JP3947388B2 - 摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル及びその布設方法 - Google Patents

摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル及びその布設方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル及びその布設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の海底ケーブルは、種々のものが提案されている。例えば、図4に示すものは、摩耗検知機能を有する二重鎧装海底ケーブルの横断面を示す図である。図に示されたものは、電力ケーブル心線1の周囲に座床2を介して被覆付きFRP線7による内側鎧装が施され、さらに座床4を介して防食鉄線5による外側鎧装が施され、最外側にサービング層6を施した構造のものである。被覆付きFRP線7の配列中に摩耗検知に使用される被覆付き金属線8を配置しておく。
【0003】
図5は、被覆付きFRP線7の横断面図、図6は、被覆付き金属線8の横断面図である。符号7aはFRP線、7bはポリエチレン被覆であり、8aは金属線、8bはポリエチレン被覆である。
【0004】
従来の二重鎧装海底ケーブルにおいて、外側鎧装の防食鉄線5が腐食や摩耗により損傷し、更に内側鎧装の摩耗等が進む過程で、被覆付き金属線8のポリエチレン被覆8bの絶縁抵抗を測定することで、ポリエチレン被覆8bの摩耗程度あるいは摩耗の発生を知ることができる。従って、内部鎧装の被覆付きFRP線の被覆の摩耗程度あるいは摩耗の発生を知ることができ、二重鎧装海底ケーブルを早期に修理できるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルによると、摩耗の発生を検知することはできても、その位置までは検出することができないという問題がある。
【0006】
また、従来の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルによると、FRP線の外径を大にして耐張力性を大にすると、曲げ特性を低下させ、曲げ特性を良好にするため、FRP線の外径を小にすると耐張力性を低下することになるという問題がある。
【0007】
更に、従来の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルによると、FRP線の接続部がないため、長尺ケーブルなどFRP線の接続が必要となる場合には適用できず、布設することができないという問題がある。
【0008】
従って、本発明は、摩耗の発生位置を検出することができ、FRP線の外径や被覆厚さなどの仕様を明確にしてケーブル布設や引き揚げ時に加わる張力や曲げに耐え得るケーブルを得るとともに、長尺ケーブルなどFRP線の接続が必要となる場合にも適用できる摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル及びその布設方法を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、ケーブル心線の外周に複数の被覆付きFRP線および前記複数の被覆付きFRP線の間に配置された複数の絶縁被覆付き導電性線材から構成された内側鎧装体と、前記内側鎧装体の内側に配置された絶縁被覆付き導電性線材と、前記内側鎧装体の外周に複数の鉄線から構成された外側鎧装体を設けた二重鎧装海底ケーブルにおいて、
前記内側鎧装体の前記複数の被覆付きFRP線は、ケーブル長手方向に間隔をあけて設けられる2箇所以上の分散した接続部を有し、所要本数の被覆付きFRP線の接続部と前記所要本数の被覆付きFRP線を除く他の被覆付きFRP線の接続部とがケーブル長手方向に異なる配置となるよう接続されていることを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記複数の被覆付きFRP線は、前記接続部において全数のうちの半数の被覆付きFRP線を接続することを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
請求項に記載の発明は、前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線及び絶縁被覆付き導電性線材は、巻き付けピッチをケーブル心線径の35倍以上にし、前記外側鎧装体は、巻き付けピッチをケーブル心線径の35倍以下にして巻き付けられた鉄線によって構成されことを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線及び絶縁被覆付き導電性線材は、巻き付け方向を前記外側鎧装体の巻き付け方向と同一又は相対する方向としたことを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線及び絶縁被覆付き導電性線材は、被覆厚を0.2mm以上としたことを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線のFRP線外径を前記被覆付きFRP線巻き付け下径の0.03〜0.13倍の範囲としたことを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
【0014】
請求項に記載の発明は、前記内側鎧装体の被覆付きFRP線は、内面に接着剤を塗布したスリーブの一方に被覆を剥がして挿入される一方のFRP線と前記スリーブの他方に被覆を剥がして挿入される他方のFRP線とが接続された構成からなることを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルを提供する。
【0016】
請求項8に記載の発明は、ケーブル心線の外周に複数の被覆付きFRP線および前記複数の被覆付きFRP線の間に配置された複数の絶縁被覆付き導電性線材から構成された内側鎧装体と、前記内側鎧装体の内側に配置された絶縁被覆付き導電性線材と、前記内側鎧装体の外周に複数の鉄線から構成された外側鎧装体とを備え、前記複数の被覆付きFRP線がケーブル長手方向に間隔をあけて設けられる2箇所以上の分散した接続部を有する二重鎧装海底ケーブルを準備する第1のステップと、
前記二重鎧装海底ケーブルを布設船に搭載し、布設場所に移動する第2のステップと、
前記二重鎧装海底ケーブルを海底に繰り出し、ケーブルを布設する第3のステップを有し、
前記第1のステップは、前記被覆付きFRP線の接続部において内面に接着剤を塗布したスリーブの双方から前記被覆付きFRP線の被覆を剥がしたFRP線を挿入して接続した接続部をケーブル長手方向に間隔をおいて2箇所以上に分散させるとともに、
所要本数の被覆付きFRP線の接続部と前記所要本数の被覆付きFRP線を除く他の被覆付きFRP線の接続部とがケーブル長手方向に異なる配置となるよう接続して前記被覆付きFRP線の接続部をケーブル長手方向に間隔をあけて2箇所以上に分散し、前記間隔、布設船から着底点との距離よりも長いことを特徴とする二重鎧装海底ケーブルの布設方法を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る二重鎧装海底ケーブルの横断面図である。本発明の二重鎧装海底ケーブルは、電力ケーブル心線1の周囲に座床2を介して被覆付きFRP線7により内側鎧装を形成し、さらに座床4を介して防食鉄線5により外側鎧装を施している。内側鎧装を形成する被覆付きFRP線7の配列中の適宜個所に摩耗検知に使用される被覆付き金属線8を配している。そして、被覆付きFRP線7及び被覆付き金属線8が配されている内側鎧装の内側に摩耗位置検出に使用される被覆付き金属線9を配している。ケーブルの最外側は、サービング層6で被覆する。
【0020】
以上の二重鎧装海底ケーブルにおいて、外側鎧装を構成する防食鉄線が腐食や摩耗により損傷し、更に内側鎧装の摩耗が発生した場合、被覆付き金属線8と被覆付き金属線9とでマーレーループを構成することにより被覆金属線8の長手方向における摩耗位置を検出することができる。このことにより、二重鎧装海底ケーブルの内側鎧装を構成する被覆付きFRP線7の被覆の摩耗位置を検出することができる。
【0021】
ここで、被覆付きFRP線7の巻き付けピッチは、ケーブル心線径の35倍以上、鉄線5をそれ以下の巻き付けピッチとすることにより、ケーブル布設、引揚げ時に加わる張力を被覆付きFRP線7が分担する
ため、ケーブルを曲げた際、鎧装に座屈などの異常が生じなくなる。
【0022】
なお、被覆付きFRP線7と鉄線5の巻き付け方向は、ケーブルの巻き取り方向に応じて、同方向又は相対する方向とする。これにより、種々のケーブル巻き取り方法に対応することができる。
【0023】
被覆付きFRP線7及び被覆付き金属線8、9の被覆厚さは、FRP線が直接水に接触して強度が低下することを防止するために、0.2mm以上とする。
【0024】
更に、FRP線の外径は、ケーブルの曲げ剛性が極端に大きくなることを防止するとともに、ケーブル製造時や接続部組立時などにおける作業性の悪化を防止するために、被覆付きFRP線7の巻き付け下径の0.03〜0.13倍の範囲とする。
【0025】
このようにFRP線の外径や被覆厚さの仕様を明確にしたことで、ケーブル敷設やケーブル引き揚げ時にケーブルに加わる張力を容易に算出することができ、ケーブル敷設やケーブル引き揚げ時の張力や曲げに耐えうるケーブルを得ることができる。
【0026】
図2は、本発明の二重鎧装海底ケーブルにおけるFRP線の接続部を示す図である。ステンレス又はFRP製のスリーブ10の中空部の内壁にエポキシ系の接着剤を塗布し、被覆を剥がしたFRP線11、11、をスリーブ10の双方の開口部から挿入する(図2(a))。接着剤が硬化すれば、FRP線同士が接続することになる(図2(b))。
【0027】
スリーブ10の中空部の内壁は、接着剤塗布面積を増加するために、ネジ切り加工を施してもよい。また、スリーブ10をFRP線11の繊維を傷つけない程度にかしめてもよい。更に、スリーブ10の表面をドライヤーなどで加熱温度100℃以下で加熱することで、接着剤の硬化時間を短縮できる。
【0028】
FRP線の接続部は、スリーブ端部10a及びFRP線のスリーブ側11aを防水処理することで、接続部の耐水性を向上させることができる。
【0029】
以上の実施例は、海底ケーブル鎧装の接続部について示したが、これ以外に、例えば、スペーサ型光ケーブルのテンションメンバについても適用することができる。
【0030】
図3は、本発明の二重鎧装海底ケーブルの接続部の配置及びケーブルの布設方法を示す図である。
【0031】
二重鎧装海底ケーブルの内側鎧装体を構成する複数のFRP線のうち、半数のFRP線の接続は、符号12で示す接続部で行い、残り半数のFRP線の接続は、間隔をあけた符号13で示す接続部で行う。
【0032】
FRP線の接続部12、13は、前述したように、ステンレス又はFRP製のスリーブの中空部の内壁にエポキシ系の接着剤を塗布し、被覆を剥がしたFRP線をスリーブの双方の開口部から挿入した後、接着剤を硬化してFRP線同士を接続したもので(図2参照)、内側鎧装を構成する複数のFRP線を接続したものである。
【0033】
二重鎧装海底ケーブルを布設する場合、FRP線接続部12,13を有する海底ケーブルを台船14に搭載し、ケーブルを海中に繰り出すとき接続部12においては、着底点15から接続部12まで長さに応じた荷重を受けることになるが、複数のFRP線の半数をスリーブにより接続し、他のFRP線は他の接続部13まで連続しているので、接続部を設けたことによるケーブル耐張力の低下を、複数のFRP線の全数について接続部を設けた場合より抑えることができる。
【0034】
この場合、接続部12、13の間隔は、台船14からケーブル着底点15に至るケーブル長以上の長さとする。このような長さとすることで、FRP線接続部を設けることにより生じるケーブル張力の低下を更に抑えることができる。また、引き揚げ時にあっても、接続部に受ける荷重を減少することができる。
【0035】
なお、FRP線接続部は、2箇所に分散した例について説明したが、耐張力に問題があれば3箇所以上に分散して接続部を設けてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内側鎧装を形成する被覆付きFRP線の配列中の適宜個所に摩耗検知に使用される被覆付き金属線と内側鎧装の内側に摩耗位置検出に使用される被覆付き金属線を配したため、摩耗の発生位置を検出することができた。
【0037】
また、FRP線の外径や被覆厚さなどの仕様を明確にしたため、ケーブル布設や引き揚げ時に加わる張力や曲げに耐え得るケーブルを得ることができる。
【0038】
更に、摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブルにおいて、FRP線の接続が可能となったため、接続が必要となる長尺のケーブルにも適用できた。
【0039】
また、FRP線の接続部の間隔をあけたため、接続部を設けたことによるケーブル耐張力の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る二重鎧装海底ケーブルの横断面図である。
【図2】 本発明の二重鎧装海底ケーブルにおけるFRP線の接続部を示す図である。
【図3】 本発明の二重鎧装海底ケーブルの接続部の配置及びケーブルの布設方法を示す図である。
【図4】 従来の摩耗検知機能を有する二重鎧装海底ケーブルの横断面を示す図である。
【図5】 被覆付きFRP線の横断面図を示す図である。
【図6】 被覆付き金属線の横断面図を示す図である。
【符号の説明】
1 電力ケーブル心線
2 座床
3 防食鉄線
4 座床
5 防食鉄線
6 サービング層
7 被覆付きFRP線
8 被覆付き金属線
9 被覆付き金属線
10 スリーブ
11 FRP線
12 FRP線接続部
13 FRP線接続部
14 台船
15 着底点

Claims (8)

  1. ケーブル心線の外周に複数の被覆付きFRP線および前記複数の被覆付きFRP線の間に配置された複数の絶縁被覆付き導電性線材から構成された内側鎧装体と、前記内側鎧装体の内側に配置された絶縁被覆付き導電性線材と、前記内側鎧装体の外周に複数の鉄線から構成された外側鎧装体を設けた二重鎧装海底ケーブルにおいて、
    前記内側鎧装体の前記複数の被覆付きFRP線は、ケーブル長手方向に間隔をあけて設けられる2箇所以上の分散した接続部を有し、所要本数の被覆付きFRP線の接続部と前記所要本数の被覆付きFRP線を除く他の被覆付きFRP線の接続部とがケーブル長手方向に異なる配置となるよう接続されていることを特徴とする摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  2. 前記複数の被覆付きFRP線は、前記接続部において全数のうちの半数の被覆付きFRP線を接続することを特徴とする請求項1記載の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  3. 前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線及び絶縁被覆付き導電性線材は、巻き付けピッチをケーブル心線径の35倍以上にし、前記外側鎧装体は、巻き付けピッチをケーブル心線径の35倍以下にして巻き付けられた鉄線によって構成されことを特徴とする請求項1又は2記載の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  4. 前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線及び絶縁被覆付き導電性線材は、巻き付け方向を前記外側鎧装体の巻き付け方向と同一又は相対する方向としたことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項記載の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  5. 前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線及び絶縁被覆付き導電性線材は、被覆厚を0.2mm以上としたことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項記載の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  6. 前記内側鎧装体の前記被覆付きFRP線のFRP線外径を前記被覆付きFRP線巻き付け下径の0.03〜0.13倍の範囲としたことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項記載の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  7. 前記内側鎧装体の被覆付きFRP線は、内面に接着剤を塗布したスリーブの一方に被覆を剥がして挿入される一方のFRP線と前記スリーブの他方に被覆を剥がして挿入される他方のFRP線とが接続された構成からなることを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項記載の摩耗検知機能付き二重鎧装海底ケーブル。
  8. ケーブル心線の外周に複数の被覆付きFRP線および前記複数の被覆付きFRP線の間に配置された複数の絶縁被覆付き導電性線材から構成された内側鎧装体と、前記内側鎧装体の内側に配置された絶縁被覆付き導電性線材と、前記内側鎧装体の外周に複数の鉄線から構成された外側鎧装体とを備え、前記複数の被覆付きFRP線がケーブル長手方向に間隔をあけて設けられる2箇所以上の分散した接続部を有する二重鎧装海底ケーブルを準備する第1のステップと、
    前記二重鎧装海底ケーブルを布設船に搭載し、布設場所に移動する第2のステップと、
    前記二重鎧装海底ケーブルを海底に繰り出し、ケーブルを布設する第3のステップを有し、
    前記第1のステップは、前記被覆付きFRP線の接続部において内面に接着剤を塗布したスリーブの双方から前記被覆付きFRP線の被覆を剥がしたFRP線を挿入して接続した接続部をケーブル長手方向に間隔をおいて2箇所以上に分散させるとともに、
    所要本数の被覆付きFRP線の接続部と前記所要本数の被覆付きFRP線を除く他の被覆付きFRP線の接続部とがケーブル長手方向に異なる配置となるよう接続して前記被覆付きFRP線の接続部をケーブル長手方向に間隔をあけて2箇所以上に分散し、前記間隔、布設船から着底点との距離よりも長いことを特徴とする二重鎧装海底ケーブルの布設方法。
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