JP3954168B2 - 不感度性固体推進薬 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ロケットモータに用いられる固体推進薬に関する。詳しくは、アジド基を含有するプレポリマ−と硝酸アンモニウム及びベースグレインを主成分とする低感度で優れた燃焼性能を持つ固体推進薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロケットモータに用いられる固体推進薬は、酸化剤と燃料成分からなるコンポジット推進薬と、ニトログリセリンとニトロセルロ−スを主成分とするダブルベ−ス推進薬とに大別される。
現在、これらの固体推進薬の中で過塩素酸アンモニウムを酸化剤とし、アルミニウム粉を金属燃料とし、ポリブタジエンを主成分とする燃料兼結合剤から成るコンポジット推進薬が、その優れた燃焼特性と機械物性により最も広く使用されている。
【0003】
一方、固体推進薬の開発において安全性向上のため、火災等の予期せぬ状況においても爆轟等の衝撃的な挙動をしない不感度性を持った推進薬の要求が高くなっており、これらの要求を満足するために硝酸アンモニウムを酸化剤として用いた固体推進薬の研究が進められている。
しかし、硝酸アンモニウムを酸化剤とする固体推進薬は、過塩素酸アンモニウムを酸化剤とする固体推進薬に比べ不感度性は優れているものの、燃焼性能が劣るという欠点があることから、燃焼特性を改善するためにHMX等のニトラミン系酸化剤との併用や、アジ化ポリマー及びエネルギー可塑剤との組み合わせが研究され提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アジ化ポリマーと硝酸アンモニウムを主成分とする固体推進薬の燃焼特性を改善するために用いられるHMXやエネルギー可塑剤は、推進薬の感度を高くすることからその添加量が制限されるため、未だその効果が十分でなく、更に燃焼特性の改良されたものが望まれていた。
本発明は、こうした実情の下に、低感度で且つ優れた燃焼性能を持つ固体推進薬の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点を考慮し鋭意研究した結果、アジド基含有プレポリマーと硝酸アンモニウムを主成分とする組成物にベースグレインを配合することにより、低感度で且つ優れた燃焼性能を持つ固体推進薬ができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、燃料結合剤の主成分がアジド基を含有するプレポリマ−であり、酸化剤が硝酸アンモニウムである組成物であって、さらにベースグレインを含有することを特徴とする固体推進薬に関するものである。
本発明において使用されるアジド基含有プレポリマ−としては、アジド基を含有するポリマ−であれば、特に制限はなく例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン(以下AMMOと称する)、3,3−ビス(アジドメチル)オキセタン(以下BAMOと称する)の重合体及び共重合体やグリシジルアジドポリマー(以下GAPと称する)等が一般的である。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0007】
これらアジド基含有プレポリマ−の中で、BAMOポリマーはアジド基の含有量が最も多くエネルギ−は大きいが結晶性のポリマーである。下記(1)式で表されるBAMOと3−ニトラトメチル−3−メチルオキセタン(NMMO)の共重合体はBAMOポリマーの結晶性を改良したもので、常温液状であるため推進薬の燃料結合剤として有望視されている。
【0008】
【化1】
【0009】
これらのプレポリマ−は末端水酸基をもち、これを主成分とするバインダ−とするため、硬化剤として、水酸基と反応するイソシアネ−ト化合物、例えばトリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、トリフェニルジメチレントリイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト等が用いられ、架橋剤として、多官能の水酸基をもつ化合物、例えばトリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ヘキサントリオ−ル、ジグリセリン等や、多官能イソシアネ−ト等が用いられる。また、硬化触媒としては、ブチルチントリクロライド、ジブチルチンジアセテ−ト、ジブチルチンジラウレ−ト等の有機錫化合物や、フェリックアセチルアセトン、フェリックジフェニルアセチルアセトン等の有機鉄化合物等が使用できる。
【0010】
本発明において、酸化剤として使用される硝酸アンモニウムの平均粒径は特に限定されないが、1〜200μmの範囲のものが好ましい。平均粒径が1μm未満のものは推進薬の粘度が高くなり製造性に問題がある。また、200μmを超えるものは推進薬の燃焼速度が遅くなるので好ましくない。
本発明において使用されるベースグレインは、ニトロセルロース(NC)、NG及び安定剤を主成分とする組成物に燃焼触媒を添加した薬粒であり、NC,NG及び安定剤の配合比は、通常NCが58〜89重量%、NGが10〜40重量%、安定剤が1〜2重量%の範囲である。また、安定剤としては、ジフェニルアミン、2−ニトロジフェニルアミン、エチルセントラリット等が用いられ、燃焼触媒としては、サリチル酸鉛、2エチルヘキサン酸鉛等の様な有機鉛化合物が使用できる。また、推進薬中のベースグレインの配合比は5〜40重量%、特に、10〜30重量%が好ましい。5重量%未満では推進薬中にベースグレインを均一に分散させることが難しく、40重量%を超えると推進薬のエネルギ−が低下する。
【0011】
本発明の固体推進薬には、硝酸アンモニウム、ベ−スグレイン、バインダ−成分以外に、エネルギ−可塑剤として、ニトログリセリン(NG)、トリメチロールエタントリナイトレート(TMETN)、ブタントリオールトリナイトレート(BTTN)等のような硝酸エステルをもった酸素バランスの高い化合物や、GAP可塑剤、BAMO/NMMO可塑剤等(GAP可塑剤、BAMO/NMMO可塑剤とは、分子量が約500〜1000程度のGAPオリゴマー、BAMO/NMMOオリゴマーの末端水酸基をアジド基、硝酸エステル基、アセチル基等に置換することにより、イソシアネ−ト化合物との反応性を無くしたものである。)のようなアジド基を持った化合物を必要に応じて加えることが出来る。また、更に、亜クロム酸銅、5酸化バナジウム、3酸化クロム、3酸化マンガン、ブタセン、フェロセンなどの燃焼触媒を添加することも出来る。尚、これらの添加量は特に限定されないが、推進薬中のエネルギー可塑剤の配合比は3〜25重量%、推進薬に対する燃焼触媒の添加量は0.1〜3重量%が通常の範囲である。
【0012】
本発明の固体推進薬の製造方法には、通常のコンポジット系推進薬の製造方法がそのまま適用できる。つまり、アジ化ポリマ−と硬化触媒、架橋剤、可塑剤及び硬化剤を加温で混合し、その中に燃焼触媒を添加し、さらに酸化剤等の固体成分を投入したのち混合・脱泡する。その後、この混合薬を一定の容器(金型)に減圧注型し、50〜60℃の恒温槽で5〜10日間硬化させて作る。また、バインダ−と固体成分の比率は通常の範囲、例えば20/80〜35/65(重量比)が適用される。
【0013】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
表1に示す組成により各種推進薬を製造した。アジド基含有プレポリマ−としては、BAMOとNMMOを7対3のモル比で共重合させたものを用いた。
まず、プレポリマ−と硬化触媒、架橋剤、可塑剤及び硬化剤を加温で混合し、その中に燃焼触媒を添加し、さらに硝酸アンモニウム、ベースグレイン及びHMX等の固体成分を投入したのち混合・脱泡した。推進薬の硬化は50℃で約7日間行った。
【0014】
【表1】
【0015】
表1に示す各種推進薬の燃焼特性及び感度特性は、次の方法により評価を行った。
<燃焼特性>
固体推進薬を外径7mm、長さ70mmの円柱状に切り出し、円柱の側面に約1mm厚の樹脂層を形成し試料を作成した。このような試料は一般にストランド試料と呼ばれる。ストランド試料の一端から約10mmの所に点火用のニクロム線を通し、20mmと60mmの箇所にヒューズ線を通した。ストランド試料を圧力容器内に密閉し加圧下で着火燃焼させ、2本のヒューズ線が切断した時間差とヒューズ線間の距離から推進薬の燃焼速度を求めた。このような方法で測定した各種推進薬の燃焼速度を表2に示す。
【0016】
【表2】
【0017】
<感度特性>
各種推進薬の感度特性はカードギャップ試験により評価を行った。カードギャップ試験とは、長さ50mm内径37mmの32A炭素鋼管に注型した推進薬試料を鉄板の上に置き、6号電気雷管で起爆させたペントライトの衝撃波をアルミ板を介して入射させ試料の爆轟性を調べる試験で、試料の爆、不爆の判定は、下に敷いた鉄板に爆痕が生じた場合に○、生じなかった場合に×と判定した。また、アルミ板のギャップ長を増減させ3回とも不爆となる最小の厚みを限界ギャップ長として求め各種推進薬の比較を行った。カードギャップ試験を表3に示す。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】
本発明の固体推進薬は、低感度であることはもちろん、従来の硝酸アンモニウムを酸化剤として用いた推進薬に比べ、大幅に燃焼速度を向上できるという優れた長所を有するものである。
Claims (4)
- 燃料結合剤の主成分がアジド基を含有するプレポリマ−であり、酸化剤が硝酸アンモニウムである組成物であって、さらにベースグレインを含有することを特徴とする固体推進薬。
- プレポリマ−が、3,3−ビス(アジドメチル)オキセタンと3−ニトラトメチル−3−メチルオキセタンの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の固体推進薬。
- ベースグレインを10〜30重量%含有することを特徴とする請求項1記載の固体推進薬。
- 請求項1記載の固体推進薬にエネルギー可塑剤及び燃焼触媒を配合することを特徴とする推進薬組成物。
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JP25525697A JP3954168B2 (ja) | 1997-09-19 | 1997-09-19 | 不感度性固体推進薬 |
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JPH1192263A JPH1192263A (ja) | 1999-04-06 |
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Country Status (1)
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JP6895255B2 (ja) * | 2014-02-21 | 2021-06-30 | エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド | 燃焼速度調整剤を有する硝酸ヒドロキシルアンモニウム単元推進薬 |
-
1997
- 1997-09-19 JP JP25525697A patent/JP3954168B2/ja not_active Expired - Lifetime
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