JP3939558B2 - 入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話などの携帯用電子機器の入力装置に関し、特に、キートップ(操作部)を押圧操作したときに、その押圧操作した位置を入力可能な入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の入力装置は、図15に示すように、プリント基板81、抵抗体82、導電体83、シリコンラバー84、キートップ85、上ケース86から構成されている。
プリント基板81には、カーボンなどからなる環状の抵抗体82が印刷形成されている。この抵抗体82には、図16に示すように、90度間隔で順に、銀などからなる電極A,B,C,Dが形成されている。
抵抗体82に対向して、図17に示すように、銀などからなる環状の導電体83がシリコンラバー84に形成されている。
このシリコンラバー84は、弾性力があり、力が加わると加わった方向に撓み、加わった力が解除されると元の形状に復元する。また、このシリコンラバー84は、キートップ85の中央部に保持されている。
キートップ85は、シリコンラバー84の弾性力によって、上方に付勢され、上ケース86の下部によって、上方への移動が規制されている。
【0003】
この入力装置は、初期状態においては、図15のように、抵抗体82と導電体83とは、間隔を空けて対峙するようになっている。
この状態で、キートップ85の外周部を下方に押圧すると、キートップ85が傾斜し、シリコンラバー84を下方に押圧する。そしてシリコンラバー84が撓み、導電体83が抵抗体82と接触する。
また、キートップ85に加えていた荷重を解放すると、キートップ85は、シリコンラバー84の復元力により、元の位置に戻り、抵抗体82と導電体83とは、間隔を空けて対峙するようになっている。
【0004】
このキートップ85の操作された位置を検出する回路は、図18に示すように、4つの電極A、B,C,Dを有する抵抗体82と導電体83と制御部(CPU)87から構成されている。
制御部87は、電極A,B,C,Dに駆動電圧を供給する4つの電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTC,OUTDと、アナログ電圧が入力されるアナログ電圧入力端子A/Dとを有している。
このアナログ電圧入力端子A/Dは導電体83に接続されている。
【0005】
そして、制御部87の動作は、
(1)電圧出力端子OUTAにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTCにローレベルの電圧を出力して、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧を監視し、アナログ電圧が出力されたらその電圧値によってY座標値を検出する。
(2)電圧出力端子OUTBにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTDにローレベルの電圧を出力して、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値を監視し、アナログ電圧が出力されたらその電圧値によってX座標値を検出する。
以上の2通りの動作を常時繰り返し、XY座標が検出されたら、その検出結果のXY座標値を出力するようになっている。
【0006】
初期状態において、抵抗体82と導電体83とが間隔を空けて対峙している状態では、抵抗体82のどの電極に電圧を印加しても、アナログ電圧入力端子A/Dには、電圧が入力されない。
この状態で、キートップ85を押圧し、シリコンラバー84が撓み、例えば、抵抗体82の電極A、B間のV点と導電体83とを接触させると、抵抗体82と導電体83とが導通する。
このとき、制御部87が、電圧出力端子OUTAにハイレベルの電圧を出力し、電圧出力端子OUTCにローレベルの電圧を出力すると、アナログ電圧入力端子A/Dには、A−C間の電圧をA−V間とV−C間との距離(又は中心角)の比によって分圧されたV点での電圧値が入力される。
そして、制御部87は、アナログ電圧が入力されたので、その電圧値を得て、その電圧値からV点のY座標値を検出する。
同様に、電圧出力端子OUTBにハイレベルの電圧を出力し、出力端子OUTDにローレベルの電圧を出力すると、アナログ電圧入力端子A/Dには、B−D間をB−V間とV−D間で分圧したV点での電圧値が入力され、その電圧値によってV点のX座標値を検出する。
このようにしてこの入力装置は、キートップ85の操作されたXY位置を検出し、次段に出力している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような入力装置では以下のような問題が発生していた。
【0008】
プリント基板81に印刷された抵抗体82を使用しているので、抵抗体82が摩滅したり汚れたりして、抵抗値が変化して信頼性が低く、寿命も短い。
シリコンラバー84に直接形成された導電体83を使用しているので、導電体83が磨耗したり、汚れたり、弾性変形の影響を受けたりして、さらに寿命が短かくなる。
シリコンラバー84を撓ませて、抵抗体82と導電体83を接触させて位置を入力するので、使用者には、接触したかどうか触覚ではわかりにくく、誤操作しやすい。
【0009】
さらに、キートップ85の操作された位置を検出する回路では、制御部87は、常に2つの電圧出力端子間に抵抗体を介して電圧を印加して電流が流れているので、常時電力が消費され、電子機器の連続して使用できる時間が短い。
操作された位置の検出を、半周(180度)単位(電極A−C間、B−D間)で検出しているので、例えば、8ビットのA/D変換では、全周(360度)を512分割しかできず精度(分解能)が悪い。
キートップ85を強く押圧したときには、導電体83と抵抗体82とが面接触するために抵抗体82の電極間の抵抗値が変化し、検出誤差が生じる。
同時に2か所以上導電体83と抵抗体82とが接触すると、大電流が流れたり、予期しない位置を検出してしまう。
キートップ85の押圧された力の強さ(Z方向)が検出できない。
【0010】
本発明は、前述したような問題点に鑑みてなされたもので、信頼性が高く、長寿命で、誤操作しにくく、電力消費の少なく、精度(分解能)がよく、検出誤差が少なく、同時に2箇所が接触しても誤動作せず、押圧された力の強さが検出できるような、少なくても上記の1つを改善した入力装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための解決手段として本発明の入力装置は、90度間隔で順に第1〜第4の電極が設けられた環状の抵抗体が上面に形成された下シートと、前記下シートと間隔を持って載置され、下面に前記抵抗体の一部に接触可能な環状の導電体が形成された上シートと、前記上シートの表面に当接する凸状の弾性体が形成され、この弾性体の中央部が前記導電体の環状の中心に配置された操作部とを有し、前記導電体からアナログ電圧を出力する入力部、および、前記第1〜第4の電極に駆動電圧を供給するための第1〜第4の電圧出力端子と、前記アナログ電圧を入力する第1のアナログ電圧入力端子とを有し、前記アナログ電圧入力端子に入力されたアナログ電圧値を演算処理して前記抵抗体と前記導電体との接触位置を検出する制御部を備え、前記操作部を下方に操作することにより、前記操作部を傾斜させ、前記弾性体を撓ませて、前記抵抗体と前記導電体とを接触させ、前記操作部の操作位置を検出するような構成とした。
【0012】
この構成とすることにより、抵抗体と導電体とが上下のフィルム内だけで構成されているので、一体に形成でき、コストダウンができると共に、汚れたり、腐食したりしにくく、信頼性が高く、長寿命である。
【0013】
また、前記制御部には、前記導電体を所定電圧にプルアップするためのプルアップ端子が設けられ、前記制御部は、前記第1〜第4の電圧出力端子をローレベルとし、前記プルアップ端子を前記所定電圧にする第1のモード、又は、前記第1〜第4の電圧出力端子のうちのいずれか2つの端子間に電圧を出力すると共に前記プルアップ端子をローレベルとする第2のモードに切り替えられるように構成し、前記第1のモードのとき、前記第1のアナログ電圧入力端子に入力される電圧が変化したときに前記第2のモードに切り替わり、前記第2のモードのとき、前記第1のアナログ電圧入力端子に入力される電圧が一定時間変化しないときに前記第のモードに切り替わるように構成した。
【0014】
この構成とすることにより、制御部は、操作部が一定時間操作されていないときには第1のモードになり、抵抗体に電圧を印加しないので、電力の消費を少なくできる。
【0015】
また、前記制御部は、前記第1の電圧出力端子と前記第2の電圧出力端子との間、前記第2の電圧出力端子と前記第3の電圧出力端子との間、前記第3の電圧出力端子と前記第4の電圧出力端子との間、前記第4の電圧出力端子と前記第1の電圧出力端子との間、に順に電圧を印加して前記操作部の操作位置を検出するようにした。
この構成とすることにより、1/4周(90度)に対して電圧を印加するので、1/2周(180度)に対して電圧を印加する場合よりも、デジタル変換したときの精度が良くなる。
【0016】
また、前記制御部には、第5の電圧出力端子、第2のアナログ入力端子を設け、前記第2のアナログ電圧入力端子と前記第1の電圧出力端子とを接続するとともに、前記第5の電圧出力端子と前記第1の電極とを第1の抵抗を介して接続し、前記制御部は、前記第5の電圧出力端子と前記第3の電圧出力端子との間に電圧を印加し、前記第2のアナログ電圧入力端子に入力されるアナログ電圧値の変化によって、前記操作部の操作された強さを検出するようにした。
この構成とすることにより、操作部の押圧操作された力の強さに対応して、カーソルの移動速度を速くするなどできるので、使用者に使いやすくすることができる。
【0017】
また、前記制御部には、第6の電圧出力端子、第3のアナログ入力端子を設け、前記第3のアナログ電圧入力端子と前記第4の電圧出力端子とを接続するとともに、前記第6の電圧出力端子と前記第4の電極とを第2の抵抗を介して接続し、前記制御部は、前記第2のアナログ電圧入力端子、又は、前記第5の電圧出力端子と前記第3の電圧出力端子との間に電圧を印加したときの前記第3のアナログ電圧入力端子に入力されたアナログ電圧値が所定範囲以外のときには、前記第1の電圧出力端子と第3の電圧出力端子の間、及び、前記第2の電圧出力端子と第4の電圧出力端子の間に電圧を印加しないようにした。
この構成とすることにより、抵抗体の抵抗値が所定範囲より小さくなったときには、直接抵抗体に電圧を印加しないので、同時に2箇所以上で接触しても大電流が流れることがなくなり、高寿命となる。
【0018】
また、前記制御部は、前記操作部の操作位置の検出をしたときは、前記操作位置の両側の電極に駆動電圧を供給する電圧出力端子をローレベルにすると共に、他の電極に駆動電圧を供給する電圧出力端子をハイレベルにし、前記第1のアナログ電圧入力端子に電圧が入力されたときには、前記操作位置を無効と判断するようにした。
この構成とすることにより、抵抗体と導電体が同時に2箇所以上で接触したときは、検出した位置データを無効とするので、予期しない位置データを出力しなくなる。
【0019】
また、前記操作部の外周部の下方に90度間隔に押圧部を設け、前記各押圧部にそれぞれ対向して、前記上シート上にドーム状の金属からなるメタルドームを設け、前記操作部を下方に操作することにより、前記押圧部が降下して、前記メタルドームを弾性変形させるようにした。
この構成とすることにより、操作部を操作したときに、操作者にクリック感が伝わり、操作の確認ができるので、確実に操作することができる。
【0020】
また、前記各メタルドームにそれぞれ対向して、前記下シートと前記上シートとの間にスイッチ要素を設け、前記メタルドームが弾性変形したときに、前記スイッチ要素がオンになるようにした。
この構成とすることにより、操作部を操作したときに、同時にスイッチ入力されるので、1度の操作で2つの入力ができ、使いやすい制御をさせることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の入力装置を図1〜図14に基づいて説明する。
【0022】
最初に、本発明の入力装置の第1の実施の形態は、図1〜図3に示すように、下シート11と、上シート12などからなる入力部と後述する制御部とから構成されている。
下シート11の上面には、カーボンなどからなる環状の抵抗体13が印刷形成されている。図2に示すように、抵抗体13には、90度間隔で順に、銀などからなる電極A,B,C,Dが形成されている。また、上シート12の下面には、抵抗体13に対向して銀などからなる、図3に示すように、環状の導電体14が印刷形成されている。
そして、下シート11と上シート12とは、スペーサ15を介して間隔を空けて接着されている。
【0023】
この上シート12の上方には、弾性体であるシリコンラバー16が載置されている。このシリコンラバー16は、下方に丸みを持った形状で、中央部が、導電体14の中空部内に配置されている。
そして、シリコンラバー16の上方は、キートップ17(操作部)の中央部に保持され、キートップ17は、シリコンラバー16の弾性力によって上方に付勢され、上ケース18によって、上方への移動が規制されている。
【0024】
このキートップ17の外周部の下部には、90度間隔で上下左右に押圧部19が形成されている。
この押圧部19に対向して、下シート11の上面には下部接点20が配置され、上シート12の下面には上部接点21が配置され、上シート12の上面にドーム状の薄い金属からなるメタルドーム22が配置されていて、この下部接点20と上部接点21とで1組のスイッチ要素を構成している。
【0025】
この入力装置は、初期状態においては、図1に示すように、抵抗体13と導電体14とは、間隔を空けて対峙するようになっている。
この状態において、キートップ17の外周部を下方に押圧操作すると、キートップ17が傾斜し、シリコンラバー16を下方に押圧する。
するとシリコンラバー16が撓み、上シート12を下方に押圧し、下シート11の抵抗体13と上シート12の導電体14とが接触する。
また、キートップ17が傾斜し、キートップ17の押圧部19が降下することにより、メタルドーム22が押圧部19に押圧されて弾性変形し、下シート11の下部接点20と上シート12の上部接点21とが接触することにより、下部接点20と上部接点21とが導通する。
【0026】
そして、キートップ17に加えていた荷重を解放すると、キートップ17は、シリコンラバー16の復元力により、元の位置に戻り、抵抗体13と導電体14とは非接触となり、また、メタルドーム22は自身の復元力により元の形状に戻り、下部接点20と上部接点21とは非導通になる。
【0027】
ここで、メタルドーム22が弾性変形したとき、及び復元するときには、ユーザーにクリック感が伝わり、キー操作の確認になる。
また、抵抗体13と導電体14、下部接点20と上部接点21は、上下シート11、12内で構成されているので、汚れたり、腐食したりしにくく、信頼性が高く、長寿命である。
【0028】
図4は、この入力装置のキートップ17の操作された位置を検出する第1の回路の回路図である。この検出回路は、4つの電極A、B,C,Dを有する抵抗体13と導電体14とからなる入力部と、制御部(CPU)23から構成されている。
制御部23は、電極A,B,C,Dに駆動電圧を供給する4つの電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTC,OUTDと、アナログ電圧が入力されるアナログ電圧入力端子A/Dと、導電体14をプルアップするためのプルアップ端子OUT1を有している。
このアナログ電圧入力端子A/Dは,導電体14に接続され、プルアップ端子OUT1は、プルアップ抵抗Rを介して導電体14に接続されている。
【0029】
また、制御部23は、電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTC,OUTDにローレベルの電圧を出力し、プルアップ端子OUT1にハイレベルの信号を出力するストップモード(第1のモード)と、電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTC,OUTDのうちのいずれか1端子にハイレベルの電圧を出力し、他の3端子のうちの少なくとも1端子にローレベルの電圧を出力する通常モード(第2のモード)に切り替えることができる。
そして制御部23は、ストップモードのとき、アナログ電圧入力端子A/Dに入力された電圧が変化したときに通常モードに切り替わり、通常モードのとき、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されたアナログ電圧値が一定時間変化しないときにストップモードに切り替わるように構成されている。
【0030】
この制御部23は、電源がオンされると、最初は、電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTC,OUTDにローレベルの電圧を出力し、プルアップ端子OUT1にハイレベルの電圧を出力する。
そして、アナログ電圧入力端子A/Dに入力される電圧が変化するまで、他の動作を停止し待機するストップモードになる。
このとき、この検出回路は、図5に示す等価回路になり、この状態においては、導電体14と抵抗体13との間隔が空いて非導通となっているので、プルアップ端子OUT1からのハイレベルの電圧(図5においては、Vcc)はほとんど消費されない。したがって、この状態では、ほとんど電力を消費しないモードになっている。
【0031】
この状態において、キートップ17が押圧されて傾き、抵抗体13と導電体14とが接触すると、プルアップ端子OUT1から出力されるハイレベルの電圧(Vcc)は、プルアップ抵抗R、導電体14、抵抗体13を介して、ローレベルの電圧に落ちるので、アナログ電圧入力端子A/Dに入力される電圧が変化(降下)する。
【0032】
そして、制御部23は、このアナログ電圧入力端子A/Dに入力される電圧が変化すると、プルアップ端子OUT1からのハイレベルの電圧の出力を止めてオープン又はローレベルにし、電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTC,OUTDのうちのいずれか1端子にハイレベルの電圧を出力し、他の3端子のうちの少なくとも1端子にローレベルの電圧を出力する通常モードになる。
【0033】
このとき、この検出回路は、図6に示す等価回路になる。
この通常モードの時の制御部23の動作は、
(1)電圧出力端子OUTAにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTB,OUTC,OUTDにローレベルの電圧を出力して、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値を得る。
(2)電圧出力端子OUTBにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTC,OUTD,OUTAにローレベルの電圧を出力して、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値を得る。
(3)電圧出力端子OUTCにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTD、OUTA,OUTBにローレベルの電圧を出力して、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値を得る。
(4)電圧出力端子OUTDにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTA、OUTB,OUTCにローレベルの電圧を出力して、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値を得る。
以上の4通りの動作を順に繰り返して行っている。
【0034】
上記の繰り返しの中で、例えば図6において、V点で導電体14と抵抗体13とが接触したとすると、電圧出力端子OUTAにハイレベルの電圧を出力したとき(1)と、電圧出力端子OUTBにハイレベルの電圧を出力したとき(2)に、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値がローレベルでなくなる。
このことにより、制御部23は、電極A−B間で接触があったことを感知し、得られたアナログ電圧値から、A−B間とV−B間の距離の比が求まるので、V点のXY座標値を算出することができる。
【0035】
また、導電体14と抵抗体13とが接触せず、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されるアナログ電圧値が一定時間変化のないときには、制御部23は、省電力のストップモードに切り替わり電力消費を低減する。
【0036】
このようにして、制御部23は、電力消費を低減しながら、キートップ17の操作された位置を検出している。
また、電極A−B間、電極B−C間、電極C−D間、電極D−A間の1/4周(90度)に対して電圧を印加し、アナログ電圧入力端子A/Dに入力されたアナログ電圧値をデジタル変換しているので、例えば8ビットのA/D変換では、全周(360度)では、1024分割可能となり、精度(分解能)が良くなっている。
【0037】
図7は、この入力装置のキートップ17の操作された位置を検出する第2の回路の回路図である。この検出回路では、図4に示す回路に比べて、制御部23に、電圧出力端子OUTE,OUTFと、電極Aに接続されたアナログ入力端子A/D2,電極Dに接続されたアナログ入力端子A/D3とが設けられ、また、抵抗R1,R2が設けられている。
そして、抵抗R1の一端は、電極Aに接続されると共に、他端は電圧出力端子OUTEに接続され、抵抗R2の一端は、電極Dに接続されると共に、他端は電圧出力端子OUTFに接続されている。
【0038】
この制御部23の電源をオンしたときからストップモード時の動作は、前述した第1の回路と同様であるので、説明を省略する。
通常モード時の制御部23の動作は、
(1)電圧出力端子OUTAにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTCにローレベルの電圧を出力し、他の電圧出力端子はオープンにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D1に入力されるアナログ電圧値を得る。
(2)電圧出力端子OUTDにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTBにローレベルの電圧を出力し、他の電圧出力端子はオープンにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D1に入力されるアナログ電圧値を得る。
(3)電圧出力端子OUTEにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTCにローレベルの電圧を出力し、他の電圧出力端子はオープンにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D2に入力されるアナログ電圧値を得る。
(4)電圧出力端子OUTFにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTBにローレベルの電圧を出力し、他の電圧出力端子はオープンにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D3に入力されるアナログ電圧値を得る。
以上の4通りの動作を繰り返して行っている。
【0039】
上記の繰り返しの中で、(1)と(2)で得られたアナログ電圧値から、抵抗体13と導電体14の接触したV点のXY座標値を算出することができる。
また、キートップ17が強い力で押圧され、抵抗体13と導電体14との接触面積が生じると、抵抗体13の電極間の抵抗値が変化(減少)する。
ここで、抵抗体13、抵抗R1、抵抗R2の抵抗値が既知であれば、(3)でのアナログ電圧値の変化量から、抵抗体13の抵抗値の変化量が算出できる。
この抵抗値の変化量から、抵抗体13と導電体14の接触面積が算出でき、この接触面積からキートップ17の押圧された力が検出できる。
なお、この押圧された力は、同様に(4)からも検出できるので、どちらを使用しても良いが、(3)から検出された値と(4)から検出した値の平均値を使用するのが誤差が少なくなるので好ましい。
【0040】
ところで、図7の検出回路において、抵抗体13と導電体14とが同時に2箇所、例えば、電極Aの近くと電極Cの近くで接触すると、(1)のときに、大電流が流れる恐れがある。
ここで、抵抗体13のA−C間の合成抵抗をR(Ω)としたときに、対向する2箇所が短絡したときの合成抵抗の最大値は、A−B間の中点とC−D間の中点が短絡したときであるから、(3/4)Rとなる。
そこで、(3)又は(4)において、アナログ電圧入力端子A/D2またはA/D3に、抵抗体13の合成抵抗が(3/4)R以下となる電圧値が入力されたときは、同時に2箇所が接触し、大電流が流れる恐れがあると判断して、(1)と(2)の検出を止め、抵抗体13のA−C間及びB−D間の合成抵抗が(3/4)R以上となるまで、(3)と(4)のみを繰り返すようにするとよい。
【0041】
また、図4及び図7に示す検出回路において、抵抗体13と導電体14とが同時に2箇所以上で接触すると、予期せぬ座標値を出力してしまうことがある。
そこで、制御部23は、図8に示すように、例えば、V点で接触したと検出したときは、V点の両側の電極A、Bをローレベルにして、他の電極C,Dをハイレベルにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D1に入力される電圧値を得る。
アナログ電圧入力端子A/D1に入力される電圧値がローレベルであれば、1カ所だけの接触なので、そのまま検出結果を次段に出力し、ローレベルでなければ、複数箇所接触しているので、V点の位置データは無効と判断して、検出結果は次段に出力しないようにするとよい。
【0042】
次に、本発明の入力装置の第2の実施の形態を、図9〜図14に基づいて説明する。
図中、第1の実施の形態と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本発明の入力装置の第2の実施の形態は、図9に示すように、抵抗体13に替えて、下シート11に印刷形成された抵抗体24を備え、導電体14に替えて、上シート12に印刷形成された抵抗体25を備えている。
この抵抗体24は、図10に示すように、180度間隔に電極A,Cを有し、抵抗体25は、図11に示すように、抵抗体24の電極A,Cとそれぞれ90度異なる位置に電極B,Dを有している。
【0043】
また、この検出回路は、図12に示すように、制御部23は、電極A,B,C,Dに駆動電圧を供給する4つの電圧出力端子OUTA,OUTB,OUTC,OUTDと、電極Aに接続されたアナログ電圧入力端子A/D1と,電極Bに接続されたアナログ電圧入力端子A/D2とを有している。
この制御部23は、電圧出力端子OUTA,OUTCにローレベルの電圧を出力し、電圧出力端子OUTBにハイレベルの電圧を出力するストップモード(図13に等価回路図を示す)と、電極A−C間又は電極B−Dに電圧を印加する通常モード(図14に等価回路図を示す)との2つのモードを切り替えることが可能になっている。
そして、ストップモードのときに、アナログ電圧入力端子A/D2に入力される電圧が変化したときに、通常モードになり、通常モードのときに、アナログ電圧入力端子A/D1及びA/D2に入力されるアナログ電圧値が、共に一定時間所定のパターンになったときにストップモードになるように構成されている。
【0044】
制御部23の電源をオンしたときからストップモード時の動作は、前述した第1の実施の形態の第1の回路と同様であるので、説明を省略する。
制御部23の通常モード時の動作は、
(1)電圧出力端子OUTAにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTCにローレベルの電圧を出力し、他の電圧出力端子OUTB,OUTDはオープンにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D2に入力されるアナログ電圧値を得る。
(2)電圧出力端子OUTBにハイレベルの電圧を出力すると共に、電圧出力端子OUTDにローレベルの電圧を出力し、他の電圧出力端子OUTA,OUTCはオープンにする。そして、アナログ電圧入力端子A/D1に入力されるアナログ電圧値を得る。
以上の2通りの動作を繰り返して行っている。
【0045】
この構成としたことで、キートップ17が強く押圧されて、抵抗体24と抵抗体25が面接触を起こしたときには、従来例である導電体83と抵抗体82の面接触でなく、抵抗体24と抵抗体25の面接触であるので、抵抗体24及び抵抗体25の電極間の抵抗値の変化量が従来より、理論上は約1/2となり、従来よりも誤差の少ないアナログ電圧が制御部23に入力され、この電圧値によって座標値が検出されるので、検出誤差の少ない入力装置になる。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の入力装置は、90度間隔で順に第1〜第4の電極が設けられた環状の抵抗体が上面に形成された下シートと、前記下シートと間隔を持って載置され、下面に前記抵抗体の一部に接触可能な環状の導電体が形成された上シートと、前記上シートの表面に当接する凸状の弾性体が形成され、この弾性体の中央部が前記導電体の環状の中心に配置された操作部とを有し、前記導電体からアナログ電圧を出力する入力部、および、前記第1〜第4の電極に駆動電圧を供給するための第1〜第4の電圧出力端子と、前記アナログ電圧を入力する第1のアナログ電圧入力端子とを有し、前記アナログ電圧入力端子に入力されたアナログ電圧値を演算処理して前記抵抗体と前記導電体との接触位置を検出する制御部を備え、前記操作部を下方に操作することにより、前記操作部を傾斜させ、前記弾性体を撓ませて、前記抵抗体と前記導電体とを接触させ、前記操作部の操作位置を検出するような構成としたので、抵抗体と導電体とが上下のフィルム内だけで構成されているので、一体に形成でき、コストダウンができると共に、汚れたり、腐食したりしにくく、信頼性が高く、長寿命である。
また、前記制御部には、前記導電体を所定電圧にプルアップするためのプルアップ端子が設けられ、前記制御部は、前記第1〜第4の電圧出力端子をローレベルとし、前記プルアップ端子を前記所定電圧にする第1のモード、又は、前記第1〜第4の電圧出力端子のうちのいずれか2つの端子間に電圧を出力すると共に前記プルアップ端子をローレベルとする第2のモードに切り替えられるように構成し、前記第1のモードのとき、前記第1のアナログ電圧入力端子に入力される電圧が変化したときに前記第2のモードに切り替わり、前記第2のモードのとき、前記第1のアナログ電圧入力端子に入力される電圧が一定時間変化しないときに前記第1のモードに切り替わるように構成したので、制御部は、操作部が一定時間操作されていないときには第1のモードになり、抵抗体に電圧を印加しないので、電力の消費を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の入力装置の第1の実施の形態の断面図である。
【図2】本発明の入力装置の第1の実施の形態の抵抗体の平面図である。
【図3】本発明の入力装置の第1の実施の形態の導電体の平面図である。
【図4】本発明の入力装置の第1の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する第1の回路の回路図である。
【図5】本発明の入力装置の第1の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する第1の回路のストップモード時の等価回路図である。
【図6】本発明の入力装置の第1の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する第1の回路の通常モード時の等価回路図である。
【図7】本発明の入力装置の第1の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する第2の回路の回路図である。
【図8】本発明の入力装置の第1の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する回路の抵抗体と導電体が2箇所で接触していないかを確認する回路図である。
【図9】本発明の入力装置の第2の実施の形態の断面図である。
【図10】本発明の入力装置の第2の実施の形態の抵抗体の平面図である。
【図11】本発明の入力装置の第2の実施の形態の抵抗体の平面図である。
【図12】本発明の入力装置の第2の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する回路の回路図である。
【図13】本発明の入力装置の第2の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する回路のストップモード時の等価回路図である。
【図14】本発明の入力装置の第2の実施の形態のキートップの操作された位置を検出する回路の通常モード時の等価回路図である。
【図15】従来から提案されている入力装置の断面図である。
【図16】従来から提案されている入力装置の抵抗体の平面図である。
【図17】従来から提案されている入力装置の導電体の平面図である。
【図18】従来から提案されている入力装置のキートップの操作された位置を検出する回路の回路図である。
【符号の説明】
11 下シート
12 上シート
13 抵抗体
14 導電体
15 スペーサ
16 弾性体
17 操作部
18 上ケース
19 押圧部
20 下部接点
21 上部接点
22 メタルドーム
23 制御部(CPU)
24、25 抵抗体
A,B,C,D 電極
A/D1、A/D2,A/D3 アナログ電圧入力端子
OUT1 プルアップ端子
OUTA、OUTB,OUTC,OUTD、OUTE、OUTF 電圧出力端子
R,R1,R2 抵抗

Claims (7)

  1. 90度間隔で順に第1〜第4の電極が設けられた環状の抵抗体が上面に形成された下シートと、前記下シートと間隔を持って載置され、下面に前記抵抗体の一部に接触可能な環状の導電体が形成された上シートと、前記上シートの表面に当接する凸状の弾性体が形成され、この弾性体の中央部が前記導電体の環状の中心に配置された操作部とを有し、前記導電体からアナログ電圧を出力する入力部、および、
    前記第1〜第4の電極に駆動電圧を供給するための第1〜第4の電圧出力端子と、前記アナログ電圧を入力する第1のアナログ電圧入力端子とを有し、前記アナログ電圧入力端子に入力されたアナログ電圧値を演算処理して前記抵抗体と前記導電体との接触位置を検出する制御部を備え、
    前記操作部を下方に操作することにより、前記操作部を傾斜させ、前記弾性体を撓ませて、前記抵抗体と前記導電体とを接触させ、前記操作部の操作位置を検出するようにし、
    前記制御部には、前記導電体を所定電圧にプルアップするためのプルアップ端子が設けられ、前記制御部は、前記第1〜第4の電圧出力端子をローレベルとし、前記プルアップ端子を前記所定電圧にする第1のモード、又は、前記第1〜第4の電圧出力端子のうちのいずれか2つの端子間に電圧を出力すると共に前記プルアップ端子をローレベルとする第2のモードに切り替えられるように構成し、前記第1のモードのとき、前記第1のアナログ電圧入力端子に入力される電圧が変化したときに前記第2のモードに切り替わり、前記第2のモードのとき、前記第1のアナログ電圧入力端子に入力される電圧が一定時間変化しないときに前記第1のモードに切り替わるように構成されたことを特徴とする入力装置。
  2. 前記制御部は、前記第1の電圧出力端子と前記第2の電圧出力端子との間、前記第2の電圧出力端子と前記第3の電圧出力端子との間、前記第3の電圧出力端子と前記第4の電圧出力端子との間、前記第4の電圧出力端子と前記第1の電圧出力端子との間、に順に電圧を印加して前記操作部の操作位置を検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  3. 前記制御部には、第5の電圧出力端子、第2のアナログ入力端子を設け、前記第2のアナログ電圧入力端子と前記第1の電圧出力端子とを接続するとともに、前記第5の電圧出力端子と前記第1の電極とを第1の抵抗を介して接続し、前記制御部は、前記第5の電圧出力端子と前記第3の電圧出力端子との間に電圧を印加し、前記第2のアナログ電圧入力端子に入力されるアナログ電圧値の変化によって、前記操作部の操作された強さを検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  4. 前記制御部には、第6の電圧出力端子、第3のアナログ入力端子を設け、前記第3のアナログ電圧入力端子と前記第4の電圧出力端子とを接続するとともに、前記第6の電圧出力端子と前記第4の電極とを第2の抵抗を介して接続し、前記制御部は、前記第2のアナログ電圧入力端子、又は、前記第5の電圧出力端子と前記第3の電圧出力端子との間に電圧を印加したときの前記第3のアナログ電圧入力端子に入力されたアナログ電圧値が所定範囲以外のときには、前記第1の電圧出力端子と第3の電圧出力端子の間、及び、前記第2の電圧出力端子と第4の電圧出力端子の間に電圧を印加しないようにしたことを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
  5. 前記制御部は、前記操作部の操作位置の検出をしたときは、前記操作位置の両側の電極に駆動電圧を供給する電圧出力端子をローレベルにすると共に、他の電極に駆動電圧を供給する電圧出力端子をハイレベルにし、前記第1のアナログ電圧入力端子に電圧が入力されたときには、前記操作位置を無効と判断するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の入力装置。
  6. 前記操作部の外周部の下方に90度間隔に押圧部を設け、前記各押圧部にそれぞれ対向して、前記上シート上にドーム状の金属からなるメタルドームを設け、前記操作部を下方に操作することにより、前記押圧部が降下して、前記メタルドームを弾性変形させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の入力装置。
  7. 前記各メタルドームにそれぞれ対向して、前記下シートと前記上シートとの間にスイッチ要素を設け、前記メタルドームが弾性変形したときに、前記スイッチ要素がオンになるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
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