JP3945384B2 - アイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の条件が満たされた時にアイドルストップを行うアイドルストップ車両のリフレッシュ充電を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の条件が満たされた場合にエンジンを自動停止させるアイドルストップ機能付きのハイブリッド車両において、モータによる発電を最適なタイミングで行うことにより、燃料消費率を低減することができるハイブリッド車両の制御装置が知られている(特許文献1参照)。この制御装置では、エンジンの回転領域が、モータによる発電を高効率で行うことのできる高回転領域であると共に、エンジンの燃焼効率の高い高負荷領域である場合に、モータによる発電によってバッテリの充電を許可し、それ以外の場合にはモータによる発電を禁止するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−268709号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の制御装置では、バッテリの充電中にアイドルストップ条件が成立するとエンジンを停止するようにしているので、この場合にはエンジンにより駆動して発電を行うモータも停止することになる。従って、モータにより発電された電力を用いてバッテリのリフレッシュ充電を行っていた場合には、充電が途中で中断してしまい、リフレッシュ効果が得られない可能性があった。
【0005】
本発明は、アイドルストップ条件が成立した場合にアイドルストップを行いつつ、バッテリのリフレッシュ充電を行うことができるアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定のアイドルストップ条件が満たされた時にエンジンが自動停止するアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置において、エンジンにより駆動されて発電を行う発電手段により発電された電力を用いて第1のバッテリのリフレッシュ充電を行っている時にアイドルストップ条件が成立すると、電圧変換手段を昇圧作動させることにより、第1のバッテリより定格電圧が低い第2のバッテリに蓄えられた電力を用いて第1のバッテリのリフレッシュ充電を行うとともに、アイドルストップを解除する条件が成立した場合には、エンジンの出力トルクがトルク指令値と一致するまでは電圧変換手段を降圧作動させないことを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明によるアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置によれば、第1のバッテリのリフレッシュ充電中にアイドルストップ条件が成立すると、電圧変換手段を昇圧作動させて、第1のバッテリより定格電圧が低い第2のバッテリに蓄えられた電力を用いて第1のバッテリのリフレッシュ充電を行うので、アイドルストップを行いながら、第1のバッテリのリフレッシュ充電を行うことができる。また、アイドルストップを解除する条件が成立した場合には、エンジンの出力トルクがトルク指令値と一致するまでは電圧変換手段を降圧作動させないので、加速性能などの車両の走行性能に悪影響が及ぶことを防ぐことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による充電制御装置を適用したアイドルストップ車両の一実施の形態における構成を示す図である。このアイドルストップ車両は、エンジン10の駆動力が変速機30を介して、車軸40および駆動輪50a,50bに伝達されることにより走行する。エンジン10の出力側には、モータ20が直結されている。
【0009】
一般に、電動機(モータ)は、電力を駆動力に変換して力行運転するものであるが、そのままの構造で駆動力を電力に逆変換して回生運転することが可能である。また、発電機(ジェネレータ)は、駆動力を電力に変換して発電運転(回生運転と同等)するものであるが、そのままの構造で電力を駆動力に逆変換して力行運転することが可能である。つまり、電動機(モータ)と発電機(ジェネレータ)とは基本的に同一構造であり、どちらも駆動(力行)と発電(回生)とが可能である。したがって、本明細書では、電気エネルギー(電力)を回転エネルギー(駆動力)に変換する電動機(モータ)の機能と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(ジェネレータ)の機能を合わせ持つ回転電機を、モータジェネレータまたは単にモータと呼ぶ。一方、内燃機関はガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃やしたときに発生する燃焼エネルギーを回転エネルギー(駆動力)に変換するものであり、この明細書ではこれらの内燃機関をエンジンと総称する。
【0010】
モータ20は、その回転力によりエンジン10を始動するために用いられる。
エンジン10の始動には、車両起動時のエンジン始動とともに、アイドルストップした状態から所定のアイドルストップ解除条件が満たされた時のエンジン10の再始動も含まれる。また、モータ20は、エンジン10を動力源とする回生運転により発電を行うとともに、後述する車両の回生制動時には、車輪50a,50bの回転力を駆動源とする回生運転による発電を行う。発電された電力は、インバータ60で直流電力に変換されて、高電圧バッテリ70に蓄電される。
【0011】
高電圧バッテリ70は、モータ20の動力源となる充放電可能な電池電源であり、その定格は42[V]である。本実施の形態では、高電圧バッテリ70として、充放電中に組成が変わる酸化鉛を含む鉛の格子を電極とし、希硫酸を電解質とする鉛蓄電池を用いる。この鉛蓄電池では、放電時に硫酸鉛の結晶が生成されるが、硫酸鉛の結晶が蓄積されると充電ができない状態になる(この現象をサルフェーションと呼ぶ)。従って、高電圧バッテリ70の充電時に、満充電状態を継続するリフレッシュ充電を行うことにより、極板に生成した硫酸鉛の結晶を分解する必要がある。本実施の形態では、このリフレッシュ充電を所定の時間ごとに行う。
【0012】
高電圧バッテリ70の充電時、すなわち、モータ20から発電電力が得られている状態では、発電された3相交流電力がインバータ60により直流電力に変換されて、高電圧バッテリ70に供給される。一方、放電時には、高電圧バッテリ70に蓄えられている電力が、インバータ60により3相交流電力に変換されて、モータ20に供給される。
【0013】
低電圧バッテリ90は、図示しないエンジン補機などの車載電気負荷の電力源として一般的に用いられている定格14[V]の鉛酸電池である。低電圧バッテリ90の充電時には、モータ20の回転駆動により発電された3相交流電力がインバータ60で直流電力に変換された後、DC/DCコンバータ80で降圧されて、低電圧バッテリ90に供給される。また、後述するように、高電圧バッテリ70のリフレッシュ充電中にアイドルストップ条件が成立すると、低電圧バッテリ90に蓄えられている電力がDC/DCコンバータ80で昇圧されて、高電圧バッテリ70に供給される。
【0014】
コントローラ100は、CPU100a、ROM100b、RAM100c、タイマ100dを備え、エンジン10、インバータ60、DC/DCコンバータ80を制御する。コントローラ100は、DC/DCコンバータ80に対しては、後述する所定条件に基づいて、降圧/昇圧指令を送る。
【0015】
コントローラ100には、図示しないアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ110、図示しないブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ120、車両の速度を検出する車速センサ130が接続されている。コントローラ100は、各センサ110〜130で検出された検出値に基づいてエンジントルク指令値(駆動力トルクTrun)を算出し、不図示のスロットルバルブ開閉装置、燃料噴射装置および点火時期制御装置を制御することによりエンジン10の制御を行う。
【0016】
コントローラ100には、さらに、高電圧バッテリ70の電圧を検出する高電圧バッテリセンサ140、高電圧バッテリ70に流れる充放電電流を検出する高電圧バッテリ電流センサ150、低電圧バッテリ90の電圧を検出する低電圧バッテリセンサ160、および、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ170が接続されている。コントローラ100は、各センサ110〜140で検出された検出値に基づいて、アイドルストップの実施/解除を決定する。具体的には、車速センサ130で検出した車速が0km/hであり、アクセルペダル操作量が0、ブレーキ操作量が所定操作量以上、かつ、高電圧バッテリ70のSOC(充電率)が所定値以上の全ての条件が満たされた時に、アイドルストップを実施する。高電圧バッテリ70のSOCは、高電圧バッテリセンサ140で検出された電圧と、高電圧バッテリ電流センサ150で検出された電流とに基づいて回帰演算を行うことにより、高電圧バッテリ70の無負荷時電圧(開路電圧)を推定し、推定した無負荷時電圧から所定の関係に基づいて算出する。
【0017】
また、アイドルストップしている状態から、上述したいずれかの条件が満たされなくなった時、すなわち、アクセルペダル操作量が0より大きいか、ブレーキ操作量が所定操作量未満であるか、高電圧バッテリ70のSOCが所定値未満となるかのいずれかの条件が成立した場合に、アイドルストップを解除する。なお、200はイグニッションスイッチである。
【0018】
図2〜図4は、エンジン10の運転状態に応じた電力の流れを説明するための図である。図2は、エンジン10を動力源としてモータ20が回生運転により発電を行っている場合の電力の流れを示す図である。この場合には、上述したように、発電電力がインバータ60で直流電力に変換されて、高電圧バッテリ70に供給される。図3は、車両の減速時に、車輪50a,50bの回転力によりモータ20を駆動して回生発電を行っている場合の電力の流れを示す図である。このように、減速時にモータ20を発電機として運動エネルギーを回収する動作を回生制動と呼ぶ。この場合には、回生制動により発電された電力を用いて高電圧バッテリ70の充電が行われ、不足分はエンジン10を動力源としてモータ20の回生運転が行われる。この場合も、発電電力はインバータ60で直流電力に変換されて、高電圧バッテリ70に供給される。
【0019】
図4は、車両のアイドルストップ中に、高電圧バッテリ70の充電を継続する必要がある場合の電力の流れを示す図である。アイドルストップ中には、モータ20を駆動して発電を行うことができないので、低電圧バッテリ90に蓄えられている電力をDC/DCコンバータ80で昇圧して、高電圧バッテリ70に供給する。
【0020】
図5および図6は、本発明によるアイドルストップ車両の充電制御装置による充電制御処理内容を示す一実施の形態のフローチャートである。このフローチャートによる処理は、コントローラ100により行われる。また、図7(a),(b),(c)は、高電圧バッテリ70のバッテリ電圧、エンジン10に対するトルク指令値およびインバータ60に対するトルク指令値、DC/DCコンバータ80の降圧/昇圧状態をそれぞれ示す図である。以下では、図7(a)〜(c)を参照しながら、図5,図6に示すフローチャートの処理について説明する。
【0021】
ステップS10では、イグニッションスイッチ200がオンされているか否かを判定する。イグニッションスイッチ200がオンされていると判定するとステップS20に進み、オンされていないと判定するとオンされるまでステップS10で待機する。
【0022】
ステップS20では、高電圧バッテリ70のリフレッシュ充電を行う必要があるか否かを判定する。この判定は、前回のリフレッシュ充電を行ってからの経過時間が所定時間以上であるか否かに基づいて行う。リフレッシュ充電を行う必要があると判定するとステップS30に進み、行う必要がないと判定すると、図6に示すフローチャートのステップS200に進む。
【0023】
ステップS30では、リフレッシュ充電時の目標電圧に基づいて、発電トルクTgenを算出する。発電トルクTgenを算出すると、ステップS40に進む。ステップS40では、ステップS30で算出した発電トルク指令値Tgenをインバータ60に送信するとともに、エンジン10の駆動力トルクTrunと発電トルクTgenとを加算したトルク指令値をエンジン10に送信する。駆動力トルクTrunは、車両が走行するために必要なトルクであり、上述したように、各センサ110〜130で検出された検出値に基づいて算出する。これにより、図7(b)に示すように、エンジン10に対するトルク指令値は、Trunから(Trun+Tgen)となる。また、インバータに発電トルク指令値Tgenが送信されることにより、モータ20で発電された電力が高電圧バッテリ70に供給されるので、高電圧バッテリ70のバッテリ電圧はリフレッシュ目標電圧まで上昇する(図7の段階▲1▼,▲2▼)。
【0024】
ステップS40に続くステップS50では、タイマ100dにより、リフレッシュ充電を開始してからの経過時間であるリフレッシュ充電時間Tmrefのカウントを開始する。リフレッシュ充電時間Tmrefのカウントを開始するとステップS60に進む。ステップS60では、図3を用いて説明した回生制動の状態になったか否かを判定する。この判定は、車速センサ130により検出される車速に基づいて、車両が減速したか否かを調べることにより行う。車両が減速し、回生制動の状態になったと判定すると、ステップS70に進み、回生制動の状態になっていないと判定するとステップS80に進む。
【0025】
ステップS70では、回生トルク指令値Trgenをインバータ60に送信するとともに、発電トルクTgenから回生トルクTrgenを減じたトルク指令値をエンジン10に送信する(図7の段階▲3▼)。インバータ60およびエンジン10にトルク指令値を送信すると、ステップS80に進む。ステップS80では、上述したアイドルストップ条件が成立したか否かを判定する。アイドルストップ条件が成立したと判定するとステップS90に進み、成立していないと判定するとステップS170に進む。
【0026】
ステップS90では、DC/DCコンバータ80に昇圧指令を送る。昇圧指令をDC/DCコンバータ80に送るとステップS100に進む。ステップS100では、昇圧動作が完了したか否かを判定する。この判定は、DC/DCコンバータ80内にある検出回路によって出力電圧を検出することにより行う。昇圧動作が完了していないと判定すると完了するまでステップS100で待機し、完了したと判定するとステップS110に進む。
【0027】
ステップS110では、エンジン10に停止命令を送ることにより、アイドルストップを行う。アイドルストップ中は、低電圧バッテリ90の蓄電電力がDC/DCコンバータ80で昇圧されて高電圧バッテリ70に供給される。図7の段階▲4▼は、アイドルストップ条件が成立してDC/DCコンバータ80に昇圧指令を送った段階であり、段階▲5▼は昇圧動作が完了してアイドルストップを開始した段階である。アイドルストップを行うとステップS120に進む。
【0028】
ステップS120では、ステップS50でカウントを開始したリフレッシュ充電時間Tmrefが所定のリフレッシュ終了時間を経過したか否かを判定する。リフレッシュ終了時間を経過したと判定するとステップS190に進み、経過していないと判定するとステップS130に進む。ステップS190では、リフレッシュ充電が完了したので、DC/DCコンバータ80に降圧指令を送り、図6に示すフローチャートのステップS200に進む。一方、ステップS130では、上述したアイドルストップ解除条件が成立したか否かを判定する。アイドルストップ解除条件が成立したと判定するとステップS140に進み、成立していないと判定するとステップS120に戻る。
【0029】
ステップS140では、アイドルストップ解除条件が成立したので、発電トルク指令値Tgenをインバータ60に送信するとともに、駆動力トルクTrunと発電トルクTgenとを加算したトルク指令値をエンジン10に送信する。これにより、アイドルストップが解除される(図7の段階▲6▼)。この時、エンジン10を始動するために、高電圧バッテリ70の蓄電電力によりモータ20の力行運転が行われるが、DC/DCコンバータ80の昇圧動作は継続して行われているので、リフレッシュ充電に対する影響は抑えられる。
【0030】
ステップS140に続くステップS150では、実エンジントルクが出力されているか、すなわち、ステップS140でエンジン10に対して送信されたトルク指令値と同じエンジントルクが出力されているか否かを判定する。この判定は、エンジン回転数センサ170により検出されるエンジン回転数や、変速機30の変速比などに基づいて行われる。トルク指令値と同じ実エンジントルクが出力されていないと判定すると、トルク指令値と同じ実エンジントルクが出力されるまでステップS150で待機し、トルク指令値と同じ実エンジントルクが出力されたと判定するとステップS160に進む。
【0031】
ステップS160では、DC/DCコンバータ80に昇圧動作の停止指令および降圧指令を送る(図7の段階▲7▼)。降圧指令をDC/DCコンバータ80に送ると、ステップS170に進む。ステップS170では、再びリフレッシュ充電時間Tmrefが所定のリフレッシュ終了時間を経過したか否かを判定する。リフレッシュ終了時間を経過したと判定すると、ステップS180に進み、経過していないと判定するとステップS60に戻る。ステップS180では、リフレッシュ充電が完了したので、リフレッシュ充電中のエンジントルク指令値から発電トルク指令値Tgenを減じた駆動力トルク指令値Trunをエンジン10に送る(図7の段階▲8▼)。駆動力トルク指令値Trunをエンジン10に送ると、図6に示すフローチャートのステップS200に進む。
【0032】
図6に示すフローチャートのステップS200〜ステップS240までの処理は、通常のアイドルストップ車両で行われている処理である。ステップS200では、アイドルストップ条件が成立したか否かを判定する。アイドルストップ条件が成立したと判定するとステップS210に進み、成立していないと判定するとステップS230に進む。ステップS210では、エンジン10に停止命令を送ることにより、アイドルストップを行う。アイドルストップを行うとステップS220に進む。
【0033】
ステップS220では、アイドルストップ解除条件が成立したか否かを判定する。アイドルストップ解除条件が成立したと判定するとステップS230に進み、成立していないと判定するとステップS210に戻って、アイドルストップの状態を継続する。ステップS230では、エンジン10に駆動力トルク指令値Trunを送って、ステップS240に進む。ステップS240では、イグニッションスイッチ200がオフになったか否かを判定する。イグニッションスイッチ200がオフになっていないと判定すると図5に示すフローチャートのステップS20に戻り、オフになったと判定すると本フローチャートによる処理を終了する。
【0034】
本実施の形態におけるハイブリッド車両のリフレッシュ充電制御装置によれば、高電圧バッテリ70のリフレッシュ充電を行っている時にアイドルストップ条件が成立すると、DC/DCコンバータ80に昇圧指令を出すことにより、低電圧バッテリ90に蓄えられている電力を用いて高電圧バッテリ70のリフレッシュ充電を継続する。これにより、アイドルストップ時にもリフレッシュ充電を行うことができる。換言すると、リフレッシュ充電を行っている間でもアイドルストップを行うことができるので、燃費を向上させることができる。
【0035】
車両の減速時における回生制動時には、エンジン10を駆動源とするモータ20の発電電力に加えて、車両の走行エネルギーを用いた回生制動による発電電力を用いて高電圧バッテリ70の充電を行うので、エンジン10を駆動源とするモータ20の発電電力を低減させて、燃費を向上させることができる。
【0036】
また、アイドルストップ中にDC/DCコンバータ80を昇圧作動させることにより低電圧バッテリ90の電力を用いて高電圧バッテリ70のリフレッシュ充電を行っている時に、アイドルストップ解除条件が成立した場合には、エンジン10の出力トルクがトルク指令値と一致するまではDC/DCコンバータ80の降圧指令を出さない構成とした。これにより、エンジン10の出力トルクがトルク指令値まで出ていない状態でエンジン10を動力源としてモータ20を回生運転させることにより、加速性能などの車両の走行性能に悪影響が及ぶことを防ぐことができる。
【0037】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、高電圧バッテリ70のリフレッシュ充電の要否は、前回リフレッシュ充電を行ってから所定時間が経過したか否かで判断したが、高電圧バッテリ70の使用量(充放電量)に基づいて判断することもできる。この場合、高電圧バッテリ電流センサ150で検出した充放電電流の積算電流値が所定値以上になった場合に、リフレッシュ充電を行う必要があると判断する。
【0038】
また、高電圧バッテリ70の充電は、エンジン10を動力源としてモータ20を回生運転させることにより発電した電力を用いて行ったが、発電手段は、発電機としても機能するモータ20に限られず、他の発電手段を用いてもよい。
【0039】
なお、本明細書中におけるアイドルストップ車両とは、車両起動後に所定の条件(アイドルストップ条件)が満たされた時に自動的にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を備えた車両のことである。従って、アイドルストップ機能を備えた車両であれば、エンジン(内燃機関)のみを駆動源とする車両も、エンジンとモータを駆動源とするハイブリッド車両もアイドルストップ車両に含まれる。
【0040】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、モータ20が発電手段を、DC/DCコンバータ80が電圧変換手段を、コントローラ100が制御手段およびアイドルストップ条件判定手段をそれぞれ構成する。また、特許請求の範囲に記載されている第1のバッテリは高電圧バッテリ70に、第2のバッテリは低電圧バッテリ90にそれぞれ対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリフレッシュ充電制御装置が適用されるハイブリッド車両の構成を示す図
【図2】エンジンを駆動源として走行している時の発電電力の流れを示す図
【図3】回生制動時の発電電力の流れを示す図
【図4】アイドルストップ時にリフレッシュ充電を行う時の電力の流れを示す図
【図5】本発明によるリフレッシュ充電制御装置により行われるリフレッシュ充電制御の処理内容を示す一実施の形態のフローチャート
【図6】本発明によるリフレッシュ充電制御装置により行われるリフレッシュ充電制御の処理内容を示す一実施の形態のフローチャート
【図7】図7(a)は高電圧バッテリのバッテリ電圧を示す図、図7(b)はエンジンに対するトルク指令およびインバータに対するトルク指令を示す図、図7(c)はDC/DCコンバータの降圧/昇圧状態を示す図
【符号の説明】
10…エンジン、20…モータジェネレータ、30…変速機、40…車軸、50a,50b…駆動輪、60…インバータ、70…高電圧バッテリ、80…DC/DCコンバータ、90…低電圧バッテリ、100…コントローラ、100a…CPU、100b…ROM、100c…RAM、100d…タイマ、110…アクセルセンサ、120…ブレーキセンサ、130…車速センサ、140…高電圧バッテリセンサ、150…高電圧バッテリ電流センサ、160…低電圧バッテリセンサ、170…エンジン回転数センサ、200…イグニッションスイッチ

Claims (3)

  1. 所定のアイドルストップ条件が満たされた時にエンジンが自動停止するアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置において、
    少なくとも前記エンジンによって駆動されて発電を行う発電手段と、
    前記発電手段により発電された電力を少なくとも用いて充電される第1のバッテリと前記第1のバッテリより定格電圧が低い第2のバッテリとの間に設けられて、電圧変換を行う電圧変換手段と、
    前記電圧変換手段を制御する制御手段と、
    前記アイドルストップ条件が成立したか否かを判定するアイドルストップ条件判定手段とを備え、
    前記制御手段は、前記発電手段により発電された電力を用いて前記第1のバッテリのリフレッシュ充電を行っている時に前記アイドルストップ条件判定手段により前記アイドルストップ条件が成立したと判定すると、前記電圧変換手段を昇圧作動させることにより前記第2のバッテリに蓄えられた電力を用いて前記第1のバッテリのリフレッシュ充電を行うとともに、前記アイドルストップを解除する条件が成立した場合には、前記エンジンの出力トルクがトルク指令値と一致するまでは前記電圧変換手段を降圧作動させないことを特徴とするアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置。
  2. 請求項1に記載のアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置において、
    車両の回生制動時には、前記回生制動により発電された電力を少なくとも用いて前記第1のバッテリのリフレッシュ充電を行うことを特徴とするアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置において、
    前記発電手段は、発電機としても機能するモータであることを特徴とするアイドルストップ車両のリフレッシュ充電制御装置。
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