JP3940502B2 - コンニャク飛び粉を木質資材の醗酵栄養源として使用する工法 - Google Patents

コンニャク飛び粉を木質資材の醗酵栄養源として使用する工法 Download PDF

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Description

【産業上の利用分野】
本発明はコンニャク飛び粉を有機性廃棄物の醗酵栄養源として使用する工法に関するものであり、有機質性廃棄物の醗酵に必要な栄養源としてコンニャクの飛び粉を用い、且つその有機質性廃棄物のうち醗酵し難い木質資材を前記の取扱いやすい栄養源を用いて醗酵させることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
一般に、木質資材等で堆肥を作る製法は、元となる資材に、鶏糞や尿素などの窒素源を加えて長期間醗酵腐熟させて作っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の木質資材等で堆肥を作る技術は、醗酵栄養源として鶏糞や尿素など利用していたが、これらはいずれも取扱い難く敬遠される傾向がある。
一方、窒素源を加えて長期間醗酵腐熟させて作る際にはC/N比(シ−エヌヒ=炭素率)が重要になる。すなわち、前記のC/N比は、土壌に含まれる炭素と窒素の重量の比率を示し、この値は有機物の微生物による分解の程度を表す指標に用いられるもので、C/N比土壌の肥沃度を判定することに有用である。
そして、作物に対して窒素飢餓を起こしたり、生育障害を引き起こさせないように、いかにして効果的にC/N比を低下させ、タンニンやフェノ−ル性酸、精油などの作物の生育に有害な有機化合物の含有量を低下させるかが問題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は醗酵栄養源として用いる従来の鶏糞や尿素に代わる純植物性のコンニャク飛び粉を用いることによって、取扱い易く且つ環境汚染の恐れのない方法を提供するものである。
【0005】
次に本発明の第はコンニャク飛び粉を木質チップの栄養源として使用する工法において、公共事業から発生する根株・支障木・剪定枝・間伐材の木質資材を粉砕して木質チップを製造し、且つその木質チップ水分40〜50%になるまで堆積して自然乾燥した後、前記木質チップ20.0に対してコンニャクの飛び粉1.0の重量割合にして水で溶き混ぜて水分を50〜60%に調整した木質チップとコンニャクの飛び粉との混合物を堆積し、堆積後20〜30日の醗酵が始まるまでの間はそのままの状態にしておき、その後醗酵がはじまってから2〜3ヶ月のに複数回の切返しを行い、その後は切返しを行わないで8〜10ヶ月は堆積したまま醗酵させて堆肥化を完了させるものである。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を以て説明する。1は公共工事等から発生する根株・支障木・剪定枝・間伐材等の木質資材、2は粉砕機、3はその粉砕機で木質資材1を粉砕して加工した木質チップ、4はピ−エムザイ(コンニャク粉精製時に生じる飛粉肥料を指定商品とするの登録商標)と称するコンニャクの飛び粉、5は木質資材を粉砕したチップ3と水Wで溶いた飛び粉4との混合物である。
前記のコンニャクの飛び粉4は、精粉量の6〜7割に匹敵する量で、その栄養成分の分析値は、窒素=4.24%、燐酸=1.08%、加里=2.94%、石灰=1.66%、苦土=0.16%である。(栄養分析の数値は平成8年国土緑化株式会社の調査による。単位は乾物重量%である。)
【0007】
前記のコンニャクの飛び粉4となる原料は、コンニャク芋を輪切りにして乾燥し、粗く砕いた後、杵で細かく砕くと共に精粉を製造する際に、石臼の周囲に飛散する軽い微細な粉末を集めて袋詰めする。
そして、前記のコンニャクの飛び粉4は、精粉量の6〜7割に匹敵する量で、その成分は(炭水化物、窒素成分、繊維素)からみて肥料効果があって栄養価値が高い。
【0008】
次に、草の生育にコンニャクの飛び粉4の肥培試験を行ったところ、図2に示す結果が得られた。すなわち、コンニャクの飛び粉を使用しない場合は、種子吹付工において期間の経過によって発芽した草丈が10日で1.4 cm、20日で4.0 cm、30日で6.7 cm、40日で9.6 cm、50日で13.4cm、60日で15.5cmであった。
これに対して、コンニャクの飛び粉4を使用した場合は、種子吹付工において期間の経過によって発芽した草丈が10日で1.6 cm、20日で8.0 cm、30日で17.8cm、40日で27.4cm、50日で35.4cm、60日で40.7cmである。このコンニャクの飛び粉を使用した場合は、これを使用しない場合の比率は、30日で 2.7倍、60日で 2.5倍の結果であった。
【0009】
次に、木質資材1を粉砕機2で粉砕して木質チップ3を製造する。前記の木質チップの大きさは、長さ=30.0mm、幅=5.0 mm、厚さ=2.0 mm程度に設定する。この場合、最初は動力機に刃先の荒いカッタ−を取付けて根株や支障木や間伐材の原木を大まかに破砕し、次第に細かい刃先のカッタ−に代えて前記のチップを加工していく。
そして、根株や間伐材等を粉砕して得た木質のチップ3にコンニャクの飛び粉4を水Wで溶き、これを当該チップに散水してよく混ぜ、水分が50〜60%になるように調整する。
前記の木質チップ3とコンニャクの飛び粉4の重量割合は、広葉樹などの堆肥化されやすい資材の場合は、20.0対1.0 の割合、すなわち、木質チップ1.0 tonに対してコンニャクの飛び粉50.0 kg とするが、針葉樹のようにタンニン、フェノ−ル性酸、精油などの作物の生育に有害な化合物が多い木質資材にあっては、その木質チップに対する醗酵栄養源の飛び粉を前記1.0 以上の量を加えるものとする。すなわち、木質チップを加工する資材の種類により、醗酵栄養源の投入量を調整するものである。
木質チップ3と水Wで溶いたコンニャクの飛び粉4との混合を完了した混合物5は、20〜30日の間はそのままの状態で約2mの高さで野外に堆積しておき、醗酵が始まったら木質チップを空気に十分にふれさせるために最初の切返しを行う。さらに、2〜3ケ月の堆積中に複数回の切返しを行う。堆積後8〜10ケ月の間堆積醗酵させると堆肥化が完了する。
【0010】
【発明の効果】
本発明は上記の構成であるから、木質資材の醗酵の栄養源を鶏糞や尿素に比べてコンニャクの飛び粉は扱い易く且つ肥料効果があって栄養価が高い。また、前記の飛び粉は純植物性であるから吹付施工等の工事にあたっても環境等に汚染の心配がなく安全性が高い。
そして、木質資材を醗酵させるためには長期間かかり、且つ醗酵に必要な大量の栄養源を必要とするが、その栄養源が長期間安定して溶出し、木質チップの内部において相当長い期間の経過により、徐々に分解し、栄養源となってその木質チップに吸収されていく。
また、コンニャクの飛び粉は、人間の食用としての利用がなく家畜の飼料の一部として、または蚊取り線香に使用する以外はほかには利用価値がなく、そのほとんどが廃棄処分されるにも拘わらず、コンニャクの生産のときには必ず発生するため手軽に入手できる。従って、純植物性の醗酵栄養源として活用できると共に環境汚染の恐れがなく、しかも地場産業にも多大に貢献する。
さらに、木質資材は他の有機質性廃棄物に比べて醗酵し難いが、当該木質チップ20.0に対して最少1.0 の重量割合で混ぜることによって優れた栄養源の効果が発揮され、これによって木質資材の醗酵が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明名に係る製造工程例を示す概略図である。
【図2】 飛び粉(ピ−エムザイ)の栄養成分表図である。
【図3】 飛び粉(ピ−エムザイ)の肥培試験の説明図である。
【符号の説明】
1 木質資材
2 粉砕機
3 木質チップ
4 コンニャクの飛び粉
5 混合物
W 水

Claims (1)

  1. 公共事業から発生する根株・支障木・剪定枝・間伐材の木質資材を粉砕して木質チップを製造し、且つその木質チップ水分40〜50%になるまで堆積して自然乾燥した後、前記木質チップ20.0に対してコンニャクの飛び粉1.0の重量割合にして水で溶き混ぜて水分を50〜60%に調整した木質チップとコンニャクの飛び粉との混合物を堆積し、堆積後20〜30日の醗酵が始まるまでの間はそのままの状態にしておき、その後醗酵がはじまってから2〜3ヶ月のに複数回の切返しを行い、その後は切返しを行わないで8〜10ヶ月は堆積したまま醗酵させて堆肥化を完了させることを特徴とするコンニャク飛び粉を木質チップの栄養源として使用する工法。
    【0001】
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