JP3941633B2 - 免振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地震によるクレーンの脱輪等を防止する免振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5、図6は特開2000−143153号公報において一般的な地上走行用の門形クレーンとして示されたものであり、図5は地上に設けられる一般的な門形クレーンの正面図、図6は側面図である。地上に設けられるコンテナクレーンは、図5、図6に示すように、クレーン本体41が門形に構成され、このクレーン本体41には四隅部に走行レール43上を走行する走行装置42が設けられている。
【0003】
このようなクレーン本体41を有する門形クレーンは、走行レール43上を走行しているので、地震発生時には地震による水平方向加速度により横方向地震力Rを生じる。そして、クレーンの構造体には地震力Rにより付加的な応力が生じる。
【0004】
このような付加的な応力に耐えられるように、クレ−ン本体41を強度を増した耐震構造とする場合もあるが、クレーン重量が増加するという問題がある。
また、地震力Rが大きい場合には、車輪がレ−ルから浮き上がり、クレ−ン本体41が転倒するという事態も生じる。
【0005】
このような、地震振動によるクレーン本体41への影響を緩和するために、クレーン本体41と走行装置42との間に免振装置を設けるのが一般的となっている。
【0006】
図7は従来のクレーン用免振装置の概念図である。図7に示すように、従来の免振装置においては、走行装置42の上面とクレーン本体41との取り付け部分に水平方向のスライド要素45、復元力を持たせ固有振動数を調節するための水平方向のばね要素47、減衰特性を調整するためのダンバー要素49が設けられている。そして、スライド要素45にはベアリングを、ばね要素47には鋼製ばねを利用したものがある。また、走行装置42とクレーン本体41の間に積層ゴムを設け、この積層ゴムにスライド要素、ばね要素、ダンバー要素の3要素を持たせたものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の免振装置のように、復元力を持たせ固有振動数を調節するために水平方向のばね要素を設けると、ばね要素が大きなものとなり、不経済である。
【0008】
また、積層ゴムのみを使用する場合には、せん断変形量に応じたゴム厚さが必要となり、大きな取り付けスペースが必要になる。
【0009】
本発明は、従来技術の上述のような問題点を解消するためになされたものであり、積層ゴムを使用した免振装置において、大きな取り付けスペースを必要とせず、かつ積層ゴムに過大な曲げモ−メント荷重が作用しても積層ゴムが破損されないクレーン用の免振装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る免振装置は、クレーン本体と該クレーン本体の下方に取り付けられてクレーン本体をレールに沿って走行させる走行装置との間に積層ゴムを配置した免振装置において、前記積層ゴムに設計値を超える曲げモ−メント荷重が作用したときに、前記クレ−ン本体を支持しかつクレ−ン本体の水平移動を可能とするバネ機構を前記走行装置に設けたものである。
【0011】
本発明に係る免振装置においては、積層ゴムに設計値を超えない曲げモ−メント荷重が作用するときには、クレ−ン本体を積層ゴムで支持し、積層ゴムに設計値を超える過大な曲げモ−メント荷重が作用するときには、クレ−ン本体を水平方向移動可能にバネ機構で支持するようにしている。
【0012】
したがって、積層ゴムの取り付けスペースを大きくする必要がなくなるとともに、積層ゴムに過大な曲げモ−メント荷重が作用して積層ゴムが破損されることもないので、免振装置に要する費用を安くできるとともに、免振機能を長く維持することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明の実施形態の免震装置をそなえたクレーンは、従来の技術の欄の図5および図6で説明したような門形クレーンとして構成されており、図1に示すように、門形のクレーン本体1と、その四隅部の走行装置2との間に、免震装置10が設けられている。
【0014】
走行装置2は、レール3上を走行する各2個の車輪5を備えた4組のボギ−4と、隣接する2組のボギ−4,4を軸7で連結した2組の下部イコライザービーム6と、2組の下部イコライザービーム6を軸9で連結した上部イコライザービーム8とから構成されており、上部イコライザービーム8とクレーン本体1との間に免震装置10が装着されている。
【0015】
門形クレーンの走行装置2には、上記と異なった車輪数で、色々な組合せの形式があり、また、車輪2個付きのボギ−4をクレーン本体1の各隅に1組ずつ設ける場合もある。
【0016】
図2は図1のA部詳細図であるが、免震装置10は図2に示すように、クレ−ン本体1と走行装置2の上部イコライザ−ビ−ム8との間に配置された積層ゴム11と、上部イコライザ−ビ−ム8に設けた凹部8aに配置したバネ機構12とから構成されている。
【0017】
なお、図2中13はダンパ−、14はクレ−ン本体1に取り付けた抜け出し防止部材、15はストッパ−である。
【0018】
免震装置10を詳述すると、図3に示すように、バネ機構12は底部を前記上部イコライザ−ビ−ム8に設けた凹部8aに固着されたシリンダ−16と、シリンダ−16の回りに装着したコイルバネ17と、コイルバネ17の弾発力に逆らってシリンダ−内を上下動するシリンダ−ロッド18と、シリンダ−ロッド18の先端にピン19により回動可能に取り付けられたロ−ラ−20とから構成されている。
【0019】
このバネ機構12は、図4のバネ機構配置図に示すように、積層ゴム11を挟んで走行レ−ル3の長手方向両側位置および積層ゴム11を挟んで走行レ−ル3の長手方向と直交する両側位置に3個ずつ、計12個が走行レ−ルの長手方向と直交する方向それぞれに沿って配置されている。
【0020】
そして、上述した本発明に係る免振装置10においては、積層ゴム11に設計値を超えない曲げモ−メント荷重が作用するときには、クレ−ン本体1を積層ゴム11で支持し、積層ゴム11に設計値を超える過大な曲げモ−メント荷重が作用するときには、クレ−ン本体1を前記抜け出し防止部材14を介して、水平方向移動可能にバネ機構12で支持するようにしている。
【0021】
したがって、積層ゴム11の取り付けスペースを大きくする必要がなくなるとともに、積層ゴム11に過大な曲げモ−メント荷重が作用して積層ゴム11が破損されることもないので、免振装置に要する費用を安くできるとともに、免振機能を長く維持することができる。
【0022】
バネ機構の配置個数や配置位置は、図4のような個数や配置位置に限定されることはなく、設計条件に基づいて適宜決定すればよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明により、免振装置に要する費用を安くできるとともに、免振機能を長く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の免震装置をそなえたクレーンの側面図である。
【図2】図1のA部詳細図である。
【図3】バネ機構の詳細図である。
【図4】バネ機構の配置図である。
【図5】地上に設けられる一般的な門形クレーンの正面図である。
【図6】地上に設けられる一般的な門形クレーンの側面図である。
【図7】従来の免振装置の概念図である。
【符号の説明】
1 クレーン本体
2 走行装置
3 レール
4 ボギ−
5 車輪
6 下部イコライザービーム
7 軸
8 上部イコライザービーム
9 軸
10 免震装置
11 積層ゴム
12 バネ機構
13 ダンパ−
14 抜け出し防止部材
15 ストッパ−
16 シリンダ−
17 コイルバネ
18 シリンダ−ロッド
19 ピン
20 ロ−ラ−

Claims (2)

  1. クレーン本体と該クレーン本体の下方に取り付けられてクレーン本体をレールに沿って走行させる走行装置との間に積層ゴムを配置した免振装置において、前記積層ゴムに設計値を超える曲げモーメント荷重が作用したときに、前記クレーン本体を支持しかつクレーン本体の水平移動を可能とするバネ機構を前記走行装置に設けたことを特徴とする免振装置。
  2. 前記バネ機構は、底部を前記走行装置に固着されたシリンダーと、該シリンダーの回りに装着したコイルバネと、該コイルバネの弾発力に逆らって前記シリンダー内を上下動するシリンダーロッドと、該シリンダーロッドの先端に回動可能に取り付けられたローラーとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の免振装置。
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