JP3950753B2 - 磁石による回転玩具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の磁石を列状に間隔をおいて埋設した壁面に磁石を垂直方向に埋設した柱体が接しながら回転し、壁面の磁石に沿って回転移行する玩具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可動体を磁石で反発させて浮上させながら横に移行する玩具がある。
この構成の発明の1つとして出願人が先に出願した特願2002−41421の発明がある。
この発明は、図10および図11に示すように、上方が開いた樋状で、その両側面板2のそれぞれの内面に多数の磁石3を、それらの極を同方向にして配設した樋状体1と、樋状体1の樋内に、側面板2、2と間隔をおいて挿入しうる基部4の、樋状体1の両側面板2に対向する両側面で、樋状体1の磁石3の側面板2内面の極と同極が対向するように磁石5を配設した可動体7とよりなり、樋状体1の樋内に可動体7の基部4を挿入すると、磁石3と磁石5が反発して可動体7が浮上し、樋状体1の内面に横方向に複数の磁石3が同極を同方向にして配列しているので、可動体7が浮上した状態で樋内を移行するようになっている。
図中6は基部4上に設けた具象形である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記発明に係る従来の玩具は、可動体が浮上しながら滑るように移行するだけである。
この発明は、可動体が壁面に接し、移行状態が従来のものとは違う、回転しながら移行する玩具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
垂直または傾斜した表面に、同極が同方向にあらわれるように、1または複数の長手の磁石を横方向または傾斜方向に、または複数の小磁石を横方向または傾斜方向の列状に埋設したベースと、柱体の基部に、その軸線上に、または、軸線に沿って、前記基部の長さよりも短い長さの磁石を、中間に配設してなる可動体とで構成し、前記可動体の基部を前記ベースの表面に当接すると、双方の磁石の磁力の作用で可動体が前記ベースの表面を回転しながら移行することを可能とする。
【0005】
可動体の基部を、円柱体、楕円柱体、五角形以上の多角柱体、または、角がアールのある多角柱体のいずれかとするのが好ましい。
可動体の基部に具象形を取付けるのが好ましい。
【0006】
ベースは、1つの部材よりなるか、または、複数の部材を連結してなり、横に長手の平板、曲面板、または、リング状板をなし、かつ、垂直面または傾斜面を形成するのが好ましい。
【0007】
ベースは、上方が開口する直状、曲状またはリング状の樋状体をなし、その両側面板のそれぞれの面において同極が向くように、磁石を埋設してなることが好ましい。
【0008】
ベースを、柱体、筒体のいずれかとする。
【0009】
ベースを、多数の磁石を同極が配列するように埋設したシートを曲げて、端部を係止して筒体または錐体のいずれかにするのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面により説明する。
この発明に係る玩具は、可動体10と可動体10を回転して移行させるベース11とよりなる。
【0011】
可動体10は、プラスチック、木、ゴム等の非磁性体よりなる柱体の基部12の軸線上に、または、軸線に平行に、すなわち、中心にまたは偏心して、有底の孔を開け、該孔の長さより短い長さの磁石13を前記孔に挿入し、磁石16の上方に非磁性体を埋め、基部12の上部に人形や動物等の具象形14を設けたものである。
具象形14は、基部に着脱自在に固定できるようにすれば、具象形14を取り替えることができて好ましい。
具象形14は省略し、基部12だけの可動体としてもよい。
【0012】
柱体は、円柱体、楕円柱体や、角(かど)にアールを設けた多角形柱体を用いる。五角形以上の多角形柱体の場合には、角にアールを設けても、設けなくてもいずれでもよい。
【0013】
柱体の基部12の孔の長さ、孔の底の厚さ、磁石の長さは限定しないが、孔の長さは基部12の長さの3分の2、底の厚さは3分の1、磁石16の長さも3分の1位とするのが好ましい。
【0014】
基部12に有底の孔を設ける代わりに、貫通孔を設け、その貫通孔内の中間に磁石13を嵌入し、磁石13の上下に非磁性体を詰めてもよい。
また、磁石13を貫通孔内の中間に接着等の方法で固定すれば、磁石の上下に非磁性体を詰めなくてもよい。
【0015】
ベース11は、非磁性体の横長のプレート部15に横方向に同極を同方向に向けて複数の磁石16を間隔をおいて配列埋設し、プレート部15を横長状態で立てた状態で、プレート部15の下縁を台17を固定したものである。
台17およびプレート部15を多少傾斜させるために、台17の一方の端部に枕18を設けるのが好ましい。
【0016】
プレート部15における磁石16の配列は、図1に示すように横方向の直線状であってもよく、または曲線状、あるいは波状であってもよい。
また、磁石16の配列を、プレート部15の一端から他方の端方向に、下降傾斜する直線状、曲線状または波状のものとしてもよく、この場合は枕18を設けなくてもよい。
【0017】
プレート部15の面と磁石16の面とは面一にするのが好ましい。
ベース11のプレート部15と磁石16の面をプラスチック被膜19で覆うのが好ましい。
【0018】
この玩具は図1および図2に示すように使用する。
図において可動体10の具象形14の図示を省略した。
先ず可動体10の基部12に埋設した磁石13の上方の極、図においてS極と同極、すなわち図においてS極側のプレート部15の面の一方の端部に基部12を接触させる。すると基部12の磁石13のS極はプレート部15の磁石16のS極と反発し、基部12は幾分浮上する。この際、基部12の磁石13の下方のN極は、プレート部15の磁石16のS極方向に引き寄せられるので、基部の中間部がプレーと部15の面に引き寄せられ、それにより、基部12の下部もプレート部15の面に引き寄せられて接するので、基部12の下部は、基部12の上部が磁石の反発によるプレート部15の面からの離れるのを阻止し、基部12の側部全面がプレート部15の面に接した状態となる。
プレート部15には磁石16が同極、図においてS極を同方向にして横方向に配設されているので、基部12の磁石13はプレート部15の隣接する磁石16に順次引かれ基部12が回転して移行する。
【0019】
基部12を上記の場合と反対にして、すなわち、基部12の磁石13のN極を上にして、ベース11のプレート15の前記の面と反対の面、すなわち、N極が外方向に向いている面に、当接させると、上記と同じ作用で可動体は回転しながらプレート部15の面を移行する。
従って、基部12の上下に異なった具象形を取付ければ、その具象形を選択し、選んだ具象形を上にして回転させながら移行させることが出来る。
【0020】
台17に枕18を設けてプレート部15が傾斜しているか、またはプレート部15の磁石16の配列状態が上記のとおり傾斜していると、その傾斜上部に基部12を接触させると、基部12は自然に傾斜下方へ回転しながら移行する。
枕18を省略する等磁石16の配列が傾斜状況にない場合には、プレート部の一端に基部12を接触させて、指先で軽く押して始動させると基部12が回転しながら移行する。基部12が回転して移行するので、摩擦が少なく相当長い距離を移行する。
【0021】
ベース11のプレート部15の面は、図1および図2に示すように平板状であるが、曲面または波状面のものであってもよい。
また、プレート部15が螺線状、または、円周状、楕円周状等リング状をなすものでもよい。
【0022】
前記ベース11は、1枚のプレートを立てたものであるが、図4に示すように、樋状のベース20であってもよい。
このベース20は、底部21の両縁で立設された2つの側面板22、22のそれぞれに、先に説明のベース11のプレート部15と同様に、複数の磁石16を間隔をおいて配列する。磁石16は側面板22の同一面のものは同極が同方向に向くように配設する。
2つの側面板22の対向する面の磁石16は同極が対向するようにしてもよく、または、異極が対向するようにしてもよい。
異極が対向する場合には、基部の上下の具象形を選択して、いずれか一方の側面板22に基部を当接させる。
【0023】
底部21の底面一端に枕(図示省略)を取り付けてベース20を傾斜させてもよい。
側面板22、22は平面状のものを2枚対向させているが、曲面板または波板を2枚対向させてもよい。
【0024】
このベース20を用いる場合には、可動体10の基部12を、基部12の磁石13の上方の極と同じ極の磁石16が配列されている側面板22の外面または、2つの側面板22、22の内面に当接させると、先に説明したベース11の場合と同様に、基部12は側面板22の外面または内面に接しながら回転して移行する。
【0025】
ベースは樋状のベース20を螺線状にしたもの、またはプレート状のベース11を螺線状にしたものを用いてもよい。
この場合には可動体10は基部12を側面板またはプレートに接し、回転しながら螺線状に下降する。
【0026】
ベースは組立式とするのが好ましい。
図5に示す分割ベース11aは、複数の分割ベース11aを連結してベース11を形成するためのものである。
すなわち、分割ベース11aは、プレート部15aに1または少数個の磁石16を同極を同方向にして埋設し、磁石16に直角方向の側面の一方に1または複数の係止突部23を突設し、他方の面に、他の分割ベース11aの係止突部23が嵌合する凹部を設ける。
分割ベース11aの台17aの角を削っておけば、2つの分割ベース11aの連結角度を変更できる。
この分割ベース11aを順次連結することにより、直線状に連結したもの曲線状または波形状に連結したもの、円形形状、楕円形状等リング状に連結したベースを形成することができる。
【0027】
図6に示す分割ベース20aは、複数個を連結してベース20を形成するためのものである。
分割ベース20aは、樋状体の短いものであって、2つの側面板22aに1または複数、好ましくは2〜3個の磁石16を、同極を同方向にして埋設したもので、2つの分割ベース20aを連結の際に対向する側面の一方の面に突部23を設け、他の面に他の分割ベース20aの突部23を嵌入できる凹部24を設け、2つの分割ベース20aの突部23と凹部24を嵌合して順次連結して所望の長さとする。
【0028】
分割ベース20aを連結して曲折したベースとする場合には、突部23および凹部24を設けてある側面と側面板22aとの角度を直角以外の角度とした分割ベースを用意して用うるのが好ましい。
【0029】
ベースの他の実施の形態を図7および図8により説明する。
図7に示すベース25は、角にアールを設けた非磁性体の四角柱体で、複数の磁石16を配設したものである。
磁石16の配設は、柱体の表面に同極を向けて、1または複数列を螺線状に配設したり、または、1または複数の列をリング状に配設する。
螺線状またはリング状の各列を波状としてもよい。
ベース25は、軽くするために筒体としてもよい。
【0030】
ベースは、四角柱体または四角筒体に限らず、角にアールを設けた多角柱体または多角筒体でよく、五角形以上の多角柱体または多角筒体の場合には、角にアールを設けても設けなくてもよい。
【0031】
図8に示すベース26は、錐体のベースであって、表面に同極を向けて複数の磁石16を、1または複数の螺線状またはリング状に配設したものである。
各螺線状またはリング状の列は波状であってもよい。
錐体は漏斗状のものを逆にしたものでもよい。
【0032】
上記の柱体、筒体または錐体のベースを用いた場合には、可動体をベースの表面に当接させると、前記のとおり双方の磁石の作用で、可動体が回転しながら、ベースの表面を螺線状に、またはリング状に移行する。
【0033】
筒体または錐体のベースを、複数の磁石16を埋設したプラスチック、フェルト、ゴム等の非磁性体の可撓性のシートを曲げ、端部を係止して形成することができる。
すなわち、シートを曲げて、端部を接着テープやホック等の係止具で係合するか、または、端部に面ファスナーを取付け、両端部を重ねて筒体または錐体とする。
係合した部分が面一になるように、係合する両端部に段部を設けて、双方の段部で係合させるのが好ましい。
磁石16は、シートを曲げて筒体または錐体を形成したときに、先に図7および図8の筒体および錐体で説明した様な磁石の配列となるように、シートに磁石を埋設する。
【0034】
シートで形成した筒体または円錐体に可動体を当接させると、先の実施例の筒体または錐体の場合と同様に、可動体は回転しながら、筒体または錐体の表面を螺線状またはリング状に移行する。
【0035】
上記いずれの実施例においても、複数の磁石を間隔をおいて埋設したが、間隔を置かないで、磁石を互いに接触させて並べてもよい。
図9の(A)、(B)はその配列状態の説明図である。
【0036】
上記いずれの実施例においても、複数の磁石に代えて長手の磁石を用いてもよい。
図9の(C)は、プレート部に長手の磁石16aを配設した状態を示す。図(C)において、表面に表れた磁石16aの面のいずれの箇所も同極であり、プレート部の裏面の磁石の面は表面の極と異なる極である。
【0037】
【発明の効果】
この発明に係る玩具は、可動体の基部の磁石の上方の極と同極の磁石の面が配列したベースの面に当接させると、ベースの磁石の配列が僅かに傾斜している場合には自然に、ベースの配列が傾斜していない場合には指先で僅かに押すと、可動体は回転しながら移行する。
可動体の基部の上の具象形を選ぶことにより、具象形の回転移行、例えば具象形をバレリーナーとすると、バレリーナーが旋回しながら移行する様を楽しむことができる。また、可動体の基部の上下に具象形を設ければ、上下の具象形のいずれかを上にして回転移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る玩具の斜視図である。
【図2】ベースの斜視図である。
【図3】可動体の斜視図である。
【図4】樋状のベースの斜視図である。
【図5】分割ベースの斜視図である。
【図6】樋状の分割ベースの斜視図である。
【図7】柱状のベースの斜視図である。
【図8】錐状のベースの斜視図である。
【図9】(A)は端面が円形の磁石を複数接して配列した状態の説明図で、(B)は端面が角形の磁石を複数接して配列した状態の説明図で、(C)は長手の磁石の配設状態の説明図である。
【図10】従来の玩具の(A)は可動体、(B)はベースの斜視図である。
【図11】従来の玩具の断面図である。
【符号の説明】
1 樋状体
2 側面板
3 磁石
4 基部
5 磁石
6 具象形
7 可動体
10 可動体
11 ベース
12 基部
13 磁石
14 具象形
15 プレート部
16 磁石
17 台
18 枕
19 プラスチック被膜
20 ベース
21 底部
22 側面板
23 突部
24 凹部
25 ベース
26 ベース
Claims (7)
- 垂直のプレート部の表面に、同極が同方向にあらわれるように、
1または複数の長手の磁石を横方向または傾斜方向に、
埋設したベースと、
柱体の基部に、その軸線上に、または、軸線に沿って、
前記基部の長さより短い長さの磁石を、中間に配設してなる可動体と
よりなり、
前記可動体の基部を縦にして前記ベースの表面に当接すると、双方の磁石の磁力の作用で可動体が前記ベースの表面に接して回転しながらその回転方向に移行することを可能とした、磁石による回転玩具。 - 垂直のプレート部の表面に、同極が同方向にあらわれるように、
複数の小磁石を横方向または傾斜方向の列状に、
埋設したベースと、
柱体の基部に、その軸線上に、または、軸線に沿って、
前記基部の長さより短い長さの磁石を中間に配設してなる可動体と
よりなり、
前記可動体の基部を縦にして前記ベースの表面に当接すると、双方の磁石の磁力の作用で可動体が前記ベースの表面に接して回転しながらその回転方向に移行することを可能とした、磁石による回転玩具。 - 可動体の基部が、円柱体、楕円柱体、五角形以上の多角柱体、または、横に隣接する2面で形成する縦の角にアールを付けた多角柱体のいずれかよりなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の磁石による回転玩具。
- 可動体が、その基部に具象形を取付けてなることを特徴とする請求項1乃至 3 のいずれかに記載の磁石による回転玩具。
- ベースが、1つの部材よりなるか、または、複数の部材を連結してなり、横に長手の平板、局面板、または、リング状をなし、かつ、垂直面を形成してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石による回転玩具。
- ベースが、上方が開口する直状、曲状またはリング状の樋状体をなし、その両側面板のそれぞれの面において同極が向くように、磁石を配設してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石による回転玩具。
- ベースが、柱体か筒体のいずれかよりなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石による回転玩具。
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