JP3952845B2 - 内燃機関の動弁駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の動弁駆動装置に係り、特にカム機構を有さず、流体圧を利用して動弁系の開閉を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン制御の自由度を高めるため、カムによるバルブ駆動を廃止し、これに代わってバルブを電磁駆動又は油圧駆動とする、所謂カムレス方式の動弁駆動装置が有望視されている。特公平7−62442号公報や特許第2645482号公報等にはこのような技術が開示され、当該装置によるとバルブの開閉タイミングやリフト量を自由に設定できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来装置では、バルブをバルブスプリングに逆らって必要量リフトさせるだけの高圧の流体圧を作り、それをバルブに与えて所望のリフトを行っている。しかし、単に高い流体圧をバルブに与えるだけでは、バルブ駆動に必要なエネルギが大きく、弁駆動損失が増大し燃費の悪化を招くなどの欠点があった。
【0004】
そこで、この問題を解消するため、本発明者は低圧流体の利用によりバルブ駆動エネルギを大幅に減少できる内燃機関の動弁駆動装置を新たに開発した。これにおいては、バルブを開弁させるための作動流体が供給される圧力室に、高圧作動流体を供給するための通路と、低圧作動流体を導入するための通路と、圧力室から作動流体を排出するための通路との三つの通路が接続され、各通路にそれぞれ弁が設けられる。
【0005】
しかし、この構造だと圧力室の容積が必然的に大きくなり、バルブを開弁駆動するときに圧力室に大きな高圧作動流体によるエネルギを供給しなければならない。従って、バルブ開弁時の供給エネルギに対するバルブの運動エネルギへの変換割合である有効エネルギ割合が低下し、バルブの駆動エネルギが増大し、出力及び燃費の悪化を招いてしまう。
【0006】
そこで、以上の問題点に鑑みて本発明は創案され、その目的は圧力室の容積を極力小さくし、バルブ開弁駆動時の供給エネルギを少なくすると共に、有効エネルギ割合を増加し、バルブの駆動エネルギの減少並びに出力及び燃費の向上を図ることができる内燃機関の動弁駆動装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関の吸気弁又は排気弁をなすバルブを開閉駆動するための動弁駆動装置であって、上記バルブを開弁するための加圧された作動流体が供給される圧力室と、上記圧力室に接続された高圧作動流体供給源と、上記圧力室に接続された低圧作動流体供給源と、上記圧力室と上記高圧作動流体供給源との間に設けられ、上記バルブの開弁初期の所定期間に開弁され、上記圧力室に上記高圧作動流体供給源の高圧作動流体を供給する第一の作動弁と、上記圧力室と上記低圧作動流体供給源との間に設けられ、上記バルブの開弁初期の所定期間経過後、上記圧力室の圧力が上記低圧作動流体供給源の圧力より低くなったときその圧力差に基づき開弁し、上記圧力室に上記低圧作動流体供給源の低圧作動流体を導入する逆止弁からなる第二の作動弁と、上記圧力室に上記第二の作動弁を介して接続された回路又は上記圧力室に上記低圧作動流体供給源を介して接続された回路に設けられ、入口側の圧力が、上記低圧作動流体供給源の圧力より高く且つ上記高圧作動流体供給源の圧力より低い所定の設定圧より高くなったとき開弁し、これにより上記圧力室の作動流体を排出する逆止弁からなる第三の作動弁と、上記バルブの閉弁時に上記第二の作動弁を強制的に開弁するアクチュエータとを備えたものを提供する。
【0008】
ここで、上記第三の作動弁が、上記圧力室に上記第二の作動弁を介して接続された回路に設けられ、これら第二の作動弁と第三の作動弁とにより一のバルブユニットを構成し、そのバルブユニットに上記低圧作動流体供給源が接続されるのが好ましい。
【0009】
また、上記第二の作動弁が軸方向に移動可能な弁体を備え、この弁体の一端部に、上記圧力室側の圧力を受けて閉弁側に押圧される傘弁部が設けられ、上記アクチュエータが、ONされたときに上記弁体の他端部を押圧して上記弁体を開弁側に駆動する電気アクチュエータからなるのが好ましい。
【0010】
また、上記第二の作動弁の最大開度を規定するためのバルブストッパが設けられるのが好ましい。
【0011】
本発明の好適な一態様によれば、バルブが開作動(リフト)されるとき、第一の作動弁が開とされ圧力室に高圧作動流体が供給される。これによりバルブに初期エネルギが与えられ、その後バルブは慣性運動によりリフトする。この過程で圧力室の圧力が低圧作動流体供給源の圧力より低くなると、第二の作動弁が自ずと開き、低圧作動流体が圧力室に導入される。これにより高圧作動流体供給量を越えて圧力室により多くの作動流体が供給され、圧力室が負圧になることが無く、上記した初期エネルギにより到達するバルブリフト位置にバルブを保持することが可能となり、バルブリフトに際しての駆動エネルギを減少することができる。
【0012】
バルブを閉作動させるときは、アクチュエータにより第二の作動弁が強制的に開とされる。すると圧力室の高圧作動流体は、第二の作動弁を通過した後、その下流側にある第三の作動弁を押し開き、外部に排出される。これにより圧力室の圧力が降下しバルブが閉作動される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0014】
図1に本実施形態に係る動弁駆動装置の全体を示す。本実施形態は車両用等の多気筒コモンレールディーゼルエンジンへの適用例である。まずコモンレール式燃料噴射装置について説明すると、エンジンの各気筒毎に燃料噴射を実行するインジェクタ1が設けられ、インジェクタ1にはコモンレール2に貯留されたコモンレール圧Pc(数10〜数100MPa)の高圧燃料が常時供給されている。コモンレール2への燃料圧送は高圧ポンプ3によって行われ、燃料タンク4の燃料が燃料フィルタ5を通じてフィードポンプ6によって吸引吐出された後、高圧ポンプ3に送られる。フィードポンプ6のフィード圧Pfは、リリーフ弁からなる圧力調整弁7によって調整され、一定に保たれる。フィード圧Pfは常圧よりは大きい(つまり燃料は加圧された状態にある)が、コモンレール圧Pcよりは著しく低い値で、例えば0.5MPa程度である。
【0015】
図示する装置全体を総括的に制御する制御装置としての電子制御ユニット(以下ECUという)8が設けられ、これにはエンジンの運転状態(エンジンのクランク角、回転速度、エンジン負荷等)を検出するセンサ(図示せず)が接続される。ECU8はこれらセンサの信号に基づいてエンジン運転状態を把握し、且つこれに基づいた駆動信号をインジェクタ1の電磁ソレノイドに送ってインジェクタ1を開閉制御する。電磁ソレノイドのON/OFFに応じて燃料噴射が実行・停止される。噴射停止時にはインジェクタ1から常圧程度の燃料がリターン回路9を通じて燃料タンク4に戻される。ECU8はエンジン運転状態に基づいて実際のコモンレール圧を目標圧に向けてフィードバック制御する。このため実際のコモンレール圧を検出するためのコモンレール圧センサ10が設けられる。
【0016】
次に、本発明に係る動弁駆動装置について説明する。11がエンジンの吸気弁又は排気弁をなすバルブである。バルブ11はシリンダヘッド12に昇降自在に支持され、バルブ11の上端部は一体のピストン13となっている。即ち、バルブ11にピストン13が一体に連結される。バルブ11の上部に本装置の主要部をなすバルブ駆動アクチュエータAが設けられ、そのアクチュエータボディ14がシリンダヘッド12に固設される。ピストン13はアクチュエータボディ14内を摺動昇降可能である。なお、図示例は1気筒の1個のバルブについてのみのものであるが、多気筒或いは複数のバルブについて開閉制御したい場合は同じ構成を当該バルブに与えればよい。また、本実施形態ではバルブ11とピストン13とを一体的に形成したが、別体として構成しても構わない。
【0017】
バルブ11には鍔部15が設けられ、鍔部15とシリンダヘッド12との間にバルブ11を閉弁方向(図の上側)に付勢するバルブスプリング16が圧縮状態で配設される。ここではバルブスプリング16がコイルスプリングで構成される。アクチュエータボディ14内に鍔部15を吸引する磁石17が埋設され、これによってもバルブ11が閉弁方向に付勢される。磁石17はここではバルブ11を囲繞するようなリング状の永久磁石である。ピストン13は少なくともバルブ11の上端の部分であり、アクチュエータボディ14に軸シールをなしつつ挿入される。
【0018】
アクチュエータボディ14内に、ピストン13の上端面(即ち受圧面43)に面した圧力室18が区画形成される。圧力室18は、バルブ11を開弁するための加圧された作動流体が供給されるもので、その底面部分が受圧面43によって区画形成される。作動流体としては、エンジンの燃料と共通の軽油が用いられる。圧力室18に高圧燃料が供給されるとバルブ11が開方向(図の下側)に押され、この押圧力がバルブスプリング16及び磁石17の付勢力を上回るとバルブ11が下方に開弁(リフト)する。一方、圧力室18から高圧燃料が排出されると、バルブ11が閉弁する。
【0019】
圧力室18は、主にアクチュエータボディ14内に形成された断面円形且つ一定径のピストン挿入孔44からなり、このピストン挿入孔44にピストン13が摺動可能に挿入される。そしてバルブ11が全閉から全開になるまでの間、ピストン13がピストン挿入孔44から外れる(抜ける)ことはなく、ピストン13は常にピストン挿入孔44の内面に接している。言い換えれば、バルブ11が全閉から全開になるまでの間、ピストン13の移動量に対する圧力室18の容積の増大量の比は一定に保たれる。
【0020】
圧力室18の上方に、圧力室18への高圧燃料の供給又は供給停止を切り換えるための第一の作動弁20が設けられる。第一の作動弁20は本実施形態では圧力バランス式制御弁からなっている。
【0021】
第一の作動弁20は、バルブ11と同軸に配されたニードル状のバランス弁21を有する。バランス弁21の上端部に軸シール部40が形成され、軸シール部40の下方に供給通路22が、軸シール部40の上方に弁制御室23がそれぞれ区画形成されている。バランス弁21の上端面は弁制御室23内の燃料圧力が作用される受圧面となっている。これら供給通路22と弁制御室23とは、アクチュエータボディ14内に形成された分岐通路42と、外部の配管とを介して、高圧作動流体供給源としてのコモンレール2に接続され、コモンレール圧Pcの高圧燃料が常時供給されている。後に分かるが、バルブ11のリフトはこのコモンレール圧Pcの高圧燃料によって生じるものである。
【0022】
供給通路22は、バランス弁21の下部側に面して圧力室18に連通されると共に、その途中にバランス弁21の下端円錐面が線接触或いは面接触される弁シート24を有する。弁シート24の下流側(図の下側)に供給通路22の出口41(即ち圧力室18への高圧燃料の入口)が設けられる。この出口41は、バルブ11と同軸に位置されると共に、ピストン13の受圧面43に指向され、バルブ11又はピストン13の移動方向又は軸方向と同方向に指向される。受圧面43はその軸方向に垂直な円形の面である。
【0023】
弁制御室23には、バランス弁21を閉弁方向(図の下側)に付勢するバネ25が設けられる。バネ25はコイルスプリングからなり、圧縮状態で弁制御室23に挿入配置される。また弁制御室23は、燃料の出口であるオリフィス26を介してリターン回路9に連通される。オリフィス26の上方にはこれを開閉する開閉弁としてのアーマチュア27が昇降可能に設けられ、アーマチュア27の上方にこれを昇降(開閉)駆動すべく、電気アクチュエータとしての電磁ソレノイド28と、アーマチュアスプリング29とが設けられる。電磁ソレノイド28はECU8に接続され、ECU8から与えられる信号即ちコマンドパルスによりON/OFF制御される。
【0024】
通常、電磁ソレノイド28がOFFのときは、アーマチュアスプリング29によりアーマチュア27が下方に押し付けられ、オリフィス26が閉じられる。一方、電磁ソレノイド28がONされると、アーマチュアスプリング29の付勢力に抗じてアーマチュア27が上昇され、オリフィス26が開かれる。
【0025】
一方、圧力室18にはアクチュエータボディ14内に形成された通路31の一端が接続される。そして通路31の他端には、アクチュエータボディ14の外側部に設けられたバルブユニット19が接続される。バルブユニット19には所定容積を有した低圧作動流体供給源としての低圧室32が接続される。結果として、低圧室32は、バルブユニット19内の通路とアクチュエータボディ14内の通路31とを介して圧力室18に接続される。
【0026】
低圧室32は、圧力調整弁7の下流側且つ高圧ポンプ3の上流側のフィード回路33に接続され、フィード回路33からフィード圧Pfの低圧燃料を常時導入、貯留している。
【0027】
図2にバルブユニット19の詳細を示す。バルブユニット19は、固定側例えばアクチュエータボディ14に取り付けられたバルブストッパ50を有し、バルブストッパ50には、通路31と低圧室32とを接続するための流体通路51が設けられる。流体通路51は、弁体52の傘弁部53を収容するための弁室54と、弁室54及び低圧室32を接続するための第一通路55と、弁室54及びフィード回路33を接続するための第二通路56とから構成される。
【0028】
弁体52は、全体として軸状に形成され、その先端部(図の右端部)に傘弁部53が形成されると共に、軸方向(図の左右方向)に移動可能である。この軸方向移動により、傘弁部53の背面がバルブストッパ50に形成されたシート部57に対し着座・離反し、弁室54の中間位置が開閉される。バルブストッパ50にはスプリング室58も形成され、このスプリング室58の中心部に弁体52が移動可能に配置されると共に、スプリング室58の内外周側に第一及び第二のリターンスプリング59,60が設けられる。第一のリターンスプリング59はセットフォース及びバネ定数が比較的小さいコイルスプリングからなり、弁体52の外周部に嵌合されると共に、弁体52の基端部(図の左端部)に一体的に設けられたスプリングシート70を基端側に押し、弁体52を閉弁方向に常時付勢している。これら弁体52、シート部57及び第一のリターンスプリング59等によって、機械式逆止弁としての第二の作動弁34が構成される。
【0029】
第二通路56には、機械式逆止弁からなる第三の作動弁30が設けられる。第三の作動弁30においては、第二通路56側が入口側、フィード回路33側が出口側となる。そして第三の作動弁30は入口側と出口側との圧力差に基づき開弁し、入口側の圧力が出口側の圧力より所定圧力高くなったときのみ開弁する。
【0030】
第二の作動弁34を強制的に開弁するための電気アクチュエータ、本実施形態では電磁アクチュエータ61が設けられる。電磁アクチュエータ61は、固定側に設けられECU8から与えられる信号即ちコマンドパルスによりON/OFF制御される電磁ソレノイド62と、電磁ソレノイド62のON/OFFに応じて弁体52の同軸方向(図の左右方向)に移動するアーマチュア63と、アーマチュア63の先端部に一体的に設けられ弁体52の基端面に当接可能な有底円筒状のスプリングシート64と、スプリングシート64及びアーマチュア63を戻り側ないし閉弁側(図の左側)に付勢する第二のリターンスプリング60とから構成される。
【0031】
アーマチュア63は、電磁ソレノイド62に囲繞されその中心部に挿通される軸部65と、軸部65の基端部に一体的に設けられた磁力作用板66とからなる。図2は電磁ソレノイド62がOFFの状態である。これに対し図4に示すように、電磁ソレノイド62がONされると、アーマチュア63が開弁側(図の右側)に移動し、スプリングシート64が第一及び第二のリターンスプリング59、60の付勢力に抗じて弁体52を開弁側に押圧移動させ、第二の作動弁34が強制的に開弁される。このときスプリングシート64がバルブストッパ50に当接することにより最大開度ないし弁体52の開弁ストロークが規定される。このストローク量は例えば0.3mmである。第二のリターンスプリング60はセットフォース及びバネ定数が比較的大きいコイルスプリングからなる。
【0032】
ここで、第三の作動弁30の開弁設定圧は、フィード圧Pfより若干高く、コモンレール圧Pcよりは著しく低い値である。従って第三の作動弁30の入口に低圧燃料が存在しても第三の作動弁30は開弁しないが(図2参照)、第三の作動弁30の入口に高圧燃料が存在すると第三の作動弁30は直ちに開弁する(図4参照)。また第二の作動弁34の開弁設定圧は低い値であり、実質的には、傘弁部53の背面側の圧力が正面側の圧力より大きくなると第二の作動弁34は開弁する(図3参照)。
【0034】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0035】
まず、第一の作動弁20の作用を説明する。図1の状態では、電磁ソレノイド28がOFFされアーマチュア27によりオリフィス26が閉じられると共に、バランス弁21が弁シート24に着座しており、閉弁状態にある。このとき軸シール部40を境とする上部側の弁制御室23と、下部側の供給通路22とから、それぞれ下向き及び上向きの高圧燃料による圧力をバランス弁21は受けている。しかし、バランス弁21が弁シート24に着座しているため下向き圧力を受ける面の面積が上向き圧力を受ける面の面積より著しく大きく、且つ、バネ25によってもバランス弁21が下向きに押されていることから、結果としてバランス弁21は下向きに押され、弁シート24に強力に押し付けられる。
【0036】
次に、電磁ソレノイド28がONされアーマチュア27が上昇してオリフィス26が開かれると、弁制御室23が燃料排出により低圧となり、これによりバランス弁21に対する上向きの力が下向きの力を上回ってバランス弁21が上昇する。これによって供給通路22の出口41が開かれ、供給通路22の出口41を通じて高圧燃料が圧力室18に勢いよく供給される。
【0037】
次に、電磁ソレノイド28がOFFされアーマチュア27が下降してオリフィス26が閉じられると、弁制御室23からの燃料排出が停止されて弁制御室23が次第に高圧となる。この過程で、バランス弁21が弁シート24に着座する前は、弁制御室23の高圧燃料からバランス弁21が受ける下向き圧力と、供給通路22の高圧燃料からバランス弁21が受ける上向き圧力とが釣り合っており、バランス弁21はバネ25による下向きの力のみによって下降される。しかし、一旦バランス弁21が弁シート24に着座してしまえば、前述の閉弁時と同じ状態が作られ、バランス弁21は弁シート24に強力に押し付けられ、供給通路22の出口41を閉じることとなる。
【0038】
次に、かかる動弁駆動装置の作用を説明する。図8にはECU8から送られるコマンドパルスとバルブリフトとの関係が示される。図の上段にはバルブリフト(mm)が、図の中段にはECU8から第一の作動弁20の電磁ソレノイド28に与えられるコマンドパルスが、図の下段にはECU8からバルブユニット19の電磁ソレノイド62に与えられるコマンドパルスがそれぞれ示される。
【0039】
まず、バルブ11を図1に示される閉弁状態から開作動(リフト)させるときは、バルブユニット19の電磁ソレノイド62をOFFに保持すると共に、エンジン運転状態に基づき定まる所定の開弁開始時期(図8の時間「0」の位置)に対し、作動遅れを考慮した所定時間前に、比較的短い所定期間tCP1、第一の作動弁20の電磁ソレノイド28をONする。即ち、バルブ11の開弁初期の所定期間tCP1、第一の作動弁20を開にする。すると第一の作動弁20において、アーマチュア27が上昇してオリフィス26が開き、弁制御室23の高圧燃料が排出され、バランス弁21が上昇し、バランス弁21が弁シート24から離れる。これにより供給通路22が開の状態となり、供給通路22の出口41から圧力室18に高圧燃料が瞬時に勢いよく噴出される。この高圧燃料によりピストン13の受圧面43が押圧され、これによりバルブ11には初期エネルギが与えられ、その後、バルブ11は、バルブスプリング16及び磁石17による力が作用する条件下で慣性運動し、下方にリフトされる。バルブ11の開弁動作は高圧燃料の供給に対し遅れて行われる。
【0040】
このバルブ11の慣性運動の過程で圧力室18の容積が次第に増加するが、バルブ11の運動が数10〜数100MPaもの高圧燃料による慣性運動であることに起因して、高圧燃料供給量に応じた理論上の圧力室18の容積増大量よりも、実際の圧力室18の容積増大量が大きくなり、圧力室18の圧力が低圧室32の圧力より低くなる。
【0041】
こうなると、図3に示されるように、それら圧力差に起因して第二の作動弁34の弁体52が、第一のリターンスプリング59による付勢力に抗じて開弁側に移動し、第二の作動弁34が開弁する。これにより低圧室32の低圧燃料が第一通路55、弁室54、通路31という経路を経て圧力室18に導入される。つまり圧力室18には過剰な容積増加分を補うように燃料が補給される。これにより実際の高圧燃料供給量を越えて圧力室18により多くの燃料が供給されるので、圧力室18が負圧になることを回避し、バルブリフト動作を安定化させると共に、バルブリフト量を、高圧燃料供給により与えられた初期エネルギに応じたリフト量に保持することができる。この結果バルブリフトに際しての駆動エネルギを減少することができる。
【0042】
図3に示されるように、低圧燃料導入の際には第三の作動弁30の開弁が防止される。第三の作動弁30の開弁圧がフィード圧Pfより若干高く設定されているからである。また、第二の作動弁34においては、傘弁部53を有した弁体52を用いているので、図2に示されるように、バルブ開弁時に傘弁部53の正面側(図の右側)が圧力室18からの高圧燃料圧力を受けても、その圧力により傘弁部53が確実にシート部57に押し付けられ、圧力室18からの燃料漏洩及び圧力室18の圧力減少が確実に防止される。
【0043】
図8に示されるように、第一のコマンドパルスCP1の後に第二のコマンドパルスCP2が第一の作動弁20の電磁ソレノイド28に与えられる。つまりバルブ11の開弁中期の所定期間tCP2においても第一の作動弁20が開作動され、第一の作動弁20が二段階で開作動される。第一のコマンドパルスCP1による圧力室18への高圧燃料及び低圧燃料の流入によって、バルブ11が一旦中間開度L1に保持され、その後前記同様の方法による、第二のコマンドパルスCP2による圧力室18への高圧燃料及び低圧燃料の流入によって、バルブ11が最大リフト位置Lmaxまでリフトされる。この二段階のバルブリフトにより、通常のカム駆動の場合に近似したリフトカーブを得ることができる。
【0044】
次に、バルブ11を閉作動させるときは、第一の作動弁20を閉(電磁ソレノイド28をOFF)に保持すると共に、エンジン運転状態に基づき定まる所定の閉弁開始時期(時間「t3」の位置)に対し、作動遅れを考慮した所定時間前に、バルブユニット19の電磁ソレノイド62をONする。
【0045】
すると、図4に示されるように、第二の作動弁34の弁体52がアーマチュア63及びスプリングシート64により開弁側に押圧され、第二の作動弁34が強制的に開となる。こうなると、圧力室18の高圧燃料が通路31、弁室54という経路を経て第二通路56に至り、第三の作動弁30を押し開いてフィード回路33に排出される。第三の作動弁30の開弁圧が高圧燃料圧力即ちコモンレール圧Pcより低い値に設定されているので、第三の作動弁30は自ずと開くことになる。
【0046】
これにより圧力室18の圧力が下がり、バルブ11がバルブスプリング16及び磁石17の付勢力により上昇即ち閉作動される。
【0047】
このように本装置によれば、第一の作動弁20と電磁アクチュエータ61とを制御することで、エンジンクランク角に依存しない如何なるタイミングにおいてもバルブ11を開閉することができる。図8にO1,O2,O3で示されるように、第二のコマンドパルスCP2の出力時期をずらすことで、バルブが中間開度L1から全開Lmaxになるタイミングをずらすこともできる。同じことが閉弁時期についてもいえる。ただし図示例は一定タイミングCで閉弁している。電磁アクチュエータ61をデューティ制御すれば、圧力室18からの高圧燃料排出流量を制御し、バルブ11の閉弁速度を制御することも可能である。電磁アクチュエータ61をOFFに保持してKで示されるように全開保持することも可能である。
【0048】
さらに、仮想線CPxで示されるように、電磁アクチュエータ61をバルブ11が全閉となる直前でOFFとすれば、このOFF時から、バルブ11の閉弁動作により次第に圧力室18の圧力が上昇するので、バルブ着座時の衝撃や着座音を緩和することが出来る。
【0049】
図9は本実施形態の装置におけるバルブ開弁から閉弁までの各部の作動を表したものである。この例では(a)図で示されるようにバルブ開弁初期にのみ第一の作動弁20に所定期間tCP1のコマンドパルスが与えられ、第一の作動弁20が開とされる。
【0050】
まず、第一の作動弁20にコマンドパルスが与えられると((a)図)、バランス弁21が開となり((b)図)、圧力室18内が高圧燃料流入により瞬時に高圧となる((c)図)。これにより、コマンドパルスの発生から所定のタイムラグを経てバルブ11の開弁が開始される((f)図)。第一の作動弁20は短時間でOFFとされ、これと同時にバランス弁21が閉となり、圧力室18への高圧燃料供給が停止されるが、バルブ11が慣性運動していることからバルブ11は直ちに停止せず、これにより圧力室18に高圧燃料流入量に相当する分以上の容積増大が生じ、圧力室18が一瞬フィード圧Pfより低くなる((c)図のQ)。これにより第二の作動弁34が開き((d)図)、圧力室18に低圧燃料が導入され、高圧燃料流入による初期エネルギによるバルブリフトが実行されて、バルブ11が全開となる。このとき圧力室18内の液圧とバルブスプリング16との間のエネルギ変換に伴うバルブ11の微振動が生じるが、問題視されるレベルではない。この後所定タイミングで電磁アクチュエータ61がONされると、第二の作動弁34が強制的に開弁されると共に、高圧燃料の作用により第三の作動弁30が開弁され((e)図)、バルブ11が閉弁される。
【0051】
次に、本実施形態の作用効果をより詳細に説明する。
【0052】
バルブリフトを開始するとき、圧力室18の圧力は、バランス弁21の開弁時間に比例して上昇する。そしてその圧力と、ピストン13の断面積Apとの積で表される下向きの力が、バルブスプリング16のセットフォースと、磁石17の吸引力との和に打ち勝った瞬間から、バルブは下向きに運動を開始する。
【0053】
ここで、ピストン〜バルブの運動系において、任意の位置までリフトし静止状態にあるバルブに関するエネルギは、フリクションと磁石17の吸引力とを無視した場合以下の式(1)で表される。
【0054】
mx+(1/2)kx2=PFin ・・・(1)
ただしm;等価重量、x;バルブリフト量、k;バルブスプリング16のバネ定数、P;圧力室18の圧力、Fin;圧力室18に導入される燃料流量である。
【0055】
等価重量m及びバネ定数kは既知の定数である。従って、圧力Pが一定とみなせる場合、リフト量xは燃料流量Finのみの関数となる。本実施形態では、電磁ソレノイド28のON時間を制御することで、バランス弁21の開弁時間を連続して変化させることが可能であり、これに伴い燃料流量Finを制御することが可能である。従ってバルブ開閉タイミングのみならず、バルブリフト量xも任意に制御することが可能である。
【0056】
次に、バルブが運動しているとき、圧力室18に関し以下の連続の式(2)が成立している。
【0057】
Fin=Ap・dx/dt+Vcc/K・dPcc/dt ・・・(2)
ただしFin;圧力室18に導入される燃料流量、Ap;ピストン13の断面積、x;バルブリフト量、Vcc;圧力室18の容積、K;体積弾性率、Pcc;燃料圧力である。
【0058】
この式から、バルブの下降中は、バルブ速度dx/dtに比例した圧力室18の圧力降下が起きるのが分かる。この圧力降下により、圧力室18の圧力が低圧室32の圧力以下となると第二の作動弁34が開く。この結果、上式(2)右辺第一項で示される(ピストン断面積Ap)×(バルブリフト量x)に相当する量の低圧燃料が圧力室18に流入する。これによってバルブの運動は妨げられない。一般にエネルギは式(1)の右辺で示す通り圧力×流量である。流量は、ピストン断面積Ap及びバルブ速度dx/dtが定まると一律に決まる。従って、ここでのエネルギ損失を低減するには低圧を利用するのが有効であることが分かる。本実施形態でバルブリフト時に低圧燃料を圧力室18に導入するのはこのためである。これにより不必要なエネルギを低減することが可能になる。
【0059】
次に、圧力室18に対する燃料(圧力)の出入りが無い場合、バルブは静止状態に維持される。この結果、所望の時間、バルブを開弁状態に保持することが可能となる。中間開度に保持することも可能である。
【0060】
ところで、エンジンを過給する場合、吸気弁の場合だとバルブリフト時にバルブに開弁方向(下向き)の力が作用する。この力による開弁動作を避けるためには、通常、バルブスプリング16のセットフォースを比較的高くしなければならない。本実施形態ではFs=30kgf程度である。しかしこうするとバルブがリフトするに従い、閉弁方向(上向き)の力ないし荷重が一層強くなり、バルブリフトさせるのに高い駆動エネルギを必要とする。
【0061】
通常のカム駆動方式の動弁機構だと、閉弁側でスプリング力がカムのフェース面を押し上げるため、結果としてエネルギ回収作用が働くこととなり、バルブ駆動エネルギは少ない。図10は当該動弁機構を使用したディーゼルエンジンにおける各部品毎の摩擦損失を示したもので、縦軸は軸平均有効圧力である。これはフリクションロスに係る負の仕事をエンジン排気量で割った値である。横軸はエンジン回転数であり、即ちここではエンジン回転数に対する各損失割合を分解フリクション法によって測定した値を示している。この結果から、全フリクション中に占める動弁系のフリクション割合は2〜4%で、これに投入エネルギを乗じると動弁系の駆動に必要なエネルギが計算できる。計算の結果、1バルブ当たりに必要な駆動エネルギは1.65Jであった。
【0062】
ところが、本実施形態のようなカムレス方式ではエネルギ回収は困難である。従って通常ならば、カムレス方式はカム駆動方式に比べバルブ駆動エネルギが高くなり、出力や燃費の悪化を招く。
【0063】
そこで、本実施形態では、バルブスプリング16に加え磁石17を用いることとした。
【0064】
一般に、磁石間の力Fmは次式(3)で表される。
【0065】
Fm=1/(4πμ0)・qmqm’/r2 ・・・(3)
ただしμ0;透磁率、qm、qm’;磁荷、r;距離である。
【0066】
従って、本実施形態の場合、バルブがリフトするに従い、磁石17と鍔部15との距離の自乗に反比例して力は減少する。この結果、高リフトを得る場合でもバルブ駆動エネルギは少なくて済み、やはり出力、燃費の向上に繋がる。
【0067】
(1)式で分かるように、駆動エネルギは理論的には等価重量m×バルブリフト量xで決まる。バルブリフト量xはエンジン性能上一義的に決まるため、駆動エネルギを低減するには等価重量mを低減する必要がある。ここで、等価重量とは、バルブ自体の質量+バルブスプリング等からの荷重を意味する。現実としてバルブ自体の質量を大幅に低減するのは不可能なため、本実施形態では荷重の項に着目した。
【0068】
即ち、バルブは過給圧に対して開弁動作しないように、閉弁着座時にFs=30kgf程度の高い力で支えておく必要がある。これを通常のコイルスプリングのセット荷重のみでまかなうと、当然バルブがリフトするに従い、バルブを開弁保持するための力(荷重)が増加する。これを示したのが図11で、一点鎖線で示すように、バルブリフト(横軸)の増大につれバルブ開弁保持力(縦軸)は増加している。
【0069】
これに対し、磁石は、図中実線で示すように距離の自乗に反比例して力が減衰する特性である。このためバルブスプリングに磁石を併用する本実施形態の場合、バルブ開弁保持力の特性は図の二点鎖線のようなものとすることができる。従って、バルブスプリングのみの場合に比べ、バルブ開弁保持力を減少させることができ、これが駆動エネルギの低減に繋がるのである。
【0070】
より分かり易くいえば、本来必要なバルブスプリング(バルブ閉弁状態のときの初期荷重が30kgf以上のもの)より弱いバルブスプリング(同初期荷重が30kgf未満のもの)を用い、このスプリング荷重の不足分を磁石で補い、バルブ閉弁中常に必要荷重Fs=30kgfを得られるようにするのである。バルブ開弁中はリフト量増加につれ荷重増加傾向にあるスプリングと、荷重減少傾向にある磁石との足し合わせにより、バルブを閉弁させるのに最低必要な荷重を確保し、リフト量が増加しても必要以上に駆動エネルギが消費されるのを防止できる。
【0071】
図11に示したバルブスプリングと磁石との特性(絶対値は異なる)に基づき、駆動エネルギを計算した結果を図12に示す。図12は、1本のバルブを最大リフトLmax=11.8mm(図8参照)させるのに最低必要なエネルギを示している。
【0072】
既述したように、通常のカム駆動方式では(a)に示す通り1.65Jである。これに対し、本実施形態において磁石17及び低圧室32を省略し、バルブスプリングのみで閉弁着座時の力Fs=30kgfを確保するカムレス方式の場合、(d)に示す通り4.85Jもの高いエネルギを要する。ちなみに参考までに、バルブスプリング及び磁石の代わりに4.43MPaの油圧で閉弁着座時の力Fs=30kgfを確保し、且つ低圧室からの低圧導入により駆動エネルギを低減したカムレス方式の場合、(b)に示す通り3.48J必要である。これにおいて油圧を20MPaに高めると、(c)に示す通り15.67Jもの非常に高いエネルギが必要となる。一方、磁石を用い低圧導入を行う本実施形態の場合だと、(e)に示す通り2.1Jと大幅にエネルギを低減し、通常のカム駆動方式と同等にすることができる。以上の結果により本実施形態の優位性は立証されたことになる。
【0073】
なお、磁石を使用しない場合、閉弁保持力Fs=30kgfを別の方法で発生させる必要がある。スプリング又は油圧を使用すると上記のように駆動損失が増加するので、有効な方法とはいえない。ただ、それらを使用しても装置自体は成立する。
【0074】
磁石としては、永久磁石の他、電磁石等他の磁石も使用可能である。但し、永久磁石とした方がコスト安となり、電磁石の駆動エネルギ等も不要になるので、より好ましい。
【0075】
ところで、本実施形態では圧力室18に導入される圧力が高いほど効率が高いことが判明している。図13は、投入エネルギ(横軸)に対するバルブの最大リフト(縦軸)の関係を示したもので、圧力室18に導入される高圧燃料の圧力を10MPa(破線)、100MPa(一点鎖線)、200MPa(実線)と振って調べてみた。これによると圧力が高い方が効率が良くなることが分かる。通常のカム駆動方式だと、1.65JのエネルギでLmax=11.8mmの最大リフトを得ており、10MPaでもこれと同等の特性を得られる。しかし、さらに圧力を上げれば、同一リフトに対して必要なエネルギが減少され、エネルギ効率を改善することができる。数100MPaもの高いコモンレール圧を利用する本実施形態はこういった意味で駆動エネルギの減少に非常に有効なものである。また別途高圧を作る装置も不要になるので、装置のシンプル化、低コスト化に貢献し得るものである。
【0076】
次に、バルブリフト時の低圧使用の有効性を検証した結果を図14に示す。ここでは本実施形態と類似の装置を対象とし、圧力室への低圧導入を行った場合(低圧使用、実線)と行ってない場合(低圧不使用、一点鎖線)とについて調べた。また、バルブを最大リフトLmax=11.8mmさせるのに必要なエネルギ(縦軸)を、圧力室に導入する高圧圧力(横軸)を振って調べてみた。なお通常のカム駆動ではXに示すように必要エネルギは1.65Jである。
【0077】
図から分かるように、低圧を使用した場合、使用しない場合に比べ1/2〜1/4のエネルギで済むのが分かる。これにより低圧導入の優位性が証明された。
【0078】
また、本実施形態には次のような構造上の特徴もある。
【0079】
図1に示されるように、本実施形態では、バルブ11が全閉から全開になるまでの間、ピストン13がピストン挿入孔44から抜けることがなく、ピストン13の移動量に対する圧力室18の容積の増大量の比が一定に保たれる。従って、圧力室18に導入された高圧燃料又は低圧燃料による圧力エネルギを全て効率良くバルブ11の運動エネルギに変換することができ、エネルギの損失を低減できると共に、駆動損失をも低減することができる。
【0080】
逆にいえば、仮にバルブ11が全閉から全開になる途中に、ピストン13がピストン挿入孔44から抜けてしまって圧力室18の断面積が急激に拡大し、ピストン13の移動量に対する圧力室18の容積の増大量の比がピストン13が抜けた瞬間から増大してしまうような構造にすると、せっかく増大された圧力室18の圧力が、ピストン13が抜けた瞬間から激減してしまい、バルブ11の運動エネルギに有効に変換されなくなってしまう。このような構造に比べ、本実施形態は、バルブ11が全閉から全開になるまでの間、圧力エネルギを有効にバルブ11の運動のために利用し得るものであり、有利な構造である。
【0081】
また、本実施形態では、アクチュエータボディ14の外部に設置された低圧室32から、アクチュエータボディ14の内部に設けられた専用の孔等による通路31を通じて、低圧燃料が直接的に圧力室18に導入される。これによって、低圧燃料の流路が過大になることが防止され、低圧燃料の即座の導入が可能となり、制御性、応答性が高められる。
【0082】
特に、圧力室18に接続される通路は出口41と通路31との二つのみであり、従来の三つより少ない。これにより圧力室18の容積を極力小さくすることができ、バルブ開弁駆動時の供給エネルギを少なくすると共に、バルブ開弁時の供給エネルギに対するバルブの運動エネルギへの変換割合である有効エネルギ割合を増加でき、バルブの駆動エネルギの減少並びに出力及び燃費の向上を図ることができる。
【0083】
この効果は、従来別々であった、低圧導入のための第二の作動弁34と、流体排出のための第三の作動弁30とを一箇所にまとめた点、図2乃至図4の例では一つのバルブユニット19に含ませた点によるところが大きい。そして各作動を支障無く行えるよう上記構成を採用した点によるところが大きい。上記実施形態においては、圧力室18から第二の作動弁34を通過するような流れの向きを考えた場合、第三の作動弁30が第二の作動弁34の下流側に設けられる。このような配置により第二の作動弁34と第三の作動弁30とを支障無く作動させることができる。
【0084】
図5乃至図7には他の実施形態を示す。なお前記実施形態と同一の部分については図中同一符号を付し詳細な説明を省略する。
【0085】
図5に示されるように、この実施形態では、バルブユニット19から第二通路56及び第三の作動弁30が省略され、代わりに第三の作動弁30が低圧室32に直接設けられる。第三の作動弁30の入口は低圧室32に接続され、第三の作動弁30の出口はフィード回路33に接続される。その他の点は前記実施形態同様である。
【0086】
図5は図2に対応した、バルブユニット19の電磁ソレノイド62がOFFの状態である。図6は図3に対応した、圧力室18への低圧導入状態であり、電磁ソレノイド62は同様にOFFされている。図7は図4に対応した、圧力室18からの燃料排出状態であり、電磁ソレノイド62がONされる。このとき圧力室18から弁室54から流入してきた高圧燃料は、第一通路55を通じて低圧室32に至り、第三の作動弁30を押し開けてフィード回路33に排出される。
【0087】
なお、この実施形態から理解されるように、第三の作動弁30は第一通路55に設けても構わない。
【0088】
本発明の実施の形態は他にも様々なものが考えられる。上記実施形態では作動流体をエンジンの燃料(軽油)とし、高圧作動流体をコモンレール圧の燃料、低圧作動流体をフィード圧の燃料としたが、作動流体は通常のオイル等でもよく、別途油圧装置で高圧と低圧とを作ってもよい。但しコモンレールディーゼルエンジンの場合は元々燃料による高圧と低圧とが作られているので、上記実施形態のようにそれらを利用する方が構成がシンプル、低コストとなって望ましい。
【0089】
上記実施形態ではバルブを閉作動方向に付勢するためバルブスプリングと磁石を併用したが、バルブスプリングのみ、或いは磁石のみと各々単独で用いることも考えられる。上記実施形態では磁石17で鍔部15を吸引する構成としたが、別段このような構成でなくても構わない。
【0090】
内燃機関はコモンレールディーゼルエンジンに限らず、通常の噴射ポンプ式ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等であってもよい。第一の作動弁は上記のような圧力バランス式制御弁に限らず、通常のスプール弁等であってもよい。第一の作動弁20及びバルブユニット19における電気アクチュエータは、電磁ソレノイド28、62を用いた電磁アクチュエータに限らず、ピエゾ素子又は超磁歪素子等を用いたものでもよい。ただしこれらアクチュエータは動作速度ができるだけ高速であるのが望ましく、各作動弁の動作速度、応答性はできるだけ高いのが望ましい。
【0091】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、圧力室の容積を縮小することができ、バルブ開弁駆動時の供給エネルギを少なくすることができると共に、バルブ開弁時の有効エネルギ割合を増加でき、バルブの駆動エネルギの減少並びに出力及び燃費の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る動弁駆動装置の全体図である。
【図2】バルブユニットの要部断面図で、電磁ソレノイドがOFFの通常状態である。
【図3】バルブユニットの要部断面図で、低圧導入状態である。
【図4】バルブユニットの要部断面図で、高圧排出状態である。
【図5】他の実施形態に係るバルブユニットの要部断面図で、電磁ソレノイドがOFFの通常状態である。
【図6】他の実施形態に係るバルブユニットの要部断面図で、低圧導入状態である。
【図7】他の実施形態に係るバルブユニットの要部断面図で、高圧排出状態である。
【図8】本実施形態における動弁制御の内容を示したタイムチャートである。
【図9】本実施形態の動弁駆動装置において各部の作動状態を示すタイムチャートである。
【図10】通常のカム駆動ディーゼルエンジンにおける摩擦損失を示したグラフである。
【図11】バルブ開弁保持力について、バルブスプリングと磁石との比較を示したグラフである。
【図12】バルブの最大リフトに必要なエネルギを比較して示すグラフである。
【図13】各高圧値に対するバルブの駆動効率を比較して示すグラフである。
【図14】低圧使用の有効性の検証結果を示すグラフである。
【符号の説明】
2 コモンレール
11 バルブ
18 圧力室
19 バルブユニット
20 第一の作動弁
30 第三の作動弁
32 低圧室
34 第二の作動弁
50 バルブストッパ
52 弁体
53 傘弁部
61 電磁アクチュエータ
Claims (4)
- 内燃機関の吸気弁又は排気弁をなすバルブを開閉駆動するための駆動装置であって、
上記バルブを開弁するための加圧された作動流体が供給される圧力室と、
上記圧力室に接続された高圧作動流体供給源と、
上記圧力室に接続された低圧作動流体供給源と、
上記圧力室と上記高圧作動流体供給源との間に設けられ、上記バルブの開弁初期の所定期間に開弁され、上記圧力室に上記高圧作動流体供給源の高圧作動流体を供給する第一の作動弁と、
上記圧力室と上記低圧作動流体供給源との間に設けられ、上記バルブの開弁初期の所定期間経過後、上記圧力室の圧力が上記低圧作動流体供給源の圧力より低くなったときその圧力差に基づき開弁し、上記圧力室に上記低圧作動流体供給源の低圧作動流体を導入する逆止弁からなる第二の作動弁と、
上記圧力室に上記第二の作動弁を介して接続された回路又は上記圧力室に上記低圧作動流体供給源を介して接続された回路に設けられ、入口側の圧力が、上記低圧作動流体供給源の圧力より高く且つ上記高圧作動流体供給源の圧力より低い所定の設定圧より高くなったとき開弁し、これにより上記圧力室の作動流体を排出する逆止弁からなる第三の作動弁と、
上記バルブの閉弁時に上記第二の作動弁を強制的に開弁するアクチュエータと
を備えたことを特徴とする内燃機関の動弁駆動装置。 - 上記第三の作動弁が、上記圧力室に上記第二の作動弁を介して接続された回路に設けられ、これら第二の作動弁と第三の作動弁とにより一のバルブユニットを構成し、そのバルブユニットに上記低圧作動流体供給源が接続される請求項1記載の内燃機関の動弁駆動装置。
- 上記第二の作動弁が軸方向に移動可能な弁体を備え、該弁体の一端部に、上記圧力室側の圧力を受けて閉弁側に押圧される傘弁部が設けられ、上記アクチュエータが、ONされたときに上記弁体の他端部を押圧して上記弁体を開弁側に駆動する電気アクチュエータからなる請求項1又は2記載の内燃機関の動弁駆動装置。
- 上記第二の作動弁の最大開度を規定するためのバルブストッパが設けられる請求項1乃至3いずれかに記載の内燃機関の動弁駆動装置。
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