JP3949360B2 - カラーイメージセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー情報を検出するカラーイメージセンサに係り、特に、プリズムや色フィルタを使用することなくカラー情報を検出することのできるカラーイメージセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー情報を検出するためには、 テレビカメラで通常行われているように色分解光学系(プリズム) を用いるか、あるいは色フィルタを用いて検出していた。
一方で、本発明者らの一人は、従来の撮像の考え方とはその方式を全く異にする撮像方式「固体撮像装置」(特開昭61−152176号)を発明した。
【0003】
この「固体撮像装置」について簡単に説明する。
図1は、その1画素分の構成を示していて、まず、光センサ部の、例えば、アバランシェホトダイオードなどのホトダイオード1に光が入射すると入射光量に応じてパルス状信号を出力する。このパルス状信号はカウンタ2で計数され、デジタル信号出力を生じる。
また、図2に示すように、図1の構成のものを水平方向に1列に配列し、その配列した各画素点におけるデジタル信号出力を、水平走査回路3により走査して順次に取り出すようにすることで、1ラインの撮像出力信号が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したプリズムを用いる方法は、プリズム自体が大きいだけでなく、 レンズと撮像素子との間にプリズムが入ることによって、 カメラのレンズ後端面から撮像素子までの距離が長くなり、レンズの設計が難しくなるほか、レンズの口径が大きくなるなどという問題があった。
また、 色フィルタを用いる方法は、その色フィルタのため入射光量の1/3から2/3が失われるという問題があった。
また、本願人の出願に係る入射光量に応じた数のパルス状信号を計数する固体撮像装置も単色のイメージセンサであって、カラーイメージセンサではない。
【0005】
さらに、上記問題のほか、カラー固体撮像素子など、従来のカラーイメージセンサでは、受光部に高濃度不純物拡散層、 シリコン酸化膜、あるいはポリシリコン等が存在し、光がそれらの層を通過した後に有効な光電変換が行なわれるめ、特に青色光に対する感度が極めて低い状態にあった。
【0006】
本発明の目的は、上記の点に鑑み、形状が大きく、かつレンズの設計が難しくなるプリズムや、入射光量の1/3から2/3が失われる色フィルタを使用せず、また、従来のカラー固体撮像素子におけるように、光電変換の効率を低下させ、特に青色光に対する感度を極めて低くするような高濃度不純物拡散層、 シリコン酸化膜、あるいはポリシリコン等がカラー固体撮像素子の受光部に存在しないカラーイメージセンサを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明カラーイメージセンサは、半導体形成基板の表面に、該半導体形成基板の側面に入射した入射光によって発生した光電変換電荷を収拾するためのホトダイオードが、p−n−p構造を基板表面に対し垂直な方向に形成して配置されるとともに、該配置したホトダイオードの前記側面からの距離に依存して入射光の波長を識別し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明カラーイメージセンサは、半導体形成基板の側面に入射した入射光によって発生した光電変換電荷を入射光の波長ごとに区分して収拾するために、前記入射光の波長に対応して前記側面からの距離を異ならせ、かつ該距離を異ならせた各々については前記側面に平行に前記半導体形成基板の表面に、p−n−p構造を基板表面に対し垂直な方向に形成して配置した複数のホトダイオードと、該複数のホトダイオードによってそれぞれ収拾した光電変換電荷の数に相当するパルス状信号を発生する複数のパルス状信号発生回路と、該複数のパルス状信号発生回路の各々に接続され、前記パルス状信号の数をそれぞれ計数する複数のカウンタと、該複数のカウンタからのデジタル信号を逐次読み出す水平走査回路とを具えてなることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の成立性について、実験例等を参照して説明する。
本発明では、その側面が受光面となり、表面にホトダイオードが形成される半導体形成基板としてシリコン基板やガリウム砒素基板を使用することができるが、以下では、シリコン基板を用いた例について説明する。
図3(a)は、シリコン基板の深さ方向にp−n−p構造を形成した例を示し、図3(b)はその等価回路を示している。また、図4(a),(b)は、形成されたp層、n層それぞれの場所における分光感度特性を示している。この図4(a),(b)から基板の深さ方向によって分光感度が異なることが分かる。
【0010】
図5は、アモルフアスシリコンの深さ方向の構造を示している。これに異なった電圧を印加すると、p−n接合の境目が深さ方向に移動する。図6は、図5に示す構造のアモルフアスシリコンにそれぞれ 0.0V,− 1.5V,− 5.0Vの電圧を印加した場合の分光感度特性を示している。そのデータをもとに、青(B)、緑(G)、赤(R)を基準に正規化した分光感度特性を図7に示している。以上から、シリコン基板において、入射光の深さ方向における各位置で分光感度が異なることが証明された。
【0011】
図8は、シリコン基板の光入射部に高濃度不純物拡散層、シリコン酸化膜、あるいはポリシリコン等が存在せず、シリコン基板に直接光が入射し、光電変換された場合の分光感度特性を示している。同図から分かるとおり、紫外域まで高い光電変換効率を有している。
【0012】
以上説明したように、本発明では、シリコン基板やガリウム砒素基板などの半導体形成基板の側面に光が入射した場合、それによって発生する光電変換電荷は基板の深さ方向における各位置で分光感度が違うという性質を利用して、新規なカラーイメージセンサを実現している。
なお、このカラーイメージセンサ(本発明によるカラーイメージセンサ)はプリズムも色フィルターも必要とせず、そのため、カメラ、レンズともに小型化でき、レンズの設計も容易となる。そのうえ、光の損失がないため、全ての入射光が光電変換に寄与し、光電変換効率が向上する。さらに、青色光に対しても高い感度を得ることができる。
【0013】
図9は、本発明カラーイメージセンサの第1の実施形態を斜視図にて示している。
図9において、1−B,1−G,1−R(B,G,Rはそれぞれ青、緑、赤に対応する。以下同じ)はホトダイオード、2−B,2−G,2−Rはカウンタ、3は水平走査回路、4は半導体形成基板、5は受光面、および6−B,6−G,6−Rはパルス発生回路である。なお、この図9において、図1、図2と同一の構成要素には同一の符号を付して示している。
【0014】
動作につき説明する。
まず、半導体形成基板4の受光面5に入射した光は、青色光( 波長400nm 〜475nm)が受光面5の直近の位置に、緑色光( 波長475nm 〜575nm)が受光面5から水平走査回路3の方向に約0.5 μm 入った位置に、また、赤色光(波長575nm 〜680nm)が受光面5から水平走査回路3の方向に約1.0 μm 入った位置にそれぞれ光電変換電荷の極大値を発生する。
【0015】
この事実に基づいて、本実施形態では、図9に示すように、青色光用のホトダイオード1−Bを受光面5の直近の位置に、緑色光用のホトダイオード1−Gを受光面5から約0.5 μm 入った位置に、また、赤色光用のホトダイオード1−Rを受光面5から約1.0 μm 入った位置にそれぞれ配置するようにしている。
【0016】
半導体形成基板4としてのシリコン基板の一端に受光面5を形成するにあたっては、同基板の表面のホトダイオード領域(ホトダイオード1−B,1−G,1−Rが形成される領域)の端面を高精度に研磨して露出させる。この際、シリコン基盤4の表面に形成されるホトダイオード1−B,1−G,1−R、カウンタ2−B,2−G,2−R、水平走査回路3およびパルス発生回路6−B,6−G,6−Rなどの回路部は光を透過しない材料で覆っておくものとする。
形成された受光面5に可視光を入射すると、入射光による光電変換電荷を入射光の波長別に選択することができる。
【0017】
また、ホトダイオード1−B,1−G,1−Rとカウンタ2−B,2−G,2−Rとの間にそれぞれ介挿されたパルス発生回路6−B,6−G,6−Rは、ホトダイオード1−B,1−G,1−Rによってそれぞれ収拾された光電変換電荷の数に相当するパルス状信号を発生するためのものである。なお、図9に示すカウンタ2−B,2−G,2−Rおよび水平走査回路3の動作については、従来技術の項において、図1、図2を参照して説明したので、ここではその説明は省略する。
【0018】
図10は、本発明カラーイメージセンサの第2の実施形態を斜視図にて示している。
本実施形態は、図9に示した第1の実施形態が1次元の(線状の)カラーイメージセンサであったのに対し、第1の実施形態のデバイスを層状に積層し、テレビの撮像デバイスと同様な2次元のカラーイメージセンサを形成したものである。このような構成にすることにより、シリコン基板やガリウム砒素基板などの半導体形成基板4の受光面に光を入射させ、カウンタ2−B,2−G,2−Rからそれぞれ青(B)、緑(G)、赤(R)に色分解した2次元画像情報を取り出すことができる。
なお、本実施形態においては、カラーイメージセンサの各構成要素は、図3に示したものと同じであるので、その説明は省略する。
【0019】
図11(a),(b)は、本発明カラーイメージセンサの第3の実施形態を模式図にて示している。
本実施形態においては、半導体形成基板4としてのシリコン基板が鋸歯状の断面をもつように(図11(a)参照)異方性エッチング等の手段を用いて加工し、その傾斜した表面に、通常のCMOSイメージセンサにおけると同様、光リソグラフィ等の手段を用いてホトダイオード1−B,1−G,1−Rを形成する。図11(b)は、遮光層としても作用するミラー7を一部剥がして、シリコン基板の傾斜面に形成されたホトダイオード1−B,1−G,1−Rを示している。ここで、ミラー7は鋸歯状部分の傾斜面にのみ施されているから、上方から入来する可視光は、図11(a)に示すように、ミラー7によって反射され、鋸歯状部分の垂直な端面(この面にはミラー7はなく、シリコン基板が露出している)に入射して上記ホトダイオード1−B,1−G,1−Rそれぞれの位置に青(B)、緑(G)、赤(R)に対応する光電変換電荷の極大値を呈する。
【0020】
図12(a),(b),(c)は、本発明カラーイメージセンサの第4の実施形態を模式図にて示している。
本実施形態では、2次元のカラーイメージセンサを、上述した第2の実施形態におけるように第1の実施形態で得られたものを積層するのでなく、むしろ、可視光をミラー7を介してホトダイオード1−B,1−G,1−Rに入射させる第3の実施形態に近い方法で実現している。
すなわち、本実施形態のカラーイメージセンサは64画素×64画素(図12(a)のモデルでは、6画素×5画素)を想定し、その1画素分の構造を、上面図および斜視図にて図12(b)および(c)にそれぞれ示している。
なお、本実施形態における画像信号の取り出しは、図12(a)に示すように、X−Yアドレス方式で行うものとする。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、従来方式のカラーイメージセンサにおいて必要であったプリズムや色フィルターが不要なため、レンズの設計が容易になり、 カメラ自体も小型になる。また、入射光は全て無駄なく有効に光電変換され、信号出力として取り出すことができるため、きわめて効率良く入射光を電気信号に変えることができる。
【0022】
また、本発明で使用するシリコン基板など半導体形成基板の光入射部には、従来のカラー固体撮像素子におけるような高濃度不純物拡散層、 シリコン酸化膜、あるいはポリシリコン等は存在せず, 入射光は直接シリコン基板の光電変換部分に達するため、青色光および紫外光の領域まで高い感度をもっていて、従って、本発明カラーイメージセンサは可視光から紫外域まで良好な分光感度特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 特開昭61−152176号公報記載の固体撮像装置の1画素分の構成を示している。
【図2】 図1の構成のものを水平方向に1列に配列し、配列された各画素点におけるデジタル信号出力を、水平走査回路により走査して順次に取り出すようにすることで、1ラインの撮像出力信号が得られることを示している。
【図3】 p型シリコン基板の表面に、深さ方向にp−n−p構造を形成した例とその等価回路を示している。
【図4】 形成されたp層、n層それぞれの場所における分光感度特性を示している。
【図5】 アモルフアスシリコンの深さ方向の構造を示している。
【図6】 図6に示す構造のアモルフアスシリコンにそれぞれ 0.0V,− 1.5V,− 5.0Vの電圧を印加した場合の分光感度特性を示している。
【図7】 図7に示すデータをもとに、青、緑、赤を基準に正規化した分光感度特性を示している。
【図8】 シリコン基板の光入射部に高濃度不純物拡散層、シリコン酸化膜、あるいはポリシリコン等が存在せず、シリコン基板に直接光が入射し、光電変換された場合の分光感度特性を示している。
【図9】 本発明カラーイメージセンサの第1の実施形態を斜視図にて示している。
【図10】 本発明カラーイメージセンサの第2の実施形態を斜視図にて示している。
【図11】 本発明カラーイメージセンサの第3の実施形態を模式図にて示している。
【図12】 本発明カラーイメージセンサの第4の実施形態を模式図にて示している。
【符号の説明】
1,1−B,1−G,1−R ホトダイオード
2,2−B,2−G,2−R カウンタ
3 水平走査回路
4 半導体形成基板
5 受光面
6−B,6−G,6−R パルス発生回路
7 ミラー

Claims (2)

  1. 半導体形成基板の表面に、該半導体形成基板の側面に入射した入射光によって発生した光電変換電荷を収拾するためのホトダイオードが、p−n−p構造を基板表面に対し垂直な方向に形成して配置されるとともに、該配置したホトダイオードの前記側面からの距離に依存して入射光の波長を識別し得るようにしたことを特徴とするカラーイメージセンサ。
  2. 半導体形成基板の側面に入射した入射光によって発生した光電変換電荷を入射光の波長ごとに区分して収拾するために、前記入射光の波長に対応して前記側面からの距離を異ならせ、かつ該距離を異ならせた各々については前記側面に平行に前記半導体形成基板の表面に、p−n−p構造を基板表面に対し垂直な方向に形成して配置した複数のホトダイオードと、
    該複数のホトダイオードによってそれぞれ収拾した光電変換電荷の数に相当するパルス状信号を発生する複数のパルス状信号発生回路と、
    該複数のパルス状信号発生回路の各々に接続され、前記パルス状信号の数をそれぞれ計数する複数のカウンタと、
    該複数のカウンタからのデジタル信号を逐次読み出す水平走査回路と
    を具えてなることを特徴とするカラーイメージセンサ。
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