JP3938884B2 - 虹彩色転写フイルム及びそれを使用して得る虹彩色成形品 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、見る角度によって色が変化するいわゆる虹彩色を呈する成形品、及びそれを得るのに使用する虹彩色転写フイルムに関し、さらに詳細には、透明基材の片面に虹彩色を付与する虹彩層が形成された成形品であって、虹彩層側で反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかで意匠性に優れ、さらには虹彩層の各層間の密着性が良好で、高温、高湿度の環境下でも該密着性の低下や外観の変化がなく、また製造ロット間での虹彩色の色調のばらつきが小さく、オーディオ製品の窓、サングラス、ゴーグル、テレビ等の電化製品の筐体等に使用すれば特に有益な、虹彩色成形品、及びそれを得るのに使用する虹彩色転写フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーディオ製品の窓、サングラス等に使用され、透明なプラスチックやガラス等の透明基材に、虹彩色を付与する虹彩層として基材よりも屈折率の高いZnS(硫化亜鉛)等の薄膜層が1層のみ形成された、虹彩色を呈する成形品が知られている。
そして、上記虹彩色成形品は、通常、成形品にZnS等の薄膜層を直接スパッタリング蒸着することにより生産されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の虹彩色成形品には以下に示す欠点があった。
▲1▼虹彩層側で反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、しかも反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色ではあったが、虹彩層がZnS薄膜層等の1層のみで形成されているので、反射光の虹彩色、及び透過光の虹彩色が鮮やかさに欠けていて意匠性に乏しかった。
▲2▼透明基材にZnS等の薄膜層を直接スパッタリング蒸着することにより生産されているので、成膜速度が遅く生産性が非常に悪く、コストも高くついた。
▲3▼透明基材にZnS等の薄膜層が直接形成されているので、透明基材とZnS等の薄膜層との密着が悪かった。
▲4▼また、ZnS等の薄膜層の上に耐擦傷性等を目的として保護層を形成しようとすると、ZnS等の薄膜層を形成した後、わざわざ別工程で保護層を形成しなければならず、さらに生産性が悪くなるという問題があった。
▲5▼虹彩層は、上記の形成方法により成形品に形成されるため、全面に形成されていて、成形品の任意部分に形成することはできなかった。
【0004】
そして、出願人は、上記全ての欠点を除去したものであり、反射光の色、及び透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかで意匠性に優れ、透明基材と虹彩層間の密着性も良好な虹彩色成形品と、該虹彩色成形品を生産性よく、しかも低コストで生産するための虹彩色転写フイルムの発明を、既に特許出願した(特願2001−188188号)。
上記発明の虹彩色転写フイルム、及び虹彩色成形品の具体的構成は、
(A)プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、低屈折率薄膜層の両面に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、接着層が順次形成されている虹彩色転写フイルム。
(B)高屈折率薄膜層がZnS薄膜層であり、かつ低屈折率薄膜層がSiO薄膜層である上記(A)記載の虹彩色転写フイルム。
(C)上記(A)記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、低屈折率薄膜層の両面に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、保護層が順次形成されている虹彩色成形品。
(D)上記(B)記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、SiO薄膜層の両面にZnS薄膜層が形成されている虹彩層、保護層が順次形成されている虹彩色成形品。
である。
【0005】
しかし、上記(A)、及び(B)の虹彩色転写フイルムを使用して得た上記(C)、及び(D)の虹彩色成形品には、以下に示す欠点があった。
▲1▼従来の虹彩色成形品に比べると透明基材と虹彩層間の密着性は良好であったが、虹彩層の各層間の密着性、すなわち低屈折率薄膜層とその両面に形成されている高屈折率薄膜層との密着性がやや悪いという欠点があった。
▲2▼また、高温、高湿度の環境下での耐久性を評価する高温高湿耐久試験(温度65℃、湿度95%の雰囲気に24時間放置する試験)をおこなった後に、虹彩層の各層間の密着性が該試験前の密着性より低下する欠点があり、また虹彩色の色調変化、クラックの発生、腐食の発生などの外観変化を生じる場合があった。
▲3▼製造ロット間での虹彩色の色調にばらつきがあり、やや製造安定性に欠けるという問題があった。
ここで、虹彩色の色調のばらつきとは、具体的には、例えば垂直反射光の青色が、少し赤みを帯びた青色や少し緑色を帯びた青色に変化する程度のばらつきをいい、この程度のばらつきは通常問題とはならない場合が多いが、虹彩色の色調のばらつきに厳しい用途に使用する場合には問題となるものをいう。
本発明は、上記全ての欠点を除去したものであり、虹彩層側で反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかで、意匠性に非常に優れたものとなるとともに、虹彩層の各層間の密着性が良好で、高温高湿耐久試験後にも該密着性の低下や外観変化が生じることのない高温高湿耐久性に優れたものであり、さらには製造ロット間での虹彩色の色調のばらつきが小さい虹彩色成形品、及びそれに使用する虹彩色転写フイルムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、接着層が順次形成されている虹彩色転写フイルムにおいて、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されていること、及び金属薄膜層の厚さが0.5〜5nmであることを特徴とする虹彩色転写フイルムである。
(2)本発明は、虹彩層が、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層、金属薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものである上記(1)記載の虹彩色転写フイルムである。
(3)本発明は、虹彩層が、保護層側から高屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものである上記(1)記載の虹彩色転写フイルムである。
(4)本発明は、金属薄膜層が、Cr薄膜層である上記(1)〜(3)何れかに記載の虹彩色転写フイルムである。
(5)本発明は、上記(1)記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、保護層が順次形成されており、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されていること、及び金属薄膜層の厚さが0.5〜5nmであることを特徴とする虹彩色成形品である。
(6)本発明は、上記(2)記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、ZnS薄膜層/金属薄膜層/SiO薄膜層/金属薄膜層/ZnS薄膜層からなる虹彩層、保護層が順次形成されていることを特徴とする虹彩色成形品である。
(7)本発明は、上記(3)記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、ZnS薄膜層,金属薄膜層、SiO薄膜層、SiO薄膜層、保護層が順次形成されていることを特徴とする虹彩色成形品である。
(8)本発明は、上記(4)記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、金属薄膜層がCr薄膜層である上記(5)〜(7)何れかに記載の虹彩色成形品である。
【0007】
本発明の虹彩色転写フイルムは、プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、接着層が順次形成されている虹彩色転写フイルムにおいて、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されているので、本発明の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得た本発明の虹彩色成形品は、虹彩層側で反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかで、意匠性に非常に優れたものとなるとともに、虹彩層の各層間の密着性が良好で、高温高湿耐久試験後にも該密着性が低下したり、虹彩色の色調の変化、クラックの発生、腐食の発生などの外観変化を生じることがない、優れた高温高湿耐久性を有するものとなるのである。
【0008】
本発明の虹彩色転写フイルムの高屈折率薄膜層をZnS薄膜層で、かつ低屈折率薄膜層をSiO薄膜層で形成しておけば、虹彩色転写フイルムの生産性等の点からより好適である。
【0009】
本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層を、保護層側から高屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものとしておけば、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る本発明の虹彩色成形品が、製造ロット間での虹彩色の色調のばらつきが小さくなり、製造安定性が向上する。
【0010】
本発明の虹彩色転写フイルムの金属薄膜層をCr薄膜層としておけば、虹彩層の各層間の密着性がより良好となり、高温高湿耐久性の点からも万全である。
【0011】
本発明の虹彩色転写フイルムは、虹彩層をスパッタリング蒸着法はもちろん、真空蒸着法でも容易に形成できるので、成膜速度が速く生産性が非常に良い。
【0012】
本発明の虹彩色転写フイルムは接着層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る本発明の虹彩色成形品は、虹彩層と透明基材との間に接着層が形成されることとなり、虹彩層と透明基材との密着性が向上する。
【0013】
本発明の虹彩色転写フイルムは、保護層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得た本発明の虹彩色成形品は、転写と同時に虹彩層上に保護層が形成されるので、わざわざ別工程で保護層を形成する必要がなく、生産性が向上する。
【0014】
また、本発明の虹彩色成形品は、本発明の虹彩色転写フイルムを使用して転写により得ることができるので、必要な時に、必要な部分に、容易に、しかも大量に生産することができ、生産性に優れている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の虹彩色成形品は、プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、接着層が順次形成されていて、しかも少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されている本発明の虹彩色転写フイルムを使用して、透明基材に転写すれば容易に得ることができる。
そして、得られた虹彩色成形品は、透明基材の片面に、接着層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、保護層が順次形成されており、しかも少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されている構成となるのである。
【0016】
本発明の虹彩色転写フイルムに使用するプラスチックフイルムは、その片面に後で述べる、離型層、保護層、虹彩層、接着層を順次形成し、このようにした虹彩色転写フイルムを透明基材に転写した後は、離型層と共に剥離されるものである。
【0017】
本発明の虹彩色転写フイルムのプラスチックフイルムは、従来転写フイルムに使用されているプラスチックフイルムであれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリアミドフイルム、ポリブチルアクリレートフイルム等が使用でき、中でも、耐熱性や強度等の点からポリエチレンテレフタレートフイルムが好ましい。
【0018】
プラスチックフイルムの厚さは、6〜100μmが好ましい。
厚さが6μmより薄いと、虹彩色転写フイルムの製造時や転写時に、該転写フイルムにしわ、カール、破れ等が発生するので好ましくない。
厚さが100μmより厚いと、転写時の熱の伝導が悪くなり、転写適性の悪化や作業性の低下を招くと共に、不経済であるので好ましくない。
従って、プラスチックフイルムの厚さは、しわ、カール、転写適性等の問題から6〜100μmが好ましい。
【0019】
本発明の虹彩色転写フイルムに形成される離型層は、通常プラスチックフイルムと保護層との間にあって、プラスチックフイルムと密着しかつ保護層との界面で剥離するものであるが、保護層と密着しかつプラスチックフイルムとの界面で剥離するものであっても構わない。
そして離型層は、虹彩色転写フイルムを透明基材に転写した後は、通常プラスチックフイルムと共に虹彩色成形品から剥離されるが、離型層がプラスチックフイルムとの界面で剥離する場合には、転写後虹彩色成形品の最表層に形成され、保護層を傷等から保護する役割を果たすものである。
【0020】
離型層に使用される樹脂は、プラスチックフイルム、又は保護層との界面で剥離する離型性を有するものであれば特に制限はなく、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックス等が使用できるが、離型性の点からメラミン系樹脂がより好ましい。
【0021】
離型層の厚さは、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは、0.1〜3μmである。
厚さが0.01μmより薄いと、離型性が低下するので好ましくない。
厚さが5μmより厚いと、離型層に塗りムラが生じるので好ましくない。
また、不経済でコスト高となり、場合によっては離型性が良すぎていわゆる箔散りが発生するので好ましくない。
従って、離型層の厚さは、離型性等の点から0.01〜5μmが好ましく、0.1〜3μmであればより万全である。
【0022】
離型層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知の方法が使用できる。
【0023】
本発明の虹彩色転写フイルムの保護層は、離型層と後で述べる虹彩層との間にあって、転写後には離型層との間で剥離して虹彩色成形品の最表層に形成され、虹彩層を傷や腐食等から保護するものである。
また、離型層がプラスチックフイルムとの界面で剥離する場合には、該転写フイルムを透明基材に転写した後は離型層と虹彩層との間に形成される。
従って、保護層は虹彩層を傷や腐食等から保護する保護性、離型層との密着性あるいは離型層との間で容易に剥離する離型性、虹彩層との密着性、虹彩層を形成する蒸着時の熱により歪やクラック等が生じない耐熱性等を有していると共に、後で述べる虹彩層の光学特性に影響を与えないことが必要である。
【0024】
保護層に使用する樹脂は、上記条件を満足するものであれば特に制限はなく、アクリル系樹脂等が使用できる。
【0025】
保護層の厚さは、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは、0.1〜3μmである。
厚さが0.01μmより薄いと、保護性や離型性が低下するので好ましくない。
厚さが5μmより厚いと、塗りムラが生じるので好ましくない。
また、不経済でコスト高となり、場合によっては虹彩層の光学特性に影響を与えるので好ましくない。
従って、保護層の厚さは、保護性や離型性等の点から0.01〜5μmが好ましく、0.1〜3μmであればより万全である。
【0026】
保護層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知の方法が使用できる。
【0027】
本発明の虹彩色転写フイルムは、保護層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得た本発明の虹彩色成形品は、転写と同時に虹彩層上に保護層が形成されるので、わざわざ別工程で保護層を形成する必要がなく、生産性が向上するものである。
【0028】
本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層は、該虹彩色転写フイルムを転写して得た本発明の虹彩色成形品が、反射光の色と、透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色となり、しかも虹彩色を非常に鮮やかにする役割を持つ。
従来の虹彩色成形品のように、虹彩層が1層で形成されていても、反射光の色と透過光の色はそれぞれ虹彩色を呈し、しかも反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色にはなるが、反射光の虹彩色、及び透過光の虹彩色はぼやけて鮮やかさに欠けており意匠性に乏しいものであった。
【0029】
そして、本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層は、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されていて、しかも少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成された構成となっている。
虹彩層を構成する各層のうち、金属薄膜層は、低屈折率薄膜層と高屈折率薄膜層間の密着性の向上を目的に形成されているものであり、透過光及び反射光の虹彩色にはほとんど影響を与えるものではない。
従って、以下虹彩層と虹彩色との関係について述べる場合は、金属薄膜層を省略して述べることとする。
【0030】
本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層は、金属薄膜層を省略すると、低屈折率薄膜層が高屈折率薄膜層でサンドイッチされた構成となっており、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層、高屈折率薄膜層の3層構成はもちろん、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層、高屈折率薄膜層の5層構成でも、それ以上の多層構成でも構わない。
ここで、高屈折率薄膜層とは、被転写物である透明基材の屈折率より高い屈折率である薄膜層のことをいい、また低屈折率薄膜層とは、高屈折率薄膜層の屈折率より低い屈折率である薄膜層のことをいう。
本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層を1層ではなく上記のような3層以上の構成としたので、上記反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が非常に鮮やかになり、意匠性に非常に優れたものとなる。
また、虹彩層は、誘導加熱方式や抵抗加熱方式等の真空蒸着法で形成できる。
従って、スパッタリング蒸着法に比較して製膜速度が非常に速く、生産性が向上する。
【0031】
前記したように、本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層は、虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得た本発明の虹彩色成形品が、虹彩層側で反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色となり、しかも虹彩色が非常に鮮やかとなるものである。
このことをさらに詳細に述べると、虹彩層側から太陽光や蛍光灯の光が入射した時、虹彩色成形品の虹彩層側で反射されて見える反射光の色は、見る角度によって、例えば虹彩色成形品の表面に対してほぼ垂直に反射された光(垂直反射光)のピンク色から、虹彩色成形品の表面に対してほぼ水平に反射された反射光(水平反射光)の黄色に至るまで連続的に色が変化する虹彩色を呈し、また虹彩層と透明基材を通過して見える光の色も、見る角度によって、虹彩色成形品の表面に対してほぼ垂直の位置で見える透過光(垂直透過光)の青緑色から、虹彩色成形品の表面に対してほぼ水平の位置で見える透過光(水平透過光)の紫色に至るまで連続的に色が変化する虹彩色を呈するのである。
従って、全体としてみれば、反射光の色はピンク色、乃至黄色の虹彩色を呈し、透過光の色は青緑色、乃至紫色の虹彩色を呈するので、反射光の虹彩色と透過光の虹彩色は異なった色調に見えるのである。
これは、見る角度によって、反射光の反射率の最大値の波長、及び透過光の透過率の最大値の波長がそれぞれ可視光領域内(波長:370〜780nm)で変化することによるが、反射光、及び透過光の上記の変化する波長範囲を制御することにより、反射光、及び透過光の虹彩色の色調を制御することができる。
そして、反射光、及び透過光の虹彩色の色調は、後で詳しく述べる高屈折率薄膜層、及び低屈折率薄膜層のそれぞれの屈折率と厚さを調整することにより、自由に、バラエティーに富んだものとすることができる。
【0032】
本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層は、低屈折率薄膜層の両面に高屈折率薄膜層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る本発明の虹彩色成形品は、反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が非常に鮮やかになる。
これは、虹彩層を上記のような3層以上の構成にすることで、虹彩層が1層の時と比較して、虹彩色成形品の反射光の反射率の値が高くなると共に、反射光のスペクトル、及び透過光のスペクトルがシャープに(スペクトル幅が狭く)なるからである。
このことをさらに詳細に述べると、例えば、透明基材として厚さ2mmで、全光線透過率の値が93%の透明アクリル板であって、該透明アクリル板の裏面(非測定面)に黒色塗装を施した後JIS−R−3106に準じて測定した場合の5°正反射の反射率の値が4%である透明アクリル板に、直接虹彩層としてZnS等の薄膜層が1層形成された従来の虹彩色成形品は、可視光領域内(波長:370〜780nm)の分光透過率(以下、単に分光透過率とする)の最大値が70%以上であり透明性は良好であるものの、可視光領域内のJIS−R−3106に準じて測定した場合の5°正反射の反射率(以下、単に反射率とする)の最大値が30%未満、最小値が10%以上であり、しかも反射光のスペクトル、及び透過光のスペクトルがなだらかでシャープではなかったので、その結果反射光の虹彩色、及び透過光の虹彩色が鮮やかとはならなかった。
これに対し、虹彩層が低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成された3層構成の虹彩層である本発明の虹彩色転写フイルムを上記の透明アクリル板に転写して得た本発明の虹彩色成形品は、分光透過率の最大値が70%以上となり、かつ反射率の最大値が30%以上、最小値が10%未満であり、しかも反射光のスペクトル、及び透過光のスペクトルがシャープとなるので、その結果反射光の虹彩色、及び透過光の虹彩色が非常に鮮やかになるのである。
そして、虹彩色転写フイルムの虹彩層を、反射率の最大値が30%以上、最小値が10%未満、分光透過率の最大値が70%以上となるような虹彩層にしておけば、虹彩色成形品の反射光の反射率、及び透過光の透過率の値も高くなり、かつ反射光のスペクトル及び透過光のスペクトルがシャープとなるので、その結果反射光の虹彩色、及び透過光の虹彩色が非常に鮮やかになるのである。
但し、本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層の構成上、反射率の最大値は、90%を超えることはなく、反射率の最小値は0%にはならず、また分光透過率の最大値は100%にはならない。
【0033】
本発明の虹彩色を呈する成形品が、反射光の色と、透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色となり、しかも虹彩色が非常に鮮やかになるためには、反射率の最大値が30%以上、最小値が10%未満、分光透過率の最大値が70%以上となるような虹彩層にしておけば良く、こうするためには本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層の高屈折率薄膜層、及び低屈折率薄膜層のそれぞれの屈折率と厚さを調整することにより達成できる。
次に高屈折率薄膜層、及び低屈折率薄膜層について詳細に述べることとする。
【0034】
高屈折率薄膜層は、低屈折率薄膜層の両面側に形成され、保護層に最も近い高屈折率薄膜層は保護層と、接着層に最も近い高屈折率薄膜層は接着層と密着するものである。
そして、高屈折率薄膜層の屈折率は、被転写物である透明基材の屈折率よりも高く、かつ低屈折率薄膜層とのバランスの点から、その値は、1.8〜2.5が好ましい。
【0035】
高屈折率薄膜層に使用できる薄膜層としては、真空蒸着法で薄膜層の形成が可能であり、高屈折率薄膜層の屈折率が1.8〜2.5の範囲となるものであり、かつ虹彩層としての目的を達成できるもの、すなわち虹彩色成形品の反射光の色と、透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ虹彩色が非常に鮮やかで、しかも反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色となることを満足するものであれば特に制限はなく、例えば、ZnS等の金属硫化物、SiO、MoO、WO、SnO、ZnO、CeO等の金属酸化物の薄膜層が使用できる。中でも、薄膜層形成の容易さの点からはZnS薄膜層が好ましい。
尚、上記金属酸化物薄膜層は、実際には屈折率に対応して酸化度合いが変化するものであり、上記該屈折率の範囲内であれば、酸化度合いが異なる金属酸化物薄膜層ももちろん本発明の高屈折率薄膜層に含まれる。
例えば上記SiO薄膜層は、酸化度合いを考慮すると、SiOx薄膜層で表現することができ、xが上記該屈折率の範囲内で変化したものである、酸化度合いの異なるSiOx薄膜層は全て本発明の高屈折率薄膜層に含まれるのである。
【0036】
また、一般的に、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを同種の金属種の薄膜層としておけば、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層間の密着性が向上するので、密着性の点だけを考慮した場合には高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層間に金属薄膜層を形成しなくてすむ。
しかし、低屈折率薄膜層とその両面側に形成されている高屈折率薄膜層の全てを上記のように同種の金属種の薄膜層とすると、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の屈折率の差が少なくなり、虹彩色成形品の透過光及び反射光が虹彩色となり難くなるのである。
従って、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層を同種の金属種の薄膜層とした虹彩層の構成は、低屈折率薄膜層の両面側にある高屈折率薄膜層のうち一方の高屈折率薄膜層を低屈折率薄膜層と同種の金属種の薄膜層とし、他方の高屈折率薄膜層を低屈折率薄膜層と異種の金属種の薄膜層とする必要がある。
そして、虹彩層の構成を上記のようにすることで、同種の金属種の薄膜層である高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層間の密着性が良好となり、さらには該両層の屈折率の値が近づく結果、該虹彩層が形成された本発明の虹彩色転写フイルムを転写して得る本発明の虹彩色成形品が製造ロット間での虹彩色の色調にばらつきが生じ難くなるのである。
上記虹彩層として例えば、高屈折率薄膜層であるSiO薄膜層/低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層/金属薄膜層/高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層の構成が上げられる。
そして上記例示の虹彩層の場合、SiO薄膜層を保護層側に、ZnS薄膜層を接着層側に形成しておいた方が、虹彩層と接着層との密着性が良好となるとともに、虹彩色転写フイルムを転写して得た虹彩色成形品が、SiO薄膜層とSiO薄膜層との相乗効果により、耐擦傷性がより向上するので好ましい。
【0037】
高屈折率薄膜層の厚さは、20〜200nmが好ましい。
厚さが、20nmより薄いと、低屈折率薄膜層の屈折率や厚さを調整しても虹彩層としての目的を達成できないので好ましくない。
厚さが、200nmより厚いと、虹彩層としての目的を達成できないばかりでなく、高屈折率薄膜層にクラックが発生したり、蒸着時の熱によるプラスチックフイルムの変形で蒸着ムラが発生したりするので好ましくない。
高屈折率薄膜層の厚さは、虹彩層の目的の達成やクラック等の点で20〜200nmが好ましい。
【0038】
低屈折率薄膜層は、その両面に高屈折率薄膜層が形成されている。
そして、低屈折率薄膜層の屈折率は、高屈折率薄膜層の屈折率よりも低く、かつ高屈折率薄膜層とのバランスの点から、その値は、1.3〜1.6が好ましい。
【0039】
低屈折率薄膜層に使用できる薄膜層としては、真空蒸着法で薄膜層の形成が可能であり、低屈折率薄膜層の屈折率が1.3〜1.6の範囲となるものであり、かつ虹彩層としての役割を果たせるものであれば特に制限はなく、例えば、AlF等の金属フッ化物、SiO、Si、Al等の金属酸化物の薄膜層が使用できる。
中でも、薄膜層形成の容易さからSiO薄膜層が好ましい。
また、低屈折率薄膜層はアクリル系樹脂等をコーティングにより形成した薄膜層であっても構わない。
尚、上記金属酸化物薄膜層は、実際には屈折率に対応して酸化度合いが変化するものであり、上記該屈折率の範囲内であれば、酸化度合いが異なる金属酸化物薄膜層ももちろん本発明の低屈折率薄膜層に含まれる。
例えば上記SiO薄膜層は、酸化度合いを考慮すると、SiOy薄膜層で表現することができ、yが上記該屈折率の範囲内で変化したものである、酸化度合いの異なるSiOy薄膜層は全て本発明の低屈折率薄膜層に含まれるのである。
【0040】
低屈折率薄膜層の厚さは、30〜300nmが好ましい。
厚さが、30nmより薄いと、高屈折率薄膜層の屈折率や厚さを調整しても虹彩層としての目的を達成できないので好ましくない。
厚さが、300nmより厚いと、虹彩層としての目的を達成できないばかりでなく、低屈折率薄膜層にクラックが発生したり、蒸着時の熱によるプラスチックフイルムの変形で蒸着ムラが発生したりするので好ましくない。
低屈折率薄膜層の厚さは、虹彩層の目的の達成やクラック等の点で30〜300nmが好ましい。
【0041】
本発明の虹彩色転写フイルムに形成する高屈折率薄膜層の種類、屈折率、及び厚さと、低屈折率薄膜層の種類、屈折率、及び厚さを適宜選択することにより、該虹彩色転写フイルムを転写して得る本発明の虹彩色成形品の反射光の虹彩色、及び透過光の虹彩色を所望の色調にすると共に鮮やかな虹彩色とすることができる。
低屈折率薄膜層の両面側に形成される高屈折率薄膜層は、薄膜層の種類、屈折率、及び厚さが、片面側と他の片面側とでそれぞれ全く異なる別の高屈折率薄膜層であっても良いが、両面側の高屈折率薄膜層を、同一の種類の薄膜層とし、かつ厚さの差異が0〜60nmの範囲の高屈折率薄膜層としておけば、本発明の虹彩色成形品の反射率の値、及び透過率の値がより高くなり、反射光のスペクトル、及び透過光のスペクトルもよりシャープになるので、その結果反射光の虹彩色や透過光の虹彩色がより鮮やかになり好ましい。
従って、低屈折率薄膜層の両面側に形成される高屈折率薄膜層は、片面側と他の片面側とでその薄膜層の種類が同一であっても、厚さの差異が60nmを超える高屈折率薄膜層であると、反射光の虹彩色や透過光の虹彩色がより鮮やかとはならない。
【0042】
金属薄膜層は、低屈折率薄膜層上と、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層との間に形成され、低屈折率薄膜層と高屈折率薄膜層間の密着性と、高温高湿耐久性を向上させるものである。
また、金属薄膜層は、透過光及び反射光の虹彩色にはほとんど影響を与えるものであってはならない。
従って、金属薄膜層の厚さは極薄にしておく必要があり、0.1〜10nmの範囲が好ましく、特に0.5〜5nmの範囲が好ましい。
厚さが0.1nmより薄いと密着性や高温高湿耐久性が向上せず、また10nmより厚いと虹彩色成形品の虹彩色が鮮やかさに欠け、場合によっては所望の虹彩色が得られなくなるので好ましくない。
また、通常金属薄膜層は、低屈折率薄膜層と、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層との間に形成しておく必要があるが、前記したように、虹彩層の構成を、低屈折率薄膜層の両面側にある高屈折率薄膜層のうち一方の高屈折率薄膜層を低屈折率薄膜層と同種の金属種の薄膜層とし、他方の高屈折率薄膜層を低屈折率薄膜層と異種の金属種の薄膜層とした場合には、同種の金属種の薄膜層である高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層間の密着性は良好になるので、特に金属薄膜層を形成しなくても構わない。
【0043】
また、金属薄膜層に使用できる薄膜層としては、真空蒸着法で薄膜層の形成が可能で、低屈折率薄膜層と高屈折率薄膜層間の密着性を向上させることができ、かつ虹彩色に影響を与えないものであれば特に制限はなく、例えば、Cr、Ni、Cu、等の薄膜層が使用できる。
中でも、密着性や高温高湿耐久性の点からCr薄膜層が好ましい。
尚、金属薄膜層は前記したように極薄であるので、一部が酸化された状態になっていると考えられるが、これら一部が酸化された状態の金属薄膜層ももちろん本発明の金属薄膜層に含まれる。
【0044】
本発明の虹彩色転写フイルムの接着層は、虹彩層の上に形成され、転写後には、成形品と虹彩層を接着する役割を担う。
本発明の虹彩色転写フイルムには接着層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る本発明の虹彩色成形品は、虹彩層と透明基材との間に接着層が形成されることとなり、虹彩層と透明基材との密着性が向上する。
【0045】
接着層に使用する樹脂は、成形品と虹彩層とを接着し、かつ本発明の虹彩色成形品の持つ虹彩色に影響を与えるものでなければ特に制限はなく、例えばアクリル系等の熱可塑性樹脂が使用できる。
【0046】
接着層の厚さは、0.1〜10μmが好ましい。
厚さが0.1μmより薄いと、密着性が得られ難いので好ましくない。
厚さが10μmより厚くても、密着力は向上せず、また不経済であり、さらに塗りムラによる外観不良が生じるので好ましくない。
従って、接着層の厚さは、密着性や塗り外観の点等から0.1〜10μmが好ましい。
【0047】
接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等の従来公知の方法が使用できる。
【0048】
本発明の虹彩色成形品は、プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、虹彩層、接着層が順次形成されている本発明の虹彩色転写フイルムを使用して、透明基材に転写すれば容易に得ることができる。
そして、得られた虹彩色成形品は、透明基材の片面に、接着層、虹彩層、保護層が順次形成された構成となるのである。
上記、虹彩層は、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されていて、しかも少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されている。
従って、本発明の虹彩色成形品は、前記したように反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかで、意匠性に非常に優れたものとなるとともに、虹彩層の各層間の密着性が良好で、高温高湿耐久性にも優れている。
さらに、虹彩層と透明基材との間に接着層が形成されているので、虹彩層と透明基材との密着性も良好である。
【0049】
薄膜層の形成の容易さの点から、高屈折率薄膜層をZnS薄膜層で、かつ低屈折率薄膜層をSiO薄膜層で形成した本発明の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得られる本発明の虹彩色成形品は、透明基材の片面に、接着層、ZnS薄膜層/金属薄膜層/SiO薄膜層/金属薄膜層/ZnS薄膜層からなる虹彩層、保護層が順次形成された構成となり、生産性等の点からより好適である。
【0050】
また、虹彩層が、保護層側から高屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものである虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品は、透明基材の片面に、接着層、ZnS薄膜層/金属薄膜層/SiO薄膜層/SiO薄膜層からなる虹彩層、保護層が順次形成された構成となり、虹彩色成形品の虹彩色の色調が、製造ロット間でばらつきが小さくなる。
【0051】
さらに、金属薄膜層をCr薄膜層とした本発明の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品は、虹彩層の各層間の密着性がより良好となり、高温高湿耐久性の点からもより万全である。
【0052】
また、本発明の虹彩色成形品は、本発明の虹彩色転写フイルムを使用して転写により得ることができるので、必要な時に、必要な部分に、容易に、しかも大量に生産することができ、生産性に優れている。
従って、本発明の虹彩色転写フイルムを使用して、透明基材の任意部分に転写すれば、部分的に虹彩色を呈した、意匠性により優れた虹彩色成形品を容易に得ることができる。
【0053】
本発明の虹彩色成形品を得るために使用する透明基材は、特に制限はなく、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂板や、ガラス板等が使用できる。
さらに、上記透明基材は、着色されていても良く、その場合には基材の色と虹彩色が相俟って、格別な意匠性を有する虹彩色成形品となる。
また、本発明の虹彩色転写フイルムは、不透明な基材にも転写でき、その場合には反射光のみが虹彩色を呈する虹彩色成形品となる。
【0054】
ここで、本発明に係る虹彩色転写フイルム、及び本発明に係る虹彩色成形品について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る虹彩色転写フイルムの一例を示す一部拡大断面図であり、プラスチックフイルム1の片面に、離型層2、保護層3、その上に高屈折率薄膜層4a、金属薄膜層4c、低屈折率薄膜層4b、金属薄膜層4c、高屈折率薄膜層4aからなる虹彩層4、接着層5が順次形成されている。
図2は、図1に示す本発明に係る虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得られた、本発明の虹彩色を呈する成形品の一例を示す一部拡大断面図であり、透明基材6の片面に、接着層5、その上に高屈折率薄膜層4a、金属薄膜層4c、低屈折率薄膜層4b、金属薄膜層4c、高屈折率薄膜層4aからなる虹彩層4、保護層3が順次形成されている。
【0055】
【実施例1】
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、メラミン系樹脂をグラビアコート法にてコーティングして、厚さ1μmの離型層を形成し、次にアクリル系樹脂をグラビアコート法にてコーティングして、離型層上に厚さ1μmの保護層を形成し、その上に真空蒸着法にて、高屈折率薄膜層として厚さ41nmのZnS薄膜層、金属薄膜層として厚さ2nmのCr薄膜層、低屈折率薄膜層として厚さ65nmのSiO薄膜層、金属薄膜層として厚さ2nmのCr薄膜層、高屈折率薄膜層として厚さ41nmのZnS薄膜層を順次形成し、さらにその上にアクリル系樹脂をグラビアコート法にてコーティングして厚さ1μmの接着層を形成し、高屈折率薄膜層が金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層の両面に形成された本発明の虹彩色転写フイルムを得た。
次に、透明基材として厚さ2mmで、全光線透過率の値が93%の透明アクリル板であって、該透明アクリル板の裏面(非測定面)に黒色塗装を施した後JIS−R−3106に準じて測定した場合の5°正反射の反射率の値が4%である透明アクリル板に、上記の本発明の虹彩色転写フイルムを転写して、透明アクリル板上に、厚さ1μmの接着層、厚さ41nmのZnS高屈折率薄膜層、厚さ2nmのCr薄膜層、厚さ65nmのSiO低屈折率薄膜層、厚さ2nmのCr薄膜層、厚さ41nmのZnS高屈折率薄膜層、厚さ1μmの保護層が順次形成された本発明の虹彩色成形品を得た。
得られた虹彩色成形品の反射率の最大値は55%(該反射率の最大値を示した波長(ピーク波長)は380nmであった)、最小値は4%、分光透過率の最大値は92%であり、また反射スペクトル、及び透過スペクトルは非常にシャープであった。
【0056】
【実施例2】
実施例1の虹彩色転写フイルムの虹彩層に替えて、保護層側から、高屈折率薄膜層として厚さ50nmのSiO薄膜層、低屈折率薄膜層として厚さ65nmのSiO薄膜層、金属薄膜層として厚さ2nmのCr薄膜層、高屈折率薄膜層として厚さ41nmのZnS薄膜層を順次形成した構成の虹彩層を形成した以外は、実施例1と同様にして、片面側の高屈折率薄膜層のみが金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成された本発明の虹彩色転写フイルムを得た。
次に、実施例1で使用した透明アクリル板に、上記の本発明の虹彩色転写フイルムを転写して、透明アクリル板上に、厚さ1μmの接着層、厚さ41nmのZnS高屈折率薄膜層、厚さ2nmのCr薄膜層、厚さ65nmのSiO低屈折率薄膜層、厚さ50nmのSiO高屈折率薄膜層、厚さ1μmの保護層が順次形成された本発明の虹彩色成形品を得た。
得られた虹彩色成形品の反射率の最大値は34%(ピーク波長:380nm)、最小値は4%、分光透過率の最大値は90%であり、また反射スペクトル及び透過スペクトルは非常にシャープであった。
【0057】
【比較例1】
Cr薄膜層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、虹彩色転写フイルムを得た。
次に、実施例1で使用した透明アクリル板に、上記虹彩色転写フイルムを転写して、透明アクリル板上に、厚さ1μmの接着層、厚さ41nmのZnS高屈折率薄膜層、厚さ65nmのSiO低屈折率薄膜層、厚さ41nmのZnS高屈折率薄膜層、厚さ1μmの保護層が順次形成された虹彩色成形品を得た。
得られた虹彩色成形品の反射率の最大値は55%(ピーク波長:380nm)、最小値は4%、可視光領域内の最大値は92%であり、また反射スペクトル及び透過スペクトルは非常にシャープであった。
【0058】
得られた実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1の虹彩色成形品は何れも、虹彩層側で反射されて見える反射光の色が、見る角度によって、垂直反射光の青色から、水平反射光の紫色に至るまで連続的に色が変化する虹彩色を呈し、また虹彩層と透明アクリル板を通過して見える光の色も、見る角度によって、垂直透過光の黄色から、水平透過光の黄緑色に至るまで連続的に色が変化する虹彩色を呈するものとなり、従って反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なった色調に見えるものであった。
しかも反射光の虹彩色と透過光の虹彩色は非常に鮮やかで意匠性に優れたものであった。
【0059】
【比較例2】
実施例1で使用した透明アクリル板上に、スパッタリング蒸着法により厚さ43nmのZnS薄膜層を形成し、従来の虹彩色成形品を得た。
得られた虹彩色成形品の反射率の最大値は28%(ピーク波長:380nm)、最小値は17%、分光透過率の最大値は78%であり、また反射スペクトル、及び透過スペクトルは非常になだらかであった。
得られた虹彩色成形品は、反射光の色が、見る角度によって、垂直反射光の青色から、水平反射光の紫色に至るまで連続的に色が変化する虹彩色を呈し、また透過光の色も、見る角度によって、垂直透過光の黄色から、水平透過光の黄緑色に至るまで連続的に色が変化する虹彩色を呈し、従って反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なった色調に見えるものの、それぞれの虹彩色はぼやけて鮮やかさに欠けており意匠性に乏しいものであった。
【0060】
実施例1、2で得られた本発明の虹彩色成形品、及び比較例1、2で得られた虹彩色成形品について、以下に示す評価を行って性能を比較した。
【0061】
1.密着性試験
(評価試料) 実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1、2の虹彩色成形品をそれぞれ1つ準備して試料とした。
(評価方法)虹彩色成形品の保護層側表面に粘着テープを貼り、その後剥離して、保護層、虹彩層、接着層の剥離状況(剥離面積、剥離界面)を目視にて観察した。
尚、比較例2の虹彩色成形品については、虹彩層表面に粘着テープを貼り、その後剥離して、虹彩層、接着層の剥離状況を目視にて観察した。
(評価結果)表1
保護層、虹彩層、あるいは接着層が、全く剥離しなかったものを◎、ごく一部剥離したものを○、一部剥離したものを△、ほとんど剥離したものを×とした。
【0062】
2.高温高湿耐久試験
(評価試料) 実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1、2の虹彩色成形品をそれぞれ1つ準備して試料とした。
(評価方法)温度65℃、湿度95%の雰囲気に24時間放置した後、上記と同様の密着性試験をおこなうとともに、試験後のクラック発生の有無を観察した。
(評価結果)表1
[密着性]密着性試験と同様にして評価した。
[クラック]試験後にクラックが発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
【0063】
3.耐擦傷性試験
(評価試料) 実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1、2の虹彩色成形品をそれぞれ1つ準備して試料とした。
(評価方法)保護層表面(比較例2の虹彩色成形品については虹彩層表面)を爪で引っ掻いて、キズ発生の有無を目視にて観察した。
(評価結果)表1
キズが全く生じなかったものを○、キズが生じたものを×とした。
【0064】
【表1】
Figure 0003938884
【0065】
4.虹彩色安定性試験
(製造ロットによる虹彩色のばらつき)
実施例1、2の本発明の虹彩色転写フイルム、及び比較例1の虹彩色転写フイルムについて、それぞれ同様の方法で10ロットずつ製造し、各々の該虹彩色転写フイルムをそれぞれ製造ロットごとに、実施例1で使用した透明基材に転写して、実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1の虹彩色成形品をそれぞれ10ロット製造したところ、何れの虹彩色成形品も虹彩層側で反射する反射光の色と、虹彩層と透明基材を通過する透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、かつ反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかなものであったが、実施例1の本発明の虹彩色成形品及び比較例1の虹彩色成形品は、製造ロット間で虹彩色の色調にばらつきが少し観られた。上記実施例1の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1の虹彩色成形品による製造ロット間での虹彩色の色調のばらつきとは、具体的には、垂直反射光の青色が、少し赤みを帯びた青色や少し緑色を帯びた青色に変化する程度のばらつきであり、虹彩色の色調のばらつきに厳しい用途に使用する場合には問題となるものであった。
これに対し、実施例2の本発明の虹彩色成形品は製造ロット間で虹彩色の色調のばらつきがほとんど観られず良好な製造安定性を有するものであった。
そこで、製造ロット間での虹彩色の色調のばらつきを明らかにするために、上記実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1の虹彩色成形品全て(30ロット分)について、反射率の最大値を示す波長(ピーク波長)を測定したところ、実施例1、2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1の虹彩色成形品ともに、該ピーク波長は370nm〜400nmの範囲でばらついていて、目標のピーク波長380nmから少しずれているものがあることがわかった。
さらに、上記の実施例2の本発明の虹彩色成形品、及び比較例1の虹彩色成形品のうち、それぞれピーク波長が370nm、380nm(目標値)、及び400nmの該成形品について、色差を数値として表したa値及びb値を測定することで、虹彩色の色調のばらつきを数値化して比較することとした。
尚、比較例1の虹彩色成形品の虹彩層にCr薄膜層が形成されている実施例1の本発明の虹彩色成形品については、Cr薄膜層が虹彩色に影響を与えるものではなく、比較例1の虹彩色成形品と光学的特性がほぼ同じであるという理由から測定を行わなかった。
(評価試料) 実施例2で得られた本発明の虹彩色成形品、及び比較例1で得られた虹彩色成形品のうち、ピーク波長が370nm、380nm(目標値)、400nmである該成形品をそれぞれ1つずつ準備して試料とした。
(評価方法)色差計(日本電色工業社製)を使用して、a値及びb値を測定した。
(評価結果)表2
ピーク波長が380nmである該成形品のa値とピーク波長が370nm若しくは400nmである該成形品のa値との差の絶対値(以下、a値差とする)を計算した。
また、b値についてもa値と同様に、ピーク波長が380nmである該成形品のb値とピーク波長が370nm若しくは400nmである該成形品のb値との差の絶対値(以下、b値差とする)を計算した。
このとき、a値差、b値差ともに数値が小さい程虹彩色の色調のばらつきが小さく、大きい程ばらつきが大きいことを示す。
【0066】
【表2】
Figure 0003938884
【0067】
表1から明らかなように、実施例1、2の本発明の虹彩色成形品は、密着性が良好で、高温高湿耐久試験後においても、密着性の低下やクラックの発生が全くなく、また耐擦傷性試験でも全くキズが生じず、密着性、高温高湿耐久性、及び耐擦傷性に優れていることがわかる。
比較例1の虹彩色成形品は、実施例1、2の本発明の虹彩色成形品と同様、最表面に保護層が形成されているので耐擦傷性には優れているものの、密着性試験においてごく一部剥離が生じ、密着性にやや劣るとともに、高温高湿耐久試験ではほとんど剥離してしまい、また虹彩層にクラックが発生し、高温高湿耐久性に欠けることがわかる。
そして、上記密着性試験、及び高温高湿耐久試験での剥離界面は、何れもZnS薄膜層とSiO薄膜層との間であり、高温高湿耐久試験後の密着性の低下がクラックの発生の原因となっているものと思われる。
比較例2の虹彩色成形品は、最表層に保護層が形成されていないので、耐擦傷性が悪く、また密着性に劣り、さらには高温高湿耐久試験後においてもクラックが発生し、高温高湿耐久性に著しく欠けるものであった。
【0068】
また、表2から明らかなように、実施例2の本発明の虹彩色成形品と比較例1の虹彩色成形品において、a値差、及びb値差を比較すると、何れも実施例2の本発明の虹彩色成形品の方が数値が低く、ピーク波長が目標値の380nmからずれても、ほとんど虹彩色の色調に変化が生じ難いことがわかる。
【0069】
【発明の効果】
本発明の虹彩色転写フイルムは、プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、接着層が順次形成されている虹彩色転写フイルムにおいて、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されているので、本発明の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得た本発明の虹彩色成形品は、反射光の色と透過光の色がそれぞれ虹彩色を呈し、反射光の虹彩色と透過光の虹彩色が異なる色調の虹彩色であり、しかも虹彩色が非常に鮮やかで、意匠性に非常に優れたものとなるとともに、虹彩層の各層間の密着性が良好で、高温高湿耐久性にも優れている。
【0070】
本発明の虹彩色転写フイルムの高屈折率薄膜層をZnS薄膜層で、かつ低屈折率薄膜層をSiO薄膜層で形成しておけば、虹彩色転写フイルムの生産性等の点からより好適である。
【0071】
本発明の虹彩色転写フイルムの虹彩層を、保護層側から高屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものとしておけば、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る本発明の虹彩色成形品が、製造ロット間での虹彩色の色調のばらつきが小さくなり、製造安定性が向上する。
【0072】
本発明の虹彩色転写フイルムの金属薄膜層をCr薄膜層としておけば、虹彩層の各層間の密着性がより良好となり、高温高湿耐久性の点からも万全である。
【0073】
本発明の虹彩色転写フイルムは、虹彩層をスパッタリング蒸着法はもちろん、真空蒸着法でも容易に形成できるので、成膜速度が速く生産性が非常に良い。
【0074】
本発明の虹彩色転写フイルムは接着層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る本発明の虹彩色成形品は、虹彩層と透明基材との間に接着層が形成されることとなり、虹彩層と透明基材との密着性が向上する。
【0075】
本発明の虹彩色転写フイルムは、保護層が形成されているので、該虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得た本発明の虹彩色成形品は、転写と同時に虹彩層上に保護層が形成されるので、わざわざ別工程で保護層を形成する必要がなく、生産性が向上する。
【0076】
また、本発明の虹彩色成形品は、本発明の虹彩色転写フイルムを使用して転写により得ることができるので、必要な時に、必要な部分に、容易に、しかも大量に生産することができ、生産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る虹彩色転写フイルムの一例を示す一部拡大断面図である。
【図2】本発明に係る虹彩色成形品の一例を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 プラスチックフイルム
2 離型層
3 保護層
4 虹彩層
4a高屈折率薄膜層
4b低屈折率薄膜層
4c金属薄膜層
5 接着層
6 透明基材

Claims (8)

  1. プラスチックフイルムの片面に、離型層、保護層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、接着層が順次形成されている虹彩色転写フイルムにおいて、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されていること、及び金属薄膜層の厚さが0.5〜5nmであることを特徴とする虹彩色転写フイルム。
  2. 虹彩層が、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層、金属薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものである請求項1記載の虹彩色転写フイルム。
  3. 虹彩層が、保護層側から高屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、低屈折率薄膜層であるSiO薄膜層、金属薄膜層、高屈折率薄膜層であるZnS薄膜層が順次形成されたものである請求項1記載の虹彩色転写フイルム。
  4. 金属薄膜層が、Cr薄膜層である請求項1〜3何れかに記載の虹彩色転写フイルム。
  5. 請求項1記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、低屈折率薄膜層の両面側に高屈折率薄膜層が形成されている虹彩層、保護層が順次形成されており、少なくとも片面側の高屈折率薄膜層は金属薄膜層を介して低屈折率薄膜層上に形成されていること、及び金属薄膜層の厚さが0.5〜5nmであることを特徴とする虹彩色成形品。
  6. 請求項2記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、ZnS薄膜層/金属薄膜層/SiO薄膜層/金属薄膜層/ZnS薄膜層からなる虹彩層、保護層が順次形成されていることを特徴とする虹彩色成形品。
  7. 請求項3記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、透明基材の片面に、接着層、ZnS薄膜層/金属薄膜層/SiO薄膜層/SiO薄膜層からなる虹彩層、保護層が順次形成されていることを特徴とする虹彩色成形品。
  8. 請求項4記載の虹彩色転写フイルムを透明基材に転写して得る虹彩色成形品であって、金属薄膜層がCr薄膜層である請求項5〜7何れかに記載の虹彩色成形品。
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