JP3942880B2 - 研削砥石 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砥粒層を有する円筒状の部分砥石が、その底面に垂直な方向に複数積み重ねられた状態で接着剤を介して一体に固着されて構成された研削砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、砥粒層を有する複数のセグメントチップが、円筒状のコア部の外周面に固着され、そのコア部の軸心まわりに回転させられることにより、そのセグメントチップの砥粒により研削加工をおこなうセグメント型研削砥石が知られている。とりわけ、ダイヤモンド砥粒あるいはCBN砥粒といった所謂超砥粒を用いた研削砥石では、アルミナ砥粒や炭化ケイ素砥粒等の一般砥粒を用いた研削砥石と比較して研削に関与する砥粒層の寿命が長く、また、超砥粒それ自体が比較的高価である為に研削使用面の表層にのみ超砥粒砥材を使用した上記セグメント型研削砥石の形態をとることが多く、様々な分野において多用されるとともに、さらなる研削性能の向上を目的とした開発が進められている。例えば、特願2000−053927号明細書に記載されたセグメント型研削砥石のように、セグメントチップの配列を工夫することで自励振動の予防機能を持たせたセグメント型研削砥石が提案されている。
【0003】
そのようなセグメント型研削砥石の一例を図1の斜視図に示す。図1のセグメント型研削砥石10は、例えば、外径400(mmφ)×厚さ200(mm)×穴径200(mmφ)程度の寸法を備えた穴あき円筒状を成すものであり、砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップ12が、円筒状のコア部14の周方向および高さ方向に複数配列させられて、そのコア部14の外周面に接着剤を介して固着されることにより構成されている。
【0004】
かかるセグメント型研削砥石10は、例えば、円筒状の被削材を研削砥石、調整砥石、およびブレード(受け板)で支えて、主としてその円筒外周面又を研削する研削加工であるセンタレス研削加工の分野において多用されている。図2は、上記セグメント型研削砥石10を用いたスルーフィード形式のセンタレス研削加工について説明する図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。スルーフィード形式のセンタレス研削加工はこの図に示すように、ブレード16上に載置された軸状の被削材18を、図に矢印で示す軸心方向に順次搬送しながら、上記セグメント型研削砥石10と調整砥石20との間で挟圧し、調整砥石20を(b)の矢印で示す方向に回転させることにより被削材18をその軸心まわりに所定の回転数で回転させながら、セグメント型研削砥石10を(b)の矢印で示す方向に所定の回転数で回転させて被削材18の外周面を研削加工するものである。ここで、必要に応じてダイヤモンドドレッサ22によりセグメント型研削砥石10の研削面の砥粒突出量を調整しつつ研削加工をおこなう。
【0005】
ところで、前述のように、砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップ12が、円筒状のコア部14の周方向および高さ方向に複数配列させられて、そのコア部14の外周面に接着剤を介して固着されることにより構成されたセグメント型研削砥石の一態様として、例えば、上述のセンタレス研削加工等に際して、ひとつの研削砥石で粗研削、中研削、および仕上研削をおこなうことを可能とする為に、セグメント型研削砥石の高さ方向に配列させられるそれぞれの列例えば図1に示すA列、B列、C列にそれぞれの精度および取代に応じた異なる仕様のセグメントチップ12が固着されることにより構成されたものがある。また、センタレス研削加工は、調整砥石20の角度を変えることで研削砥石(図2では、セグメント型研削砥石10)のどの箇所で主に研削されるかを調整することができ、これを一般に研削当たりと呼ぶが、この研削当たりする箇所のセグメントチップ12を高硬度あるいは高集中度にしたセグメント型研削砥石もある。以下に、研削当たりとそれに対応する適格作業を例示する。
【0006】
研削当たり 適格作業
入口研削当たり 粗研削(研削代が大きい、被削材個数が多い)
中央研削当たり 通常研削
出口研削当たり 被削材に曲がりがある、アンバランス形状
全面研削当たり 仕上研削(薄肉パイプ)
【0007】
本発明者等は、被削材の入口側の列すなわちA列に用いるセグメントチップ12の仕様をB列およびC列よりも結合度の高いもの(CB120N200V)とした試料1と、B列およびC列と同様のもの(CB120M200V)とした試料2とを用いてスルーフィールド形式のセンタレス研削加工をおこない、被削材を200万本加工した後の研削面の平均摩耗量を測定した。以下にその研削条件および研削結果を示す。また、被削材を200万本加工した後の試料1の研削面の測定結果を図3に、試料2の測定結果を図4に示す。
【0008】
[研削条件]
試料1 A列:CB120N200V B列:CB120M200V C列:CB120M200V
試料2 A列:CB120M200V B列:CB120M200V C列:CB120M200V
砥石寸法:外径405(mmφ)×厚さ210(mm)×穴径203.2(mmφ)
被削材:丸棒 外径10(mmφ)×長さ30(mm)
材質:SUJ2
取代:50(μmφ)
[研削結果]
Figure 0003942880
【0009】
上記研削結果と、図3および図4に示すように、セグメント型研削砥石の高さ方向に配列させられるそれぞれの列の特性を考慮し、例えば上記試料1のように被削材の入口側の列に用いるセグメントチップ12の仕様を他の列よりも結合度の高いものとすることで、砥粒層の摩耗量を減少させることができ、砥石寿命が長くなることに加えて、ドレッシングの回数が少なくて済むといった利点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記セグメント型研削砥石10のように、高さ方向に砥粒層の繋ぎ目を有した研削砥石において、例えば、その繋ぎ目に若干の段差があったり、セグメントチップ12をコア部14に接着する際に用いられた接着剤が研削面にはみ出している場合には、前述のセンタレス研削加工において、被削材18がセグメント型研削砥石10と調整砥石20との間を通過する際に繋ぎ目で跳ねてセグメント型研削砥石10に傷をつけたり、研削面にはみ出した接着剤によって被削材18の真円度低下を引き起こしたり、被削面に加工跡を生じさせたりといった不具合が生じる可能性が指摘されていた。
【0011】
かかる不具合の発生を防止する為に先ず考えられるのは、長手方向に十分な長さを備えたセグメントチップ12を使用することにより、高さ方向にセグメントチップ12の繋ぎ目を有しないセグメント型研削砥石を使用することであるが、そのように長手方向に十分な長さを備えたセグメントチップ12は、一定の条件下においてのみ好適に焼成されるものである為、現在開発が進められている途上である。さらに、前述のように底面に垂直な方向に配列させられるそれぞれの列に異なる仕様のセグメントチップ12を固着させて構成されるセグメント型研削砥石においては、高さ方向のセグメントチップ12の繋ぎ目は必然的に生じてしまう。この為、セグメント型研削砥石の高さ方向におけるセグメントチップの繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しを好適に防止したセグメント型研削砥石を提供する技術の開発が求められていた。
【0012】
ところで、前述のように、砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップ12が、円筒状のコア部14の周方向および高さ方向に複数配列させられて、そのコア部14の外周面に接着剤を介して固着されることにより構成されたセグメント型研削砥石には、そのコア部14に関し大まかに分類して2種類の形態がある。すなわち、(a)部分円筒状のセグメントチップ12が、単一の円筒状のコア部14の外周面に複数固着されて構成されたセグメント型研削砥石と、(b)部分円筒状のセグメントチップ12が円筒状のコア部14の外周面に複数固着されて構成された部分砥石が、その円筒状のコア部14の底面に垂直な方向に複数積み重ねられた状態で接着剤を介して一体に固着されて構成されたセグメント型研削砥石である。(b)において説明したセグメント型研削砥石では、それぞれの部分砥石の接着に関与する箇所を仕上加工した後に固着することができる為、(a)において説明したセグメント型研削砥石と比較して、セグメント型研削砥石の高さ方向におけるセグメントチップ12の繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しが生じ難いという利点がある。
【0013】
上述の(b)において説明したセグメント型研削砥石に関して、複数の部分砥石26を接着させる為の手段として従来用いられてきたのは、図5の断面図に示すように、互いに対向するコア部14の底面の少なくとも一方に接着剤24を塗布してそれぞれの部分砥石26を一体に固着させるものであった。図6は、このようにして3つの部分砥石26が一体に固着されることにより構成されたセグメント型研削砥石30を示す断面図である。しかし、この図に示すように、コア部14の接着に関与する底面がどちらも平坦である場合には、接着剤24の量が過剰であった際に、研削面および/または内周面に接着剤24のはみ出しが生じる可能性があった。また、硬化した接着剤の厚みによりセグメントチップ12の繋ぎ目に隙間ができる場合があった。
【0014】
研削面への接着剤24のはみ出しおよびセグメントチップ12の繋ぎ目の隙間の発生を防止する為の手段として、図7の断面図に示すように、部分砥石28の接着に関与するコア部14の両側の底面に、それぞれの底面から所定の深さを備えた固着平面部を設け、その固着平面部に接着剤24を塗布し、平坦な底面を有する2つの部分砥石26の間にその部分砥石28を挟むようにして固着させることが考えられる。図8は、そのようにして2つの部分砥石26と、部分砥石28とが一体に固着されることにより構成されたセグメント型研削砥石40を示す断面図である。しかし、この図に示すように、接着剤24の量が十分でない場合には、接着が局所的となり十分な接着面積が確保できない為に研削加工に使用するには安全面での問題が生じる。これに加えて、接着剤24の塗布量および塗布箇所の管理は困難である為、セグメント型研削砥石の高さ方向におけるセグメントチップの繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しを生じさせないセグメント型研削砥石は未だ開発されていないのが現状である。
【0015】
また、上述のセグメント型研削砥石のみならず、例えば、その周方向に繋ぎ目のない砥粒層とコア部とを一体に成型した後に焼成を施すことにより作製される研削砥石や、あるいは、砥粒層とコア部との区分が存在しない研削砥石すなわち砥粒層およびコア部に同一の砥石原料を用いて一体に成型した後に焼成を施すことにより作製される研削砥石に関しても、前記センタレス研削加工等に際して、ひとつの研削砥石で粗研削、中研削、および仕上研削をおこなうことを可能とする為には、それぞれの精度および取代に応じた異なる仕様の部分砥石を、その底面に垂直な方向に複数積み重ねた状態で一体に固着して作製する必要がある。また、底面に垂直な方向に十分な高さを備えた研削砥石では、一体成型したものを焼成するのは困難な場合があり、複数の部分砥石を積み重ねた状態で接着する態様を採ることも少なくない。しかし、上記セグメント型研削砥石と同様の理由により、研削砥石の高さ方向における砥粒層の繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しを生じさせない研削砥石は開発途上であった。
【0016】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、研削砥石の高さ方向における砥粒層の繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しを好適に防止した研削砥石を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に、本発明の要旨とするところは、砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップが円筒状のコア部の外周面に複数固着されて構成された部分砥石が、その円筒状のコア部の底面に垂直な方向に複数積み重ねられた状態で接着剤を介して一体に固着されて構成された、センタレス研削加工用の研削砥石であって、互いに対向する前記コア部の底面の少なくとも一方に、(a)その底面から所定の深さを備えたその底面に略平行な平面である固着平面部と、(b)その固着平面部から所定の深さを備えてその固着平面部の周囲に形成された凹部とが設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の効果】
このようにすれば、部分砥石の接着に際して、接着剤の塗布量および塗布箇所の調整が若干不適切であっても、互いに対向する前記コア部の底面の少なくとも一方に、その底面から所定の深さを備えたその底面に略平行な平面である固着平面部が設けられている為、その固着平面部に対向する平面との間に十分な接着面積が確保され、また、その固着平面部から所定の深さを備えてその固着平面部の周囲に形成された凹部が設けられている為、過剰量の接着剤がその凹部に流入し、研削面および/または内周面にはみ出すことがない。すなわち、研削砥石の高さ方向におけるセグメントチップの繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しを好適に防止した、センタレス研削加工用のセグメント型研削砥石を提供することができる。
【0020】
【発明の他の態様】
ここで、本発明において、好適には、前記固着平面部と、前記固着平面部と接着剤を介して固着された前記固着平面部に対向する平面との距離は20〜200(μm)の範囲内である。前記固着平面部と、前記固着平面部と接着剤を介して固着された前記固着平面部に対向する平面との距離が20(μm)未満である場合には応力緩和が困難となり、200(μm)より大きい場合には接着気泡の混入等による接着不良が発生し、十分な接着強度が確保されず、使用に際して部分砥石が分離したり、繋ぎ目に段差が生じたりする可能性がある。よって、前記固着平面部と、前記固着平面部と接着剤を介して固着された前記固着平面部に対向する平面との距離を20〜200(μm)の範囲内とすれば、前記固着平面部と、前記固着平面部と接着剤を介して固着された前記固着平面部に対向する平面との距離すなわち硬化した接着剤の厚みが適切である為に、十分な接着強度が確保されることにより、研削砥石の高さ方向における砥粒層の繋ぎ目での段差の発生を好適に防止することができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図9は、本発明の一実施例であるセグメント型研削砥石50の製造工程における複数の部分砥石を相互に固着する様子を示す断面図である。この図に示すように、セグメント型研削砥石50は、例えば、外径400(mmφ)×厚さ70(mm)×穴径200(mmφ)の寸法を備えた穴空き円筒状のコア部14の外周面に砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップ12が複数固着されて構成された部分砥石が、その円筒状のコア部14の底面に垂直な方向に3つ積み重ねられた状態で、例えば2液型のエポキシ樹脂結合剤等の接着剤を介して一体に固着されて構成されたものである。ここで、本実施例では、平坦な底面を有する2つの部分砥石26の間に、コア部14の両側の底面14aに固着平面部14bおよび凹部14cが設けられた部分砥石52を挟んで接着剤を介して固着させ、セグメント型研削砥石50を作製する。
【0023】
図10は、上記部分砥石52を底面14aに垂直な方向から見た図である。この図に示すように、部分砥石52の接着に関与するコア部14の両側の底面14aには、コア部14の軸心を中心とする同心円状に、それぞれの底面14aから20〜200(μm)、より好適には50〜200(μm)の深さを備えたそれぞれの底面14aに略平行な平面である固着平面部14bと、その固着平面部14bから250〜1000(μm)の深さを備えてその固着平面部14bの周囲に形成された凹部14cとが交互に設けられている。図11は、そのようにして2つの部分砥石26と、部分砥石52とが一体に固着されることにより構成されたセグメント型研削砥石50を示す断面図である。上述のように、部分砥石52の底面14aに固着平面部14bが設けられ、その周囲に凹部14cが形成されていることで、部分砥石26および52の固着に際して、接着剤24の塗布量および塗布箇所の調整が若干不適切であっても、固着平面部14bに対向する平面すなわち部分砥石26の底面との間に十分な接着面積が確保され、また、固着に際して過剰量の接着剤24が図9に示すように凹部14cに流入し、研削面および/または内周面にはみ出すことがない。よって、セグメント型研削砥石50の高さ方向におけるセグメントチップ12の繋ぎ目での段差および接着剤24のはみ出しを好適に防止することができる。
【0024】
図12は、セグメント型研削砥石において、セグメントチップの高さ方向の繋ぎ目に生じる段差について説明する図であり、3つの部分砥石26a、26b、26cを積み重ねた状態で固着させて構成されたセグメント型研削砥石60において生じた繋ぎ目の段差について説明する。この図に示すように、セグメントチップの高さ方向の繋ぎ目に生じる段差とは言い換えれば部分砥石相互間に生じるずれであり、部分砥石26aと部分砥石26bとの間には約5(μm)の段差が、また、部分砥石26bと部分砥石26cとの間には約10(μm)の段差が生じてる。かかる段差は製造当初から生じているわけでは必ずしもなく、一定時間の使用により発生する場合もある。このようなセグメントチップの高さ方向の繋ぎ目に生じる段差が5(μm)以上となると、例えばセンタレス研削加工において、被削材がセグメント型研削砥石と調整砥石との間を通過する際に繋ぎ目で跳ねてセグメント研削砥石に傷をつける可能性が高くなる。
【0025】
本発明者等は、本発明の効果を検証する為に、固着平面部14bと、固着平面部14bと接着剤24を介して固着された固着平面部14bに対向する平面すなわち部分砥石26の底面との距離(接着剤厚み)および接着剤塗布量を様々に変化させて図8に示すセグメント型研削砥石40(比較例試料1〜3)と、図11に示すセグメント型研削砥石50(実施例試料1〜4)を作製し、セグメントチップ12の高さ方向の繋ぎ目の段差(μm)と、回転速度を7200(m/min)まで上昇させていったときの破損の有無について測定した。以下に試験条件と、測定結果を示す。
【0026】
[試験条件]
砥石寸法:外径405(mmφ)×厚さ210(mm)×穴径203.2(mmφ)
砥石回転速度:最大7200(m/min)で回転停止
段差測定方法:1時間連続回転後に、粗さ計による断面形状測定
[測定結果]
Figure 0003942880
※1:回転速度が6500(m/min)に達した段階で部分砥石が分離した。
※2:回転速度が5500(m/min)に達した段階で部分砥石が分離した。
【0027】
上記測定結果に示すように、比較例試料1では繋ぎ目に大きな段差が生じ、また、比較例試料2では、回転速度が6500(m/min)に達した段階で部分砥石同士の接着が剥がれ、部分砥石が分離してセグメント型研削砥石が破損した。比較例試料3では繋ぎ目の段差あるいは回転強度に関して問題は見られなかったが、接着剤厚みを同様の200(μm)とした比較例試料2および3で回転強度に顕著な差が見出されたことから、図8に示すセグメント型研削砥石40では、接着剤塗布量の管理が困難であることがわかる。一方、実施例試料1〜3は、一様に繋ぎ目の段差あるいは回転強度に関して問題は見られず、接着剤厚みすなわち固着平面部14bと、固着平面部14bと接着剤24を介して固着された固着平面部14bに対向する平面との距離を20〜200(μm)に設定することでセグメントチップの繋ぎ目に段差がなく十分な回転強度を備えたセグメント型研削砥石が得られることがわかる。接着剤厚みを500(μm)とした実施例試料4では、回転速度が5500(m/min)に達した段階で部分砥石同士の接着が剥がれ、部分砥石が分離してセグメント型研削砥石が破損したが、これは接着剤厚みが厚すぎた為、気泡の混入等による接着不良が生じ、回転により発生する剪断応力に接着が耐えられなかった結果によるものであると考えられる。
【0028】
このように、本実施例によれば、部分砥石26および52の接着に際して、接着剤24の塗布量および塗布箇所の調整が若干不適切であっても、互いに対向する前記底面14aの少なくとも一方に、その底面14aから所定の深さを備えたその底面14aに略平行な平面である固着平面部14bが設けられている為、その固着平面部14bに対向する平面との間に十分な接着面積が確保され、また、その固着平面部14bから所定の深さを備えてその固着平面部14bの周囲に形成された凹部14cが設けられている為、過剰量の接着剤がその凹部14cに流入し、研削面および/または内周面にはみ出すことがない。すなわち、研削砥石の高さ方向における砥粒層の繋ぎ目での段差および接着剤のはみ出しを好適に防止した研削砥石を提供することができる。
【0029】
また、本実施例は、砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップ12が円筒状のコア部14の外周面に複数固着されて構成された部分砥石26が、その円筒状のコア部14の底面14aに垂直な方向に複数積み重ねられた状態で接着剤24を介して一体に固着されて構成されたセグメント型研削砥石50であって、互いに対向する前記コア部14の底面14aの少なくとも一方に、(a)その底面14aから所定の深さを備えたその底面14aに略平行な平面である固着平面部14bと、(b)その固着平面部14bから所定の深さを備えてその固着平面部14bの周囲に形成された凹部14cとが設けられたものである為、セグメント型研削砥石50の高さ方向におけるセグメントチップ12の繋ぎ目での段差および接着剤24のはみ出しを好適に防止したセグメント型研削砥石50を提供することができる。
【0030】
また、本実施例は、好適には、前記固着平面部14bと、前記固着平面部14bと接着剤24を介して固着された前記固着平面部14bに対向する平面すなわち部分砥石26の底面との距離が20〜200(μm)の範囲内である為、前記固着平面部14bと、前記固着平面部14bと接着剤24を介して固着された前記固着平面部14bに対向する平面との距離すなわち硬化した接着剤24の厚みが適切である為に、十分な接着強度が確保されることに加え、セグメント型研削砥石50の高さ方向におけるセグメントチップ12の繋ぎ目での段差の発生を好適に防止することができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例について図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに別の態様においても実施される。
【0032】
図13は、本発明の他の実施例に用いられる部分砥石70を底面14aに垂直な方向から見た図である。この図に示すように、部分砥石70の接着に関与するコア部14の両側の底面14aには、コア部14の軸心を中心とする断続的な同心円状に、それぞれの底面14aから一定の深さを備えたそれぞれの底面14aに略平行な平面である固着平面部14bと、その固着平面部14bから一定の深さを備えてその固着平面部14bの周囲に形成された凹部14cとが交互に設けられている。本発明のセグメント型研削砥石は、かかる部分砥石70を、平坦な底面を有する2つの部分砥石26の間に挟んで接着剤24を介して固着させて構成されたセグメント型研削砥石であってもよく、凹部14cは、必ずしも固着平面部14bの周囲を取り囲んで設けられている必要はない。
【0033】
また、図14は、本発明のさらに別の実施例に用いられる部分砥石80を底面14aに垂直な方向から見た図である。この図に示すように、部分砥石80の接着に関与するコア部14の両側の底面14aには、それぞれの底面14aから一定の深さを備えたそれぞれの底面14aに略平行な平面である固着平面部14bが島状に設けられ、その固着平面部14bから一定の深さを備えてその固着平面部14bの周囲を取り囲むように形成された凹部14cが設けられている。本発明のセグメント型研削砥石は、かかる部分砥石80を、平坦な底面を有する2つの部分砥石26の間に挟んで接着剤24を介して固着させて構成されたセグメント型研削砥石であってもよく、このようにすれば、固着平面部14bの面積を広くとることができるという利点がある。
【0034】
また、前述の実施例では、3つの部分砥石26、26、52を積み重ねた状態で固着させて構成されたセグメント型研削砥石50について説明したが、本発明は、例えば、2つの部分砥石を固着させて構成されたセグメント型研削砥石に用いられてもよく、また、4つ以上の部分砥石を積み重ねた状態で固着させて構成されたセグメント型研削砥石に適用されても構わない。
【0035】
また、前述の実施例では、平坦な底面を有する2つの部分砥石26の間に、コア部14の両側の底面14aに固着平面部14bおよび凹部14cが設けられた部分砥石52を挟んで接着剤24を介して固着させて構成されたセグメント型研削砥石50について説明したが、本発明は、互いに対向するコア部14の底面14aの少なくとも一方に、その底面14aから所定の深さを備えたその底面14aに略平行な平面である固着平面部14bと、その固着平面部14bから所定の深さを備えてその固着平面部14bの周囲に形成された凹部14cとが設けられていることを特徴とするものであり、例えば、コア部14の片側の底面14aに固着平面部14bおよび凹部14cが設けられた2つの部分砥石によって、平坦な底面を有する部分砥石を挟んで接着剤24を介して固着させて構成されたセグメント型研削砥石であってもよい。尚、この場合には固着平面部14bおよび凹部14cが設けられた底面が固着に関与することは言うまでもない。
【0036】
また、前述の実施例では、互いに対向するコア部14の底面14aの内、片側の底面14aのみに固着平面部14bおよび凹部14cが設けられていたが、互いに対向するコア部14の底面14aの両面に固着平面部14bおよび凹部14cが設けられていても一向に構わない。この場合、互いに対向する固着平面部14bの距離を20〜200(μm)の範囲内とすることで硬化した接着剤24の厚みが適切となり、十分な接着強度が確保されることに加え、セグメント型研削砥石の高さ方向におけるセグメントチップ12の繋ぎ目での段差の発生を好適に防止することができる。
【0037】
また、本発明のセグメント型研削砥石は、スルーフィールド形式のセンタレス研削加工のみに使用されるものでは当然なく、例えば、ブレード上に載置された軸状の被削材(例えば、エンジンバルブ等)の移動をストッパにより調整しながら、被削材をその軸心方向に搬送することなく、研削砥石すなわちセグメント型研削砥石と調整砥石との間で挟圧し、調整砥石により被削材を所定の回転数で回転させながら、研削砥石であるセグメント型研削砥石を所定の回転数で回転させながら被削材の外周面を研削加工するものであるインフィード形式のセンタレス研削加工に用いられてもよい。さらに、一般にセグメント型研削砥石が使用されるあらゆる研削加工に関し、好適に用いられるものである。
【0038】
また、前述の実施例では、本発明がセグメント型研削砥石に適用された一例について説明したが、本発明の研削砥石は、セグメント型研削砥石に限定されるものでは当然になく、砥粒層を有する円筒状の部分砥石が、その底面に垂直な方向すなわち回転軸心方向に複数積み重ねられた状態で接着剤を介して一体に固着されて構成された研削砥石に広く用いられるものである。
【0039】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】部分円筒状のセグメントチップが、円筒状のコア部の周方向および高さ方向に複数配列させられて、そのコア部の外周面に固着されることにより構成されたセグメント型研削砥石の一例を示す斜視図である。
【図2】セグメント型研削砥石を用いたスルーフィード形式のセンタレス研削加工について説明する図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】本発明者等がおこなったスルーフィールド形式のセンタレス研削加工の後の試料1の研削面の測定結果を示す図である。
【図4】本発明者等がおこなったスルーフィールド形式のセンタレス研削加工の後の試料2の研削面の測定結果を示す図である。
【図5】平坦な底面を有する複数の部分砥石を相互に固着させる様子を示す断面図である。
【図6】平坦な底面を有する複数の部分砥石を相互に固着させて構成されたセグメント型研削砥石を示す断面図である。
【図7】接着に関与するコア部の両側の底面に、それぞれの底面から所定の深さを備えた固着平面部を設けた部分砥石を、平坦な底面を有する2つの部分砥石の間にその部分砥石を挟むようにして固着させる様子を示す断面図である。
【図8】接着に関与するコア部の両側の底面に、それぞれの底面から所定の深さを備えた固着平面部を設けた部分砥石を、平坦な底面を有する2つの部分砥石の間にその部分砥石を挟むようにして固着させて構成されたセグメント型研削砥石を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施例であるセグメント型研削砥石の製造工程の一部である、複数の部分砥石を相互に固着させる様子を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施例であるセグメント型研削砥石に用いられる部分砥石を、その底面に垂直な方向から見た図である。
【図11】本発明の一実施例であるセグメント型研削砥石を示す断面図である。
【図12】セグメント型研削砥石において、セグメントチップの高さ方向の繋ぎ目に生じる段差について説明する図である。
【図13】本発明の他の実施例であるセグメント型研削砥石に用いられる部分砥石を、その底面に垂直な方向から見た図である。
【図14】本発明のさらに別の実施例であるセグメント型研削砥石に用いられる部分砥石を、その底面に垂直な方向から見た図である。
【符号の説明】
10、30、40、50、60:セグメント型研削砥石(研削砥石)
14a:底面
14b:固着平面部
14c:凹部
24:接着剤
26、28、52、70、80:部分砥石

Claims (2)

  1. 砥粒層を有する部分円筒状のセグメントチップが円筒状のコア部の外周面に複数固着されて構成された部分砥石が、該円筒状のコア部の底面に垂直な方向に複数積み重ねられた状態で接着剤を介して一体に固着されて構成された、センタレス研削加工用の研削砥石であって、
    互いに対向する前記コア部の底面の少なくとも一方に、該底面から所定の深さを備えた該底面に略平行な平面である固着平面部と、該固着平面部から所定の深さを備えて該固着平面部の周囲に形成された凹部とが設けられていることを特徴とする研削砥石。
  2. 前記固着平面部と、前記固着平面部と接着剤を介して固着された前記固着平面部に対向する平面との距離は20〜200(μm)の範囲内である請求項1の研削砥石。
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