JP3938856B2 - パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平板パネルの積層重ね接合構造及びその平板パネルの重ね構造を特殊建築物の屋根や壁や床に適用したものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シェル構造や折板構造等の面構造体は、少ない材料で広い屋根や壁や床を形成するのに優れた構造体として知られている。軽量で強度のある樹脂系材料、特にFRPは、面構造体に適した材料であったが、成型物は製造上大きさに限りがあり、それを一体的に接合する技術がなかったため、大きな面構造体への利用はできなかった。
上記シェル構造や折板構造等の面構造体とは、外力を部材の面内方向への力として移動させることにより抵抗する構造形式のものとして知られている。
【0003】
従来、屋根や壁や床を形成するような大きな面構造体に使用される材料としては、現場打ちの鉄筋コンクリートや鉄骨トラスがほとんどで、前者にあっては施工時に大規模な型枠を必要とする等、後者にあっては部材相互の接合が複雑になる等の問題点があった。
また、コンクリートや鉄は比重が大きいため構造体自身が重くなり、その重さを支えるために更に重い構造体となる悪循環で、面構造体も少ない材料で軽量にできる利点が十分に活かされていなかった。
更に、それらの材料による面構造体は防水等の仕上げを別途に設置する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記面構造体の大空間を架設する部材にあっては、外力を部材の面内方向に流す構造のため薄い板状の材料で構成される。そのため当該部材は強度と部材の局部座屈を防ぐため適切な厚さが求められると同時に、全体として均一で一体的となる構造体が必要とされる。
上記従来の大型の面構造体は、それらの要求を満足させるために、鉄筋コンクリートや鉄骨等の重量のある部材が使用されていた。しかし、それらの部材は、その製造、運搬、設置の何れをとっても時間がかかり、取り扱いが不便で、施工も面倒なものであり、経済的でなかった。
一方で、軽量で強度のあるFRPをはじめとする樹脂系の成型物によって面構造を構成する方法が考えられるが、成型物は製造上大きさに限りがあり、それを一体的に接合する技術がなかったため大きな面構造体への利用はできなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、面構造に採用する材料として、所定の強度があり、軽量で加工性が良いFRPをはじめとする樹脂系の材料を採用し、当該部材とのなじみの良い接着剤を使用することにより、樹脂系部材を積層して全体として均一で一体的な面を形成し所定の強度を得るようにしている。
上記樹脂系部材は、軽量で、強度や耐久性等に優れており、日常生活に於いて各種部材や製品、建築材料等の様々な分野で利用されている。日本では、建築基準法の制約から建築の主要部に使用することが難しく、建築材料として使用する場合は、仕上げ材料として採用することが多かった。しかし、2000年の建築基準法改正による性能規定に伴い、FRPをはじめとする樹脂系部材の建築構造体への利用の道が開けてきた。
【0006】
本発明は、上記の通り、軽量で、強度や耐久性等に優れている樹脂系部材を、更に施工現場等において当該部材を特有の連結技術で複数枚密着積層することにより、強度と部材の均一性、一体性が得られ、大型で軽量な構造物を得ることが可能となる。
上記樹脂系部材は軽量ではあるが、製造上、運搬上その大きさに限界があり、上記のとおり、施工現場等において当該部材を連結することになるが、その構造性状、製造法、施工性、経済性等を活かしながら大型の構造物への利用を可能とすることができる。
上記樹脂系部材を屋根に利用した場合、樹脂系材料の止水性、耐久性、耐候性、防食性、断熱性、成型性に優れた点を活かし、屋根構造体としてだけでなく、防水を含めた屋根仕上げ、断熱、遮音、天井仕上げ等屋根の持つべき機能を一体化した、軽量で部材や施工工程の少ない屋根として一体的に造ることが可能となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の構造を採用している。FRPをはじめとする軽量で強度及び耐久性に優れた樹脂系材料よりなるパネルを積層するパネル構造、下層の平板パネル表面に接着剤を塗布し、該平板パネルの前後、左右方向に各々半枚ずらして上層の平板パネルを密着積層し、それら複数枚の積層を繰り返すことにより所定の大きさの面体を形成する平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とするもので、隣接する平板パネルは小口部分においても塗布した接着剤により接合される。
【0008】
また、下層の平板パネル表面および上層の平板パネル裏面に平行状凹凸溝を形成し、下層の平板パネル表面に接着剤を塗布し、上下層の平板パネルの平行状凹凸溝を嵌合して平板パネル相互を密着積層してなる平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴しとしている。
【0009】
更に、下層の平板パネル表面および上層の平板パネル裏面に凹凸部を形成し、下層の平板パネル表面に接着剤を塗布し、上下層の平板パネルの凹凸部を嵌合して平板パネル相互を密着積層してなる平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0010】
また、下層の平板パネル表面および上層の平板パネル裏面に多数の小突起を形成し、下層の平板パネル表面に接着剤を塗布し、上下層の平板パネル相互を密着積層してなる平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0011】
更に、下層の平板パネル表面に凸部を立設形成して表面に接着剤を塗布し、上層の平板パネルに形成した貫通孔より該凸部を突出させ、該突出部を道具によって引き付けることにより平板パネル相互を密着積層してなる平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0012】
また、下層の平板パネル表面にボルトを立設形成して表面に接着剤を塗布し、上層の平板パネルに形成した貫通孔より該ボルトの先端部を突出させ、該突出部へナットを螺合固定することにより平板パネル相互を密着積層してなる平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0013】
また、上記FRPよりなるパネルは、下層のパネルの補強繊維方向に対し、隣接上層のパネルの補強繊維方向を直交方向となるように積層したパネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0014】
更に、最下層及び最上層の平板パネルを強度の高いパネルとし、強度や厚さの異なる平板パネルを積層したり、最下層の平板パネルを吸音性、意匠性に優れたパネルとし、断熱層、遮音層等を挟んで、最上層の平板パネルを止水性、耐候性に優れたパネルとするなど、性質の異なる平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0015】
また、上記平板パネルを曲面形状となる湾曲パネルとしたり、平板パネルを折板形状としたり、平板パネルを折板湾曲形状とした平板パネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0016】
更に、曲面形状とした湾曲パネルをシェル構造体の屋根面に、また折板湾曲形状とした平板パネルをボールトシェル構造体の屋根面に形成したシェル等の特殊建築物を特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。
【0018】
実施形態1
図1、2は、本発明の一実施形態で、平板パネルを積層した斜視図、図3は、同断面図である。
大型矩形状の平板パネル1を当該端部相互を当接して平板状に配設する。配設方法としては、様々な方法が考えられるが、本実施例では当該平板パネル1を田の字型に並べて1段目を配設する。
【0019】
上記1段目に配設の平板パネル1表面に、接着剤2を全面塗布する。
上記平板パネル1の表面全面に接着剤2が塗布された面上に、該1段目の平板パネル1より前後及び左右に各々半枚ずらして、2段目の平板パネル3を配設貼着する。この配設により1段目の平板パネル1相互間の継ぎ手部は、2段目の平板パネル3によって被覆されることになる。
上記貼着により、パネル2枚分の厚さを有する均一な面が形成される。
【0020】
実施形態2
図4は、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図、図5は同断面図である。
平板パネル4の表面側全面に、平行状凹凸溝5を形成している。上記同様、該平板パネル4を配設して1段目とする。2段目となる平板パネル6の裏面全面に、上記同様の巾を有する平行状凹凸溝7を形成し、上下の凹凸溝5、6が合致するようにしている。1段目の平板パネル4の表面全面に、接着剤8を塗布し、該平板パネル4の平行状凹凸溝5に嵌合させ、上記2段目の平板パネル6を載置固定する。
【0021】
上記上下に嵌合する各平行状凹凸溝5、7により、当該積層された平板パネル4、6は該平行状凹凸溝5、7と直行方向及びそれに近い方向に於いて両者間のずれに対する接合強度を極めて大きくすることができる。
上記平行状凹凸溝5、7に替えてクロス状の凹凸溝を上下の平板パネル4、6の表裏面に各々形成することにより、両者は嵌合され、前後、左右方向への平板パネル4、6の移動を防止することが可能となる。
【0022】
実施形態3
図6は、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図、図7は同断面図である。
平板パネル9の表面側全面に、多数の小突起10を形成している。上記同様、該平板パネル9を配設して1段目とする。2段目となる平板パネル11の裏面全面に、上記同様多数の小突起12を形成し、1段目の平板パネル9の表面全面に、接着剤13を塗布し、その面上に上記2段目の平板パネル6を載置し接着固定する。
接合面に多数の凹凸があるので両者の摩擦力が増加し、また凹凸により接着面が広がり接合強度が増加する。
【0023】
実施形態4
図8は、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図、図9は同断面図である。
平板パネル14の表面側の適宜箇所に、突起15を形成している。上記同様、該平板パネル14を配設して1段目とする。2段目となる平板パネル16又はその裏面には、上記突起15と嵌合する位置に、貫通孔又は凹溝17を形成している。1段目の平板パネル14の表面全面に接着剤18を塗布し、上記突起15と貫通孔又は凹溝17とを嵌合して上記2段目の平板パネル16を載置し接着固定する。
突起15と貫通孔又は凹溝17との嵌合により、上下パネル間のずれに対する接合強度を高めるとともに、両平板パネル14、16の重ね位置の決定が同時に行われることになる。
【0024】
実施形態5
図10aは、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図である。
平板パネル19の表面側の適宜個所に、凸部20を立設形成している。上記同様、該平板パネルを配設して1段目とする。2段目となる平板パネル21には、上記凸部20を挿入する位置に貫通孔22を形成している。1段目の平板パネル19の表面全面に接着剤22を塗布し、上記凸部20を貫通孔に挿入させ、2段目となる平板パネル21から凸部20の先端部分が突出するようにして、上記2段目の平板パネルを積載固定する。接着に際し、上方に突出した凸部20の先端部を道具によって引き付け、平板パネル19、21間の密着性を高め、より強く信頼性の高い接着接合を可能にする。
上記凸部20の長さを変えることにより、複数枚のパネルを密着接合し、接着の信頼性や接着強度を高めることができる。
【0025】
実施形態6
図10bは、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図である。
平板パネル19’の表面側の適宜箇所に、ボルト20’を立設形成している。
上記同様、該平板パネル19’を配設して1段目とする。2段目となる平板パネル21’には、上記ボルト20’を挿入する位置に貫通孔22’を形成している。1段目の平板パネル19’の表面全面に接着剤23’を塗布し、上記ボルト20’を貫通孔へ挿入させ、2段目となる平板パネル21’からボルト20’の先端部分が突出するようにして上記2段目の平板パネル21’を載置固定する。接着に際し、上方に突出したボルト20’の先端部にナット24を螺着し、ナット24の締め付けを強くすることにより、平板パネル19’、21’間の密着性を高め、より強く信頼性の高い接着接合を可能にする。
上記ボルト20’の長さを変えることにより、複数枚のパネルを密着接合し、接着強度を増加させることができる。
【0026】
実施形態7
図11は、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図である。
樹脂系パネルの1つであるFRPパネルは、補強繊維の配設方向によって強度が異なるので、当該実施例では該繊維方向を直交させるようにしてパネルを上下に積層している。
該平板パネル25を配設して1段目とする。2段目となる平板パネル26は、その繊維方向を1段目の平板パネル25の繊維方向と直交する方向に重ねる。更に、2段目の平板パネル26の表面に、その2段目の繊維方向と直交する方向に3段目の平板パネル27を重ねる。上記1段目の平板パネル25の表面側全面に接着剤を塗布し、上記2段目の平板パネル26を載置接着固定し、更に、2段目の平板パネル26の表面側全面に接着剤を塗布し、上記3段目の平板パネル27を積層する。
また、構築物の全体形状の中で、応力の流れに応じて繊維方向の調整も可能である。また、応力の大きさに応じて、パネルの重ね枚数を増加させることもできる。
【0027】
実施形態8
図12は、平板パネルを積層した他の実施例の斜視図である。
上記同様、長方形状の平板パネル28を配設して1段目とする。1段目の長方形状の平板パネル28の表面の半分に、交差するようにして2段目の長方形状の平板パネル29の半分を載置し接着する。2段目となる長方形状の平板パネル29には、上記同様、その表面の半分に、交差するようにして3段目の長方形状の平板パネル30の半分を載置し接着する。上記各平板パネル28、29の表面には接着剤23を塗布する。上記積層の繰り返しにより、複数枚のパネルを密着接合固定することが可能となる。
【0028】
実施形態9
図13は、材質の異なる平板パネルの積層に関する実施例の断面図である。
上記同様、平板パネル31を配設して1段目とする。該1段目の平板パネル31は、強度の高いパネルとし、その表面側に、2段目の平板パネル32を載置し接着する。2段目となる平板パネル32は、厚さの異なる通常の材質のパネルを積層している。更に3段目の平板パネル33を載置し接着する。上記平板パネル33は、上記同様、強度の高いパネルとしている。
【0029】
上記各平板パネル31、32の表面側には、接着剤を塗布する。上記繰り返しにより、複数枚のパネルを密着積層接合することが可能となる。上記平板パネルの材質や厚さ、各パネルの配設位置を変えることによって全体構造の構造特性を変えることが可能となり、合理的な構造部材を得ることが可能となる。
【0030】
実施形態10
図14は、材質の異なる平板パネルの積層に関する他の実施例の断面図である。上記同様、平板パネル34を配設して1段目とする。該1段目の平板パネル34は、吸音性、意匠性に優れたパネルとし、その表面側に、2段目の平板パネル35を載置し接着する。2段目となる平板パネル35は、断熱性、遮音性の高いパネルを積層している。更に3段目の平板パネル36を載置し接着する。上記平板パネル36は、止水性、耐候性に優れたパネルとしている。
【0031】
上記各平板パネル34、35の表面側には、接着剤を塗布する。上記繰り返しにより、複数枚のパネルを密着積層接合することが可能となる。 上記平板パネルの材質やその各パネルの配設位置を変えることにより、全体として吸音性、意匠性、断熱性、遮音性、止水性、耐候性等に優れたパネルを得ることが可能となる。
【0032】
実施形態11
図15は、平板パネルを積層する他の実施例の断面図である。
上記同様、平板パネル37を配設して1段目とする。1段目の平板パネル37の表面及び該平板パネル37の上方に位置する他の1段目の平板パネル37’の表面に跨るようにして2段目の平板パネル38を載置し接着する。2段目となる平板パネル38は、1段目と同様、その上方位置に他の2段目の平板パネル38’を配設している。上記2段目の平板パネル38、38’に跨るようにして3段目の平板パネル39を載置し接着する。3段目となる平板パネル39は、1、2段目と同様、その上方位置に他の3段目の平板パネル39’を配設している。
【0033】
上記各平板パネル37、37’、38、38’、39、39’・・の表面側には、接着剤を塗布する。上記積層の繰り返しにより、複数枚のパネルを段状に密着積層接合することが可能となる。
雨水は上方より下方へ流下するので、上記積層手段によりパネルの継ぎ手部が上方の平板パネルにより被覆され、且つ該上方の平板パネル側が高い位置となるように傾斜して重ねられているので、防水性が良好である。
【0034】
実施形態12
図16は、平板パネルをシェル構造体に使用した実施例の断面図である。
上記平板パネルを曲面板の構成とし、シェル構造体のシェルとして採用したものである。上記各実施形態のようにして積層した平板パネルを曲面形状としたもので、パネル自身が所定の曲率を有する曲面構造体として形成されている。
上記実施形態と同様に、接着剤を介し、一体性、或いは重ね方を工夫した積層構造とすること等により、シェルにかかる荷重を板内の面内方向に均一に分散させることが可能となり、力の流れに対して合理的なシェル構造体を得ることが可能となった。
また、上記曲面板の曲率、板の大きさ及び形状等の異なるものを組み合わせることにより、自由曲面シェル構造体となる構築物を構築することが可能である。
【0035】
実施形態13
図17は、平板パネルを折板構造体に使用した実施例の断面図である。
上記平板パネルを折板形状の構成とし、折板構造の屋根面として採用したものである。上記各実施形態の積層した平板パネルを折板形状とすることにより、曲げ剛性の高い部材を得ることができ、長スパンの構築物の屋根や床面に採用することが可能となる。
上記実施形態と同様に、接着剤を介し、一体性、或いは重ね方を工夫した積層構造とすること等により、上記折板構造体は、上方からの荷重を折板の面内応力として均一に分散させることが可能となり、力の流れに対して合理的な折板構造体を得ることが可能となった。
【0036】
実施形態14
図18に示すものは、折板形状のパネルを構築体の形状に沿って湾曲状とすることによりボールトシェル構造体とした断面図である。更に、その直交方向となる左右方向に曲面を形成することにより2次曲面を形成することも可能である。
上記実施例で示したように、前後及び左右方向に半枚ずらして積層することにより、全面2枚重ねの同一厚さのシェル面体を形成することが可能である。従って、薄厚で強度のあるFRPシェル面体を形成することが可能である。
また、構造的に更なる強度を必要とする箇所には、必要であれば部分的に厚さを増すことも可能である。
【0037】
上記実施例で示したように、本発明は、大空間の構築物として架け渡し構築することが可能である。軽量で強度のあるFRPをはじめとする樹脂系の材料を使用した場合、耐久性、耐食性の高い性質を活かして、塩害や湿気の多い地方、プール・温泉・風呂・食品工場・薬品工場等の酸化を促す薬品を使用する施設等に使用したり、軽量である性質を活かして、開閉屋根・可動壁等の可動構築物、乗り物等の施設、屋根の葺き換えや改築等の既存建築物に対して大きな荷重負担をかけることが不可能な場所、離島・山の上・上空・宇宙等の重量物を運ぶことが困難な場所での構築物、水上・可動物上等の自重の軽さが要求される場所等での構築物に使用したりするのに有効である。
【0038】
本発明は、屋根や壁や床等の大きな空間に使用する構造部材であり、当該構造部材を、前後及び左右方向に各々半枚ずらして密着積層し連結することにより、一体的な全体構造を構築することを可能とした。これは外力を部材の面内方向への力に移動させることにより抵抗する構造形式である面構造体に適した方法である。
また、当該構造部材にFRPをはじめとする樹脂系材料を使用することにより、軽量化を図り、且つ加工性、耐久性に優れた構造部材を得ることが可能となった。 更に、積層する上下パネルの重ね方を工夫することにより、機能に合ったより合理的な構造部材を構成することが可能となった。
これを屋根に利用した場合、樹脂系材料の止水性、耐久性、耐候性、防食性、断熱性、成型性に優れた点を活かし、屋根構造体としてだけでなく、防水を含めた屋根仕上げ、断熱、遮音、天井仕上げ等屋根の持つべき機能を一体化した、軽量で部材や施工工程の少ない屋根として一体的に造ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る平板パネルの配設状態を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図10】(a)本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
(b)本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図11】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの斜視図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図14】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図15】本発明の他の実施形態に係る平板パネルの積層状態を示す断面図。
【図16】(a)本発明の他の実施形態に係る湾曲パネルの積層状態を示す断面図。
(b)本発明の他の実施形態に係る湾曲パネルの積層状態を示す断面図。
【図17】本発明の他の実施形態に係る折板パネルの積層状態を示す断面図。
【図18】(a)本発明の他の実施形態に係る折板湾曲パネルの積層状態を示す断面図。
(b)本発明の他の実施形態に係る折板湾曲パネルの積層状態を示す断面図。
【符号の説明】
1、3、4、6、9、11、14、16、19、19’、21、21’、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、37’、38、 38’、39、39’・・・平板パネル
2、8、13、18、23、23’・・・接着剤
5、7・・・平行状凹凸溝
10、12・・・小突起
15、20・・・突起又は凸部
17・・・貫通孔又は凹溝
20’・・・ボルト
22、22’・・・貫通孔
24・・・ナット

Claims (7)

  1. FRPをはじめとする軽量で強度及び耐久性に優れた樹脂系材料よりなるパネルを積層するパネル構造において、下層のパネル表面に接着剤を塗布し、該パネルの前後、左右方向に各々半枚ずらして上層のパネルを密着積層し、それら複数枚の積層を繰り返すことにより所定の大きさの面体を形成するパネルの重ね構造によるシェル等の特殊建築物。
  2. 下層のパネル表面および上層のパネル裏面に平行状凹凸溝を形成し、下層のパネル表面に接着剤を塗布し、上下層のパネルの平行状凹凸溝を嵌合してパネル相互を密着積層してなる請求項1記載のシェル等の特殊建築物。
  3. 下層のパネル表面および上層のパネル裏面に凹凸部を形成し、下層のパネル表面に接着剤を塗布し、上下層のパネルの凹凸部を嵌合してパネル相互を密着積層してなる請求項1に記載のシェル等の特殊建築物。
  4. 下層のパネル表面および上層のパネル裏面に複数の小突起を形成し、下層のパネル表面に接着剤を塗布し、上下層のパネル相互を密着積層してなる請求項1に記載のシェル等の特殊建築物。
  5. 下層のパネル表面に凸部を立設形成して表面に接着剤を塗布し、上層のパネルに形成した貫通孔より該凸部を突出させ、該突出部を道具によって引き付けることによりパネル相互を密着積層してなる請求項1に記載のシェル等の特殊建築物。
  6. 下層のパネル表面にボルトを立設形成して表面に接着剤を塗布し、上層のパネルに形成した貫通孔より該ボルトの先端部を突出させ、該突出部へナットを螺合固定することによりパネル相互を密着積層してなる請求項1に記載のシェル等の特殊建築物。
  7. パネルを曲面形状となる湾曲パネルとした請求項1〜6のいずれか1に記載のシェル等の特殊建築物。
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