JP3956535B2 - 副室式エンジン - Google Patents

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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主室、副室及び該副室内に燃料を噴霧する燃料噴射ノズルを有する副室式エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンとして、一般に直噴式エンジンと副室式エンジンがよく知られている。直噴式エンジンは、副室式エンジンに比べて燃費が良いため、従来からトラック、バス等の大型車に多く使用されてきている。しかしながら、直噴式エンジンは副室式エンジンに比べてNOX 排出量が多いため、近年、NOX 規制が一層厳しくなる傾向にある中で、燃費のメリットを生かすことが難しくなっている。また、排気ガスの一部を吸気側に環流するようにした排気ガス再循環装置(EGRシステム)などによるNOX 低減が検討されているが、EGRの排気ガスには腐食性があるため、エンジンの耐久性や信頼性が悪化するという問題点がある。そこで、厳しいNOX 規制に対応するため、NOX 排出量の少ない副室式エンジンが注目されるようになってきた。
【0003】
副室式エンジン(渦流室式ディーゼルエンジン)が直噴式エンジンに比較して燃費が劣る原因は、第一に、副室に燃料を噴射し、噴射された燃料を副室で着火燃焼させ、その後、火炎が副室の中心線からの径方向に対して傾斜した方向に延びる一つの連絡孔を通過し主室全域に拡散していくために燃焼期間が長いこと、第二に、連絡孔の絞り損失が大きいこと、第三に、副室内の空気流動及び表面積が大きいため放熱損失が大きいことなどにある。このような従来の副室式エンジンの欠点を解消し、厳しいNOX 排出量規制に対して、副室式エンジンの燃費を改善し、EGRなしで排気ガス規制をクリアするために、中央副室式エンジンが提案されている。中央副室式エンジンは、副室をシリンダの中央に配置し、複数の連絡孔を主室外周部に向けて放射状に配置したものであって、副室を中央に配置したことにより、シリンダに火炎を拡げるための時間を1/2にし、連絡面積比を大きくしたものである。従来の副室に比べてシリンダ外壁までの火炎の到達時間が短縮され、燃費の向上を図ることができる。
【0004】
提案されている中央副室式エンジンの一つとして、例えば、特開平9−158735号公報に開示されたものがある。このピストンに副室を有する副室式エンジンは、基本的には、シリンダ内を往復動するピストンの頂面側に主室を形成し、前記ピストンのほぼ中央に位置して形成されたキャビティで副室を構成し、副室のほぼ中央に位置するピストンの頂部にノズル挿入孔が形成され、該ノズル挿入孔の回りでピストンの頂部に隔置して形成された複数の連絡孔が主室と副室とを連通しており、ピストンの上死点近傍で燃料噴射ノズルがノズル挿入孔に突入して、多噴孔が形成されている燃料噴射ノズルの先端部が副室に突入するように構成されたものである。上記公報に開示されている副室式エンジンにおいては、更に、エンジンが高速運転であることに応じて燃料噴射ノズルからの燃料をすべて副室に噴射するが、エンジンが低速運転状態であると、燃料噴射ノズルから噴射される燃料の一部を主室に噴射し残りを副室に噴射することにより、低速運転時のスモークの発生を抑制したものである。
【0005】
また、副室式エンジンの他の例として、例えば、特開平6−317160号公報に開示されたものがある。この副室式エンジンは、基本的には、先に挙げた公報に開示されている主室(主燃焼室)、副室(副燃焼室)、連絡孔、及びノズル挿入孔を備えたものであって、更に、燃料噴射ノズルの多噴孔から噴射される燃料の噴霧中心を副室内で各連絡孔の延長線上の交点近傍に形成される渦流中心から離れた位置に設定したものである。このように構成された副室式エンジンは、副室内で燃料噴射ノズルから噴射される燃料を渦流の弱い領域に噴射することができ、副室内での燃料と空気との混合を均一化して燃焼の悪化を防止することを図っている。
【0006】
副室式エンジンの更に別の例として、特開平10−61443号公報に開示されたものがある。この副室式エンジンは、先に挙げた公報に開示されている副室式エンジンと同様に、主室(主燃焼室)、ピストン又はシリンダヘッドに形成された副室(副燃焼室)、及び連絡孔を備えたものであって、更に、燃料噴射ノズルの多噴孔から噴射される各燃料噴霧の中心線が、連絡孔の口内に位置するように設定している。副室内に形成された火炎が主室に噴出するエネルギーを確保するために連絡孔の口径を大きくすることができないので、燃料噴霧の中心線を連絡孔の口内に位置させることにより、副室内で着火燃焼した火炎が連絡孔を通じて速やかに主室のシリンダ周辺の壁面まで到達することを図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
副室式エンジンでは、燃焼期間を短縮して燃費や排気ガス特性を向上するには、主室から副室に流入する空気を副室内に速やかに拡散して噴霧燃料との混合を促進すると共に、副室全体に形成された混合気及び着火した火炎を速やかに主室側に移行させることが重要である。連絡孔の副室側開口において先鋭なエッジによる流れ断面積の急激な変化によって、副室内に流入する空気は拡散し難く、また、副室内の混合気を含む火炎が副室から連絡孔を通じて主室に移行するときの連絡孔への流込みに際して混合気の流れに損失が生じる。副室内での混合気の形成にムラがあったり副室から主室への燃料の移行が遅れ噴射された燃料が副室内に残留して滞ると、主室での燃焼が効率的に行われずパティキュレート成分が発生し、燃焼後に連絡孔を通じて副室から不完全燃焼のガスが主室に流れ出ることもあり、スートを含む燃焼ガスが排出されるという問題がある。したがって、副室式エンジンにおいては、主室から流入する空気を副室内にスムーズに拡散させ、且つ流入した空気と燃料噴射ノズルから噴射された燃料との混合気を含む火炎をスムーズに連絡孔に流入させる点について、なお解決すべき課題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、上記の課題を解決することであり、エンジンの圧縮行程において、空気が主室から連絡孔を通じて副室へ流入する際に連絡孔の開口における空気のスムーズな拡散を実現して、燃料噴射ノズルから噴射された燃料と空気の混合を改善すると共に、エンジンの圧縮上死点付近において、副室内の空気と燃料との混合気を含む火炎が連絡孔に流入する際に火炎の連絡孔へのスムーズな流れ込みを実現して、火炎をその勢いが低下することなく主室に噴出することを可能にする副室式エンジンを提供することである。また、燃料噴射ノズルから噴射された燃料噴霧の中心線と連絡孔の孔中心線との相対的な位置関係を特定して、燃料噴霧が連絡孔にスムーズな流れ込むことを可能にする副室式エンジンを提供することである。
【0009】
この発明は、シリンダを構成するシリンダブロック、前記シリンダブロックに固定されたシリンダヘッド、前記シリンダ内を往復動するピストン、前記ピストンの頂面と前記シリンダヘッドとの間の前記シリンダに形成された主室、前記ピストンに形成された副室、前記ピストン頂部に前記副室の中心に対して周方向に隔置し且つ前記シリンダの周辺部に向かって放射状に形成された前記主室と前記副室とを連通する複数の連絡孔及び前記副室内に燃料を噴射する多噴孔を有する燃料噴射ノズルを備え、前記連絡孔を通じての前記主室から前記副室への空気の流入と前記副室から前記主室への混合気を含む火炎の流出とを案内するため、前記連絡孔の副室側開口の周縁部にアール面が形成されている副室式エンジンにおいて、前記燃料噴射ノズルから噴射された各燃料噴霧の燃料噴射終了時の中心位置は、前記燃料噴霧が向けられる前記連絡孔の副室側開口の中心点に対して、前記シリンダの中心線の軸方向に、副室底面側では前記中心点から前記連絡孔の口径に相当する距離以内の距離に、且つ副室頂面側では前記副室頂面を超えない範囲で前記中心点から前記連絡孔の口径に相当する距離以内の距離に設定されていることを特徴とする。
【0010】
上記のように構成された副室式エンジンにおいて、圧縮行程では、ピストンの頂面とシリンダヘッドとの間のシリンダ内に収容された空気は、連絡孔を通して副室内に導入される。副室に開口する連絡孔は、副室側開口の周縁部にアール面が形成されているので、副室内に導入された空気はアール面に案内されて拡散され易い。圧縮上死点の近傍で燃料噴射ノズルの多噴孔からそれぞれ噴射された燃料は、副室内壁面に衝突する等して拡散し、副室内で拡散し流動する空気と良好に混合され、過濃混合気(燃料密度の大きな極めて濃い混合気)が形成される。特に、連絡孔の副室側開口においてシリンダ中心線の軸方向の周縁部にアール面が形成されている場合に、燃料噴霧が着火燃焼した火炎が連絡孔からスムーズに主室に移行するのに許容される燃料噴霧の中心線の向きが、シリンダの中心線の軸方向に広がる。また、エンジンの運転状態に応じて燃料噴射時期が変化しても、燃料噴霧が着火燃焼した火炎の主たる領域が連絡孔から外れないので、火炎は副室から主室にスムーズに移行する。
【0011】
次いで、混合気が着火すると、エンジンは膨張行程に移行する。膨張行程では、連絡孔の副室側開口付近に存在する過濃混合気を含んだ火炎は、連絡孔を通じて主室へ噴出する。連絡孔の副室側開口の周縁部にはアール面が形成されているので、過濃混合気を含んだ火炎はアール面に案内されて抵抗の少ない状態、即ち、火炎の流れの損失が少ない状態で連絡孔に流入する。その結果、連絡孔を通じて主室に噴出する火炎の噴出の勢いが衰えることなく、主室のシリンダ周辺部まで短期間で空気と混合して急速に希薄化して燃焼し、燃焼期間を短縮し、NOX の排出量が少なく、パティキュレートやスートの発生が低減され、燃費が低く抑えられる。
【0012】
前記副室は前記連絡孔の前記副室側開口の副室底面側近傍部分において最大内径を有しており、前記アール面は前記連絡孔の前記副室側開口の副室底面側周縁部に形成された底面側アール面であり、該底面側アール面は、その最内側部分から前記副室の前記最大内径を有する前記副室底面側近傍部分までの径方向距離が前記最大内径の10%以下になるように形成されている。連絡孔の孔軸の傾斜が緩傾斜である場合に、連絡孔の副室側開口の周縁部にアール面を形成しないとすると、連絡孔の副室側開口の副室底面側周縁部が先鋭なエッジとなり、副室への流入空気の拡散を妨げ、且つ主室への火炎の流出に抵抗となるので、この副室底面側周縁部にアール面が形成される。アール面の規模を、底面側アール面の最内側部分から副室の最大内径を有する副室底面側近傍部分までの径方向距離が最大内径の10%以下になるようにすると、副室底面側周縁部は緩慢に角度が変化する周縁部となり、連絡孔から副室に流入する空気はスムーズに案内されて副室内に拡散し、副室から連絡孔への火炎はスムーズに案内されて主室に流出する。
【0013】
前記副室は前記連絡孔の前記副室側開口の副室底面側近傍部分において最大内径を有しており、前記アール面は前記連絡孔の前記副室側開口の副室頂面側周縁部に形成された頂面側アール面であり、該頂面側アール面は、その最底側部分から前記副室の頂部壁面までの前記副室の中心線に沿った軸方向距離が前記最大内径の10%以下になるように形成されている。連絡孔の孔軸の傾斜が急傾斜である場合に、連絡孔の副室側開口の周縁部にアール面を形成しないとすると、連絡孔の副室側開口の副室頂面側周縁部が先鋭なエッジとなり、副室への流入空気の拡散を妨げ、且つ主室への火炎の流出に抵抗となるので、この副室頂面側周縁部にアール面が形成される。アール面の規模を、頂面側アール面の最底側部分から前記副室の頂部壁面までの前記副室の中心線に沿った軸方向距離が前記最大内径の10%以下になるようにすると、副室頂面側周縁部は緩慢に角度が変化する周縁部となり、連絡孔から副室に流入する空気はスムーズに案内されて副室内に拡散し、副室から連絡孔への火炎はスムーズに案内されて主室に流出する。
【0014】
前記アール面には、前記連絡孔の前記副室側開口の両副室周方向側周縁部に形成された周方向側アール面が含まれており、前記周方向側アール面は、前記連絡孔の孔壁面と前記副室の内壁面とを接続すると共に、前記底面側アール面又は前記頂面側アール面とに接続している。連絡孔の副室側開口の両副室周方向側周縁部も、副室の内壁面との間が急な角度を有するエッジとなっているので、副室周方向側周縁部にも周方向側アール面が形成され、連絡孔から副室に流入する空気の拡散と、副室から連絡孔への火炎の流出の際の抵抗が改善される。
【0015】
前記副室の中央部に対応するピストン頂部には、前記ピストンの上死点近傍で前記燃料噴射ノズルが突入するノズル挿入孔が形成されている。圧縮行程の最終段階である圧縮上死点の付近では、シリンダヘッドに設けられている燃料噴射ノズルがピストン頂部に形成されているノズル挿入孔に突入して、燃料を副室内に噴射する。
【0016】
前記副室は前記ピストンの中央部に形成されており、前記燃料噴射ノズル及び前記ノズル挿通孔は実質的に前記シリンダの中心線上に配置されている。副室がピストンの中央部に形成されており、燃料噴射ノズルがシリンダの中心線上に配置されているので、燃料噴射ノズルは副室の中心線上の位置から副室内に燃料を噴射し、火炎は連絡孔を通じて主室に略均等に放射状に噴出される。
【0017】
前記燃料噴射ノズルから噴射された各燃料噴霧の中心線は、前記燃料噴霧が向けられる前記連絡孔の孔中心線に対して、前記シリンダの中心線回りの周方向に、前記連絡孔の連絡孔間角度の±(1/3)の角度に渡る範囲内の角度に設定されている。特に、連絡孔の副室側開口の周方向の周縁部にアール面が形成されている場合に、燃料噴霧が着火燃焼した火炎が連絡孔からスムーズに主室に移行するのに許容される燃料噴霧の中心線の向きが、シリンダの中心線回りの周方向に広がり、エンジンの設計、加工及び組立にゆとりが与えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明による副室式エンジンの実施例について説明する。図1はこの発明による副室式エンジンの第1実施例を示す断面図、図2は図1に示した副室式エンジンの一部を拡大して示す部分断面図、図3は図2の矢視Aで見た連絡孔の副室側開口とその近傍の拡大図、図4は図3の矢視B−Bで見た連絡孔の副室側開口とその近傍の拡大断面図である。この副室式エンジンの実施例では、要部のみを説明するため、吸排気ポートや吸排気バルブを図示していないが、通常のエンジンと同様にそれらが設けられている。
【0020】
図1に示す副室式エンジンは、例えば、シリンダを構成するシリンダブロック6にガスケット8を介在されて固定されたシリンダヘッド5を有し、シリンダブロック6にはエンジンの気筒数に対応した数だけシリンダボアが形成されている。シリンダ3は、具体的には、シリンダボアに嵌合されているシリンダライナ7によって構成されている。シリンダ3に組み込まれたピストン4は、シリンダライナ7に対してピストンリング4aを摺動させつつ往復運動する。主室1は、シリンダヘッド5の下面12、ピストン4の頂面11及びシリンダライナ3の周面で囲まれる空間として定められている。また、ピストン4の中央上部には、副室2が形成されている。副室2は、詳細を図示しないが、ピストン4に形成されたキャビティ内に配置されると共に、耐熱材から製作され且つ外周が遮熱構造に構成された副室部材の内部に形成されている。副室2内に燃料を噴射する燃料噴射ノズル9は、シリンダヘッド5に配置されたインジェクタ10の先端部に設けられており、シリンダヘッド5の下面12から突出した状態で配置されている。
【0021】
副室2の中央部に対応するピストン4の中央上部には、ピストン上死点近傍で燃料噴射ノズル9が副室2内に突入することができるように副室2の上部の中央に開口するノズル挿入孔13が形成されている。燃料噴射ノズル9及びノズル挿入孔13は実質的にシリンダ中心線C−C上に配置されている。副室2はその中心線が実質的にシリンダ中心線C−Cと一致しており、副室2の内壁面は、実質的に、シリンダ中心線C−Cの回りに回転した回転体の表面と実質的に一致しているので、シリンダ中心線C−Cに直交する平面で見たときの副室の断面は実質的に円形である。燃料噴射ノズル9には、ノズル軸心の周りに等角度に隔置した位置に且つ燃料をほぼ水平方向に噴射する多噴孔16が形成されている。
【0022】
ピストン4の上部には、主室1と副室2とを連通するため、副室2の中心に対して周方向に隔置された複数の連絡孔14が形成されている。連絡孔14は、多噴孔16の噴孔数に対応した数だけ、シリンダ中心線C−Cの回りに等間隔に隔置して、且つ主室1側ではシリンダ3の周辺に向けて放射状に形成されている。連絡孔14の孔中心線14a(図2参照)は、シリンダ中心線C−Cからシリンダヘッド5の下面12に向かうに従って比較的緩傾斜で上方に傾斜している。連絡孔14は、副室2において副室側開口17で開口している。連絡孔14の孔中心線14aは、副室2の中心、即ち、シリンダ中心線C−Cに対して交差せずにオフセットした向き、即ち、シリンダ中心線C−Cから放射状に延びる線に対してオフセットした線に沿って延びており、そのため、連絡孔14を通じて副室2に流入した空気は、副室2内で若干のスワールを形成する。
【0023】
連絡孔14の副室側開口17の副室底面15側の周縁部20には、連絡孔14の孔壁面19を副室2の内壁面27に対して接続させる底面側アール面21が形成されている。底面側アール面21は、孔壁面19を内壁面27に対して滑らかに接続するアール面に形成されている。底面側アール面21の内径d1 は、底面側アール面21を形成しないときの内径d2 と比較して、大きくなっている。副室2の内径は、副室2の副室側開口17の副室底面15側の近傍部分18で最大内径Dとなっている。連絡孔14の副室側開口17の周縁部20に形成される底面側アール面21は、その最内側部分から最大内径Dを示す部分18までの径方向距離、即ち、最大内径Dを示す部分18と底面側アール面21の最内側部分の内径d1 との差(D−d1 )/2が最大内径Dの1/10以下の距離になる様に形成されている。
【0024】
また、図3及び図4に示すように、副室2の周方向で見て、連絡孔14の副室側開口17の両周方向側周縁部22に、底面側アール面21のR値以下のR値を有する周方向側アール面23を形成してもよい。周方向側アール面23は、底面側アール面21と滑らかに接続するように形成されるが、図3に想像線で示すように底面側アール面21の周囲においては、周方向側アール面23の幅に相当する分、更に外側に一回り大きく形成することもできる。連絡孔14の孔軸線14aの傾斜が緩いので、連絡孔14の副室側開口17の副室頂面側周縁部24の副室頂面26からの軸方向距離hが充分短く、副室頂面側周縁部24は、副室2の内壁面27との間で先鋭なエッジを形成しない。したがって、副室側開口17の副室頂面側周縁部24には、周方向側アール面23に接続する程度の極力小さい頂面側アール面25が形成される。
【0025】
次に、この副室式エンジンの作動について説明する。エンジンの圧縮行程では、ピストン4の上昇によって圧縮された主室1内の空気は、複数本の連絡孔14を通じて副室2に圧送され、連絡孔14の向きがシリンダ中心線C−Cにオフセットしているために副室2内で若干のスワールを形成する。連絡孔14の副室側開口17の周縁部には、アール面21、23、25、特に、底面側アール面21が形成されているため、連絡孔14を通して副室2へ流入する空気流は、アール面を形成しない場合と比較して、副室2内にスムーズに案内されて広範囲に拡散し、流入空気速度は副室2内で減速する。圧縮行程の終期には燃料噴射ノズル9がノズル挿入孔13を貫通して副室2内へ突入し、燃料噴射ノズル9の噴孔16から燃料が副室2に噴射される。流入空気速度が減速しているため、燃料噴射ノズル9から噴射される噴霧燃料と流入空気流との強い干渉が回避され、噴霧燃料は流入空気と広範囲に混合し、空気と燃料噴霧との混合気が良好に形成される。
【0026】
副室2内の混合気が着火すると、エンジンは膨張行程に移行する。膨張行程では、過濃な混合気を含んだ火炎は連絡孔14付近の副室2の上部に存在しているので、連絡孔14へ円滑に流入し、連絡孔14を通過して主室1へ噴出する。その際、連絡孔14の副室側開口17の周縁部に形成されたアール面21、23、25、特に、底面側アール面21は副室2の最大内径Dを有する部分18からの径方向距離を短くしているため、副室2の最大内径Dを示す部分18付近に広がった混合気を含む火炎は、連絡孔の副室側開口17内に流入する際、アール面21がない場合よりも速やかに且つ渦流による損失が少ない状態で、連絡孔14の副室側開口17の周縁部を回って流入する。連絡孔14から噴出する過濃な混合気を含んだ火炎は、噴出する勢いの損失が少ないまま主室1のシリンダ周辺部にまで速やかに且つ強く噴出し、主室1内で流動して主室1内の空気と短期間で良好に混合して希薄化し、且つ拡散する。燃料は副室2内において過濃な混合気の状態で比較的低温で燃焼を開始するのでNOX の排出量が低減され、また、燃料成分は連絡孔14を通過して主室1内に素早く噴出されることになるので、燃費が改善され、且つパティキュレート成分も減少する。
【0027】
図7は、連絡孔14の副室側開口17の副室底面側周縁部20に形成されるアール面21の最内側部分(その相当する内径をdとする)と副室2の最大内径Dを示す部分18との径方向の差(D−d)/2が副室2の最大内径Dに占める割合に対する、燃費とスモークの変化を示すグラフである。また、図8は、燃焼期間中の熱発生率の変化を示すグラフである。図7のグラフに示すように、連絡孔14の副室側開口17の周縁部20に形成されるアール面21の最内側部分と副室2の最大内径Dを示す部分18との径方向距離(D−d)/2が副室2の最大内径Dの1/10の距離以下になるときに、燃費とパティキュレート成分の主成分であるスモーク排出量が減少している。図8の熱発生率のグラフにおいて、上記径方向距離(D−d)/2が最大内径Dの1/10を超えると場合(破線で示す例の上記径方向距離は最大内径Dの20%)には、上記径方向距離(D−d)/2が最大内径Dの1/10以下の場合(実線で示す例の上記径方向距離は最大内径Dの6%)と比較して、燃焼期間が長くなると共に、熱発生率のピークが高くなり、結果として燃費とスモーク排出量が増加することが分かる。
【0028】
図5は、この発明による副室式エンジンの第2実施例の一部を示す拡大断面図であり、副室式エンジンの連絡孔14とその近傍を含む部分が拡大して示されている。第2実施例においては、図2に示す構成要素及び部位と同様のものについては、同じ符号を付しているので、再度の詳細な説明を省略する。第2実施例において、底面側アール面31は、段階的に角度が傾斜して繋げられた複数のカット面32、33、34から構成されている。即ち、連絡孔14の孔壁面19から、次第に時計方向に斜面の傾斜を段階的に変更した小面積のカット面32、33、34によって、副室2の内壁面27に接続している。連絡孔14を通る空気の流入と混合気を含む火炎の流出とをスムーズに案内する点で、図1及び図2に示した実施例における底面側アール面21と同様の効果を期待することができる。底面側アール面31の最内側部分の内径は、d3 で示されている。底面側アール面31は、滑らかな曲面で形成されていないが、連絡孔14を通じての空気の副室2内への流入をスムーズに案内して副室2内への拡散を助け、副室2内の混合気を含む火炎が連絡孔14を通じての流出するのをスムーズに案内して、流れの損失を軽減する役割を充分果たすことができる。
【0029】
図6は、副室式エンジンの第3実施例の一部を拡大して示す拡大断面図である。図6に示す副室式エンジンは、図1及び図5に示す副室式エンジンと比較して、連絡孔40の孔軸線14bの傾斜角度が急になっている点で異なっているが、その他の点では相違していないので、図2に示した副室式エンジンの構成要素及び部位と同じものについては、同じ符号を付して再度の詳細な説明を省略する。図6に示す副室式エンジンでは、副室2の最大内径Dを示す部分18と、連絡孔40の副室側開口41における副室底面15(図1)側の内径d4 を有する周縁部42との間の径方向距離(D−d4 )/2が最大内径Dの1/10以下であって充分短いので、副室側開口41の副室底面側周縁部42には、図3に示すような頂面側アール面25と同様な、極力小さなアール面が形成されている。
【0030】
連絡孔40の副室側開口41における副室頂面26側の周縁部43の、副室の中心線(シリンダ中心線C−C)に沿って副室頂面26から測った軸方向距離h3 は最大内径Dの1/10以上の距離であるので、副室底面側周縁部20の場合と同様に、副室頂面26から測った軸方向距離h2 が最大内径Dの1/10以下となるように、副室頂面側周縁部43に頂面側アール面44が形成されている。頂面側アール面44は、連絡孔40の孔壁面45と副室頂面26とに対して滑らかに接続するように形成されている。連絡孔40の副室側開口41の両周方向側周縁部に、図3に示した周方向側アール面23のと同様な周方向側アール面を形成する場合には、その周方向側アール面とも滑らかに接続するように形成される。頂面側アール面44についても、図5に示す実施例における底面側アール面31と同様に、段階的に傾斜したカット面で形成してもよい。連絡孔の孔軸線の傾斜や副室2の形状によっては、副室底面側周縁部に図1及び図2又は図5に示した底面側アール面21、31と同様の底面側アール面を形成すると同時に、副室頂面側周縁部にも図6に示した頂面側アール面44と同様の頂面側アール面を形成することもできる。更に、周方向側周縁部に底面側アール面と頂面側アール面とに滑らかに接続するように、図3及び図4に示した周方向側アール面23と同様な周方向側アール面を形成することもできる。
【0031】
次に、図9〜図13を参照して、この発明によるピストン中央副室式エンジンの第4実施例を説明する。図9はこの発明によるピストン中央副室式エンジンの第4実施例の上面図、図10は図9に示すピストン中央副室式エンジンの縦断面図、図11は図9に示すピストン中央副室式エンジンの連絡孔とその近傍の拡大図、図12は図10に示すピストン中央副室式エンジンの副室とその近傍の拡大図、図13は第4実施例についての燃料噴霧方向を変えたときのエンジン性能(1)を示したグラフである。第4実施例において、第1実施例の構成要素及び部位と同等の機能を有する構成要素及び部位には、同じ符号を付すことにより、再度の詳細な説明については省略する。
【0032】
第4実施例は、第1実施例と同様、主室1、副室2及び連絡孔14の構造を有し、連絡孔14の副室側開口17の形状、径方向寸法、及び連絡孔14と噴射ノズルに形成された噴孔数とが等しい点についても第1実施例と同様である。孔壁面19の下部分は、ピストン4の上面に延長して延びて連絡孔14のためのガイド溝29を形成している。図9に示されているように、連絡孔14の孔中心線14aは、副室2の中心、即ち、シリンダ中心線C−Cに対して交差せずに、シリンダ中心線C−Cから放射状に延びる線CRに対してオフセット量δだけ偏位して延びている。したがって、連絡孔14の孔中心線14aは、シリンダ中心線C−Cと異なる点で交差する。隣接する二つの連絡孔14の孔中心線14aが交差する連絡孔間角度θは、連絡孔14の形成数によって定められる。図示の例では、連絡孔14の数は8であり、連絡孔間角度θは45°である。
【0033】
図13には、燃料噴霧方向を周方向に変化させたときのエンジン性能(1)が示されている。図13の横軸は、図11に示すように、連絡孔14の副室側開口17の中心点Eを基準として、燃料噴霧方向(即ち、噴射ノズル9から噴射される燃料の噴霧28(図10参照)の中心線FをFL ,FR のように左右に振った向き)を変更したときの、連絡孔間角度θに対する連絡孔14の中心点Fに対する噴霧中心線Fの振れ角度αの比である。エンジン性能としては、上死点前(BTDC)5°のクランク角度で燃料噴射を開始したとき、及び上死点後(ATDC)10°のクランク角度で燃料噴射を開始したときのスモークとNOxの発生量、及び燃費が挙げられている。連絡孔間角度θに対する振れ角度αの比が、−(1/3)から+(1/3)の間(連絡孔間角度θが45°であるときには、±15°の範囲)で、各種の性能が良好であることが分かる。このエンジンの性能を良好にする範囲は、連絡孔14の副室側開口17の特に副室2の周方向、即ち、周方向側周縁部22にも周方向側アール面23を形成したことによって拡大される。この範囲以外では、副室2内に形成された混合気が着火した火炎の主たる部分が連絡孔14を通じて主室1へ移行し難くなり、副室2内に混合気が残留してスモーク発生量と燃費が高くなることが分かっている。
【0034】
この発明による副室式エンジンの第5実施例が図14〜図16に示されている。図14はピストンの位置を固定して燃料噴射ノズルの位置を相対的に上下に変位させたときの燃料噴霧の状態を示す断面図、図15はクランク角度とピストン移動量との関係を示すグラフ、図16は燃料噴霧方向をシリンダ中心線方向に変化させたときのエンジン性能(2)を示すグラフである。第5実施例において、第1実施例の構成要素及び部位と同等の機能を有する構成要素及び部位には、同じ符号を付すことにより、再度の詳細な説明については省略する。
【0035】
図14に示す第5実施例の副室式エンジンについては、ピストン4の位置を固定して、燃料噴射ノズル9の位置を相対的に上下に変位させた場合を想像線で示してある。燃料噴射ノズル9が下がった状態で示されているとき、ピストン4は上死点TDCに近く、燃料噴射ノズル9が上昇した状態で示されているとき、ピストン4は、上死点TDCから下降している。図14には、ピストン4に形成されている副室2に対する、燃料噴射ノズル9から噴射された燃料の噴霧中心線F1〜F4の位置関係が示されている。図14において、燃料噴射の噴霧中心線F1及びF2は、燃料噴射が開始される上死点前(BTDC)10°と燃料噴射が終了される上死点後(ATDC)10°のクランク角度(CA)における噴霧中心線を示している。また、噴霧中心線F3及びF4は、それぞれ、燃料噴射が開始される上死点後(ATDC)5°と燃料噴射が終了される上死点後(ATDC)25°のクランク角度における噴霧中心線を示している。上記の燃料噴射時期は、一つの例であり、一般には、エンジンの運転状態に応じてクランク角度で上死点前(BTDC)20°から上死点後(ATDC)5°までの間で決定され、必ずしも一定でない。
【0036】
図14に示すように、燃料噴射開始の時期と燃料噴射期間により、副室2内での混合気の形成位置が変化する。図14に示す例は、ストローク量が145mmで、コンロッド長さが250mmの場合であり、トップクリアランスを除くシリンダヘッド5の下面12からピストン4の頂面11までの距離は、噴霧中心線F1(F3も同じ)で示す時で1.419mm、噴霧中心線F2で示す時で0.356mm、噴霧中心線F4で示す時で7.374mmである。なお、上死点(TDC)からのクランク角度(CA)とピストン4の移動量との関係が図15に示されている(この図は、一般的な関係を示しており第5実施例に限らない)。
【0037】
一方、連絡孔14の口径φは、連絡孔14の面積とボア径の面積との比で決定される連絡孔面積比、及び連絡孔14の数で決定される。第5実施例の場合、連絡孔面積比が1.5%であり且つ連絡孔数が8であり、連絡孔14の口径は5.8mmである。燃料噴射終了時に、噴霧中心線の位置が連絡孔14の副室側開口中心点Eに対してどの位置を占めるかによって、エンジン性能が変化する。即ち、図16には、燃料噴射終了時における噴霧中心線F1〜F4が副室側開口17と交わる位置と連絡孔14の副室側開口17の中心点Eとの間のシリンダ中心線C−C方向の距離に対するエンジン性能(2)が示されている。エンジン性能(2)は、図13に示すエンジン性能(1)と同様、上死点前(BTDC)5°のクランク角度で燃料噴射を開始したとき、及び上死点後(ATDC)10°のクランク角度で燃料噴射を開始したときのスモークとNOxの発生量、及び燃費である。
【0038】
燃料噴射終了時における噴霧中心線Fの位置が副室側開口17の中心点Eに対して、連絡孔14の口径φ(5.8mm)に相当する距離以上、副室底面15側に変位していると、排気ガス中のNOx発生量については低下するものの、排気ガス中のスモーク発生量と燃費が増加している。これは、噴霧中心線Fの副室周方向の振れ(α/θ)の場合と同様に、副室2内に残留する混合気が多くなることに起因しているものと考えられる。
【0039】
燃料噴射終了時における噴霧中心線Fが、連絡孔14の口径φに相当する距離以上、副室側開口17の中心点Eに対して副室頂面26側に変位している場合には、副室頂面26までの距離の制約がある。即ち、副室側開口17の中心点Eから副室頂面26までの距離が連絡孔14の口径φよりも小さいときには、その距離の範囲内で排気ガス中のスモーク発生量、NOx発生量、及び燃費についての性能が良好である。副室側開口17の中心点Eから副室頂面26までの距離が連絡孔14の口径φよりも大きいときには、連絡孔14の口径φに相当する距離の範囲内で性能が良好である。燃料噴射終了時における噴霧中心線Fが連絡孔14の口径φに相当する距離を超えた位置にあるときには、燃料噴霧が副室2の頂部に形成されているノズル突入孔13や頂面26と干渉し、その後、主室1内に噴射されることも有る。このような状態になると、燃料噴霧が分散すると共に、混合気形成に使用される副室2内の空気量が減少し、排気ガス中のスモークやNOxの発生量が増加し、燃費も悪化する。
【0040】
燃料噴射終了時における噴霧中心線Fが副室側開口17の中心点Eに対して副室底面15側及び副室頂面26側のいずれの方向に変位している場合も、エンジン性能を良好にする範囲は、連絡孔14の副室側開口17の周縁部、特に副室2の縦方向にアール面21,44を形成したことによって拡大されている。したがって、エンジンの運転状態に応じた燃料噴射制御によって、燃料噴射開始時期や燃料噴射期間及び燃料噴射量が変更される場合でも、燃料噴射終了時における噴霧中心線Fが連絡孔14の副室側開口17に交差する位置を副室側開口17の中心点Eに対して、エンジン性能が良好となる範囲に留めることができる。なお、第4実施例において示した、連絡孔14の中心線に対する噴霧中心線Fの副室周方向の位置を適用しつつ、第5実施例において示した、燃料噴射終了時における噴霧中心線Fが連絡孔14の副室側開口17に交差する位置を適用することができることは、明らかである。
【0041】
【発明の効果】
この発明による副室式エンジンは、上記のように連絡孔の副室側開口の周縁部にアール面を形成して、先鋭なエッジを回避し、連絡孔の副室側開口の周縁部における空気又は火炎の流れをスムーズに案内したので、主室から連絡孔を通じて副室内に流入する空気は、滑らかに案内されて拡散し、副室内で燃料噴射ノズルからの燃料噴霧との混合気形成を良好にし、且つ副室内の混合気を含む火炎は、連絡孔近傍の混合気が着火してエンジンが膨張行程に移行したとき、副室の底面近傍の混合気及び燃焼ガスの圧力作用を受けて、噴出の勢いが失われることなくアール面に案内されて連絡孔に流入し、連絡孔を通じて速やかに主室へ噴出される。副室での過濃混合気状態で比較的低温で燃焼開始するのでNOX の排出量が少なく、且つ火炎は主室に早期に噴出して主室内で急速拡散燃焼をして燃焼期間が短縮するので、パティキュレートやスートの発生が低減されると共に燃費を改善することができる。また、燃料噴霧の中心線の、連絡孔の副室側開口に対する位置及び姿勢を所定の関係に保っているので、連絡孔の近傍に混合気が形成され、混合気が着火して形成された火炎を速やかに主室内に移行することができ、燃費や排気ガス中のパティキュレート成分の生成を減少させることができるエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による副室式エンジンの一実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示した副室式エンジンの第1実施例の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図3】図2の矢視Aで見た連絡孔の副室側開口とその近傍の拡大図である。
【図4】図3の矢視B−Bで見た連絡孔の副室側開口とその近傍の拡大断面図である。
【図5】この発明による副室式エンジンの第2実施例の一部を示す拡大断面図である。
【図6】この発明による副室式エンジンの第3実施例の一部を示す拡大断面図である。
【図7】連絡孔の副室側開口に形成されるアール面の大きさに対する、燃費とスモークの変化を示すグラフである。
【図8】燃焼期間におけるエンジンの熱発生率の変化を示すグラフである。
【図9】この発明による副室式エンジンの第4実施例の一部を示す上面図である。
【図10】図9に示す副室式エンジンの縦断面図である。
【図11】図9に示す副室式エンジンの連絡口とその近傍の拡大図である。
【図12】図10に示す副室式エンジンの副室とその近傍の拡大図である。
【図13】図9に示す副室式エンジンについての噴霧中心線と連絡孔の孔中心線との関係に基づくエンジン性能(1)を示すグラフである。
【図14】図9に示す副室式エンジンにおいて副室に対する噴霧中心線の位置関係を示す断面図である。
【図15】上死点(TDC)からのクランク角度(CA)とピストンの移動量との関係を示すグラフである。
【図16】図9に示す副室式エンジンについての燃料噴射終了時における噴霧中心線と連絡孔の副室側開口中心点との間の距離に基づくエンジン性能(2)を示すグラフである。
【符号の説明】
1 主室
2 副室
3 シリンダ
4 ピストン
5 シリンダヘッド
6 シリンダブロック
7 シリンダライナ
9 燃料噴射ノズル
11 頂面
12 下面
13 ノズル挿通孔
14 連絡孔
14a,14b 孔中心線
15 副室底面
16 噴孔
17 副室側開口
18 最大内径を有する部分
20 副室底面側周縁部
21 底面側アール面
22 副室周方向側周縁部
23 周方向側アール面
24 副室頂面側周縁部
25 頂面側アール面
26 副室頂面
27 内壁面
28 燃料噴霧
31 底面側アール面
32,33,34 カット面
40 連絡孔
41 頂面側アール面
42 副室底面側周縁部
43 副室頂面側周縁部
44 頂面側アール面
D 最大内径
d 径方向距離
h 軸方向距離
α 燃料噴霧中心線と連絡孔の孔中心線との周方向角度
θ 連絡孔間角度
φ 連絡孔の口径
C−C シリンダ中心軸
E 副室側開口の中心点
F1〜F4 燃料噴霧中心線
G1〜G4 燃料噴霧中心線の副室側開口における交差位置

Claims (7)

  1. シリンダを構成するシリンダブロック、前記シリンダブロックに固定されたシリンダヘッド、前記シリンダ内を往復動するピストン、前記ピストンの頂面と前記シリンダヘッドとの間の前記シリンダに形成された主室、前記ピストンに形成された副室、前記ピストン頂部に前記副室の中心に対して周方向に隔置し且つ前記シリンダの周辺部に向かって放射状に形成された前記主室と前記副室とを連通する複数の連絡孔及び前記副室内に燃料を噴射する多噴孔を有する燃料噴射ノズルを備え、前記連絡孔を通じての前記主室から前記副室への空気の流入と前記副室から前記主室への混合気を含む火炎の流出とを案内するため、前記連絡孔の副室側開口の周縁部にアール面が形成されている副室式エンジンにおいて、
    前記燃料噴射ノズルから噴射された各燃料噴霧の燃料噴射終了時の中心位置は、前記燃料噴霧が向けられる前記連絡孔の副室側開口の中心点に対して、前記シリンダの中心線の軸方向に、副室底面側では前記中心点から前記連絡孔の口径に相当する距離以内の距離に、且つ副室頂面側では前記副室頂面を超えない範囲で前記中心点から前記連絡孔の口径に相当する距離以内の距離に設定されていることを特徴とする副室式エンジン。
  2. 前記副室は前記連絡孔の前記副室側開口の副室底面側近傍部分において最大内径を有しており、前記アール面は前記連絡孔の前記副室側開口の副室底面側周縁部に形成された底面側アール面であり、該底面側アール面は、その最内側部分から前記副室の前記最大内径を有する前記副室底面側近傍部分までの径方向距離が前記最大内径の10%以下になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の副室式エンジン。
  3. 前記副室は前記連絡孔の前記副室側開口の副室底面側近傍部分において最大内径を有しており、前記アール面は前記連絡孔の前記副室側開口の副室頂面側周縁部に形成された頂面側アール面であり、該頂面側アール面は、その最底側部分から前記副室の頂部壁面までの前記副室の中心軸線に沿った軸方向距離が前記最大内径の10%以下になるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の副室式エンジン。
  4. 前記アール面には、前記連絡孔の前記副室側開口の両副室周方向側周縁部に形成された周方向側アール面が含まれており、前記周方向側アール面は、前記連絡孔の孔壁面と前記副室の内壁面とを接続すると共に、前記底面側アール面又は前記頂面側アール面とに接続していることを特徴とする請求項2又は3に記載の副室式エンジン。
  5. 前記副室の中央部に対応するピストン頂部には、前記ピストンの上死点近傍で前記燃料噴射ノズルが突入するノズル挿入孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の副室式エンジン。
  6. 前記副室は前記ピストンの中央部に形成されており、前記燃料噴射ノズル及び前記ノズル挿通孔は実質的に前記シリンダの中心軸線上に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の副室式エンジン。
  7. 前記燃料噴射ノズルから噴射された各燃料噴霧の中心線は、前記燃料噴霧が向けられる前記連絡孔の孔中心線に対して、前記シリンダの中心線回りの周方向に、前記連絡孔の連絡孔間角度の±(1/3)の角度に渡る範囲内の角度に設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の副室式エンジン。
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