JP3949062B2 - 面発光型半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光型半導体レーザ素子に関し、特に、多層反射膜を備えた面発光型半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、垂直共振型の面発光型半導体レーザ素子の開発が盛んに行われている。この面発光型半導体レーザ素子は、低しきい値電流、高速応答、2次元アレイ化の容易さおよび低コストなどの優れた特長を有するので、光通信、光記録および光計測などの分野において様々な応用が期待されている。
【0003】
しかしながら、従来の面発光型半導体レーザ素子は、共振器がレーザ光の進行方向に対して同心円状になっているため、偏波面を所定の方向に制御するのは困難であった。このため、偏波面が、発光層の結晶方位に対して<110>または<1−10>に沿った2つの偏波面を不安定にスイッチングするなどの現象が生じる。その結果、従来の面発光型半導体レーザ素子は、偏波面を安定して制御することが困難であるという不都合があった。このように、偏波面を安定して制御するのが困難な面発光型半導体レーザ素子は、偏光ビームスプリッタや偏光子などの光部品と組み合わせることが困難であるという問題点があった。さらに、光通信においても、偏波面のスイッチングは高速変調の妨げになるという問題点があった。
【0004】
そこで、面発光型半導体レーザ素子の偏波面を安定して制御するため、種々の方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1には、半導体基板の面方位が特定方向に傾いた基板(傾斜基板)を用いることによって、面発光型半導体レーザ素子の偏波面を制御する方法が開示されている。この方法では、レーザ光の出射方向に対する発光層の結晶方位の異方性により、特定方向の偏波に対して高い光学利得を与えることによって偏波面を制御している。
【0005】
【特許文献1参照】
特許第3123136号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された方法では、所定の一方の方向の偏波に対する光学利得を高めることができる一方で、他方の方向の偏波に対する光学利得は0にならないため、偏波面制御が不十分になるという問題点があった。また、基板全体の面方位を特定方向に傾斜させるため、同一の基板上に形成される個々の面発光型半導体レーザ素子の偏波面を独立して制御することが困難であるという問題点もあった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、実質的に完全な偏波面制御を行うことが可能な面発光型半導体レーザ素子を提供することである。
【0007】
この発明のもう1つの目的は、上記の面発光型半導体レーザ素子において、同一の基板上に形成される個々の面発光型半導体レーザ素子の偏波面を独立して制御することを可能にすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による面発光型半導体レーザ素子は、第1多層反射膜と、第1多層反射膜上に形成された発光層と、発光層上に形成された第2多層反射膜とを備え、第1多層反射膜および第2多層反射膜の少なくとも一方は、所定の周期でストライプ形状に加工されたストライプ部を含む。なお、本発明におけるストライプ形状は、細長形状を意味する。
【0009】
この一の局面による面発光型半導体レーザ素子では、上記のように、第1多層反射膜および第2多層反射膜の少なくとも一方を、所定の周期でストライプ形状に加工されたストライプ部を含むように構成することによって、ストライプ部に平行な方向の偏波に対する反射率をストライプ部に垂直な方向の偏波に対する反射率よりも大きくすることができる。この場合に、ストライプ部を含む多層反射膜を構成する各材料層の周期と幅との比を調整すれば、ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する各材料層の屈折率差を実質的に0にすることができるので、ストライプ部を含む多層反射膜をストライプ部に平行な方向の偏波に対してのみ反射膜として機能させることができる。これにより、ストライプ部に平行な方向の偏波でのみ発振させることができるので、実質的に完全な偏波面制御を行うことができる。また、この一の局面では、同一の基板上に形成される複数の面発光型半導体レーザ素子のストライプ部の方向を別々に制御すれば、同一の基板上に形成される個々の面発光型半導体レーザ素子の偏波面を独立して制御することができる。
【0010】
上記一の局面による面発光型半導体レーザ素子において、好ましくは、第1多層反射膜および第2多層反射膜のうちのストライプ部を含む少なくとも一方は、第1材料層と第2材料層とを含み、ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率と第2材料層の屈折率とは、実質的に等しい。このように構成すれば、容易に、ストライプ部を含む多層反射膜をストライプ部に平行な方向の偏波に対してのみ高反射率の反射膜として機能させることができる。
【0011】
上記第1材料層と第2材料層とを有する面発光型半導体レーザ素子において、
好ましくは、第1材料層のストライプ部の幅と周期との比をWaとし、第2材料層のストライプ部の幅と周期との比をWbとした場合に、ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率と第2材料層の屈折率とが実質的に等しくなるように、WaとWbとが設定されている。このように構成すれば、容易に、ストライプ部を含む多層反射膜をストライプ部に平行な方向の偏波に対してのみ高反射率の反射膜として機能させることができる。
【0012】
上記の場合、ストライプ部の周期は、発光層の発光波長よりも短いのが好ましい。このように構成すれば、容易に、ストライプ部での回折を防ぎ、ストライプ部を含む多層反射膜をストライプ部に平行な方向の偏波に対してのみ高反射率の反射膜として機能させることができる。
【0013】
なお、上記一の局面による面発光型半導体レーザ素子において、第2多層反射膜のみが、ストライプ部を含むようにしてもよい。この場合、ストライプ部は、第2多層反射膜に、第2多層反射膜の底部に達しない所定の深さで形成されていてもよい。
【0014】
また、上記ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率と第2材料層の屈折率とが実質的に等しくなるように、WaとWbとが設定されている構成において、ストライプ部に平行な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率と第2材料層の屈折率とが異なるように、WaとWbとが設定されているのが好ましい。このように構成すれば、容易に、ストライプ部を含む多層反射膜をストライプ部に平行な方向の偏波に対して反射膜として機能させることができる。
【0015】
また、上記第1材料層と第2材料層とを有する面発光型半導体レーザ素子において、ストライプ部に平行な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率および第2材料層の屈折率は、ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率および第2材料層の屈折率よりも大きくてもよい。
【0016】
上記第1材料層と第2材料層とを有する面発光型半導体レーザ素子において、第1材料層および第2材料層は、互いに異なるAl組成を有するAlxGa1-xAs(0≦x≦1)からなる。このような材料を用いれば、第1材料層のストライプ部の幅と周期との比Waと、第2材料層のストライプ部の幅と周期との比Wbとを制御することにより、容易に、ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する第1材料層の屈折率と第2材料層の屈折率とを実質的に等しくすることができる。この場合、発光層は、AlyGa1-yAs(0≦y≦1)を含んでいてもよい。また、発光層は、AlGaInP層、InGaAs層、GaInNAs層、InGaAsP、および、窒化物系半導体層からなるグループより選択される1つの層を含んでいてもよい。
【0017】
上記第1材料層と第2材料層とを有する面発光型半導体レーザ素子において、好ましくは、第1材料層および第2材料層の屈折率をそれぞれn1およびn2、発光層の発振波長をλとした場合に、第1材料層および第2材料層のそれぞれの厚みt1およびt2は、t1(t2)=λ/4/n1(n2)を満たすように設定されている。このように構成すれば、ストライプ部に平行な方向の偏波に対して高い反射率を有する多層反射膜を得ることができる。
【0018】
上記一の局面による面発光型半導体レーザ素子において、好ましくは、第1多層反射膜、発光層および第2多層反射膜は、n型GaAs(100)基板上に形成されており、ストライプ部は、n型GaAs(100)基板の<011>方向に沿って延びるように形成されている。このように構成すれば、n型GaAs(100)基板の<011>方向に平行な方向の偏波に対してのみ反射膜として機能する多層反射膜を得ることができる。
【0019】
上記一の局面による面発光型半導体レーザ素子において、好ましくは、第1多層反射膜、発光層および第2多層反射膜を含む複数の面発光型半導体レーザ素子が、n型GaAs(100)基板上に形成されており、複数の面発光型半導体レーザ素子のストライプ部は、n型GaAs(100)基板の異なる結晶軸の方向に沿って延びるように形成されている。このように構成すれば、同一のn型GaAs(100)基板上に形成される個々の面発光型半導体レーザ素子の偏波面制御を独立して行うことができる。
【0020】
上記一の局面による面発光型半導体レーザ素子において、ストライプ部は、平面的に見て四角形状の領域に形成されていてもよいし、ストライプ部は、平面的に見て円形状の領域に形成されていてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子を示した断面図である。図2は、図1に示した一実施形態による面発光型半導体レーザ素子を示した平面図である。図3は、図1に示した一実施形態による面発光型半導体レーザ素子のp型多層反射膜のストライプ部を示した拡大断面図である。図4は、図1に示した一実施形態による面発光型半導体レーザ素子のストライプ部分の幅と周期との比率とp型多層反射膜の屈折率との関係を示した特性図である。なお、図面の簡略化のため、p型多層反射膜のストライプ部分については、ストライプ部の一部(2本)のみを示している。
【0023】
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態の面発光型半導体レーザ素子の構造について説明する。本実施形態の面発光型半導体レーザ素子では、図1および図2に示すように、n型(100)GaAs基板1上に、約100nmの厚みを有するn型GaAsバッファ層2が形成されている。このn型GaAsバッファ層2上には、約59nmの厚みを有するn型Al0.12GaAs層と、約70nmの厚みを有するn型Al0.9GaAs層とが交互に32組積層されたn型多層反射膜3が形成されている。なお、n型多層反射膜3は、本発明の「第1多層反射膜」の一例である。n型多層反射膜3の上面には、約30μm四方の大きさの四角柱形状からなる凸部が形成されている。このn型多層反射膜3の凸部上には、約6nmの厚みを有するGaAs層と、約8nmの厚みを有するAl0.3GaAs層とが交互に積層されたMQW発光層4が形成されている。MQW発光層4上の中心付近の約3μm四方の領域には、AlGaAs層からなる低抵抗領域5aが形成されているとともに、その低抵抗領域5aを除く領域には、Al酸化膜からなる高抵抗領域により構成された電流狭窄層5が形成されている。この電流狭窄層5および低抵抗領域5aは、約30nmの厚みを有する。
【0024】
また、電流狭窄層5および低抵抗領域5a上には、約61nmの厚みを有するp型Al0.12GaAs層6aと、約74nmの厚みを有するp型Al0.9GaAs層6bとが交互に20組積層されたp型多層反射膜6が形成されている。なお、p型多層反射膜6の領域6cにおいても、図示しないが、p型Al0.12GaAs層6aとp型Al0.9GaAs層6bとが交互に積層されている。このp型多層反射膜6は、本発明の「第2多層反射膜」の一例である。
【0025】
本実施形態では、p型多層反射膜6に、ストライプ部7が約0.4μmの周期で10本(図示は2本)形成されている。なお、このストライプ部7については、後に詳細に説明する。また、p型多層反射膜6の上面上には、約10nmの厚みを有するp型GaAsコンタクト層8が形成されている。さらに、ストライプ部7の上面を除くp型GaAsコンタクト層8の上面上に、p側オーミック電極9が形成されている。また、n型GaAs(100)基板1の裏面上には、n側オーミック電極10が形成されている。n型多層反射膜3の凸部と、MQW発光層4と、電流狭窄層5および低抵抗領域5aと、p型多層反射膜6と、p型GaAsコンタクト層8とによって、本実施形態の面発光型半導体レーザ素子の四角柱形状のポスト部11が構成されている。
【0026】
ここで、本実施形態のストライプ部7は、図1および図2に示すように、p型多層反射膜6の中心付近の約4μm四方の四角形(正方形)領域に、p型GaAsコンタクト層8の上面から領域6cの上面までの深さを有するとともに、n型GaAs(100)基板1の<011>方向に沿った方向に延びるように形成されている。また、図3に示すように、ストライプ部7は、W1の周期で10本(図示は2本)形成されている。このストライプ部7の周期W1は、光の回折現象などを防止するために、MQW発光層4の発振波長よりも短く形成するのが好ましい。本実施形態では、MQW発光層4の発振波長が850nmであることを考慮して、周期W1を約400nm(約0.4μm)に設定している。
【0027】
また、本実施形態のストライプ部7は、ストライプパターンに平行な電場成分を有する偏波に対しては多層反射膜として機能する一方、ストライプパターンに垂直な電場成分を有する偏波に対しては多層反射膜として機能しないように形成されている。このような機能を有するストライプ部7を得るために、本実施形態では、p型Al0.12GaAs層6aのストライプ幅W2と周期W1との比率Wa(=W2/W1)、および、p型Al0.9GaAs層6bのストライプ幅W3と周期W1との比率Wb(=W3/W1)を以下のように設定する。
【0028】
以下、図3および図4を参照して、比率Waおよび比率Wbの設定方法の原理について説明する。屈折率n1のp型Al0.12GaAs層6aと屈折率n1よりも小さい屈折率n2を有するp型Al0.9GaAs層6bとを積層する場合、p型Al0.12GaAs層6aの屈折率n1およびp型Al0.9GaAs層6bの屈折率n2は、図4に示すように、それぞれ、比率Waおよび比率Wb(Wb>Wa)とともに変化する。この場合、ストライプ部7のストライプパターンが有する異方性のため、ストライプパターンに平行な偏波に対する屈折率がストライプパターンに垂直な偏波に対する屈折率よりも大きくなる。図4において、実線は、ストライプパターンに対して平行な偏波に対するp型多層反射膜6の有効屈折率の変化を示し、破線は、ストライプ方向に対して垂直な偏波に対するp型多層反射膜6の有効屈折率の変化を示している。比率WaおよびWbにおける、ストライプパターンに平行な偏波に対するp型Al0.12GaAs層6aの屈折率はn1a(点A)、ストライプパターンに垂直な偏波に対するp型Al0.12GaAs層6aの屈折率はn1b(点C)、ストライプパターンに平行な偏波に対するp型Al0.9GaAs層6bの屈折率はn2a(点B)、ストライプパターンに垂直な偏波に対するp型Al0.9GaAs層6bの屈折率はn2b(点D)となる。このとき、点Cでの屈折率(n1b)と点Dでの屈折率(n2b)とが同じ値になるように比率WaおよびWbを設定する。
【0029】
このように、比率WaおよびWbを設定すると、図4に示す点Aおよび点Bで決まる屈折率差(n1a−n2a)を有するp型Al0.12GaAs層6aとp型Al0.9GaAs層6bとが積層されていることになるため、p型Al0.12GaAs層6aとp型Al0.9GaAs層6bの厚みを適当な厚みに設定することにより、ストライプ部7のストライプパターンに平行な偏波に対しては反射膜として機能する一方、ストライプパターンに垂直な偏波に対しては反射膜として機能しないようにすることができる。
【0030】
上記の原理にしたがって、本実施形態では、p型Al0.12GaAs層6aの比率Waを0.45にするとともに、p型Al0.9GaAs層6bの比率Wbを0.5にしている。これにより、ストライプ部7のストライプパターンに平行な偏波に対しては、p型Al0.12GaAs層6aの有効屈折率n1aは3.51になるとともに、p型Al0.9GaAs層6bの有効屈折率n2aは2.88になる。この場合、p型Al0.12GaAs層6aとp型Al0.9GaAs層6bとの間に有効な屈折率差が生じるので、p型多層反射膜6は、ストライプ部7のストライプパターンに対して平行な偏波に対して、反射膜として機能する。その一方、ストライプ部7のストライプパターンに垂直な偏波に対しては、p型Al0.12GaAs層6aの有効屈折率n1bは1.7となるとともに、p型Al0.9GaAs層6bの有効屈折率n2bも1.7となる。この場合、p型Al0.12GaAs層6aとp型Al0.9GaAs層6bとの間に屈折率差がないため、p型多層反射膜6は、ストライプ部7のストライプパターンに対して垂直な偏波に対しては、反射膜として機能しない。
【0031】
また、p型Al0.12GaAs層6aの厚みt1およびp型Al0.9GaAs層6bの厚みt2について、次の式(1)を用いることによって、高反射率特性を得ることが可能な膜厚を算出することができる。
【0032】
t1(t2)=λ/4/n ・・・(1)
なお、式(1)中のλは、面発光型半導体レーザ素子の発振波長である。本実施形態の面発光型半導体レーザ素子の発振波長λは、850nmである。また、nは、p型Al0.12GaAs層6aおよびp型Al0.9GaAs層6bの有効屈折率n1a、n1b、n2aおよびn2bである。
【0033】
上記式(1)を用いて計算すると、p型Al0.12GaAs層6aの厚みt1は、約61nmになるとともに、p型Al0.9GaAs層6bの厚みt2は、約74nmになる。これにより、p型多層反射膜6の反射率は98%〜99%になる。
【0034】
本実施形態の面発光型半導体レーザ素子は、上記したように、p型多層反射膜6を、ストライプ形状に加工されたストライプ部7を含むように構成するとともに、p型多層反射膜6を構成するp型Al0.12GaAs層6aとp型Al0.9GaAs層6bとにおける、ストライプ部7の周期W1とストライプ部7の幅との比率WaおよびWbを調節することによって、p型多層反射膜6をストライプパターンに平行な方向の偏波に対してのみ反射膜として機能させることができる。その結果、ストライプ部7のストライプパターンに平行な偏波のみ発振させることができるので、実質的に完全な偏波面制御を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態の面発光型半導体レーザ素子では、同一のn型GaAs(100)基板1上に複数の面発光型半導体レーザ素子を形成する場合に、ストライプ部7のストライプパターンの延びる方向を別々の方向に形成することによって、同一のn型GaAs(100)基板1上に形成される個々の面発光型半導体レーザ素子の偏波面制御を独立して行うことができるという利点もある。
【0036】
図5〜図8、図10および図11は、図1に示した本発明の一実施形態による、面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。図9は、図8に示した製造プロセスにおける平面図である。次に、図1および図5〜図10を参照して、本実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
【0037】
まず、図5に示すように、n型GaAs(100)基板1上に、約100nmの厚みを有するn型GaAsバッファ層2を形成する。そして、n型GaAsバッファ層2上に、約59nmの厚みを有するn型Al0.12GaAs層と約70nmの厚みを有するn型Al0.9GaAs層とを32組積層することによって、n型多層反射膜3を形成する。その後、n型多層反射膜3上に、約6nmの厚みを有するGaAs層と約8nmの厚みを有するAl0.3GaAs層とを積層することによってMQW発光層4を形成する。そして、MQW発光層4上に、約30nmの厚みを有するp型AlGaAs層5bを形成する。その後、p型AlGaAs層5b上に、約61nmの厚みを有するp型Al0.12GaAs層6aと約74nmの厚みを有するp型Al0.9GaAs層6bとを20組積層することによってp型多層反射膜6を形成する。さらに、p型多層反射膜6上に、約10nmの厚みを有するp型GaAsコンタクト層8を形成する。
【0038】
次に、図6に示すように、フォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを用いて、p型GaAsコンタクト層8からn型多層反射膜3までの領域の一部を除去することによって、四角柱形状を有するポスト部11を形成する。そして、約450℃の水蒸気雰囲気下で数分間の熱処理を行うことによって、AlGaAs層5bの周辺部のみを酸化する。これにより、AlGaAs層5bの周辺部にのみ、図7に示すような高抵抗化された電流狭窄層5が形成される。そして、AlGaAs層5bの中心部付近の約3μm四方の領域には、電流通路を構成する低抵抗領域5aが形成される。
【0039】
次に、図8に示すように、ポスト部11のp型GaAsコンタクト層8の上面上およびn型多層反射膜3の露出された上面上に、Niからなる微細加工用のマスク層12を形成する。このマスク層12には、図8および図9に示すように、ポスト部11の上面の中心付近の4μm四方の領域に、約0.4μm周期のストライプ形状と、約0.2μmの幅とを有する溝部12aが、n型GaAs(100)基板1の<011>方向に沿って形成されている。
【0040】
そして、図10に示すように、マスク層12をマスクとして、RIBE法を用いてエッチングを行う。これにより、電流狭窄層5にまでは達しない深さを有する微細格子からなるストライプ部7を形成する。
【0041】
この後、アンモニア系または酒石酸などのエッチャントにより、ストライプ部7を構成するAl0.12GaAs層6aのみを所定量だけ選択的にエッチングする。これにより、図11に示すように、p型Al0.12GaAs層6aの幅W2(図3参照)が約0.18μmになるように形成する。この場合、p型Al0.9GaAs層6bの幅W3(図3参照)は、約0.2μmになるように形成される。
【0042】
最後に、図1に示したように、p型GaAsコンタクト層8上のストライプ部7を除く領域に、p側オーミック電極9を形成するとともに、n型GaAs(100)基板1の裏面上に、n側オーミック電極10を形成する。このようにして、本実施形態の面発光型半導体レーザ素子が形成される。
【0043】
なお、今回開示された本実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した本実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0044】
たとえば、上記実施形態では、発光層の発振波長が850nmの場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の発振波長を有する発光層であってもよい。たとえば、750nm〜870nmの範囲の発振波長を有する発光層であっても同様の効果が得られる。この場合、上記した原理にしたがって各多層反射膜の厚みとポスト部に形成するストライプ部の微細格子の周期と幅とを調整する必要がある。
【0045】
また、上記実施形態では、GaAs基板上に、GaAs/AlGaAsからなる発光層を形成したが、本発明はこれに限らず、GaAs基板上に、AlGaInPからなる発光層を形成してもよい。これにより、600nm〜700nmの範囲の波長を有する赤色領域の発振波長を実現することができる。この場合、たとえば、発振波長650nmに対して、約49nmの厚みを有するAl0.5GaAs層と約54nmの厚みを有するAl0.95GaAs層とを交互に30組程度積層することにより、多層反射膜を形成すればよい。
【0046】
また、GaAs基板上に、InGaAsからなる発光層を形成してもよい。これにより、850nm〜1500nmの範囲の波長を有する発振波長を実現することができる。この場合、たとえば、発振波長980nmに対して、約69nmの厚みを有するAl0.12GaAs層と約80nmの厚みを有するAl0.9GaAs層とを交互に30組程度積層することにより、多層反射膜を形成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、GaAs基板上に、GaAs/AlGaAsからなる発光層を形成したが、本発明はこれに限らず、GaInNAsからなる発光層を形成してもよい。これにより、850nm〜1500nmの範囲の波長を有する発振波長を得ることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、GaAs基板を用いたが、本発明はこれに限らず、他の基板であってもよい。たとえば、InP基板を用いてもよい。この場合、InGaAsPからなる発光層を用いることにより、1.2μm〜1.6μmの範囲の波長を有する発振波長を実現することができる。なお、発光層として、AlGaN、InGaN、BInAlGaNなどからなる窒化物系半導体層やウルツ鉱構造のZnO層を用いてもよい。また、このウルツ鉱構造のZnOに、Be、Mg、Cd、Hg、Te、SまたはSeを含む混晶半導体を用いた場合であってもよい。さらに、発光層材料として、ウルツ鉱構造や閃亜鉛鉱構造の2−6族半導体であるZnSSeまたはCdSSeを用いてもよい。また、これらの2−6族半導体に、Be、Mg、Zn、Cd、Hg、S、SeまたはTeを含む混晶半導体を用いた場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、MQW発光層4の上に位置するp型多層反射膜6にストライプ部7を形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、MQW発光層4の下に位置するn型多層反射膜3にストライプ部を形成するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、四角形状の発光部を有する面発光型半導体レーザ素子を形成したが、本発明はこれに限らず、発光部の形状は他の形状であってもよい。たとえば、図12に示す平面図のように、円形状の発光部を有する面発光型半導体レーザ素子を形成してもよい。この場合、n型多層反射膜13の上方に、p型コンタクト層18が形成されており、p型コンタクト層18の内部には、所定の周期と幅でストライプ状に加工されたストライプ部17が形成されている。ストライプ部17の上面を除くp型コンタクト層18上には、p側オーミック電極19が形成されている。なお、図12に示した面発光型半導体レーザ素子のその他の構成は、上記した実施形態と同様である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、実質的に完全な偏波面制御を行うことが可能な面発光型半導体レーザ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図2】図1に示した一実施形態による面発光型半導体レーザ素子を示した平面図である。
【図3】図1に示した一実施形態による面発光型半導体レーザ素子のp型多層反射膜のストライプ部を示した拡大断面図である。
【図4】図1に示した一実施形態による面発光型半導体レーザ素子のストライプ部分の幅と周期との比率とp型多層反射膜の屈折率との関係を示した特性図である。
【図5】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図9】図8に示した製造プロセスにおける平面図である。
【図10】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図11】本発明の一実施形態による面発光型半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図12】図1および図2に示した一実施形態の変形例による同心円状のレーザ光出射形状を有する面発光型半導体レーザ素子の構造を説明するための平面図である。
【符号の説明】
3、13 n型多層反射膜(第1多層反射膜)
4 MQW発光層(発光層)
6 p型多層反射膜(第2多層反射膜)
7、17 ストライプ部

Claims (3)

  1. 第1多層反射膜と、
    前記第1多層反射膜上に形成された発光層と、
    前記発光層上に形成された第2多層反射膜とを備え、
    前記第1多層反射膜および前記第2多層反射膜の少なくとも一方は、所定の周期でストライプ形状に加工されたストライプ部を含むとともに、
    前記第1多層反射膜および前記第2多層反射膜のうちの前記ストライプ部を含む少なくとも一方は、第1材料層と第2材料層とを含み、
    前記ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する前記第1材料層の屈折率と前記第2材料層の屈折率とは、実質的に等しい、面発光型半導体レーザ素子。
  2. 前記第1材料層のストライプ部の幅と周期との比をWaとし、前記第2材料層のストライプ部の幅と周期との比をWbとした場合に、前記ストライプ部に垂直な方向の偏波に対する前記第1材料層の屈折率と前記第2材料層の屈折率とが実質的に等しくなるように、前記Waと前記Wbとが設定されている、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ素子。
  3. 前記ストライプ部の周期は、前記発光層の発光波長よりも短い、請求項2に記載の面発光型半導体レーザ素子。
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