JP3957819B2 - 音場補正方法及び音場補正装置 - Google Patents

音場補正方法及び音場補正装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、劇場やドームなどの空間の音場を補正する音場補正方法と、その方法を実施する音場補正装置に関し、特に、張り出した二階席の下やバルコニー席の下などの空間における音場を適正に補正できるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
音場の補正は、従来から、音源からの音に対して、電気的に残響音を付加することによって行なわれている。例えば、ステージで演奏されている音をマイクロホンで収集し、それに残響音を付加して客席のスピーカから流すことにより、受聴者は、あたかも音響効果の優れたホールで演奏を聞いているような感じを抱くことができる。
【0003】
従来の残響音付加装置は、図5に示すように、付加する残響を100ms程度の時間幅で分割し、この区分けしたそれぞれの時間内の残響を生成するための時間窓138〜140を持つブロックを複数設けている。
【0004】
異なる時間窓138〜140を持つ各ブロックは、信号源110から出力される音楽などの信号に対して残響音を付加するFIRフィルタ111〜113と、制御器A129の制御の下にFIRフィルタ111〜113の出力を増幅する増幅器A114〜116と、増幅された信号の音色を変更する音色制御フィルタ117〜119と、周波数に応じて残響時間を変える残響時間周波数特性変更部135〜137とを備えており、残響時間周波数特性変更部135〜137は、音色制御フィルタ117の出力信号を帯域分割する帯域分割フィルタ120〜123と、制御器B130の制御の下に帯域分割フィルタ120〜123の出力を増幅する増幅器B124〜127とを具備している。
【0005】
また、残響音付加装置は、さらに、各時間窓138〜140の残響時間周波数特性変更部135〜137から出力された音声信号を加算する加算器128と、加算器128の出力を増幅する増幅器131と、増幅された音声信号を再生音場134に放音するスピーカ132とを備えている。
【0006】
この装置のFIRフィルタ111〜113は、例えば、劇場等再現を希望する音場で測定されたインパルス応答を、信号源110から入力する音声信号に畳み込み、その音場と同一の残響音特性を音声信号に与える。
【0007】
FIRフィルタ111〜113の出力は、増幅器A114〜116で増幅され、残響時間が変更される。増幅器A114〜116の出力信号は音色制御フィルタ117〜119により音色が制御される。
【0008】
音色制御フィルタ117〜119の出力は残響時間周波数特性変後部135〜137に入力し、帯域分割フィルタ120〜123を通過したそれぞれの帯域の信号が増幅器B124〜127で増幅される。ここで、i番目の時間窓におけるj番目の帯域分割フィルタを“帯域分割フィルタ[i,j]”と表し、帯域分割フィルタ[i,j]を通過した信号を増幅する増幅器Bを“増幅器B[i,j]”と表すと、増幅器B[i,j]の増幅率を制御器B130でそれぞれ独立して制御することにより、周波数ごとの残響時間、つまり残響時間周波数特性を所望の状態に変更することができる。
【0009】
残響時間周波数特性変更部135〜137の出力は、加算器128で加算され、増幅器131で増幅された後、再生音場134にあるスピ−カ132に供給され、スピ−カ132から放射された音波を受聴者133が受聴する。
【0010】
このように、この残響音付加装置では、実測されたインパルス応答を用いて入力信号に残響を付加するとともに、その残響時間や残響時間周波数特性を任意に変更することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、劇場やドームには、張り出したバルコニー席の下などに、会場中央のセンタースピーカの直接音がバルコニー席で遮られて届かない空間が存在し、このような空間の音場を補正するための手法が、これまで確立されていない。この明細書では、センタースピーカの直接音が遮られて届かない空間を“遮音空間”と呼ぶことにする。
【0012】
例えば、こうした遮音空間の音場を補正する場合に、どの位置でインパルス応答を測定すれば良いのか、あるいは、センタースピーカの高さが変化した場合に、音響的影響を大きく受ける遮音空間での音場の補正を如何に対応させるか、などの点について十分な解明がこれまで為されていない。
【0013】
本発明は、こうした課題を解決するものであり、バルコニー席の下などの遮音空間における音場を補正して最適化する音場補正方法を提供し、また、その方法を実施する音場補正装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の音場補正方法では、遮音空間に近接する、センタースピーカの直接音が到達する音場でインパルス応答を測定し、遮音空間に供給する音声信号に、このインパルス応答を畳み込むようにしている。
【0015】
また、本発明の音場補正装置では、遮音空間に近接する、センタースピーカの直接音が到達する音場に配置したマイクロフォンと、このマイクロフォンを用いてインパルス応答を測定するインパルス応答測定手段と、音声信号にこのインパルス応答を畳み込むインパルス応答畳み込み手段と、インパルス応答が畳み込まれた音声信号を遮音空間に放音するスピーカとを設けている。
【0016】
こうした構成により、遮音空間の音場を、センタースピーカの直接音が到達する音場に補正することができる。
【0017】
また、センタースピーカの高さを種々に変えてインパルス応答の測定を行ない、この測定で求めたデータを記憶手段に保持させている。センタースピーカの高さに応じたデータを記憶手段から読み出して音声信号に畳み込むことにより、センタースピーカの高さに対応した音場の補正を行なうことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、第1のスピーカの直接音が届かない遮音空間の音場を補正する音場補正方法において、遮音空間に近接し、かつ前記第1のスピーカの直接音が到達する境界音場でインパルス応答を測定し、第2のスピーカにより遮音空間に供給する音声信号に、このインパルス応答を畳み込むようにしたものであり、遮音空間の音場を、第1のスピーカ(センタースピーカの直接音が到達する音場に近づけることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、インパルス応答からパルスを抽出し、前記第2のスピーカにより遮音空間に供給する音声信号にこのパルスを畳み込むようにしたものであり、畳み込みに使用するデータを限定することによって、ハードウエアの小規模化を図ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、遮音空間に近接する前記第1のスピーカの直接音が到達する空間と、遮音空間との双方でインパルス応答を測定し、前記第2のスピーカにより遮音空間に供給する音声信号に、それらのインパルス応答の各々から抽出したパルスの差分データを畳み込むようにしたものであり、遮音空間に回り込む反射音との整合を取りながら音場の補正を行なうことができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記第1のスピーカの高さを変えてインパルス応答の測定を行ない、この測定で求めたデータを記憶手段に保持し、前記第1のスピーカの高さが変化した場合にスピーカの高さに応じたデータを記憶手段から読み出して前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込ようにしたものであり、センタースピーカの高さが変更された場合に、それに対応した音場の補正を行なうことができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、第1のスピーカの直接音が届かない遮音空間の音場を補正する音場補正装置において、遮音空間に近接し、かつ前記第1のスピーカの直接音が到達する境界音場に配置された第1のマイクロフォンと、第1のマイクロフォンを用いてインパルス応答を測定するインパルス応答測定手段と、音声信号を前記遮音空間に供給する第2のスピーカと、前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号にこのインパルス応答を畳み込むインパルス応答畳み込み手段と設けたものであり、この装置により、請求項1の音場補正方法を実施することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、インパルス応答測定手段により測定されたインパルス応答からパルスを抽出する第1のパルス抽出手段を設け、インパルス応答畳み込み手段が、この第1のパルス抽出手段により抽出されたパルスを前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込むようにしたものであり、この装置により、請求項2の音場補正方法を実施することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、遮音空間に配置された第2のマイクロフォンと、第2のマイクロフォンを用いてインパルス応答を測定する第2のインパルス応答測定手段と、第2のインパルス応答測定手段により測定されたインパルス応答からパルスを抽出する第2のパルス抽出手段と、第1のパルス抽出手段により抽出されたパルスと第2のパルス抽出手段により抽出されたパルスとの差分パルスを出力する差分パルス検出手段とを設け、インパルス応答畳み込み手段が、差分パルス検出手段から出力された差分パルスを前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込むようにしたものであり、この装置により、請求項3の音場補正方法を実施することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込まれる前記インパルス応答、パルスまたは差分パルスのデータを記憶する記憶手段を設け、この記憶手段に前記第1のスピーカの種々の高さに対応する前記インパルス応答、パルスまたは差分パルスのデータを格納し、インパルス応答畳み込み手段が、記憶手段から現在の前記第1のスピーカの高さに対応する前記データを読み出して音声信号に畳み込むようにしたものであり、この装置により、請求項4の音場補正方法を実施することができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
第1の実施形態の音場補正装置は、図1に示すように、バルコニー席5の下の再生音場12に音声信号を放音するバルコニースピーカ10と、センタークラスタースピーカ1〜3の直接音が到達する、バルコニーの再生音場近くの位置(バルコニーの最下段)に配置されたマイクロホンA4と、このマイクロフォンA4を利用してインパルス応答を測定するインパルス応答測定器6と、音楽などの音声信号を出力する信号源9と、信号源9から出力された音声信号に、測定で求めたインパルス応答を畳み込むインパルス応答畳み込み器7と、このインパルス応答畳み込み器7の出力を増幅してバルコニースピーカ10に出力する増幅器8とを備えている。
【0028】
この装置により再生音場12の補正が次のように行なわれる。
【0029】
まず、インパルス応答測定器6を用いて、センタークラスタースピーカ1〜3の直接音が到達する音場と再生音場12との境界付近(境界音場)におけるインパルス応答を測定する。そのために、センタークラスタースピーカ1からM系列等のランダム信号を拡声し、これをマイクロフォンA4で受信してインパルス応答を実測し、インパルス応答測定器6により測定結果をデータ化する。
【0030】
音場補正の実行段階では、例えばステージの演奏音がセンタークラスタースピーカ1〜3から拡声され、同時に、この音声信号が信号源9から出力される。電算機などで構成されるインパルス応答畳み込み器7は、信号源9から出力される音声信号に、インパルス応答測定器6で測定したインパルス応答を畳み込む。この畳み込みにより、信号源9から出力される音声信号に残響音が付加される。なお、インパルス応答畳み込み器7は、アナログ処理により音声信号にインパルス応答波形を畳み込み積分するものであっても良い。
【0031】
このインパルス応答畳み込み器7の出力は、増幅器8で増幅されて再生音場12のバルコニースピ−カ−10に供給される。再生音場12では、バルコニースピ−カ−10から放射された音波を受聴者11が受聴する。
【0032】
こうして、バルコニースピーカ10から残響音を付加した音声を拡声することにより、バルコニー席の下の再生音場12は、センタークラスタスピーカの直接音が到達する境界音場に近い状態に補正され、受聴者は音を遮るバルコニー席がない状態の空間で演奏を聞いているような感じを持つことができる。
【0033】
このように、この実施形態の音場補正装置は、遮音空間における音場を最適な音場に近づけることができる。
【0034】
また、会場がドーム型大空間であって、センタークラスタースピーカ1〜3の高さが多段階に変更される場合でも、バルコニー5の最下段に置いたマイクロフォンA4には、それぞれの高さのセンタークラスタースピーカ1〜3の直接音が到達する。従って、このマイクロフォンA4を用いて、高さが変更されたセンタークラスタースピーカのそれぞれの位置におけるインパルス応答を実測し、これを音声信号に畳み込むことにより、スピーカの高さの変更に関わらず、遮音空間の音場を最適状態に近づける補正を行なうことができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態の音場補正装置は、インパルス応答の測定データを離散化し、そこから抽出したデータを用いて畳み込みを行なっている。
【0036】
この装置は、図2に示すように、バルコニー席25の下の再生音場52に音声信号を放音するバルコニースピーカ50と、インパルス応答の測定に用いるマイクロホンA24と、マイクロフォンA24を利用してインパルス応答を測定するインパルス応答測定器26と、インパルス応答の実測データを離散データ化し、パルスとして抽出するパルス抽出器27と、信号源28から出力される音声信号に残響音を付加する各時間窓56〜58を持つブロックと、各ブロックの出力を加算する加算器46と、加算器46の出力を増幅してバルコニースピーカ50に出力する増幅器49とを備えている。
【0037】
また、各時間窓56〜58を持つブロックは、信号源28からの信号にインパルス応答のデータを畳み込むFIRフィルタ29〜31と、制御器A47の制御の下にFIRフィルタ29〜31の出力を増幅する増幅器A32〜34と、増幅された信号の音色を変更する音色制御フィルタ35〜37と、周波数に応じて残響時間を変える残響時間周波数特性変更部53〜55とを具備し、残響時間周波数特性変更部53〜55は、音色制御フィルタ35の出力信号を帯域分割する帯域分割フィルタ38〜41と、制御器B48の制御の下に帯域分割フィルタ38〜41の出力を増幅する増幅器B42〜45とを備えている。
【0038】
この装置では、第1の実施形態と同様に、まず、センタークラスタースピーカ21からM系列信号などを拡声し、これをマイクロフォンA24で受信して、センタークラスタースピーカ21〜23の直接音が到達する境界音場でのインパルス応答をインパルス応答測定器26で測定する。パルス抽出器27は、このインパルス応答測定器26の測定データを離散データ化し、パルスとして抽出する。パルス列の抽出方法としては、例えば、公知の逆フィルタ処理による方法や、振幅の大きい順番にパルス列を選択する方法、あるいはM系列信号によるマスク処理を行ないつつ振幅の最大値を検出する方法などを用いることができる。抽出するパルス列は100ms当たり200以上のパルス密度が必要である。
【0039】
こうして得たパルス列を時間窓56〜58の継続時間TWごとに分割し、N個の各FIRフィルタ29〜31に割り当てる。時間窓TWは100ms以下に設定するとよい。
【0040】
各FIRフィルタ29〜31は、信号源28から入力する音声信号に、割り当てられたインパルス応答を畳み込み、残響音を生成する。それぞれ異なる残響時間を有する各FIRフィルタ29〜31の出力は、各増幅器A32〜34に入力して、制御器A47が設定する増幅率で増幅される。
【0041】
ここで、パルス列の残響時間をRTp、所望の残響時間をRTdとすると(但し、RTp>RTd)、増幅器A[i](i=1、2、3、4、‥、N)に設定する増幅率α[i]は次式(数1)によって求められる。
α[i]=10(30.0/RTp−30.0/RTd)t (数1)
但し、t=TW/2+TW(i−1) (i=1、2、3、4、‥、N)
【0042】
増幅器A32〜34で増幅された信号は、音色制御フィルタ35〜37に入力し、その音色が制御される。この音色制御フィルタ[i](i=1、2、3、4、‥、N)は、所望の残響時間周波数(即ち、周波数fにおける残響時間)をRT(f)とするとき、パワ−スペクトルp[f,i]が次式(数2)によって与えられるように、その特性を設定する。
p[f,i]=exp[t(ln10−6)/RT(f)] (数2)
但し、t=TW/2+TW(i−1) (i=1、2、3、4、‥、N)
【0043】
音色制御フィルタ35〜37の出力は、残響時間周波数変更部53〜55に入力し、帯域分割フィルタ39〜41で各帯域に分割された後、それぞれの帯域ごとに、制御器B48が制御する増幅器B42〜45で増幅され、所望の残響時間周波数特性に変更される。
【0044】
ここで、i番目の時間窓におけるj番目の帯域分割フィルタを“帯域分割フィルタ[i,j]”とし、帯域分割フィルタ[i,j]を通過した信号を増幅する増幅器Bを“増幅器B[i,j]”とし、また、残響時間RTdをその帯域において変化させる係数をRTc[j](つまり、RTdにRTc[j]を乗算すればその帯域の所望の残響時間となる)とするとき、増幅器B[i,j]における増幅率β[i,j]は、次式(数3)によって求められる。
【数3】
Figure 0003957819
但し、iは時間窓の番号でjは帯域分割フィルタの番号である。
(i=1、2、3、4、‥、N)
(j=1、2、3、4、‥、M)
【0045】
残響時間周波数特性変更部53〜55の中の増幅器Bの全出力は加算器46で加算され、更に増幅器49で所望の大きさに増幅される。増幅器49の出力は再生音場52のバルコニースピーカ50に供給される。再生音場では、バルコニースピ−カ−50から放射された音波を受聴者51が受聴する。
【0046】
このように、第2の実施形態の装置では、インパルス応答の測定データの中から、畳み込みに使用するデータを限定しているため、第1の実施形態に比べて、より小規模なハードウェア構成で遮音空間の音場を補正することができる。
【0047】
また、この装置においても、センタークラスタースピーカの高さが多段階に変更される場合に、それぞれのスピーカ位置でのインパルス応答を実測し、そこから抽出したパルスデータを音声信号に畳み込むことにより、スピーカの高さの変更に関わらず、遮音空間の音場を適正に補正することができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
第3の実施形態の音場補正装置は、スピーカからの反射音を考慮して遮音空間における音場を補正する。
【0049】
この音場補正装置は、図3に示すように、センタークラスタースピーカ61〜63の直接音が到達する境界音場に配置されたマイクロフォンA64と、マイクロフォンA64を用いてインパルス応答を測定するインパルス応答A測定器66と、インパルス応答A測定器66の測定データを離散データ化してパルスを抽出するパルスA抽出器67と、バルコニー下の遮音空間に配置されたマイクロフォンB68と、マイクロフォンB68を用いてインパルス応答を測定するインパルス応答B測定器69と、インパルス応答B測定器69の測定データを離散データ化してパルスを抽出するパルスB抽出器70と、パルスA抽出器67で抽出されたパルスとパルスB抽出器70で抽出されたパルスとの差分を検出する差分パルス検出器71とを備えている。その他の構成は第2の実施形態(図2)と変わりがない。
【0050】
この音場補正装置では、センタークラスタースピーカ61からM系列等の信号を拡声し、センタークラスタースピーカ61の直接音が到達する境界音場に置いたマイクロフォンA64を利用して、インパルス応答A測定器66でインパルス応答を測定し、また、同時に、バルコニー席65の下の再生音場96に、バルコニースピーカ94の軸と合わせて配置したマイクロフォンB68を利用して、インパルス応答B測定器69でインパルス応答を測定する。
【0051】
インパルス応答A測定器66で測定されるインパルス応答Aは、センタークラスター61の直接音に対するインパルス応答であるが、インパルス応答B測定器69で測定されるインパルス応答Bは、マイクロフォンB68がセンタークラスター61の直接音が到達できない位置に置かれているため、回り込みによる反射音のインパルス応答が主となる。
【0052】
パルスA抽出器67及びパルスB抽出器70は、このインパルス応答A及びインパルス応答Bの波形を同一のサンプリング周波数で離散化し、パルス化する。
【0053】
差分パルス検出器71は、直接音のインパルス応答Aと第一反射音のインパルス応答Bとの到達時間を一致させた上で、時間軸上の全サンプリングポイントにおいてインパルス応答Aとインパルス応答Bとのパルス列のレベルの差分を抽出する。また、任意のサンプリングポイントでパルスAまたはパルスBのいづれか一方のレベルが0の場合には、レベルが0でない方のパルスを抽出し、また、パルスA及びパルスBのレベルが互いに0の場合には、そのポイントのパルスのレベルを0とする。
【0054】
差分パルス検出器71により検出されたパルス列は、時間窓100〜102の継続時間TWごとに分割して、N個の各FIRフィルタ73〜75に割り当てられ、各FIRフィルタ73〜75は、信号源72から入力する音声信号に、割り当てられたインパルス応答を畳み込み、残響音を付加する。この動作及びその後の動作は第2の実施形態で説明したものと同じである。
【0055】
このように、第3の実施形態の装置では、再生音場96の補正を、センタークラスタスピーカからの反射音と整合を取りながら行なうことができる。そのため、再生音場95の受聴者95は、バルコニースピーカ94から放射される音声を、違和感を感じることなく聞き取ることができる。
【0056】
また、この装置においても、センタークラスタースピーカの高さが多段階に変更される場合に、それぞれのスピーカ位置でのインパルス応答Aとインパルス応答Bとを実測し、それらから抽出したパルスの差分データを音声信号に畳み込むことにより、スピーカの高さの変更に関わらず、遮音空間の音場を適正に補正することができる。
【0057】
(第4の実施の形態)
第4の実施形態の音場補正装置は、センタークラスタースピーカの高さの変更に、遮音空間の音場補正を即座に対応させることができる。
【0058】
この音場補正装置は、図4に示すように、センタークラスタースピーカ151〜153の高さを多段階に変えて行なわれた測定で、差分パルス抽出器161から出力されたデータを記憶する記憶装置162を備えている。その他の構成は第3の実施形態(図3)と変わりがない。
【0059】
この装置では、ドーム型大空間などにおいて、センタークラスタースピーカ151〜153の高さが多段階に変更される場合に、予め、それぞれの高さ位置に設定したセンタークラスタースピーカからM系列信号を放射して、センタークラスタースピーカの直接音が到達する境界音場でのインパルスA応答と、遮音音場でのインパルスB応答とを測定する。そして、差分パルス検出器161から出力される、それらの応答から抽出したパルスの差分データを、例えばハードディスク、MO、フロッピーディスク、ROMなどから成る記憶装置162に格納する。
【0060】
音声信号に残響を付加する場合には、その時のセンタークラスタースピーカ151〜153の高さに対応するインパルス応答の差分データを記憶装置162から読み出し、音声信号に畳み込む。この畳み込みの動作自体は第2及び第3の実施形態と同じである。
【0061】
このように、この装置では、センタークラスタースピーカ151〜153の高さが変わるごとに、対応するデータが記憶装置162から読み出されて各FIRフィルタ164〜166にプリセットされる。こうした動作により、遮音空間の音場に対して、センタークラスタースピーカ151〜153の高さに応じた補正を自動的且つ適正に行なうことが可能となる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の音場補正方法は、バルコニー席の下などに在る遮音空間の音場を、センタースピーカからの直接音が到達する隣接する音場と同じ状態に補正することができる。
【0063】
また、センタースピーカの高さが変更された場合でも、それに応じた音場補正を速やかに行なうことができる。
【0064】
また、本発明の音場補正装置は、こうした音場補正方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における音場補正装置の構成を示すブロック図、
【図2】本発明の第2の実施形態における音場補正装置の構成を示すブロック図、
【図3】本発明の第3の実施形態における音場補正装置の構成を示すブロック図、
【図4】本発明の第4の実施形態における音場補正装置の構成を示すブロック図、
【図5】従来の残響音付加装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、21、61、151 センタークラスタースピーカ1
2、22、62、152 センタークラスタースピーカ2
3、23、63、153 センタークラスタースピーカL
4、24、64、154 マイクロフォンA
5、25、65、155 バルコニー席
6、26 インパルス応答測定器
7 インパルス応答畳み込み器
8、49、93、131、184 増幅器
9、28、72、110、163 信号源
10、50、94、185 バルコニースピーカ
11、51、95、133、186 受聴者
12、52、96、134、187 再生音場
27 パルス抽出器
29〜31、73〜75、111〜113、164〜166 FIRフィルタ
32〜34、76〜78、114〜116、167〜169 増幅器A
35〜37、79〜81、117〜119、170〜172 音色制御フィルタ
38〜41、82〜85、120〜123、173〜176 帯域分割フィルタ
42〜45、86〜89、124〜127、177〜180 増幅器B
46、90、128、181 加算器
47、91、129、182 制御器A
48、92、130、183 制御器B
53〜55、97〜99、135〜137、188〜190 残響時間周波数特性変更部
56、100、138、191 時間窓1
57、101、139、192 時間窓2
58、102、140、193 時間窓N
66、156 インパルス応答A測定器
67、157 パルスA抽出器
68、158 マイクロフォンB
69、159 インパルス応答B測定器
70、160 パルスB抽出器
71、161 差分パルス検出器
162 記憶装置

Claims (8)

  1. 第1のスピーカの直接音が届かない遮音空間の音場を補正する音場補正方法において、
    前記遮音空間に近接し、かつ前記第1のスピーカの直接音が到達する境界音場でインパルス応答を測定し、第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に前記インパルス応答を畳み込むことを特徴とする音場補正方法。
  2. 前記インパルス応答からパルスを抽出し、前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に前記パルスを畳み込むことを特徴とする請求項1に記載の音場補正方法。
  3. 前記遮音空間に近接する前記第1のスピーカの直接音が到達する空間と前記遮音空間との双方でインパルス応答を測定し、前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に、それらのインパルス応答の各々から抽出したパルスの差分データを畳み込むことを特徴とする請求項2に記載の音場補正方法。
  4. 前記第1のスピーカの高さを変えて前記インパルス応答の測定を行ない、この測定で求めたデータを記憶手段に保持し、前記第1のスピーカの高さが変化した場合にスピーカの高さに応じた前記データを前記記憶手段から読み出して前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の音場補正方法。
  5. 第1のスピーカの直接音が届かない遮音空間の音場を補正する音場補正装置において、
    前記遮音空間に近接し、かつ前記第1のスピーカの直接音が到達する境界音場に配置された第1のマイクロフォンと、
    前記第1のマイクロフォンを用いてインパルス応答を測定するインパルス応答測定手段と、
    音声信号を前記遮音空間に供給する第2のスピーカと、
    前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に前記インパルス応答を畳み込むインパルス応答畳み込み手段と
    備えることを特徴とする音場補正装置。
  6. 前記インパルス応答測定手段により測定されたインパルス応答からパルスを抽出する第1のパルス抽出手段を備え、前記インパルス応答畳み込み手段が、前記第1のパルス抽出手段により抽出されたパルスを前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込むことを特徴とする請求項5に記載の音場補正装置。
  7. 前記遮音空間に配置された第2のマイクロフォンと、前記第2のマイクロフォンを用いてインパルス応答を測定する第2のインパルス応答測定手段と、前記第2のインパルス応答測定手段により測定されたインパルス応答からパルスを抽出する第2のパルス抽出手段と、前記第1のパルス抽出手段により抽出されたパルスと前記第2のパルス抽出手段により抽出されたパルスとの差分パルスを出力する差分パルス検出手段とを備え、
    前記インパルス応答畳み込み手段が、前記差分パルス検出手段から出力された差分パルスを前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込むことを特徴とする請求項6に記載の音場補正装置。
  8. 前記第2のスピーカにより前記遮音空間に供給する音声信号に畳み込まれる前記インパルス応答、パルスまたは差分パルスのデータを記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に前記第1のスピーカの種々の高さに対応する前記インパルス応答、パルスまたは差分パルスのデータを格納し、前記インパルス応答畳み込み手段が、前記記憶手段から現在の前記第1のスピーカの高さに対応する前記データを読み出して前記音声信号に畳み込むことを特徴とする請求項5からのいずれかに記載の音場補正装置。
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