(実施形態1)
以下、図1〜図11を参照して、この発明の電子機器を電子辞書に適用した実施形態1について説明する。
図1はこの発明の電子辞書の分解斜視図、図2はその電子辞書の半完成品である電子機器用モジュールの斜視図、図3は図1の電子辞書を閉じた状態の裏面図、図4は図2のキーボードの正面図、図5は図1のキー表示パネルの斜視図である。
この電子辞書は、国語辞書または英和辞書などの複数の機種のうち、いずれかの辞書機能を有するものであり、図1および図2に示すように、装置本体1を備えている。
この装置本体1は、第1ケース2と第2ケース3とをヒンジ部4によって回動可能に連結し、このヒンジ部4を中心に第1、第2ケース2、3を互いに離れる方向に回動させると、図2に示すように、第1、第2ケース2、3が互いに開き、ヒンジ部4を中心に第1、第2ケース2、3を互いに重なる方向に回動させると、図3に示すように、第1、第2ケース2、3が互いに閉じて重なり合うように構成されている。これら第1、第2ケース2、3の互いに対向する対向面のうち、第1ケース2の対向面には、図1および図2に示すように、キーボード5が設けられている。このキーボード5は、第1ケース2の隅部に設けられた位置決めピン(図示せず)がキーボード5の隅部に設けられた位置決め孔5aに挿入することにより、第1ケース2に位置決めされた状態で取り付けられている。
第2ケース3の対向面には、表示部6および銘板7が設けられている。表示部6は、液晶表示素子やEL表示素子(エレクトロルミネッセンス表示素子)などの平面型の表示素子からなり、第2ケース3の開口部3aに対応して設けられ、この状態でキーボード5で入力されたデータ、あるいは予め記憶されたデータなどの情報を電気光学的に表示するように構成されている。この場合、キーボード5と表示部6とは、フレキシブルな接続用の配線基板(図示せず)によってヒンジ部4を介して電気的に接続されている。また、銘板7は、国語辞書または英和辞書などの機種ごとにそれぞれ製作され、各機種に応じた機能などの内容がそれぞれ印刷され、図1に示すように、機種ごとに表示部6の下側に位置する第2ケース3の対向面に貼り付けられている。
一方、第1ケース2のキーボード5上には、図1に示すように、キー表示パネル8が配置されている。このキー表示パネル8も、第1ケース2の隅部に設けられた位置決めピン(図示せず)がキーボード5の位置決め孔5aを通してキー表示パネル8の隅部に設けられた位置決め孔8aに挿入することにより、キーボード5上に位置決めされた状態で配置されている。これら第1、第2ケース2、3の左右両側には、装飾部材9がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。これにより、キー表示パネル8は、装飾部材9によってキーボード5上に固定されている。
さらに、第1ケース2の内部には、図3に示すように、書き込み読み出しが可能なフラッシュメモリなどの記憶素子を有する記憶部10が設けられている。また、この第1ケース2の裏面には、図3に示すように、コネクタ10が記憶部10と電気的に接続されて設けられている。このコネクタ11は、パーソナルコンピュータなどの外部情報処理機器と電気的に接続され、この状態で国語辞書または英和辞書などの各機種のうち、いずれかの機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータを外部情報処理機器から記憶部10に書き込むための外部接続端子である。この場合、記憶部10に書き込むデータは、具体的には、機種に対応する各キーの辞書機能を実現するための各辞書データと、キー入力を検知して、該当するキーに対応する辞書を動作させたり、該当するキーに対応する検索・表示機能を実現するためのプログラムデータなどで構成されている。
ところで、第1ケース2のキーボード5は、図4に示すように、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、文字キー12、第1機能キー14、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16、第2機能キー17などの各種のキーが多数配列された構成になっている。この場合、各種のキーのうち、一部のキー、例えば文字キー12、第1機能キー13、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16などのキーは、国語辞書または英和辞書のいずれにも共通の機能を有する構成になっており、他の一部のキー、例えば第2機能キー17は、国語辞書または英和辞書などの機種によって異なる機能を有する構成になっている。
すなわち、文字キー12は、ひらがな、アルファベットなどの文字情報を入力するためのキーであり、国語辞書または英和辞書のいずれにも共通であるため、キートップの上面に、ひらがな(あ、い、う、…)、アルファベット(A、B、C、…)などのキー表示12aが印刷などによって設けられている。第1機能キー13は、表示部6に表示された情報を更に詳しく調べるための機能を付加するキーであり、キートップの上面に、成句・複合語、用例・解説、熟語などのキー表示13aが印刷などによって設けられている。
同様に、カーソルキー14は、表示部6に表示されたカーソル(図示せず)を移動させるためのキーであり、これも国語辞書または英和辞書のいずれにも共通であるため、キートップの上面にカーソルの移動方向を示すキー表示14aが印刷などによって設けられている。シフトキー15は、表示部6に表示された情報を順次シフトさせるためのキーであり、これも国語辞書または英和辞書のいずれにも共通であるため、キートップの上面に情報を移動させる方向を示すキー表示15aが印刷などによって設けられている。決定キー16は、キー操作によって入力されたデータを決定したり修正したりするためのキーであり、これも国語辞書または英和辞書のいずれにも共通であるため、キートップの上面に訳/決定、戻る/リストなどのキー表示16aが印刷などによって設けられている。
第2機能キー17は、国語辞書または英和辞書などの各機種によって機能が異なるキーである。例えば、国語辞書では、図6に示すように、検索機能、漢和機能、百科事典機能、医学用語機能、経済・ビジネス機能、電源、メニューなどの各種の機能を有しており、英和辞書では、図7に示すように、検索機能、広辞苑機能、和英辞書機能、英英辞書機能、電源、メニューなどの各種の機能を有している。このため、第2機能キー17は、図4に示すように、そのキートップの表面にキー表示は設けられていない構成になっている。
一方、キー表示パネル8は、図1および図5に示すように、ステンレスなどの金属や合成樹脂などからなり、平板状に形成され、キーボード5の各キー12〜17にそれぞれ対応する開口部18が多数設けられ、これら各開口部18に各キー12〜17が挿入した状態で、キーボード5上に配置されて装飾部材9によって第1ケース2に取り付けられている。このキー表示パネル8の上面には、図6および図7に示すように、国語辞書または英和辞書などの機種ごとに異なる機能表示19が印刷などによって各キーの近傍に対応して設けられている。
すなわち、機能表示19は、キーボード5の各キーのうち、一部のキーの機能が各機種によって異なるため、この機能の異なるキー、例えば第2機能キー17の近傍に位置するキー表示パネル8の個所に設けられているほか、各機種に共通するキー、例えば文字キー12、第1機能キー13、シフトキー15、決定キー16などの各キーの近傍に位置するキー表示パネル8の個所にも設けられている。この場合、第2機能キー17に対応する機能表示19は、国語辞書の場合、図6に示すように、複数検索、例文検索、漢和、百科事典、経済・ビジネス、医学、食の科学などが表示されており、英和辞書の場合には、図7に示すように、複数検索、例文検索、広辞苑、漢和、大英和、英語類語、英英などが表示されている。
また、各機種に共通する各キーのうち、文字キー12に対応する機能表示19は、図6および図7に示すように、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、数字(1、2、3、…)、四則演算(+、−、×、÷)、MC、MR、M−、M+、ACなどが表示されており、第2機能キー13に対応する機能表示19は、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、ガイド、英単語ジャンプなどが表示されている。シフトキー15に対応する機能表示19は、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、前見出し、ページ送り、次見出しなどが表示されている。決定キー16に対応する機能表示19は、図6に示す国語辞書の場合、イコール(=)が表示されており、図7に示す英語辞書の場合には、イコール(=)、登録/チェックなどが表示されている。なお、カーソルキー14に対応する個所には、機能表示19は設けられていない。
装飾部材9は、色や模様などの装飾に応じて異なる種類ごとに製作され、これらの種類のうち、いずれかの種類が第1、第2ケース2、3の左右両側部に着脱可能に装着されるように構成されている。この場合、第1ケース2の両側部に取り付けられる装飾部材9は、キーボード5上に配置されたキー表示パネル8の両側部を第1ケース2の両側部と共に挟み込むことにより、キー表示パネル8をキーボード5上に固定して第1ケース2に着脱可能に装着するように構成されている。また、これら装飾部材9は、第1、第2ケース2、3の両側部にそれぞれ取り付けられることにより、第1、第2ケース2、3の強度を補強する役目をも果たすように構成されている。
次に、このような電子辞書を製作する場合の手順について、図11に示されたフローを参照しながら説明する。
まず、1次組み立てによって、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通の部品、つまり電子辞書としてはまだ機能しない各機種に共通の半完成品を電子機器用モジュールとして製作する(ステップS1)。この場合には、図2に示すように、第1、第2ケース2、3をヒンジ部4によって回動可能に連結して装置本体1を構成し、この装置本体1の第1、第2ケース2、3のうち、第1ケース2の対向面にキーボード5を設け、第2ケース3の対向面に表示部6を設け、これらキーボード5と表示部6とをフレキシブルな配線基板(図示せず)によって電気的に接続する。
このときには、予めキーボード5には、図4に示すように、文字キー12、第1機能キー13、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16、第2機能キー17などの各種のキーが多数配列されており、これら各キーのうち、一部のキー、例えば文字キー12、第1機能キー13、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16は、国語辞書または英和辞書のいずれの機種にも共通するキーであるため、予めキートップの上面にキー表示12a〜16aが印刷などによって設けられている。すなわち、文字キー12には、図4に示すように、ひらがな(あ、い、う、…)、アルファベット(A、B、C、…)などのキー表示12aが設けられており、第1機能キー13には、成句・複合語、用例・解説、熟語などのキー表示13aが設けられている。
また、カーソルキー14には、図4に示すように、表示部6に表示されたカーソルの移動方向を示すキー表示14aが設けられている。シフトキー15には、キートップの上面に情報を移動させる方向を示すキー表示15aが印刷などによって設けられている。決定キー16には、訳/決定、戻る/リストなどのキー表示16aが印刷などによって設けられている。なお、これら以外のキー、例えば第2機能キー17は、国語辞書または英和辞書などの各機種によって機能が異なるため、図4に示すように、キートップの上面にはキー表示が設けられていない。
また、装置本体1の第1ケース2の内部には、図3に示すように、書き込み読み出しが可能なフラッシュメモリなどの記憶素子を有する記憶部10が設けられており、この第1ケース2の裏面にはコネクタ11が記憶部10と電気的に接続された状態で設けられている。このときには、記憶部10には、国語辞書または英和辞書などの各機種のうち、いずれかの機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータも書き込まれていない。このため、この状態では、電子辞書として機能しない状態の半完成品となる。この半完成品は、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通の電子機器用モジュールとなり、ユーザーからの注文を受ける前に予め製作しておくことができる。
次に、キーボード5上に配置されるキー表示パネル8を国語辞書または英和辞書などの機種ごとにそれぞれ製作する(ステップS2)。この場合には、ステンレスなどの金属や合成樹脂などからなる平板状のパネルに、キーボード5の各キー12〜17にそれぞれ対応する開口部18を多数設け、このパネルの上面に、国語辞書または英和辞書などの機種ごとに異なる機能表示19を印刷などによって各キー12〜17の一部に対応させて設ける。
例えば、キーボード5の第2機能キー17が各機種によって異なるため、特にこの第2機能キー17の近傍に位置するキー表示パネル8の個所に機能表示19を設ける。すなわち、この第2機能キー17に対応する機能表示19は、国語辞書の場合、図6に示すように、複数検索、例文検索、漢和、百科事典、経済・ビジネス、医学、食の科学などを表示し、また英和辞書の場合には、図7に示すように、複数検索、例文検索、広辞苑、漢和、大英和、英語類語、英英などを表示する。
また、第2機能キー17以外のキーの一部に対応する個所にも機能表示19が設けられている。例えば、文字キー12に対応する機能表示19は、図6および図7に示すように、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、数字(1、2、3、…)、四則演算(+、−、×、÷)、MC、MR、M−、M+、ACなどを表示し、第1機能キー13に対応する機能表示19は、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、ガイド、英単語ジャンプなどを表示する。同様に、シフトキー15に対応する機能表示19は、国語辞書または英和辞書などの各機種に共通に、前見出し、ページ送り、次見出しなどを表示する。決定キー16に対応する機能表示19は、国語辞書の場合、イコール(=)を表示し、英語辞書の場合には、イコール(=)、登録/チェックなどを表示する。これにより、キー表示パネル8は、国語辞書または英和辞書などの機種ごとにそれぞれ製作されている。
次に、キー表示パネル8をキーボード5上に配置して装飾部材9で固定する(ステップS3)。このときには、キー表示パネル8が機種ごとに機能表示19が異なっているため、国語辞書または英和辞書などの各機種のうち、ユーザーが求める機種に対応するキー表示パネル8をキーボード5上に配置する。例えば、ユーザーが国語辞書を求めている場合には、図6に示す国語辞書の機能が表示されたキー表示パネル8を図9に示すようにキーボード5上に配置する。また、ユーザーが英語辞書を求めている場合には、図7に示す英語辞書の機能が表示されたキー表示パネル8を図10に示すようにキーボード5上に配置する。そして、キーボード5上に配置されたキー表示パネル8を装飾部材9で固定する。
この場合、装飾部材9は、第1ケース2の左右両側部に着脱可能に装着され、これによりキーボード5上に配置されたキー表示パネル8の両側部を第1ケース2の両側部と共に挟み込み、キー表示パネル8をキーボード5上に固定して第1ケース2に着脱可能に装着する。また、この装飾部材9は、色や模様などの装飾に応じて異なる種類ごとに製作されており、これらの種類のうち、キー表示パネル8によって決定された機種に応じた種類の装飾部材9を装着する。例えば、国語辞書の場合には、図9に示すように、青色の装飾部材9を装着し、英語辞書の場合には、図10に示すように、赤色の装飾部材9を装着する。これにより、装飾部材9の色や模様などの装飾によっても、機種が判別できるようになっている。
また、装飾部材9を第2ケース3の左右両側部にも装着する(ステップS4)。この場合にも、キー表示パネル8によって決定された機種に対応する種類の装飾部材9を装着する。例えば、国語辞書の場合には青色の装飾部材9を装着し、英語辞書の場合には赤色の装飾部材9を装着する。また、この装飾部材9は、第1、第2ケース2、3の両側部に装着されると、第1、第2ケース2、3の強度を補強する役目をも果たす。このため、装飾部材9が第2ケース3の両側部に取り付けられると、この装飾部材9によって第2ケース3の強度を確保することができ、これにより第2ケース3内に設けられた表示部6を保護することができる。
この後、第2ケース3に銘板7を取り付ける(ステップS5)。この場合、銘板7は、国語辞書または英和辞書などの機種ごとにそれぞれ製作され、各機種に応じた機能などの内容が印刷されている。このため、各機種に応じた銘板7のうち、キーボード5上に配置されたキー表示パネル8によって決定された機種に対応する銘板7を、図9または図10に示すように、表示部6の下側に位置する第2ケース3の対向面に貼り付ける。
最後に、キー表示パネル8で決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータをパーソナルコンピュータなどの外部情報処理機器(図示せず)によって第1ケース2内の記憶部10に書き込む(ステップS6)。具体的には、機種に対応する各キーの辞書機能を実現するための各辞書データ、キー入力を検知して、該当するキーに対応する辞書を動作させたり、該当するキーに対応する検索・表示機能を実現するためのプログラムデータなどを記憶部10に書き込む。このときには、第1ケース2の裏面に設けられたコネクタ11と外部情報処理機器とを接続ケーブル(図示せず)で電気的に接続し、この状態で国語辞書または英和辞書などの各機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータのうち、キー表示パネル8で決定された機種のデータを外部情報処理機器からコネクタ11を介して第1ケース2の記憶部10に書き込む。これにより、電子辞書として使用することのできる製品が完成する。
このように、この電子辞書によれば、複数の機種のうち、いずれかの機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータが書き込み可能な記憶部10を装置本体1の第1ケース2に設け、この第1ケース2に多数のキー12〜17を有するキーボード5を設け、且つ記憶部10は機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータが書き込まれる前の状態をなし、キーボード5は各キー12〜17のうち、少なくとも各機種に共通の一部のキー、例えば文字キー12、第1機能キー13、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16のみにキー表示12a〜16aが印刷などによって設けられた状態をなし、これにより電子辞書として完成する前の状態で、各機種に共通の半完成品である電子機器用モジュールを製作する。このため、機種別に電子機器用モジュールを管理する必要がなく、1種類の電子機器用モジュールとして共通に管理することができ、これにより在庫管理および製造管理が簡単にできる。
特に、この電子辞書では、キー表示パネル8が機種ごとに異なり、このキー表示パネル8に、各キー12〜17の機能を表わす機能表示19を機種ごとに設けているので、このキー表示パネル8をキーボード5上に配置することにより機種を決定することができ、このキー表示パネル8によって決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータを記憶部10に書き込めば良いので、先行文献のようにユーザーが所望する機種を初期設定するときに、キーボードの各キーにキー表示や機能表示を設ける必要がない。
このため、予め、機種ごとに異なる機能表示19が施されたキー表示パネル8をそれぞれ製作しておくことができるので、生産性が良く、しかもこれらキー表示パネル8のうち、ユーザーが求める機種のキー表示パネル8をキーボード5上に配置するだけで良いので、各キー12〜17に対するキー表示12a〜17aおよび機能表示19を簡単に且つ容易に設けることができる。また、このキー表示パネル8の機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータを第1ケース2の記憶部10に書き込めば良いので、生産性が高く、量産性に優れ、低価格なものを得ることができるばかりか、ユーザーの要望に速やかに応えることができ、これにより製品の納品も速やかにできる。
また、キー表示パネル8がキーボード5上に配置された状態で、そのキー表示パネル8の両側部を装飾部材9によって装置本体1の第1ケース2に取り付けることにより、キー表示パネル8をキーボード5上に簡単に固定することができる。特に、装飾部材9は色や模様などの装飾に応じて異なる種類ごとに製作され、これらの種類のうち、いずれかの種類の装飾部材9を装置本体1の第1、第2ケース2、3の各両側部に着脱可能に装着することにより、色や模様などの装飾を有する装飾部材9をユーザーの好みに応じて自由に交換することができると共に、この装飾部材9によって装飾性を高めることができ、これにより商品価値の高いものを得ることができる。この場合、機種ごとに色や模様などの装飾の異なる装飾部材9を装着することにより、この装飾部材9によって機種を判別することができ、これにより製品管理をすることもできる。また、この装飾部材9によって装置本体1の第1、第2ケース2、3の強度をも高めることができる。
また、この電子辞書では、装置本体1の第1ケース2の裏面にコネクタ11を設け、このコネクタ11と第1ケース2内の記憶部10とを電気的に接続しているので、キー表示パネル8によって決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータをパーソナルコンピュータなどの外部情報処理機器から記憶部10に容易に書き込むことができる。このため、従来例のようにデータが予め記憶された記憶部を装置本体に組み込む場合に比べて、組み立て作業性が良く、これによっても生産性および量産性の向上を図ることができる。
さらに、この電子辞書では、装置本体1の第2ケース3に、キー表示パネル8によって決定された機種の銘板7が取り付けられているので、この銘板7によって完成品の機種およびその機能を容易に確認することができ、これによっても製品管理が容易にできる。特に、装置本体1の第2ケース3に銘板7を取り付けた後に、この銘板7を確認してこの機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータを記憶部10に書き込むことができるので、別機種のデータを誤って取り込んでしまうというデータの取り違えを防ぐことができる。
(実施形態2)
次に、図12〜図15を参照して、この発明の電子機器を電子辞書に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図11に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子辞書は、キーボード20の各キー12〜17のうち、一部のキー、例えば第1機能キー13に、組み立て後にキー表示13bをレーザ加工によって設ける構造で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構造になっている。すなわち、この電子辞書は、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各種の機種があり、これに伴って第1、第2機能キー13、17の機能が各機種によって異なっている。
この場合、第1、第2機能キー13、17以外の各キー、つまり文字キー12、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16には、予めキー表示12a、14a、15a、16aが設けられているが、第1、第2機能キー13、17のうち、特に第1機能キー13には予めキー表示は設けられておらず、キーボード20上にキー表示パネル8を取り付けて組み立てが完了した後に、レーザ加工によって成句・複合語、用例・解説、熟語などのキー表示13bが設けられるように構成されている。このレーザ加工は、レーザ光線をキートップの上面に照射させことにより、キートップの表面を変色させてキー表示13bを設ける方法が望ましいが、キートップの表面の素材を剥離させてキー表示13bを設ける方法でも良い。
次に、このような電子辞書を製作する場合の手順について、図15に示されたフローを参照しながら説明する。
まず、1次組み立てによって、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各機種に共通の部品、つまり電子辞書としてはまだ機能しない各機種に共通の半完成品を電子機器用モジュールとして製作する(ステップS10)。この場合には、実施形態1と同様、第1、第2ケース2、3をヒンジ部4によって回動可能に連結して装置本体1を構成し、この装置本体1の第1、第2ケース2、3のうち、第1ケース2の対向面にキーボード20を設け、第2ケース3の対向面に表示部6を設け、これらキーボード20と表示部6とをフレキシブルな配線基板(図示せず)によって電気的に接続する。
このときには、予めキーボード20には、図12に示すように、文字キー12、第1機能キー13、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16、第2機能キー17などの各種のキーが多数配列されており、これら各キーのうち、一部のキー、例えば文字キー12、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16は、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書のいずれの機種にも共通するキーであるため、実施形態1と同様、予めキートップの上面にキー表示12a、14a、15a、16aが印刷などによって設けられているが、第1機能キー13には、予めキー表示は設けられていない。
また、装置本体1の第1ケース2の内部には、実施形態1と同様、書き込み読み出しが可能なフラッシュメモリなどの記憶素子を有する記憶部10が設けられており、この第1ケース2の裏面にはコネクタ11が記憶部10と電気的に接続された状態で設けられている。このときには、記憶部10には、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各機種のうち、いずれかの機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータも書き込まれていない。このため、この状態では、電子辞書として機能しない状態の半完成品となる。この半完成品は、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの機種に共通の電子機器用モジュールとなり、ユーザーからの注文を受ける前に予め製作しておくことができる。
次に、キーボード20上に配置されるキー表示パネル8を国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの機種ごとにそれぞれ製作する(ステップS11)。この場合には、ステンレスなどの金属や合成樹脂などからなる平板状のパネルに、キーボード20の各キー12〜17にそれぞれ対応する開口部18を多数設け、このパネルの上面に、国語辞書英和辞書、または英和・和英辞書などの機種ごとに異なる機能表示19を印刷などによって各キー12〜17の一部に対応させて設ける。
例えば、キーボード20の第2機能キー17は機種によって異なるため、特に第2機能キー17の近傍に位置するキー表示パネル8の個所に機能表示19を設ける。すなわち、この第2機能キー17に対応する機能表示19は、国語辞書の場合、図6に示した実施形態1と同様に表示され、英和辞書の場合にも、図7に示した実施形態1と同様に表示されているが、英和・和英辞書の場合には、図13に示すように、複数検索、英和、日本史辞典、和英、世界史辞典、国語、英単語、古語、英単語1000、漢字などが表示されている。
また、第2機能キー17以外のキーに対応する個所にも機能表示19が設けられている。例えば、文字キー12に対応する機能表示19は、図13に示すように、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各機種に共通に、数字(1、2、3、…)、四則演算(+、−、×、÷)、MC、MR、M−、M+、ACなどが表示されており、第1機能キー13に対応する機能表示19は、図6および図7に示す国語辞書および英和辞書の場合、ガイド、英単語ジャンプなどが表示され、図13に示す英和・和英辞書の場合には、英単語ジャンプ、ズームなどが表示されている。
また、シフトキー15に対応する機能表示19は、実施形態1と同様、前見出し、ページ送り、次見出しなどが表示されている。決定キー16に対応する機能表示19も、実施形態1と同様、国語辞書の場合、イコール(=)が表示され、英和辞書または英和・和英辞書の場合には、イコール(=)、登録/チェックなどが表示されている。これにより、キー表示パネル8は、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの機種ごとにそれぞれ製作されている。
次に、キー表示パネル8をキーボード20上に配置して装飾部材9で固定する(ステップS12)。このときには、キー表示パネル8が機種ごとに機能表示19が異なっているため、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各機種のうち、ユーザーが求める機種に対応するキー表示パネル8をキーボード20上に配置する。例えば、ユーザーが国語辞書を求めている場合には、実施形態1と同様、国語辞書の機能が表示されたキー表示パネル8を図9に示すようにキーボード20上に配置する。
同様に、ユーザーが英和辞書を求めている場合には、実施形態1と同様、英和辞書の機能が表示されたキー表示パネル8を図10に示すようにキーボード20上に配置する。また、ユーザーが英和・和英辞書を求めている場合には、図13に示す英和・和英辞書の機能が表示されたキー表示パネル8を図14に示すようにキーボード20上に配置する。そして、キーボード20上に配置されたキー表示パネル8を装飾部材9で固定する。
この場合、装飾部材9は、実施形態1と同様、第1ケース2の左右両側部に着脱可能に装着されて、キーボード20上に配置されたキー表示パネル8の両側部を第1ケース2の両側部と共に挟み込み、キー表示パネル8をキーボード20上に固定して第1ケース2に着脱可能に装着する。また、この装飾部材9も、色や模様などの装飾に応じて異なる種類ごとに製作されており、これら種類のうち、キー表示パネル8によって決定された機種に応じた種類の装飾部材9が装着される。例えば、国語辞書の場合には、実施形態1と同様、青色の装飾部材9が装着され、また英和辞書の場合には赤色の装飾部材9が装着され、英和・和英辞書の場合には金色の装飾部材9が装着される。これにより、装飾部材9の色や模様などの装飾によっても機種の判別できるようになっている。
また、装飾部材9を第2ケース3の左右両側部にも装着する(ステップS13)。この場合にも、キー表示パネル8によって決定された機種に応じた種類の装飾部材9を装着する。例えば、国語辞書の場合には青色の装飾部材9を装着し、英和辞書の場合には赤色の装飾部材9を装着し、英和・和英辞書の場合には、金色の装飾部材9を装着する。また、この装飾部材9も、実施形態1と同様、第1、第2ケース2、3の両側部に装着されると、第1、第2ケース2、3の強度を補強する役目をも果たす。このため、装飾部材9が第2ケース3の両側部に取り付けられると、この装飾部材9によって第2ケース3の強度を確保することができ、これにより第2ケース3に設けられた表示部6を保護することができる。
この後、第2ケース3に銘板7を取り付ける(ステップS14)。この場合にも、銘板7は、国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの機種ごとにそれぞれ製作され、各機種に対応する機能などの内容が印刷されている。このため、各機種に対応する銘板7のうち、キーボード20上に配置されたキー表示パネル8によって決定された機種に対応する銘板7を、実施形態1と同様、表示部6の下側に位置する第2ケース3の対向面に貼り付ける。
次に、キーボード20の各キー12〜17のうち、キー表示が施されていない第1機能キー13にキー表示13bをレーザ加工によって設ける(ステップS15)。すなわち、このキーボード20には、第1機能キー13にキー表示が施されていないため、機種ごとにキー表示13bをレーザ加工によって施す必要がある。すなわち、国語辞書と英和辞書の場合には、図9および図10に示した実施形態1と同様、成句・複合語、用例・解説、熟語などのキー表示13bをレーザ加工によって設ける。また、英和・和英辞書の場合には、図14に示すように、国語辞書と英和辞書の場合とは異なるキー表示13b、例えば成句・複合語、用例・解説、単語帳などのキー表示13bをレーザ加工によって設ける。
最後に、キー表示パネル8で決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータをパーソナルコンピュータなどの外部情報処理機器(図示せず)によって第1ケース2内の記憶部10に書き込む(ステップS16)。このときには、実施形態1と同様、第1ケース2の裏面に設けられたコネクタ11と外部情報処理機器とを接続ケーブル(図示せず)で電気的に接続し、この状態で国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータのうち、キー表示パネル8で決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータを外部情報処理機器からコネクタ11を介して第1ケース2の記憶部10に書き込む。これにより、電子辞書として使用することのできる製品が完成する。
このように、この電子辞書によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、特に国語辞書、英和辞書、または英和・和英辞書などの各機種に共通のキー以外のキーの少なくとも一部、例えば文字キー12、カーソルキー14、シフトキー15、決定キー16以外のキー、つまり第1機能キー13に、組み立て後にキー表示13bをレーザ加工によって設けることにより、ユーザーからの注文を受けてからでも、キー表示13bを簡単に且つ容易に設けることができる。このため、キーボード20に機種特有の機能を有するキーを設ける場合にも、生産性および量産性が良く、より多くの機種を容易に生産することができる。
(実施形態3)
次に、図16〜図21を参照して、この発明の電子機器を外国向けの電子辞書に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図11に示された実施形態1と同一部分には同一号を付して説明する。
この電子辞書は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの外国向けの複数の機種のうち、いずれかの辞書機能を有するものであり、キーボード30の各キー表示31a〜36aとキー表示パネル37の機能表示38が実施形態1と異なる構造で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構造になっている。
すなわち、キーボード30は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの外国向けの各機種に応じて、文字キー31、第1機能キー32、カーソルキー33、シフトキー34、決定キー35、機能キー36などの各種のキーが多数配列され、この状態で装置本体1の第1ケース2に設けられている。この場合、各種のキーのうち、一部のキー、例えばカーソルキー33、シフトキー34、決定キー35などのキーは、図16に示すように、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種のいずれにも共通のキー表示33a、34a、35aが設けられており、他の一部のキー、例えば文字キー31、第1機能キー32、第2機能キー36は、図19および図20に示すように、各機種によって異なるキー表示31a、32a、36aが設けられるように構成されている。
例えば、カーソルキー33は、第2ケース3に設けられた表示部6に表示されたカーソル(図示せず)を移動させるためのキーであり、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種のいずれにも共通であるため、キートップの上面にカーソルの移動方向を示すキー表示33aが印刷などによって設けられている。同様に、シフトキー34は、表示部6に表示された情報を順次シフトさせるためのキーであり、これも各機種のいずれにも共通であるため、キートップの上面に情報を移動させる方向を示すキー表示34aが印刷などによって設けられている。決定キー35は、キー操作によって入力されたデータを決定したり修正したりするためのキーであり、これも各機種のいずれにも共通であるため、キートップの上面にENTER、ESC/LISTなどのキー表示35aが印刷などによって設けられている。
一方、文字キー31は、アルファベットなどの文字情報を入力するためのキーであり、図19および図20に示すように、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種によってキー表示31aが異なる。このため、文字キー31は、予めキー表示31aが設けられておらず、組み立て後にキー表示31aがレーザ加工によって設けられる。例えば、この文字キー31は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図19に示すように、ドイツ語でアルファベット(A、B、C、…)などのキー表示31aが設けられており、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図20に示すように、スペイン語でアルファベット(A、B、C、…)などのキー表示31aが設けられる。
第1機能キー32も、図19および図20に示すように、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種によってキー表示32aが異なる。このため、この第1機能キー32は、文字キー31と同様、予めキー表示が設けられておらず、組み立て後にキー表示32aがレーザ加工によって設けられる。例えば、この第1機能キー32は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図19に示すように、ドイツ語でPHRASE、BEI・KOM、EINSTなどのキー表示32aが設けられ、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図20に示すように、スペイン語でFRASE、EJ・FXPL、AJUSTESなどのキー表示32aが設けられる。
また、第2機能キー36も、図19および図20に示すように、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種によってキー表示36aが異なっている。このため、この第2機能キー36も、文字キー31と同様、予めキー表示36aが設けられておらず、組み立て後にキー表示36aがレーザ加工によって設けられる。例えば、この第2機能キー36は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図19に示すように、ドイツ語で、EN/DE、DE/EN、EN/EN、DEU、RECHTなどのキー表示36aが設けられ、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図20に示すように、スペイン語で、IN/ES、ES/IN、IN/IN、SIN、ES/ESなどのキー表示36aが設けられる。
また、キー表示パネル37は、図17および図18に示すように、ステンレスなどの金属や合成樹脂などからなり、平板状に形成され、キーボード30の各キー31〜36にそれぞれ対応する開口部39が多数設けられ、これら各開口部39に各キー31〜36が挿入した状態で、キーボード30上に配置されて装飾部材9によって第1ケース2に取り付けられている。このキー表示パネル37の上面には、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの機種ごとに異なる機能表示38が印刷などによって各キーの近傍に対応して設けられている。
すなわち、機能表示38は、キーボード30の各キーのうち、一部のキーの表示が各機種によって異なるため、この表示の異なるキーの近傍に位置するキー表示パネル37の個所に設けられている。この場合、機能表示38は、各キーのうち、第1、第2機能キー32、36およびシフトキー34に対応する個所に設けられているほか、各機種に共通のキーの一部、つまりカーソルキー33を除く文字キー31、決定キー35などの一部に対応する個所にも設けられている。
例えば、第1機能キー32に対応する機能表示38は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図17および図19に示すように、ドイツ語でINFOがEINSTのキー表示32aに対応して表示されており、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図18および図20に示すように、スペイン語でGUIAがAJUSTKSのキー表示32aに対応して表示されている。第2機能キー36に対応する機能表示38は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図17および図19に示すように、ドイツ語でRECHNがRECHTのキー表示36aに対応して表示されており、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図18および図20に示すように、スペイン語でCALCがMENUのキー表示36aに対応して表示されている。同様に、シフトキー34に対応する機能表示38は、それぞれ前見出し、ページ送り、次見出しなどの機能が機種に応じてドイツ語またはスペイン語のいずれかで表示されている。
また、各機種に共通の各キーのうち、文字キー31に対応する機能表示38は、図17および図18に示すように、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に共通に、数字(1、2、3、…)、四則演算(+、−、×、÷)、MC、MR、M−、M+、ACなどが表示されており、決定キー35に対応する機能表示38は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に共通に、イコール(=)が表示されている。
次に、このような電子辞書を製作する場合の手順について、図21に示されたフローを参照しながら説明する。
まず、1次組み立てによって、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの外国向けての各機種に共通の部品、つまり電子辞書としてはまだ機能しない各機種に共通の半完成品を電子機器用モジュールとして製作する(ステップS20)。この場合には、実施形態1と同様、第1、第2ケース2、3をヒンジ部4によって回動可能に連結して装置本体1を構成し、この装置本体1の第1、第2ケース2、3のうち、第1ケース2の対向面にキーボード30を設け、第2ケース3の対向面に表示部6を設け、これらキーボード30と表示部6とをフレキシブルな配線基板(図示せず)によって電気的に接続する。
このときには、予めキーボード30には、図16に示すように、文字キー31、第1機能キー32、カーソルキー33、シフトキー34、決定キー35、第2機能キー36などの各種のキーが多数配列されており、これら各キーのうち、一部のキー、例えばカーソルキー33、シフトキー34、決定キー35は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書のいずれの機種にも共通であるため、実施形態1と同様、予めキートップの上面にキー表示33a、34a、35aが印刷などによって設けられている。この場合、文字キー31および第1、第2機能キー32、36には、図16に示すように、キー表示は設けられていない。
また、装置本体1の第1ケース2の内部には、実施形態1と同様、書き込み読み出しが可能なフラッシュメモリなどの記憶素子を有する記憶部10が設けられており、この第1ケース2の裏面にはコネクタ11が記憶部10と電気的に接続された状態で設けられている。このときには、記憶部10には、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種のうち、いずれの機種のデータも書き込まれていない。このため、この状態では、電子辞書として機能しない状態の半完成品となる。この半完成品は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に共通の電子機器用モジュールとなり、ユーザーからの注文を受ける前に予め製作しておくことができる。
次に、キーボード30上に配置されるキー表示パネル37をドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの機種ごとにそれぞれ製作する(ステップS21)。この場合には、ステンレスなどの金属や合成樹脂などからなる平板状のパネルに、キーボード30の各キー31〜36にそれぞれ対応する開口部39を多数設け、このパネルの上面に、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの機種ごとに異なる機能表示38を印刷などによって各キー31〜36の一部に対応させて設ける。
すなわち、キーボード30の第1、第2機能キー32、36およびシフトキー34の機能表示38が機種によって異なるため、第1、第2機能キー32、36およびシフトキー34の近傍に位置するキー表示パネル37の個所に機能表示38を設ける。例えば、第1機能キー32に対応する機能表示38は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図17および図19に示すように、ドイツ語でINFOがEINSTのキー表示32aに対応して表示され、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図18および図20に示すように、スペイン語でGUIAがAJUSTKSのキー表示32aに対応して表示されている。
第2機能キー36に対応する機能表示38は、ドイツ向けスペイン語辞書の場合、図17および図19に示すように、ドイツ語でRECHNがRECHTのキー表示36aに対応して表示され、またスペイン向けドイツ語辞書の場合には、図18および図20に示すように、スペイン語でCALCがMENUのキー表示36aに対応して表示されている。シフトキー34に対応する機能表示38は、前見出し、ページ送り、次見出しなどの機能が各機種に応じてドイツ語またはスペイン語のいずれかで表示されている。
また、第1、第2機能キー32、36およびシフトキー34以外のキーに対応する個所にも機能表示38が設けられている。例えば、文字キー31に対応する機能表示38は、図19および図20に示すように、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に共通に、数字(1、2、3、…)、四則演算(+、−、×、÷)、MC、MR、M−、M+、ACなどが表示されている。また、決定キー35に対応する機能表示38も、イコール(=)が表示されている。これにより、キー表示パネル37は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの機種ごとにそれぞれ製作されている。
次に、キー表示パネル37をキーボード30上に配置して装飾部材9で固定する(ステップS22)。このときには、キー表示パネル37が機種ごとに機能表示38が異なっているため、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種のうち、ユーザーが求める機種に対応するキー表示パネル37をキーボード30上に配置する。例えば、ユーザーがドイツ向けスペイン語辞書を求めている場合には、ドイツ語で表示されたキー表示パネル37を図19に示すようにキーボード30上に配置する。また、ユーザーがスペイン向けドイツ語辞書を求めている場合には、スペイン語で表示されたキー表示パネル37を図20に示すようにキーボード30上に配置する。そして、キーボード30上に配置されたキー表示パネル37を装飾部材9で固定する。
この場合、装飾部材9は、実施形態1と同様、第1ケース2の左右両側部に着脱可能に装着されて、キーボード30上に配置されたキー表示パネル37の両側部を第1ケース2の両側部と共に挟み込み、キー表示パネル37をキーボード30上に固定して第1ケース2に着脱可能に装着する。また、この装飾部材9も、色や模様などの装飾に応じて異なる種類ごとに製作されており、これらの種類のうち、キー表示パネル37によって決定された機種に応じた種類の装飾部材9が装着される。例えば、ドイツ向けスペイン語辞書の場合には、青色の装飾部材9が装着され、またスペイン向けドイツ語辞書の場合には、赤色の装飾部材9が装着される。これにより、装飾部材9の色や模様などの装飾によっても、機種の判別できるようになっている。
また、装飾部材9を第2ケース3の左右両側部にも装着する(ステップS23)。この場合にも、キー表示パネル37によって決定された機種に応じた種類の装飾部材9を装着する。例えば、ドイツ向けスペイン語辞書の場合には青色の装飾部材9を装着し、スペイン向けドイツ語辞書の場合には赤色の装飾部材9を装着する。また、この装飾部材9も、実施形態1と同様、第1、第2ケース2、3の両側部に装着されると、第1、第2ケース2、3の強度を補強する役目をも果たす。このため、装飾部材9が第2ケース3の両側部に取り付けられると、この装飾部材9によって第2ケース3の強度を確保することができ、これにより第2ケース3に設けられた表示部6を保護することができる。
この後、第2ケース3に銘板7を第2ケース3に取り付ける(ステップS24)。この場合、銘板7は、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの機種ごとにそれぞれ製作され、各機種に対応する機能などの内容が印刷されている。このため、各機種に応じた銘板7のうち、キーボード30上に配置されたキー表示パネル37によって決定された機種に対応する銘板7を、実施形態1と同様、表示部6の下側に位置する第2ケース3の対向面に貼り付ける。
次に、キーボード30の各キー31〜36のうち、キー表示が施されていない文字キー31および第1、第2機能キー32、36にキー表示31a、32a、36aをレーザ加工によって設ける(ステップS25)。すなわち、このキーボード30には、文字キー31および第1、第2機能キー32、36にキー表示が設けられていないため、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に応じてキー表示31a、32a、36aをレーザ加工によって設ける必要がある。
例えば、ドイツ向けスペイン語辞書の場合には、図19に示すように、文字キー31のキートップにドイツ語でアルファベット(A、B、C、…)などのキー表示31aを、また第1機能キー32のキートップにドイツ語でPHRASE、BEI・KOM、EINSTなどのキー表示32aを、更に第2機能キー36にドイツ語でEN/DE、DE/EN、EN/EN、DEU、RECHTなどのキー表示36aをそれぞれレーザ加工によって設ける。また、スペイン向けドイツ語辞書の場合には、図20に示すように、文字キー31のキートップにスペイン語でアルファベット(A、B、C、…)などのキー表示31aを、第1機能キー32のキートップにスペイン語でFRASE、EJ・FXPL、AJUSTESなどのキー表示32aを、第2機能キー36にスペイン語でIN/ES、ES/IN、IN/IN、SIN、ES/ESなどのキー表示36aをそれぞれレーザ加工によって設ける。
最後に、キー表示パネル37で決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータをパーソナルコンピュータなどの外部情報処理機器(図示せず)によって第1ケース2内の記憶部10に書き込む(ステップS26)。このときには、実施形態1と同様、第1ケース2の裏面に設けられたコネクタ11と外部情報処理機器とを接続ケーブル(図示せず)で電気的に接続し、この状態でドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータのうち、キー表示パネル37で決定された機種に対応する各キーの機能を実現するためのデータを外部情報処理機器からコネクタ11を介して第1ケース2の記憶部10に書き込む。これにより、電子辞書として使用することのできる製品が完成する。
このように、この電子辞書によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、特にドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの各機種に共通のキー、例えばカーソルキー33、シフトキー34、決定キー35の各キートップに予めキー表示33a、34a、35aを印刷などによって設け、これ以外のキー、すなわちドイツ向けとスペイン向けとでキー表示が異なるキー、例えば文字キー31および第1、第2機能キー32、36の各キートップには、組み立て後にキー表示31a、32a、36aをレーザ加工によって設けることにより、ユーザーからの注文を受けてからでも、キー表示31a、32a、36aを簡単に且つ容易に設けることができる。このため、キーボード30に機種特有の機能を有するキーを設ける場合にも、生産性および量産性が良く、より多くの機種を容易に生産することができる。
なお、上記実施形態3では、ドイツ向けスペイン語辞書、またはスペイン向けドイツ語辞書などの外国向けの各機種について述べたが、これに限らず、例えばドイツ向けのフランス語や英語の各辞書、スペイン向けのフランス語や英語の各辞書、フランス向けのドイツ語やスペイン語、英語の各辞書、またはアメリカ向けのドイツ語、スペイン語、フランス語の各辞書など、世界各国向けの各国語の辞書にも適用することができる。
また、上記実施形態1〜3においては、電子辞書を組み立てる場合、手作業によって組み立てるようにしても良く、また工場で自動生産ラインによって組み立てるようにしても良い。
さらに、上記実施形態1〜3では、電子辞書に適用した場合について述べたが、これに限らず、電子式卓上計算機、携帯型パーソナルコンピュータ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの電子機器に広く適用することができる。