JP3939822B2 - Near-infrared absorbing material, synthesis method thereof, and near-infrared absorbing resin composition - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高温条件下でも近赤外領域の波長光を効率よく吸収し得る視感度補正に好適な近赤外線吸収材料およびその合成方法に係り、さらに、液安定性の高い溶液状態を維持するとともに、硬化成形して軽量で、耐熱性や耐湿性のある各種形状の視感度補正能を保持した光学フイルターや各種光学素子等に容易に加工し得、さらには近赤外線吸収性インクとしても適用し得る近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラやビデオカメラ等の光学機器では、光信号を電気信号に変換するために、シリコンダイオード素子や電荷結合素子(CCD)等が使用される。
【0003】
これらの光−電気変換素子(以下、光学素子という)は300〜1100nmという広範囲の光感応領域を有するので、人間の目の視感度400〜700nmと比較すると、近赤外領域で強く感応することになる。
【0004】
一般に、カメラやビデオカメラのような光学機器では、人間の視感度領域の波長光に感応することが必要で、この領域から外れた波長光はむしろ好ましくなく、測光や色再現性に支障をきたすこととなる。したがって、この場合、可視光線を透過し、かつ近赤外領域の光を効率よく吸収カットする光学フイルタが必要となる。
【0005】
従来、カメラの測光用フイルターや、ビデオカメラ等の撮像系視感度補正用フイルターとして、リン酸系ガラスに銅イオンの含有されたガラス製光学フイルターが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種のガラス製光学フイルターは重くて吸湿性が大きいのみならず、製造に当たって、成型、切削、研磨等の加工が難しく、さらに、高湿度雰囲気下では失透しやすいという欠点を有していた。
【0007】
そこで、上述の問題を解決する光学フイルターとして、特開平6−118228号公報に示される光学フイルターが開発されている。これは特定のリン酸基含有共重合体に銅塩を主成分とする金属塩が含有された合成樹脂を材料としてなるものである。
【0008】
しかし、この材料からなる光学フイルターは高温条件下では、分光特性に変化を生じ、かつ、寸法安定性にも問題が生じる。しかも、この材料は液状高分子材料や液状共重合性単量体等の被膜形成能を有するバインダーに溶解すると、有機物に不溶の沈澱物を発生するため、液状状態では供給できず、板状に加工された固体状態で供給されなければならず、このため、光学機器設計に制約を与えるのみならず、近赤外線吸収材料としての広範な応用の妨げとなっている。
【0009】
そこで、本発明の目的は高温条件下でも近赤外領域の波長光を効率よく吸収して視感度補正に好適な、上述の公知技術に存する欠点を改良した近赤外線吸収材料およびその合成法を提供することにあり、さらに、液状高分子材料や液状共重合性単量体等の被膜形成能を有するバインダーに溶解しても、液安定性の高い溶液状態を維持するとともに、硬化成形して軽量で、耐熱性や耐湿性のある各種形状の視感度補正能を保持した光学フイルターや各種光学素子に容易に加工し得、さらには近赤外線吸収性インクとしても適用し得、上述の公知技術に存する欠点を改良した近赤外線吸収性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するため、本発明の近赤外線吸収材料によれば、銅金属にリン酸基含有単量体を2モル配位し、かつ、アキシヤル位に金属配位能の強い配位子を2モル配位して得られる、一般式
【化12】
を有してなることを特徴とする。ただし、化12中、Aは金属配位能の強い配位子である。
【0011】
さらに、前述の目的を達成するため、本発明の近赤外線吸収材料の合成方法によれば、2価銅塩1モルと、
【化13】
の群から選択されるリン酸基含有単量体2モルとを反応させて中間体化合物、すなわち、
【化14】
を合成し、次いで得られた中間体化合物から副生成物を除去して精製の後、この中間体化合物を金属配位能の強い配位子と反応させて最終化合物、すなわち、
【化15】
を合成することを特徴とする。
【0012】
ただし、化13中、Rは、
【化16】
(XはCH3 またはH、nは1〜6)
であり、R´は、
【化17】
である。また、化15中、Aは金属配位能の強い配位子である。
【0013】
さらにまた、前述の目的を達成するため、本発明の赤外線吸収性樹脂組成物によれば、式
【化18】
を有する近赤外線吸収材料と、液状高分子材料および/または液状共重合性単量体およびラジカル重合開始剤を含有する被膜形成能を有するバインダーとからなることを特徴とする。ただし、化18中、Aは金属配位能の強い配位子である。
【0014】
さらに、前述の目的を達成するため、本発明の赤外線吸収性樹脂組成物によれば、式
【化19】
を有する請求項5の中間体化合物と、液状共重合性単量体と、金属配位能の強い配位子と、ラジカル重合開始剤とからなることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に詳述する。
【0016】
本発明にかかる近赤外線吸収材料は上述のとおり、銅金属にリン酸基含有単量体を2モル配位し、かつアキシヤル位に金属配位能の強い配位子を2モル配位して得られ、一般式
【化20】
を有するものである。ただし、Aは金属配位能の強い配位子である。
【0017】
上述リン酸基含有単量体は、
【化21】
の群から選択される一種または複数種である。
【0018】
ここで、Rは、
【化22】
(XはCH3 またはH、nは1〜6)
であり、R´は、
【化23】
である。
【0019】
この種のリン酸基含有単量体は分子構造中にリン酸基を有している。このリン酸基含有単量体を銅金属に配位すると、リン酸基が銅イオンを保持する形の化合物となり、このような化合物は近赤外領域の光吸収特性を示すものとなる。
【0020】
さらに、このリン酸基含有単量体は分子構造中にエチレンオキサイド基を介してラジカル重合性官能基であるアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有している。すなわち、上述化22のRはエチレンオキサイド基を結合したアクリロイルオキシ基(Xが水素原子のとき)、またはメタクリロイルオキシ基(Xがメチル基のとき)である。したがって、上述リン酸基含有単量体は極めて共重合性に富み、種々の単量体と共重合可能である。
【0021】
なお、上述化22のR中、エチレンオキサイド基のnは1〜6の整数である。このnが6を越えると、エチレンオキサイド基の繰り返し数が大きすぎて、得られる共重合体の硬度が大幅に低下するとともに、吸湿性が増加する。
【0022】
さらに、上述リン酸基含有単量体中、水酸基の数は使用目的に応じて1または2のいずれかである。これが2の場合、すなわち、リン原子に結合するR(ラジカル重合性官能基)の数が1の場合、リン酸基含有単量体は銅との結合が大きくなる。一方、水酸基が1の場合、すなわち、リン原子に結合するR(ラジカル重合性官能基)の数が2の場合、リン酸基含有単量体は架橋重合性を有するものとなる。
【0023】
なお、二個の水酸基のうち、一個を3級アミンでハーフアミン塩とすることもできる。(OHのHをHNR´3 で置換した場合)。この場合の3級アミンのハーフアミン塩としては、3級アミンとしてジメチルアミノエチルメタクリレートを用いたホスマーDM(ユニケミカル社製)が挙げられる。
【0024】
上述の化20中、Aで示される金属配位能の強い配位子としてはトリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族3級アミン、ピリジン等が挙げられるが、特に、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のラジカル重合性を有する3級アミンが好ましい。
【0025】
上述の本発明にかかる近赤外線吸収材料は(1)中間体化合物の合成工程、(2)得られた中間体化合物の精製工程、および(3)最終化合物の合成工程を経て合成される。これら各工程を以下に詳述する。
【0026】
(1)中間体化合物の合成工程
2価銅塩1モルおよび上述化21で示されるリン酸基含有単量体2モルを、これらの両方を溶解する溶剤、例えばアセトン中に溶解し、常温で、所望の時間、例えば3時間かけて反応を進行し、中間体化合物を合成する。この中間体化合物は次式を有するものである。
【0027】
【化24】
【0028】
ここで、2価銅塩としては、酢酸銅、塩化銅、ギ酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、これらの無水物、水和物等が挙げられるが、この中で特に安息香酸銅が高収率を呈して好ましい。
【0029】
(2)中間体化合物の精製
得られた中間体化合物を溶剤で洗浄して副生成物である酸成分を抽出除去し、精製する。この精製により中間体化合物の高温での分光特性の劣化が防止され、さらに分解反応が防止される。
【0030】
この酸成分の抽出除去に用いられる溶剤としては水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、石油エーテル、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素等の脂肪族炭化水素およびこれらのハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物等が用いられる。これらの溶剤は単独であるいは複数種を混合して使用に供される。
【0031】
(3)最終化合物の合成
精製された上述中間体化合物を次いで、溶剤、例えばアセトンに溶解し、攪拌しながらこの中に金属配位能の強い配位子、例えば上述に列挙した3級アミンを滴下し、常温、特に25℃の温度を越えないように制御しながら反応を促進させ、次式を有する最終化合物を合成する。
【0032】
【化25】
【0033】
式中、Aは金属配位能の強い配位子、例えば上述列挙の3級アミンである。
【0034】
このようにして得られた最終化合物は上述中間体化合物よりも、高温、高湿下で優れた安定性を呈し、かつ、近赤外領域の波長光を約2倍も吸収カットする。(モル吸光係数が2倍になる。)
【0035】
さらに、上述の最終化合物である近赤外線吸収材料は被膜形成能を有する液状のバインダーと混合しても、従来のように有機物に不溶な沈澱物を発生せず、液安定性の高い溶液状態を維持する。したがって、この材料は上述バインダーとの混合により液安定性の高い近赤外線吸収性樹脂組成物を得る。
【0036】
上述バインダーとしては、近赤外線吸収材料と相溶性のある高分子材料および共重合性単量体のいずれか一方、または両方と、これらを重合させるラジカル重合開始剤との混合物である。このラジカル重合開始剤は熱重合開始剤または光重合開始剤である。
【0037】
ここで用いられる液状高分子材料は熱可塑性あるいは熱硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等である。また、液状共重合性単量体としては、リン酸基含有単量体と均一に溶解混合してラジカル共重合が可能であり、かつ得られる共重合体が透明であり、吸湿性が小さく、さらに硬度、耐熱性、形状保持性に優れるものであれば特に限定されない。
【0038】
この共重合性単量体を具体的に列挙すると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート等、アルキル基の炭素数が1〜8の低級アルキル(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート等、アルキル基をグリシジル基やヒドロキシル基が置換した変性アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、2,2−ビス〔4−メタクリロキシエトキシフエニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、等である。これらは単独で、あるいは複数種を混合して用いることもできる。
【0039】
また、上述の共重合性単量体はラジカル重合性を有する各種オリゴマーと併用してもよい。この種のオリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
さらに、本発明では、中間体化合物と、金属配位能の強い配位子(例えば、上述の3級アミン)と、液状高分子材料および/または液状共重合性単量体、およびラジカル重合開始剤を含有する被膜形成能を有するバインダーとを混合して近赤外線吸収性樹脂組成物を得る。この場合、樹脂組成物中で、中間化合物と、金属配位能の強い配位子が瞬時に反応して上述の最終化合物を生成し、この最終化合物と、上述バインダーとが共存する状態となるので、中間体化合物と上述バインダーとの共存状態はなく、したがって、この樹脂組成物もまた、上述と同様、液安定性の高い溶液状態を維持する。
【0041】
この樹脂組成物において、3級アミンの配合量は中間体化合物1モルに対して2モルであることが好ましい。また、中間体化合物と液状高分子材料および/または液状共重合性単量体との配合比率は3:97〜90:10(重量%)の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは20:80〜80:20である。中間体化合物の配合量が3%(重量)未満では光学素子としての好適な光吸収特性が発現されず、また、90%(重量)を越えると、得られる製品の吸湿性が大きくなり、このため、所望の硬度が達成されず、柔軟なものになってしまう。
【0042】
上述の近赤外線吸収性樹脂組成物はいずれもラジカル重合開始剤の作用により、熱あるいは光によってラジカル重合する。しかも、これら樹脂組成物は液安定性の高い溶液状態を維持するから、塗布、注型(キヤスト)重合、溶液重合等、公知の手段により、容易に被膜状、板状、円柱状、レンズ状等に成形され、研磨を施して所望の光学フイルター、各種光学素子等の光学材料を得ることができる。なお、本発明では、上述の最終化合物をアセトン等の有機溶剤に溶解し、この溶液から乾燥により溶剤を揮散せしめ、所望の形状に成形された各種光学材料を得ることもできる。
【0043】
得られた光学材料は近赤外領域の波長を効率よく吸収し、このため、フオトダイオード特性を調整する測光用フイルターとして、さらに、特に赤色の視感度補正用フイルターとして利用される。なお、これは必要に応じて有機系もしくは無機系のハードコート剤で表面処理して帯電防止、表面硬度の向上、表面反射の防止を図ることができる。さらに、上述光学フイルターは他の光学材料、例えば水晶板と積層して複合材料とすることもできる。
【0044】
また、本発明にかかる上述の近赤外線吸収性樹脂組成物は機械読み取り用として使用されるほとんど目に見えない印刷インクとして適用される。すなわち、本発明樹脂組成物をインク用顔料等と混合して印刷インクを調製し、このインクを用いて隠しマークや隠しバーコード等を印刷し、各種有価証券、カード類に偽造防止効果を付与する用途に利用される。さらに、前記近赤外線吸収性樹脂組成物は各種形状の光学素子の製造にも利用され、また、窓ガラスのコーテイング材料として、あるいは板ガラス間の積層材料として熱線カットの目的で利用され、液状を保持して種々の形状に容易に成形可能なため、種々の用途に利用される。
【0045】
【発明の実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に詳述するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を意味する。
【0046】
実施例1
(1)中間体化合物の合成
2価銅塩として無水安息香酸銅1モル、およびリン酸基含有単量体としてリン酸オキシエチルメタクリレート2モルをそれぞれ500mlのアセトン中に溶解し、室温で3時間放置して反応を進行させた。
【0047】
得られた反応生成物をアセトン/ヘキサン混合溶剤で洗浄して副生成物である安息香酸を抽出除去し、精製した。この洗浄による安息香酸の除去率は99.0%であり、ほぼ定量的に除去された。
【0048】
精製された反応生成物をESR(Electro Spin Resornance :錯体の構造解析)により分析の結果、典型的なCu(II)単核のシグナルが得られ、次の化26で表される構造の中間体化合物〔平面Cu(II)錯体〕であることを推定した。
【0049】
【化26】
【0050】
(2)最終化合物の合成
次いで、上述化26の中間体化合物1モルを500mlのアセトンに溶解し、攪拌しながらこの中に金属配位能の強い配位子であるジメチルアミノエチルメタクリレート1.9モルを滴下し、反応させた。反応は瞬時に進行した。反応温度は25℃を越えないように制御した。
【0051】
得られた反応生成物を上述と同様にしてESRにより分析した結果、上記化26の中間体化合物のアキシヤル位にジメチルアミノエチルメタクリレートが配位することにより、錯体は複核化され、Cu−Cuの反強磁性的結合(相互作用)を有する、次の化27で表される構造の最終化合物であることを推定した。
【0052】
【化27】
【0053】
実施例2
実施例1で得られた化26で表される中間体化合物の0.025モル/lアセトン溶液を試料1とした。また、実施例1で得られた化27で表される最終化合物の0.025モル/lアセトン溶液を試料2とした。
【0054】
これら試料1および2について、分光光度計を用いて分光透過率(%)を測定し、結果を分光透過曲線として図1に示した。図1中、曲線1は試料1(中間体化合物のアセトン溶液)、曲線2は試料2(最終化合物のアセトン溶液)のそれぞれ分光透過曲線であり、曲線Rは人間の目の視感度による曲線である。
【0055】
また、実施例1の最終化合物の合成において、金属配位能の強い配位子としてジメチルアミノエチルメタクリレートの代わりにピリジンを用いたことを除いて実施例1と同様にして最終化合物を合成した。この最終化合物の0.025モル/lアセトン溶液を試料3とした。
【0056】
この試料3および前述の試料1および2について、分光光度計を用いて吸光度(A)を測定し、結果を吸光度曲線として図2に示した。図2中、曲線1は試料1、曲線2は試料2、曲線3は試料3のそれぞれ、吸光度曲線である。
【0057】
図1および図2から、試料1、2および3はいずれも曲線1、2および3に示されるように、近赤外線領域の光を効率よく吸収し、人間の目の視感度Rに合った分光特性を有することが理解できる。特に、試料2および3の本発明にかかる試料については、中間体化合物にかかる試料1よりも、近赤外線領域の光吸収能が一層優れていることも明らかである。
【0058】
【実施例3】
実施例1で得られた精製された中間体化合物(化26の化合物)15部と、ヒドロキシメチルメタクリレート(共重合性単量体)20部と、エポキシアクリレートオリゴマー〔カヤラッドR−280日本化薬(株)製〕60部と、光重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー社製)2部とをよく混合した。
この混合物にジメチルアミノメタクリレート(3級アミン)5部を攪拌しながら、かつ、25℃を超えないように温度調節しながら滴下し、中間体化合物(化26の化合物)とジメチルアミノメタクリレート(3級アミン)を反応させ、近赤外線吸収材料(化10の化合物)を合成し、近赤外線吸収材料(化10の化合物)を含む紫外線硬化型液状組成物を得た。この液状組成物を試料4aとした。
【0059】
得られた紫外線硬化型液状組成物をスペーシング1mmとした2枚のガラス基板の中に注入して高圧水銀灯からの紫外線を照射した。照射量3000mJ/cm2で光学フイルター材料を得た。この光学フイルター材料を試料4bとした。
【0060】
実施例4
実施例3において、3級アミンとしてジメチルアミノメタクリレート5部を使用する代わりに、ピリジン8部を用い、その他は実施例3と同様にして紫外線硬化型液状樹脂組成物を得た。この液状組成物を試料5aとした。
【0061】
この紫外線硬化型液状樹脂組成物を用いて実施例3と同様にして光学フイルター材料を得、試料5bとした。
【0062】
比較例
実施例1で得られた精製された中間体生成物(化26の化合物)15部と、ヒドロキシメチルメタクリレート(共重合性単量体)20部と、エポキシアクリレートオリゴマー〔カヤラッドR−280 日本化薬(株)製〕60部と、光重合開始剤(イルガキユア184 チバガイギー社製)2部とをよく混合し、3級アミンを使用せずに紫外線硬化型液状樹脂組成物を得た。この液状組成物を比較試料1aとした。
【0063】
この紫外線硬化型液状樹脂組成物を用いて、実施例3と同様にして光学フイルター材料を得、比較試料1bとした。
【0064】
実施例5
実施例3で得られた試料4a、実施例4で得られた試料5aおよび比較例で得られた比較試料1aをそれぞれ室温下に放置したところ、3級アミンを含まない比較試料1aの液状組成物は24時間程度で分解してしまい、有機物に不溶の沈澱物を発生した。
【0065】
一方、3級アミンを含む試料4aおよび5aの液状組成物は1カ月間放置しても全く変化せず、高い液安定性を有することがわかった。このことから、最終化合物は中間体化合物に比較して構造的に安定であるということができる。
【0066】
実施例6
実施例3で得られた試料4b、実施例4で得られた試料5bおよび比較例で得られた比較試料1bの光学フイルター材料について、それぞれ分光光度計を用いて分光特性を測定し、結果を図3に示した。
【0067】
図3は各試料についての波長(nm) と透過率(%)との関係を表したグラフである。図3に示されるように、試料4b、5bおよび比較試料1bの各光学フイルター材料はいずれも近赤外線領域の光を効率よく吸収するが、特に試料4bおよび5bは近赤外線領域の光を広範囲にわたって吸収することがわかる。
【0068】
さらに、試料4bの光学フイルター材料を温度100℃の環境に1000時間放置して耐熱試験を施し、その後、上述と同様にして分光特性を測定し、結果を図4に示した。
【0069】
図4から明らかなように、試料4bは耐熱試験前後において、ほとんど分光特性に変化を生ぜず、高い耐熱性を保持することがわかる。
【0070】
さらにまた、試料4bおよび比較試料1bの各光学フイルター材料およびリン酸製のガラスフイルターを65℃/95%Hの高温、高湿下の環境に保持してこれらの外観および分光透過率曲線の変化を調べた。
【0071】
この結果、試料4bについては、500時間放置後であっても外観に変化は起こらず、また、分光透過率曲線も図5に示されるとおり、耐湿試験の前と後で変化は起こらなかった。
【0072】
一方、比較試料1bについては、48時間放置後に表面が曇りはじめて外観に変化が生じ、また、分光透過率曲線も図6に示されるとおり、耐湿試験の前と後で大きな変化が生じ、試験後では可視光領域の透過率が低下した。
【0073】
また、リン酸製ガラスフイルターについても100時間放置後に曇りおよび表面にブリードが発生し始めて外観に変化が生じ、さらに、分光特性も図7に示されるとおり、耐湿試験の前と後で大きな変化が生じ、試験後では可視領域の透過率が低下した。
【0074】
実施例7
実施例1で得られた精製された中間体化合物(化26の化合物)30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート(共重合性単量体)30部と、エポキシアクリレートオリゴマー〔カヤラットR−280 日本化薬(株)製〕30とをよく混合した。この混合物にジメチルアミノメタクリレート10部を攪拌しながら、かつ25℃を越えないように温度調節しながら滴下して反応させた。この反応生成物に熱重合開始剤〔パーキユアO 日本油脂(株)製〕0.5部を添加して熱硬化型液状樹脂組成物を得た。
【0075】
得られた熱硬化型液状樹脂組成物は80℃、30分程度の熱処理で硬化する。したがって、この樹脂組成物を塗布、注型、金型成型等により種々の形状に成形し、各種形状の近赤外線吸収材料とすることができる。
【0076】
実施例8
本発明にかかる近赤外線吸収性樹脂組成物を用いて図8に示される構造のシリコンフオトダイオードチップ含有光学素子を製造した。図8において、1は本発明にかかる光学素子であって、パッケージ2中にシリコンフオトダイオードチップ3を配置し、この中に実施例3で得られた液状組成物4aを注入(ポッテイング)してチップ3を液状組成物4a中に埋め込み、この状態で液状組成物4aを紫外線照射により硬化することにより得られる。得られた光学素子1は良好な視感度補正能を有したものである。
【0077】
なお、従来では、この種の光学素子としては、図9に示される構造のものが使用されていた。図9において、10は従来から公知の光学素子であって、パッケージ11中にシリコンフオトダイオードチップ12を配置し、この中に接着剤13を注入してチップ12を接着剤13中に埋め込み、この上に光学フイルター14を載置することにより得られる。
【0078】
ここで、本発明によって得られた図8の光学素子1と、従来の図9に示される光学素子10とを比較すると、本発明にかかる光学素子1は従来の光学素子10と比較して視感度補正能が優れていることはもちろん、小型化され(従来のものより1mm薄い) 、かつ軽量化(従来の重量の3分の2)されている。
【0079】
【発明の効果】
本発明は次の効果を奏する。
(1)本発明の近赤外線吸収材料は高温条件下でも近赤外領域の波長光を効率よく吸収カットし、視感度補正能を保持した光学フイルターの形成材料として好適である。
【0080】
(2)この材料または中間体化合物を用いて、液安定性の高い溶液状態を維持する近赤外線吸収性樹脂組成物を得る。これは液状であって、ラジカル重合開始剤の作用により、いかなる形状にも容易に重合成形し得、したがって、硬化成形して軽量で耐熱性や耐湿性のあるさまざまな形状の視感度補正能を有する光学フイルターに容易に加工し得る。
【0081】
(3)上記樹脂組成物は機械読み取り用の目にみえないインクとして適用される。これを隠しマークや隠しバーコード等の印刷に用いることにより、偽造防止効果が付与される。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料1(曲線1)、試料2(曲線2)および人間の目の視感度による曲線Rについての分光透過曲線を表したグラフである。
【図2】試料1(曲線1)、試料2(曲線2)および試料3(曲線3)についての吸光度曲線を表したグラフである。
【図3】各試料についての波長(nm) と透過率(%)との関係を表したグラフである。
【図4】耐熱試験前後の試料についての波長(nm) と透過率(%)との関係を表したグラフである。
【図5】耐湿試験前後の本発明試料についての波長(nm) と透過率(%)との関係を表したグラフである。
【図6】耐湿試験前後の比較試料についての波長(nm) と透過率(%)との関係を表したグラフである。
【図7】耐湿試験前後のリン酸製ガラスフイルターについての波長(nm) と透過率(%)との関係を表したグラフである。
【図8】本発明にかかる近赤外線吸収性樹脂組成物を用いて製造された光学素子の一具体例の断面図である。
【図9】従来から公知の光学素子の断面図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a near-infrared absorbing material suitable for visual sensitivity correction capable of efficiently absorbing light in the near-infrared region even under high temperature conditions and a method for synthesizing the same, and further maintains a solution state with high liquid stability. It can be easily processed into optical filters and various optical elements that are cured and light-weighted and retains the ability to correct the visibility of various shapes with heat resistance and moisture resistance, and can also be applied as near infrared absorbing ink. The present invention relates to a near-infrared absorbing resin composition to be obtained.
[0002]
[Prior art]
In an optical apparatus such as a camera or a video camera, a silicon diode element, a charge coupled device (CCD), or the like is used to convert an optical signal into an electric signal.
[0003]
Since these photoelectric conversion elements (hereinafter referred to as optical elements) have a wide light-sensitive region of 300 to 1100 nm, they are more sensitive in the near infrared region than the visual sensitivity of human eyes of 400 to 700 nm. become.
[0004]
In general, optical devices such as cameras and video cameras need to be sensitive to wavelength light in the human visual sensitivity range. Wavelengths outside this range are rather undesirable, and they interfere with photometry and color reproducibility. It will be. Therefore, in this case, an optical filter that transmits visible light and efficiently absorbs and cuts light in the near infrared region is required.
[0005]
2. Description of the Related Art Conventionally, glass optical filters in which copper ions are contained in phosphate glass have been used as photometric filters for cameras and imaging system visibility correction filters for video cameras and the like.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, this type of glass optical filter is not only heavy and has a high hygroscopic property, but also has the disadvantages that it is difficult to process such as molding, cutting, polishing, etc., and is easily devitrified in a high humidity atmosphere. It was.
[0007]
Accordingly, an optical filter disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 6-118228 has been developed as an optical filter for solving the above-described problems. This is made of a synthetic resin in which a specific phosphate group-containing copolymer contains a metal salt containing a copper salt as a main component.
[0008]
However, an optical filter made of this material causes a change in spectral characteristics under high temperature conditions and a problem in dimensional stability. In addition, when this material is dissolved in a binder having a film-forming ability such as a liquid polymer material or a liquid copolymerizable monomer, an insoluble precipitate is generated in the organic matter. It must be supplied in a processed solid state, which not only imposes constraints on optical instrument design but also hinders widespread application as a near infrared absorbing material.
[0009]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a near-infrared absorbing material and a method for synthesizing the same which are suitable for visual sensitivity correction by efficiently absorbing light in the near-infrared region even under high-temperature conditions and which have improved the above-described disadvantages of the known technology. In addition, even when dissolved in a binder having a film-forming ability such as a liquid polymer material or a liquid copolymerizable monomer, it maintains a highly liquid-stable solution state and is cured and molded. Lightweight, easy to process optical filters and various optical elements that retain the ability to correct visibility in various shapes with heat resistance and moisture resistance, and can also be applied as near-infrared absorbing ink. An object of the present invention is to provide a near-infrared absorbing resin composition having improved defects.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, according to the near-infrared absorbing material of the present invention, 2 mol of a phosphate group-containing monomer is coordinated to copper metal, and a ligand having a strong metal coordination ability at the axial position. General formula obtained by coordination of 2 moles
Embedded image
It is characterized by having. However, in
[0011]
Furthermore, in order to achieve the above-mentioned object, according to the method for synthesizing the near-infrared absorbing material of the present invention, 1 mol of a divalent copper salt,
Embedded image
By reacting with 2 mol of a phosphate group-containing monomer selected from the group of
Embedded image
And then purifying by removing by-products from the resulting intermediate compound, and then reacting this intermediate compound with a ligand having a strong metal coordination ability, that is, the final compound,
Embedded image
Is synthesized.
[0012]
However, in Chemical Formula 13, R is
Embedded image
(X is CHThreeOr H and n are 1 to 6)
And R ′ is
Embedded image
It is. In Chemical Formula 15, A is a ligand having a strong metal coordination ability.
[0013]
Furthermore, in order to achieve the aforementioned object, according to the infrared absorbing resin composition of the present invention, the formula
Embedded image
And a near-infrared absorbing material having a liquid polymer material and / or a binder having a film-forming ability containing a liquid copolymerizable monomer and a radical polymerization initiator. However, in Chemical formula 18, A is a ligand having a strong metal coordination ability.
[0014]
Furthermore, in order to achieve the aforementioned object, according to the infrared absorbing resin composition of the present invention, the formula
Embedded image
The intermediate compound according to claim 5, comprising a liquid copolymerizable monomer, a ligand having a strong metal coordination ability, and a radical polymerization initiator.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0016]
As described above, the near-infrared absorbing material according to the present invention has 2 mol of a phosphate group-containing monomer coordinated to copper metal, and 2 mol of a ligand having strong metal coordination ability coordinated to an axial position. The general formula
Embedded image
It is what has. However, A is a ligand with a strong metal coordination ability.
[0017]
The phosphate group-containing monomer is
Embedded image
It is 1 type or multiple types selected from the group of these.
[0018]
Where R is
Embedded image
(X is CHThreeOr H and n are 1 to 6)
And R ′ is
Embedded image
It is.
[0019]
This type of phosphate group-containing monomer has a phosphate group in the molecular structure. When this phosphate group-containing monomer is coordinated to copper metal, the phosphate group becomes a compound that retains copper ions, and such a compound exhibits light absorption characteristics in the near infrared region.
[0020]
Furthermore, this phosphate group-containing monomer has an acryloyloxy group or methacryloyloxy group which is a radically polymerizable functional group via an ethylene oxide group in the molecular structure. That is, R in the chemical formula 22 is an acryloyloxy group (when X is a hydrogen atom) bonded with an ethylene oxide group or a methacryloyloxy group (when X is a methyl group). Therefore, the above-mentioned phosphate group-containing monomer is extremely copolymerizable and can be copolymerized with various monomers.
[0021]
In addition, in R in the above chemical formula 22, n of the ethylene oxide group is an integer of 1 to 6. When n exceeds 6, the number of ethylene oxide group repeats is too large, and the hardness of the resulting copolymer is greatly reduced and the hygroscopicity is increased.
[0022]
Furthermore, in the above-mentioned phosphate group-containing monomer, the number of hydroxyl groups is either 1 or 2 depending on the purpose of use. When this is 2, that is, when the number of R (radically polymerizable functional group) bonded to the phosphorus atom is 1, the phosphate group-containing monomer has a large bond with copper. On the other hand, when the hydroxyl group is 1, that is, when the number of R (radically polymerizable functional groups) bonded to the phosphorus atom is 2, the phosphate group-containing monomer has crosslinkability.
[0023]
Of the two hydroxyl groups, one can be converted to a half amine salt with a tertiary amine. (H of OH is HNR 'ThreeReplaced with). As the half amine salt of the tertiary amine in this case, phosmer DM (manufactured by Unichemical Co., Ltd.) using dimethylaminoethyl methacrylate as the tertiary amine can be mentioned.
[0024]
In the above-mentioned
[0025]
The near-infrared absorbing material according to the present invention is synthesized through (1) an intermediate compound synthesis step, (2) a purification step of the obtained intermediate compound, and (3) a final compound synthesis step. Each of these steps will be described in detail below.
[0026]
(1) Intermediate compound synthesis step
1 mol of a divalent copper salt and 2 mol of a phosphoric acid group-containing monomer represented by the above chemical formula 21 are dissolved in a solvent that dissolves both of them, for example acetone, and at room temperature for a desired time, for example, 3 hours. The reaction proceeds to synthesize an intermediate compound. This intermediate compound has the following formula:
[0027]
Embedded image
[0028]
Here, as the divalent copper salt, copper acetate, copper chloride, copper formate, copper stearate, copper benzoate, copper ethyl acetoacetate, copper pyrophosphate, copper naphthenate, copper citrate, anhydrides thereof, hydration Among them, copper benzoate is particularly preferable because of its high yield.
[0029]
(2) Purification of intermediate compounds
The obtained intermediate compound is washed with a solvent to extract and remove the acid component as a by-product, followed by purification. This purification prevents the deterioration of the spectral characteristics of the intermediate compound at a high temperature and further prevents the decomposition reaction.
[0030]
Solvents used for extraction and removal of this acid component include water, aliphatic lower alcohols such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, ketones such as acetone, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, cyclohexanone, and ethyl ether. Ethers such as ethyl acetate, esters such as ethyl butyl acetate, petroleum ether, n-pentane, n-hexane, n-heptane, chloroform, methylene chloride, aliphatic hydrocarbons such as carbon tetrachloride and their halides, Aromatic compounds such as benzene, toluene and xylene are used. These solvents are used alone or in combination.
[0031]
(3) Synthesis of final compound
The purified intermediate compound is then dissolved in a solvent, such as acetone, and a ligand having a strong metal coordination ability, such as the tertiary amine listed above, is added dropwise to the mixture while stirring. The reaction is accelerated while controlling not to exceed the temperature of ° C., and a final compound having the following formula is synthesized.
[0032]
Embedded image
[0033]
In the formula, A is a ligand having a strong metal coordination ability, for example, the tertiary amines listed above.
[0034]
The final compound thus obtained exhibits superior stability at higher temperatures and higher humidity than the above intermediate compound, and absorbs and cuts light in the near-infrared region about twice as much. (Molar extinction coefficient is doubled.)
[0035]
Furthermore, the near-infrared absorbing material, which is the above-mentioned final compound, does not generate precipitates that are insoluble in organic substances even when mixed with a liquid binder having a film-forming ability, and has a highly liquid-stable solution state. maintain. Therefore, this material obtains a near-infrared absorbing resin composition having high liquid stability by mixing with the above-mentioned binder.
[0036]
The binder is a mixture of either one or both of a polymer material and a copolymerizable monomer that are compatible with the near-infrared absorbing material, and a radical polymerization initiator for polymerizing them. This radical polymerization initiator is a thermal polymerization initiator or a photopolymerization initiator.
[0037]
The liquid polymer material used here is thermoplastic or thermosetting acrylic resin, epoxy resin or the like. In addition, as the liquid copolymerizable monomer, radical copolymerization is possible by uniformly dissolving and mixing with the phosphate group-containing monomer, and the resulting copolymer is transparent and has low hygroscopicity, Furthermore, it will not be specifically limited if it is excellent in hardness, heat resistance, and shape retainability.
[0038]
Specific examples of this copolymerizable monomer include methyl acrylate, methyl methacrylate, ethyl acrylate, ethyl methacrylate, n-propyl acrylate, n-propyl methacrylate and the like, lower alkyl having 1 to 8 carbon atoms in the alkyl group ( (Meth) acrylate, glycidyl acrylate, glycidyl methacrylate, 2-hydroxybutyl methacrylate, hydroxymethyl methacrylate, etc., modified alkyl (meth) acrylates in which alkyl groups are substituted with glycidyl groups or hydroxyl groups, ethylene glycol dimethacrylate, diethylene glycol dimethacrylate, polyethylene glycol Dimethacrylate, 1,4-butanediol diacrylate, 1,4-butanediol dimethacrylate, 2,2-bis [4-methacrylo Ciethoxyphenyl] propane, trimethylolpropane triacrylate, polyfunctional (meth) acrylates such as pentaerythritol trimethacrylate, pentaerythritol tetramethacrylate, carboxylic acids such as acrylic acid and methacrylic acid, styrene, α-methylstyrene, halogenated Aromatic vinyl compounds such as styrene, methoxystyrene, divinylbenzene, and the like. These may be used singly or as a mixture of two or more.
[0039]
Moreover, the above-mentioned copolymerizable monomer may be used in combination with various oligomers having radical polymerizability. Examples of this type of oligomer include epoxy (meth) acrylate, polyester (meth) acrylate, polyurethane (meth) acrylate, and polyether (meth) acrylate.
[0040]
Furthermore, in the present invention, an intermediate compound, a ligand having a strong metal coordination ability (for example, the above-mentioned tertiary amine), a liquid polymer material and / or a liquid copolymerizable monomer, and radical polymerization initiation A near-infrared absorbing resin composition is obtained by mixing with a binder having a film-forming ability containing an agent. In this case, in the resin composition, the intermediate compound and the ligand having a strong metal coordinating ability react instantaneously to form the above-mentioned final compound, and this final compound and the above-mentioned binder are coexistent. Therefore, there is no coexistence state between the intermediate compound and the binder, and thus the resin composition also maintains a solution state with high liquid stability as described above.
[0041]
In this resin composition, the compounding amount of the tertiary amine is preferably 2 mol with respect to 1 mol of the intermediate compound. The blending ratio of the intermediate compound and the liquid polymer material and / or liquid copolymerizable monomer is preferably in the range of 3:97 to 90:10 (% by weight), more preferably 20: 80 to 80:20. If the compounding amount of the intermediate compound is less than 3% (weight), suitable light absorption characteristics as an optical element are not expressed, and if it exceeds 90% (weight), the hygroscopicity of the resulting product increases. Therefore, the desired hardness is not achieved, and it becomes flexible.
[0042]
Any of the above-mentioned near-infrared absorbing resin compositions is radically polymerized by heat or light by the action of a radical polymerization initiator. Moreover, since these resin compositions maintain a highly liquid-stable solution state, they can be easily coated, cast (cast) polymerization, solution polymerization, etc., by a known means such as a film, plate, column, or lens. The optical material such as a desired optical filter and various optical elements can be obtained by being molded and the like. In the present invention, the above-described final compound is dissolved in an organic solvent such as acetone, and the solvent is evaporated from the solution by drying to obtain various optical materials molded into a desired shape.
[0043]
The obtained optical material efficiently absorbs wavelengths in the near-infrared region. For this reason, it is used as a photometric filter for adjusting photodiode characteristics, and more particularly as a filter for correcting red visibility. If necessary, this can be surface treated with an organic or inorganic hard coating agent to prevent charging, improve surface hardness, and prevent surface reflection. Furthermore, the above optical filter can be laminated with another optical material such as a quartz plate to form a composite material.
[0044]
In addition, the above-mentioned near-infrared absorbing resin composition according to the present invention is applied as an almost invisible printing ink used for machine reading. In other words, the resin composition of the present invention is mixed with pigments for inks to prepare printing ink, and this ink is used to print hidden marks, hidden barcodes, etc., and give anti-counterfeiting effects to various securities and cards. It is used for purposes. Furthermore, the near-infrared absorbing resin composition is also used in the production of optical elements of various shapes, and is used as a coating material for window glass or as a laminated material between sheet glasses for the purpose of cutting heat rays, and maintains a liquid state. Since it can be easily molded into various shapes, it is used for various applications.
[0045]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention concretely in detail, this invention is not restrict | limited by these Examples. In the examples, “parts” means “parts by weight”.
[0046]
Example 1
(1) Synthesis of intermediate compounds
1 mol of anhydrous copper benzoate as a divalent copper salt and 2 mol of oxyethyl methacrylate phosphate as a phosphate group-containing monomer were each dissolved in 500 ml of acetone and allowed to stand at room temperature for 3 hours to proceed the reaction. .
[0047]
The obtained reaction product was washed with an acetone / hexane mixed solvent to extract and remove by-product benzoic acid, and purified. The removal rate of benzoic acid by this washing was 99.0%, which was almost quantitatively removed.
[0048]
As a result of analysis of the purified reaction product by ESR (Electro Spin Resornance), a typical Cu (II) mononuclear signal was obtained, and an intermediate of the structure represented by the following chemical formula 26 It was estimated to be a compound [planar Cu (II) complex].
[0049]
Embedded image
[0050]
(2) Synthesis of final compound
Next, 1 mol of the intermediate compound of Chemical Formula 26 is dissolved in 500 ml of acetone, and 1.9 mol of dimethylaminoethyl methacrylate, which is a ligand having a strong metal coordination ability, is dropped into this while stirring. It was. The reaction proceeded instantaneously. The reaction temperature was controlled not to exceed 25 ° C.
[0051]
As a result of analyzing the obtained reaction product by ESR in the same manner as described above, dimethylaminoethyl methacrylate was coordinated to the axial position of the intermediate compound of Chemical Formula 26, whereby the complex was dinucleated and Cu—Cu It was presumed to be a final compound having an antiferromagnetic coupling (interaction) and a structure represented by the following chemical formula (27).
[0052]
Embedded image
[0053]
Example 2
Sample 1 was a 0.025 mol / l acetone solution of the intermediate compound represented by Chemical Formula 26 obtained in Example 1.
[0054]
For these
[0055]
Further, in the synthesis of the final compound of Example 1, the final compound was synthesized in the same manner as in Example 1 except that pyridine was used instead of dimethylaminoethyl methacrylate as a ligand having a strong metal coordination ability.
[0056]
The absorbance (A) of this
[0057]
From FIGS. 1 and 2,
[0058]
[Example 3]
15 parts of the purified intermediate compound (compound of formula 26) obtained in Example 1, 20 parts of hydroxymethyl methacrylate (copolymerizable monomer), epoxy acrylate oligomer [Kayarad R-280 Nippon Kayaku ( 60 parts) and 2 parts of a photopolymerization initiator (Irgacure 184, manufactured by Ciba Geigy) were mixed well.
To this mixture, 5 parts of dimethylaminomethacrylate (tertiary amine) was added dropwise with stirring and temperature control so as not to exceed 25 ° C.An intermediate compound (compound of formula 26) and dimethylamino methacrylate (tertiary amine) are reacted to synthesize a near-infrared absorbing material (compound of formula 10) and includes a near-infrared absorbing material (compound of
[0059]
The obtained ultraviolet curable liquid composition was poured into two glass substrates having a spacing of 1 mm and irradiated with ultraviolet rays from a high pressure mercury lamp. Irradiation amount 3000mJ / cm2An optical filter material was obtained. This optical filter material was designated as Sample 4b.
[0060]
Example 4
In Example 3, an ultraviolet curable liquid resin composition was obtained in the same manner as in Example 3 except that 8 parts of pyridine was used instead of 5 parts of dimethylamino methacrylate as the tertiary amine. This liquid composition was designated as Sample 5a.
[0061]
Using this ultraviolet curable liquid resin composition, an optical filter material was obtained in the same manner as in Example 3 to obtain Sample 5b.
[0062]
Comparative example
15 parts of the purified intermediate product (compound of formula 26) obtained in Example 1, 20 parts of hydroxymethyl methacrylate (copolymerizable monomer), and epoxy acrylate oligomer [Kayarad R-280 Nippon Kayaku Co., Ltd.] 60 parts and 2 parts of a photopolymerization initiator (Irgakiure 184 Ciba Geigy) were mixed well to obtain an ultraviolet curable liquid resin composition without using a tertiary amine. This liquid composition was used as a comparative sample 1a.
[0063]
Using this ultraviolet curable liquid resin composition, an optical filter material was obtained in the same manner as in Example 3 to obtain a comparative sample 1b.
[0064]
Example 5
When the sample 4a obtained in Example 3, the sample 5a obtained in Example 4 and the comparative sample 1a obtained in the comparative example were allowed to stand at room temperature, the liquid composition of the comparative sample 1a containing no tertiary amine was obtained. The matter decomposed in about 24 hours, and an insoluble precipitate was generated in the organic matter.
[0065]
On the other hand, it was found that the liquid compositions of Samples 4a and 5a containing a tertiary amine did not change at all even when left for 1 month, and had high liquid stability. From this it can be said that the final compound is structurally stable compared to the intermediate compound.
[0066]
Example 6
For the optical filter materials of the sample 4b obtained in Example 3, the sample 5b obtained in Example 4, and the comparative sample 1b obtained in the comparative example, the spectral characteristics were measured using a spectrophotometer, and the results were obtained. This is shown in FIG.
[0067]
FIG. 3 is a graph showing the relationship between wavelength (nm) and transmittance (%) for each sample. As shown in FIG. 3, the optical filter materials of Samples 4b and 5b and Comparative Sample 1b all absorb light in the near infrared region efficiently, but in particular, Samples 4b and 5b have a wide range of light in the near infrared region. It can be seen that it absorbs.
[0068]
Furthermore, the optical filter material of Sample 4b was left in an environment of 100 ° C. for 1000 hours to conduct a heat resistance test. Thereafter, the spectral characteristics were measured in the same manner as described above, and the results are shown in FIG.
[0069]
As is apparent from FIG. 4, it can be seen that the sample 4b hardly changes in the spectral characteristics before and after the heat resistance test and maintains high heat resistance.
[0070]
Furthermore, the optical filter materials of Sample 4b and Comparative Sample 1b and the glass filter made of phosphoric acid were kept in an environment of high temperature and high humidity of 65 ° C./95% H, and their appearance and changes in spectral transmittance curves were observed. I investigated.
[0071]
As a result, the appearance of the sample 4b did not change even after being left for 500 hours, and the spectral transmittance curve did not change before and after the moisture resistance test as shown in FIG.
[0072]
On the other hand, the surface of the comparative sample 1b began to cloud after 48 hours, and the appearance changed, and the spectral transmittance curve also changed greatly before and after the moisture resistance test as shown in FIG. Then, the transmittance in the visible light region decreased.
[0073]
Further, the phosphoric acid glass filter also began to generate fogging and bleed on the surface after being left for 100 hours, and the appearance was changed. Further, as shown in FIG. 7, the spectral characteristics were greatly changed before and after the moisture resistance test. As a result, the transmittance in the visible region decreased after the test.
[0074]
Example 7
30 parts of the purified intermediate compound (compound of formula 26) obtained in Example 1, 30 parts of hydroxymethyl methacrylate (copolymerizable monomer), and epoxy acrylate oligomer [Kayarat R-280 Nippon Kayaku ( 30) was mixed well. To this mixture, 10 parts of dimethylaminomethacrylate was added dropwise and reacted while the temperature was adjusted so as not to exceed 25 ° C. while stirring. To this reaction product, 0.5 part of a thermal polymerization initiator [Perkyure O Nippon Oil & Fats Co., Ltd.] was added to obtain a thermosetting liquid resin composition.
[0075]
The obtained thermosetting liquid resin composition is cured by heat treatment at 80 ° C. for about 30 minutes. Therefore, this resin composition can be formed into various shapes by coating, casting, mold molding, or the like to obtain near-infrared absorbing materials of various shapes.
[0076]
Example 8
A silicon photodiode chip-containing optical element having the structure shown in FIG. 8 was produced using the near-infrared absorbing resin composition according to the present invention. In FIG. 8, reference numeral 1 denotes an optical element according to the present invention, in which a
[0077]
Conventionally, as this type of optical element, one having the structure shown in FIG. 9 has been used. In FIG. 9, 10 is a conventionally known optical element, in which a
[0078]
Here, when the optical element 1 of FIG. 8 obtained by the present invention is compared with the conventional
[0079]
【The invention's effect】
The present invention has the following effects.
(1) The near-infrared absorbing material of the present invention is suitable as a material for forming an optical filter that efficiently absorbs and cuts light in the near-infrared region even under high temperature conditions and retains visibility correction ability.
[0080]
(2) A near-infrared absorbing resin composition that maintains a solution state with high liquid stability is obtained using this material or intermediate compound. This is a liquid and can be easily polymerized into any shape by the action of a radical polymerization initiator. Therefore, it can be cured and molded to reduce the lightness, heat resistance and moisture resistance of various shapes. The optical filter can be easily processed.
[0081]
(3) The resin composition is applied as an invisible ink for machine reading. By using this for printing a hidden mark or a hidden barcode, a forgery prevention effect is imparted.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing spectral transmission curves for Sample 1 (Curve 1), Sample 2 (Curve 2), and Curve R depending on the visibility of the human eye.
FIG. 2 is a graph showing absorbance curves for Sample 1 (Curve 1), Sample 2 (Curve 2), and Sample 3 (Curve 3).
FIG. 3 is a graph showing the relationship between wavelength (nm) and transmittance (%) for each sample.
FIG. 4 is a graph showing the relationship between wavelength (nm) and transmittance (%) for samples before and after the heat test.
FIG. 5 is a graph showing the relationship between wavelength (nm) and transmittance (%) for a sample of the present invention before and after a moisture resistance test.
FIG. 6 is a graph showing the relationship between wavelength (nm) and transmittance (%) for a comparative sample before and after the moisture resistance test.
FIG. 7 is a graph showing the relationship between wavelength (nm) and transmittance (%) for phosphoric acid glass filters before and after a moisture resistance test.
FIG. 8 is a cross-sectional view of a specific example of an optical element manufactured using the near-infrared absorbing resin composition according to the present invention.
FIG. 9 is a cross-sectional view of a conventionally known optical element.
Claims (15)
であり、R´は、
And R ′ is
であり、R´は、
And R ′ is
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