以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。先ず、本発明に係る静電搬送装置の第1実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は静電搬送装置の第1基材と第2基材であって絶縁層を挟んで接合する前の斜視説明図、図2は第1基材と第2基材を接合した搬送基板を示す平面説明図、図3は図2のA−A線に沿う断面説明図、図4は図2のB−B線に沿う断面説明図である。
この静電搬送装置は、粉体であるトナーを静電力で搬送及びホッピングさせるための電界を発生する複数の搬送電極を有する搬送基板1を有し、この搬送基板1には図示しない駆動回路からn相(nは3以上の整数)の駆動信号Va(a相)、Vb(b相)、Vc(c相)が入力される。なお、ここでは、搬送基板1としてEH現象を発生させる搬送基板で説明するが、前述した特許文献3に開示されているように静電アクチュエ−タにも同様に適用することができる。
この搬送基板1は、搬送電極を配置した第1基材11と共通電極を配置した第2基材14とを絶縁層である絶縁膜16を介して接合して構成している。
ここで、第1基材11上には3本の電極(搬送電極)12a、12b、12c(区別しない場合は「搬送電極12」と称する。)を1セットとして、所定の間隔で、粉体移動方向に沿って粉体移動方向と略直交する方向に全搬送電極12を同一面に繰り返し形成して配置し、更に、搬送電極12を含むその表面に無機又は有機の絶縁性材料で形成した絶縁部材からなる表面保護層となる絶縁膜16を形成し、この絶縁膜16の表面を搬送面17としている。
なお、ここでは、絶縁膜16が搬送面17を形成する表面層となるが、絶縁膜16上に更に粉体との適合性(現像剤との接触・摩擦において現像剤が負帯電、保護層(絶縁部材)が正帯電となる材料、また流動性がよい材料)に優れた表面層を別途成膜することもできる。
一方、第2基材14上には複数の搬送電極12のうちの同じ駆動波形を印加する搬送電極12aをそれぞれ相互に接続して駆動波形を供給するための共通電極15a、同じく同じ駆動波形を印加する搬送電極12bをそれぞれ相互に接続して駆動波形を供給するための共通電極15b、同じ駆動波形を印加する搬送電極12cをそれぞれ相互に接続して駆動波形を供給するための共通電極15cを形成している。
これらの共通電極15a、15b、15c(区別しない場合は「共通電極15」と称する。)は、粉体移動方向に沿って、すなわち、個々の搬送電極12と略直交する方向に設けている。この場合、共通電極15の幅Wc(この幅は、粉体移動方向と直交する方向の幅)は、搬送電極12の幅Wt(この幅は、粉体移動方向に沿う方向の幅)よりも広くしている。また、これらの共通電極15a、15b、15cの端部にはそれぞれ駆動信号(駆動波形)Va、Vb、Vcを入力するための図示していない駆動信号印加用入力端子を設けている。
また、絶縁膜16には、a相用及びb相用、c相用の搬送電極12a、12b、12cと共通電極15a、15b、15cとを相互接続するためのコンタクトホール20を形成し、コンタクトホール20の周囲部分には接合領域18を形成している。
ここで、第1基材11、第2基材14としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いは、SUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したリジッドな部材、或いは、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなるフレキシブルな部材などを用いることができる。さらに、フレキシブルな部材の一部にリジッドな部材を貼り付けることもできる。
また、搬送電極12及び共通電極15を形成する電極材料としては、例えば、Al、Ni−Cr等の導電性材料を用いることができ、このような材料をフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成することが好ましい。
絶縁膜16としては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを用いることができる。また、無機ナイトライド化合物、例えばSiN、Bn、Wなどを用いることができる。特に、表面水酸基が増えると帯電粉体の帯電量が搬送途中で下がる傾向にあるので、表面水酸基(SiOH、シラトール基)が少ない無機ナイトライド化合物が好ましい。
また、コンタクトホール20は、接合の信頼性を向上させる狙いから搬送電極12の方向に対して直交する方向(粉体搬送方向)が長軸となる平面形状で楕円形状に形成した。このように、Rを小さく採ることにより、製造工程において、コーナーのエッチング速度が遅くなることを用いて壁面の傾斜をなだらかにし、段差及びボイドによる断線を防止することができる。
そして、図1及び図2に示すように、上述した第1基材11上の粉体搬送方向と直交する側の端部部分に絶縁膜16を介して第2基材14を接合することによって、第1基材11上のa相用の各搬送電極12aがコンタクトホール20を介して第2基材14上の共通電極15aで相互に接続され、第1基材11上のb相用の各搬送電極12bがコンタクトホール20を介して第2基材14上の共通電極15bで相互に接続され、第1基材11上のc相用の各搬送電極12cがコンタクトホール20を介して第2基材14上の共通電極15cで相互に接続される。
したがって、図示しない駆動信号印加用入力端子から共通電極15a、15b、15cに対してa相、b相、c相の駆動波形を与えることによって、搬送電極12によって移相電界を発生させることができる。
このような搬送基板1の具体例について製作工程を含めて説明する。まず、ガラスなどの絶縁性基板を用いた第1基材11上に、電極材料として例えばNi−Crを0.1〜0.2μm成膜し、搬送電極12a、12b、12cを硝酸セリウム液(Ce)でエッチングしパタ−ン化し、次に、全面にスパッタにて絶縁膜16としてSiO2膜を1μm厚で形成する。
その後、共通電極15a、15b、15cと相互接続する部分にコンタクトホール20をバッファードフッ酸(BHF)にて開口する。この場合、前述したように、コンタクトホール20の形状を楕円形状にして、Rを小さく採ることにより、コ−ナ−のエッチング速度が遅くなることを用いて壁面の傾斜をなだらかにし、段差及びボイドによる断線を防止することができる。
続いて、第1基材11上の表面にAlを成膜した後、リン酸系エッチング液でコンタクトホール部をビルドアップにてパターン形成し、コンタクトホール20周辺にAl膜を引き出す形で共通電極との接合領域18を形成する。
一方、第2基材14としてフレキシブル基板を用いて、このフレキシブル基板上に共通電極15a、15b、15cと図示しない各駆動信号印加用入力端子も同時にパターン化する。
次に、上述のようにして作製した第1基材11(搬送電極基板)と第2基材14(共通電極基板)の間に、ACF(異方性導電性フィルム)を共通電極15上に仮接合し、アライメント合わせをし、熱圧着にて本接合し、搬送基板1を完成する。接合においては、ACF(異方性導電性フィルム)を用いることによりアライメント合わせはさほど精度を求めなくても接合できる。
この結果、同一面に従来に比べ薄層にて微細な搬送電極12が形成でき、多層化を必要としないため段差のない搬送面17が得られ、また、直線性のよい電極12が得られた。
次に、このように構成した搬送基板1に対して駆動信号を与える駆動回路の一例について図5を参照して説明する。
この駆動回路は、パルス信号を生成出力するパスル信号発生回路21と、このパルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va、Vb、Vcを生成出力する波形増幅器22a、22b、22cとを有する。
パルス信号発生回路21は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、各120°に位相シフトしたパルスで、次段の波形増幅器22a〜22cに含まれるスイッチング手段、例えばトランジスタを駆動して100Vのスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15Vのパルス信号を生成して出力するものである。
そして、波形増幅器22a、22b、22cから出力される駆動波形Va、Vb、Vcを搬送基板1に設けた駆動信号印加用入力端子23a、23b、23cを介して共通電極15a、15b、15cにそれぞれ印加する。
本実施形態においては、搬送電極12をL(幅)/S(電極間距離)=30/30μm、とした搬送基板1を作製し、帯電したトナーについての搬送実験を行い、3相の互いに移相がずれた駆動パルス電圧100V、駆動周波数3kHzの駆動信号Va、Vb、Vcを共通電極15a、15b、15cにそれぞれ印加した。
本発明者らは、搬送電極12をL(幅)/S(電極間距離)=30/30μm、とする搬送基板1を作製し、このサンプルの搬送基板1を用いて、帯電したトナーについての搬送実験を行い、3相の互いに位相がずれた駆動パルス電圧100V、駆動周波数3kHzの駆動信号Va、Vb、Vcを駆動信号印加用入力端子23a、23b、23cを経て共通電極15a、15b、15cにそれぞれ印加した。
この結果、搬送電極12a、12b、12c間のリ−クも発生することなく、所定方向へトナーが搬送されることが確認できた。
このように、複数の搬送電極を配置して表面に絶縁部材からなる搬送面を形成した第1基材上に、複数の搬送電極のうちの同じ駆動波形を印加する搬送電極を相互に接続する少なくとも1つの共通電極を形成した第2基材が、絶縁層を介して接合されている搬送基板を備えることで、薄膜で微細な寸法精度の良好な搬送電極を形成することができ、比較的簡単な構成で粉体を安定して移動させることができるとともに、EH現像にも適用することができるようになる。
なお、本実施形態においては、搬送電極の片側のみに共通電極を配置する構成を採ったが、他方側の端部にも同様の共通電極を配置する構成とすることもできる。このように、搬送電極の両端部にて相互接続される共通電極を配置した場合、搬送電極の両側から駆動信号を印加できるようになり、断線による粉体溜まりを低減することができて、粉体を確実に静電力で安定して搬送することができる。
次に、本発明に係る静電搬送装置の第2実施形態について図6ないし9を参照して説明する。なお、図6は静電搬送装置の第1基材と第2基材であって絶縁層を挟んで接合する前の斜視説明図、図7は第1基材と第2基材を接合した搬送基板を示す平面説明図、図8は図6のC−C線に沿う断面説明図、図9は図6のD−D線に沿う断面説明図である。
この実施形態では、粉体であるトナーを静電力で搬送及びホッピングさせるための電界を発生する複数の搬送電極を有する搬送基板31を有し、この搬送基板31には図示しない駆動回路からn相(nは3以上の整数)の駆動信号Va(a相)、Vb(b相)、Vc(c相)が入力される。なお、ここでも、搬送基板31としてEH現象を発生させる搬送基板で説明するが、前述した特許文献3に開示されているように静電アクチュエ−タにも同様に適用することができる。
この搬送基板31は、搬送電極及び2つの共通電極を配置した第1基材11と共通電極を配置した第2基材14とを絶縁層である絶縁膜16を介して接合して構成している。
ここで、第1基材11上には3本の電極(搬送電極)12a、12b、12cを1セットとして、所定の間隔で、粉体移動方向に沿って粉体移動方向と略直交する方向に全搬送電極12を同一面に繰り返し形成して配置するとともに、搬送電極12aを端部で相互に接続する共通電極15a、及び搬送電極12bを端部で相互に接続する共通電極15bを配置している。
更に、搬送電極12及び共通電極15a、15bを含むその表面に無機材料からなる絶縁性材料で形成した絶縁層36aと有機感光性材料からなる絶縁材料で形成した絶縁層36bとを含む絶縁部材からなる表面保護層となる絶縁膜36を形成し、この絶縁膜36の有機感光性絶縁層36bの表面を搬送面17としている。
なお、ここでは、絶縁膜36の有機感光性絶縁層36bの表面が搬送面17を形成する表面層となるが、絶縁膜36上に更に粉体との適合性(現像剤との接触・摩擦において現像剤が負帯電、保護層(絶縁部材)が正帯電となる材料、また流動性がよい材料)に優れた表面層を別途成膜することもできる。
一方、第2基材14上には複数の搬送電極12のうちの同じ駆動波形を印加する搬送電極12cをそれぞれ相互に接続して駆動波形を供給するための共通電極15cを形成している。
ここで、第1基材11上の搬送電極12cは共通電極15cと相互接続する部分(接続部)12c1を平面形状でL字型に形成し(図7参照)、この接続部12c1は搬送電極12cの幅Wtより幅yを広くし、長さxを幅Wtの2〜3倍の寸法に形成することが好ましい。これにより、開口面積を広く確保し、オーミックコンタクトを確保することができる。
また、第1基材11上の共通電極15a、15b及び第2基材14上の共通電極15cは、粉体移動方向に沿って、すなわち、個々の搬送電極12と略直交する方向に設けている。この場合、前記第1実施形態と同様に、共通電極15の幅Wc(この幅は、粉体移動方向と直交する方向の幅)は、搬送電極12の幅Wt(この幅は、粉体移動方向に沿う方向の幅)よりも広くしている。また、これらの共通電極15a、15b、15cの端部にはそれぞれ駆動信号(駆動波形)Va、Vb、Vcを入力するための図示していない駆動信号印加用入力端子を設けている。
また、絶縁膜36には、c相用の搬送電極12cの接続部12c1と共通電極cとを相互接続するためのコンタクトホール20を形成し、コンタクトホール20の周囲部分には接合領域18を形成している。
ここで、第1基材11、第2基材14としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いは、SUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したリジッドな部材、或いは、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなるフレキシブルな部材などを用いることができる。さらに、フレキシブルな部材の一部にリジッドな部材を貼り付けることもできる。
また、搬送電極12及び共通電極15を形成する電極材料としては、例えば、Al、Ni−Cr等の導電性材料を用いることができ、このような材料をフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成することが好ましい。
絶縁膜36を構成する無機絶縁層36aとしては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを用いることができる。また、無機ナイトライド化合物、例えばSiN、Bn、Wなどを用いることができる。有機感光性絶縁層36bとしては、感光性ポリイミドなどを用いることができる。
また、コンタクトホール20は、前記第1実施形態と同様に、接合の信頼性を向上させる狙いから搬送電極12の方向に対して直交する方向(粉体搬送方向)が長軸となる平面形状で楕円形状に形成している。
そして、図6及び図7に示すように、上述した第1基材11上の粉体搬送方向と直交する側の端部部分で搬送電極12cの接続部12c1に対応する部分に絶縁膜36を介して第2基材14を接合することによって、第1基材11上のc相用の各搬送電極12cがコンタクトホール20を介して第2基材14上の共通電極15cで相互に接続される。なお、第1基材11上のa相用、b相用の各搬送電極12a、12bは第1基材11上ですでに共通電極15a、15bで相互に接続されている。
したがって、図示しない駆動信号印加用入力端子から共通電極15a、15b、15cに対してa相、b相、c相の駆動波形を与えることによって、搬送電極12によって移相電界を発生させることができる。
このように複数の共通電極のうちの搬送電極と交差する共通電極だけを第2基材に配置することによって、第2基材側の構成が簡単になる。また、絶縁膜を2層構造としたことにより駆動電圧を上げたことによる影響もなく、絶縁耐圧が向上し、電圧を上げることで搬送特性が向上する。
このような搬送基板31の具体例についてその製作工程とともに説明する。まず、ポリイミド表面をドライエッチャにて改質して密着性を向上させた第1基材11上に、電極材料となるNi−Crを0.1〜0.2μm厚みで成膜し、a相、b相の共通電極15a、15b、及びa相、b相、c相の各搬送電極12a、12b、12c、さらに、図示していないa相、b相の駆動信号印加用入力端子を硝酸セリウム液(Ce)でエッチングしパタ−ン化する。
更に、搬送電極12及び共通電極15a、15bが形成された第1基材11の表面に第1実施形態と同様絶縁層36aとしてSiO2膜16を1〜2μm厚みで成膜し、さらに、有機感光性絶縁層36bとしてポジ型感光性ポリイミドを1〜3μm厚みで全面に塗布する。
次に、搬送電極12cのL字型部分(接続部)12c1とa相、b相の共通電極15a、15b先端部の駆動信号印加用入力端子の部分を露光し、アルカリ現像液にて現像し、コンタクトホ−ル20及びパッドをパタ−ン化し、続けて、感光性ポリイミドをマスクとして、下のSiO2をBHFにてエッチングし開口する。その後、感光性ポリイミドを200〜300℃にてキュアし、イミド化する。なお、本実施形態においては、コンタクトホール20の形状を搬送電極12の方向に楕円形状に形成した。
さらに、コンタクトホ−ル20及びパッド部分にマスクを施し、イミド化されたポリイミド表面に、表面水酸基(SiOH、シラトール基)が少ない無機ナイトライドを形成し、次にAlを全面に成膜0.3〜0.5μm成膜しコンタクトホ−ル20部分に導電領域(接合領域18)を形成する。
一方、本実施形態においては、第2基材14に上記第1実施形態の第1基材11に用いたポリイミド基板を用い、基板表面をドライエッチャにて表面改質し、電極材料としてのNi−Crを0.1〜0.2μm成膜し、c相の共通電極15cのパタ−ニングを施して形成する。
次に、c相共通電極部15cにACF(異方性導電性フィルム)を仮接合し、第1基材11のc相コンタクトホ−ル部分と位置合わせをし、熱圧着にて第1基材11と第2基材14を接合し搬送基板31を完成する。
この結果、同一面に従来に比べ薄層にて微細な搬送電極12が形成でき、平面性の良好な搬送基板31が形成できた。
また、本実施形態においても、搬送電極12を、L(幅)/S(電極間距離)=30/30μm、とした搬送基板31を作製し、帯電したトナーについての搬送実験を行い、3相の互いに移相がずれた駆動パルス電圧200V、駆動周波数3kHzの駆動信号Va、Vb、Vcを共通電極15a、15b、15cにそれぞれ印加した。この結果、搬送電極12a、12b、12c間のリークも発生することなく、所定方向へトナーが搬送されることが確認できた。
本実施形態においては、絶縁膜にSiO2以外に有機(感光性ポリイミド)の絶縁層を一層設けた(絶縁膜を2層構造とした)ことにより駆動電圧を上げたことによる影響もなく、絶縁耐圧が向上したことが確認でき、電圧を上げたことによる搬送特性がより改善された。
次に、本発明に係る静電搬送装置の第3実施形態について図10ないし図13を参照して説明する。なお、図10は静電搬送装置の第1基材と第2基材であって絶縁層を挟んで接合する前の斜視説明図、図11は第1基材と第2基材を接合した搬送基板を示す平面説明図、図12は図10のE−E線に沿う断面説明図、図13は図10のF−F線に沿う断面説明図である。
この実施形態では、粉体であるトナーを静電力で搬送及びホッピングさせるための電界を発生する複数の搬送電極を有する搬送基板61を有し、この搬送基板61には図示しない駆動回路からn相(nは3以上の整数)の駆動信号Va(a相)、Vb(b相)、Vc(c相)が入力される。なお、ここでも、搬送基板61としてEH現象を発生させる搬送基板で説明するが、前述した特許文献3に開示されているように静電アクチュエ−タにも同様に適用することができる。
この搬送基板61は、搬送電極及び2つの共通電極を配置した第1基材11と共通電極を配置した第2基材14とを絶縁層である絶縁膜76を介して接合して構成している。
ここで、第1基材11上には3本の電極(搬送電極)12a、12b、12cを1セットとして、所定の間隔で、粉体移動方向に沿って粉体移動方向と略直交する方向に全搬送電極12を同一面に繰り返し形成して配置するとともに、搬送電極12aを端部で相互に接続する共通電極15a、及び搬送電極12bを端部で相互に接続する共通電極15bを配置している。
更に、搬送電極12及び共通電極15a、15bを含むその表面に無機材料からなる絶縁性材料で形成した絶縁層76aと有機材料からなる絶縁材料で形成した絶縁層76b及び無機材料からなる絶縁性材料で形成した絶縁層76cとを含む絶縁部材からなる表面保護層となる絶縁膜76を形成し、この絶縁膜76の絶縁層76cの表面を搬送面17としている。
なお、ここでは、絶縁膜76の絶縁層76cの表面が搬送面17を形成する表面層となるが、絶縁膜76上に更に粉体との適合性(現像剤との接触・摩擦において現像剤が負帯電、保護層(絶縁部材)が正帯電となる材料、また流動性がよい材料)に優れた表面層を別途成膜することもできる。
一方、第2基材14上には複数の搬送電極12のうちの同じ駆動波形を印加する搬送電極12cをそれぞれ相互に接続して駆動波形を供給するための共通電極15cを形成している。
ここで、第1基材11上の搬送電極12cは共通電極15cと相互接続する部分(接続部)12c1を平面形状でL字型に形成し(図11参照)、この接続部12c1は搬送電極12cの幅Wtより幅yを広くし、長さxを幅Wtの2〜3倍の寸法に形成することが好ましい。これにより、開口面積を広く確保し、オーミックコンタクトを確保することができる。
また、第1基材11上の共通電極15a、15b及び第2基材14上の共通電極15cは、粉体移動方向に沿って、すなわち、個々の搬送電極12と略直交する方向に設けている。この場合、前記第1実施形態と同様に、共通電極15の幅Wc(この幅は、粉体移動方向と直交する方向の幅)は、搬送電極12の幅Wt(この幅は、粉体移動方向に沿う方向の幅)よりも広くしている。また、これらの共通電極15a、15b、15cの端部にはそれぞれ駆動信号(駆動波形)Va、Vb、Vcを入力するための図示していない駆動信号印加用入力端子を設けている。
また、絶縁膜76には、c相用の搬送電極12cの接続部12c1と共通電極cとを相互接続するためのコンタクトホール20を形成し、コンタクトホール20の周囲部分には接合領域18を形成している。
ここで、第1基材11、第2基材14としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いは、SUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したリジッドな部材、或いは、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなるフレキシブルな部材などを用いることができる。さらに、フレキシブルな部材の一部にリジッドな部材を貼り付けることもできる。
また、搬送電極12及び共通電極15を形成する電極材料としては、例えば、Al、Ni−Cr等の導電性材料を用いることができ、このような材料をフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成することが好ましい。
絶縁膜76を構成する無機絶縁層76a、76cとしては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを用いることができる。また、無機ナイトライド化合物、例えばSiN、Bn、Wなどを用いることができる。有機絶縁層76bとしては、ポリイミドなどを用いることができる。
また、コンタクトホール20は、前記第1実施形態と同様に、接合の信頼性を向上させる狙いから搬送電極12の方向に対して直交する方向(粉体搬送方向)が長軸となる平面形状で楕円形状に形成している。
そして、図10及び図11に示すように、上述した第1基材11上の粉体搬送方向と直交する側の端部部分で搬送電極12cの接続部12c1に対応する部分に絶縁膜76を介して第2基材14を接合することによって、第1基材11上のc相用の各搬送電極12cがコンタクトホール20を介して第2基材14上の共通電極15cで相互に接続される。なお、第1基材11上のa相用、b相用の各搬送電極12a、12bは第1基材11上ですでに共通電極15a、15bで相互に接続されている。
したがって、図示しない駆動信号印加用入力端子から共通電極15a、15b、15cに対してa相、b相、c相の駆動波形を与えることによって、搬送電極12によって移相電界を発生させることができる。
このように複数の共通電極のうちの搬送電極と交差する共通電極だけを第2基材に配置することによって、第2基材側の構成が簡単になる。また、絶縁膜を3層構造としたことにより駆動電圧を上げたことによる影響もなく、絶縁耐圧が向上し、より電圧を上げることで一層搬送特性が向上する。
このような搬送基板61の具体例についてその製作工程とともに説明する。第1基材11としてガラス基板を用い、上記第1、2実施形態同様、電極材料としてのNi−Crを0.1〜0.2μm成膜し、a相、b相の共通電極15a、15b、及びa相、b相、c相の搬送電極12a、12b、12cを形成し、さらに、図示していないa相、b相の駆動信号印加用入力端子を硝酸セリウム液(Ce)でエッチングしパタ−ン化する。
次に、第1基材11の表面に搬送電極12及び共通電極15a、15bを含めて全面に絶縁層76aとしてのSiO2膜をスパッタにて1μm厚みで成膜し、その上に絶縁層76bとしてのポリイミドワニスを2μm厚みにスピナ−にて塗布する。次に、ポリイミドをキュアした後、さらに、絶縁層76cとしてスパッタにてSiNを0.1μm厚みに成膜する。
次に、コンタクトホ−ル、及びa相、b相共通電極の先端部に駆動信号印加用入力端子の部分を開口するためのフォトリソを施し、その後ドライエッングにてCHF4ガスを用いSiN膜を、次に、O2ガスにてポリイミド、さらにSiO2膜をCF4にH2を添加したガスに切り替えて順次エッチングする。次に、全面にAlを成膜し、コンタクトホール部分のバンプを形成する。
一方、本実施形態においては、第2基材14としてガラス基板を用いて、このガラス基板上に電極材料としてのNi−Crを0.1〜0.2μm厚みで成膜し、c相の共通電極15cのパタ−ニングを施した。
次に、c相共通電極15cにACF(異方性導電性フィルム)を仮接合し、第1基材11のc相コンタクトホール部分と位置合わせをし、熱圧着にて第1基材11と第2基材14を接合し搬送基板61を完成する。
本実施形態においても、搬送電極12として、L(幅)/S(電極間距離)=30/30μm、とした搬送基板61を作製し、帯電したトナーについての搬送実験を行い、3相の互いに移相がずれた駆動パルス電圧200V、駆動周波数3kHzの駆動信号Va、Vb、Vcを共通電極15a、15b、15cにそれぞれ印加した。この結果、搬送電極12a、12b、12c間のリークも発生することなく、所定方向へトナーが搬送されることが確認できた。
本実施形態においては、共通電極15cのコンタクト接合部以外には、SiO2、ポリイミド、SiNの3層構造の絶縁膜が形成されているため、c相の共通電極とa相の搬送電極との重なる部分においても、十分な絶縁性が確認できた。
次に、本発明に係る静電搬送装置を含む本発明に係る現像装置を含む本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について図14を参照して説明する。なお、同図は同画像形成装置の全体概略構成図である。
この画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム101(例えば、有機感光体:OPC)は同図で時計方向に回転駆動される。コンタクトガラス102上に原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源103とミラー104とを含む走査光学系105と、ミラー106、107を含む走査光学系108とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。
ここで、走査された原稿画像がレンズ109の後方に配置した画像読み取り素子110で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理される。そして、この画像処理をした信号でレーザーダイオード(LD)を駆動し、このレーザーダイオードからのレーザー光をポリゴンミラー113で反射した後、ミラー114を介して感光体ドラム101上に照射する。この感光体ドラム101は帯電装置115によって一様に帯電されており、レーザー光による書き込みにより、感光体ドラム101の表面に静電潜像が形成される。
そして、この感光体ドラム101表面の静電潜像は、本発明に係る静電搬送装置の搬送基板を含む本発明に係る現像装置116によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像は、給紙部117A又は117Bから給紙コロ118A又は118Bで給紙された転写紙(記録媒体)119に転写チャージャ120のコロナ放電により転写される。この可視像が転写された転写紙119は、分離チャージャ121により感光体ドラム101の表面より分離されて、搬送ベルト122によって搬送され、定着ローラ対123の圧接部を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイ124へと排紙される。
一方、転写が終了した感光体ドラム101の表面に残留しているトナーはクリーニング装置125によって除去され、感光体ドラム101の表面に残留している電荷は除電ランプ126によって消去される。
次に、本発明に係る静電搬送装置の搬送基板を備えた本発明に係る現像装置116について図15を参照して説明する。なお、同図は同現像装置の概略構成図である。
この現像装置116は、粉体であるトナーを収納するトナーホッパ部131と、このトナーホッパ部131内のトナーを攪拌するアジテータ132と、トナーホッパ部131内のトナーを帯電させてトナーボックス部133に供給する帯電ローラ134及びこの帯電ローラ134の周面に接触させて配置したドクターブレード135と、トナーボックス部133内のトナーを静電力で搬送して潜像担持体である感光体ドラム101に向かってトナーを噴出させる本発明に係る静電搬送装置136と、現像に供されなかったトナーを回収するトナー回収部材138と、トナー回収部材138に回収されるトナーを静電力で搬送してトナーボックス部133に戻す本発明に係る静電搬送装置であるトナー逆搬送部材139とを備えている。
静電搬送装置136は、先端部が感光体ドラム1近傍に臨み、帯電したトナーを静電力で搬送して先端部から感光体ドラム101に向かって噴出する搬送面17、17を有する2枚の搬送基板1、1を搬送面17、17を対向させて所定の間隔で配置している。
そして、これらの搬送基板1、1間にトナーボックス部133内のトナーを静電力で搬送して送り込む送り込み基板143、143とを備え、これらの送り込み基板143、143の一端部は搬送基板141、141に接合し、他端部は帯電ローラ134側に配置している。なお、送り込み基板143も搬送基板1と同様な構成(ただし、第1基材11及び第2基材14にはポリイミドフィルムなどの変形可能な部材を用いている。)として、静電力で帯電したトナーを搬送基板1に搬送(ホッピングを伴っても構わない。)する搬送基板としている。
また、搬送基板1、1の複数の搬送電極12に対して駆動信号Va、Vb、cを印加する駆動回路150a、150bを備えている。この駆動回路150a、150bからの駆動信号Va、Vb、Vcは、前述したように搬送基板1、1の各共通電極15a、15b、15cを介して複数の各搬送電極12a、12b、12cに印加される。
なお、接続関係の図示を省略しているが、この駆動回路150a、150bからの駆動信号Va、Vb、Vdは送り込み基板143の各搬送電極にも印加される。また、ここでは、各搬送基板1、1毎に駆動回路150a、150bを設けているが、1つの駆動回路を共用してもよい。ただし、各搬送基板毎に駆動回路を設ければ、つまり、異なる駆動信号を印加できるようにすれば、対向する搬送電極間の駆動信号の位相を異ならせることができる。
このように構成した画像形成装置においては、図16に示すように、現像装置116のトナーホッパ部131のトナーがアジテータ132で攪拌されながら帯電ローラ134に運ばれ、帯電ローラ134の回転(図で左回り方向)によってドクターブレード135との摩擦帯電で所定の極性に帯電されてトナーボックス部133に送り込まれる。
そして、このトナーボックス部133のトナーは、送り込み基板143、143に3相の駆動信号Va、Vb、Vcが印加されることで送り込み基板143に沿って搬送されて搬送基板1、1間に送り込まれ、搬送基板1に3相の駆動信号Va、Vb、Vcが印加されることで、搬送基板1に沿って多くの搬送量でスムーズに搬送されて、感光体ドラム101との対向部方向に向けて噴出側から順次供給される。
これによって、噴出された帯電トナーは感光体ドラム101表面の逆極性電荷がある部分(画像部分)に付着して感光体ドラム101上の潜像が現像される。このとき、搬送基板1によるトナー搬送が効率的に確実に行われることから、現像に必要とされる十分なトナー量の供給を確保することができる。
この場合、搬送基板1、1の先端部電極152、152間に交流電源153からの交流電圧を印加して交流電界を発生させておくと、搬送基板1、1間から噴出したトナーが交流電界によってクラウド状態になるトナークラウド154が発生し、感光体ドラム101の潜像に対して均質にトナーが付着するので、画像品質が向上する。
次に、本発明に係る静電搬送装置を含む本発明に係る現像装置を備えた本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図17及び図18を参照して説明する。なお、図17は同画像形成装置の現像装置部分の概略構成図、図18は同現像装置の要部詳細説明図である。
この画像形成装置の現像装置116は、EH現像を行うための搬送基板1を含む静電搬送装置136を備えている。すなわち、ここでは、搬送基板1は、トナー送り込み基板143から供給されるトナーを現像部側に向かって搬送するためのトナー搬送部1T及びこのトナー搬送部1Tで搬送されるトナーを感光体ドラム101の近傍でホッピングさせるための現像部を構成しているトナーホッピング部1Pを一体に連続的に形成したものである。
また、搬送基板1の複数の電極12に対して駆動信号Va、Vb、Vcを印加する駆動回路162を備えている。さらに、搬送基板1のトナーホッピング部1Pと感光体ドラム101との間に現像バイアス電圧であるDCバイアス(100V〜200V)を印加するための電極163及びDC電源164を備える構成も可能である。
ここで、搬送基板1のトナー搬送部1Tはトナーを現像部であるトナーホッピング部1P側に向かって搬送する部分であって、粉体を潜像担持体側に向かって静電力で搬送する静電搬送装置を構成し、トナーホッピング部1Pはトナーを感光体ドラム101近傍で静電力でホッピングさせる部分であって、現像部を構成するものであって、粉体を潜像担持体近傍で静電力でホッピングさせるための静電搬送装置を構成している。
なお、ここでは、搬送基板1のトナー搬送部1T及びトナーホッピング部1Pの電極構成、印加する駆動信号を同じにしているため、搬送基板1上のトナーはトナー搬送部1Tにおいてもトナーホッピング部1Pにおいても搬送及びホッピングが行われている。すなわち、「トナー搬送部」はトナーを現像部に搬送する目的を有する部分であるという意味で、また「トナーホッピング部」はトナーをホッピングする目的を有する部分であるという意味で使用しており、トナー搬送部ではホッピングが行われない、トナーホッピング部ではトナー搬送が行われないという意味ではない。
この搬送基板1は、前述した本発明に係る静電搬送装置で説明したように、支持基板11上に進行波電界を発生させるための複数の搬送電極12を設け、電極12の表面を絶縁膜16などで被覆したものである。そして、駆動回路162からの駆動信号Va、Vb、Vcは、前述したように搬送基板1の共通電極15a、15b、15cを介して各搬送電極12a、12b、12cに印加される。
このように構成したこの画像形成装置における現像動作について説明すると、トナーボックス部33内の帯電したトナーは、トナー送り込み基板143によって静電力で搬送されて搬送基板1のトナー搬送部1Tに至り、このトナー搬送部1Tで更に静電力で感光体ドラム101側に向かって搬送されてトナーホッピング部1Pに送られる。
そして、このトナーホッピング部1Pにおいては、図19に示すようにトナーTがホッピングしている。このように感光体ドラム101の近傍でトナーがホッピングしていることにより、感光体ドラム101の潜像部だけにトナーを付着させるためには、次のような電界を発生させればよい。すなわち、トナーホッピング部1Pの搬送電極12に印加するパルス状駆動電圧の平均値と感光体ドラム101に形成された潜像部電圧による電界は、トナーを感光体ドラム101側に吸引する関係、またトナーホッポング1Pの搬送電極12に印加するパルス状駆動電圧の平均値と感光体ドラム101に形成された非潜像部電圧による電界は、トナーを感光体ドラム101側から反発する方向関係に設定する。
このとき、既にホッピングしているトナーは搬送基板1との間で吸着力が生じていないため、容易に潜像担持体(感光体ドラム101)側に移送することができ、高い画像品質が得られる現像を低電圧で行うことができる。
すなわち、従来の所謂ジャンピング現像方式にあっては、現像ローラから帯電トナーを剥離させて感光体に移送させるには、トナーの現像ローラに対する付着力以上の印加電圧が必要であり、DC600〜900Vのバイアス電圧をかけなければならない。これに対して、本発明によれば、トナーの付着力は通常50〜200nNであるが、搬送基板1上でホッピングしているために搬送基板1に対する付着力が略零になるので、トナーを搬送基板1から剥離する力が不要になり、低電圧で十分にトナーを感光体側に移送することが可能になるのである。
そして、トナーホッピング部1Pに送り込まれたが使用されないトナーは、トナーホッピング部1Pにおいてもホッピングとともに搬送が行われているので、トナー回収部材138に排出されて回収される。
次に、本発明に係るプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の第3実施形態について図20及び図21を参照して簡単に説明する。なお、図20は同画像形成装置の概略構成図、図21は同画像形成装置を構成するプロセスカートリッジの概略構成図である。
この画像形成装置200は、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色でフルカラー画像を形成するレーザプリンタの一例であり、各色用の画像信号に応じたレーザビームを出射する4つの光書き込み装置201M、201C、201Y、201Bk(以下「光書き込み装置201」とも総称する。)と、作像用の4つのプロセスカートリッジ202M、202C、202Y、202Bkと、画像が転写される記録用紙を収納する給紙カセット203と、給紙カセット203から記録用紙を給紙する給紙ローラ204と、記録用紙を所定のタイミングで搬送するレジストローラ205と、記録用紙を各プロセスカートリッジの転写部に搬送する転写ベルト206と、記録用紙に転写された画像を定着する定着装置209と、定着後の記録用紙を排紙トレイ211に排紙する排紙ローラ210等を備えた構成となっている。
4つのプロセスカートリッジ202M、202C、202Y、202Bkの構成は同じ(以下「プロセスカートリッジ202」とも総称する。)であり、図21に示すように、各プロセスカートリッジ202は、ケース内に像担持体であるドラム状の感光体221と、帯電ローラ222と、本発明に係る静電搬送装置を含む現像装置223と、クリーニングブレード224等を一体に備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。現像装置223を着脱自在であるプロセスカ−トリッジ202内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換を容易に行うことができるようになる。
また、現像装置223内には、トナー供給ローラ225、帯電ローラ226、本発明に係る静電搬送装置を構成する搬送基板1、搬送基板1へのトナー送り込み基板227、回収トナーを戻すトナー戻しローラ228が設けられており、各色のトナーが収納されている。また、プロセスカートリッジ202の背面側には、光書き込み装置201からのレーザビームが入射される窓口となるスリット230が設けられている。
各光書き込み装置201M、201C、201Y、201Bkは、半導体レーザー、コリメートレンズ、ポリゴンミラー等の光偏向器、走査結像用光学系等から構成され、装置外部のパーソナルコンピュータ等のホスト(画像処理装置)から入力される各色用の画像データに応じて変調されたレーザビームを出射し、各プロセスカートリッジ202M、202C、202Y、202Bkの感光体221上を走査し、静電荷像(静電潜像)を書き込む。
そして、画像形成が開始されると、各プロセスカートリッジ202M、202C、202Y、202Bkの感光体221が帯電ローラ222で均一に帯電され、各光書き込み装置201M、201C、201Y、201Bkから画像データに応じたレーザビームが照射されて各感光体上に各色の静電潜像が形成される。
この感光体221上に形成された静電潜像は、現像装置223の搬送基板1によるEH現像により、各色のトナーによって現像され顕像化される。また、現像に供されなかったトナーは搬送基板1で搬送されてトナー戻しローラ228によってトナー送り込み基板227の入口側に戻される。このように、本発明に係る静電搬送装置を含む現像装置によって現像を行うことで、前述したように高品質の画像を形成することができる。
一方、各プロセスカートリッジ202Bk、202Y、202C、202Mの各色の画像形成に同期して、供給カセット203内の記録用紙が供給ローラ204で給紙され、レジストローラ205により所定のタイミングで転写ベルト206に向けて搬送される。そして、記録用紙は転写ベルト206に担持されて4つのプロセスカートリッジ202Bk、202Y、202C、202Mの感光体221に向けて順次搬送され、各感光体上のBk、Y、C、Mの各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。4色のトナー像が転写された記録用紙は、定着ベルト207と加圧ローラ208からなる定着装置209に搬送され、4色のトナー像からなるカラー画像が定着されて排紙トレイ211に排紙される。
次に、本発明に係るプロセスカートリッジを含む本発明に係る画像形成装置の第4実施形態について図22及び図23を参照して簡単に説明する。なお、図22は同画像形成装置の概略構成図、図23は同画像形成装置を構成するプロセスカートリッジの概略構成図である。
この画像形成装置は、水平に延在する転写ベルト(像担持体)251に沿って、各色のプロセスカ−トリッジ260Y、260M、260C、260Bk(以下「プロセスカートリッジ260」とも総称する。)を並置したタンデム方式のカラー画像形成装置である。なお、プロセスカ−トリッジ260は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
プロセスカ−トリッジ260は、像担持体261、帯電手段262、本発明に係る静電搬送装置の搬送基板1を含む現像手段263、クリーニング装置264等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、現像装置、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
そこで、少なくとも像担持体と現像手段の構成要素をプロセスカ−トリッジ260として一体に結合して構成することによって、ユーザーによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
ここで、各色のプロセスカ−トリッジ260Y、260M、260C、260Bkで現像された像担持体262上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト251に順次転写される。
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト251上に多重に転写され、転写手段252で転写材253にまとめて転写される。そして、転写材253上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。
上記各実施形態で説明した画像形成装置は、いずれも本発明に係る静電搬送装置を含む現像手段(装置)を備えているので、装置の小型化、低コスト化を図れ、画像品質を向上することができる。なお、現像装置、画像形成装置において使用する搬送基板は第1実施形態の搬送基板1に限るものではなく、第2、第3実施形態の搬送基板を含む本発明に係る搬送基板であれば良い。
基材11
なお、上記実施形態においては、粉体としてトナーを例に説明しているが、トナー以外の粉体を搬送するための装置などにも同様に適用することができる。また、搬送電極に印加する駆動信号は3相を例に説明しているが、4相、6相などでもよい。さらに、本発明に係る画像形成装置は、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などにも適用することができる。