JP3940097B2 - 翻訳開始因子eIF4Eに結合するリガンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、翻訳開始因子eIF4Eに結合するリボ核酸(RNA)に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質の生合成は大多数の遺伝情報発現の最終段階であり、極めて重要な反応である。遺伝子からタンパク質への翻訳はmRNAの示す情報に従い、その翻訳開始コドンの位置でリボソーム、メチオニン-tRNA複合体(Met-tRNA)を含む開始複合体を作ることにより開始される。この翻訳開始複合体の形成の反応は幾つかのステップにより成り立っており、数々のタンパク質因子が逐次的に関与する複雑な反応である。真核細胞翻訳開始因子(eIF)は、それらを構成するサブユニットや関連因子を含むと30種類以上のタンパク質が同定されている。40SリボソームサブユニットはeIF3とeIF1Aが結合した後、Met-tRNA・eIF2・GTP複合体が結合し43S 複合体を形成する。一方で、mRNA上では幾つかのeIFが翻訳開始の準備を行っている。eIF4FはeIF4E、eIF4A、eIF4Gからなる複合体の総称で、eIF4EはmRNAのキャップ構造に対し結合能を持ち、複合体をmRNAの5'末端に導く。eIF4GはeIF4E、eIF4Aをまとめる骨格の役割を持つ。eIF4AはATPase活性を有するRNA helicase でmRNAの5'末端非翻訳領域(5' UTR)に存在する2次構造をほどくことにより43S複合体が結合する部位を提示する。43S複合体がmRNAと結合し翻訳開始部位に到達すると、eIF5によりeIF2のGTPase活性が促進され、これにより複合体に結合していたeIFが解離し、その後60Sサブユニットが結合し、ポリペプチド伸長反応が始まる。これらのeIFのうち、eIF2α、eIF2B、eIF4E及びこれに結合してeIF4Eの機能を抑制するeIF4E binding protein (4E-BP)は細胞外のシグナルによりリン酸化・脱リン酸化が行われ、その活性が調節されている。しかし、多くのeIFを構成するサブユニットや関連因子の作用機序はよくわかっていない。
【0003】
mRNAキャップ結合タンパク質であるeIF4Eは、mRNAに最初に結合する翻訳開始因子であり、また多くの細胞内で他の翻訳開始因子と比較して最も分子数の少ない因子である。さらに、eIF4Eはリン酸化酵素であるMnk1によるリン酸化や、4E-binding proteins (4E-BPs) による機能制御を受けており、翻訳開始反応を調節する上で重要な役割を担っている。これらのことから、eIF4Eとキャップの結合が翻訳開始反応の律速段階の一つであると考えられている。
【0004】
近年、癌や遺伝性疾患の中には、タンパク質への翻訳異常によるものが報告されていて、とくに癌化に関する情報が蓄積しつつある。eIF4Eは細胞内でその発現量は少なく、さらに細胞外シグナルによる機能発現調整が行われており、翻訳開始の律速段階といわれている。このeIF4EをNIH3T3やCHOなどの培養細胞中に過剰発現させると細胞の癌化が引き起こされる(Lazaris-Karatzas A., et al., Malignant transformation by a eukaryotic initiation factor subunit that binds to mRNA 5' cap, Nature, 345:544-547, 1990、De Benedetti A., et al., CHO cells transformed by the translation factor eIF4E display increased c-myc expression, but require overexpression of Max for tumorigenicity, Mol. Cell Diff., 2:347-371, 1994)。また実際、eIF4Eはヒトの乳癌や扁平上皮癌において、その発現量が上昇していることが報告されている(Kerekatte K. et al., The proto-oncogene/translation factor eIF4E: a survey of its expression in breast carcinomas, Int. J. cancer, 64:27-31, 1995、Nathan C. A. et al., Detection of the protooncogene eIF4E in surgical margins may predict recurrence in head and neck cancer, Oncogene, 15:579-584, 1997)。他のeIF4グループのタンパク質のeIF4Gでも、NIH3T3で過剰発現させることにより細胞の癌化が起ることが知られている(Shimogori T. F., et al., Malignant transformation by overproduction of translation intiation factor eIF4G, Cancer Res., 57:5041-5044, 1997)。さらに、肺癌の細胞中でeIF4G遺伝子の増幅が見られる(Brass N., et al., Translation initiaion factor eIF-4gamma is encoded by an amplified gene and induces an immune response in squamous cell lung carcinoma, Human Mol. Genet., 6:33-39, 1997)。また、 eIF4A1のmRNA量がヒト黒色腫において上昇している(Eberle J., et al., Translation initiation factor eIF-4A1 mRNA is consistently overexpressed in human melanoma cells in vitro, Int. J. Cancer, 71:396-401, 1997)。以上のようにeIF4F構成因子の過剰発現と細胞の癌化は密接に関わっていることが報告されてきている。このeIF4F複合体量の増加が癌遺伝子などの病原遺伝子の翻訳量を上昇させ、癌化につながると考えられる。
【0005】
さらに他のeIFも癌化との関係が示されており、eIF2αのリン酸化されない変異体や、eIF2αキナーゼの変異によって細胞が癌化する(Koromilas A. E., et al., Malignant transformation by a mutant of the IFN-inducible dsRNA-dependent protein kinase, Science, 257:1685-1689, 1992、Donze O., et al., Abrogation of translation initiation factor eIF-2 phosphorylation causes malignant transformation of NIH 3T3 cells, EMBO J., 14:3828-3834, 1995)。さらにeIF3のサブユニットの1つであるp48をコードする遺伝子はマウス乳腫瘍ウイルスの組込み部位で、仮想的な癌抑制遺伝子として知られていたint6と同一であることが報告され(Asano K., et al., The translation initiation factor eIF3-p48 subunit is encoded by int-6, a site of frequent integration by the mouse mammary tumor virus genome, J. Biol. Chem. 272:23477-23480, 1997)、さらに、ヒトの肺癌と乳癌でのeIF3-p48の染色体部位のヘテロ染色体欠失(LOH)とeIF3-p48サブユニットの発現量の低下に相関関係があること が(Marchetti A., et al., Reduced expression of INT-6/eIF3-p48 in human tumors, Int. J. Oncol., 18:175-179, 2001) 、さらに、eIF3-p48の過剰発現により細胞が癌化する事が報告されている(Mayeur G. L., et al., Malignant transformation by the eukaryotic translation initiation factors 3 subunit p48 (eIF3e), FEBS Lett. 514:49-54, 2002)。このように、タンパク質の翻訳と癌化がより密接に関係していることが示されてきているが、そのメカニズムはまだよく分かっていない。現在明らかになっている遺伝子異常による癌患者は全体の数%でしかない。残り9割以上の原因を明らかにするためには、翻訳異常により引き起こされる癌化メカニズムの解明は重要な課題である。翻訳開始因子と特異的に結合する物質、生理活性を阻害する物質が得られれば、上記のような発症メカニズムの解明に役立つばかりでなく、その診断、治療薬として有望であるが、現在、この様なアプローチが行われているという報告は少ない。
【0006】
ところで、in vitroにおいてある標的物質と特異的に結合するRNAを選択・濃縮する手法として、SELEX法と呼ばれる新たな手法が開発されている(C. Tuerk & L. Gold, Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase, Science 249:505-510, 1990)。SELEX法は、PCRプライマー用の配列(一方にはT7ポリメラーゼの配列を含む)を両端に含む適当な長さのランダム配列を持つRNAを合成し、これを標的タンパク質と会合させ固相化する。結合しなかったRNAを洗浄後、結合したRNAを回収し、RT-PCRで増幅後、次のラウンドで用いるRNAのテンプレートとする。これを10ラウンド前後繰り返すことにより、標的タンパク質と特異的に結合するRNAアプタマーを取得する。この方法では、標的タンパク質と特異的に結合するRNA配列を明らかにできるだけでなく、標的タンパク質の機能を促進や阻害するような生理活性を持つRNAを取得することが可能である。このことは病原タンパク質をターゲットにしてSELEXを行うことにより、得られたアプタマーを医薬品として応用できることを示唆している。従来の創薬に比べこのSELEX法を用いた創薬の優れている点として(1)従来の化学物質のスクリーニングより大規模の母集団よりスクリーニングをシステマティックに行える。(2)試験管内で容易に大量合成することができる。(3)免疫排除がない。(4)容易に合目的に改良を行える。(5)保存性が高く抗体を作ることが困難なタンパク質を標的にできる。などがあげられる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002-300885号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は翻訳異常により引き起こされる疾患の発症機構の解明、診断および治療に利用可能な物質を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、この様な物質の候補としてヒト翻訳開始因子eIF4Eに対するRNAアプタマーを作製した。すなわち、eIF4Eを標的タンパク質としてSELEXを行ない、得られたアプタマーの標的タンパク質との結合活性、標的タンパク質の作用に与える影響を調べ、その有用性を示した。本発明は、これらの知見に基づいて、完成されたものである。
【0010】
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)配列番号1又は2記載の塩基配列で表されるRNA。
(2)下記の二次構造(A)〜(F)のいずれかをとることができるヌクレオチド配列を含み、eIF4Eに対する結合活性を有するRNA。
【0011】
【化7】
(二次構造中N1は3個以上の核酸塩基であり、N2は1個以上の核酸塩基であり、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0012】
【化8】
(二次構造中N3は1個以上の核酸塩基であり、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0013】
【化9】
(二次構造中N4は1個以上の核酸塩基であり、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0014】
【化10】
(二次構造中Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0015】
【化11】
(二次構造中Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0016】
【化12】
(二次構造中N5は1個以上の核酸塩基であり、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Uはウラシルであり、核酸塩基間をつなぐ実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
(3)(1)または(2)のRNAの塩基配列に変異を導入したRNAであって、eIF4Eに対する結合活性を有するRNA。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のRNAのヌクレオチド配列中に少なくとも1個の修飾ヌクレオチドが導入されているRNAであって、eIF4Eに対する結合活性を有するRNA。
(5)RNAが標識化されている(1)〜(4)のいずれかに記載のRNA。
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載の少なくとも1つのRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNA。
(7)(6)記載のDNAが挿入されたベクター。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載のRNAを用いて、eIF4Eを検出および/または定量する方法。
【0017】
(1)のRNA(RNAアプタマー)は、eIF4E(例えば、ヒト由来のもの、マウス由来のもの)に対して結合能を有する。本明細書において、「eIF4Eに対して結合能を有する」とは、セレクションの最初に用いるランダム配列RNAと比較してeIF4Eとの結合活性が有意に上昇していることをいう。RNAアプタマーとeIF4Eとの結合活性は、以下のようにして調べることができる。1nM以下の32P標識したRNAアプタマーを様々な濃度のeIF4Eと、20 mM Tris-HCl (pH7.6), 80 mM K-acetate, 2.5 mM Mg-acetate, 1 mM DTT, 100 U/ml RNase Inhibitor, 10 μg/ml tRNA, 5 % glycerolの条件下で25℃で30分間インキュベーションした後、ニトロセルロース膜にRNAアプタマーと翻訳開始因子の複合体を吸着させ、非特異的に結合しているRNAアプタマーを洗浄後、膜に吸着した32Pのカウントを測定し、結合活性を定量する。
【0018】
(1)のRNAは、後述のSELEX法により取得することができる。(1)のRNAは、eIF4Eに結合し、その機能を阻害する。eIF4Eの過剰発現は細胞の癌化と密接に関わっていると考えられている。従って、eIF4Eの機能を阻害する(1)のRNAは癌に対する予防又は治療剤の有力な候補となり得る。
【0019】
(2)のRNAは、上記の二次構造(A)〜(F)のいずれかをとることができるヌクレオチド配列を含む。
【0020】
二次構造(A)において、N1は3個以上の核酸塩基であり、好ましくは3〜7個の核酸塩基である。N1は全ての核酸塩基を取りうる。N2は1個以上の核酸塩基であり、好ましくは1〜3個の核酸塩基である。N2は全ての核酸塩基を取りうる。好ましい二次構造(A)の一例としては、図1に示すTypeIアプタマーの56〜77番目の塩基配列で表される構造を挙げることができる。
【0021】
二次構造(A)の構造の特徴として2つのstem-loop構造が挙げられる。生物界においてRNAがタンパク質の立体構造をまねて機能を有する「分子擬態」という概念が提出されている(Ito K., et al., A tripeptide 'anticodon' deciphers stop codons in messenger RNA, Nature, 403:680-684, 2000、Nakamura Y., et al., Mimicry grasps reality in translation termination, Cell, 101:349-352, 2000)。この概念は、RNAがstem-loop構造、シュードノット構造や分子内四重鎖構造(G-カルテット)などの安定な高次構造を作りタンパク質のような機能を発揮する可能性を示している。実際、このような高次構造を持つRNAの中にはタンパク質の機能ドメインと結合し、生理活性を有するものがある。二次構造(A)の2つのstem-loop構造もこのような安定な高次構造を作り、生理機能を与えていると考えられる。
【0022】
二次構造(B)において、N3は1個以上の核酸塩基であり、好ましくは10〜14個の核酸塩基である。N3は全ての核酸塩基を取りうる。好ましい二次構造(B)の一例としては、図1に示すTypeIアプタマーの17〜38番目の塩基配列で表される構造を挙げることができる。
【0023】
二次構造(B)の構造の特徴はstem-loop構造にある。これは二次構造(A)と同様に、安定な高次構造を作り生理機能を与えていると考えられる。
【0024】
二次構造(C)において、N4は1個以上の核酸塩基であり、好ましくは4〜8個の核酸塩基である。N4は全ての核酸塩基をとりうる。好ましい二次構造(C)の一例としては、図2に示すTypeIIアプタマーの18〜31番目の塩基配列で表される構造を挙げることができる。
【0025】
二次構造(C)の構造の特徴はやはりstem-loop構造にあり、二次構造(A)と同様に、安定な高次構造を作り生理機能を与えていると考えられる。
【0026】
二次構造(D)は、図2に示すTypeIIアプタマーの37〜41番目および71〜75番目の塩基配列で表される構造であり、二次構造(E)は、図2に示すTypeIIアプタマーの42〜46番目および63〜67番目の塩基配列で表される構造である。
【0027】
二次構造(F)において、N5は1個以上の核酸塩基であり、好ましくは5〜9個の核酸塩基である。N5は全ての核酸塩基をとりうる。好ましい二次構造(F)の一例としては、図2に示すTypeIIアプタマーの49〜61番目の塩基配列で表される構造を挙げることができる。
【0028】
二次構造(F)の構造の特徴もstem-loop構造で、二次構造(A)と同様に、安定な高次構造を作り生理機能を与えていると考えられる。
【0029】
ヌクレオチド配列の二次構造は、一般の遺伝情報処理ソフトウェア(GENETYX-MAC: ソフトウェア開発社製、DNASIS: 日立ソフトウェアエンジニアリング社製など)に塩基配列を入力して予測することができ、このような方法で、あるヌクレオチド配列が二次構造(A)〜(D)のいずれかをとることが予測された場合に、そのヌクレオチド配列は二次構造(A)〜(D)のいずれかをとることができるものとする。あるいはまた、ヌクレオチド配列の二次構造は、二本鎖RNAを特異的に切断するRNase V1や、一本鎖RNAを特異的に切断するRNase T1やRNase Aなどを用いてmapするような実験的な手法で確認してもよい。
【0030】
(2)のRNAは既知の化学合成法により取得することができる。
【0031】
(2)のRNAは、9〜86merの長さであるとよく、好ましくは、58〜80merの長さである。
【0032】
(3)の変異を導入したRNAは、以下のようにして作製することができる。
(1)又は(2)に記載のRNAアプタマーに対するテンプレートDNA配列に対して任意のプライマーを用いて高塩濃度やMnCl2の存在下でmutagenic PCRを行うか、あるいはsite directed mutagenesis法で変異の入ったテンプレートDNAを作製し、これをRNAポリメラーゼプロモーターの下流にクローン化し、in vitroで転写、精製することにより得ることができる。
【0033】
(3)の変異を導入したRNAは、より結合活性が高い、および/または生理活性の阻害効果が強いという利点を有しうる。
【0034】
(2)および(3)のRNAは、(1)のRNAと同様に、eIF4Eに結合し、その機能を阻害することができる。従って、これらのRNAは癌に対する予防又は治療剤の有力な候補となり得る。
【0035】
(4)のRNAは、以下のようにして作製することができる。In vitroでRNAアプタマーをテンプレートよりRNAポリメラーゼで転写する時に、ある塩基のヌクレオシド三リン酸の代わりに、修飾の入ったヌクレオシド三リン酸を用いて転写を行い、転写産物を精製する。
【0036】
本明細書において、「修飾ヌクレオチド」とは、天然の核酸に見られる通常のヌクレオチド以外のヌクレオチド誘導体をいう。
【0037】
修飾の入ったヌクレオシド三リン酸、例えば、2'-fluoro UTP, 2'-fluoro CTP, 2'-amino UTP, 2'-amino CTP, 2'-hydroxy UTP, 2'-hydroxy CTPを用いて合成することにより、RNAアプタマーの安定性を高くすることができる。
【0038】
(5)の標識化したRNAは、以下のようにして作製することができる。
RNAアプタマーを5'-Oligolabelling Kit for Fluorescence(アマシャム バイオサイエンス社製)により蛍光物質(fluorescein)で標識することができる。またRNAアプタマーのテンプレートを用いてRNA合成時に32Pラベルしたヌクレオチドを取り込ませることにより放射性同位体で標識することが、DIG RNA Labeling Kit(ロッシュ・ダイアグノスティック社製)の使用によりジゴキシゲニンで標識化することができる。
【0039】
(5)の標識化したRNAは、翻訳開始因子の検出・定量に用いることができる。例えば、蛍光物質で標識化したRNAアプタマーと翻訳開始因子との結合をMulti-well plate reader(ABI社製)により確認することができる。修飾ヌクレオチドを導入したアプタマーを標識化することにより、さらに感度を上げることができる。
【0040】
(6)のDNAは、(1)〜(4)のいずれかに記載の一つまたは複数のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を有する。
【0041】
(6)のDNAは、既知の化学合成法により作製することができる。
【0042】
(7)のベクターは、以下のようにして作製することができる。
【0043】
(1)〜(4)のいずれかに記載のRNAに対して適当なプライマーを用いてRT-PCRを行い、これを後述のpUC-tRRなどのベクターにサブクローニングすることにより、作製することができる。また、化学合成により作製したDNA断片をベクターにサブクローニングすることにより作製できる。
【0044】
(6)のDNAおよび(7)のベクターは、癌などの翻訳異常による疾患の遺伝子治療に用いることができる。
【0045】
(1)〜(5)のいずれかに記載のRNAを用いて、eIF4Eを検出および/または定量することができる。具体的な検出および/または定量方法の一例を以下に記載する。eIF4Eを含む溶液を96-well multi plate(コーニング社製)に分注、洗浄の後、蛍光物質で標識したRNAアプタマーを結合させる。洗浄の後、プレートリーダー(ABI社製など)で蛍光強度を測定することによりeIF4Eを定量することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明において用いたSELEX法の概略を図3に示す。
【0047】
eIF4Eに対するRNAアプタマーの選択は、His-tagの付いたマウスeIF4Eを標的タンパク質に用いて、これをNi-NTA agaroseに固相化し、40 merのランダム配列を持つRNAプールに対して行った。14ラウンドまでselectionのサイクルを回した後、濃縮されてきたRNAをコードするcDNAをpGEM T-EASY Vectorにクローン化し、塩基配列を決定したところ8つの配列に収束していた(図4A)。
【0048】
収束したRNAプールの結合活性をみるため、14ラウンド目で収束した8つの主なRNA配列に対してニトロセルロース膜を用いたフィルタートラップによる結合活性の評価を行なったところ、二種類の配列においてマウスeIF4Eの濃度に依存した結合活性の上昇がみられた (図4B)。ここで、結合性の高いものからeIF4EアプタマーType I、Type IIとした。Type I及びType IIのランダム配列部分に対応するcDNAの塩基配列は以下の通りである。
Type I: 5'-TGTTCAACCAGAGTGAAACCACTAACGGGTCAGAGCCCC-3'(配列番号3)
Type II: 5'-GCCAGAGCAACAACCTTCCGAGCCGCGGGATAAAACCGAG-3'(配列番号4)
また、この系におけるアプタマーの解離定数はType IはKd=〜5μM、Type IIはKd=〜7μMであった。
【0049】
これらのうち、アプタマーType IがヒトeIF4Eに対して結合活性を有するかを調べた。その結果、このアプタマーはヒトeIF4Eにも結合し、その解離定数はKd=〜1μMであった(図5)。また、Hisタグを切断したマウスeIF4Eに対する結合活性はHisタグの付加しているマウスeIF4Eに対する結合活性と比べて変化がなかった。このことからレコンビナントタンパク質に付加されているHisタグは結合活性に影響を与えない事が分かった。本発明では以下eIF4EはマウスeIF4Eを指す。
【0050】
より詳細な結合情報を得るために表面プラズモン共鳴解析を行った。ストレプトアビジンセンサーチップ上にビオチン化したpoly dTを結合させ、さらに3'側をpoly A化したアプタマーをpoly dTと対合させてチップ上に固相化し、リガンドとした (図6A)。アナライトであるeIF4Eを流し二分子間の相互作用をみたところ、特異的な結合解離反応がみられた (図6Bb)。eIF4E濃度0.1〜10μMのときの結合速度定数はkass (M-1s-1) = 2.00 ± 0.33 x 104、解離速度定数kdiss (s-1) = 1.78 ± 0.12 x 10-2、得られた結合速度定数と解離速度定数から算出した結合定数はKd (M) = 1.07 ± 0.15 x 10-6であった。この値はフィルタートラップでのKd値の7分の1である。これはフィルタートラップの系では二分子間で安定な複合体を形成しなければ検出されないのに比べ、表面プラズモン共鳴解析では結合解離の速度がKd値に反映されるためと思われる。
【0051】
次に、得られたアプタマーがeIF4Eと相互作用することで、eIF4Eのキャップ結合活性にどのような影響を与えるかを調べるため、アプタマー存在下でm7GTP-sepharoseによるpull-downを行い、レジンを数回洗った後eIF4Eをm7GTPで溶出し、キャップ構造に結合したeIF4EをSDS-PAGEにより検出した (図7)。アプタマーType I、Type IIを系に加えたものは濃度に依存してeIF4Eとm7GTPの結合を阻害した。コントロールとして40NランダムRNAを加えたものはeIF4Eとm7GTPの結合に影響しなかった。阻害効果はType IでKI = 1μM、Type II KI = 6μMであった。さらにこのアプタマーが内在性のeIF4Eに対して働くかを調べるために、ウサギ網状赤血球ライセートを用いて同様のm7GTP-sepharose pull-down実験を行なった(図8)。その結果、アプタマーType Iはウサギ網状赤血球ライセート中のeIF4Eのキャップ結合を阻害した。また、アプタマーType Iはウサギの内在性のeIF4Eに対して、リコンビナントeIF4Eとほぼ同程度の阻害効果を示した。
【0052】
このRNAアプタマーによるキャップ構造-eIF4Eの結合阻害が翻訳反応に与える影響をみるため、ウサギ網状赤血球ライセート中におけるin vitroでの翻訳阻害効果を検証した (図9)。キャッピングしたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のmRNAを基質とし、翻訳産物量の経時変化をSDS-PAGEで検出したところ反応開始後約15分で産物の量は一定となった。この系にアプタマーType Iを加えたところ系のアプタマー濃度に比例して阻害効果は上昇し、RNA 0.5μMで翻訳産物量は 60 %、1.0〜2.0μMで20 %以下に減少し、3μMで産物はほとんど検出されなかった。このことからアプタマーはin vitroでの翻訳を阻害することが示された。
【0053】
アプタマーType Iの結合活性に重要な部位を検索するためにアプタマーType Iの5'及び3'末端の欠損変異体を作製した。アプタマーType Iの配列からMFOLDアルゴリズムにより、その二次構造性を予測した (図10A、図11A)。Type I は3つのステム領域とその先端のループからなるクローバー状の構造をしている。一方、5'側の16nt と3'側の 9nt は相補的な塩基対を形成せず二次構造性がみられない。そこで、5'側と3'側を欠失したアプタマーを作成しその結合活性を調べた。5'側は 4nt 及び 8nt 欠損させると活性は大きく減少し16nt 欠損させると活性は失われた(図10B)。3'側を6nt 欠損させると活性は減少し、9nt欠損させると活性は失われたが、4nt の欠損は結合活性に影響はみられなかった(図11B)。これらのことから、プライマー由来の固定化された配列であり、二次構造性をもたないと予測された5'、3'領域も、RNAの結合活性を維持する上で重要であると考えられる。
【0054】
以上のように本発明ではeIF4Eに対するRNAアプタマーを2種類取得した。これらのアプタマーが細胞内での翻訳阻害活性を有していれば、多くの癌遺伝子の発現抑制を行うことが可能である。また、腫瘍細胞に対して特異的に働かせる系を確立すれば、原因遺伝子に関わらず癌細胞の増殖を抑制する万能な治療薬となりうることも考えられる。
【0055】
これら、eIF4Eに対するRNAアプタマーを利用して以下(1)〜(3)のことが可能となる。
【0056】
(1)翻訳開始因子の機能解析: あるeIFを構成するタンパク質に対するアプタマーがそのタンパク質の生理機能を阻害したとき、タンパク質のどの部分がその生理機能を担っているかを明らかにすることができる。すなわち、アプタマーにBr-dUTP(Sigma社製)などの修飾ヌクレオチドを導入し、タンパク質と結合させたのちに紫外線を当ててアプタマーとタンパク質を共有結合させる。アプタマー、タンパク質を加水分解した後、高速液体クロマトグラフィーでアミノ酸分析を行うと、アプタマーとタンパク質の結合していた部分が分かる。また、個々のeIFサブユニットからeIF複合体を再構成することが可能である。この系にタンパク質との結合部位が明らかとなっているRNAアプタマーを加えることにより、複合体形成を形成する際の個々のタンパク質同士の結合部位を明らかにすることができる。In vitro だけではなく、in vivo における機能解析も行うことができる。アプタマーを既知の遺伝子導入方法、Lipofectin(インビトロジェン社製)を用いたリポフェクションや、GenePulser(BioRad社製)を用いたエレクトロポーレーションにより培養細胞に導入することができる。あるいは細胞表層へ結合後細胞内へ浸潤する性質をもつ15〜30アミノ酸長の特異的なデリバリー用ペプチド(A. Avrameas et al. polyreactive anti-DNA monoclonal antibodies and a derived peptide as vectors for the intracytoplasmic and intranuclear translocation of macromolecules. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:5601-5606, 1998)をRNAに化学結合させて培養細胞又は個体の細胞内へ直接移入することができる。また、pUC-tRR(H. Kawasaki, et al. Selection of the best target site for ribozyme-mediated cleavage within a fusion gene for adenovirus E1A-associated 300 kDa protein (p300) and luciferase, Nucl. Acid. Res. 24:3010-3016, 1996)などの発現ベクターにアプタマーを組み込み、同様に培養細胞に導入することにより、アプタマーを細胞内で発現させることができる。これにより、アプタマーに培養細胞の癌化を抑制する作用があるかどうかを確かめることができる。
【0057】
(2)治療薬としての応用: in vitro, in vivo で作用のあったアプタマーが治療薬として有効であるかどうかを調べることができる。既知の方法で癌を発症させた実験動物に培養細胞と同様の方法でアプタマーを血中、もしくは直接患部に投与して癌組織に変化が起これば、そのアプタマーは治療薬として有望である。このとき、アプタマーをより安定化させて効果を上げるために、既知の方法で修飾ヌクレオチドを導入することができる。
【0058】
(3)診断薬としての応用: RNAアプタマーは抗体の特徴を有しているが、これはRNAアプタマーを抗体の変わりに「RNA抗体」として用いることができることを意味する。これまで抗体を用いて行われていた免疫染色・ELISAなどでこのRNA抗体を用いた新規の検出系が構築できる。すなわち、種々のアプタマーを用いた翻訳開始因子の定量的測定が可能である。これにより発症機構の分かっていない疾患が翻訳調節異常を伴うかどうかを明らかにすることができる。また、前述のように腫瘍細胞では正常細胞に比べeIFの発現量に異常が見られるという報告がある。さらに、ラットにおいて種々の癌細胞でeIF4EのmRNA量が異なっていることが報告されている(Miyagi Y., et al., Elevated levels of eukaryotic translation initiation factor eIF-4E, mRNA in a broad spectrum of transformed cell lines, Cancer Lett., 91:247-252, 1995)。このように腫瘍細胞の良性・悪性、さらには転移性の強さなどでeIFの発現パターンに違いがあることが予想される。アプタマーを用いてeIFの発現量の差を認識できる系をELISAやアプタマーのチップ化により確立することにより、安価で簡便でな癌診断が可能となる。さらに、種々のeIFに対してアプタマーを取得しカタログ化し、eIFの発現パターンを調べることにより、腫瘍の種類を識別できる診断法を開発することができる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実験の手法を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0060】
[実施例1] 精製タンパク質
本発明で用いたヒト及びマウスeIF4Eはヒスチジンのタグのついた融合タンパク質として大腸菌内で過剰発現させ、Ni-NTA agarose(Qiagen社製)を用いて粗精製し、さらに陽イオン交換カラムResource S(アマシャム バイオサイエンス社製)により精製分離した。
【0061】
[実施例2] RNAアプタマーの取得
SELEX法を用いたin vitro RNA selectionはEllingtonらの方法(Ellington A.D. and Szostak J.W., In vitro selection of RNA molecules that bind specific ligands, Nature, 346:818-22, 1990)及びTuerkらの方法(Tuerk C. and Gold L.,
Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase, Science, 249:505-510, 1990)を改良して行った。in vitro selectionに用いたRNA poolは化学合成した以下のプライマー及びランダム配列テンプレート(グライナー・ジャパン社に合成依頼)より作製した。PCRで増幅させたランダム配列のDNA断片を転写のテンプレートとし、プライマーP1に含まれるT7 RNAポリメラーゼのプロモーターにより、in vitroでT7 RNAポリメラーゼにより転写し、フェノール抽出とゲルろ過により精製した。
P1: 5'-TAATACGACTCACTATAGGGAGACAAGAATAAACGCTCAA-3'(配列番号5)
P2: 5'-GCCTGTTGTGAGCCTCCTGTCGAA-3'(配列番号6)
ランダム配列テンプレート:
5'-GGGAGACAAGAATAAACGCTCAA (40N)
TTCGACAGGAGGCTCACAACAGGC-3'
RNAとタンパク質との結合はbinding buffer [20 mM Tris-HCl(pH7.6), 80 mM K-acetate, 2.5 mM Mg-acetate, 1 mM DTT, 5 % glycerol]中で行われた。eIF4EとRNAとの反応後、Ni-NTA agaroseによりeIF4Eをpull-down後、RNAを精製し、RT-PCRで増幅の後、in vitroで転写を行ない、次のラウンドのRNAを得た。毎ラウンド、RNAはeIF4Eと反応させる前にNi-NTA agaroseと混ぜ、これに結合するRNAを取り除いた。14ラウンドselectionを行った後、PCR産物はpGEM-T Easy vector(Promega社製)にサブクローニング後、大腸菌株NovaBlue(Novagen社製)に形質転換し、単一クローンを得た。これらは、plasmidを抽出後DNA sequencer(ABI PRISM 3100, ABI社製)で、以下のsequence primerを用いて塩基配列を決定した。
sequence primer: 5'-GTTTTCCCAGTCACGAC-3'(配列番号7)
得られた塩基配列は遺伝情報処理ソフトウェアGENETYX-MAC(ソフトウェア開発社製)によりRNAの二次構造予測を行った。
【0062】
[実施例3] RNA結合活性
得られたRNAアプタマーの結合活性はニトロセルロース膜を用いて測定した。RNAアプタマーは[α-32P]CTP存在化で転写を行いRIラベルした。ラベルされたRNAアプタマーは種々の濃度のeIF4Eとbinding buffer中で混合し、25℃で30分間インキュベートした後、吸引ろ過装置でbinding bufferで処理されたニトロセルロース膜を透過させ、1mlのbinding bufferで洗浄、乾燥後、膜に吸着した32Pのカウントをシンチレータ(Beckman社製)で測定した。系に加えた総RNAのラベルのカウントに対する、膜に吸着したカウントの相対量を結合効率としてグラフにプロットした。
【0063】
[実施例4]表面プラズモン共鳴解析
表面プラズモン解析はBIAcore-2000 (BIAcore社)により行なった。ストレプトアビジンセンサーチップ(SA chip, BIAcore)に5'末端をビオチン標識化したpoly(dT)オリゴヌクレオチド(ビオチンdT16)をよく脱気した結合バッファーで2 μg / mlの濃度に希釈し、フローセルにインジェクトして600 RUのビオチンdT16を固定化した。さらに、このチップに対して3'側にpoly A16を付加したアプタマーを結合バッファーで400 nMの濃度に希釈したものを60秒間インジェクトし、120秒間結合バッファーで洗った。このとき、SAチップ上に400 RUのRNAを結合させた。その後、0〜1.0μMの濃度に結合バッファーで希釈したeIF4Eを60秒間インジェクトし結合反応速度を測定した後、結合バッファーで洗いを行ない、解離反応速度を測定した。リファレンスとしてRNAアプタマーを固定化していないSAチップを用い、RNAアプタマーの結合反応は全て同じフローセル内で測定した。
【0064】
[実施例5] m7-GTP結合阻害解析
結合バッファーに溶かしたリコンビナントeIF4E 1μM・25μlの系に対して、1μlのm7GTP-sepharoseを加えて25℃ 30 minインキュベートした。その後、レジンを200μlの結合バッファーで3回洗い、m7GTP溶出バッファー(10 mM m7GTP + 結合バッファー) を20μl加え、25℃ 60 min でeIF4Eを溶出した。3 krpm 4℃ 1minで遠心してレジンを沈降させ、上清10μlをSDS-PAGEした。PAGE後にCBB染色し、バンドを定量した。
【0065】
[実施例6] ウサギ網状赤血球ライセート中でのm7-GTP結合阻害解析
以下の系に対して、1μlのm7GTP-sepharoseを加えて25℃ で30 minインキュベートした。
【0066】
【表1】
その後、レジンを200μlの結合バッファーで3回洗い、m7GTP溶出バッファー(10 mM m7GTP + 結合バッファー) を15μl加え、25℃ 60 min でeIF4Eを溶出した。3 krpm 4℃ 1minで遠心してレジンを沈降させ、上清5μlをSDS-PAGEした。PAGE後にヒトeIF4E抗体でウェスタンブロットを行ない、LAS-1000(FUJI FILM)でバンドを測定した。
【0067】
[実施例7] In vitro翻訳系
CAT mRNAの転写。T7ポリメラーゼによる転写の際にm7GpppGキャップアナログを加え、以下の反応組成でCAT mRNAをキャッピングした。
【0068】
【表2】
転写反応後にDNase Iを加え、37℃ 30 minでテンプレートdsDNAを分解し、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム処理してタンパク質を除き、エタノール沈澱により目的の長さのRNAのみを精製した。さらに、MQで置換したSpincolumnにRNA溶液を通し、NTPを完全に除去した。
【0069】
ウサギ網状赤血球ライセートを用いたin vitro翻訳系。キャッピングしたCAT mRNAを基質とし、以下の組成でin vitro翻訳を行なった。
【0070】
【表3】
各反応時間ごとにライセートを3μlとりSDS-PAGEした後、ゲルを乾燥させてプレートリーダーに8時間感光、BAS-2000 (FUJIFILM)にて解析を行なった。
【0071】
[実施例8] 末端欠損Type Iアプタマーの作製
以下のプライマーの化学合成を依託し、in vitro selectionと同じ条件でPCRを行なった。
T4 Univ 5'-Δ4 primer:
5'-CCGAAGCTTAATACGACTCACTATAGACAAGAATAAACGCTCAATG-3'(配列番号8)
T4 Univ 5'-Δ8 primer:
5'-CCGAAGCTTAATACGACTCACTATAGAGAATAAACGCTGAATGTTCAA-3'(配列番号9)
T4 Univ 5'-Δ16 primer:
5'-CCGAAGCTTAATACGACTCACTATAGCGCTCAATGTTCAACCAGAGTG-3'(配列番号10)
Rev Univ 3'-Δ4 primer:
5'-GTTGTGAGCCTCCTGTCGAAGGGG-3'(配列番号11)
Rev Univ 3'-Δ6 primer:
5'-TGTGAGCCTCCTGTCGAAGGGGCT-3'(配列番号12)
Rev Univ 3'-Δ9 primer:
5'-GCCTGTTGTGAGCCTCCTGTCGAAGGGGCTCTG-3'(配列番号13)
PCR後にTBEゲルによるPAGEを行ない、切り出し精製をして転写の鋳型とした。
【0072】
【発明の効果】
本発明により、eIF4Eに対して結合能を有するRNAアプタマーが提供される。本発明のRNAアプタマーは、eIF4Eの機能解明、癌などの疾患の診断および治療に利用可能である。
【0073】
【配列表】
【0074】
【配列表フリーテキスト】
【配列番号1】
配列番号1は、TypeIアプタマーの塩基配列を示す。
【0075】
【配列番号2】
配列番号2は、TypeIIアプタマーの塩基配列を示す。
【0076】
【配列番号3】
配列番号3は、TypeIアプタマーのランダム配列部分に対応するcDNAの塩基配列を示す。
【0077】
【配列番号4】
配列番号4は、TypeIIアプタマーのランダム配列部分に対応するcDNAの塩基配列を示す。
【0078】
【配列番号5】
配列番号5は、プライマーP1の塩基配列を示す。
【0079】
【配列番号6】
配列番号6は、プライマーP2の塩基配列を示す。
【0080】
【配列番号7】
配列番号7は、シークエンスプライマーの塩基配列を示す。
【0081】
【配列番号8】
配列番号8は、T4 Univ 5'-Δ4 primerの塩基配列を示す。
【0082】
【配列番号9】
配列番号9は、T4 Univ 5'-Δ8 primerの塩基配列を示す。
【0083】
【配列番号10】
配列番号10は、T4 Univ 5'-Δ16 primerの塩基配列を示す。
【0084】
【配列番号11】
配列番号11は、Rev Univ 3'-Δ4 primerの塩基配列を示す。
【0085】
【配列番号12】
配列番号12は、Rev Univ 3'-Δ6 primerの塩基配列を示す。
【0086】
【配列番号13】
配列番号13は、Rev Univ 3'-Δ9 primerの塩基配列を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TypeIアプタマーの二次構造を示す図。
【図2】 TypeIIアプタマーの二次構造を示す図。
【図3】 SELEX法の概略。T7RNAポリメラーゼプロモーター配列とランダム領域を含むDNAを合成し、P1, P2をプライマーとしてPCRを行いテンプレートを得る。これから合成したRNAを標的物質と会合させ、結合したRNAを回収する。回収したRNAからRT-PCRにより次のラウンドへのテンプレートを得る。本発明ではこれを14ラウンドを繰り返した。最終ラウンドでのRT-PCR産物をクローニング、シークエンスに回す。
【図4】 A.選択されてきた14ラウンド目のRNAプールから120サンプルの塩基配列を決定したところ、RNAは8タイプの配列に収束していた。配列のシェアは多い配列で15〜20 %、少ない配列は1.6 % であった。これらの配列には特徴的な配列やコンセンサスはみられなかった。
B. In vitro selectionで選択された8種類のRNAの結合実験結果。コントロールとして40NランダムRNAプールを用いた。結合活性の強いRNAから順にType I、Type IIと名付けた。
【図5】アプタマーType IはヒトeIF4Eに対しても結合活性を示した。その結合活性はKd=〜1μMであった。また、Hisタグを切断したマウスeIF4Eに対する結合活性はHisタグの付加しているマウスeIF4Eに対する結合活性と比べて変化がなかった。
【図6】 A. 表面プラズモン共鳴解析方法。ストレプトアビジンセンサーチップ上にビオチン化poly dTを結合させた後、3'末端にpoly A配列を付加したアプタマーをこれに固相化する。チップ上に固相化されたアプタマーとアナライトであるeIF4Eが結合した際には光学的な変化が起る。これを測定し質量的な変化に換算することで二分子間の相互作用を解析する。
B. 表面プラズモン共鳴解析結果。センサーチップ表面上の質量変化を時間経過で測定した。縦軸は質量変化を示す値であるRU (Resonance Unit) である。センサーチップ上に400 RUのRNAを固相化し、時間0秒にeIF4Eを流して結合させ、その1分後にBufferを流して解離させた。a. コントロールとして40NランダムRNAを固相化したセンサーチップに対してeIF4Eを流したところ、質量変化はみられなかった。b. アプタマーType Iを固相化したセンサーチップに対してeIF4Eを流したところ、特異的な結合解離反応を示した。アプタマーType IはeIF4Eの濃度に依存して結合し、その結合定数はKd (M) = 1.07 x ± 0.15 x 10-6であった。
【図7】アプタマー存在下でのm7GTP-sepharose pull-down実験。A. m7GTP-sepharoseによるpull-downアッセイ後、キャップに結合したeIF4EをSDS-PAGEし、CBB染色した。Type I・IIのRNAを0〜10μMの範囲で系に加えていくと、RNA濃度に依存してキャップに結合するeIF4E量は減少した。コントロールとして40Nランダムプールを用いたものに変化はみられなかった。
B. SDS-PAGEの結果から横軸にRNA濃度、縦軸に結合したeIF4Eをプロットした。アプタマーType Iにおいて比較的高い阻害効果が確認された。
【図8】ウサギ網状赤血球ライセート中でのアプタマーのキャップ結合阻害実験。A. ウサギ網状赤血球ライセートを用いてm7GTP-sepharoseによるpull-downを行なった後、キャップに結合したeIF4Eを、ヒトeIF4E抗体でウェスタンブロットした。アプタマーを0〜10μMの範囲で系に加えていくと、RNA濃度に依存してキャップに結合するeIF4E量は減少した。コントロールとして40Nランダムプールを用いたものに変化はみられなかった。
B. SDS-PAGEの結果から横軸にRNA濃度、縦軸に結合したeIF4Eをプロットした。その阻害効果はリコンビナントeIF4Eと同程度であった。
【図9】 eIF4EアプタマーType Iによるin vitro翻訳阻害効果。eIF4EアプタマーType Iが翻訳反応に与える影響をみるため、ウサギ網状赤血球ライセートを用いたin vitroでの翻訳を行なった。
A. CAT mRNAを基質として[35S]-Met存在下で翻訳を行ない、その産物の量を時間経過ごとにSDS-PAGEにより検出した。
B. 検出されたバンドから縦軸に翻訳産物量、横軸に反応時間、翻訳開始から25分後のCAT産物量を100 %としてプロットした。この系において、翻訳開始後約15分で翻訳産物の量は一定となった。この系にアプタマーType Iを加えるとRNA 0.5μMで翻訳産物量は 60 %、1.0〜2.0μMで20 %以下に減少し、3.0μMで産物は検出されなかった。アッセイは各濃度において3回行なった。
【図10】 Type Iアプタマーの5'末端欠損変異体の解析。5'末端を 4nt 及び 8nt 欠損させると結合活性が大きく減少し16nt 欠損させると活性は失われた。(A)はType Iアプタマーの予測される二次構造を、(B)は欠損変異体の結合活性を示す。
【図11】 Type Iアプタマーの3'末端欠損変異体の解析。3'端を 6nt 欠損させると結合活性は減少し、9nt欠損させると活性は失われた。4nt の欠損に関しては結合活性に影響はみられなかった。(A)はType Iアプタマーの予測される二次構造を、(B)は欠損変異体の結合活性を示す。
Claims (10)
- 配列番号1又は2記載の塩基配列からなるRNA。
- 配列番号1記載の塩基配列から、下記 ( a ) から(d)のいずれかの塩基配列が削除された塩基配列からなる RNA 。
(a)第1残基から第4残基
(b)第1残基から第8残基
(c)第81残基から第86残基
(d)第83残基から第86残基 - 請求項1又は2記載の RNA の塩基配列に変異を導入した RNA であって、下記の方法により得られる eIF4E に対する結合活性を有する RNA 。
請求項1又は請求項2に記載の RNA アプタマーに対するテンプレート DNA 配列に対して任意のプライマーを用いて高塩濃度や MnCl 2 の存在下で mutagenic PCR を行うか、あるいは site directed mutagenesis 法で変異の入ったテンプレート DNA を作製し、これを RNA ポリメラーゼプロモーターの下流にクローン化し、 in vitro で転写、精製する - 請求項1〜3のいずれかに記載のRNAの塩基配列中に少なくとも1個の修飾ヌクレオチドが導入されているRNAであって、eIF4Eに対する結合活性を有するRNA。
- RNAが標識化されている請求項1〜4のいずれかに記載のRNA。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の少なくとも1つのRNAの塩基配列に相補的な塩基配列を含むDNA。
- 請求項6記載のDNAが挿入されたベクター。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のRNAを用いて、eIF4Eを検出および/または定量する方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む医薬。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む癌に対する予防又は治療剤。
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