JP3945721B2 - カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法 - Google Patents
カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシウム合金の製造方法に関し、より詳しくは、例えば自動車・二輪車用及び汎用エンジン部品等の耐熱用途向けのカルシウム含有マグネシウム合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、自動車等での一層のマグネシウム物品の拡大のためエンジン物品に使用できる473K程度までの高温でも十分な強度を有するマグネシウム合金(以下「マグネ合金」という。)として、金属カルシウムを含有した合金が提案されている(特開平6−200348号公報参照)。
【0003】
しかしながら、従来のカルシウム含有マグネシウム合金の製造においては、カルシウムの添加が不安定で、一般に歩留りが悪いという問題がある。
【0004】
この結果、カルシウム含有合金を製造する際に、製造費用が増大し、また品質が不安定であり、汎用品として使用され得ないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑み、耐熱性に優れ且つ品質安定性に優れたカルシウム含有マグネシウム合金を安価に製造し得る方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、金属カルシウムのマグネシウム溶湯への添加に際し、金属カルシウムをアルミニウム箔で包み、これを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に溶解・添加した後、金属カルシウム以外の合金元素を添加することで、歩留りよく溶解させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
斯かる知見に基づく本発明のカルシウム含有マグネシウム合金の製造方法は、カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法において、金属カルシウムをアルミニウム箔に包み、これを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に溶解・添加した後、金属カルシウム以外の合金元素を添加することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
本発明の製造方法は、金属カルシウムをアルミニウム箔に包み、これを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に歩留りよく溶解・添加することにより、歩留りよくカルシウム含有マグネシウム合金を製造するものである。
【0011】
ここで、本発明ではマグネシウム溶湯中に金属カルシウムを溶解させるためには、該金属カルシウムをアルミニウム箔で包み、これを治具でマグネシウム溶湯中に浸漬させ、溶解させるようにしている。これは、金属カルシウムは比重(d20)=1.55であり、マグネシウム(d20=1.741)より軽量で且つ活性があり、直接マグネシウム溶湯に添加した場合には、表面に浮遊して酸化してしまい、歩留りが悪くなると共に、溶解効率が低下してしまうという問題を解消するためである。
【0012】
よって、本発明におけるように金属カルシウムをアルミニウム箔に包むことにより、金属カルシウムの酸化を防止しつつ加熱することが可能となり、アルミニウム箔で包んだ金属カルシウムを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬することで、アルミニウム箔が破れたところで素早く溶解・添加することができる。
【0013】
ここで、アルミニウム箔を用いることで微量のアルミニウムの混入が懸念されるが、カルシウム含有合金の多くはマグネシウム−アルミニウム系合金であると共に、該アルミニウム箔の量はせいぜい1〜2g以下であり、工業的にはその影響は無視できる程度のものである。
【0014】
また、かかるカルシウム含有マグネシウム合金に他のアルミニウム,亜鉛,マンガン,ケイ素等の他の金属を含有させる場合には、先ずカルシウムの添加を優先させることが望ましい。
これは、金属カルシウムは活性であるために多くの元素と化合物を生成しやすく、例えばアルミニウムとは優先的に化合物を生成し比重差から溶湯下部に沈澱し易くなり、好ましくないからである。
また、ケイ素とも優先的に粗大な化合物を生成し、この場合には溶湯表面に浮上し易くなり、好ましくないからである。
【0016】
また、本発明において、他の添加する金属としては、上記金属の他に、ランタノイド系金属(例えばネオジム、ランタン、セリウム、ミッシュメタル等)を添加することにより、耐熱用途向けのカルシウム含有マグネシウム合金を得ることができる。この場合の添加においても、先ずカルシウムの添加をアルミニウム箔で包んで先に添加・溶解させることを優先させることが望ましい。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を説明するが、本発明はこれに限定されものではない。
【0018】
55kW低周波誘導加熱装置で鉄鍋に50kgの純マグネシウム溶湯を720℃で保持した。マグネシウム(Mg)−3重量%アルミニウム(Al)−3重量%カルシウム(Ca)−0.2重量%マンガン(Mn)合金の製造を以下の条件で実施し、得られた合金を分析した。
なお、実施例2及び比較例2では、1重量%ケイ素(Si)を加えて合金を製造した。但し、想定歩留りは100%とした。
【0019】
実施例1
金属カルシウムをアルミニウム箔で包み、次いでこれを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に溶解・添加し、その後アルミニウム及びマンガン母材用合金を添加した。
実施例2
金属カルシウムをアルミニウム箔で包み、次いでこれを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に溶解・添加し、その後アルミニウム,ケイ素及びマンガン母材用合金を添加した。
比較例1
先ず、金属カルシウムを直接マグネシウム溶湯中に添加し、その後アルミニウム及びマンガン母材用合金を添加した。
比較例2
アルミニウム、ケイ素及びマンガン母材用合金をマグネシウム溶湯中に添加し、その後金属カルシウムをアルミニウム箔で包みマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に溶解・添加した。
上記の製造方法で得られた各々の合金の組成を分析した。その結果は下記の「表1」に示す通りであった。
【0020】
【表1】
【0021】
「表1」に示すように、本発明にかかるカルシウムをアルミニウム箔で包んで、他の合金元素よりも先にマグネシウム溶湯中に浸漬・溶解させた実施例1及び2の場合には、比較例1及び2と較べて、歩留りが良いものとなっていた。
【0022】
【発明の効果】
以上、実施例とともに詳細に説明したように、本発明によれば、カルシウム含有マグネシウム合金の製造に際し、カルシウムをアルミニウム箔で包んで、他の合金元素よりも先にマグネシウム溶湯中に浸漬・溶解させているので、歩留りよく合金を安定して製造することが可能となる。よって、耐熱性の良好な自動車エンジン部品等の軽量化に有効な合金を本発明により得ることができ、部品の品質安定性、製造コストの低廉化及び添加歩留りにおいて優れたものとなる。
Claims (1)
- カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法において、金属カルシウムをアルミニウム箔に包み、これを治具にてマグネシウム溶湯中に浸漬し、マグネシウム溶湯中に溶解・添加した後、金属カルシウム以外の合金元素を添加することを特徴とするカルシウム含有マグネシウム合金の製造方法。
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JP15778796A JP3945721B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP15778796A JP3945721B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法 |
Publications (2)
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JPH108160A JPH108160A (ja) | 1998-01-13 |
JP3945721B2 true JP3945721B2 (ja) | 2007-07-18 |
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Family Applications (1)
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JP15778796A Expired - Lifetime JP3945721B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | カルシウム含有マグネシウム合金の製造方法 |
Country Status (1)
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1996
- 1996-06-19 JP JP15778796A patent/JP3945721B2/ja not_active Expired - Lifetime
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