JP3948778B2 - 保安タグ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、物品を許可なく持ち出すのを探知する電子保安装置に使用する保安タグ(セキュリティ・タグ)とその製造に関し、特により能率的に製造される共振タグに関する。
【0002】
【従来の技術】
小売店、図書館その他の施設で物品や商品を許可なく持ち出すのを探知して、これを防止する電子式物品監視(EAS)保安装置はよく知られており、広く使用されている。一般には、EAS保安装置は、保護される物品や品目又はその包装に取付け、系合しあるいは固定したラベル又は保安タグを使用している。保安タグは、使用している保安装置の個々のタイプ、物品のタイプ、サイズに応じて、種々のサイズ、形状やタイプを取りうる。一般にはEAS装置は、(保護される物品に取り付けた)保安タグが保安又は監視ゾーンを通過するか、保安チェックポイント又は監視ステーションの近くを通る時、保安タグの有無を探知する。
【0003】
先行技術の保安タグは、主として無線周波数(RF)の電磁場の撹乱を感知する電子保安装置で作動する。このような電子保安装置は、一般に、管理構内から物品を持ち出すとき、通過しなければならない管理エリア内に電磁場を生じる。各物品には共振回路を有した保安タグが取り付けられているので、管理エリア内に共振回路があれば、これが装置の受信部分で感知され、アラームを作動させ、人が物品を許可なく持ち出そうとしていることがわかる。共振回路は、許可を得た係員が不活性化したり、同調を外したり、シールドしたり、構内から持ち出すのを許可された(つまり、購入又はチェック・アウトした)物品から取り外りたりでき、それにより、こうした物品は、アラームを作動せずに、管理エリアを通過できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
製造プロセス中、RF保安タグ共振回路は一般にウェブ形状に加工され、その後、ウェブからダイカットされて、端部同志が結合された、個別保安タグの複数のストリップが形成される。図6に、個別保安タグ生産中の複数の保安タグ102 を有する典型的なウェブ100 の一部を示す。ウェブ100 の図示部分には、4行の保安タグと4列の保安タグがある。しかし、実際の生産ウェブ100 では、5列あるいはもっと多くの保安タグがある。ウェブ100 の幅がおよそ20センチメートル(8インチ)であれば、仕上げた保安タグ102 はおよそ38.1ミリメートル×38.1ミリメートル(1.5 インチ×1.5 インチ)になる。ウェブ形状では、個別保安タグ102 の共振回路は互に電気接続されている、それ故製造プロセスのこの時点では探知周波数に共振しない。このため、製造プロセスの相当後で、保安タグ共振回路がウェブ100 から実際にダイカットされ、ウェブ100 の他の保安タグ共振回路から分離される後までは、個別保安タグ102の共振周波数のテストができない。
【0005】
製造プロセスの早い段階で、できるなら保安タ 102 ウェブ100 からダイカットする時点の前に各保安タグ102 の共振周波数を試験できることは有利である。プロセスのこのように早い段階で個別保安タグ102 の共振周波数が測定できれば、製造プロセスの以後の各段階での効率の向上のために直ぐフィードバックできる。例えば、プロセスの1つのステップは、保安タグ102 の誘電体基板各側に複数の導電路(導電トレース)をともに溶接するかまたは接続することである。このステップを適切に実施すれば、この共振回路は固有な共振周波数で、できるなら保安タグを使用する装置の探知周波数又はその近くの周波数で、共振が生ずる。溶接実施後、もし共振回路が共振しないならば、不良な溶接で多数の保安タグを不良品にする前にその情報を利用して溶接プロセスを調整できる。さらに、追加の時間と材料を費やす前に、製造プロセスの終了時ではなく製造プロセスの早い時点で、所望周波数範囲外で共振する共振回路は不良品とされるか、より容易には修正することができる。
【0006】
現在の保安タグ製造プロセスにおいて、共振回路の最終的周波数に影響を与える幾つかの要因がある。これらの要因の中には、保安タグのインダクターコイルのサイズを部分的に決める、ウェブ100 から保安タグ102 をダイカットする精度が挙げられる。探知装置のアンテナが、動作環境で生じるおそれがある望ましくないノイズからRF共振回路を判別できるよう、この共振回路の所定の探知周波数(例えば、8.2 MHz )にできるだけ近い周波数でRF共振回路が共振するのが望ましい。このように、製造プロセスの早い時点でできるなら、保安タグ共振回路がなおウェブ形状である間に各保安タグ共振回路の共振周波数を測定できるなら、直ぐにこの情報をフィードバックでき、オンラインプロセス調整で所定の範囲外で共振する共振回路の共振周波数を訂正でき、このような早い時点でオンライン調整を実施しないときよりもはるかに共振周波数に近い周波数で、共振回路が共振するように公差を厳密にできる。従って、共振回路がなおウェブ形状である間に共振周波数を試験できれば有利であろう。
【0007】
この発明は、各保安タグの誘電体基板周囲外縁の一部、できるならその全てに伸びて、共振回路を囲む非導電部材か、不連続導電部材であるガード部材を提供している。この方法では、保安タグがウェブ形状にあるときに、各保安タグが相互に電気的に分離又は絶縁されるので、製造プロセスの早い時点でできるならプロセス全体で、各保安タグの周波数とその他の特性を試験し、保安タグを調整しうる。この保安タグをウェブからダイカットするとき、先行技術の場合のようにインダクターコイルの一部ではなく、ガード部材の一部をダイカットしてもよい。これによって、ダイカットする保安タグの位置に関する公差を大きくしうるので、インダクターコイルのサイズの均一性が高くなり、共振周波数の安定性が向上する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
簡単に言えば、この発明は、所定の探知周波数範囲内にある周波数の電磁エネルギーを利用して監視エリア内で保安タグの有無を探知する手段、を有する電子保安装置用の保安タグを具備する。この保安タグは、第1基板の主面、反対側の第2基板の主面、および周囲外縁がある誘電体基板を具えている。第1導電パターンを有する少なくとも1個の共振回路は誘電体基板の第1面に配置され、且つ第2導電パターンは誘電体基板の第2面に配置されている。共振回路は、所定の探知周波数範囲内の周波数で共振できる。好適な実施例では不連続導電部材であるところのガード部材が誘電体基板周囲外縁の少なくとも一部に伸び、共振回路の少なくとも一部を囲んでいる。この導電部材は共振回路から有効に電気絶縁され、共振回路を電気絶縁しているので、共振回路がウェブ形状にあるとき保安タグ製造中は共振回路を容易に試験できる。
【0009】
より詳細に述べれば、この発明の保安タグは、
所定の探知周波数範囲内の周波数の電磁エネルギーを利用して監視エリア内の全保安タグの有無を探知する手段を含む電子保安装置で使用するためのものであって、
第1基板の主面、反対側の第2基板の主面、また周囲外縁を有する誘導体;
前記誘電体基板の第1面に配置された第1導電パターンと前記誘電体基板の第2面に配置された第2導電パターンを具備する少なくとも1個の共振回路であって所定の探知周波数範囲内の周波数で共振しうるもの;
前記誘電体基板の周囲外縁の少なくとも1部に伸び、共振回路の少なくとも1部を囲む、電気的に不連続な導電部材で、その共振回路がウェブ形状であるとき、保安タグの製造中共振回路を容易に試験しうるよう、共振回路から有効に電気的に絶縁されたもの、
を具備している。
【0010】
この発明の保安タグはまた、
所定の探知周波数範囲内の周波数の電磁エネルギーを利用して監視エリア内の保安タグの有無を探知する手段を含む電子保安装置で使用するためのもので、
第1の側、反対の第2の側および周囲外縁を有する誘導体;
前記誘電体基板の第1の側に配置された第1導電パターンと誘電体基板の第2の側に配置された第2導電パターンを具備する少なくとも1個の共振回路で所定の探知周波数範囲内の周波数で共振しうるもの;
前記共振回路を電気的に絶縁し前記共振回路がウェブ形状であるときに保安タグの製造中前記共振回路を容易に試験しうるよう、前記誘電体基板の周囲外縁の少なくとも1部に配置され前記共振回路の少なくとも1部を囲むガード部材;
を具備する。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の前述の概要、また以下の好適な実施例の詳細な説明は、添付された図面と関連付けて読むとき、一層よく理解できる。この発明を図示するため、この明細書で好適な実施例を図面に示している。しかし、この発明は開示された厳密な構成と手段に限定されないことは了解されるべきである。
ある術語は以下で説明に便利なように使用しており、説明を制限するものではない。「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」の用語は、参照する図面での方向を示す。この術語には、上記の用語、その派生語、同様な意味の用語を包含する。
【0012】
図面では、参照数字が複数の図全体で対応する要素を表す。図1、図3及び図4には、この発明で好適な実施例の保安タグ10を示す。後述する特定の例外を除いて、保安タグ10は一般に、電子製品保安装置に関する先行技術でよく知られているタイプである。また先行技術でよく知られているように、保安タグ10は、保安や監視が必要な物品目又はこのような物品の包装に固定され又はその他の方法で支持されるようにされている。保安タグ10は、小売店その他施設で物品やその包装に固定したり、ここで好適なように、物品の製造業者や卸売業者が、物品やその包装に固定するか、合体してもよい。
【0013】
保安タグ10は、電子物品保安装置(図示されていない)、特に無線周波数、つまり、RFタイプの電子物品保安装置に関連して使われる。このような電子物品保安装置は先行技術でよく知られているので、この発明を理解するため、電子物品保安装置の構造と動作を完全に説明することは不要で、このような電子物品保安装置が、一般に小売店のような施設の入口や出口に近接している監視エリアか、ゾーンを形成すると言うだけで十分であろう。保安装置の機能は、活性保安タグを固定してあるか、対応する包装に固定してある物品かどうかを監視ゾーン内で探知することである。
【0014】
図4に、保安タグ10の配線図を示す。この実施例の場合では、保安タグ10には、後で詳細に説明するコンポーネントがある。これらコンポーネントは、所定の探知共振周波数又はその近くの周波数の電磁エネルギーにさらされるとき共振する共振回路12を形成する。保安タグ10を使用する典型的な電子物品保安装置は、監視ゾーンに、又は監視ゾーンを貫通して、保安タグ10の共振周波数又はその近くの周波数の電磁エネルギーを送る手段、及び監視ゾーン内に活性保安タグ共振回路があれば起こる電磁場の撹乱を探知して、保安タグ10があること、従って保護される物品があること、を確認する手段を有する。共振回路12には、1個以上の容量エレメントと電気的に接続した1個以上の誘導エレメントがあってもよい。好適な実施例では、共振回路12は、単一容量エレメントや、容量Cと電気的に接続された単一誘導エレメントであるインダクターや、コイルLをシリーズループとして組み合わせて形成されている。このような共振回路は、参照によってこの明細書に組入れる米国特許第5,276,431 に詳細に示され、説明されている。
【0015】
インダクターLのサイズとコンデンサーCの値は、共振回路12の所望の共振周波数とコンデンサープレートで低い誘導電圧を維持する必要とに基づいて決定される。この好適な実施例では、保安タグ10は8.2 MHz 又はその近くの周波数で共振するのが望ましいとされている。この8.2 MHz は多数の製造業者の電子保安装置で通常使用されている周波数の一つであり、EAS装置の周波数を現地の条件と規則に従って変更できることは、当該技術に熟達する者には明らかである。このように、この特定な周波数がこの発明を限定するものと考えるべきではない。
【0016】
保安タグ10は単一誘導エレメントLと単一コンデンサーエレメントCを有するが、その代わりに、複数インダクターとコンデンサーエレメントも使用できる。例えば、複数エレメント共振回路は、参照によってこの明細書に合体される、「電子保安装置に使用する活性化可能/ 不活性可能な保安タグ」と言う表題の米国特許第5,103,210 で説明されている電子保安方法や監視方法ではよく知られている。このような共振回路の構造は、リモート電子デバイスを使用して変更できる。例えば、このような共振回路は、製造施設において変更してもよいし、保安タグ10の用途に応じて、保安タグ10を取り付けたり、埋め込んだ物品を人が購入したとき、チェックアウトカウンターで変更できる。典型的な方法としては、物品が電子保安装置の監視ゾーンを通るとき電子保安装置が保安タグを探知しなくなるよう、販売点で保安タグを不活性化し、共振回路が探知周波数範囲内で共振しないようにする。
【0017】
図1と図3は、図4に配線を示す保安タグ10の好適な実施例の相対する両側つまり両基板の主面を示す。その好適な実施例では、保安タグ10は、望ましくはフレキシブルで、一般に四角で、平坦な絶縁体、つまり誘電体基 14 有している。この誘電体基板14は、絶縁性があり、誘電体として使用できる限り、中実材料か、複合材料のどちらででも構成しうる。できるなら、誘電体基板14は、絶縁された誘電材、例えば、ポリエチレンのようなポリマー材料から形成する方がよい。しかし、代わりに誘電体基板14を形成するのに他の誘電材を使用しうることは、当該技術に熟達した者には了解される。
【0018】
誘電体基板14には、第1の側又は基板の主面16(図1)、第2の側又は基板の主面18(図3)、また周囲外縁20がある。図4に示す共振回路12の共振回路エレメントとコンポーネントは、導電材料をパターン化して、誘電体基板14の両基板の主面に形成される。第1導電パターン22は誘電体基板14の第1の側又は面16に組付けられている(図1)。この面は保安タグ10の頂部面として任意に選んだものである。また第2導電パターン24は、ときに背面又は底面と呼ばれる誘電体基板14の反対側、つまり第2の側又は面18に組付けられている(図3)。周知のタイプの導電材料を使用して、また先行技術の電子監視方法でよく知られている方法で、第1第2の導電パターン22, 24をそれぞれ、誘電体基板面16, 18に形成しうる。導電材料は減法プロセス(つまり、エッチング)によってパターン化するのが望ましい。これによって、望ましい材料を保護した後、典型的にはプリント・オン・エッチ抵抗インクを使用して保護した後、不要の材料が除去される。好適な実施例では、導電材料はアルミニウムである。しかし、共振回路やその動作の性質を変えずに、アルミニウムの代わりに他の導電材料(例えば、金、ニッケル、銅、りん青銅、ハンダ、高密度黒鉛又は銀充填導電エポキシ)が使用できる。保安タグ10は、この明細書に参照によって合体される「平面共振回路製作プロセス」と言う表題の米国特許第3,913,219 に説明されたプロセスで製造してもよい。しかし、保安タグ10を製造するのに他の製造プロセスを使用できるし、また共振回路板を製造する殆どいかなる方法やプロセスも使用できるだろう。
【0019】
第1及び第2の導電パターン22, 24は、少なくとも1個の共振回路を形成する。例えば、これらパターンは、共振周波数が保安タグ10とともに使用する電子物品監視装置の所定の探知周波数範囲内にある、共振回路12を形成する。図4に関して前述したように、共振回路12は、単一容量エレメントや容量Cと電気的に接続された単一誘導エレメント、つまりインダクターやコイルLを、シリーズループとして組み合わせて形成される。誘導エレメントLは、第1導電パターン22のコイル部 26 よって形成される。コイル部分26は、誘電体基板14の第1基板の主面16に導電材料のラセンコイルとして形成されている。容量エレメントCは、第1導電パターン22の全体的に四角形の導電ランド部28によって形成される第1プレートと、対応し並置された全体的に四角形の第2導電パターン24の導電ランド部30によって形成される第2プレートとから成る。
【0020】
当該技術に熟達する者に分かるように、第1プレートと第2プレートは一般に重ね合わてあり、誘電体基板14によって分けられている。コンデンサーエレメントCの第1プレートであるところの導電ランド部28は、インダクターコイル26の一方の端に電気的に接続されている。同様に、コンデンサーエレメントCの第2のプレートである導電ランド部30は、第2の側18にあるところの、ランド延長部32に近接した誘電体基板14の位置に伸びた溶接接続部(図示していない)によって、インダクターコイル26の他の端に電気的に接続されている。これによって、周知の方法で誘導エレメントLがコンデンサーエレメントCに直列接続される。
【0021】
簡単に上述したように、保安タグが所定の探知周波数外で共振するように保安タグ10の共振周波数を変更するか、又は共振回路12が全く共振しないように共振回路12を変化して、保安タグ10を不活性化しうる。方法によっては、保護される物品内の保安タグの位置を確定し、物理的介入例えば保安タグを取り外すか、金属被覆ステッカーのようなシールド又は離調デバイスでタグをカバーしたりする必要がある。他の方法では、保安タグを高エネルギーレベルにさらして、保安タグ内で短絡を起こして、その共振特性を変化している。十分なエネルギーにさらしたとき予測しうる状態に確実に変化するようにした弱領域を利用しても、短絡は生じうる。
【0022】
また、この好適な実施例では、保安タグ10は保安タグ10を不活性化する手段、例えば、コンデンサーCのプレートを短絡する手段を使用している。電磁エネルギーを加えてコンデンサーCを容易に短絡しうるよう、四角形導電範囲28、30の一方か、両方に1個以上のくぼみ又は「ディンプル」34が設けられる。
これまで説明した保安タグ10とその他の実施例は、先行技術の電子保安・監視装置で周知な保安タグの典型例で一般に使用されている。このような保安タグを形成するとき、保安タグを使用するように設計した電子物品保安装置に使用する探知周波数と一般に同一かこれに近い所定の共振周波数を形成される共振回路21が持つよう、コイル26の範囲およびコンデンサープレート28, 30の範囲と重複部が注意深く選ばれている。
【0023】
図2には、先行技術の保安タグ50の一方の側を示す。保安タグ10と同様に保安タグ50にも共振回路がある。この共振回路には、コイル52の形のインダクターとコンデンサーが誘電体基板の相対する両側に位置している。先行技術では、インダクターコイル52は、典型的な方法として、誘電体基板の周囲外縁に伸びている。しかし容易に理解されるように、インダクターコイル52が保安タグ50の周囲外縁に伸びているので、保安タグ50をウェブ100 からダイカットするとき正確なサイズのコイル52を有する保安タ 50 得られるよう、保安タ 50 位置を非常に注意深く管理しなければならない。ダイカットステップで保安タ 50 調心が狂えば、保安タ 50 設計共振周波数から外れることもありうる。
【0024】
この発明は、誘電体基板14の周囲外縁20の少なくとも1部に伸び、共振回路12の少なくとも1部を囲んでいる電気的に不連続な導電部材つまりガードレール36を提供する。ガードレール36は、同一の方法で、つまり、エッチングによって、またインダクターLと同一の材料で製造しうる。ガードレール36を導電材料で製造するのがここでは好適な方法であるが、誘電体基板14の外縁20と共振回路12間に非導電バーリヤを形成して、ウェブ形状のとき共振回路12を他の複数の共振回路から絶縁するガートレール36を非導電材料(図5参照)で製造できることは、当該技術に熟達する者に理解しうる。
【0025】
米国ニュージャージー、ソロフェアーのチェックポイント システムズ、 インコーポレーテッドに与えられた米国特許第5,182,544 は、静電気放電(ESD)保護装置を装備した特殊タイプの保安タグを示している。この保安タグの両側には、もろい接続手段で共振回路に電気的に接続されている全体として連続した(つまり、保安タグ全体を囲んでいる)導電フレーム部材がある。このフレーム部材は保安タグ共振回路のコンデンサー各々の相対する両方のプレートをともに一時的に接続しているので、全てのコンデンサープレートを同一の電位に維持し、保安タグの製造、出荷及び貯蔵中静電荷がコンデンサーにより放電しないようにしている。保安タグを使用するとき、コンデンサープレート間の接続が破壊される。もろい接続部が破壊された後でも、このフレーム部材は、保安タグのインダクター側に位置したコンデンサープレートと電気的な接触状態を継続している。
【0026】
上記の米国特許第5,182,544 はコンデンサーCのプレートをともに接続する、連続導電部材を保安タグ周囲縁に取り付ける方法を教示する。この発明の保安タグ10の導電部材36は上記米国特許と異なり、共振回路12に電気的に接続されず、コンデンサーCのプレートをともに電気的に接続すると言うことをしていない。それとは異なり、導電部材36は、共振回路12を囲んでいるガードレールとして作用する。従って、保安タグ10を使う前に、ビームや共振回路への接続部を破壊する必要がない。
【0027】
誘電体基板の第1の側16にあるインダクターコイル26は、誘電体基板の第2の側18にあるコンデンサープレート30よりも保安タグ10の縁20に近い。したがってこの好適な実施例では、導電部材36が主に、インダクター側、つまり、誘電体基板14の第1の側16に配置されている。しかし、導電部材36a (図3参照)を誘電体基板14の反対側18又は誘電体基板14の両側に配置しうることは、当該技術に熟達した者には明らかである。導電部材36が誘電体基板14の周囲縁20の一部だけに位置するように、1個以上のギャップか、不連続部38(又は38a)が導電部材36(又は36a)内に設けてある。不連続部38のサイズは違ってもよいが、エッチングプロセス後に導電部材36(又は36a)内に明確な不連続部を生じるよう、不連続部は大きくなければならない。
【0028】
この好適な実施例では、導電部材に幅が約0.508ミリメートル(0.02インチ)の1個の不連続部38があるが、用途によってはこれより大きくしたり、小さくしうる。また、導電部材36がインダクターコイル26から離れているので、導電部材36は共振回路12から電気絶縁されている。この実施例では、少なくとも約0.508ミリメートル(0.02インチ)離すのが望ましいとされている。しかし、導電部材36がインダクターコイル26から離れているとしても、導電部材36とコイル26間に誘導結合が生じうることは、当該技術に熟達した者にはわかるであろう。
【0029】
図5は、配線図図4で示した保安タグ60の、別の実施例を図5に示す。保安タグ10と同様、保安タグ60は、好ましくはフレキシブルで、誘電体基板14と同一の材料である一般に四角形の、平坦な絶縁体つまり誘電体基板62を有する。誘電体基板62には、第1の側つまり基板の主面64、第2の側つまり基板の主面(図示していない)、および周囲外縁20がある。保安タグ60の共振回路エレメントとコンポーネントは、保安タグ10についてのものと同一であり、導電材料がパターン化され、誘電体基板62の両基板の主面に形成される。
【0030】
第1導電パターン22は、誘電体基板62の第1の側つまり面64に組付けられる。この面は保安タグ60の頂部面として任意に選んだものである。また、図3に示す導電パターン24と同一であるのが望ましい第2導電パターン(図示していない)は、誘電体基板62の反対側、つまり第2の側又は面に組付けられる。保安タグ60は、全ての点で上記の保安タグ10と同一であるが、ただ周囲外縁20を囲む導電部材38がない。その代わりに、保安タグ60には、好ましくは誘電体基板62と同一の材料の非導電ガード部材38b がある。このように、保安タグ60の誘電体基板62には、誘電体基板62の外縁20と共振回路12間に非導電バーリヤがある。
【0031】
前述の通り、この発明の保安タグ10はウェブ形状に加工してある。図7に、複数の保安タグ106 があるウェブ104 を示す。一般には、ウェブ104 には、4行の保安タグと多数列の保安タグ(この図では4列である)がある。保安タグ106 を相互にダイカットするか、他の方法で物理的に分離する前に、ウェブ104 の個々の共振回路を試験できるように、この発明では各保安タグ106 を相互に電気絶縁してある。つまり、個々の共振回路の導電路(図のハッチングした部分に導電性がある)はウェブ104 内の他の複数の共振回路から電気絶縁してある。この発明では、個々の共振回路の外部トレース108 を囲む導電材料はエッチングして除去されている。個々の絶縁共振回路を囲む導電材料110 のその他の部分は、ウェブ104 の各共振回路で導電材料110 をエッチングするか不連続部112 を形成するかにより不連続にされる。
【0032】
さらに、誘電体基板14の第1の側にある導電路22は、誘電体基板14の反対側にある導電路24に電気的に接続されている。共振回路がなおウェブ形状にしておいて、共振回路を電気的に絶縁すれば、保安タグをダイカットする前に、個々の共振回路を試験でき、先行技術の製造方法に比べて大きい利点が得られる。つまり、共振回路形成プロセスの終了のときに、ダイカットするサイズを前提として、不連続導電部材のガードレール36(図1参照)がある保安タグ10を形成しうる。この発明によって製造した保安タグ10は、延長ストリップの端を相互に接続して形成するのが望ましい。第1の側16は、典型的には、物品又は包装に保安タグ10を取り付けるのに使用する接着剤で被覆され、保護剥離シート(図示していない)を接着剤で取り付けてある。(物品に取り付る直前に保安タグ10は剥離シートから剥離される。) 裏紙( 図示していない) は保安タグ10の第2の側18に接着剤で取り付けてある。
以上の説明から、実施例が電子保安装置に使用する保安タグを包含することがわかるであろう。またこの技術分野に熟達した者は、発明思想から逸脱することなく、この発明の上記の実施例に対する変更ができることが理解されるであろう。従って、この発明は、開示された個々の実施例に限定されるものでなく、特許請求範囲の各項によって定義されるこの発明の精神と範囲内での変更をも含むことを意図していることが理解されるべきである。
【0033】
【発明の効果】
この発明によると、製造プロセスの早い段階でできるなら保安タグをウェブ100 からダイカットする時点の前、各保安タグ102 の共振周波数を試験できるので有利である。プロセスのこのように早い段階で個別保安タグ100 の共振周波数を測定できるので、製造プロセスの以後の各段階で能率向上として直ぐフィードバックできる。例えば、プロセスの1つのステップで、保安タグ102 の誘電体基板各側に複数の導電路をともに溶接するかまたは接続する。このステップを適切に実施すれば、この共振回路は固有な共振周波数で、できるなら保安タグを使用する装置の探知周波数又はその近くの周波数で共振する。溶接実施後、共振回路が共振しないならば、その情報を利用して、不良な溶接で多数の保安タグを作ってしまう前に溶接プロセスを調整できる。さらに、追加の時間と材料を費やす前に、製造プロセスの終了時ではなく製造プロセスの早い時点で、所望周波数範囲外で共振する共振回路を不良品とするか、あるいはもっと容易には修正により対処できる。
【0034】
このように、製造プロセスの早い時点で保安タグ共振回路がなおウェブ形状である間に各保安タグ共振回路の共振周波数を測定し、直ぐにこの情報をフィードバックでき、オンラインプロセス調整で所定の範囲外で共振する共振回路の共振周波数を訂正する。このようにしてこのように早い時点でオンライン調整を実施しないときにくらべ、はるかに共振周波数に近い周波数で共振回路が共振するように公差を厳密にできる。従って、共振回路がなおウェブ形状である間に共振周波数を試験できれば、有利である。
【0035】
この発明は、各保安タグ誘電体基板周囲外縁の一部、できるならその全てに伸びて、共振回路を囲む非導電部材か、不連続導電部材であるガード部材を提供する。したがって保安タグがウェブ形状にあるときに、各保安タグが相互に電気的に分離又は絶縁される。それにより、製造プロセスの早い時点でできるならプロセス全体で、各保安タグの周波数とその他の特性を試験し、保安タグを調整しうる。この保安タグをウェブからダイカットするときガード部材の一部をダイカットすれば、ダイカットする保安タグの位置に関する公差を大きくしうる。したがってインダクターコイルのサイズの均一性が高くなり、共振周波数の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の好適な実施例のプリント共振回路保安タグの第1側の拡大平面図。
【図2】先行技術プリント共振回路保安タグの一方の側の拡大平面図。
【図3】図1のプリント共振回路保安タグの第2側の拡大平面図。
【図4】この発明の保安タグの好適な実施例で使用する共振回路の配線図。
【図5】この発明の別の実施例のプリント共振回路保安タグの第1側の拡大平面図。
【図6】プリント共振回路保安タグの先行技術ウェブ一方の側の平面図。
【図7】この発明の好適な実施例のプリント共振回路保安タグのウェブの一方の側の平面図。
【符号の説明】
10 保安タグ
12 共振回路
14 誘電体基板
16 基板の主面
18 基板の主面
20 周囲外縁
21 共振回路
22 第1導電パターン
24 第2導電パターン
26 コイル部分
28 導電ランド部
30 導電ランド部
32 ランド延長部
34 ディンプル
36 ガードレール
36a 導電部材
38 不連続部
38a 不連続部
38b 非導電ガード部材
50 保安タグ
52 インダクターコイル
60 保安タグ
62 誘電体基板
64 基板の主面
100 ウェブ
102 個別保安タグ
106 保安タグ
104 ウェブ
108 外部トレース
110 導電材料
112 不連続部

Claims (16)

  1. 所定の探知周波数範囲内の周波数の電磁エネルギーを利用して監視エリア内の保安タグの有無を探知する手段を含む電子的保安装置で使用するための保安タグであって、
    第1の主面、その反対側の第2の主面、及び周囲外縁を有する誘導体基板;
    前記誘電体基板の第1の主面に配置された第1の導電パターンと前記誘電体基板の第2の主面に配置された第2の導電パターンとを具備する少なくとも1個の共振回路であって、所定の探知周波数範囲内の周波数で共振しうる共振回路;及び
    前記誘電体基板の前記周囲外縁の少なくとも1部に沿って伸び、前記共振回路の少なくとも1部を囲む電気的に不連続な導電部材であって、前記共振回路がウェブ形状である状態において前記保安タグの製造中前記共振回路を容易に試験しうるよう、前記共振回路から有効に電気的に絶縁された前記導電部材、を具備している保安タグ。
  2. 前記第1の導電パターンが誘導性エレメントを含み、また前記導電部材が前記誘電体基板の前記第1の主面に配置されていることを特徴とする、請求項1の保安タグ。
  3. 前記導電部材が前記誘電体基板の前記第1の主面及び前記第2の主面の両方に配置されていることを特徴とする、請求項2の保安タグ。
  4. 前記導電部材が前記導電部材を不連続にする少なくとも1つのギャップを有し、前記少なくとも1つのギャップの幅が少なくとも約0.508ミリメートル(0.02インチ)であることを特徴とする、請求項1の保安タグ。
  5. 前記共振回路が前記誘電体基板の各主面にエッチングされたアルミニウムフォイルを有することを特徴とする、請求項1の保安タグ。
  6. 前記導電部材がエッチングされたアルミニウムフォイルを含むことを特徴とする、請求項1の保安タグ。
  7. 前記導電部材が電気絶縁に十分な所定の距離だけ前記共振回路から離れていることを特徴とする、請求項1の保安タグ。
  8. 前記所定の距離が少なくとも約0.508ミリメートル(0.02インチ)であることを特徴とする、請求項1の保安タグ。
  9. 所定の探知周波数範囲内の周波数の電磁エネルギーを利用して監視エリア内の保安タグの有無を探知する手段を含む電子的保安装置で使用するための保安タグであって、
    第1の側、その反対の第2の側、及び周囲外縁を有する誘導体基板;
    前記誘電体基板の第1の側に配置された第1の導電パターンと前記誘電体基板の第2の側に配置された第2の導電パターンとを具備する少なくとも1個の共振回路であって、所定の探知周波数範囲内の周波数で共振しうる共振回路;及び
    前記共振回路を電気的に絶縁し、前記共振回路がウェブ形状である状態において前記保安タグの製造中前記共振回路を容易に試験しうるよう、前記誘電体基板の前記周囲外縁の少なくとも1部に配置され前記共振回路の少なくとも1部を囲み、導電材料を含みかつ不連続で前記共振回路から有効に電気的に絶縁されているガード部材、を具備する保安タグ。
  10. 前記第1の導電パターンが誘導性エレメントを含み、前記ガード部材が前記誘導エレメントを実質的に完全に囲んでいることを特徴とする、請求項9の保安タグ。
  11. 前記ガード部材と前記誘電体基板が同一の材料製であることを特徴とする、請求項10の保安タグ。
  12. 前記ガード部材が前記共振回路と同一の材料製であることを特徴とする、請求項10の保安タグ。
  13. 前記ガード部材が前記誘電体基板の前記第1の側に配置されていることを特徴とする、請求項9の保安タグ。
  14. 前記ガード部材が前記誘電体基板の前記第1の側及び前記第2の側の両側に配置されていることを特徴とする、請求項13の保安タグ。
  15. 前記ガード部材が前記ガード部材を電気的に不連続であるようにする、少なくとも1つのギャップを有することを特徴とする、請求項の保安タグ。
  16. 少なくとも1つのギャップの幅が少なくとも約0.508ミリメートル(0.02インチ)であることを特徴とする、請求項15の保安タグ。
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