JP3944539B2 - 6サイクル複合エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギー損失を有効利用することにより熱効率の向上を図った複合エンジンに関する。
従来のエンジンの熱効率はディーゼルエンジンが概ね40%、ガソリンエンジンが概ね30%程度であり、冷却損失と排気損失もそれぞれ概ね30%前後あり、利用されずに棄てられるエネルギーが多い。
従来の容積型エンジンは筒外を水冷または空冷にすることによりエンジン本体の温度上昇を抑制し、一定の連続運転を可能にしている。
吸入、圧縮、爆発、排気の4行程に空気吸入,掃気の2行程を追加した6サイクルエンジン(例えば、特許文献1参照。)と、前記4行程に空気吸入、加圧行程の2行程を追加した6サイクルエンジン(例えば、特許文献2参照。)が特許公開されている。
航空用ディーゼルエンジンと排気タービンを組み合わせた複合エンジンが開発されている。(例えば、非特許文献1参照。)
特開昭58−18523号公報 特開平2−119635号公報 内燃機関ハンドブック 朝倉書店 P647 昭和44年発行
以上述べたように従来のエンジンでは冷却損失、排気損失として棄てられていたエネルギーがあり、これらのエネルギー損失を回収し動力として利用すれば熱効率が向上する。ただし、過給のためのターボは排気エネルギーを有効利用するものではあるが、熱効率の向上よりむしろ出力の向上を図るためのものである。
従来の容積型エンジンのほとんどは水冷または空冷のための強制冷却用装置を有し強制冷却用の動力を必要としていた。
従来の6サイクルエンジンの発明は、残留ガスを掃気し燃費の改善を図るためのもの(特許文献1)と、過給機を用いず燃料消費率の改善、エンジン出力の向上を図るためのもの(特許文献2)とされているが、いずれにしろ2サイクル余計に仕事をしなければならず熱効率の向上には繋がらない。
過去に開発された複合エンジンは燃費が良かったが、構造が複雑なため実用には至らなかったとされている。
エネルギー損失のうち排気損失はターボを回し過給することにより有効利用されているが、冷却損失については排気損失と同量程度のエネルギーを占めているにもかかわらず、ほとんど利用されてこなかったばかりか、冷却するための装置と動力が必要であった。これは筒外冷却をするので冷却損失となるのであって、筒内冷却し吸収した熱で空気を膨張させ過熱水蒸気を発生させれば、筒外冷却のための装置も動力も不要でかつ膨張した空気と過熱水蒸気を用いて軸流タービンやラジアルタービンを回すことができこの動力を利用することができる。勿論、タービンは単段でも多段でもよい。
容積型エンジンを6サイクルにするには4サイクルに比べカムの形状とカムシャフトの回転数を変えるだけでよい。ディーゼルエンジンならびに吸気管内燃料噴射式および筒内燃料噴射式ガソリンエンジンの場合は燃料噴射時期を変えるだけでよいが、キャブレター式ガソリンエンジンの場合は、2回目の吸気行程において燃料が吸入されないように燃料を遮断する工夫が必要である。霧状の水を得るには霧吹きやガソリンエンジンの吸気管内燃料噴射式と同様な原理を用いればよいが、霧状の水の供給は筒内の温度上昇を抑えることも目的なので、筒外温度と排気ガス温度を計測し設定温度より低い場合は供給を遮断し空気のみ吸入される。常に設定温度近傍になるよう適量供給されるように自動制御する。また、水は水タンクに補給する方式でもよく、排気管を冷却し水滴を少しづつ回収する循環方式でもよく、また、その両方を装備してもよいが、地域によっては冬季の凍結対策が必要になる。
排気タービンのように速度型エンジンは熱効率やレスポンスが悪いため、例えば部分負荷でかつ負荷変動の大きい自動車の動力とする場合、運転条件に対応した最適設定をするには構造が複雑になる。そこで、容積型エンジンと速度型エンジンを組み合わせた複合エンジンにおいては補助機関である排気タービンの動力は主機関である容積型エンジンの出力軸へ伝達されるようにし、逆に容積型エンジンの動力は排気タービンの出力軸に伝達されないようにワンウェイクラッチを採用した動力伝達機構とする。
排気タービンの出力軸には発電機、コンプレッサーなどの装置を取り付け、常時動力の有効利用を図ることもできる。
上述したように本発明の6サイクル複合エンジンは、吸入、圧縮、爆発、排気、吸入、排気の6サイクルにおいて2回目の吸入行程で空気と霧状の水を直接筒内に送ることにより筒内の熱を吸収し膨張した空気と過熱水蒸気が発生するので、タービンを回す強力な動力源となる。1回目の排気では排気損失でタービンを回し、2回目の排気では冷却損失でタービンを回す。従来のエンジンでは冷却を筒外で行っていたので冷却損失を有効利用できなかったが、6サイクル複合エンジンでは排気損失だけではなく冷却損失を含めたエネルギー損失を有効利用することができる。
このため、熱効率が向上し燃費を改善することができ、COだけではなくNOやPMなどの有害物質も削減できる。また、筒内の熱を吸収し発生した過熱水蒸気は洗浄能力が大きいため筒内や排気弁や排気系統を洗浄するので、カーボンなどが溜まらない。
以下、本発明の実施の形態の一例を図1〜図4に基づいて説明する。
図1において、1はカム山を2つ設けたカムで6サイクルを得るための形状になっている。図2は4サイクルのカム2の例と6サイクルのカム3の例を示す。6サイクルの2つのカム山は120°あるいは240°位置をずらしてあり、カムシャフト1回転で6サイクルが終了するようになっている。
クランクシャフトとカムシャフトの回転数の関係は、4サイクルの場合前者が2回転のとき後者が1回転であるが、6サイクルの場合カム山が2つあるので、前者が3回転のとき後者が1回転となりカムシャフト回転数は4サイクルに比べて1.5倍遅い。 燃料噴射は4サイクルではクランクシャフト2回転で1回、6サイクルでは3回転で1回であるので、6サイクルの場合は4サイクルに比べて燃料噴射時期も1.5倍長く省燃費である。
図1の4は排気エネルギー回収装置でラジアルタービンまたは軸流タービンおよび減速装置ならびにワンウェイクラッチから構成されている。タービンは排気エネルギーを効率よく回収するため、できるだけ排気弁に近づけて取り付ける構造にする。
タービンの回転数は容積型エンジンに比べ高いので、歯車を用いて減速しワンウェイクラッチを介してフライホイールを駆動する。
5は筒内を冷却するため霧状の水を発生させる吸気管内水噴霧装置で、筒外温度および排気ガス温度によって適量の水が噴霧されるようになっている。
6は筒外への熱の放散をできるだけ遮断し熱を筒内に残留させておくために施す断熱材で、シリンダーブロックおよびシリンダーヘッドなどを覆う。
図3は4気筒6サイクルエンジン1に排気エネルギー回収装置2を取り付けたもので、排気エネルギーを有効に利用できるようタービンをできるだけ排気弁に近づけるため、タービンは1気筒当たり1台取り付けた例である。勿論、2気筒に1台でも多気筒に1台取り付けてもよい。図3はラジアルタービン3の例であるが、隣り合わせのラジアルタービンをシャフト4で繋ぐ。シャフトには歯車5が取り付けられ図4の減速装置6とワンウェイクラッチ(図示なし)を介して6サイクルエンジンのクランクシャフト(図示なし)に直結したフライホイール7に動力を伝える。
各タービンを回した排気ガスには未だエネルギーが残っているので、この残留排気エネルギーを集めて図3のターボチャージャ8を回し過給する。
ターボチャージャ8から出た排気エネルギーは相当に減殺されているので、消音装置(図示なし)は4サイクルの同出力のエンジンに比べ小規模で済む。
本発明の実施形態を示す6サイクル複合エンジンの断面図 4サイクルと6サイクルのカムの形状図 6サイクル複合エンジンの外観平面図 6サイクル複合エンジンの外観立面図

Claims (1)

  1. 吸入、圧縮、爆発、排気、吸入、排気の6行程を行う容積型エンジンで、6行程を行うため吸気弁と排気弁がカム山の位相を120°または240°ずらしてある2山カムによって作動し、クランクシャフトが3回転でカムシャフトが1回転し、筒内からの放熱を防ぐためシリンダーブロックとシリンダーヘッドが断熱材で覆われていて、2回目の吸入行程において吸気弁が開いて空気あるいは空気と霧状の水を吸気管から吸入して筒内を冷却し、吸気管に取り付けた水噴霧装置からの水の噴霧は、筒外温度と排気ガス温度を計測して設定温度近傍になるように遮断されたり適量に制御され、2回目の排気行程において排気弁が開いて筒内の熱を吸収し膨張した空気あるいは膨張した空気と過熱水蒸気を排出する6サイクルエンジンと、1回目と2回目の排気行程で得られた排気エネルギーを動力源とする排気タービンと減速装置とワンウェイクラッチを介してクランクシャフトに動力を伝える排気エネルギー回収装置とから構成される6サイクル複合エンジン。
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