JP3948700B2 - 音響電気変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気音響変換装置に係り、特に受光方式センサのように音響による振動板の移動量を振動板からの反射光をフォトディテクタとなる受光素子で受光し、これを電気信号に変換して振動変位を検出する音響電気変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の音響電気変換装置である受光方式センサの概略構成を示す図である。
音響振動板4の音響による移動量を知るためにこの音響振動板4に対向して配置された面発光レーザ素子などの発光素子3とフォトディテクタなどの受光素子5とを用いてこれを検出していた。
【0003】
面発光レーザ素子3を駆動するための面発光レーザ素子駆動回路2からの駆動により面発光レーザ素子3は所定の強度のレーザ光を音響振動板4に向かって出射し、振動板4からの反射光は反射角度θで反射しフォトディテクタ5により受光される。
振動板4の振動によりフォトディテクタ5に受光される反射光の受光量は変化し、これが電気信号に変換されて電流量の変化となって現れる。このフォトディテクタ5からの出力電流を電流電圧変換増幅器6により電圧変換し、所定の増幅度を持った増幅器7を介して取出し、これを電圧出力8として得る。
なお振動板4と発光素子3及び受光素子5との間の配置距離は装置毎に所定の大きさに選定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示すように面発光レーザ素子3から出射したレーザ光を振動板4により反射させフォトディテクタ5により受光するためには所定の反射角度θを設定しなければならない。
この反射角度θを得るためには、振動板4と面発光レーザ素子3及びフォトディテクタ5との配置距離は正確さを要求される。このため受光方式センサの製造段階ではこの配置距離の設定仕上がりが生産の歩留まりを支配し、高歩留まりの受光方式センサを生産することは従来非常に困難であった。
【0005】
また、音響による振動板4の移動量はフォトディテクタ5の電流出力を電流電圧変換増幅器6を介して電圧に変換して電圧変化量として出力していたため、振動板4の反射光量に振動板移動量情報が重畳されることになる。
したがって振動板4の表面が腐食等によって変化すると反射率変化は振動板の移動量の検知精度に強い影響を与えるという問題があった。
本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたもので、振動板の表面に腐食等により反射率の変化が生じてもその影響が振動量測定精度に影響を与えることのない音響電気変換装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、音響によって振動する振動板に対向して発光素子と受光素子とを配置し、光パワー設定回路で設定された設定値に基づいて発光素子駆動回路によって前記発光素子を駆動し、前記発光素子から前記振動板に放射された光の反射光を前記受光素子で受光して電気信号として取出すことにより前記振動板の音響による振動変位を検出する音響電気変換装置において、所定の周期でオン・オフするクロック波形を出力するクロック発振回路と、前記クロック発振回路のクロック出力信号により前記発光素子駆動回路の駆動出力をチョッピングして前記所定の周期でオン・オフされる駆動電流を前記発光素子に供給するチョッピング回路と、前記受光素子から取出された前記電気信号の最大値を電気的に保持するピークホールド回路と、前記光パワー設定回路の設定値と前記ピークホールド回路の保持値とを比較し、比較結果に応じて前記発光素子駆動回路の駆動出力を制御して所望の光パワー制御値を得る自動パワー制御(APC)回路と、前記クロック出力信号と前記受光素子から取出された前記電気信号との位相比較を行う位相比較器とを備え、前記位相比較器からの低周波成分を前記振動変位の検出出力として取出すことを特徴とする。
前記音響電気変換装置において、前記クロック発振回路のクロック波形の位相を温度変化に応じて補償する位相補償手段を設けることが出来る。
前記音響電気変換装置において、前記クロック発振回路のクロック波形の位相を所定の大きさの音響による前記振動板の振動量に応じて補正する非線形位相補正手段を設けることが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る音響電気変換装置の一実施形態である受光方式センサの全体構成を示すブロック図、図2は図1の光学系部分の詳細構成を示すブロック図である。
本発明においては図3に示す従来の構成に加えて、面発光レーザ素子3への光パワーの設定を行う光パワー設定回路1と面発光レーザ素子駆動回路2との間に自動パワー制御(APC)回路9を設ける。
【0008】
また、所定の周期でオン・オフするクロック波形を出力するクロック発振回路10と、このクロック発振回路10のクロック出力信号により面発光レーザ素子駆動回路2の駆動出力をチョッピングして所定の周期でオン・オフする駆動電流を面発光レーザ素子3に供給するチョッピング回路11と、クロック発振回路10の出力と電流電圧変換増幅器6の出力とを入力して位相比較を行う位相比較器16と、位相比較器16の出力から低周波成分のみを取出すローパスフィルタ17とを設ける。
また、音響による振動板4の移動距離が温度変化を持つ場合にこれを補償するための温度補償設定回路20と位相微調整回路19とを設ける。
さらに、ある大きさのみの音響による振動板4の移動量に着目してこれを強調するために非線形増幅器18とその非線形曲線を設定するための非線形増幅器曲線設定回路21とを設ける。
【0009】
面発光レーザ素子3の出射光パワーは面発光レーザ素子光パワー設定回路1により設定され、この設定値はAPC回路9に送られその制御により面発光レーザ素子駆動回路2が駆動される。
ここでクロック発振回路10の電圧波形タイミングにより面発光レーザ素子駆動回路2の出力電流はチョッピング回路11によりオン・オフ制御されてチョッピングされる。さらに、そのチョッピング回路11の出力電流は面発光レーザ素子3に送られオン・オフされたレーザ発光が得られる。
【0010】
面発光レーザ素子3から出射されたレーザ光は、音響振動板4で反射されフォトディテクタ5に戻り、電流電圧変換増幅器6により電圧に変換される。この電流電圧変換増幅器6の出力電圧とクロック発振回路10の出力電圧とは位相比較器16に入力され位相比較される。
位相比較器16の出力の高周波波成分はローパスフィルタ17により除去され、低周波成分のみが取り出されて増幅器7で増幅され電圧出力8となって取出される。
【0011】
面発光レーザ素子3から出射されたレーザ光は音響振動板4により反射され、フォトディテクタ5に戻って出力電流となり、この出力電流は電流電圧変換増幅器6により電圧に変換されてピークホールド回路15によりその最大値が電気的に保持される。
このホールドされた電圧はAPC回路9に入力され、面発光レーザ素子光パワー設定回路1からの設定値と比較される。
【0012】
ここで面発光レーザ素子3からのレーザ光パワーが小の時は面発光レーザ素子駆動回路2の出力電流値を上げるようにAPC回路9の制御を行い、面発光レーザ素子3のレーザ光パワーが大の時は面発光レーザ素子駆動回路2の出力電流値を下げるようにAPC回路9の制御を行う。
この結果、面発光レーザ素子3からのレーザ光パワーは所望する面発光レーザ素子光パワー設定回路1で設定された値に近づく。
【0013】
図2において面発光レーザ素子3から出射され音響振動板4で反射してフォトディテクタ5で受光されるまでの時間は音響による振動板の移動量に比例する。
この時、面発光レーザ素子3から出射されるレーザ光はチョッピング回路11によりオン・オフ制御された断続するパルス光となっているため、図5に示すような時間差として音響による振動板の移動量を検知することができる。
【0014】
図4は振動板と面発光レーザ素子及びフォトディテクタとの間の配置距離と、音響による振動板4の振動による移動量位置との関係を示す図である。
また、図5は音響による振動板の移動量位置によってフォトディテクタ5が検出する出力電圧の波形図を示している。
面発光レーザ素子3から出射されたレーザ光はクロック発振回路10を内部クロックとして時間の基準とし、これを「時間0」とする。次に面発光レーザ素子3から出射されたレーザ光は音響振動板4に当たり反射してフォトディテクタ5に戻ってくる。
この時、音響による音圧に比例して音響振動板4の位置により「音響振動板基準位置」の前後にそれぞれ「音響による振動板の移動量位置1」と「音響による振動板の移動量位置2」とがあり、それぞれレーザ光のフォトディテクタ5に戻ってくる時間は「時間1」、「時間2」、「時間3」のように時間差が発生する。
次いで、「時間0」を基準として「時間2」を計測すると音響振動板4の移動量を検知することができる。
【0015】
図5はこのようなフォトディテクタの出力電圧の変化を示している。
「時間0」を基準とした「時間2」の計測を連続して続けると図6に示すように「時間2」の変化により音響振動板の移動量を実時間で検知できるようになる。
なお音響による振動板の移動距離が温度変化特性を持つ場合には、それに相当するだけのパルス時間遅れ(位相差)を付加するために温度補償設定回路20と位相微調整回路19とを備える。
すなわち、温度変化に応じた温度補償設定値を設定回路20に設定し、この設定値によって位相微調整回路19の位相量を変化させ、これによりクロック発振回路10のパルス時間遅れを位相差として付加する。
【0016】
また、振動出力中のある大きさのみの音響による振動板の移動量を注目して強調させるためには非線形増幅器18によりローパスフィルタ17の出力を非線形増幅し、その出力を位相微調整回路19に入力して位相量を変化させ、クロック発振回路10のクロック波形の位相を調整すればよい。
また、非線形曲線を設定するための非線形増幅曲線設定回路21を備え、非線形増幅器18の非線形曲線を設定する。
なお、この非線形増幅器18は線形増幅器に切り換えて使用することも可能である。
図5は矩形波で示したが、図1のチョッピング回路の出力波形、図1の内部クロックの出力波形は、正弦波や高調波成分をもつ変調された正弦波でもよい。
【0017】
【発明の効果】
図3に示すような従来の構成では音響振動板の移動量の変化はフォトディテクタの電流値の大きさとして表れるため、位置精度を上げないと検出精度が悪くなる。
しかし本発明の場合には、音響による振動板の移動量の変化の検出は図6に示すようにフォトディテクタの出力電圧の時間を基準としたフォトディテクタの時間差の変化として取扱うことができる。
したがって図4に示す振動板と面発光レーザ素子及びフォトディテクタとの間の配置距離の精度がなくとも、クロック発振回路10を内部クロックとして図5に示す「時間0」を知ることができるため、従来ほど配置距離の精度を正確に管理する必要がなくなる。
【0018】
また光学的、機械的に基準距離となる点を用いてクロック時間の基準を用意する必要がないため、光学反射板ガラス等の光学部品や機械部品の削減とはコスト減とは容易となり、安価な音響電気変換装置を実現することができる。
このため製造段階では、振動板と面発光レーザ素子及びフォトディテクタとの配置距離の設定仕上がりが生産の歩留まりを支配することはないため、高歩留まりの製品を生産することが容易となる。
【0019】
さらに本発明では振動板の振動変位の情報はフォトディテクタの出力電圧の時間を基準とした時間差の変化として入手でき、フォトディテクタの出力電流の振幅方向への変化としては表われないため、振動板表面の腐食等による反射率変化が生じても時間差測定には影響は小であるため、振動板の経年変化による振動量測定精度への劣化の影響は著しく小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る音響電気変換装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1の装置の光学系部分の詳細構成を示すブロック図。
【図3】従来の装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】音響振動板の基準位置からの振動変位による移動量位置を示す図。
【図5】音響による振動板の移動量位置でのフォトディテクタの出力電圧の波形図。
【図6】内部クロックを基準としたフォトディテクタの時間差の変化を示す図。
【符号の説明】
1 光パワー設定回路
2 面発光レーザ素子駆動回路
3 面発光レーザ素子
4 振動板
5 フォトディテクタ
8 電圧出力
9 APC回路
10 クロック発振回路
11 チョッピング回路
15 ピークホールド回路
16 位相比較器
17 ローパスフィルタ
18 非線形増幅器
19 位相微調整回路
20 温度補償設定回路
21 非線形増幅曲線設定回路
Claims (3)
- 音響によって振動する振動板に対向して発光素子と受光素子とを配置し、光パワー設定回路で設定された設定値に基づいて発光素子駆動回路によって前記発光素子を駆動し、前記発光素子から前記振動板に放射された光の反射光を前記受光素子で受光して電気信号として取出すことにより前記振動板の音響による振動変位を検出する音響電気変換装置において、
所定の周期でオン・オフするクロック波形を出力するクロック発振回路と、
前記クロック発振回路のクロック出力信号により前記発光素子駆動回路の駆動出力をチョッピングして前記所定の周期でオン・オフされる駆動電流を前記発光素子に供給するチョッピング回路と、
前記受光素子から取出された前記電気信号の最大値を電気的に保持するピークホールド回路と、
前記光パワー設定回路の設定値と前記ピークホールド回路の保持値とを比較し、比較結果に応じて前記発光素子駆動回路の駆動出力を制御して所望の光パワー制御値を得る自動パワー制御(APC)回路と、
前記クロック出力信号と前記受光素子から取出された前記電気信号との位相比較を行う位相比較器とを備え、
前記位相比較器からの低周波成分を前記振動変位の検出出力として取出すことを特徴とする音響電気変換装置。 - 請求項1に記載の音響電気変換装置において、
前記クロック発振回路のクロック波形の位相を温度変化に応じて補償する位相補償手段を設けたことを特徴とする音響電気変換装置。 - 請求項1に記載の音響電気変換装置において、
前記クロック発振回路のクロック波形の位相を所定の大きさの音響による前記振動板の振動量に応じて補正する非線形位相補正手段を設けたことを特徴とする音響電気変換装置。
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