図1は、本発明の実施の一形態であるエッジ保持アライナ20を模式的に示す斜視図であり、図2は、エッジ保持アライナ20の一部を省略して示す平面図である。なお、理解を容易にするために以下に示す各図面において部分的に省略または簡略化して示す場合がある。
エッジ保持アライナ20(以下単にアライナ20と称する)は、半導体ウェハ19のエッジ16に形成されるノッチ17の角度位置を判定する。そして、その判定結果に基づいてウェハ19の位置を調整する。ノッチ17は、半導体ウェハ19の位置を調整するための位置決め部であって、ウェハ19の厚み方向に挿通するV字状の切欠きが形成される。
ウェハ19は、他の基板搬送装置であるロボットハンド18によってアライナ20に搬入される。ロボットハンド18は、ウェハ19のエッジ16に接触して、ウェハ19を下方から支持した状態で搬送する。ロボットハンド18は、たとえばY字状に形成され、ウェハ19の周方向Bにそれぞれ異なる3点以上のエッジ部分でウェハ19を支持する。またロボットハンド18は、ウェハ19を半径方向Aに変位可能な可動挟持片と、ロボットハンド18に固定される固定挟持片を有し、プランジャによって可動挟持片によってウェハを押圧することで、可動挟持片と固定挟持片とによってウェハ21を挟持する。
またアライナ20は、ロボットハンド18からウェハ19が搬送されると、そのウェハ19を位置調整して保持する。そして位置調整されたウェハ19は、ロボットハンド18によってアライナ20から搬出され、位置が調整された状態でロボットハンド18に搬送される。
アライナ20は、基台21と、旋回アーム22と、第1ノッチセンサ23と、第2ノッチセンサ24a,24bと、持替アーム32〜35とを含む。基台21は、予め定める基台軸線L21に沿って延び、略長尺形状に形成される。基台軸線L21は、旋回軸線L1に垂直に延びる。たとえば基台21は、外形が略四角柱形状に形成され、予め定める長手方向X、幅方向Yおよび高さ方向Zを有する。これらの各方向X,Y,Zは、互いに直交する。また基台21には、中空形状に形成されて、内部に内部空間46が形成される。
旋回アーム22は、予め定めるアーム軸線L22に沿って延び、略長尺形状に形成される。旋回アーム22は、基台21に設けられ、予め定める旋回軸線L1まわりに角変位可能に設けられる。なお、予め定める旋回軸線L1は、本発明の実施の形態では鉛直な方向に延び、アーム軸線L22は、旋回軸線L1に垂直に延びる。
旋回アーム22は、ウェハ19の軸線L10と旋回軸線L1とが一致した状態で、ウェハ19を着脱自在に保持する。また旋回アーム22は、保持したウェハ19を旋回軸線L1まわりに角変位する。以下、旋回アーム22に保持されたウェハ19の半径方向、すなわち旋回軸線L1を中心とする仮想円の半径方向を、単に半径方向Aと称し、旋回アーム22に保持されたウェハ19の周方向、すなわち前記仮想円の周方向Bを単に周方向Bと称する。
旋回アーム22は、アーム軸線L22に沿って延びる略長尺形状のアーム本体100と、アーム本体100の両端部100a,100bに設けられる保持体26,27とを含む。アーム本体100は、旋回軸線L1に垂直に延び、長手方向中間部を旋回軸線L1が挿通する。したがって旋回アーム22が旋回軸線L1まわりに角変位する場合には、アーム軸線L22が旋回軸線L1まわりに角変位する。
また各保持体26,27は、ウェハ19を保持するために設けられる。各保持体26,27は、旋回軸線L1に垂直な仮想面において、旋回軸線L1に関してそれぞれ点対称に配置される。各保持体26,27は、半径方向Aに変位可能に設けられる。各保持体26,27は、ともにウェハ19のエッジ17を半径方向A内方に押圧することによって、協働してウェハ19を挟持可能となる。
第1ノッチセンサ23は、基台21に設けられる。第1ノッチセンサ23は、旋回軸線L1に同軸にウェハ19が配置された場合、そのエッジ16の一部に対向し、対向したエッジ部分にノッチ17が形成されているか否かを検出する。したがって第1ノッチセンサ23は、位置決め部第1検出手段となる。
第2ノッチセンサ24a,24bは、アーム本体100の両端部100a,100bにそれぞれ設けられ、旋回アーム22とともに角変位する。第2ノッチセンサ24は、旋回軸線L1に同軸にウェハ19が配置された場合、そのエッジ16の一部に対向し、その対向したエッジ部分にノッチ17が形成されているか否かを検出する。したがって第2ノッチセンサ24a,24bは、位置決め部第2検出手段となる。たとえば第1および第2ノッチセンサ23,24a,24bは、光ファイバを用いた光検出センサによって実現される。
第2ノッチセンサ24a,24bは、各保持体26,27にそれぞれ固定されていてもよい。この場合には、第2ノッチセンサ24a,24bを各保持体26,27とともに半径方向Aに変位させることができ、サイズが異なるウェハ19であっても、ノッチ19を検出することができる。
持替アーム32〜35は、旋回アーム22に対するウェハ19の角度位置を調整するために用いられる。持替アーム32〜35は、ウェハ19を着脱自在に保持する。なお持替アーム32〜35は、ウェハ19の軸線L10と旋回軸線L1とが一致した状態でウェハ19を保持し、旋回アーム22がウェハ19を保持した場合と同じ高さでウェハ19を保持する。
持替アーム32〜35は、一端部32a〜35aが基台21に角変位可能に支持される。また持替アーム32〜35は、他端部32b〜35bが旋回アーム22に保持されるウェハ19に対して、近接および離反可能に設けられる。具体的には、持替アーム32〜35は、予め定める角変位軸線L2,L3まわりに角変位可能に設けられる。持替アーム32〜35が角変位軸線L2,L3まわりに角変位することによって、各保持体26,27に保持されるウェハ19に対して近接および離反する方向に変位する。
なお、角変位軸線L2,L3は、旋回軸線L1に垂直な平面に沿って延びる。また本発明の実施の形態では、角変位軸線L2,L3は、基台軸線L21に垂直に延びる。持替アーム32〜35は、ウェハ19を保持するために2つ以上設けられ、本実施の形態では、4つの持替アーム32〜35を有する。
持替アーム32〜35は、ウェハ19を保持するために、他端部32b〜35bに持替体28〜31がそれぞれ設けられる。各持替体28〜31がウェハ19のエッジ16を協働して挟持することによって、持替アーム32〜35は、ウェハ19を保持することができる。
また図2に示すように、アライナ20は、旋回アーム22を旋回軸線L1まわりに角変位駆動する旋回アーム駆動手段36と、各保持体26,27を一半径方向Aに変位駆動する保持体駆動手段40と、持替アーム32〜35を角変位軸線L2,L3まわりに角変位駆動する持替アーム駆動手段37とを有する。またロボットハンド18は、ロボットハンド駆動手段39によって変位駆動される。
図3は、旋回軸線L1に垂直な仮想面からみて保持体26を拡大して示す断面図である。また図4は、保持体26を拡大して示す平面図である。第1および第2の保持体26,27の構成は、同一であるので、一方の保持体26について説明し、他方の保持体27についての説明は省略する。
保持体26は、ウェハ19に当接する当接片70が形成される。当接片70は、ウェハ19を厚み方向一方側たとえば下方側から支持する支持部101と、支持部101のうちの半径方向A外方側部分101aから高さ方向一方Z1に突出する突出部102とを有する。高さ方向一方Z1は、旋回軸線L1に平行であり、基台21から旋回アーム22に向かう方向である。本実施の形態では、高さ方向一方Z1は、上方向となる。
支持部101は、半径方向A内方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面99が形成される。これによってウェハ19が各保持体26,27の支持部101に乗載されると、エッジ16の下面13と支持部101とが点接触する。
図4に示すように、突出部102は、エッジ16に臨む面98が半径方向A外方に凸に湾曲して形成される。たとえば突出部101のエッジ16に臨む面98は、ウェハ19の半径とほぼ同程度の曲率半径を有する。これによって各保持体26,27が半径方向A内方に移動すると、各保持体26,27にエッジ16が面接触する。
2つの保持体26,27が互いに半径方向A内方に移動すると、旋回軸線L1と同軸に配置されたウェハ19のエッジ16を協働して挟持し、ウェハ19を保持することができる。また2つの保持体26,27が互いに半径方向A外方に移動すると、各保持体26,27によるウェハ19の保持が解除される。
各保持体26,27は、旋回軸線L1に関して点対称に配置されるので、各保持体26,27がそれぞれエッジ16に面接触することによって、ウェハ19の軸線L10が旋回軸線L1からずれることなく、ウェハ19を保持することができる。
また当接片70は、ねじ部材71,72によって、保持体26,27の残余の部分に、半径方向Aに位置調整可能に着脱可能に連結される。これによって各保持体26,27の半径方向Aの位置を微調整することができ、ウェハ19を旋回軸線L1に同軸にして確実に保持することができる。
図5は、旋回軸線L1と基台軸線L21とを含む仮想面からみて持替アーム32を拡大して示す断面図である。各持替アーム32〜35の構成は、同一であるので、1つの持替アーム32について説明し、他の持替アーム33〜35についての説明は省略する。
持替体28は、ウェハ19のエッジ16が嵌合する嵌合部97が形成される。嵌合部97は、持替アーム32がウェハ19を保持する保持位置に移動した場合に、半径方向A外方に没入する凹所93が形成される。嵌合部97は、ウェハ19が嵌合した状態で、エッジ16に臨む嵌合面95,96を有し、嵌合面95,96は、持替アーム32が予め定める保持位置に移動した場合に、半径方向A外方に向かうにつれて互いに高さ方向Zに離反する第1傾斜面95と第2傾斜面96とを有する。ウェハ19は、第1傾斜面95および第2傾斜面96にそれぞれ接触する。
第1傾斜面95と第2傾斜面96との境界95の上下方向位置は、旋回アーム22にウェハ19が保持された場合のウェハ19の厚み方向中間の上下方向位置と一致する。これによってウェハ19を上下方向に変位させることなく、旋回アーム22と持替アーム32〜35とで、ウェハ19を持替えることができる。
このような持替体28が持替アーム32の他端部32bに設けられる。また持替アーム32の一端部32aは、軸受を介して基台21に連結される。軸受の角変位中心は、持替アーム32の角変位軸線L2となる。これによって持替アーム32は、角変位軸線L2まわりに角変位可能に設けられる。
また持替アーム32が保持位置に配置された場合、旋回軸線L1と基台軸線L21とを含む仮想平面で見たとき、持替アーム32の角変位軸線L2と、エッジ16と持替体28とが接触している位置とを結ぶ直線94は、旋回軸線L1と平行に延びる。これによって持替体28がウェハ19を半径方向A内方に押圧した場合であっても、ウェハ19には半径方向Aに力が与えられるだけであって、ウェハ19の厚み方向に力が与えられることがない。
また持替アーム32が保持位置から角変位して、持替体28が半径方向A外方に移動した退避位置に角変位すると、旋回アーム22が角変位するのに必要な占有領域の外方に持替アーム32が移動する。これによって退避位置に移動した持替アーム32は、旋回アーム22の角変位を阻害することがない。
4つの持替持替アーム32〜34は、周方向Bに互いにずれた位置に配置される。また4つの持替アーム32〜35のうち、第1および第4持替アーム32,35が旋回軸線L1に関して点対称に配置されるとともに、第2および第3持替アーム33,34もまた旋回軸線L1に関して点対称に配置される。これによってウェハ19の軸線L10が旋回軸線L1からずれることなく、ウェハ19を保持することができる。また第1および第2持替アーム32,33の角変位軸線L2は同軸に延び、第3および第4持替アーム34,35の角変位軸線L3は同軸に延びる。
図6は、図1のS6−S6切断線から見たアライナ20の断面図である。旋回アーム22は、旋回アーム駆動手段であるサーボモータ36によって旋回軸線L1まわりに角変位駆動される。サーボモータ36は、エンコーダ25を内蔵しており、エンコーダ25の検出値であるエンコーダ値に基づいて、旋回アーム22の角度位置を検出することができる。したがってエンコーダ25は、旋回アーム22の旋回軸線L1まわりの角度位置を検出する角度位置検出手段となる。
アーム本体100の長手方向両端部100a,100bには、2つのアーム側検出部103,104がそれぞれ設けられる。アーム側検出部103,104は、旋回軸線L1とアーム軸線L22とを含む仮想平面における断面が略C字状に形成され、アーム側検出部103,104の周方向一端部103a,104aがアーム本体100側に設けられる。
アーム側検出部103,104の周方向他端部103b,104bは、周方向一端部103a,104aから上方に延び、さらに半径方向A内方に湾曲する。ウェハ19が旋回軸線L1と同軸に配置されると、各アーム側検出部103,104の周方向一端部103a,104aと周方向他端部103b,104Bとの間の空間にエッジ16が配置される。
各アーム側検出部103,104は、第2ノッチセンサ24a,24bがそれぞれ内蔵される。第2ノッチセンサ24a,24bは、投光部105と、受光部106とを有する。投光部105は、アーム側検出部103,104の周方向他端部103b,104bに内蔵され、アーム側検出部103,104の周方向一端部103a,104aに向けて旋回軸線L1に平行に光を投光する。また受光部106は、周方向一端部103a,104aに内蔵され、投光部105からの光を受光する。投光部105および受光部106は、たとえば光ファイバを用いて実現される。光ファイバを用いることによって精度よくノッチを検出することができる。
投光部105および受光部106が光ファイバを用いて実現される場合、光ファイバを制御するファイバ制御装置がアーム本体100に内蔵される。ファイバ制御装置は、たとえばファイバ内を通過する光を増幅するアンプ装置120を含む。第2ノッチセンサ24a,24bは、投光部105から光を投光した場合における受光部106の受光状態に基づいて、投光部105と受光部106との間にエッジ16が存在するか否かを判定することができる。
なお、アンプ装置120は、アーム本体100のうち半径方向A外方側に設けられることが好ましい。これによって光ファイバケーブルの屈曲による光量変化を少なくすることができ、より精度よくノッチ17の有無を判定することができる。
図7は、図1のS7−S7切断線から見たアライナ20の断面図である。基台21は、基台軸線L21に沿って延びる基台本体109を有する。基台本体109には、長手方向X一端部21aから高さ方向一方Z1である上方に突出する基台側検出部107が設けられる。基台側検出部107は、旋回アーム22の角変位を阻害しない位置に設けられる。基台側検出部107の高さ方向一方側端部107aには、半径方向A内方に向かって屈曲する屈曲部分108が形成される。ウェハ19が旋回軸線L1と同軸に配置されると、屈曲部分108と基台本体109との間にエッジ16が配置される。また屈曲部分108と基台本体109との間に、角変位する旋回アーム22の長手方向端部が通過可能に形成される。
基台側検出部107は、第1ノッチセンサ23が内蔵される。第1ノッチセンサ23は、投光部110と受光部111とを含む。投光部110は、屈曲部分108に内蔵され、基台本体109に向けて旋回軸線L1に平行に光を投光する。また受光部111は、基台本体109に内蔵され、投光部110からの光を受光する。光部110および受光部111は、たとえば光ファイバを用いて実現される。光ファイバを用いることによって精度よくノッチを検出することができる。
投光部110および受光部111が光ファイバを用いて実現される場合、光ファイバを制御するファイバ制御装置が基台本体109に内蔵される。ファイバ制御装置は、たとえばアンプ装置112を含む。第1ノッチセンサ23は、投光部110から光を投光した場合における受光部111の受光状態に基づいて、投光部110と受光部111との間にエッジ16が存在するか否かを判定する。
図8は、ウェハ19の軸線L10と旋回軸線L1とが同軸に配置された状態を示す平面図である。また図9は、受光部111の受光量と旋回アーム22の角度位置との関係を示すグラフである。ウェハ19が旋回軸線L1に同軸に配置された状態で、基台側検出部107は、投光部110からウェハ19のエッジ16に光を投光する。ノッチ17と基台側検出部107とが周方向に異なる位置に配置される場合、投光部110から投光された光15は、エッジ16によって遮られて受光部111まで達しない。旋回アーム22とともにウェハ19を角変位させて、基台側検出部107とノッチ17とが対向する場合、投光部110から投光された光14は、ノッチ17によって形成される空間を通過し、受光部111に達し、受光部111が投光部110からの光を受光する。
すなわち受光部111が投光部110からの光を受光したときには、基台側検出部110とノッチ17とが対向した位置に、ノッチ17が配置されている。受光部11の受光時における旋回アーム22の角度位置をエンコーダ25によって検出することによって、ノッチ17の角度位置を判定することができる。図8に2点差線で示す円は、ウェハ19を角変位した場合に、投光部110からの光14が移動する移動経路を示す。第1ノッチセンサ23は、投光部110からの光の一部または全部がノッチ17を通過するように基台側検出部107に配置される。
また図6に示すアーム側検出部103,104も同様であって、受光部106が投光部105からの光を受光したときには、アーム側検出部103,104とノッチ17とが対向した位置に、ノッチ17が配置される。したがってこのときの旋回アーム22の角度位置を検出することによってノッチ17の角度位置を判定することができる。
図10は、アライナ20の電気的構成を示すブロック図である。アライナ20は、制御手段38をさらに含む。上述したように、旋回アーム駆動手段36は、旋回アーム22を旋回軸線L1まわりに角変位駆動する。また持替アーム駆動手段37は、各持替アーム32〜35を予め定める角変位軸線L2,L3まわりに角変位駆動する。また保持体駆動手段40は、保持体26,27を半径方向Aに変位駆動する。
エンコーダ25は、旋回アーム22の角度位置を検出し、検出結果を制御手段38に与える。また第1ノッチセンサ23および第2ノッチセンサ24a,24bは、ノッチ17の有無を示す検出結果を制御手段38に与える。制御手段38は、各ノッチセンサ23,24a,24bの検出結果と、エンコーダ25の検出結果とに基づいて、ノッチ17の角度位置を検出し、ノッチ17が予め定める基準角度位置に移動するように、旋回アーム駆動手段36、持替アーム駆動手段37および保持体駆動手段40を制御する。また本実施の形態の制御手段は、ロボットハンド18を駆動するロボットハンド駆動手段39を制御してもよい。
制御手段38は、コンピュータによって実現される。たとえば制御手段38は、記憶手段と、演算手段とを含む。記憶手段は、後述する動作を実行するための動作プログラムを予め記憶している。そして記憶手段に記憶される動作プログラムを、演算装置が実行することによって、後述する動作を行うことができる。またアライナ20は、異常状態であることを報知する報知手段を有する。報知手段は、スピーカ、ディスプレイなどによって実現される。これによって作業者に異常状態を知らせることができる。
図11は、アーム軸線L22と基台軸線L21とが平行となった状態のアライナ20を具体的に示す断面図である。旋回アーム22は、旋回軸線L1まわりに角変位することによって、アーム軸線L22と基台軸線L21とが平行となる場合がある。
基台21は、旋回アーム駆動手段であるサーボモータ36およびエンコーダ25を内蔵する。旋回アーム22は、アーム本体100から旋回軸線L1に沿って基台21に連なる連結部41を有する。連結部41は、旋回軸線L1に沿って同軸に延び、中空の円筒状に形成される。連結部41は、軸受43を介して旋回軸線L1まわりに角変位可能に基台21に連結される。連結部41は、動力伝達機構42によってサーボモータ36からの動力が伝達される。動力伝達機構42は、たとえば歯車群およびベルトなどによって実現され、サーボモータ36の動力を減速して伝達する減速機構が含まれていることが好ましい。
連結部41の内部空間45は、アーム本体100の内部空間44と基台21の内部空間46とを連通する。旋回アーム22に信号および動力を伝達するケーブルは、基台21の内部空間46から連結部41の内部空間45を挿通して旋回アーム22の内部空間44に配設される。これによって旋回アーム22が角変位した場合であっても、旋回アーム22に接続されるケーブルが位置調整作業を阻害することがない。
またケーブルがねじれることを防ぐために、旋回アーム22は、複数回転角変位することが防止される。すなわち旋回軸線L1まわりに周方向両方に角変位駆動される。旋回アーム22を周方向一方に角変位させてウェハ19の位置調整動作を行った場合、次回の位置調整動作では、旋回アーム22を周方向他方に角変位させてウェハ19の位置調整動作を行う。
連結部41を挿通するケーブルは、たとえば各第2ノッチ検出センサ24a,24bから出力されるノッチ有無情報信号を伝達するケーブル、保持体駆動手段を駆動するための駆動力を伝達するケーブルなどである。
持替アーム駆動手段37は、エアシリンダ47と、電磁弁48と、リンク機構49とを含んで実現され、これらは基台21に内蔵される。エアシリンダ47は、ポンプ50から圧縮空気が供給されることによって、ピストンロッド47aを伸縮させる。ピストンロッド47aの先端部52には、持替リンク部材51が連結される。持替リンク部材51は、棒状に形成され、長手方向一端部51aがピストンロッド47aの先端部52に角変位可能に連結される。
また持替リンク部材51の長手方向他端部51bは、間接的に各持替アーム32〜35の一端部32a〜35aに固定される。このようにピストンロッド47aの先端部52と持替リンク部材51とを含んでリンク機構49を構成することができ、ピストンロッド47aの伸縮に応じて、持替アーム32〜35を角変位軸線L2,L3まわりに角変位することができる。
エアシリンダ47は、復動形である。エアシリンダ47に設けられるピストンロッド47aは、シリンダチューブ47bから部分的に突出し、ピストンの変位によって伸長および縮退自在である。エアシリンダ47は、一方の圧力室に空気を供給し、他方の圧力室から空気を排出することによって、ピストンロッドを伸長させることができる。またエアシリンダ47は、他方の圧力室に空気を供給し、一方の圧力室から空気を排出することによって、ピストンロッドを縮退させることができる。
電磁弁48は、たとえば4ポート3位置電磁切換弁である。電磁弁48は、制御手段38からの指令信号に基づいて、空気管路の接続状態を切換える。制御手段から電磁弁48に排気指令信号、いわゆるエギゾースト(Exhaust)指令信号が与えられると、電磁弁48は変位許容状態となり、ポンプ50からエアシリンダ47への圧縮空気の供給が絶たれるとともに、エアシリンダ47の2つの圧力室が連通されて、各圧力室と圧縮空気の排出路とが連通される。これによって外力によってピストンロッド47aが伸縮および縮退することになり、ピストンロッド47aの変位が許容される変位許容状態となる。
電磁弁48に伸長指令信号が与えられると、電磁弁48は、伸長接続状態となり、ポンプ50からエアシリンダ47の一方の圧力室に圧縮空気が供給されるとともに、他方の圧力室から圧縮空気が排出される。これによってピストンロッドは伸長される。
また電磁弁48に縮退指令信号が与えられると、電磁弁48は、縮退接続状態となり、ポンプ50からエアシリンダ47の他方の圧力室に圧縮空気が供給されるとともに、一方の圧力室から圧縮空気が排出される。これによってピストンロッドは縮退される。このように制御手段38によって、電磁弁48の接続状態を制御することによって、ピストンロッドの伸縮動作を制御することができる。
なお、本実施の形態のように持替アーム32〜35が複数設けられる場合には、エアシリンダ47およびリンク機構51は、持替アーム32〜35の数に応じて複数設けられてもよい。また各持替アーム32〜35が連動して動作するように機械的または電気的に構成される。
保持体26,27は、アーム本体100から高さ方向一方Z1、すなわち上方に所定隙間K3を開けて配置される。したがって保持体26,27に保持されるウェハ19は、アーム本体100との間に上下方向に隙間K3を開けて保持される。この隙間K3は、ロボットハンド18の厚み寸法よりも大きく、ロボットハンド18が挿入可能な寸法に設定される。
また持替体28〜31もまた、ウェハ19を保持する位置にある状態で、アーム本体100から高さ方向一方Z1、すなわち上方に所定隙間K3を開けて配置される。旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19が持替えられても、ウェハ19の上下方向の位置が変更されることがない。これによってウェハ19は、持替時に上下方向の力、すなわちウェハ19厚み方向の力を受けることがなく、持替時の破損が防止される。
図12は、図11のアライナ20をS12−S12切断面線から見た断面図である。アーム側検出部104,105は、挿通孔53が形成される。挿通孔53は、アーム側検出部104,105を保持体26,27の移動方向に沿って挿通し、アーム本体100の内部空間44と半径方向A外方の空間とを連通する。保持体26,27は、半径方向A外方に移動すると、挿通孔53を挿通する。これによってアーム側検出部104,105は、保持体26,27の動作を妨げることなく、第2ノッチセンサ24a,24bをエッジ16に対向させることができる。
図13は、図11のアライナ20をS13−S13切断面線から見た断面図である本実施の形態では、持替リンク部材51は、角変位軸線L2,L3に沿って延びる角変位軸54に固定され、角変位軸54は、軸受55によって基台21に対して角変位自在に設けられる。そして持替アーム32〜35の長手方向一端部が、角変位軸54に固定される。持替アーム32〜35は、L字状に形成され、基台21から幅方向Yに突出する第1部材56と、第1部材56の基台21と反対側の端部から上方に屈曲する第2部材57とを含んで構成される。これによって第1および第2の持替アーム32,33の各持替体28,29の周方向間隔を広げることができ、ウェハ19を安定して保持することができる。
また第1の持替アーム32と第2の持替アーム33とは、同じ角変位軸線L2を有し、同じ角変位軸54に固定される。これによって2つの持替アーム32,33を連動して動作させることができる。同様に第3の持替アーム34と第4の持替アーム35とは、同じ角変位軸線L3を有し、同じ角変位軸に固定される。これによって2つを1つのエアシリンダで、2つの持替アーム34,35を連動して動作させることができる。
図14は、旋回アーム22の具体的構成を示す断面図であり、図15は、図14の旋回アーム22をS15−S15切断面線から見て示す断面図である。また図16は、図14の旋回アーム22をS16−S16切断面線から見て示す断面図であり、図17は、図14の旋回アームS17−S17切断面線から見て示す断面図である。
保持体駆動手段40は、エアシリンダ59と、電磁弁60と、リンク機構61とを含んで実現され、エアシリンダ59およびリンク機構61が旋回アーム22のアーム本体100の内部空間44に内蔵される。エアシリンダ59および電磁弁60の構成については、持替アーム駆動手段37のエアシリンダ47および電磁弁48と同様の構成を示し、説明を省略する。
保持体駆動手段40のエアシリンダ59のピストンロッドの先端部は、第1旋回リンク部材63に連結される。第1旋回リンク部材63は、アーム軸線L22と平行な方向に延びる第1レールガイド64によって案内される。これによって第1旋回リンク部材63は、アーム軸線L22と平行な方向に移動可能に設けられ、他の方向への移動が阻止される。第1旋回リンク部材63のエアシリンダと反対側の端部は、第2旋回リンク部材65に連結される。第1および第2旋回リンク部材63,65は、相互に角変位可能に連結される。
第2旋回リンク部材65は、アーム本体100の幅方向に延び、旋回軸線L1に近接した位置を角変位中心として角変位可能に設けられる。第2旋回リンク部材65は、角変位中心からアーム本体100の幅方向両側に延びる。また第2旋回リンク部材65は、両端部にそれぞれ第3旋回リンク部材66および第4旋回リンク部材67が角変位可能に連結される。
第3旋回リンク部材66および第4旋回リンク部材67は、第2旋回リンク部材65の角変位中心から同じ距離離れた位置で連結される。第3旋回リンク部材66は、第2旋回リンク部材65との連結位置からアーム本体一端部100aに向かって延びる。また第4旋回リンク部材67は、第2旋回リンク部材65との連結位置からアーム本体他端部100bに向かって延びる。
第3旋回リンク部材66は、アーム軸線L22と平行な方向に延びる第2ガイドレール68によって案内される。これによって第3旋回リンク部材66は、半径方向Aと垂直な方向に移動可能に設けられ、他の方向への移動が阻止される。第3旋回リンク部材66には、結合部材75を介して第1保持部26が固定される。第1保持部26は、半径方向Aに沿って配置される。
同様に第4旋回リンク部材67にも、ガイドレールによって案内されて、結合部材69を介して第1保持体27が固定される。第2保持部27もまた、半径方向Aに一致する位置に配置される。
エアシリンダ59のピストンロッドを伸縮させることによって、第1旋回リンク部材63が半径方向Aに平行に変位する。これによって第2旋回リンク部材65が角変位中心まわりに角変位する。図16に示すように、角変位中心から第3旋回リンク部材66の連結位置までの距離K1と、角変位中心から第4旋回リンク部材67の連結位置までの距離K2とが等しいので、第3および第4旋回リンク部材66,67は、同じ変位量で半径方向Aに平行であって向きが反対に変位する。これによって第3および第4千回リンク部材66,67に固定された第1および第2保持部26,27は、互いに半径方向Aに近接および離反する方向に変位する。
このように第2旋回リンク部材65を用いることによって、1つのエアシリンダ59によって、各保持部26,27を連動して反対方向に同じ変位量だけ移動させることができる。またアーム本体100の内部空間44には、また本実施の形態では、このような複数のリンク機構を用いて2つの保持体26,27を変位駆動させたが、ベルト駆動によって2つの保持体26,27を変位駆動させてもよい。
ロボットハンド18がウェハ19を旋回軸線L1に同軸に配置した状態で、保持体を半径方向A内方に移動させることによって、旋回アーム22にウェハ19を保持させることができる。この状態でロボットハンド18を退避させてもウェハ19は、アライナ20に保持される。
また旋回アーム22にウェハ19を保持させた状態で、持替体28〜31をウェハ19のエッジ16に接触させて、旋回アーム22によるウェハ19の挟持を解除することによって、ウェハ19を旋回アーム22から持替アーム32〜35に持替えることができる。このように持替アーム32〜35がウェハ19を旋回アーム22から受取った状態において、旋回アーム22は、旋回軸線L1まわりに角変位可能となる。
同様に保持アーム32〜35にウェハ19を保持させた状態で、保持体26,27をウェハ19のエッジ16に接触させて、持替アーム32〜35によるウェハ19の挟持を解除することによって、ウェハ19を持替アーム32〜35から旋回アーム22に持替えることができる。
図18は、制御手段38のおおまかな制御動作を示すフローチャートであり、図19は、アライナ20の位置調整動作を説明するための平面図である。まず制御手段38は、ステップa0で、旋回アーム22を初期位置に移動させる。たとえば初期位置は、アーム軸線L22がロボットハンド18の進入方向の沿って延びるロボット移動径路U1に垂直となる位置である。これによってロボットハンド18がぶれた場合であっても、旋回アーム22に接触することが防止され、より高速でロボットハンド18をアライナ20に挿入させることができる。
図19(1)に示すように、ロボットハンド18によってウェハ19と旋回軸線L1とが同軸に配置されると、ステップa1に進み、制御手段38が制御動作を開始する。
ステップa1では、図19(2)に示すように、ウェハ19を保持する前に、予め定める移動角度θ3で旋回アーム22を角変位させる。移動角度θ3は、可及的に小さい角度に設定される。たとえば移動角度θ3は、10度に設定される。
旋回アーム22が初期位置から移動角度θ3角変位すると、各第2ノッチセンサ24a,24bは、ウェハ19のエッジ16に対向しながら、旋回軸線L1まわりに周方向Bに移動角度θ3角変位する。そして制御手段38は、旋回アーム22の角変位期間中における第2ノッチセンサ24a,24bの検出結果に基づいて、ノッチ17の有無を判定する。
角変位期間中に、ノッチ17が検出された場合には、制御手段38は、第2ノッチセンサ24a,24bとエンコーダ25との各検出結果によってノッチ17の角度位置を判定する。第2ノッチセンサ24a,24bの移動中に対向したエッジ領域にノッチ17が存在すると、制御手段38は、各保持体26,27とノッチ17とが相互に周方向Bにずれるように旋回アーム22を角変位させる。また角変位期間中にノッチ17が検出されない場合には、角変位期間中に第2ノッチセンサ24a,24bが対向したエッジ領域に各保持体26,27を配置させる。
たとえば角変位期間中に、アーム軸線L22を初期位置から周方向B一方に10度角変位する場合、その初期位置から周方向一方に5度移動するまでにノッチ17が検出された場合には、初期位置から周方向B一方に10度角変位した位置にアーム軸線L22を配置する。また初期位置から周方向一方に5度移動した後にノッチ17が検出された場合には、初期位置にアーム軸線L22を配置する。このようにして、10度角変位する間にノッチが検出された場合、各保持体26,27がノッチ17に対向しないように旋回アーム22を角変位させて、ウェハを保持する。
角変位期間中にノッチ17が検出されない場合には、初期位置から周方向B一方に5度角変位した位置にアーム軸線L22を配置する。このように旋回アーム22を角変位するとステップa2に進む。
なお、移動角度θ3に従って旋回アーム22がエッジ16を移動する周方向距離K5は、図2,図4に示すような、各保持体26,27が接触するエッジ部分の両端96,97の周方向距離K4よりも大きくしたうえで、かつ可及的に小さく設定される。周方向距離K4より大きくすることで、ステップa2の後では、各保持体26,27は、ノッチ17に対して周方向Bにかならずずれた位置に配置される。また移動角度θ3を可及的に小さくすることで、ステップa1に示す第1次ノッチ検出動作時間を短縮することができる。
ステップa2では、保持体駆動手段40を制御して、各保持体26,27によってウェハ19を保持させる。またウェハ19の保持が完了すると、ロボットハンド駆動手段39にウェハ19の保持が完了したことを伝える。これによってロボットハンド18は、アライナ20から退避する。このようにして図19(3)に示すように、制御手段38は、ウェハ19を保持体26,27に保持させ、ロボットハンド18がアライナ20から退避したことを確認すると、ステップa3に進む。
ステップa3では、図19(4)に示すように、旋回アーム22を1回転角変位させる。制御手段38は、第1ノッチセンサ23によって、旋回アーム22の角変位期間にノッチ17を検出する。ステップa3では、各保持体26,27が保持した位置にノッチ17が形成されていないので、旋回アーム22を1回転角変位させるあいだにノッチ17を確実に検出することができる。そしてエンコーダ25と第1ノッチセンサ23との検出結果に基づいて、ノッチ17の角度位置を判定し、ステップa4に進む。
ステップa4では、ノッチ17の角度位置が予め定める基準角度位置となるように、旋回アーム駆動手段36、保持体駆動手段40および持替アーム駆動手段37を制御し、旋回アーム22、保持体26,27および持替アーム32〜35を駆動させる。図19(5)に示すように、ノッチ17の角度位置を基準角度位置に位置するようにウェハ19を位置調整すると、ロボットハンド駆動手段39にウェハ19の位置調整が完了したことを伝え、ステップa5に進む。これによってロボットハンド18は、アライナ20に向かって移動する。
ステップa5では、ウェハ19を受渡可能な位置に、ロボットハンド18が移動したことを判断すると、保持体駆動手段40を制御して、各保持体26,27によるウェハ19の保持を解除し、図19(6)に示すように、ウェハ19を旋回アーム22からロボットハンド18に受渡し、ステップa6に進む。ステップa6では、制御手段38は制御動作を終了する。
以上のように本発明の実施の一形態では、各保持体26,27が接触しているエッジ部分にはノッチ17が存在していないので、第1ノッチセンサ23は、保持体26,27の影響を受けることなく、ノッチ17を良好に検出することができる。言い換えるとウェハ19を保持したあとに、旋回アーム22を最大でも1回転角変位するだけで、ノッチ17の角度位置を確実に判定することができる。
これによって従来技術のように、各保持体26,27の基板保持位置に起因して、旋回アーム22に対してウェハ19を複数回持替える必要がなく、またウェハ19を1回転以上回転する必要がない。したがってノッチ17の位置検出に費やす時間を低減して、ウェハ19の位置調整動作に必要な時間を短縮することができる。
また旋回アーム22は、各保持体26,27によってウェハ19を挟持して保持する。これによってウェハ19と旋回アーム22とがずれるおそれが少なく、ウェハ19を下方から支持している場合に比べて、保持したウェハ19を高速で回転させることができる。これによってより短時間でウェハ19の位置調整を行うことができる。
またステップa3に示す第2次ノッチ検出工程よりも、ステップa1に示す第1次ノッチ検出工程のほうが、旋回アーム22の角変位速度を速くすることが好ましい。第1次ノッチ検出工程は、正確にノッチ17の位置を検出する必要がなく、各保持体26,27が接触する部分にノッチ17が存在するか否かを判定するだけでよい。このように第1次ノッチ検出工程における旋回アーム22の角変位速度を速くすることによって、ノッチ17の検出精度を低下させずに、位置調整動作を短縮することができる。
またステップa1における第1次ノッチ検出工程において、旋回アーム22の角変位量を可及的に小さくすることによってさらに、ウェハ19の位置調整動作に必要な時間を短縮することができる。またステップa1における第1次ノッチ検出工程で、ノッチ17の角度位置が判定されると、ステップa3における第2次ノッチ検出工程を省略してもよい。これによってさらに短時間にウェハ19の位置調整動作を行うことができる。
またステップa3に示す第2次ノッチ検出工程において、旋回アーム22を1回転するまでにノッチ17を判定した場合には、そのあとすぐにステップa4に進んでウェハ19の位置調整してもよい。
なお、制御手段38は、上述したステップa3で検出されたノッチ17の角度位置に基づいて、ステップa4で、3つのうちのいずれかの位置調整動作を行う。図20は、第1の位置調整動作を説明するための平面図である。制御手段38は、ノッチ17が基準角度位置に配置された状態で、旋回アーム22からロボットハンド18にウェハ19を受渡し可能な受渡可能位置範囲となると判断すると、第1の位置調整動作を行う。
第1の位置調整動作では、持替アーム32〜35を用いることなく、旋回アーム22を角変位させて、ノッチ17を基準角度位置に配置する。図20に示すように、ウェハ19を位置調整した状態で、アーム軸線L22とロボット進入方向に沿って延びるロボット移動経路U1との角度θ1が、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1であると、第1の位置調整動作を行う。
ロボット移動経路U1は、旋回軸線L1に垂直な平面において、ロボットハンド18がアライナ20からウェハ19を受取る場合に、ロボットハンド18がアライナ20に進入する方向に沿って延びる経路である。またロボットハンド非干渉角度範囲ω1は、ロボットハンド18へのウェハ19受渡時に、ロボットハンド18と旋回アーム22とが干渉しない角度範囲である。たとえばロボットハンド18の移動経路に旋回アーム22が配置されている場合には、ロボットハンド18と旋回アーム22とが干渉してしまう。
ウェハ19を位置調整した状態で、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度θ1が、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1となると、旋回アーム22を角変位させるだけで、ロボットハンド18は、旋回アーム22に干渉することなく位置調整されるウェハ19を受取ることができる。
たとえばロボットハンド非干渉角度範囲ω1は、前記ロボット移動経路U1とアーム軸線L22との角度θ1が50度以上でかつ130度以下となる角度範囲である。言い換えるとロボットハンド非干渉角度範囲ω1は、前記ロボット移動経路U1に垂直な仮想線U2とアーム軸線L22との角度が、±40度以内の角度範囲となる。このような場合には、制御手段38は、持替アーム32〜35を駆動させることなく、旋回アーム22を角変位させてウェハ19を位置調整する。
また、制御手段38は、旋回アーム22を角変位するだけでは、ロボットハンド18にウェハ19を受け渡し不可能であると判断すると、第2の位置調整動作または第3の位置調整動作を行う。第2および第3の位置調整動作では、持替アーム32〜35を用いてノッチ17と旋回アーム22との相対角度位置を調整する。
図21は、第2の位置調整動作を説明するための平面図である。ウェハ19を位置調整した状態で、アーム軸線L22と前記ロボット移動経路U1との角度θ1がロボットハンド非干渉角度範囲ω1でなく、アーム軸線L22と基台軸線L21との角度θ2が持替アーム干渉角度範囲ω2でないと、第2の位置調整動作を行う。
持替アーム干渉角度範囲ω2は、旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19を受渡すにあたって、持替アーム32〜35と旋回アーム22とが干渉する角度範囲である。たとえば持替アーム32〜35の上方に旋回アーム22が存在する場合には、旋回アーム22と持替アーム32〜35とが干渉する。
ウェハ19を位置調整した状態で、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1でなく持替アーム干渉角度範囲ω2でない場合には、ウェハ19と旋回アーム22との角度位置を調整して、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度θをロボットハンド非干渉角度範囲ω1に収める必要がある。たとえば持替アーム干渉角度範囲ω2は、基台軸線L21に対するアーム軸線L22の角度が、−40度より大きく、40度より小さい角度範囲となる。
図22は、第2の位置調整動作の手順を示すフローチャートであり、図23および図24は、第2の位置調整動作の手順を説明するための平面図である。まずステップb0で、制御手段38は、第2の位置調整動作を行う必要があると判定すると、ステップb1に進み、第2の位置調整動作を開始する。
ステップb1では、ノッチ17を基準角度位置に保った状態で、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1でかつ持替アーム干渉角度範囲ω2でない第1角度範囲ω3が存在するとステップb2に進む。また持替アーム干渉角度範囲ω2でかつロボットハンド非干渉角度範囲ω1でない第2角度範囲ω4が存在するとステップb8に進む。
すなわち図21(1)に示すような場合では、ステップb2に進み、図21(2)に示すような場合では、ステップb9に進む。またロボットハンド非干渉角度範囲ω1と持替アーム干渉角度範囲ω2とが一致する場合には、ステップb1に進む。
ステップb2では、ノッチ17が基準角度位置に位置するように、旋回アーム22を角変位させ、ステップb3に進む。ステップb3では、持替アーム駆動手段37を制御し、持替アーム32〜35を変位駆動させ、持替体28〜31によってウェハ19を保持する。これによって図23(1)に示すように、ウェハ19は、各持替アーム32〜35と旋回アーム22との両方に保持された状態となる。そして各持替アーム32〜35による保持が完了すると、ステップb4に進む。
ステップb4では、保持体駆動手段40を制御し、各保持体26,27によるウェハ19の保持を解除する。これによって図23(2)に示すように、旋回アーム22を角変位可能な状態とし、ステップb5に進む。ステップb5では、アーム軸線L22とロボット移動径路U1との角度θ1がロボットハンド非干渉角度範囲ω1の範囲となるように、旋回アーム22を角変位させ、ステップb6に進む。
ステップb6では、保持体駆動手段40を制御し、各保持体26,27によってウェハ19を保持する。これによって図23(3)に示すように、ウェハ19は、各持替アーム32〜35と旋回アーム22との両方に保持された状態となる。そして旋回アーム22による保持が完了すると、ステップb7に進む。
ステップb7では、持替アーム駆動手段37を制御し、持替アーム32〜35を変位駆動させる。そして持替体28〜31によるウェハ19の保持を解除する。これによって図23(4)に示すように、ウェハ19を位置調整するとともに、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度をロボットハンド非干渉角度範囲ω1に収めることができる。そしてステップb8に進み、第2位置調整動作を終了する。
またステップb9では、ノッチ17が基準角度位置に配置された状態から、予め定める第1所定角度θ7ずれるように、旋回アーム22を周方向一方B1角変位させる。言い換えると、ノッチ17を基準角度位置に配置した図24(1)に示す状態から、アーム軸線L22と基台軸線L21との角度θ2が持替アーム干渉角度範囲ω2とならないように、旋回アーム22を前記第1所定角度θ7だけ周方向一方向B1に角変位させた状態にして、ステップb10に進む。
ステップb10では、持替アーム駆動手段37を制御し、持替アーム32〜35を変位駆動させ、図24(2)に示すように、保持体26,27と持替体28〜31とによってウェハ19を保持し、ステップb11に進む。
ステップb11では、保持体駆動手段40を制御し、各保持体26,27によるウェハ19の保持を解除する。これによって旋回アーム22を角変位可能な状態とし、ステップb12に進む。ステップb12では、図24(3)に示すように、アーム軸線L22と基台軸線L21との角度θ2が持替アーム干渉角度範囲ω2とならないように、周方向他方B2に旋回アーム22を角変位させ、ステップb13に進む。
ステップb13では、保持体駆動手段40を制御して、各保持体26,27によってウェハ19を保持し、ステップb14に進む。ステップb14では、持替アーム駆動手段37を制御し、持替アーム32〜35を変位駆動させる。そして図24(4)に示すように、持替体28〜31によるウェハ19の保持を解除し、ステップb15に進む。
ステップb15では、旋回アーム22を角変位して、ノッチ17が基準角度位置に配置されるように角変位する。これによってアーム軸線L22とロボット移動経路U1との間の角度θ1をロボットハンド非干渉角度範囲ω1に収めることができる。そしてステップb8に進み、第2の位置調整動作を終了する。
なお、一度の持替では、ノッチ17を基準角度位置に配置することができない場合には、ノッチ17と旋回アーム22とを徐々にずらしながら、ステップb8〜b13の動作を複数回繰り返すことによって、アーム軸線22とロボット移動経路U1との角度θ1をロボットハンド非干渉角度範囲ω1に収めることができる。
また基台軸線L21と、ロボット移動経路U1とが垂直である場合など、持替アーム32〜35からロボットハンド18にウェハ19を搬送可能な場合には、位置調整時間を短縮するために、ステップb6の動作を省略して、持替アーム32〜35からロボットハンド18にウェハ19を受け渡してもよい。
図25は、第3の位置調整動作を説明するための平面図である。ロボットハンド18の進入方向およびウェハ19の位置によっては、ノッチ17を基準角度位置に配置した状態で、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度θ1が、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1でなく、かつアーム軸線L22と基台軸線L21との角度θ2が持替アーム干渉角度範囲ω2であると、第3の位置調整動作を行う。すなわちノッチ17を基準角度位置に配置した状態では、旋回アーム22がロボットハンド18と干渉し、かつその状態では、旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19を持ち替えることができない場合に、第3の位置調整動作を行う。
図26は、第3の位置調整動作の手順を示すフローチャートであり、図27は、第3の位置調整動作の手順を示す平面図である。まずステップc0で、制御手段38は、第3の位置調整動作を行う必要があると判定すると、ステップc1に進み、第3の位置調整動作を開始する。
ステップc1では、旋回アーム22を角変位させ、旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19を持替えるにあたって、旋回アーム22と持替アーム32〜35とが干渉しない位置に旋回アーム22を配置させて、ステップc2に進む。たとえばノッチ17を基準角度位置に配置した状態から、第2所定角度θ8で角変位させた位置となるように旋回アーム22を角変位させる。
なお第2所定角度θ8は、図25に示すように、ノッチ17を基準角度位置に配置した状態におけるアーム軸線L22から持替アーム干渉角度範囲ω2の境界までの角度θ9以上となる角度である。このようにして図27(1)に示す位置から図27(2)に示す位置に、旋回アーム22を周方向他方B2に角変位させる。
ステップc2では、上述したステップb3およびステップb4と同様の動作を行い、図27(3)に示すように、旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19を持ち替え、ステップc3に進む。
ステップc3では、図27(4)に示すように、アーム軸線L22と基台軸線L21との角度θ2が持替アーム干渉角度範囲ω2とならないように、さらにアーム軸線L22とロボット移動経路U2との角度θ1がロボットハンド非干渉角度範囲ω1となるように、旋回アーム22を周方向他方B2に角変位させる。より正確には、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度θ1を、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1から周方向他方B2に前記第2所定角度θ8角変位した角度範囲ω3に配置し、ステップc4に進む。
ステップc4では、上述したステップb6およびステップb7と同様の動作を行い、図27(5)に示すように、旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19を持ち替え、ステップc5に進む。ステップc5では、旋回アーム22を前記第2所定角度θ8で周方向一方B1に角変位させる。これによってノッチ17を基準角度位置に配置したうえで、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度θ1をロボットハンド非干渉角度範囲ω1に収めることができる。そしてステップc6に進み、第3の位置調整動作を終了する。
なお、一度の持替では、ノッチ17を基準角度位置に配置することができない場合には、ノッチ18と旋回アーム22とを徐々にずらしながら、ステップc1〜c5の動作を複数回繰り返すことによって、アーム軸線L22とロボット移動経路U1との角度θ1をロボットハンド非干渉角度範囲ω1に移動させることができる。
第2または第3の位置調整動作のように、旋回アーム22とロボットハンド18とが干渉する場合であっても、持替アーム32〜35を用いることによって、ノッチ17を基準角度位置に配置した状態で、旋回アーム22とロボットハンド18とが干渉しない位置関係にすることができる。これによってノッチ17がエッジ17の任意の位置にある場合であっても、位置調整したウェハ19をロボットハンド18に搬送させることができる。
このような第1〜第3の位置調整動作のいずれかのいずれの位置調整動作を御手段38が行うことによって、ノッチ17の位置およびロボットハンド18の進入方向にかかわらず、位置調整したウェハ19をロボットハンド18に受渡すことができる。また一度の持替でウェハ19の位置調整が可能な場合、第2所定角度θ8は、ノッチ17を基準角度位置に配置した状態におけるアーム軸線L22から持替アーム干渉角度範囲ω2の境界までの角度θ9以上となる角度であり、可及的に小さい角度であることが好ましい。これによってステップc1およびステップc5における旋回アーム22の角変位量を小さくすることができ、位置調整時間を短縮化することができる。
また、上述した発明の実施の形態では、ステップa1における第1次ノッチ検出工程でノッチ17が検出されると、旋回アーム22を−5度角変位して保持するとしたが、−5度でなくてもよい。たとえば第1次ノッチ検出工程でノッチ17が検出されると、ノッチ17が基準角度位置に配置された状態でロボットハンド18と旋回アーム22とが干渉しない範囲、すなわち受渡可能位置範囲に旋回アーム22が配置されるように、旋回アーム22を予め角変位させてからウェハ19を保持してもよい。言い換えると持替アーム32〜35によってウェハ19を持ち替えるにあたって、ノッチ17と、ウェハ19を搬送する多関節ロボットのロボットハンド18の形状とに基づいて、持替アーム32〜35によるウェハ19の持ち替え回数が少なくなる角度位置でウェハ19を保持するように旋回アーム22を角変位させる。
この場合、制御手段38は、前記ロボット移動経路U1、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1を記憶し、第1次ノッチ検出工程で判定されたノッチ17の角度位置と、記憶している各情報とに基づくことによって、ウェハ19をロボットハンド18に受渡す時に、受渡可能位置に旋回アーム22を配置することができる。
これによってノッチ17を基準角度位置に配置した状態で、ロボットハンド18と旋回アーム22とが干渉することを防ぐことができる。ロボットハンド18と旋回アーム22とが干渉すると、ウェハ19を持ち替えて保持しなおす必要があるが、本発明のように干渉を防止するようにしてからウェハ19を保持することによって、持替すべき状況を可及的に少なくすることができ、作業時間を短縮することができる。
同様に、第1次ノッチ検出工程でノッチ17が検出されると、ノッチ17が基準角度位置に配置された状態で持替アーム32〜35と旋回アーム22とが干渉しない範囲、すなわち非干渉位置範囲に旋回アーム22が配置されるように、旋回アーム22を予め角変位させてからウェハ19を保持してもよい。この場合、制御手段38は、予めロボット移動経路U1、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1、持替アーム干渉角度範囲ω2を記憶し、第1次ノッチ検出工程で判定されたノッチ17の角度位置と、記憶している各情報とに基づくことによって、非干渉位置範囲に予め旋回アーム22を配置することができる。
これによってノッチ17を基準角度位置に配置するために、旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19の持ち替えが必要となる場合であっても、旋回アーム22と持替アーム32〜35とが干渉することを防ぐことができる。また旋回アーム22から持替アーム32〜35にウェハ19を持替えなければならない可能性を低くすることができる。これによってさらに持替回数を減らすことができ、ウェハ19の位置調整動作に必要な時間をさらに短縮することができる。
このようにノッチ17を基準角度位置に配置した状態で、旋回アーム22とロボットハンド18とが干渉しない位置を保持する場合、および旋回アーム22と持替アーム32〜35とが干渉しない位置を保持する場合、前記移動角度θ3を大きくして、エッジを保持する前に可及的に広範囲のエッジ領域におけるノッチの有無を判定することが好ましい。これによってよってさらに持替回数を減らすことができる。
図28は、ロボットハンド18にウェハ19を受渡すときの具体的な動作手順を示すフローチャートであり、図29は、受渡すときの動作手順を説明するための平面図である。
まず制御手段38は、上述したような第1〜第3野いずれかの位置調整動作を行い、ステップd0で、図29(1)に示すようにノッチ17を基準角度位置に調整して保持すると、ステップd1に進み、受渡動作を開始する。ステップd1では、制御手段38は、ロボットハンド駆動手段39に動作開始指令を与える。これによってロボットハンド18がウェハ19とアーム本体100との間に進入し、予め定められるティーチング位置に移動する。
図29(2)に示すようにロボットハンド18がティーチング位置に移動すると、ロボット駆動手段40からティーチング位置移動完了信号が与えられ、ステップd2に進む。
ステップd2では、保持手段駆動手段40の電磁弁60にエギゾースト(Exhaust)指令信号を与えて、外力によって各保持体26,27が変位する変位許容状態とする。またロボットハンド駆動手段39に動作開始指令信号を与える。動作開始指令信号が与えられたロボットハンド駆動手段39は、ロボットハンド18に設けられるプランジャを用いて、挟持片を変位させてウェハ19を挟持して保持する。そしてロボットハンド18によるウェハ19の挟持が完了すると、各保持体26,27を半径方向A外方に移動させ、ロボットハンド18にウェハ19を受渡して、ステップd3に進む。
ステップd2において、各保持体26,27を変位許容状態とすることによって、ウェハ19は、外力によってずれることが可能な状態となる。これによってロボットハンド18のプランジャがウェハ19を挟持した場合であっても、ウェハ19が損傷することを防止することができる。
ステップd3では、旋回アーム22を角変位させ、図29(3)に示すように、ロボット移動経路U1に垂直にアーム軸線L22を配置し、ステップd4に進む。ステップd4では、ロボットハンド駆動手段39に受渡完了指令を与え、図29(4)に示すように、ロボットハンド駆動手段39が予め教示される動作を行い、ステップd5に進む。ステップd5では、受渡動作を終了する。
ステップd3で、ウェハ19をロボットハンド18に受け渡した後、旋回アーム22を角変位させて、ロボット移動経路U1に垂直にアーム軸線L22を配置することによって、ウェハ19が、旋回アーム22に干渉することを防止して、ロボットハンド18をアライナ20から離脱させることができる。また旋回アーム22を初期位置に配置することができ、次のウェハ位置合わせ調整動作を円滑に行うことができる。 エンコーダ25は、電源が投入された旋回アーム22の角度位置をゼロ度位置と設定し、ゼロ度位置からの角変位量をエンコーダ値として制御手段38に与える。制御手段38は、電源が投入された後に検定指令信号を旋回アーム駆動手段39に与えることによって、角度位置の検定を行う。
アライナ20は、角度位置の検定を行うために、検定用センサが設けられる。検定用センサは、予め定める設定角度位置に対して既知の角度位置に旋回アーム22が配置されたときに、検出信号を出力する。設定角度位置は、旋回アーム22を角変位するときに基準となる角度位置である。
旋回アーム駆動手段39は、検定指令信号を受取ると予め定める周方向Bに低速で角変位する。このとき旋回アーム22が設定角度位置に対して既知の角度位置に配置されると、制御手段38は、検定用センサから検出信号を受取る。
検出信号を受取った場合、制御手段38は、旋回アーム22のゼロ位置からの角変位量をエンコーダ25から取得し、ゼロ位置と設定角度位置とのずれ量を決定し、そのずれ量を補正する補正量を決定する。制御手段38は、エンコーダ25からのエンコーダ値と前記補正量とに基づいて、基準となる設定角度位置からの旋回アーム22の角変位量を検出することができる。
たとえば検出信号を受取ったときの旋回アーム22の角度位置を、設定角度位置から周方向他方に390度、言い換えると周方向一方に−390度角変位した位置として設定する。検定後に制御手段38は、設定角度位置から±360度の範囲内で、旋回アーム22を機械的に動作させる。なお、電源投入時に検定用センサが既に検出信号を出力している場合には、周方向他方に所定角変位量ずらした後、周方向一方に低速で角変位する。
さらに精度を向上するために、上述した方法の後に、旋回アーム22を角変位させて、旋回アーム22によって第1ノッチセンサ23の受光状態が変化してから解消されるまでの位置を検出して、その変化期間に移動した旋回アーム22の移動経路のうちの周方向中央位置を求めて、その中央位置を初期位置とする。そして初期位置を求めるための補正値を決定する。すなわちアーム軸線L22と基台軸線とが一致する位置を初期位置とする。
図30および図31は、制御手段38の動作手順をより詳細に示すフローチャートである。制御手段38は、ウェハ19の位置調整の準備が完了するとステップe1に進み、制御動作を開始する。
ステップe1では、旋回アーム22を初期位置に角変位させる。具体的には、ロボット移動経路U1に対して、アーム軸線L22が90度または−90度となるように配置する。なお、アーム軸線L22を90度または−90度のいずれに角変位させるかは、初期位置に角変位する前の旋回アーム18の角度位置によって決定される。このように旋回アーム22を2つのうちいずれかの初期位置に角変位させると、ステップe2に進む。ステップe1において、旋回アーム22は、複数回転角変位することがなく、アーム体100から基台21に連なるケーブルがねじれて破損することが防止される。
ステップe2では、保持体駆動手段40を制御して各保持体26,27を半径方向A外方にそれぞれ移動させる。すなわちウェハ19が配置される空間を形成し、ステップe3に進む。ステップe3では、ロボットハンド駆動手段39にウェハ配置指令を与え、ステップe4に進む。
ステップe4では、ウェハ19を保持したロボットハンド18が、各保持体間を通過し、ウェハ19を旋回軸線L1と同軸に配置する。制御手段38は、ウェハ19が旋回軸線L1に同軸に配置されたことを検知し、ステップe5に進む。ステップe5では、各第2ノッチセンサ24a,24bを動作させ、受光部106の検出状態を確認し、ステップe6に進む。またステップe5において、第1ノッチセンサ23もまた動作させてもよい。
ステップe6では、2つのノッチセンサ24a,24bがともに遮光状態を検出する場合には、正常位置にウェハ19が配置されたことを確認し、ステップe7に進む。また2つの第2ノッチセンサ24a,24bのうち、一方のノッチセンサ24aが遮光状態を検出し、他方のノッチセンサ24bが透光状態を検出した場合には、透光状態を示した第2ノッチセンサ24bに対向する位置にノッチ17が存在することを判定して、正常位置にウェハ19が配置されたことを確認し、ステップe7に進む。
また両方のノッチセンサ24a,24bが透光状態を示す場合には、ステップe8に進んで、報知手段を用いて異常状態であることを報知し、ステップe17に進む。ステップe17で制御手段28は、動作を終了する。なお、ステップe6において、各第2ノッチセンサ24a,24bの他に第1ノッチセンサ23を用いることによって、ノッチ位置およびウェハの配置異常をより正確に求めることができる。
ステップe6で、ウェハ19の配置位置が正常であると確認されると、ステップe7で、予め定められる角度範囲である揺動角度、たとえば10度、旋回アーム22を角変位させてステップe9に進む。
ステップe9では、ステップe7の角変位期間中における各第2ノッチセンサ24a,24bの検出状態がともに遮光状態であるならば、角変位期間中に第2ノッチセンサ24が対向した領域には、ノッチ17が存在しないことを判定し、ステップe10に進む。ステップe10では、ノッチ17が存在しないエッジ領域に各保持体26,27が対向するように、旋回アーム22を角変位させ、ステップe12に進む。
またステップe9において、ステップe7の角変位期間中における一方の第2ノッチセンサ24aの検出状態が遮光状態であり、他方の第2ノッチセンサ24bの検出状態が透光状態である場合であると、ステップe11に進む。
ステップe11では、ステップe9において、透光状態となるときの旋回アーム22の周方向角度範囲がノッチ相当の周方向角度範囲となる場合には、その透光状態となる第2ノッチセンサ24に対向する位置にノッチ17が存在すると判定し、ステップe10に進む。ステップe10では、ノッチ17が存在しないエッジ領域に各保持体26,27が対向するように、旋回アーム22を角変位し、ステップe12に進む。
またステップe11において、透光状態となるときの旋回アーム22の周方向角度範囲がノッチ相当の周方向角度範囲でないないならば、ステップe8に進んで、異常状態であることを報知し、ステップe17に進む。ステップe17で制御手段28は、位置調整動作を終了する。
図32は、ウェハ19の軸線L10が旋回軸線L1に対してずれて配置された場合を示す平面図であり、図33は、図32の場合の受光部の受光量と旋回アーム22の角度位置との関係を示すグラフである。ウェハ19の配置位置が旋回軸線L1からずれた場合には、2つの第2ノッチセンサ24a,24bのうち、いずれか一方の第2ノッチセンサ24が投光部106からの光を受光するときの、旋回アーム22の周方向角度範囲が大きくなる。またウェハが欠けてい場合およびウェハのサイズが異なる場合であっても、受光量が正常な場合に比べて異なる。
またステップe12では、ウェハ19を旋回アーム22に保持させる。具体的には、ロボットハンド駆動手段39のプランジャをウェハ18から離反させ、ウェハ19の挟持を解除するように挟持解除指令を与える。これによってウェハ18は、ロボットハンド18によって下方から支持された状態となり、外力によって半径方向に変位可能な状態となる。
次に制御手段38は、保持体駆動手段40を制御して、各保持体26,27を半径方向A内方に移動させ、各保持体26,27によって協働してウェハ19を挟持させ、ステップe13に進む。ロボットハンド18による挟持を解除した状態で、保持体26,27によってウェハ19を挟持することによって、ウェハ19は、外力によってずれることが可能な状態となる。これによって保持体26,27がウェハ19を保持した場合に、ウェハ19が損傷することを防止することができる。
ステップe13では、ロボットハンド18をアライナ20から離反させるロボット離反指令をロボットハンド駆動手段39に与える。ロボットハンド18がアライナ20から退避した退避位置に移動すると、ステップe14に進む。ステップe14では、旋回アーム22を最大で1回転角変位させる。このときの角変位期間において第1ノッチセンサ23を動作させ、旋回アーム22の角度位置とともに受光部111の受光状態を調べる。これによって制御手段38は、ノッチ17の角度位置を判定し、ステップe15に進む。
ステップe15では、ステップe14で求めたノッチ17の角度位置と、予め定められるロボット移動経路U1と、ロボットハンド非干渉角度範囲ω1と、持替アーム干渉角度範囲ω2とに基づいて、上述した第1〜第3の位置調整動作のいずれかを行い、ステップe16に進む。ステップe16では、図30に示すロボット受渡動作を行い、ステップe17に進み、ステップe17で制御手段38の動作を終了する。
本発明の実施の一形態のエッジ保持アライナ20は、2つの保持体26,27が、旋回軸線L1に関して点対称にそれぞれ2つ設けられる。これによって保持体26,27間の間隔を大きくすることができるので、旋回アーム22とロボットハンド18とが干渉する可能性を小さくすることができる。これによって旋回アーム22からロボットハンド18にウェハ19を受渡すにあたって、旋回アーム22に保持されたウェハ19を持ち替えることなく、ウェハ19を受渡すことができる範囲を大きくすることができる。これによって位置調整したウェハ19がずれる可能性を小さくすることができる。また構造を単純化することができる。
また図4に示すように、各保持体26,27は、その両側部分95,96でエッジ16に接触する。これによって2つの保持体26,27であっても、安定してウェハ19を保持することができる。さらに各保持体26,27が協働してウェハ19を押圧することによって、より確実にウェハ19を保持することができる。これによって旋回アーム22が角変位したとしても、ウェハ19がずれることを防止することができる。またロボットハンド18から旋回アーム22にウェハを受渡す場合に、ロボットハンド18に対してウェハ19がずれている場合であっても、正確にウェハ19を旋回軸線L1と同軸に配置することができる。
また図19,図23,図24に示すように、基台軸線L21と大略的に垂直な方向からロボットアーム18が進入するように、アライナ20の位置を調整することによって、旋回アーム22がロボットハンド非干渉角度範囲ω1でない角度位置の場合には、持替アーム干渉角度範囲ω2となる角度位置となる可能性を少なくすることができ、持替回数を少なくすることができる。
また図5に示すように、各持替体28〜31がウェハ19のエッジに接触する位置と角変位軸線L2とを結ぶ直線94が、旋回軸線L1に平行に延びる。言換えると前記直線94は、ウェハ19の一半径方向に延びる。各持替体28〜31は、角変位軸54から角変位軸線L2,L3まわりの回転モーメントを受けて、エッジ16を旋回軸線L1に向けて押圧する。
上述したように角変位軸線L2と持替体28〜31とを結ぶ直線94は、旋回軸線L1に平行に延びるので、ウェハ19にはその半径方向Aに向かう力のみが持替体28〜31からが与えられる。すなわちウェハ19には、その厚み方向に向かう力が持替体23〜31から与えられることはなく、破損を防止して確実にウェハ19を保持することができる。
持替体28〜31は、エッジ16を保持しない退避状態では、旋回アーム22の角変位を許容する位置に配置する必要がある。たとえば比較例として、持替体28〜31を半径方向Aに沿って直線的に変位して、エッジ16に接触する場合には、退避位置に移動するまでに長い移動経路が必要となり、アライナが大型化する。しかし本実施の形態では、持替体28〜31は、角変位軸線L2,L3まわりに角変位してエッジに近接および離反する。これによって持替体28〜31が半径方向Aに直進移動する場合に比べて、角変位体28〜31の移動経路を短くすることができ、アライナ20を小型化することができる。
また単に、持替体28を角変位させた場合には、ウェハ22の厚み方向に力を与えて挟持するおそれがあるが、上述したように角変位軸線L2と持替体28〜31とを結ぶ直線94は、旋回軸線L1に平行に延びることによって、挟持したウェハ19に厚み方向の力が与えられることを防止することができる。
また本実施の形態では、各保持体26,27は、共通のポンプから与えられる圧縮空気によってエアシリンダが動作され、連動して駆動される。空気が圧縮性を有するので、2つのうち一方の保持体26が先にウェハ19に接触しても、その保持体26が極端に強く基板を押圧することがない。そして保持体26,27を動作させる圧縮空気の圧力が等しいので、各保持体26,27が基板を押圧する力が最終的につりあい、ウェハ19を旋回軸線L1と同軸に保持することができる。
同様に持替アーム32〜35もまた、共通のポンプから与えられる圧縮空気によってシリンダを動作され、連動して駆動されるので、上述した保持体26,27と同様の効果を得ることができる。
また制御手段38がロボットハンド駆動手段39を制御可能な場合には、ステップe11において、2つの第2ノッチ検出手段24a,24bと第1ノッチ検出手段23との検出結果に基づいて、制御手段38が、旋回軸線L1とロボットハンド18に保持されるウェハの軸線L10とのずれを求め、ロボットハンド18のティーチング位置を補正しなおしてもよい。これによってロボットハンド18の移動位置を作業者が正確に挟持しなくても、挟持位置が補正されて、ロボットハンド18によってウェハ19を旋回軸線L1に同軸に調整することができる。これによって短時間でロボットハンド18のティーチングを行うことができ、利便性を向上することができる。またウェハ19の把持ミスを防止することができる。
また上述した本発明の実施の一形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば位置決め部としてノッチ17を検出したが、ノッチ17以外の位置決め部であってもよい。たとえばウェハ19に形成されるオリフラを検出しても、ウェハ19の位置を調整することができる。またエッジ保持アライナ20は、ウェハ19以外の基板の位置を調整してもよく、たとえば円板形状のガラス基板の位置を調整してもよい。
また旋回アーム駆動手段36、持替アーム駆動手段37、保持体駆動手段40は、上述した構成でなくてもよく、旋回アーム22、持替アーム32〜35、各保持体26,27を駆動可能であれば他の構成であってもよい。たとえば持替アーム駆動手段37、持替アーム駆動手段40は、エアシリンダを用いて実現されるが、電気モータによって実現してもよい。また各ノッチセンサ23,24a,24bは、光ファイバ以外によって実現されてもよい。また旋回軸線L1は、鉛直方向に延びるとしたが、他の方向に延びてもよい。この場合、高さ方向一方は上下方向以外の方向となる。また基台軸線L21とロボット移動径路U1とが90度でなくてもよい。また制御手段38の制御動作は、本発明の一例であって、本発明のアライナ20を用いて、他の制御動作を行ってもよい。