JP3939049B2 - アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ蓄電池の負極材料として使用されるアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ニッケル・カドミウム蓄電池に比べて2倍以上の高い容量を有し、且つ環境適合性にも優れたニッケル・水素蓄電池が、新しいアルカリ蓄電池として注目されている。このニッケル・水素蓄電池は、各種ポータブル機器の普及を背景として、更なる高性能化が期待されている。
【0003】
ニッケル・水素蓄電池の負極に使用する水素吸蔵合金は、一般に自然酸化等によってその表面に酸化物等の被膜が形成されている。このような水素吸蔵合金を用いて水素吸蔵合金電極を作成し、この水素吸蔵合金電極をニッケル・水素蓄電池の負極に使用すると、その初期における水素吸蔵合金の活性度が低いため初期における電池容量が低くなる等の問題があった。
【0004】
このため、近年において、特開平5-225975号公報に開示されているように、水素吸蔵合金を塩酸等の酸性溶液中に浸漬して、水素吸蔵合金の表面における酸化被膜を除去する方法が提案されている。
【0005】
上記方法によれば、水素吸蔵合金を酸性溶液中に浸漬して、この水素吸蔵合金の表面における酸化被膜等を除去するが、ニッケル及びコバルトは溶出しにくいので、水素吸蔵合金の表面には活性な金属ニッケル(Ni)、金属コバルト(Co)等の部位が出現する。
【0006】
上記の方法で酸化被膜を除去することにより、表面に活性な金属ニッケル、金属コバルト等の部位が出現し、初期放電容量は増加する。そして、合金粉末同士の電気的な接触抵抗が低減するため、高率放電容量は若干向上する。しかしながら、水素吸蔵合金粒子同士の接触抵抗は依然として大きく、高率放電容量の大幅な改善までには至っていない。また、電池内圧上昇の抑制、充放電サイクル寿命の改善には至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、充放電サイクルの寿命特性に優れ、過充電時の電池内圧の上昇を抑制することができ、且つ高率放電特性を向上させることができる水素吸蔵合金電極に用いることができるアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の水素吸蔵合金の製造方法は、 CaCu 5 型結晶構造を有し、組成式 MmNi x Co y Mn z 1-z 〔式中Mはアルミニウム( Al )及び銅( Cu )から選ばれた少なくとも一種の元素、xはニッケル( Ni )の組成比率であって 3.0 ≦x≦ 5.2 を満足し、yはコバルト( Co )の組成比率であって0≦y≦ 1.2 を満足し、zはマンガン( Mn )の組成比率であって 0.1 ≦z≦ 0.9 を満足し、x、y、zの合計値が 4.4 ≦x+y+z≦ 5.4 を満足する。〕で表される合金粒子を準備する第1ステップと、合金粒子に対してそれぞれ 0.1 5.0 重量%のコバルト化合物及び銅化合物を含有する酸性処理溶液に合金粒子を浸漬して処理し、合金粒子表面の酸化物を除去すると共に、コバルト及び銅を還元析出させることにより、合金粒子の表面に表面領域を形成する第2ステップとを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明において、表面領域及びバルク領域におけるCo原子及びCu原子の存在比率は、atm%として表すことができる。
【0010】
本発明において、バルク領域は、上述のように、CaCu5型結晶構造を有し且つ組成が実質的に一定な領域である。また表面領域は、このバルク領域の周囲に位置し且つ組成が変化している領域である。この表面領域は、後述する本発明の製造方法に従い水素吸蔵合金粒子を酸性処理溶液に浸漬して処理する場合には、この処理により組成の変化を受ける領域である。この処理により、合金粒子表面の酸化物が除去されると共に、コバルト及び銅が還元析出するので、バルク領域に比べコバルト原子及び銅原子が多量に含有されいてる。上述のように、表面領域におけるコバルト原子及び銅原子の存在比率の和をaとし、バルク領域におけるコバルト原子及び銅原子の存在比率の和をbとすると、a/b≧1.3となる関係を有する。a/bが1.3より小さくなると、水素吸蔵合金粒子同士の接触抵抗を小さくし、放電容量を増加させて、充放電サイクルの寿命特性を改善するという本発明の効果を得ることができない。また、過充電時の電池内圧の上昇を抑制し、且つ高率放電特性を向上させるという本発明の効果を得ることができない。
【0011】
本発明においては、組成が実質的に一定であるバルク領域と比較して組成が異なっている表面近傍の領域を表面領域として定める。一般に、表面領域においては、表面に向かうにつれてコバルト原子及び銅原子の存在比率が高まるような濃度勾配が認められる。従って、上記表面領域における存在比率の和aは、表面領域における平均値として定められる値である。通常、表面領域の深さ方向の中間点における存在比率が平均値に近くなっているので、この中間点の存在比率を測定し、表面領域におけるコバルト原子及び銅原子の存在比率とすることができる。
【0013】
表面領域の表面からの深さは、一般には表面から80nmまでの深さである。
【0016】
第1ステップでは、上記結晶構造を有し、且つ上記組成式で表される合金粒子を準備する。一般には希土類元素の混合物であるミッシュメタルに所定の金属を混合して調製する。その製造方法は特に限定されるものではなく、インゴットを作製した後これを粉砕して調製してもよいし、ガスアトマイズ法やロール急冷法等により調製してもよい。焼結しやすい、合金粒子を得るという観点からは、ガスアトマイズ法が好ましく採用される。
【0017】
第2ステップにおいては、合金粒子に対してそれぞれ0.1〜5.0重量%のコバルト化合物及び銅化合物を含有する酸性処理溶液に合金粒子を浸漬して処理する。この処理により、合金粒子表面の酸化物を除去すると共に、コバルト及び銅を還元析出させ、合金粒子の表面に表面領域を形成する。酸性処理溶液中に用いられる酸としては、塩酸、硝酸、リン酸が例示される。
【0018】
酸性処理溶液に添加するコバルト化合物及び銅化合物としては、塩化コバルト(CoCl2)、水酸化コバルト(Co(OH)2)、塩化銅(CuCl2)、水酸化銅(Cu(OH)2)が例示される。
【0019】
酸性処理溶液に含有されるコバルト化合物及び銅化合物の濃度は、ぞれぞれ0.1〜5.0重量%である。コバルト化合物及び銅化合物の各含有量を0.1〜5.0重量%に規定しているのは、含有量が5.0重量%より多くなると、析出するコバルト及び銅の量が過剰になり、合金粒子が酸化されやすくなるからである。また0.1重量%未満となると、析出するコバルト及び銅の量が少なくなり、a/b≧1.3とするのが容易でなくなるからである。更に好ましいコバルト化合物及び銅化合物の含有量は、0.3〜5.0重量%である。
【0020】
酸性処理溶液の好適な初期pHは、0.7〜2.0の範囲である。pHが0.7より低くなると、合金粒子の酸化が急激に生じ、水素吸蔵合金の内部まで溶解されてしまう場合がある。また、pHが2.0より高くなると、酸化物の被膜が十分に除去されない場合がある。
【0021】
酸性処理溶液中には、更に2,2'-ビピリジル、ジエチルジチオカルバミン酸塩、2-メルカプトベンゾチアゾール及びメタニルイエローからなるグループより選ばれる少なくとも一種の有機添加剤が含有されていてもよい。このような有機添加剤が添加されることにより、コバルト及び銅の還元析出を促進させることができる。このような有機添加剤の好ましい含有量は、5〜50ppmである。このような範囲にすることによって、電池特性を更に向上させることができる。
【0022】
本発明のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法は、上記本発明の方法により製造された水素吸蔵合金をパンチングメタルなどの導電性芯体に充填することを特徴としている。
【0023】
【実施の形態】
以下、本発明の実施例を比較例と共に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0024】
図1は、本発明の水素吸蔵合金粒子を説明するための模式的断面図である。水素吸蔵合金粒子1は、バルク領域3と、バルク領域3の周囲に位置する表面領域2とから構成されている。表面領域2の深さは、図1に示すように、必ずしも均一ではなく、場所に応じて深さが変動している。表面領域2は、一般にその表面から深さ80nmまでの領域である場合が多い。
【0025】
本発明においては、表面領域2におけるコバルト原子4及び銅原子5の存在比率(atm%)の和をaとし、バルク領域3におけるコバルト原子4′及び銅原子5′の存在比率(atm%)の和をbとした場合に、その比率a/bが、a/b≧1.3となる関係を有している。
【0026】
バルク領域3は、CaCu5型結晶構造を有し且つ組成が実質的に一定な領域である。また、表面領域2は、上記酸性処理溶液により処理された領域であり、バルク領域3と異なる組成を有する領域である。一般的に、表面領域2においては、表面に向かうにつれてコバルト原子4及び銅原子5の存在比率が高くなるような濃度勾配を有している。従って、表面領域2におけるコバルト原子4及び銅原子5の存在比率(atm%)は、表面領域2内の平均値として求める。一般には、表面領域2の深さの中間点付近における、コバルト原子4及び銅原子5の存在比率を求め、これを平均値とすることができる。表面領域2内の複数箇所を測定してコバルト原子4及び銅原子5の存在比率を求めることが好ましい。
【0027】
(実験1)
この実験1では、アルカリ蓄電池に使用される水素吸蔵合金において、表面領域でのコバルト原子及び銅原子の存在比率(atm%)の和aを求めると共に、各水素吸蔵合金の内部のバルク領域におけるコバルト原子及び銅原子の存在比率(atm%)の和bを求めた。そして、a/bを算出し、電池特性との関係について検討した。
【0028】
以下に、合金粒子の作製、各試料の準備、アルカリ蓄電池の組立、詳細な分析という順序で説明する。
【0029】
〔MmNi3.1Co0.9Mn0.6Al0.4合金粒子の作製〕
出発材料として、Mm(ミッシュメタルMmは希土類元素の混合物であって、La:25重量%、Ce:50重量%、Pr:7重量%、Nd:18重量%)、Ni、Co、Mn、Al(各元素材料は純度99.9%の金属単体を使用)を、モル比1.0:3.1:0.9:0.6:0.4の割合で混合し、アルゴン雰囲気のアーク溶解炉で溶解させた後、自然放冷して、組成式MmNi3.1Co0.9Mn0.6Al0.4で表されインゴットを作製した。このインゴットを空気中で機械的に粉砕し、平均粒径80μmに調整し、合金粒子とした。
【0030】
〔試料A1〜A6及び試料X〕
塩酸水溶液に、コバルト化合物である塩化コバルト(CoCl2)を、処理する合金粒子の重量に対して0.1重量%となるように添加し、更に銅化合物である塩化銅(CuCl2)を、処理する合金粒子の重量に対して表1に示す添加量となるように添加し、pH1.0の酸性処理溶液を調製した。25℃に保ったこの酸性処理溶液に、上記合金粒子を浸漬し、30分間攪拌処理した後、吸引濾過した。濾過後、水洗乾燥し、水素吸蔵合金として試料A1〜A6を得た。
【0031】
比較例として、塩化コバルト及び塩化銅を含有していないpH1.0の塩酸水溶液を調製し、25℃に保ったこの塩酸水溶液中に、上記合金粒子を浸漬し、30分間攪拌処理した。吸引濾過した後、水洗乾燥し、水素吸蔵合金として比較試料Xを得た。
【0032】
〔電池の組立〕
上記で作製した各水素吸蔵合金100重量部と、結着材としてのPEO(ポリエチレンオキサイド)5重量%の水溶液20重量部とを混合して、ペーストを調製し、このペーストを、ニッケル鍍金が施されたバンチングメタルからなる導電性芯体の両面に塗着(充填)し、室温で乾燥した後、所定の寸法に切断して、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極を作製した。
【0033】
この水素吸蔵合金電極を負極に使用して、AAサイズの正極支配型のアルカリ蓄電池(電池容量1000mAh)を作製した。正極として、従来公知の焼結式ニッケル極を、セパレータとして耐アルカリ性の不織布を、また、電解液として30重量%水酸化カリウム水溶液をそれぞれ使用した。
【0034】
図2は、組み立てたアルカリ蓄電池の模式断面図であり、正極11、負極12、セパレータ13、正極リード14、負極リード15、正極外部端子16、負極缶17、封口蓋18などからなる。
【0035】
上記正極11及び負極12は、セパレータ13を介して渦巻き状に巻き取られた状態で負極缶17内に収容されており、正極11は正極リード14を介して封口蓋18に、また負極12は負極リード15を介して、負極缶17に接続されている。負極缶17と封蓄蓋18との接合部には、絶縁性のパッキング20が装着されて電池の密閉化がなされている。正極外部端子16と封口蓋18との間には、コイルスプリング19が設けられ、電池内圧が異常に上昇した時に圧縮されて電池内部のガスを大気中に放出し得るようになっている。
【0036】
〔詳細な分析〕
試料A1〜A6及び比較試料Xの水素吸蔵合金粒子中における、各原子の存在比率を走査透過型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析計を用いて測定した。ここで各原子の存在比率とは、測定した部分において、走査透過型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析計により、検出された全金属原子の総数に対する各原子の存在数の比であり、atm%の単位で示される。
【0037】
測定試料としては、各合金粒子をスライスしたものを用いた。合金粒子の中央に位置し、CaCu5型結晶構造を有し且つ組成が実質的に一定な部分をバルク領域として定め、その周囲に位置し組成が変化している領域を表面領域として定めた。表面領域における各原子の存在比率は、上述のように表面領域の深さ方向の中間点で測定した値を採用した。
【0038】
以上のようにして、表面領域のコバルト原子及び銅原子の存在比率及びこれらの和aを求め、またバルク領域のコバルト原子及び銅原子の存在比率及びこれらの和bを求めて、a/bを算出した。
【0039】
具体的には、例えば試料A1では、表面領域において、コバルト原子の存在比率は17.1atm%、銅原子の存在比率は2.3atm%であり、その和aは19.4atm%であった。一方、バルク領域において、コバルト原子の存在比率は14.9atm%、銅原子の存在比率は0atm%(即ち銅原子は含まれていなかった)であり、その和bは14.9atm%であった。従って、a/bは1.30であった。
【0040】
〔特性の評価〕
各電池の500サイクル目の放電容量を求めた。各電池を常温で、電流0.2Cで6時間充電した後、電流0.2Cで1.0Vまで放電するサイクルを500回繰り返し、再度充電を行い、501サイクル目の放電容量(mAh)を実測し、500サイクル後の放電容量とした。
【0041】
電池内圧特性は、以下のように測定した。即ち、各電池を、25℃にて電流1.0Cで充電を行い電池内圧を測定し、電池内圧が10kgf/cm2に達するまでの充電時間を測定し、内圧特性(min)とした。
【0042】
高率放電容量は以下のようにして測定した。即ち、活性化後の各電池を常温にて電流0.2Cで6時間充電した後、電流6.0Cで1.0Vまで放電し、その容量(mAh)を測定し、高率放電容量とした。
【0043】
表1に試料A1〜A6及び比較試料Xを用いた各電池の、組成比a/b、500サイクル後の放電容量、内圧特性、及び高率放電特性の測定結果をそれぞれ示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003939049
【0045】
コバルト化合物であるCoCl2及び銅化合物であるCuCl2を添加した塩酸水溶液中で処理を行った本発明に従う試料A1〜A6では、表面領域におけるコバルト原子、銅原子の存在比率の和aとバルク領域におけるそれら原子の存在比率の和bの比、即ちa/bは、いずれもa/b≧1.3となっている。
【0046】
一方、比較試料Xにおけるa/bの値は1.28である。
【0047】
更に、a/b≧1.3となる試料A1〜A6を用いた電池では、いずれも500サイクル後の放電容量、高率放電容量が比較試料Xよりも大きい値となっている。更に、内圧特性も優れたものであることが理解できる。
【0048】
次に、酸性処理溶液における塩化コバルト(CoCl2)の含有量を、処理する合金粒子の重量に対して、0.5重量%、1.0重量%、3.0重量%、5.0重量%及び7.0重量%と変化させ、塩化コバルトの添加量が与える影響について検討した。
【0049】
表2に示すように、試料B1〜B6は塩化コバルトが0.5重量%の場合であり、試料C1〜C6は塩化コバルトが1.0重量%の場合であり、試料D1〜D6は塩化コバルトが3.0重量%の場合であり、試料E1〜E6は塩化コバルトが5.0重量%の場合であり、試料F1〜F6は塩化コバルトが7.0重量%の場合である。
【0050】
各試料の組成比a/b、並びに各電池の500サイクル後の放電容量、内圧特性、及び高率放電容量の測定結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 0003939049
【0052】
表2に示す結果から明らかなように、塩化銅の添加量が0.1〜5.0重量%である、試料B1〜B5、試料C1〜C5、試料D1〜D5、試料E1〜E5、試料F1〜F5を用いた各電池では、500サイクル後の放電容量が740mAh以上であり、大きな値を示している。また、高率放電容量も795mAh以上と高い値を示している。従って、塩化コバルトの添加量としては、特に0.1〜5.0重量%の範囲が好ましいことがわかる。
【0053】
また、表1の結果を考慮すると、コバルト化合物及び銅化合物のいずれの添加量も0.1〜5.0重量%の範囲が好ましいことがわかる。
【0054】
上記実験1では、コバルト化合物として塩化コバルトを用い、銅化合物として塩化銅を用いたが、他のコバルト化合物である水酸化コバルト(Co(OH)2)や、水酸化銅(Cu(OH)2)などを用いても同様である。
【0055】
また、上記実験1では、水素吸蔵合金の作製工程であるステップ2において、酸性処理溶液として、塩酸水溶液を使用したが、硝酸またはリン酸であっても同様の傾向が観察される。
【0056】
(実験2)
この実験2では、第2ステップにおいて酸性処理溶液に添加する塩酸の添加量を変化させ、酸性処理溶液のpHを変化させて、電池特性との関係について検討した。尚、コバルト化合物としては塩化コバルトを用い、銅化合物としては塩化銅を用いている。
【0057】
まず、処理される合金粒子の重量に対して表2に示すような添加量となるように塩化コバルト及び塩化銅を添加し、且つ表2に示すような0.3〜2.5の範囲のpHとなるように塩酸が添加された塩酸水溶液を調製した。上記実験1で準備した合金粒子を、この塩酸水溶液中に浸漬し、30分間攪拌処理した。吸引濾過後、水洗乾燥した。試料G1〜G5は各塩化物の添加量が0.5重量%であり、試料H1〜H5は各塩化物の添加量が1.0重量%であり、試料J1〜J5は各塩化物の添加量が3.0重量%であり、試料K1〜K5は各塩化物の添加量が5.0重量%である。これらの試料を用いて、上記実験1と同様にして電池を作製した。各電池の500サイクル後の放電容量、内圧特性、及び高率放電容量の測定結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
Figure 0003939049
【0059】
表3に示す結果から明らかなように、pHが0.7〜2.0の範囲内である酸性処理溶液を用いて処理した試料G2〜G4、試料H2〜H4、試料J2〜J4、及び試料K2〜K4を用いた電池においては、500サイクル後の放電容量が780mAh以上であり、高率放電容量も805mAh以上の高い値を示している。従って、酸性処理溶液のpHとしては、特に0.7〜2.0の範囲が好ましいことがわかる。
【0060】
尚、上記実験2では、ステップ2において、酸性処理溶液として塩酸水溶液を使用したが、硝酸またはリン酸を用いた場合であっても同様の傾向が観察される。
【0061】
また、上記実験2では、コバルト化合物として塩化コバルトを用いたが、水酸化コバルトを用いてもよい。また、銅化合物としては、塩化銅を用いたが、水酸化銅などその他の銅化合物を用いてもよい。
【0062】
(実験3)
この実験3では、第2ステップにおける酸性処理溶液に、有機添加剤である2,2'-ビピリジルを添加し、この添加量を変化させ、電池特性との関係について検討した。尚、コバルト化合物としては塩化コバルトを用い、銅化合物としては塩化銅を用いた。
【0063】
まず、塩化コバルト及び塩化銅を、処理する合金粒子の重量に対してそれぞれ1.0重量%または3.0重量%となるように含有し、且つ2,2'-ビピリジルが、処理する合金粒子の重量に対して表4に示すような添加量となるように添加されたpH1.0の塩酸水溶液を調製した。上記実験1で準備した合金粒子を、各塩酸水溶液中に浸漬し、30分間攪拌処理し、吸引濾過した後、水洗乾燥した。以上のようにして、試料L1〜L6及び試料M1〜M6を得た。これらの試料を用いて上記実験1と同様にして電池を作製した。
【0064】
各電池について、500サイクル後の放電容量、内圧特性及び高率放電容量を上記実験1と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
Figure 0003939049
【0066】
表4に示す結果から明らかなように、有機添加剤である2,2'-ビピリジルを1.0〜50.0ppmの濃度で添加した酸性処理溶液を用いた場合に、電池特性が向上していることがわかる。また、特に有機添加剤の添加量として、5.0〜50.0ppmが好ましいことがわかる。
【0067】
上記実験3では、有機添加剤として2,2'-ビピリジルを用いたが、ジエチルジチオカルバミン酸塩、2-メルカプトベンゾチアゾール、メタニルイエローなどを使用することができ、同様の効果が期待できる。
【0068】
また、上記各実験では、アルゴン雰囲気のアーク炉で溶解した後、粉砕して準備した合金粒子を用いたが、ガスアトマイズ法やロール急冷法等により作製した合金粒子でも同様の効果が得られた。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、合金粒子表面の活性を維持することができると共に、合金粒子間の導電性を向上させることができる。このような合金粒子を用いて電極を作製し、ニッケル・水素蓄電池の負極に用いることにより、充放電サイクルの寿命特性に優れ、過充電時の電池内圧の上昇を抑制することができ、且つ高率放電特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素吸蔵合金粒子を示す略式的断面図である。
【図2】アルカリ蓄電池を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 水素吸蔵合金粒子
2 表面領域
3 バルク領域
4、4’ コバルト原子
5、5’ 銅原子
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 正極リード
15 負極リード
16 正極外部端子
17 負極缶
18 封口蓋
19 コイルスプリング
20 パッキング

Claims (7)

  1. CaCu 5 型結晶構造を有し、組成式 MmNi x Co y Mn z 1-z 〔式中M
    はアルミニウム( Al )及び銅( Cu )から選ばれた少なくとも一種の元素、xはニッケル( Ni )の組成比率であって 3.0 ≦x≦ 5.2 を満足し、yはコバルト( Co )の組成比率であって0≦y≦ 1.2 を満足し、zはマンガン( Mn )の組成比率であって 0.1 ≦z≦ 0.9 を満足し、x、y、zの合計値が 4.4 ≦x+y+z≦ 5.4 を満足する。〕で表される合金粒子を準備する第1ステップと、
    前記合金粒子に対してそれぞれ 0.1 5.0 重量%のコバルト化合物及び銅化合物を含有する酸性処理溶液に前記合金粒子を浸漬して処理し、前記合金粒子表面の酸化物を除去すると共に、コバルト及び銅を還元析出させることにより、前記合金粒子の表面に表面領域を形成する第2ステップとを備えるアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  2. 前記表面領域の内側が、 CaCu 5 型結晶構造を有し且つ組成が
    実質的に一定であるバルク領域であり、前記表面領域におけるコバルト( Co )原子及び銅( Cu )原子の存在比率の和をaとし、前記バルク領域におけるコバルト( Co )原子及び銅( Cu )原子の存在比率の和をbとした場合に、a/b≧ 1.3 となる関係を有する請求項1に記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  3. 前記酸性処理溶液中に、更に 2,2'- ビピリジル、ジエチルジ
    チオカルバミン酸塩、 2- メルカプトベンゾチアゾール及びメタニルイエローからなるグループより選ばれる少なくとも一種の有機添加剤が含有されている請求項1に記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  4. 前記酸性処理溶液中の前記有機添加剤の含有量が5〜 50ppm の範囲である請求項に記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  5. 前記酸性処理溶液の pH 0.7 2.0 である請求項1に記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  6. 前記第1ステップにおいて、合金粒子がガスアトマイズ法により準備される請求項1に記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  7. 請求項1に記載の方法により製造された水素吸蔵合金を、導電性芯体に充填するアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極の製造方法。
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