JP3959050B2 - 無線通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、FWA(Fixed Wireless Access、加入者系無線アクセス)システムにおいて、TDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplex、時分割多元接続/時分割復信)方式を用いて行う無線通信、特に、Point−to−Multipoint(PMP/基地局対複数局接続方式)の基地局の無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信システムに無線を使用すると、線路を敷設する必要がないためシステム全体の導入コストを低減することができる。
【0003】
加入者系無線アクセスシステムはその典型例であり、基地局の比較的近くに複数の加入者局を配置し、基地局と各加入者局との間をマイクロ波やミリ波による無線伝送路で接続する。
【0004】
図8(A)は、このような加入者系無線アクセスシステムとしてのPMP通信方式の概念図を示し、ここでは基地局1に対し、4つの加入者局2−1〜2−4が接続されている。尚、以下の説明において基地局1から各加入者局2−1〜2−4への伝送方向を「下り」、各加入者局2−1〜2−4から基地局1への伝送方向を「上り」と称する。
【0005】
この加入者系無線アクセスシステムにはいくつかの方式があるが、その1つに、単一の周波数チャネルを時分割で下りバースト及び上りバーストの双方の伝送に用いる時分割双方向通信方式(Time Division Duplex:TDD)がある。
【0006】
図8(B)は、この時分割双方向通信方式によるバーストの時系列を示す模式図であり、横軸が時間軸である。
【0007】
先ず、下りバースト3が基地局1から各加入者局2−1〜2−4へと送信される。この下りバースト3には、各加入者局2−1〜2−4から基地局1への上りバースト4−1〜4−4を送信するタイミングやデータ量が指定される。
【0008】
各加入者局2−1〜2−4はそれぞれ、その指定されたタイミングにしたがって上りバースト4−1〜4−4を基地局1へと送信する。尚、上りバースト4−1〜4−4は、1バースト周期内で同一加入者局(例えば、加入者局2−1)から複数送信される場合もある。
【0009】
これにより、単一の周波数チャネル上で上りバースト3と下りバースト4−1〜4−4とを衝突せずに伝送することができる。
【0010】
図7は、加入者系無線アクセスシステムにおける基地局1又は加入者局2−1〜2−4の復調部周辺の構成を示すブロック回路図である。即ち、基地局1と加入者局2−1〜2−4とは、基本的に同じ構成を備えている。
【0011】
基地局1又は加入者局2−1〜2−4の受信系において、図示を略すアンテナから受信された受信RF信号を低雑音増幅器(LNA)で増幅した後、中間周波数(IF)にダウンコンバートした受信IF信号は、可変利得アンプ11を経て直交検波器12においてI信号(同相成分)とQ信号(直交成分)とに分波される。
【0012】
この分波されたI信号とQ信号は、A/D変換器13によってデジタル信号に変換され、さらに復調器14によって復調されて復調信号が取得される。また、デジタル信号に変換されたI信号とQ信号とは、バースト検出回路15並びに受信レベル測定回路17に入力される。
【0013】
バースト検出回路15は、その検出結果に基づいてA/D変換器13から出力されたI信号とQ信号に基づく復調器14での復調処理を実行させる。なお、図において、太線の矢印はI信号とQ信号とが並列に伝送されていることを意味するものである。
【0014】
バースト検出回路15は、復調器14から出力されたバースト検出窓開閉信号に基づき、そのバースト検出窓がオープンしている間、バースト信号の先頭を検出し続ける。
【0015】
AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)16は、伝送路の状態(例えば、天候の変化等)によるバースト信号の受信レベルの変動に対する補正として、復調器14への入力の受信信号が一定となるよう制御するもので、バースト信号毎に更新される。
【0016】
具体的には、バースト信号が受信される直前において、その受信しようとするバースト信号よりも以前に受信されたバースト信号で得られたゲイン値が設定され、バースト検出信号により、その後に受信されるバースト信号の先頭(プリアンブルのCR)にてそのバースト信号の受信レベルを測定し、AGC16によりその測定値から復調器14への入力値が最適となるように可変利得アンプ11のゲインを調整するものである。
【0017】
尚、例えば、加入者局2−1〜2−3が基地局1と伝送関係にある際、新たに加入者局2−4の電源を立ち上げた場合などの初期接続開始時では、基地局1側のAGC16によるゲイン調整は受信レベルが測定されていないので、その最適なゲイン値を見つけられないため、不定値或いは所定値に固定されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上述した上バーストの正確なタイミング指定を行うために、上りバーストの一部に各加入者局2−1〜2−4の遅延時間を測定するための測定用バースト信号を設けることが考えられる。
【0019】
この測定用バースト信号は、基地局側の受信するタイミングの範囲は既知であるが、受信するタイミングは未定であるため、バースト検出回路15のバースト検出タイミングにて復調を開始する。
【0020】
図6は、標準的(最適)な状態でのバースト信号・ゲイン設定・バースト検出開閉窓・バースト検出信号出力・測定用バースト信号送信区間の関係を示すタイミングチャート図である。
【0021】
加入者局2−1〜2−4の基地局1との接続の最初は、基地局1に登録されている加入者局2−1〜2−4に宛てて、測定用バースト信号の送信要求を定期的に送信し続ける。
【0022】
電源を立ち上げた加入者局(例えば、加入者局2−4)は、その測定用バースト信号の送信要求を受けて1バースト周期の所定送信タイミングにて測定用バースト信号を基地局1に向けて送信する。
【0023】
基地局1では、測定用バースト信号を受信し、そのタイミングから電源を立ち上げた加入者局2−4の遅延時間を計算し、測定用バースト信号以外の上りバーストの送信タイミングが決定され(タイムアライメント)、以後、これを用いデータ通信が行われる。また、測定用バースト信号が正常に受信されない場合には、データ通信は中断される。
【0024】
測定用バースト信号においては、測定用バースト信号検出開始窓が一定区間オープンされ、そのオープン開始時点において加入者局2−4の前バーストでAGC16により更新されたゲイン値を設定し、バースト検出窓がオープンの間、バースト検出回路15ではバースト信号の先頭を検出し続ける。
【0025】
復調器14は、バースト検出回路15からバースト信号の先頭タイミングを示すバースト検出信号により復調を開始し、さらに、バースト検出信号によりバースト信号の先頭(プリアンブルのCR)の受信レベルを受信レベル測定回路17にて測定する。
【0026】
AGC16は、その復調処理にとって最適な受信レベルとなるようにその測定値に基づいて可変利得アンプ11のゲインを制御する。なお、AGC16はバースト信号毎に更新される。
【0027】
可変利得アンプ11の利得は、電源立ち上げなどの初期接続開始時では、図5に示すように、AGC16によるゲイン調整は受信レベルが測定されていないので最適値を見つけられないため、不定値或いは所定値に固定されている。
【0028】
一方、バースト検出回路15の検出能力には限界があり、その検出能力の範囲内の受信信号であれば正常なバースト検出が行われるが、図4に示すように、受信信号が取り得る範囲(ダイナミックレンジ)が検出能力の範囲以上に設定されており、このダイナミックレンジ内で且つバースト検出回路15の検出能力範囲外に位置する受信信号を受信した場合、最悪の場合には永久的にバースト検出することができないという問題が生じていた。
【0029】
又、一旦バースト検出されて正常な通信が行われている状況においても、降雨などにより受信レベルが急激に低下し、AGC16の処理がそれに間に合わず、バースト検出回路15の入力受信レベルが検出能力の範囲外に陥ってバースト検出されない状況が発生する場合がある。その場合、復調が開始されず、且つAGC16による更新もなされなくなり、最悪の場合には通信が中断されてしまうという問題が発生してしまう。
【0030】
本発明は、上記問題を解決するため、バースト検出窓を利用してのバースト信号の検出に際し、適正にバースト検出を行うことができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するため、本発明の無線通信装置は、基地局から加入者局までの伝送路環境に起因する遅延時間を測定するための測定用バースト信号送信要求が基地局から加入者局に送信されると共にその測定用バースト信号送信要求を受けた加入者局から基地局に測定用バースト信号が送信される無線通信装置であって、アンテナから受信された受信信号のレベルを調整する可変利得アンプと、該可変利得アンプからの出力信号を直交検波器を介してデジタル信号化するA/D変換器と、そのデジタル信号成分を復調する復調器と、前記A/D変換器でデジタル化されたバースト信号を検出して前記復調器での復調開始を制御するバースト検出回路と、該バースト検出回路によるバースト検出信号により前記A/D変換器でデジタル化されたバースト信号の受信信号のレベル測定をする受信レベル測定回路と、その測定値に基づいて前記可変利得アンプをゲイン調整するAGCと、前記バースト検出回路によるバースト信号の検出動作を制御するバースト検出窓開閉信号が前記復調器から出力されている間に受信レベルを測定する受信レベル測定回路と、その測定値を保持する保持回路とを備え、所定の受信レベル測定区間でバースト検出されない場合に前記AGCは前記保持回路に保持された受信レベル測定値に基づいて最適なゲインで前記可変利得アンプを調整することを特徴とする。
【0032】
また、本発明の無線通信装置は、前記保持回路に保持される測定値が最大値であることを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明の無線通信装置は、前記保持回路に保持される測定値が平均値であることを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の無線通信装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は本発明の無線通信装置の要部のブロック回路図、図2は本発明で使用されるバースト信号の説明図、図3はバースト検出しない場合のバースト信号・ゲイン更新・バースト検出窓・バースト検出信号出力・DMF区間の関係を示すタイミング図である。
【0036】
図1において、基地局1の受信系において、図示を略すアンテナから受信された受信RF信号を低雑音増幅器(LNA)で増幅した後、中間周波数(IF)にダウンコンバートした受信IF信号は、可変利得アンプ21を経て直交検波器22においてI信号(同相成分)とQ信号(直交成分)とに分波される。
【0037】
この分波されたI信号とQ信号は、A/D変換器23によってデジタル信号に変換され、さらに復調器24によって復調されて復調信号が取得される。また、デジタル信号に変換されたI信号とQ信号とは、バースト検出回路25、受信レベル測定回路26並びに受信レベル測定回路29に出力される。
【0038】
受信レベル測定回路26は、AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)27に受信レベル測定値を出力する。また、受信レベル測定回路29は最大値保持回路28に受信レベル測定値を出力する。
【0039】
また、本発明に使用されるバースト信号は、図2に示すように、主に受信レベル推定のためのキャリアリカバリ(CR)信号を先頭とし、データのサンプルタイミングを抽出するためのビットタイミングリカバリ(BTR)信号と、データの先頭を推定するためのユニークワード(UW)信号とから構成され、これらのプリアンブルブロックの後にデータシンボル(データブロック)が存在している。
【0040】
バースト検出回路25は、復調器24から出力されたバースト検出窓開閉信号に基づいてバースト検出動作を制御し、その検出結果に基づいてバースト検出信号を復調器24に出力する。
【0041】
ここで、基地局1における受信レベル測定回路26は、初期接続開始時又は一定周期毎にあっては、基地局1からの要求に基づいて参入局2−4から測定用バースト信号(以下、「DMFバースト信号」と称する)が基地局1に送信されるため、そのDMFバースト信号に対して、図3に示すように、所定の区間(以下、「DMF区間」と称する)バースト検出窓を開放すると共に受信レベル測定回路29にてDMFバースト信号の受信レベルを測定し、その測定値に対する最大値を最大値保持回路28に保持させる。
【0042】
そのDMF区間内でバースト検出されずに復調器24が復調できなかった場合に、受信レベル最大値保持回路28からの測定値に基づいてAGC27が最適なゲインで可変利得アンプ21を調整する。
【0043】
ところで、上記実施の形態では、バースト検出回路25によるバースト信号の検出タイミングを制御するバースト検出窓開閉信号が復調器24から出力されている間に受信レベル測定回路29にて測定されたDMFバースト信号の受信レベルに対する測定値を最大値で保持する最大値保持回路28としたが、その制御値を平均値で保持する平均値保持回路としても良い。
【0044】
【発明の効果】
本発明の無線通信装置にあっては、以上説明したように構成したことにより、バースト検出窓を利用してのバースト信号の検出に際し、適正にバースト検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の無線通信装置の要部のブロック回路図である。
【図2】 本発明で使用されるバースト信号の説明図である。
【図3】 バースト検出されていない場合のバースト信号・ゲイン更新・バースト検出窓・バースト検出信号出力・DMF区間の関係を示すタイミング図である。
【図4】 ダイナミックレンジ・バースト検出回路の検出可能範囲・バースト信号の受信レベルの相対関係を示す説明図である。
【図5】 初期接続開始時においてバースト検出されない場合のバースト信号・バースト検出窓・バースト検出信号出力・DMF区間の関係を示すタイミング図である。
【図6】 最適な状態でのバースト信号・バースト検出窓・バースト検出信号出力・DMF区間の関係を示すタイミング図である。
【図7】 従来の無線通信装置の要部のブロック回路図である。
【図8】 (A)は加入者系無線アクセスシステムとしてのPMP通信方式の概念図、(B)は時分割双方向通信方式によるバーストの時系列を示す模式図である。
【符号の説明】
21 可変利得アンプ、22 直交検波器、23 A/D変換器、24 復調器、25 バースト検出回路、26 受信レベル測定回路、27 AGC、28最大値保持回路、29 受信レベル測定回路。
Claims (3)
- 基地局から加入者局までの伝送路環境に起因する遅延時間を測定するための測定用バースト信号送信要求が基地局から加入者局に送信されると共にその測定用バースト信号送信要求を受けた加入者局から基地局に測定用バースト信号が送信される無線通信装置であって、
アンテナから受信された受信信号のレベルを調整する可変利得アンプと、該可変利得アンプからの出力信号を直交検波器を介してデジタル信号化するA/D変換器と、そのデジタル信号成分を復調する復調器と、前記A/D変換器でデジタル化されたバースト信号を検出して前記復調器での復調開始を制御するバースト検出回路と、該バースト検出回路によるバースト検出信号により前記A/D変換器でデジタル化されたバースト信号の受信信号のレベル測定をする受信レベル測定回路と、その測定値に基づいて前記可変利得アンプをゲイン調整するAGCと、前記バースト検出回路によるバースト信号の検出動作を制御するバースト検出窓開閉信号が前記復調器から出力されている間に受信レベルを測定する受信レベル測定回路と、その測定値を保持する保持回路とを備え、所定の受信レベル測定区間でバースト検出されない場合に前記AGCは前記保持回路に保持された受信レベル測定値に基づいて最適なゲインで前記可変利得アンプを調整することを特徴とする無線通信装置。 - 前記保持回路に保持される測定値が最大値であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
- 前記保持回路に保持される測定値が平均値であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
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2003
- 2003-06-27 JP JP2003185138A patent/JP3959050B2/ja not_active Expired - Lifetime
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