緒に電気浸透式脱水機の一方の電極側に集められて汚泥から効率よく分離回収される。また、この場合にアルミニウム溶解性薬品として水酸化ナトリウムなどのアルカリ性薬品を採用すれば、電気浸透脱水作用で電離したアルカリイオンの働きで脱水汚泥が中和されてほぼ中性の脱水汚泥が得られる。
【0012】
また、2)項のようにアルミニウム溶解性薬品を電気浸透式脱水機の電極を通じて汚泥に供給する方法では、混和機など使わずに電気浸透作用を生かして薬品を直接汚泥の中に浸透させてアルミニウムを効果的に溶解できる。
さらに、3)項の方法によれば、硫酸などの価格の高いアルミニウム溶解性薬品を用意せずに、安価に入手できる硫酸ソーダなどの電解質を運転当初に供給するだけで、電気浸透作用を利用してアルミニウム溶解性薬品を系内で生成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔実施例1〕
図1は本発明の請求項1,2に対応する実施例のフロー図である。この実施例では、浄水場で発生した沈澱汚泥(図9の浄水工程で得たアルミニウム凝集剤を含む沈澱汚泥)を予備濃縮し、これにアルミニウム溶解性薬品として硫酸を添加した後、電気浸透脱水機に導入して溶解したアルミニウムをろ液とともに分離回収し、低含水率の脱水汚泥を得るようにしたものであり、図示のようにアルミニウム回収処理設備は、沈降濃縮槽1,ろ過濃縮装置2,酸性硫酸貯留槽3,混和機4,電気浸透式脱水機5,回収アルミニウム液貯留槽6,脱水汚泥置き場7などから構成されている。なお、図中におけるろ過濃縮装置2は例えば特公昭60−59002号公報,特公昭61−57043号公報に記載の濃縮装置が、また電気浸透式脱水機5としては特公昭60−25597号公報に記載の装置が採用できる。
【0014】
かかる回収処理設備に対して、まず沈澱汚泥が沈降濃縮槽1に供給される。なお、沈降汚泥の組成は図2で表すように不溶性汚泥粒子,水酸化アルミニウム,水分からなり、沈降濃縮槽1に導入された沈澱汚泥は重力沈降作用により上澄水と沈降濃縮汚泥とに分離され、沈降濃縮汚泥は次段のろ過濃縮装置2に導入される。このろ過濃縮装置2では、負圧を受けたろ過材により沈降濃縮汚泥が分離水と高濃度のろ過濃縮汚泥とに分離される。次いで、ろ過濃縮汚泥には硫酸貯留槽3から硫酸を添加して混和機4に導入し、ろ過濃縮汚泥の中に硫酸を均一に分散させてpH2〜3程度に調整し、汚泥に含まれていた水酸化アルミニウムが硫酸により溶解した状態の硫酸添加汚泥を得る。この硫酸添加汚泥は、次に電気浸透式脱水機5の陽極板5aと陰極板(穴明き板)5bに重ね合わせたろ過部材(濾布)5cとの間の通路に供給し、加圧装置5dで機械的な圧搾力を加えつつ直流電源5eから陽極板5aと陰極板5bとの間に直流電圧を印加して電気浸透脱水を行う。これにより、アルミニウム液は汚泥の含有水とともに、電気浸透作用によりろ過部材5cを透過して陰極板5bに集められ、ろ液として回収アルミニウム液貯留槽6に回収される。なお、このろ液は図9に示したアルミニウム凝集剤として再利用される。また、脱水してケーキ化された脱水汚泥は電極間から外部に排出して脱水汚泥置き場7に保管される。
【0015】
次に、前記の電気浸透式脱水機5における電気浸透作用の状況を図3に示す。すなわち、直流電圧印加により硫酸添加汚泥の不溶性汚泥粒子(粘土,砂,植物質など)はマイナスに帯電し、その周囲の水分 (H2 O)はプラスに帯電し、水分は陰極板5bに引き寄せられてろ過部材5cを透過して系外にろ液として排出される。また、前記水分中には硫酸の添加により生じたSO4 2-,水酸化アルミニウムが溶解して生じたAl3+,当初より沈澱汚泥に含まれていたNa+ ,Cl- ,Fe3+などのイオンが含まれており、このうちSO4 2-,Cl- の陰イオンは陽極板5aへ移動し、Al3+,Na+ Fe3+などの陽イオンは陰極板5bに移動して水分H2 Oとともにろ液として排出される。
【0016】
これにより、沈澱汚泥に含まれている水酸化アルミニウムを、電気浸透作用により高濃度のアルミニウム液(ろ液)として効率よく分離回収できるとともに、一方では沈澱汚泥を低含水率に脱水して処分し易い脱水ケーキに変えることができる。
また、発明者等が前記回収方法の効果を確かめるために行った評価テストについて述べると、汚泥固形分の濃度1.0%,水酸化アルミニウムの含有濃度20%である沈澱汚泥2000Kgを図1のフローにしたがって処理したところ、沈降濃縮により汚泥固形分2%に濃縮されて沈降濃縮汚泥が1000Kgに減容され、続くろ過濃縮により汚泥固定分が8.5%まで濃縮されて235Kgのろ過濃縮汚泥が得られた。次に、このろ過濃縮汚泥に硫酸を7.6Kg添加し、さらに混和してpH3.3に調整した硫酸添加汚泥を電気浸透脱水したところ、55.5Kgの脱水汚泥と207.1Kgのろ液が別々に分離,回収された。そして、このろ液,脱水汚泥についてその性状を調べた結果、ろ液中のアルミニウム濃度は1.2%(Al2 3 として)であり、一方のケーキ化された脱水汚泥はpH3.0,含水率は55%であった。
【0017】
〔実施例2〕
図4は本発明の請求項1,3に対応する実施例のフロー図である。この実施例では、基本的には実施例1と同様であるが、アルミニウム溶解性薬品としてアルカリ性の水酸化ナトリウム(NaOH)を添加した汚泥を電気浸透脱水機に導入してアルミニウム成分を分離回収し、低含水率の脱水汚泥を得るようにしたものである。この実施例においては、沈澱汚泥を沈降濃縮,ろ過濃縮した後に水酸化ナ%リウム貯留槽8から供給した水酸化ナトリウムをアルミニウム溶解性薬品として添加して汚泥をpH9〜14に調整し、混和機4により水酸化ナトリウムが汚泥内に均一に分散するように混和して得た水酸化ナトリウム添加汚泥を次段の電気浸透式脱水機に導入して実施例1と同様に汚泥を脱水処理してアルミニウム液を分離回収する。
【0018】
この電気浸透脱水工程では、図5で示すように不溶性汚泥粒子の表面はマイナスに帯電し、これに接する水分はプラスに帯電して陰極板5b側へ移動し、ろ過部材5cを透過して系外に排出される。ここで、汚泥に含まれているアルミニウムは水酸化ナトリウムとの反応により溶解し、アルミン酸としてその大半が汚泥の含有水とともにろ液として陰極側から回収される。この場合に、水酸化ナトリウムとアルミニウム反応で生じたAlO2 - (アルミン酸イオン)には陽極へ引き寄せられる力が働くが、その力は電気浸透による液の移動に較べて弱く、汚泥の含有水,Na+ イオンとともに陰極側から回収されるようになる。なお、脱水汚泥の残留水には当初より沈澱汚泥に含まれていたSO4 2-,Cl- などの濃度が多少増すようになる。しかも、アルミニウム溶解性薬品としてアルカリ性薬品である水酸化ナトリウムを用いることにより、電気浸透に伴って陽極側に移動する陰イオンにより脱水汚泥のpHが低下するのを抑えるので、脱水汚泥は中性に近い低含水率となり、その後の埋め立て処分にも有利である。
【0019】
本発明者等は、固形分濃度1.0%,水酸化アルミニウムの含有量が20%の沈澱汚泥2000Kgを試料としてテストを行ったところ、次記のような結果を得た。すなわち、沈降濃縮槽1で沈澱汚泥を濃度2%の濃縮汚泥1000Kgとし、これをろ過濃縮装置2により濃度8.5%まで濃縮して減容化した後、このろ過濃縮汚泥に水酸化ナトリウムを2.2Kg添加し、さらに混和機4により混和してpH12.7の水酸化ナトリウム添加汚泥に調整して電気浸透式脱水機5に導入して脱水を行ったとところ、200Kgのろ液が回収され、37.5Kgの脱水汚泥が得られた。また、このろ液,脱水汚泥についてその性状を調べた結果、ろ液には濃度1.35%のアルミニウム(Al2 3 として)が含まれており、この値からアルミニウム回収率は90.4%であることが判った。一方、ケーキ化された脱水汚泥の含水率は57%であって21.4Kgの残留水を含んでいたが、そのpH7.3でほぼ中性であることが確認された。
【0020】
〔実施例3〕
図6は本発明の請求項4に対応する実施例を示すものであり、この実施例ではアルミニウム溶解性薬品を電気浸透式脱水機5にて、機内に導入された汚泥に直接供給し、電気浸透作用により汚泥中に含まれているアルミニウムを溶解し、ろ液として回収するようにしたものである。
【0021】
すなわち、図示のように電気浸透式脱水機5の陽極板5aを穴開き板としてその上面側に薬品供給槽5fを設け、ここにアルミニウム溶解性薬品(硫酸,あるいは水酸化ナトリウム)が収容されている。かかる構成で、先記実施例と同様に沈降濃縮,ろ過濃縮工程を経て濃縮したろ過濃縮汚泥を電気浸透式脱水機5に導入して電極間に直流電圧を印加すると、不溶性汚泥粒子はマイナスに帯電し、周囲の水分はプラスに帯電して電気浸透作用により陰極側に引き寄せられ、ろ過部材5cを透過してろ液として回収される。また、同時に汚泥の不溶性汚泥粒子間の間隙水に入れ替わるようなかたちで薬品供給槽5fから陽極板5aに明けた穴5gを通してアルミニウム溶解性薬品が汚泥内に浸透し、汚泥中に含まれている水酸化アルミニウムを溶解しつつ、含有水ととも陰極側に移動して排出,回収される。この操作の繰り返しにより、ろ過濃縮汚泥に含まれているアルミニウムは殆ど全てろ液として回収することができる。なお、このアルミニウム回収操作が終了した後に、薬品供給槽5fに通常の水を満たして再び電極間に直流電圧を印加すれば、電気浸透作用により汚泥中に残存しているアルミニウム溶解性薬品を外部から供給した水と一緒に排出して脱水汚泥の薬品残留を低減できる。しかも、この実施例によれば、実施例1の図1に示した混和機4を省略できる。
【0022】
なお、この実施例について発明者等は固定分濃度9%のろ過濃縮汚泥を試料としてテストを行ったところ、アルミニウム溶解性薬品を濃度10%の硫酸液として場合に、99%の回収率でアルミニウム液を回収できた。また、脱水汚泥は含水率が59%,pH3であった。
〔実施例4〕
図7,図8は本発明の請求項5に対応する実施例を示すもので、沈澱汚泥を処理する運転当初にろ過濃縮汚泥に電解質を添加した上で、汚泥を電気浸透式脱水機5に導入し、電気浸透作用により電解質を電離させてアルミニウム溶解性薬品を系内で生成するようにしたものである。
【0023】
すなわち、図7のように沈澱汚泥を沈降濃縮,ろ過濃縮したろ過濃縮汚泥に対し、処理運転開始当初に混和機4へ硫酸ソーダ貯留槽9から電解質として硫酸ソーダを供給し、ついで汚泥を電気浸透式脱水機5に導入して電極間に直流電圧を印加する。これにより、硫酸ソーダが電解作用により電離し、電気浸透作用によりNa+ イオンがろ液として貯留槽6に回収されるとともに、Na+ イオンと水分とで苛性ソーダが生成される。そして、貯留槽6に苛性ソーダが十分に貯えられた状態になれば、硫酸ソーダの供給を停止した上で、貯留槽6に貯えておいた苛性ソーダを返送ポンプ10により混和機4を通じてろ過濃縮汚泥に供給し、強アルカリ性のアルミニウム溶解性薬品として使用する。これにより、実施例2で述べたと同様に操作で沈澱汚泥に含まれていたアルミニウム成分が高い回収率で回収されるようになる。
【0024】
図8は、電気浸透式脱水機5に導入した硫酸ソーダ添加汚泥の電気浸透作用による挙動を表す説明図であり、硫酸ソーダはNa+ イオンとSO4 2-とに電離して汚泥の間隙水中に存在しており、電極間の直流電界によりNa+ イオンは陰極板5bに、SO4 2-は陽極板5aに移動するとともに、このイオン移動と並行して陰極板側からは電気浸透作用によりろ液が排出されるので、Na+ イオン濃度の高い強アルカリ性の苛性ソーダがろ液として回収される。
【0025】
したがって、沈澱汚泥の処理に当たっては、アルミニウム溶解性薬品として硫酸,水酸化ナトリウムなどの高価な劇薬を用意することなく、安価に入手できる硫酸ソーダを原料にアルミニウム溶解性薬品を系内で生成することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のアルミニウム回収方法によれば、電気浸透式脱水機を使用し、その電気浸透作用を巧みに利用して沈澱汚泥の脱水と汚泥中に含まれているアルミニウムの回収を並行して行うようにしたので、高濃度のアルミニウム液をろ液として効率よく脱水機から分離,回収することができる。しかも、アルミニウム回収後の脱水汚泥は低含水率に脱水ケーキされるので、埋め立て処分などに好都合である。
【0027】
また、特に請求項4の方法を採用すれば、アルミニウム溶解性薬品を電気浸透式脱水機にて導入汚泥中に直接添加,浸透させることができ、脱水機の前段側に混和機を設置する必要がない。
さらに、請求項5の方法を採用することにより、沈澱汚泥の処理に当たり、アルミニウム溶解性薬品として硫酸,水酸化ナトリウムなどの高価な劇薬を購入することなく、安価に入手できる硫酸ソーダを原料に系内でアルミニウム溶解性薬品を生成することができて経済的を運転が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に対応するアルミニウム回収方法の処理工程図
【図2】沈澱汚泥の組成を表す図
【図3】図1の電気浸透式脱水機における電気浸透作用の説明図
【図4】本発明の実施例2に対応するアルミニウム回収方法の処理工程図
【図5】図4の電気浸透式脱水機における電気浸透作用の説明図
【図6】本発明の実施例3に対応するアルミニウム回収方法を電気浸透式脱水機の構成,および電気浸透作用とともに表した説明図
【図7】本発明の実施例4に対応するアルミニウム回収方法の処理工程図
【図8】図7の電気浸透式脱水機における電気浸透作用の説明図
【図9】本発明の実施対象となる浄水場における河川,湖沼水の取水浄化処理工程を表す図
【図10】従来技術による沈澱汚泥のアルミニウム回収方法の処理工程図
【符号の説明】
1 沈降濃縮槽
2 ろ過濃縮装置
3 硫酸貯留槽
4 混和機
5 電気浸透式脱水機
5a 陽極板
5b 陰極板
5c ろ過部材
5d 加圧装置
5e 直流電源
5f 薬品供給槽
6 回収アルミニウム液貯留槽
7 脱水汚泥置き場
8 水酸化ナトリウム貯留槽
9 硫酸ソーダ(電解質)貯留槽

Claims (5)

  1. 汚泥に含まれているアルミニウムを、アルミニウム溶解性薬品を用いて分離回収するアルミニウム回収方法において、濃縮工程を経て減容化した汚泥にアルミニウム溶解性薬品を添加した後に、汚泥を電気浸透式脱水機に導入してその電極間に直流電圧を印加し、電気浸透作用によりアルミニウム液を汚泥の含有水と一緒に一方の電極側に集めた上でろ過部材を通して回収するようにしたことを特徴とする汚泥処理におけるアルミニウム回収方法。
  2. 請求項1記載のアルミニウム回収方法において、アルミニウム溶解性薬品が硫酸などの酸性薬品であることを特徴とする汚泥処理におけるアルミニウム回収方法。
  3. 請求項1記載のアルミニウム回収方法において、アルミニウム溶解性薬品が水酸化ナトリウムなどのアルカリ性薬品であることを特徴とする汚泥処理におけるアルミニウム回収方法。
  4. 汚泥に含まれているアルミニウムを、アルミニウム溶解性薬品を用いて分離回収するアルミニウム回収方法において、汚泥を電気浸透式脱水機に導入してその電極間に直流電圧を印加するとともに、一方の電極側からアルミニウム溶解性薬品を汚泥に供給し、電気浸透作用により汚泥中に浸透するアルミニウム溶解性薬品でアルミニウム成分を溶解させつつ、汚泥の含有水と一緒にアルミニウム液を他方の電極側に集めた上でろ過部材を通して回収するようにしたことを特徴とする汚泥処理おけるアルミニウム回収方法。
  5. 汚泥に含まれているアルミニウムを、アルミニウム溶解性薬品を用いて分離回収するアルミニウム回収方法において、当初に汚泥に硫酸ソーダなどの電解質を添加した後に、汚泥を電気浸透式脱水機に導入してその電極間に直流電圧を印加し、電気浸透作用により電離した電解質の成分を汚泥の含有水と一緒にろ液として回収するとともに、このろ液をアルミニウム溶解性薬品として電気浸透式脱水機へ導入する汚泥に添加するようにしたことを特徴とする汚泥処理におけるアルミニウム回収方法。
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