JP3956387B2 - 高速歯切加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製むく歯切工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、硬質被覆層がすぐれた高温特性(高温硬さと耐熱性)を有し、したがって特に各種の鋼製歯車などの歯切加工を、高熱発生を伴う高速条件で行なった場合に、硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製むく歯切工具(以下、被覆超硬歯切工具という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に自動車や航空機、さらに各種駆動装置などの構造部材として各種歯車が用いられているが、これら歯車の歯形の歯切加工に、図3に概略斜視図で例示される形状の被覆超硬歯切工具(ソリッドホブ)が用いられている。
【0003】
また、被覆超硬歯切工具として、例えば図3に示される形状に機械加工された炭化タングステン基超硬合金製歯切工具本体を基体(以下、超硬歯切基体という)とし、この超硬歯切基体の表面に、組成式:(AlZTi1-Z )N(ただし、原子比で、Zは0.40〜0.65を示す)を満足するAlとTiの複合窒化物[以下、(Al,Ti)Nで示す]層からなる硬質被覆層を1〜15μmの平均層厚で物理蒸着してなる被覆超硬歯切工具などが知られている。
【0004】
さらに、上記の被覆超硬歯切工具が、例えば図2に概略説明図で示される物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に上記の超硬歯切基体を装入し、ヒータで装置内を、例えば500℃の温度に加熱した状態で、アノード電極と所定組成を有するAl−Ti合金がセットされたカソード電極(蒸発源)との間に、例えば電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば2Paの反応雰囲気とし、一方上記超硬超硬歯切基体には、例えば−100Vのバイアス電圧を印加した条件で、前記超硬歯切基体の表面に、上記(Al,Ti)N層からなる硬質被覆層を蒸着することにより製造されることも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年の歯切加工装置の高性能化はめざましく、一方で歯切加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、歯切加工は高速化の傾向にあるが、上記の従来被覆超硬歯切工具においては、これを通常の歯切加工条件で用いた場合には問題はないが、歯切加工を高い発熱を伴う高速条件で行なった場合には、特に硬質被覆層の摩耗進行が促進され、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特に高速歯切加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬歯切工具を開発すべく、上記の従来被覆超硬歯切工具を構成する硬質被覆層に着目し、研究を行った結果、
(a)上記の図2に示されるアークイオンプレーティング装置を用いて形成された従来被覆超硬歯切工具を構成する(Al,Ti)N層は、層厚全体に亘って実質的に均一な組成を有し、したがって均質な高温硬さと耐熱性、および靭性を有するが、例えば図1(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造のアークイオンプレーティング装置、すなわち装置中央部に超硬歯切基体装着用回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで、一方側に相対的にAl含有量の高い(Ti含有量の低い)Al−Ti合金、他方側に相対的にTi含有量の高い(Al含有量の低い)Ti−Al合金をカソード電極(蒸発源)として対向配置したアークイオンプレーティング装置を用い、この装置の前記回転テーブルの外周部に沿って複数の超硬歯切基体をリング状に装着し、この状態で装置内雰囲気を窒素雰囲気として前記回転テーブルを回転させると共に、蒸着形成される硬質被覆層の層厚均一化を図る目的で超硬歯切基体自体も自転させながら、前記の両側のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、前記超硬歯切基体の表面に(Al,Ti)N層を形成すると、この結果の(Al,Ti)N層においては、回転テーブル上にリング状に配置された前記超硬歯切基体が上記の一方側の相対的にAl含有量の高い(Ti含有量の低い)Al−Ti合金のカソード電極(蒸発源)に最も接近した時点で層中にAl最高含有点が形成され、また前記超硬歯切基体が上記の他方側の相対的にTi含有量の高い(Al含有量の低い)Ti−Al合金のカソード電極に最も接近した時点で層中にAl最低含有点が形成され、上記回転テーブルの回転によって層中には層厚方向にそって前記Al最高含有点とAl最低含有点が所定間隔をもって交互に繰り返し現れると共に、前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造をもつようになること。
【0007】
(b)上記(a)の繰り返し連続変化成分濃度分布構造の(Al,Ti)N層において、例えば対向配置のカソード電極(蒸発源)のそれぞれの組成を調製すると共に、超硬歯切基体が装着されている回転テーブルの回転速度を制御して、
上記Al最高含有点が、組成式:(AlXTi1-X )N(ただし、原子比で、Xは0.70〜0.95を示す)、
上記Al最低含有点が、組成式:(AlYTi1-Y )N(ただし、原子比で、Yは0.40〜0.65を示す)、
をそれぞれ満足し、かつ隣り合う上記Al最高含有点とAl最低含有点の厚さ方向の間隔を0.01〜0.1μmとすると、
上記Al最高含有点部分では、上記の従来(Al,Ti)N層に比してAl含有量が相対的に高くなることから、より一段とすぐれた高温硬さと耐熱性(高温特性)を示し、一方上記Al最低含有点部分では、前記Al最高含有点部分に比してAl含有量が低く、Ti含有量の高いものとなるので、高靭性が確保され、かつこれらAl最高含有点とAl最低含有点の間隔をきわめて小さくしたことから、層全体の特性としてすぐれた高靭性を保持した状態で、すぐれた高温特性を具備するようになり、したがって、硬質被覆層がかかる構成の(Al,Ti)N層からなる被覆超硬歯切工具は、特に各種の鋼製歯車などの歯切加工を、高い発熱を伴う高速条件で行なった場合にも、硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮するようになること。
以上(a)および(b)に示される研究結果を得たのである。
【0008】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、装置中央部に超硬歯切基体装着用回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで、一方側にAl最高含有点形成用Al−Ti合金、他方側にAl最低含有点形成用Ti−Al合金をカソード電極(蒸発源)として対向配置したアークイオンプレーティング装置を用い、前記回転テーブルの外周部に沿って複数の超硬歯切基体をリング状に装着し、この状態で装置内雰囲気を窒素雰囲気として前記回転テーブルを回転させると共に、前記超硬歯切基体自体も自転させながら、前記の両側のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、前記超硬歯切基体の表面に、(Al,Ti)N層からなる硬質被覆層を1〜15μmの全体平均層厚で蒸着してなる被覆超硬歯切工具にして、
上記硬質被覆層が、層厚方向にそって、Al最高含有点(Ti最低含有点)とAl最低含有点(Ti最高含有点)とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、
さらに、上記Al最高含有点が、組成式:(AlXTi1-X )N(ただし、原子比で、Xは0.70〜0.95を示す)、
上記Al最低含有点が、組成式:(AlYTi1-Y )N(ただし、原子比で、Yは0.40〜0.65を示す)、
をそれぞれ満足し、かつ隣り合う上記Al最高含有点とAl最低含有点の間隔が、0.01〜0.1μmである、
高速歯切加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬歯切工具に特徴を有するものである。
【0009】
つぎに、この発明の被覆超硬歯切工具において、これを構成する硬質被覆層の構成を上記の通りに限定した理由を説明する。
(a)Al最高含有点の組成
(Al,Ti)N層におけるAlは、高靭性を有するTiN層の高温硬さおよび耐熱性(高温特性)を向上させる目的で含有するものであり、したがってAl最高含有点でのAlの割合(X値)がTiとの合量に占める割合(原子比)で0.70未満では所望のすぐれた高温特性を確保することができず、一方その割合が同じく0.95を越えると、Tiの割合が低くなり過ぎて、急激に靭性が低下し、切刃にチッピング(微小欠け)などが発生し易くなることから、その割合を0.70〜0.95と定めた。
【0010】
(b)Al最低含有点の組成
上記の通りAl最高含有点は高温特性のすぐれたものであるが、反面靭性の劣るものであるため、このAl最高含有点の靭性不足を補う目的で、Ti含有割合が高く、これによって高靭性を有するようになるAl最低含有点を厚さ方向に交互に介在させるものであり、したがってAlの割合(Y)がTiとの合量に占める割合(原子比)で0.65を越えると、所望のすぐれた靭性を確保することができず、一方その割合が同じく0.40未満になると、相対的にTiの割合が多くなり過ぎて、Al最低含有点に所望の高温特性を具備せしめることができなくなることから、その割合を0.40〜0.65と定めた。
【0011】
(c)Al最高含有点とAl最低含有点間の間隔
その間隔が0.01μm未満ではそれぞれの点を上記の組成で明確に形成することが困難であり、この結果層に所望の高温特性と靭性を確保することができなくなり、またその間隔が0.1μmを越えるとそれぞれの点がもつ欠点、すなわちAl最高含有点であれば靭性不足、Al最低含有点であれば高温特性不足が層内に局部的に現れ、これが原因で切刃にチッピングが発生し易くなったり、摩耗進行が促進されるようになることから、その間隔を0.01〜0.1μmと定めた。
【0012】
(d)硬質被覆層の全体平均層厚
その層厚が1μm未満では、所望の耐摩耗性を確保することができず、一方その平均層厚が15μmを越えると、切刃稜線部にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜15μmと定めた。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の被覆超硬歯切工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 C2 粉末、TiN粉末、(W,Ti)C[質量割合で、WC/TiC=50/50]粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2KPaの窒素雰囲気中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結して、直径:85mm×長さ:125mmの超硬合金製丸棒素材を形成し、この素材から機械加工にて、外径:80mm×長さ:120mmの全体寸法をもち、4条右捩れ×20溝の形状をもった図1に示されるソリッドホブ型の超硬歯切基体A〜Jをそれぞれ製造した。
【0014】
ついで、上記の超硬歯切基体A〜Jのそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図1に示されるアークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上に外周部にそって所定間隔をもって設置し、一方側のカソード電極(蒸発源)として、種々の成分組成をもったAl最低含有点形成用Ti−Al合金、他方側のカソード電極(蒸発源)として、種々の成分組成をもったAl最高含有点形成用Al−Ti合金を前記回転テーブルを挟んで対向配置し、またボンバート洗浄用金属Tiも装着し、まず装置内を排気して0.5Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する超硬歯切基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加して、カソード電極の前記金属Tiとアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって超硬歯切基体表面をTiボンバート洗浄し、ついで装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して10Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する超硬歯切基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加して、それぞれのカソード電極(前記Al最低含有点形成用Ti−Al合金およびAl最高含有点形成用Al−Ti合金)とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって前記超硬歯切基体の表面に、層厚方向に沿って表2に示される目標組成のAl最低含有点とAl最高含有点とが交互に同じく表2に示される目標間隔で繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、かつ同じく表2に示される目標全体層厚の硬質被覆層を蒸着形成することにより、本発明被覆超硬歯切工具1〜10をそれぞれ製造した。
【0015】
また、比較の目的で、上記の超硬歯切基体A〜Jのそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図2に示される通常のアークイオンプレーティング装置に装入し、カソード電極(蒸発源)として、種々の成分組成をもったAl−Ti合金を装着し、またボンバート洗浄用金属Tiも装着し、装置内を排気して0.5Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記超硬歯切基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加して、カソード電極の前記金属Tiとアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって超硬歯切基体表面をTiボンバート洗浄し、ついで装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して10Paの反応雰囲気とすると共に、前記超硬歯切基体に印加するバイアス電圧を−100Vに下げて、前記カソード電極とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって、前記超硬歯切基体A〜Jのそれぞれの表面に、表3に示される目標組成および目標層厚を有し、かつ層厚方向に沿って実質的に組成変化のない(Al,Ti)N層からなる硬質被覆層を蒸着形成することにより、従来被覆超硬歯切工具1〜10をそれぞれ製造した。
【0016】
つぎに、上記の本発明被覆超硬歯切工具1〜10および比較被覆超硬歯切工具1〜10を用いて、材質がJIS・SCr420Hの低合金鋼にして、モジュール:1.75、圧力角:17.5度、歯数:33、ねじれ角:36度左捩れ、歯丈:5.86mm、歯幅:15.5mmの寸法および形状をもった歯車の加工を、
切削速度(回転速度):550m/min、
送り:1.5mm/rev、
加工形態:クライム、シフトなし、ドライ(エアーブロー)、
歯車加工数:1200個、
の高速歯切加工条件で歯切加工を行い、逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表2,3それぞれに示した。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
この結果得られた本発明被覆超硬歯切工具1〜10を構成する硬質被覆層におけるAl最高含有点とAl最低含有点の組成、並びに従来被覆超硬歯切工具1〜10の硬質被覆層の組成をオージェ分光分析装置を用いて測定したところ、それぞれ目標組成と実質的に同じ組成を示した。
また、これらの本発明被覆超硬歯切工具1〜10の硬質被覆層におけるAl最高含有点とAl最低含有点間の間隔、およびこれの全体層厚、並びに従来被覆超硬歯切工具1〜10の硬質被覆層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、いずれも目標値と実質的に同じ値を示した。
【0021】
【発明の効果】
表2,3に示される結果から、硬質被覆層が層厚方向にAl最低含有点とAl最高含有点とが交互に所定間隔をおいて繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造を有する本発明被覆超硬歯切工具1〜10は、いずれも鋼製歯車の歯切加工を、高い発熱を伴う高速条件で行なった場合にも、硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、硬質被覆層が層厚方向に沿って実質的に組成変化のない(Al,Ti)N層からなる従来被覆超硬歯切工具1〜10においては、高温を伴う高速歯切加工では高温特性不足が原因で切刃の摩耗進行が速く、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆超硬歯切工具は、通常の条件での切削加工は勿論のこと、特に各種の鋼歯車などの歯切加工を、高い発熱を伴う高速条件で行なった場合にも、硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮し、長期に亘ってすぐれた歯切性能を示すものであるから、歯切加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の被覆超硬歯切工具を構成する硬質被覆層を形成するのに用いたアークイオンプレーティング装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。
【図2】従来被覆超硬歯切工具を構成する硬質被覆層を形成するのに用いた通常のアークイオンプレーティング装置の概略説明図である。
【図3】被覆超硬歯切工具の概略斜視図である。
Claims (1)
- 装置中央部に炭化タングステン基超硬合金製歯切工具本体からなる基体の装着用回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで、一方側にAl最高含有点形成用Al−Ti合金、他方側にAl最低含有点形成用Ti−Al合金をカソード電極(蒸発源)として対向配置したアークイオンプレーティング装置を用い、前記回転テーブルの外周部に沿って複数の前記基体をリング状に装着し、この状態で装置内雰囲気を窒素雰囲気として前記回転テーブルを回転させると共に、前記基体自体も自転させながら、前記の両側のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、前記基体の表面に、AlとTiの複合窒化物層からなる硬質被覆層を1〜15μmの全体平均層厚で蒸着してなる表面被覆超硬合金製むく歯切工具にして、
上記硬質被覆層が、層厚方向にそって、Al最高含有点(Ti最低含有点)とAl最低含有点(Ti最高含有点)とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAl(Ti)含有量が連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、
さらに、上記Al最高含有点が、組成式:(AlX Ti1-X )N(ただし、原子比で、Xは0.70〜0.95を示す)、
上記Al最低含有点が、組成式:(AlY Ti1-Y )N(ただし、原子比で、Yは0.40〜0.65を示す)、
をそれぞれ満足し、かつ隣り合う上記Al最高含有点とAl最低含有点の間隔が、0.01〜0.1μmであること、
を特徴とする高速歯切加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製むく歯切工具。
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