JP3938818B2 - 画像処理装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置及び方法に係り、特に、原画像中の各部の濃度等を適正化した出力画像を表す出力画像データを生成する画像処理方法、及び該画像処理方法を適用可能な画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、写真フィルムに記録されているフィルム画像を、CCDセンサ等の読取センサを備えたフィルム読取装置によって読み取り、読み取りによって得られた画像データに対して各種の画像処理を行い、画像処理後の画像データに基づいて記録材料への画像の記録等の画像出力を行う画像処理システムが知られている。この画像処理システムでは、フィルム画像を面露光により印画紙に記録する従来の写真処理システムと比較して、画像データに対する画像処理により出力画像の画質を自在にコントロールすることができる。
【0003】
例えばストロボを使用して撮影したフィルム画像や逆光のシーンを撮影したフィルム画像等に対し、該フィルム画像を解析した結果に基づいて、画像の低周波成分の階調が圧縮されるように処理条件(階調変換条件)を決定し、処理条件に従って低周波成分の階調を圧縮する所謂ハイパートーン処理を行えば、主要部領域の濃度や階調を大きく変化させることなく、背景領域の階調のとびやつぶれのない出力画像を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のハイパートーン処理では画像全面に対して一律の処理条件(階調変換条件)で処理を行うので、ストロボを使用して撮影したフィルム画像や、逆光のシーンを撮影したフィルム画像に対し、出力画像上で背景領域の階調のとびや潰れが生ずることは防止できるものの、フィルム画像上で主要部が最適に再現されている場合、ハイパートーン処理を行うことで主要部の濃度等が最適な値から変化するという問題がある。
【0005】
画像の画質評価等を行う場合に最も注目される部位は画像中の主要部(例えば人物写真における人物の顔に相当する部分)であり、フィルム画像を読み取ることで得られた画像データに対して画像処理を行って出力する場合にも、出力画像上の主要部を適正に仕上げることが主目的である。従って、フィルム画像の画像内容によっては(例えばフィルム画像上で主要部が最適に再現されている等の場合には)、ハイパートーン処理によって出力画像上の主要部の濃度等が変化することで、逆に出力画像の画質が劣化したと評価されることがあった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、原画像の画像内容に拘わらず、画像中の各部の濃度等を適正化した出力画像を得ることができる画像処理装置及び方法を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像処理装置は、処理対象の原画像を、該原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域に分割する領域分割手段と、前記複数種の部分領域の各々の前記処理対象の原画像上での濃度、及び、少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報に基づいて、前記処理対象の原画像の複数回の読み取りにおける読取条件を設定する読取条件設定手段と、前記処理対象の原画像の複数回の読み取りが前記読取条件設定手段によって設定された読取条件で行なわれるように制御すると共に、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、前記複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、前記非基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量が、前記基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量と一致するように前記非基準画像データを変換することを、前記基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行い、前記変換を経た複数の画像データから前記部分領域のデータを選択・抽出して合成することで、出力画像を表す画像データを生成する制御手段と、を含んで構成している。
【0008】
請求項1の発明では、領域分割手段により、処理対象の原画像が、該原画像上での濃度(なお、本発明における濃度には各成分色の濃度、すなわち色バランスも含まれる)と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域に分割される。複数種の部分領域は、例えば原画像中の主要部領域と背景領域でもよいし、原画像が表すシーンにおいて異なる照明条件で照明されている各物体に対応する領域であってもよいし、前記シーンにおいて視点位置(例えばカメラによって撮影記録された画像におけるカメラの位置)からの距離が異なる各物体に対応する領域であってもよい。
【0009】
また、請求項1の発明は、複数種の部分領域の各々の処理対象の原画像上での濃度、及び、少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報に基づいて、読取条件設定手段が処理対象の原画像の複数回の読み取りにおける読取条件を設定し、制御手段は、処理対象の原画像の複数回の読み取りが読取条件設定手段によって設定された読取条件で行なわれるように制御すると共に、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、前記複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、非基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量が、基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量と一致するように非基準画像データを変換することを、基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行い、前記変換を経た複数の画像データから前記部分領域のデータを選択・抽出して合成することで、出力画像を表す画像データを生成する。これにより、出力画像上での濃度を複数種の部分領域毎に制御することができ、原画像の画像内容に拘わらず、画像中の各部の濃度が適正化された出力画像(を表す画像データ)を得ることができる。
【0010】
また請求項1の発明は、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、前記複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、非基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量が、基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量と一致するように非基準画像データを変換することを、基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行うので、出力画像上で、各部分領域の境界が不自然(例えば濃度が急激に変化している等)になることも防止することができる。
【0015】
ところで、請求項1の発明において、領域分割手段による領域分割は、例えば請求項に記載したように、情報を入力するための入力手段を更に備え、入力手段を介して入力された少なくとも1種の部分領域を指定する情報に基づいて行うことができる。請求項の発明では、オペレータが入力手段を介して部分領域を指定する必要はあるものの、例えば複数種の部分領域への分割を演算等によって自動的に行った場合の精度が不足している等の場合にも、この影響を受けることなく、原画像の複数種の部分領域への分割を常に適正に行うことができる。
【0016】
また、請求項1の発明において、領域分割手段による領域分割は、例えば請求項に記載したように、原画像を表す画像データに基づいて原画像の各部における画像特徴量を演算し、画像特徴量の演算結果に基づいて行うことも可能である。なお、画像特徴量としては原画像の各部における濃度や色味、エッジ強度、或いはヒストグラムの何れの部分に属しているか等の情報を用いることができる。請求項の発明では、オペレータが入力手段を介して部分領域を指定する手間が省けるので省力化を実現できる。
【0017】
また、請求項1の発明において、読取条件設定手段による読取条件の設定は、例えば請求項に記載したように、原画像を表す画像データに基づいて原画像中の特定の部分領域の画像特徴量を演算し、特定の部分領域の画像特徴量の演算結果に基づいて行うことも可能である。なお、画像特徴量としては原画像の各部における色味やエッジ強度、或いはヒストグラムの何れの部分に属しているか等の情報を用いることができる。請求項の発明では、オペレータが入力手段を介して目標濃度を表す情報を入力する必要がなくなるので省力化を実現できる。
【0018】
請求項記載の発明に係る画像処理方法は、処理対象の原画像を、該原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域に分割し、前記複数種の部分領域の各々の前記処理対象の原画像上での濃度、及び、少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報に基づいて、前記処理対象の原画像の複数回の読み取りにおける読取条件を設定し、前記処理対象の原画像の複数回の読み取りが前記設定した読取条件で行なわれるように制御すると共に、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、前記複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、前記非基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量が、前記基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量と一致するように前記非基準画像データを変換することを、前記基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行い、前記変換を経た複数の画像データから前記部分領域のデータを選択・抽出して合成することで、出力画像を表す画像データを生成するので、請求項1の発明と同様に、原画像の画像内容に拘わらず、画像中の各部の濃度を適正化した出力画像を得ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0021】
第1比較例〕
まず本第1比較例に係るディジタルラボシステムについて説明する。
【0022】
(システム全体の概略構成)
図1には本第1比較例に係るディジタルラボシステム10の概略構成が示されている。このラボシステム10は、フィルムスキャナ12、画像処理部14、レーザプリンタ部16、及びプロセッサ部18を含んで構成されている。
【0023】
フィルムスキャナ12は、ネガフィルムやリバーサルフィルム等の写真フィルムに記録されているフィルム画像を読み取るためのものであり、例えば135サイズの写真フィルム、110サイズの写真フィルム、及び透明な磁気層が形成された写真フィルム(240サイズの写真フィルム:所謂APSフィルム)、120サイズ及び220サイズ(ブローニサイズ)の写真フィルムのフィルム画像を読取対象とすることができる。フィルムスキャナ12は、上記の読取対象のフィルム画像を読み取り、画像データを出力する。
【0024】
画像処理部14は、フィルムスキャナ12から出力された画像データ(スキャン画像データ)が入力されると共に、デジタルカメラでの撮影によって得られた画像データ、フィルム画像以外の原稿(例えば反射原稿等)をスキャナで読み取ることで得られた画像データ、コンピュータで生成された画像データ等(以下、これらをファイル画像データと総称する)を外部から入力する(例えば、メモリカード等の記憶媒体を介して入力したり、通信回線を介して他の情報処理機器から入力する等)ことも可能なように構成されている。
【0025】
画像処理部14は、入力された画像データに対して各種の補正等の画像処理を行って、記録用画像データとしてレーザプリンタ部16へ出力する。また、画像処理部14は、画像処理を行った画像データを画像ファイルとして外部へ出力する(例えばメモリカード等の記憶媒体に出力したり、通信回線を介して他の情報処理機器へ送信する等)ことも可能とされている。
【0026】
レーザプリンタ部16はR、G、Bのレーザ光源を備えており、画像処理部14から入力された記録用画像データに応じて変調したレーザ光を印画紙に照射して、走査露光によって印画紙に画像を記録する。また、プロセッサ部18は、レーザプリンタ部16で走査露光によって画像が記録された印画紙に対し、発色現像、漂白定着、水洗、乾燥の各処理を施す。これにより、印画紙上に画像が形成される。
【0027】
(フィルムスキャナの構成)
次にフィルムスキャナ12の構成について説明する。図2にはフィルムスキャナ12の光学系の概略構成が示されている。フィルムスキャナ12の光学系は、光源部20と、写真フィルム19を挟んで光源部20の反対側に配置された読取部22を備えている。
【0028】
光源部20はハロゲンランプ等から成るランプ21を備えている。ランプ21の周囲にはリフレクタ22が設けられており、ランプ21から射出された光の一部はリフレクタ22によって反射され、一定の方向へ射出される。リフレクタ22の光射出側には、リフレクタ22からの射出光の光軸Lに沿って、紫外域及び赤外域の波長の光をカットするUV/IRカットフィルタ(図示省略)、写真フィルム19への照射光の光量を調節するための光源絞り24(光量調節手段)、ターレット26、写真フィルム19に照射する光を拡散光とする光拡散ボックス30が順に設けられている。なお光源絞り24は絞り駆動部50(図2参照)によって駆動される。
【0029】
ターレット26には3成分色(R,G,B)の色分解フィルタ28が各々嵌め込まれており、これらの色分解フィルタ28はターレット26の回転に伴って選択的に光軸L上に位置される。各成分色の色分解フィルタ28が順次光軸L上に位置するようにターレット26が回転され、個々の色分解フィルタ28が光軸L上に位置している状態で読取部22(詳細は後述)がフィルム画像の読み取りを各々行うことにより、写真フィルム19に記録されているフィルム画像を各成分色に分解して読み取り可能とされている。なおターレット26はターレット駆動部48(図2参照)によって回転駆動される。
【0030】
光拡散ボックス30の上方には、写真フィルム19を収納しているカートリッジ17から写真フィルム19を引出して搬送するフィルムキャリア(図示省略)が設けられている。写真フィルム19には長手方向に沿って複数のフィルム画像が記録されており、カートリッジ17から引出された写真フィルム19は、記録されている各フィルム画像が、画面中心が光軸Lに一致した状態で順次位置決めされるように間欠搬送される。
【0031】
読取部22はモノクロのエリアCCD32(読取センサ)を備えている。また、写真フィルム19とエリアCCD32との間には、光軸Lに沿って、フィルム画像を透過した光をエリアCCD32の受光面上に結像させるレンズ34、エリアCCD32への入射光の光量を調節するためのレンズ絞り36(光量調節手段)、多数のLCDセルがマトリクス状に配列されて成るLCD38(入射光量変更手段)が順に配置されている。写真フィルム19(フィルム画像)を透過した光は、レンズ34を透過し、レンズ絞り36の配設位置を通過し、LCD38を透過してエリアCCD32に入射される。なおレンズ絞り36も絞り駆動部50(図2参照)によって駆動される。
【0032】
エリアCCD32は、詳しくは、CCDセルやフォトダイオード等を含み入射された光を光電変換して電荷として蓄積する機能を備えた光電変換セルが、所定方向に沿って一列に多数配列されてセンシング部を形成し、該センシング部が前記所定方向と直交する方向に沿って多数配列され、かつ全ての光電変換セルにおける電荷蓄積時間を一律に制御する電子シャッタ機構が設けられて構成されている。各センシング部の近傍には、多数のCCDセルから成る転送部が各センシング部に対応して各々設けられており、各センシング部の各CCDセルに蓄積された電荷(該電荷量は電荷蓄積期間内の入射光量の積分値を表している)は、対応する転送部を介して外部へ順に転送される。
【0033】
図3に示すように、エリアCCD32の信号出力端には、増幅器40、A/D変換器42、画像メモリ44が順に接続されており(図示省略)、エリアCCD32から出力された信号は、増幅器40で増幅されA/D変換器42でディジタルデータに変換された後に画像メモリ44に格納される。画像メモリ44はマイクロコンピュータ等を含んで構成された制御部46に接続されている。
【0034】
制御部46にはターレット駆動部48が接続されている。制御部46はターレット駆動部48に対してターレット26の回転目標位置を設定し、ターレット駆動部48は指示された回転目標位置へターレット26が回転するようにターレット26を回転駆動する。また制御部46には絞り駆動部50が接続されている。制御部46は絞り駆動部50に対して光源絞り24及びレンズ絞り36の移動目標位置を各々設定し、絞り駆動部50は設定された移動目標位置へ光源絞り24及びレンズ絞り36が各々移動するように光源絞り24及びレンズ絞り36を駆動する。
【0035】
また、制御部46はCCDドライバ52を介してエリアCCD32に接続されている。制御部46はCCDドライバ52に対し、フィルム画像読み取り時のエリアCCD32の電荷蓄積時間を設定し、CCDドライバ52は設定された電荷蓄積時間でエリアCCD32がフィルム画像の読み取りを行うようにエリアCCD32の作動を制御する。更に、制御部46はLCDドライバ54を介してLCD38に接続されている。制御部46はLCDドライバ54に対し、フィルム画像読み取り時のLCD38の各LCDセルの光透過率を制御する制御データを入力する。LCDドライバ54はLCD38の各LCDセルの光透過率が入力された制御データに対応する値となるようにLCD38の作動を制御する。
【0036】
(画像処理部の構成)
次に図4を参照し、画像処理部14の構成について説明する。画像処理部14は、フィルムスキャナ12から入力されるR、G、Bのデータに対応してフィルムスキャナ補正部60R、60G、60Bが設けられている。フィルムスキャナ補正部60R、60G、60Bは互いに同一の構成であり、これらを「フィルムスキャナ補正部60」と総称する。フィルムスキャナ補正部60は、フィルムスキャナ12からスキャンデータが入力されると、暗補正、濃度データへの変換(対数変換)、ランプ21の光量むらに応じた補正(シェーディング補正)、及び欠陥画素補正を順に行う。
【0037】
フィルムスキャナ補正部60の出力端はI/Oコントローラ62の入力端に接続されており、フィルムスキャナ補正部60で前記各処理が施されたデータはスキャンデータとしてI/Oコントローラ62に入力される。また、I/Oコントローラ62の入力端は、イメージプロセッサ64のデータ出力端にも接続されており、イメージプロセッサ64からは画像処理(詳細は後述)が行われた画像データが入力される。
【0038】
更に、I/Oコントローラ62の入力端はパーソナルコンピュータ66にも接続されている。パーソナルコンピュータ66は拡張スロット(図示省略)を備えており、この拡張スロットには、メモリカードやCD−R等の情報記憶媒体に対してデータの読出し/書込みを行うドライバ(図示省略)や、他の情報処理機器と通信を行うための通信制御装置が接続される。拡張スロットを介して外部からファイル画像データが入力された場合、入力されたファイル画像データはI/Oコントローラ62へ入力される。
【0039】
I/Oコントローラ62の出力端は、イメージプロセッサ64のデータ入力端、オートセットアップエンジン68、パーソナルコンピュータ66に各々接続されており、更にI/F回路70を介してレーザプリンタ部16に接続されている。I/Oコントローラ62は、入力された画像データを、出力端に接続された前記各機器に選択的に出力する。
【0040】
第1比較例では、写真フィルム19に記録されている個々のフィルム画像に対し、フィルムスキャナ12において異なる解像度で2回の読み取りを行う。1回目の比較的低解像度での読み取り(以下、プレスキャンという)では、フィルム画像の濃度が非常に低い場合にも、エリアCCDで蓄積電荷の飽和が生じないように決定した読取条件(写真フィルムに照射する光のR、G、Bの各波長域毎の光量、エリアCCDの電荷蓄積時間)でフィルム画像の読み取りが行われる。このプレスキャンによって得られたデータ(プレスキャン画像データ)は、I/Oコントローラ62からオートセットアップエンジン68へ入力される。
【0041】
オートセットアップエンジン68は、CPU72、RAM74(例えばDRAM)、ROM76(例えば記憶内容を書換え可能なROM)、入出力ポート78を備え、これらがバスを介して互いに接続されて構成されている。オートセットアップエンジン68は、I/Oコントローラ62から入力されたプレスキャン画像データに基づいて濃度等の画像特徴量を演算し、フィルム画像に対し、フィルムスキャナ12が比較的高解像度での再度の読み取り(以下、ファインスキャンという)を行う際の読取条件を決定する。そして読取条件をフィルムスキャナ12に出力する。
【0042】
また、オートセットアップエンジン68は、複数コマ分のフィルム画像のプレスキャン画像データに基づいて、フィルムスキャナ12がファインスキャンを行うことによって得られる画像データ(ファインスキャン画像データ)に対する各種の画像処理の処理条件を演算により自動的に決定し(セットアップ演算)、決定した処理条件をイメージプロセッサ64へ出力する。なお、画像処理の最適な処理条件は、画像処理後の画像データを、レーザプリンタ部16における印画紙への画像の記録に用いるのか、情報記録媒体に格納するのか等の出力形態によっても変化するので、画像処理部14は画像の出力形態に応じたセットアップ演算を行い、画像の出力形態に応じた最適な処理条件を求める。
【0043】
パーソナルコンピュータ66には、ディスプレイ80、キーボード82(請求項に記載の入力手段)、マウス(図示省略)が接続されている。パーソナルコンピュータ66は、オートセットアップエンジン68からプレスキャン画像データを取込むと共に、オートセットアップエンジン68によって決定された画像処理の処理条件を取込み、取り込んだ処理条件に基づき、ファインスキャン画像データを対象としてイメージプロセッサ64で行われる画像処理と等価な画像処理をプレスキャン画像データに対して行ってシミュレーション画像データを生成する。
【0044】
そして、生成したシミュレーション画像データを、ディスプレイ80に画像を表示するための信号に変換し、該信号に基づいてディスプレイ80にシミュレーション画像を表示する。また、ディスプレイ80に表示されたシミュレーション画像に対しオペレータによって画質等の検定が行われ、検定結果として処理条件の修正を指示する情報がキーボード82を介して入力されると、該情報をオートセットアップエンジン68へ出力する。これにより、オートセットアップエンジン68では画像処理の処理条件の再演算等の処理が行われる。
【0045】
一方、フィルムスキャナ12でフィルム画像に対してファインスキャンが行われることによってI/Oコントローラ62に入力された画像データ(ファインスキャン画像データ)は、I/Oコントローラ62からイメージプロセッサ64へ入力される。イメージプロセッサ64は、入力された画像データに対し、オートセットアップエンジン68によって各画像毎に決定されて通知された処理条件に従って、種々の画像処理を行う。各種の画像処理が行われた画像データは、前述のようにI/Oコントローラ62へ出力される。
【0046】
なお、イメージプロセッサ64で実行される画像処理としては、例えば階調変換、色変換、画像の超低周波輝度成分の階調を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等のように、出力画像の画質向上のための画像処理が挙げられる。
【0047】
イメージプロセッサ64で画像処理が行われた画像データを印画紙への画像の記録に用いる場合には、イメージプロセッサ64で画像処理が行われた画像データは、I/Oコントローラ62からI/F回路70を介し記録用画像データとしてレーザプリンタ部16へ出力される。これにより、レーザプリンタ部16では印画紙への画像の記録を行う。また、画像処理後の画像データを画像ファイルとして外部へ出力する場合は、イメージプロセッサ64で画像処理が行われた画像データは、I/Oコントローラ62からパーソナルコンピュータ66に出力される。これにより、パーソナルコンピュータ66では、外部への出力用としてI/Oコントローラ62から入力された画像データを、拡張スロットを介して画像ファイルとして外部(前記ドライバや通信制御装置等)に出力する。
【0048】
(作用)
次に本第1比較例の作用として、まずフィルム画像の読み取りを行う際に制御部46で実行される画像読取制御処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。ステップ102では、フィルムキャリアによってカートリッジ18から引出す方向に写真フィルム16を搬送し、写真フィルム16の先頭に記録されているフィルム画像が読取位置(フィルム画像の画面中心が光軸Lに一致する位置)に位置決めされるように制御する。
【0049】
なお、以下ではフィルム画像の読み取りが行なわれるが、本第1比較例のように読取センサとしてエリアセンサ(エリアCCD32)を用いた態様において、読み取りの解像度の切り替え(各回の読み取りで異なる解像度の画像データを得ること)は、例えばプレスキャン時もファインスキャン時と同一の高解像度で読み取りを行い、得られた画像データに対して画素の間引き又は画素の統合等の後処理を行うか、或いはファインスキャン時にはエリアセンサによって読み取りを複数回行うと共に、各回の読み取り時にピエゾ素子等のアクチュエータにより画素間隔の整数分の1に相当する距離だけエリアセンサを移動させることで実現できる。
【0050】
次のステップ104以降では、読取位置に位置決めしたフィルム画像に対してプレスキャンを行う。すなわち、ステップ104では所定の成分色の色分解フィルタ28が光軸L上に位置するように、ターレット駆動部48を介してターレット26を回転駆動させる。また、ステップ106ではプレスキャン時の読取条件(画像処理部14から通知される)を取り込み、取り込んだ読取条件のうち所定の成分色についてのエリアCCD32の電荷蓄積時間をCCDドライバ52へ設定する。
【0051】
ステップ108では、前記取り込んだ読取条件のうち光源絞り24及びレンズ絞り36の移動目標位置を絞り駆動部50に設定し、次のステップ110では、LCD38の各LCDセルの光透過率を、前記取り込んだ読取条件で設定されているLCD38の各LCDセルの光透過率に制御するための制御データをLCDドライバ54に入力する。なお、プレスキャン時の読取条件では、LCD38の各LCDセルの光透過率として一定(例えば光透過率最大)の値が設定されている。
【0052】
そしてステップ112では、読取位置に位置決めされているフィルム画像をエリアCCD32によって読み取る。これにより、位置決めされているフィルム画像が、所定の成分色について、予め設定されたプレスキャン時の読取条件に従って読み取られ、読み取り結果は増幅器40、A/D変換器42を介して所定の成分色のプレスキャン画像データとして画像メモリ44に格納される。
【0053】
ステップ114では、読取位置に位置決めされているフィルム画像に対し、全ての成分色について読み取り(プレスキャン)を完了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ104に戻り、ステップ114の判定が肯定される迄、ステップ104〜ステップ114を繰り返す。これにより、読取位置に位置決めされているフィルム画像を各成分色毎に順次読み取るプレスキャンが行なわれ、画像メモリ44には前記フィルム画像のプレスキャン画像データが格納されることになる。
【0054】
ステップ114の判定が肯定されると、読み取りによって得られたプレスキャン画像データを画像メモリ44から画像処理部14へ転送した後にステップ116へ移行し、写真フィルム16に記録されている全てのフィルム画像に対してプレスキャンを完了したか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ102に戻って次のフィルム画像を読取位置に位置決めし、上述したプレスキャン(ステップ104〜ステップ116)を繰り返す。全てのフィルム画像のプレスキャンを完了すると、ステップ116の判定が肯定されてステップ118へ移行し、画像処理部14で読取条件の演算が完了する迄待機する。
【0055】
一方、画像処理部14では、フィルムスキャナ12からプレスキャン画像データが転送されると、図6に示すプレスキャン処理を行う。なお、図6では単一のフィルム画像に対する処理を纏めて示しているが、実際には図6に示した処理が複数のフィルム画像に対して並列に実行される。
【0056】
ステップ150では、オートセットアップエンジン68において、フィルムスキャナ12からフィルムスキャナ補正部60、I/Oコントローラ62を介して入力された各フィルム画像のプレスキャン画像データに基づいて、各フィルム画像の濃度等の画像特徴量を各々演算し、演算した画像特徴量に基づいて、フィルムスキャナ12が各フィルム画像についてファインスキャンを行う際の読取条件を決定し、各フィルム画像を識別する情報(例えばコマ番号)と対応させてRAM74に記憶する。
【0057】
ステップ152ではプレスキャン画像データに基づいてオートセットアップ演算を行い、フィルムスキャナ12がファインスキャンを行うことによって得られるファインスキャン画像データに対する各種の画像処理の処理条件を決定する。なお、決定した画像処理の処理条件は、フィルム画像を識別する情報(例えばコマ番号)と対応されてRAM74に記憶される。
【0058】
次のステップ154以降では、パーソナルコンピュータ66で画像検定処理が行われる。すなわち、ステップ154ではオートセットアップエンジン68からプレスキャン画像データを取込むと共に、オートセットアップエンジン68によって決定された各種の画像処理の処理条件を取込み、取り込んだ処理条件に基づき、ファインスキャン画像データを対象としてイメージプロセッサ64で実行される画像処理と等価な画像処理をプレスキャン画像データに対して行ってシミュレーション画像データを生成する。
【0059】
次のステップ156では、ステップ154で生成したシミュレーション画像データを用いてディスプレイ80にシミュレーション画像を表示すると共に、画像の検定及び検定結果の入力をオペレータに要請するメッセージもディスプレイ80に表示する。ディスプレイ80にシミュレーション画像が表示されると、オペレータはシミュレーション画像を目視で確認し、シミュレーション画像の画質が適正か否かを検定すると共に、覆い焼き処理の実行が必要か否かを検定し、検定結果を表す情報をキーボード82を介して入力する。
【0060】
オペレータからキーボード82を介して何らかの情報(指示)が入力されるとステップ158へ移行し、入力された情報に基づき、シミュレーション画像に対する検定結果を判定する。ステップ158において、画像処理の処理条件の修正が指示されたと判断した場合にはステップ160へ移行し、オペレータから入力された処理条件の修正を指示する修正情報をオートセットアップエンジン68へ出力する。
【0061】
これにより、オートセットアップエンジン68ではステップ152において、各種の画像処理のうち、処理条件の修正が指示された画像処理の処理条件を、オペレータから入力された修正情報を考慮して再演算(すなわち修正)する。そしてパーソナルコンピュータ66によってステップ154、156が再度行われることにより、修正された処理条件に基づいて、ディスプレイ80にシミュレーション画像が再表示される。再表示された特定のシミュレーション画像をオペレータが目視で確認することにより、オペレータは先に入力した修正情報の内容が適正か否かを容易に判断できる。
【0062】
ところで、処理対象のフィルム画像が、例えばストロボを使用して撮影したフィルム画像や逆光のシーンを撮影したフィルム画像等のように、照明条件が互いに大きく異なる被写体に対応する画像部が各々存在している場合、フィルム画像から得られる出力画像中の一部領域に階調のとびやつぶれが生ずることがある。上記の階調のとびやつぶれは例えば画像全体の階調を圧縮することで補正できるが、この階調圧縮に伴って出力画像中の主要部領域の濃度が最適な値に対して偏倚したり、主要部領域の階調が必要以上に軟調化する等の画質の低下を招く恐れがある。
【0063】
オペレータは、ディスプレイ80に表示されたシミュレーション画像中の一部領域に階調のとびやつぶれが生じていることを目視で確認した等の場合、画像中の一部領域の濃度(又は濃度と色バランス)を修正するために、検定結果として覆い焼き処理の実行を指示する情報をキーボード82を介して入力する。ステップ158において、覆い焼き処理の実行を指示する情報が入力されたと判断した場合にはステップ162へ移行し、ステップ162以降で覆い焼き処理を行うための処理条件の設定を行う。
【0064】
ステップ162では、覆い焼き処理領域及び濃度補正値(明度や各成分色毎の濃度(色バランス)に対する補正量を表す補正値:請求項1に記載の「少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報」に相当)の設定をオペレータに要請するメッセージをディスプレイ80に表示する。次のステップ164では、オペレータによって覆い焼き処理領域及び濃度補正値が設定されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0065】
ディスプレイ80に上記メッセージが表示されると、オペレータは表示されているシミュレーション画像を目視し、画像中の他の部分領域とは無関係に濃度等を修正したい部分領域(画像中の主要部に相当する領域であってもよいし、画像中の背景に相当する領域であってもよい)を覆い焼き処理領域として設定すると共に、設定した覆い焼き処理領域に対する濃度補正値を設定する。
【0066】
なお、オペレータによる覆い焼き処理領域の設定は、具体的には、例えば表示されているシミュレーション画像上で覆い焼き処理領域の周縁に沿ってカーソルが移動するように、マウス等のポインティングデバイスを操作することで実現できる。また、ポインティングデバイスを操作して覆い焼き処理領域の略中心に相当する位置を指示することで覆い焼き処理領域を設定するようにしてもよい。この場合、覆い焼き処理領域の周縁位置は、例えば覆い焼き処理領域に属する画素として、シミュレーション画像上で指示位置と近接した位置に存在しており、かつ指示位置に対応する画素と濃度や色味が近似している画素を抽出し、抽出した画素群から成る領域を覆い焼き処理領域と判断することで、自動的にかつ比較的精度良く判断できる。上記操作によって入力される情報は、請求項に記載の「少なくとも1種の部分領域を指定する情報」に対応している。
【0067】
上記のようにして覆い焼き処理領域が設定されると、設定された覆い焼き処理領域とそれ以外の領域(非覆い焼き処理領域)を、フィルム画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる領域として区別し、双方の領域の境界位置を表す情報を記憶する。
【0068】
また、濃度補正値は、例えば設定した覆い焼き処理領域に対する濃度の修正の方向及び修正の程度に応じて濃度補正キーを操作することで設定することができる。また、覆い焼き処理領域の色バランスも修正したい場合についても、修正すべき成分色に対する修正の方向及び修正の程度に応じて色補正キーを操作することで設定することができる。
【0069】
更に、覆い焼き処理領域として設定される領域は、画像中の単一の部分領域に限られるものではなく、例えば同一の照明条件で照明されている複数の被写体が離れた位置に存在しているシーンを表す画像等のように、濃度等を略同様に修正したい部分領域(例えば前記複数の被写体に対応する複数の部分領域等)が画像上で離れた位置に存在している場合には、これらの部分領域が覆い焼き処理領域として各々設定され、設定された覆い焼き処理領域群に対して単一の濃度補正値が設定される。なお、濃度補正値が同一の覆い焼き処理領域群は「原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係」が同一の部分領域である。
【0070】
また、画像中の他の部分領域とは無関係に濃度等を修正したい部分領域が複数存在し、各々の部分領域の濃度等の修正方向及び修正量の少なくとも一方が相違している場合(原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる場合)には、前記複数の部分領域が覆い焼き処理領域として各々設定されると共に、濃度等の修正方向及び修正量の少なくとも一方が相違している覆い焼き処理領域毎に濃度補正値が各々設定される。この場合、異なる濃度補正値が設定された覆い焼き処理領域及び非覆い焼き処理領域は「原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域」に対応している。
【0071】
上記のようにして覆い焼き処理領域及び濃度補正値が設定されると、ステップ164の判定が肯定されてステップ166へ移行し、シミュレーション画像の前記設定された覆い焼き処理領域に対応する領域の濃度等が、前記設定された濃度補正値に応じて変化するようにシミュレーション画像データを修正し、修正したシミュレーション画像データを用いてディスプレイ80にシミュレーション画像データを表示する。
【0072】
これにより、オペレータによって設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に応じて覆い焼き処理を行った結果に相当するシミュレーション画像がディスプレイ80に表示されることになる。オペレータは表示されたシミュレーション画像を目視することで、先に設定した覆い焼き処理領域及び濃度補正値が適正か否かを判断することができる。
【0073】
次のステップ168では、シミュレーション画像の検定及び検定結果の入力を要請するメッセージを再度ディスプレイ80に表示し、オペレータによる検定結果が「検定OK」か否かを判定する。判定が否定された場合にはステップ162に戻り、ステップ168の判定が肯定される迄ステップ162〜168を繰り返す。これにより、適正な画質の出力画像が得られるように、覆い焼き処理の処理パラメータ(覆い焼き処理領域及び濃度補正値)が最適化されることになる。
【0074】
ところで、本第1比較例では覆い焼き処理として、フィルム画像のファインスキャンを行う際のLCD38の光透過率を、先に設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に応じて個々のLCDセルを単位として制御することで、エリアCCD32の各光電変換セルのうち、覆い焼き処理領域に対応する光電変換セルへの入射光量を、非覆い焼き処理領域に対応する光電変換セルへの入射光量に対して相対的に変化させる処理を行う。
【0075】
このため、ステップ168の判定が肯定されると、ステップ170において、設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に基づいて、フィルム画像のファインスキャンを行うことで得られるファインスキャン画像データ上で、非覆い焼き処理領域の濃度等を基準として、覆い焼き処理領域の濃度等が設定された濃度補正値に対応する値だけ変化するように、ファインスキャン時のLCD38の各LCDセルの濃度を演算する。この演算は以下のようにして行なわれる。
【0076】
すなわち、本第1比較例ではLCD38のLCDセルの数がエリアCCD32の光電変換セルの数よりも少ないので、LCD38の単一のLCDセルの光透過率を変更したときに、エリアCCD32の複数の光電変換セルへの入射光量が各々変化する。また、フィルム画像読取時にLCD38の光透過率を変更することは、エリアCCD32から見たフィルム画像の濃度を調整することに相当するが、読取対象のフィルム画像はレンズ34によってエリアCCD32の受光面上に結像されるのに対し、LCD38はエリアCCD32から所定距離隔てた位置に配置されているので、LCD38配置位置では読取対象のフィルム画像が光学的にぼけている。
【0077】
このため、まず設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に基づき、異なる処理領域(覆い焼き処理領域/非覆い焼き処理領域)に対応する画素群を単位として濃度をどの程度補正するか(どの程度明るく/暗くするか)を各成分色毎に判断し、各画素毎の濃度補正量を表す濃度補正データ(濃度補正パターン)を各成分色毎に求める。なお、このとき出力画像上で異なる処理領域の境界が不自然(例えば濃度が急激に変化している等)にならないように、異なる処理領域の境界付近で前記境界に直交する方向に沿って濃度補正量が徐々に変化するように濃度補正パターンを設定してもよい。
【0078】
次に、各成分色に求めた濃度補正パターンに対してフィルタリング等の処理を行うことにより、濃度補正パターンから低周波成分を各々抽出する。そして、抽出した低周波成分を表すデータ(低周波成分データ)を、LCD38のLCDセル数に対応する解像度のデータに変換する。これにより、設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に応じた覆い焼き処理を実現するための、ファインスキャン時のLCD38の個々のLCDセルの濃度値を表すデータ(LCD濃度制御データ)を得ることができる。
【0080】
LCD濃度制御データはオートセットアップエンジン68に通知される。LCD濃度制御データはファインスキャン時の読取条件を規定するパラメータの1つであり、ファインスキャン時にLCD38の個々のLCDセルの光透過率をLCD濃度制御データに応じて制御することで読取条件自体が変化する。このため、次のステップ172では、先のステップ150で決定したファインスキャン時の読取条件(読取条件を規定するLCD濃度制御データ以外のパラメータ:エリアCCD32の電荷蓄積時間・光源絞り24及びレンズ絞り36の移動目標位置)をLCD濃度制御データに基づいて修正する。
【0081】
上記のステップ172の処理を行うとステップ152に戻り、各種の画像処理の処理条件の演算・画像の検定等の処理が再度行なわれる。そして、ステップ158において、オペレータによる検定結果が「検定OK」と判断されると、プレスキャン処理を終了する。なお、上述したプレスキャン処理はファインスキャンを行う全てのフィルム画像に対して各々行なわれる。
【0082】
一方、画像読取制御処理(図5)では、画像処理部14で読取条件が演算されると、先に説明したステップ118の判定が肯定されてステップ120へ移行し、フィルムキャリアによってカートリッジ18へ巻き戻す方向に写真フィルム16を搬送し、写真フィルム16の末尾に記録されているフィルム画像が読取位置に位置決めされるように制御する。
【0083】
次のステップ122以降では、読取位置に位置決めしたフィルム画像に対してファインスキャンを行う。すなわち、ステップ122では所定の成分色の色分解フィルタ28が光軸L上に位置するように、ターレット駆動部48を介してターレット26を回転駆動させる。また、ステップ124では画像処理部14で演算されたファインスキャン時の読取条件を取り込み、取り込んだ読取条件のうち所定の成分色についてのエリアCCD32の電荷蓄積時間をCCDドライバ52へ設定する。
【0084】
ステップ126では、前記取り込んだファンスキャン時の読取条件のうち、光源絞り24及びレンズ絞り36の移動目標位置を絞り駆動部50に設定し、次のステップ128では、LCD38の各LCDセルの光透過率を、前記取り込んだファインスキャン時の読取条件のうち所定の成分色についてのLCD濃度制御データに基づいて、LCD38の各LCDセルの光透過率を、前記LCD濃度制御データが表す各LCDセル毎の濃度に対応する光透過率に制御するための制御データをLCDドライバ54に入力する。
【0085】
これにより、LCD38の個々のLCDセルの濃度は、LCD濃度制御データで定められた各LCDセル毎の濃度に各々一致するように制御され、LCD濃度制御データに応じた濃度補正パターンがLCD38に現れることになる。
【0086】
そしてステップ130では、読取位置に位置決めされているフィルム画像をエリアCCD32によって読み取る。これにより、位置決めされているフィルム画像が、所定の成分色について、画像処理部14で演算されたファインスキャン時の読取条件に従って読み取られ、読み取り結果は増幅器40、A/D変換器42を介して所定の成分色のファインスキャン画像データとして画像メモリ44に格納される。
【0087】
ステップ132では、読取位置に位置決めされているフィルム画像に対し、全ての成分色について読み取り(ファインスキャン)を完了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ122に戻り、ステップ132の判定が肯定される迄、ステップ122〜ステップ132を繰り返す。これにより、読取位置に位置決めされているフィルム画像を各成分色毎に順次読み取るファインスキャンが行なわれ、画像メモリ44には前記フィルム画像のファインスキャン画像データが格納されることになる。
【0088】
上記のように、フィルム画像のファインスキャンに際しては、LCD38の個々のLCDセルの濃度をLCD濃度制御データが表す各LCDセルの濃度に一致するように制御している状態で読み取りを行うので、ファインスキャンによって画像メモリ44に格納されるファインスキャン画像データは、設定された覆い焼き処理領域についてのみ、設定された濃度補正値に応じて濃度等が補正された画像データとなる。
【0089】
従って、このファインスキャン画像データを用いて、例えば印画紙等の記録媒体への画像の記録や、ディスプレイ等の表示手段への画像の表示を行うことにより、面露光によって画像を露光記録する写真プリンタにおける覆い焼き処理(予め作成したマスクによって各領域毎に別々に印画紙に露光記録する処理)を行ったに等しい画像を得ることができる。
【0090】
ステップ132の判定が肯定されると、読み取りによって得られたファインスキャン画像データを画像メモリ44から画像処理部14へ転送した後にステップ134へ移行し、写真フィルム16に記録されている全てのフィルム画像に対してファインスキャンを完了したか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ120に戻って次のフィルム画像を読取位置に位置決めし、上述したファインスキャン(ステップ122〜ステップ134)を繰り返す。全てのフィルム画像のファインスキャンを完了すると、ステップ134の判定が肯定されて画像読取制御処理を終了する。
【0091】
画像処理部14へ転送されたファインスキャン画像データはイメージプロセッサ64に入力され、前述のプレスキャン処理によって演算された処理条件に従って所定の画像処理が行なわれた後に出力画像データとして画像処理部14から出力され、印画紙等の記録媒体への画像の記録等に供せられる。
【0092】
なお、上記の第1比較例では、出力画像上での濃度を異なる処理領域(覆い焼き処理領域/非覆い焼き処理領域)毎に独立に制御することを、入射光量変更手段としてのLCD38によってエリアCCD32への入射光量を前記異なる処理領域に対応する光電変換セル群を単位として変更し、フィルム画像の読取条件を前記異なる処理領域毎に相違させることで実現していたが、フィルム画像の読取条件を覆い焼き処理領域と非覆い焼き処理領域とで相違させることは、LCD38等の入射光量変更手段を設けることに代えて、読取センサとして、個々の光電変換セル毎に電荷蓄積時間を調整可能な電荷蓄積型の読取センサを設け、覆い焼き処理領域に対応する光電変換セル群と非覆い焼き処理領域に対応する光電変換セル群とでフィルム画像読取時の電荷蓄積時間を相違させることによっても実現できる。
【0093】
上記の電荷蓄積型の読取センサの一例としてのCCDセンサ(エリアCCDでもラインCCDでもよい)は、光電変換セルで入射光を光電変換することで得られた電荷をCCDセルに蓄積させる第1の状態、又は前記電荷を基板側に排出する第2の状態に切り替わるスイッチング素子を含む電子シャッタ機構が個々の光電変換セルに各々設けられており、個々の光電変換セル毎に電荷蓄積時間を調整可能とされている。なお、上記のCCDセンサを用いる場合、CCDドライバとして、CCDセンサの個々の光電変換セル毎に電子シャッタ制御信号を各々生成し出力することで、個々の光電変換セルの電子シャッタ機構を制御する(スイッチング素子の状態を第1の状態又は第2の状態に切り替える)機能を有しているCCDドライバを用いる必要がある。
【0094】
上記態様では、設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に基づき、覆い焼き処理領域及び非覆い焼き処理領域における濃度補正量を各々判断した後に、判断した濃度補正量をCCDセンサの光電変換セルにおける蓄積電荷量に変換し、覆い焼き処理領域に対応する光電変換セル群及び非覆い焼き処理領域に対応する光電変換セル群の電荷蓄積時間を各々演算し、演算結果に基づいてCCDセンサの個々の光電変換セルの電荷蓄積時間を表す蓄積時間データを設定する。
【0095】
そして、ファインスキャン時には蓄積時間データをCCDドライバに通知し、CCDドライバは、CCDセンサの個々の光電変換セルが通知された電荷蓄積時間だけ電荷を蓄積するようにCCDセンサの動作を制御する(本発明の制御手段に対応する処理)。
【0096】
上記により、CCDセンサにおける電荷蓄積時間が、異なる処理領域に対応する光電変換セル群を単位として相違され、フィルム画像の読取条件が前記異なる処理領域毎に相違されることになるので、出力画像上での濃度を異なる処理領域毎に独立に制御することができる。
【0097】
〔実施形態〕
次に本発明の実施形態について説明する。なお、比較例と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態は、図2に示したラインスキャナ12のLCD38及びLCDドライバ54が省略されている(図示省略)点で第1比較例と相違している。
【0098】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態では、フィルム画像に対するファインスキャンを互いに異なる読取条件(互いに異なる処理領域を適正に読み取るための読取条件)で複数回行い、各回の読み取りで各々得られたファインスキャン画像データから、互いに異なる領域の画像データを抽出して合成することによって出力画像データを得ている。
【0099】
すなわち、本実施形態に係るプレスキャン処理では覆い焼き処理の実行が指示された画像に対して覆い焼き処理領域及び濃度補正値が設定されると、設定された覆い焼き処理領域及び濃度補正値に基づき、覆い焼き処理領域及び非覆い焼き処理領域における濃度補正量を各々判断した後に、判断した濃度補正量をCCDセンサの光電変換セルにおける蓄積電荷量に変換し、覆い焼き処理領域を読取対象とする読み取り時の電荷蓄積時間、及び非覆い焼き処理領域を読取対象とする読み取り時の電荷蓄積時間を各成分色毎に各々演算する。
【0100】
なお、覆い焼き処理領域を読取対象とする読み取り時の電荷蓄積時間については、覆い焼き処理領域として、濃度補正値が異なる複数種の覆い焼き処理領域が設定された場合には、各種の覆い焼き処理領域について、各成分色毎の電荷蓄積時間が各々演算される。
【0101】
そして、フィルム画像に対するファインスキャンにおけるフィルム画像の読取回数Nとして、「覆い焼き処理領域の種類数+1(非覆い焼き処理領域の読み取り)」に相当する値を設定すると共に、先に演算したN種の各成分色毎の電荷蓄積時間を、ファインスキャン時の1回目の読み取りからN回目の読み取りの何れかにおける電荷蓄積時間として各々設定する。
【0102】
次に本実施形態に係る画像読取制御処理について、図7のフローチャートを参照し、第1比較例で説明した画像読取制御処理(図5)と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態に係る画像読取制御処理のうち、フィルム画像に対するプレスキャンに係る処理(ステップ102〜116)については、LCDの濃度を制御するステップ(図5のステップ110)が省略されている以外は第1比較例と同様である。
【0103】
一方、フィルム画像に対するファインスキャンに係る処理については、ステップ120において、写真フィルム16を搬送して末尾に記録されているフィルム画像を読取位置に位置決めした後に、次のステップ180で、ファインスキャンにおけるフィルム画像の読取回数Nを取り込むと共に、読取回数カウンタnに1を代入する。また、ステップ182ではフィルム画像に対するファインスキャンにおけるn回目の読み取りにおける所定の成分色についての電荷蓄積時間を取り込む。
【0104】
次のステップ184では所定の成分色の色分解フィルタ28を光軸L上が位置するようにターレット26を回転駆動させ、ステップ186では先のステップ182で取り込んだ電荷蓄積時間をCCDドライバ52へ設定する。また、ステップ188ではファンスキャン時の読取条件として設定された移動目標位置へ光源絞り24及びレンズ絞り36を移動させ、ステップ190では読取位置に位置決めされているフィルム画像をエリアCCD32によって読み取る。
【0105】
ステップ132では、読取位置に位置決めされているフィルム画像に対し、n回目の読み取りを全ての成分色について完了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ182に戻り、ステップ192の判定が肯定される迄、ステップ182〜ステップ192を繰り返す。これにより、読取位置に位置決めされているフィルム画像に対してn回目のファインスキャンが行なわれる。
【0106】
ステップ192の判定が肯定されるとステップ194へ移行し、読取回数カウンタnの値が読取回数Nの値に等しくなったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ196で読取回数カウンタnの値を1だけインクリメントしてステップ182に戻る。従って、ステップ194の判定が肯定される迄、ステップ182〜ステップ196が繰り返されることで、読取位置に位置決めされているフィルム画像を各成分色毎に順次読み取ることが、互いに異なる電荷蓄積時間でN回繰り返され、画像メモリ44には、単一のフィルム画像に対するN回の読み取りに対応して前記フィルム画像のN種類のファインスキャン画像データが格納されることになる。
【0107】
ステップ194の判定が肯定されるとステップ198へ移行し、全てのフィルム画像に対してファインスキャンが完了する迄(ステップ198の判定が肯定される迄)、ステップ120以降の処理が繰り返され、各フィルム画像に対して上述したファインスキャンが各々行なわれる。そして、ファインスキャンによって得られたファインスキャン画像データは画像処理部14に各々転送される。
【0108】
次に、上記のファインスキャンによって得られた覆い焼き処理の実行が指示されたフィルム画像のN種類(N≧2)のファインスキャン画像データに対し、画像処理部14で行なわれる画像合成処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。なお、図8の画像合成処理は、画像読取制御処理(図7)において、単一のフィルム画像に対するN回の読み取りでの電荷蓄積時間を制御するステップ180、182、186と共に本発明の制御手段に対応している。
【0109】
なお、以下では画像処理部14のオートセットアップエンジン68で画像合成処理が行なわれるものとして説明するが、イメージプロセッサ64又はパーソナルコンピュータ66で画像合成処理を行うことも可能である。また、以下では単一のフィルム画像に対する画像合成処理について説明するが、実際には覆い焼き処理の実行が指示された全てのフィルム画像に対して画像合成処理が各々行なわれる。
【0110】
ステップ210では、処理対象のフィルム画像のN種類のファインスキャン画像データのうち、基準となるファインスキャン画像データ(基準画像データ)を取り込む。なお、基準となるファインスキャン画像データは、覆い焼き処理領域を読取対象とする読み取り(覆い焼き処理領域を対象として演算された電荷蓄積時間での読み取り)で得られた画像データであってもよいし、非覆い焼き処理領域を読取対象とする読み取り(非覆い焼き処理領域を対象として演算された電荷蓄積時間での読み取り)で得られた画像データであってもよく、例えば(N−1)種の覆い焼き処理領域及び非覆い焼き処理領域のうち、オペレータによって指定された画像中の主要部に対応する処理領域を読取対象とする読み取りで得られた画像データとしてもよい。
【0111】
ステップ212では、N種類のファインスキャン画像データの中から未取り込みのファインスキャン画像データ(非基準画像データ)を取り込み、次のステップ214では基準画像データ及び非基準画像データ上で階調が各々保存されている(階調のとびや潰れが生じていない)共通領域を抽出する。この共通領域は、例えば以下のようにして抽出することができる。
【0112】
すなわち、フィルム画像読取時の読取条件に応じて定まるので、ファインスキャンにおけるN回の読み取りの各々について、プレスキャン時との読取条件の差を求め、プレスキャン画像データが表すフィルム画像の各領域の濃度、及び前記求めた読取条件の差に基づいて、フィルム画像上の各領域のうち、ファインスキャン画像データ上で階調が保存されていると推定される領域を、N回の読み取りによって得られるN種類のファインスキャン画像データについて各々求める。
【0113】
そして、ステップ210で取り込んだ基準画像データ上で階調が保存されている領域と、ステップ212で取り込んだ非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出する。
【0114】
ステップ216では、ステップ214で抽出した共通領域の画像特性値を、基準画像データ及び非基準画像データについて各々求める。なお、画像特性値としては、例えば共通領域の平均濃度・濃度の中間値・濃度ヒストグラムのピークにおける濃度値・濃度ヒストグラムにおける濃度の最大値又は最小値からの累積頻度が所定値のときの濃度値等を用いることができる。
【0115】
次のステップ218では、基準画像データから求めた共通領域の画像特性値と、非基準画像データから求めた共通領域の画像特性値との差に基づいて、両者が一致するように非基準画像データを変換する(非基準画像データから求まる共通領域の画像特性値を基準画像データから求めた共通領域の画像特性値に一致させる)ための変換条件を演算・設定する。そしてステップ220では、ステップ218で設定した変換条件に従って非基準画像データを変換する。
【0116】
ステップ222では、変換後の非基準画像データから、該非基準画像データに対応するフィルム画像読み取り時に読取対象としていた領域(覆い焼き処理領域又は非覆い焼き処理領域:出力画像として用いる領域)のデータを抽出する。そしてステップ224では基準画像データのうち、ステップ222で抽出した領域に対応する画素のデータを、前記抽出した領域のデータで置き換える。
【0117】
ステップ226では、未処理のファインスキャン画像データが有るか否か判定する。この判定は、ファインスキャン時の読取回数NがN≧3の場合には、少なくとも1回は肯定される。ステップ226の判定が肯定された場合にはステップ212に戻り、未処理のファインスキャン画像データを非基準画像データとしてステップ212以降の処理が繰り返される。
【0118】
これにより、ステップ226の判定が否定されたときには、N回の読み取りによって得られたN種類のファインスキャン画像データから、各回の読み取りにおける読取対象の領域(覆い焼き処理領域又は非覆い焼き処理領域)のデータを各々抽出して合成した画像データが得られる。また、データの合成に際して共通領域の画像特性値が一致するようにデータを変換しているので、前記合成した画像データが表す画像上で、各処理領域の境界が不自然(例えば濃度が急激に変化している等)になることない。
【0119】
ステップ226の判定が肯定されるとステップ228へ移行し、合成した画像データをイメージプロセッサ64へ出力して画像合成処理を終了する。これにより、前記画像データに対してイメージプロセッサ64で各種の画像処理が行なわれ、出力画像データとして出力される。
【0120】
なお、実施形態では電荷蓄積時間を変更することで各回の読み取りにおける読取条件を変更していたが、これに限定されるものではなく、例えば光源絞り24やレンズ絞り36の位置を変更することで読取条件を変更するようにしてもよいし、電荷蓄積時間の変更と各絞りの位置の変更を併用して読取条件を変更するようにしてもよい。
【0121】
〔第2比較例
次に本発明の第2比較例について説明する。なお本第2比較例は、装置構成については実施形態で説明した構成(ラインスキャナ12のLCD38及びLCDドライバ54が省略された構成)と同一であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、本第2比較例の作用を説明する。
【0122】
先に説明した第1比較例及び実施形態では、フィルム画像に対する読取条件を制御することで覆い焼き処理を行ったに等しい画像データを得ていたが、本第2比較例では、後に詳述するように、フィルム画像を読み取ることによって得られた画像データに対して覆い焼き処理に相当する画像処理(自動覆い焼き処理)を行うことで、覆い焼き処理を行ったに等しい画像データを取得する。
【0123】
従って、フィルム画像を読み取ることで覆い焼き処理を行ったに等しい画像データが得られるように読取条件を制御する必要はなくなるので、本第2比較例では、写真フィルム19に記録されている各フィルム画像に対し、比較的高い解像度での読み取り(ファインスキャン)のみを行う。このファインスキャンは、各フィルム画像に対して一定の読取条件で読み取りを行うようにしてもよいし、高解像度での読み取りを互いに異なる読取条件で複数回行い、各回の読み取りで蓄積電荷の飽和が発生したか否かを読取センサの各光電変換セル毎に各々判断することで、複数回の読み取りで得られた複数種の画像データから各画素毎に最適なデータを選択して合成するようにしてもよい。
【0124】
次に、本第2比較例において、フィルム画像に対するファインスキャンが完了すると画像処理部14で実行される処理条件設定処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。なお、図9では単一のフィルム画像に対する処理を纏めて示しているが、実際には図9に示した処理が複数のフィルム画像に対して並列に実行される。
【0125】
ステップ250では、ファインスキャンによって得られたファインスキャン画像データを取り込み、画素の間引き(或いは複数画素のデータの統合)等の解像度変換を行うことで低解像度画像データを生成する。ステップ252では低解像度画像データに基づいてオートセットアップ演算を行い、ファインスキャン画像データに対する各種の画像処理の処理条件を決定する。なお、ステップ250、252はオートセットアップエンジン68で実行される。
【0126】
次のステップ254以降では、パーソナルコンピュータ66で画像検定処理が行われる。ステップ254ではオートセットアップエンジン68から低解像度画像データを取込むと共に、前記決定された各種の画像処理の処理条件を取込み、取り込んだ処理条件に基づき、ファインスキャン画像データを対象として実行される画像処理と等価な画像処理を低解像度画像データに対して行ってシミュレーション画像データを生成する。
【0127】
次のステップ256では、ディスプレイ80にシミュレーション画像を表示すると共に、画像の検定及び検定結果の入力をオペレータに要請するメッセージもディスプレイ80に表示する。オペレータからキーボード82を介して何らかの情報(指示)が入力されるとステップ258へ移行し、シミュレーション画像に対する検定結果を判定する。
【0128】
ステップ258において、画像処理の処理条件の修正が指示されたと判断した場合にはステップ260へ移行し、オペレータから入力された処理条件の修正を指示する修正情報をオートセットアップエンジン68へ出力する。これにより、ステップ252において、処理条件の修正が指示された画像処理の処理条件の再演算(修正)が行なわれ、修正された処理条件に基づいて、ディスプレイ80にシミュレーション画像が再表示される。
【0129】
また、ステップ258において、覆い焼き処理の実行を指示する情報が入力されたと判断した場合にはステップ262へ移行し、ステップ262以降で覆い焼き処理を行うための処理条件の設定を行う。すなわち、ステップ262では低解像度画像データに基づいて、フィルム画像を、異なる処理パラメータで自動覆い焼き処理を行うべき複数種の領域、すなわちフィルム画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の領域に分割する。
【0130】
なお、フィルム画像を複数種の領域に分割することは、例えば低解像度画像データに基づいて、フィルム画像の色相値(及び彩度値)についてのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを山毎に分割し、各画素が分割した山の何れに属するかを判断して各画素を分割した山に対応する群に分け、各群毎にフィルム画像を複数の領域に分割することで実現できる(所謂クラスタリング)。
【0131】
また、例えば低解像度画像データに基づいてフィルム画像中の各箇所における濃度又は輝度の変化量が所定値以上の箇所(エッジ)を抽出し、抽出したエッジを境界位置としてフィルム画像を複数種の領域に分割するようにしてもよい。更に、明らかに背景に属する特定の色(例えば空や海の青、芝生や木の緑等)を予め記憶しておき、低解像度画像データに基づいて、フィルム画像を、記憶色の領域と非記憶色の領域に分割することで、フィルム画像を複数種の領域に分割するようにしてもよい。
【0132】
また、例えば低解像度画像データに基づいて、フィルム画像中の画素又は複数画素から成る小領域を単位として、隣接する画素(又は小領域)と濃度や色を比較し、濃度や色の近似度合いが高い場合(色の近似度合いは色座標を用いることで判断できる)には隣接する画素(又は小領域)と統合することを繰り返すことでフィルム画像を多数の領域に分割した後に、各領域内の濃度や色を比較して濃度や色の近似度合いが高い領域を同一種の領域と分類することで、フィルム画像を複数種の領域に分割するようにしてもよい。
【0133】
次のステップ264は、低解像度画像データに基づいて、複数種の領域の各々について濃度に関する画像特徴量及び色に関する画像特徴量を演算し、求めた画像特徴量に基づいて濃度補正量及び色補正量を各領域毎に演算・設定し、自動覆い焼き処理対象のフィルム画像の画像データ(詳しくは低解像度画像データ)に対する自動覆い焼き処理の処理パラメータを演算する。
【0134】
具体的には、濃度補正量については、例えば各領域がフィルム画像中の主要部に相当する領域か背景に相当する領域かを判断し(例えば特開平8-122944号公報、特開平8-184925号公報等参照)、主要部領域と判断した領域については該領域の濃度と画像中の主要部領域としての適正な濃度域との偏差に基づいて、背景部と判断した領域については該領域の濃度と画像中の背景領域としての適正な濃度域との偏差に基づいて、各領域の濃度が前記適正な濃度域内に収まるように濃度補正量を設定する。
【0135】
また、色補正量については、例えば画像中の人物の顔に相当する領域は濃度が高いと青みがかかった色となるので、フィルム画像中の人物の顔に相当する領域である確度が高いと推定される主要部領域については、青みが減じられるように色補正量を設定する。また、例えば空や海の青、芝生や木の緑等については、好ましい色(及び濃度)がおおよそ定まっているので、フィルム画像中の空や海、芝生、木の緑等に相当する領域である確度が高いと推定される背景領域については、好ましい色(及び濃度)で再現されるように色補正量(及び濃度補正量)を設定する。
【0136】
一方、本第2比較例では、例として図10(A)に示すように、処理対象の画像データ(図では原画像と表記)に対し、該画像データと異なる所定の表色系のデータに変換する色空間変換を行い、色空間変換後のデータを処理パラメータによって補正した後に、元の表色系(例えばRGB表色系)の画像データに変換することで自動覆い焼き処理を行う。なお、前記所定の表色系としては、例えば均等知覚色空間であるL*a*b*表色系やL*u*v*表色系、マンセル表色系等の顕色系を用いてもよいし、写真感光材料の焼付けに相当する表色系(具体的には写真フィルム(ネガフィルム又はリバーサルフィルム)の光透過率と印画紙の感度を掛け合わせたもの)を用い、写真感光材料の焼付けに相当する表色系のデータに変換することで面露光を忠実にシミュレートするようにしてもよい。図10(A)において、実線で示すブロックはデータを、破線で示すブロックは処理を表している(後述する図10(B)も同様)。
【0137】
このため、先に各領域毎に演算・設定した濃度補正量及び色補正量を、色空間変換後のデータに対する補正値(例えば明度に対する補正値と色度又は色相に対する補正値)に各々変換する。そして、各領域の位置・形状及びサイズ(各領域に属する画素の分布状態)に基づき、低解像度画像データに対する処理パラメータとして、色空間変換後のデータに対する補正値を各画素毎に設定した補正値パターン(画像の各部に対する補正値を低解像度画像データと同一の解像度で表すデータ)を設定する。
【0138】
ステップ266では低解像度画像データに対し、所定の表色系のデータに変換する色空間変換を行い、次のステップ268では色空間変換を行って得られたデータに対し、先のステップ264で演算・設定した低解像度画像データに対する処理パラメータを用いて補正する。そしてステップ270では、補正後のデータを元の表色系の画像データ(低解像度画像データ)へ逆変換する色空間変換を行う。これにより、現在設定されている処理パラメータに従って自動覆い焼き処理を行った結果に相当する画像データが得られる。
【0139】
ステップ272では逆変換によって得られた低解像度画像データを用いてシミュレーション画像データを生成し、現在の処理パラメータで自動覆い焼き処理を行ったときの処理結果を表すシミュレーション画像をディスプレイ80に表示すると共に、自動覆い焼き処理の処理パラメータが適正か否かの検定をオペレータに要請するメッセージをディスプレイ80に表示する。そして、ステップ274ではキーボード82を介してオペレータから入力された情報に基づいて、オペレータによる自動覆い焼き処理の処理パラメータに対する検定結果を判定する。
【0140】
オペレータはディスプレイ80に表示されたシミュレーション画像を参照し、シミュレーション画像中の各部の濃度や色が適正か否かに基づいて自動覆い焼き処理の処理パラメータの適否を検定する。そして、例えばフィルム画像に対する領域分割が不適であると判断した場合には、検定結果として、領域分割が不適であることを表す情報、及び領域の分割数や領域の境界位置の修正を指示する情報をキーボード82を介して入力する。領域分割が不適であることを表す情報が入力された場合はステップ274からステップ276へ移行し、入力された修正指示に応じて領域の分割数や領域の境界位置を修正してステップ264に戻る。これにより、前記修正指示が反映された処理パラメータが再設定され、シミュレーション画像がディスプレイ80に再表示される。
【0141】
また、領域の分割数及び領域の境界位置は適正であるものの、複数種の領域のうちの特定領域の濃度等を修正したい等の場合、オペレータは、自動覆い焼き処理による補正量が不適であることを表す情報と共に、濃度等を修正したい特定領域を指定する情報、該特定領域に対して濃度等をどの程度修正するかを指示する情報をキーボード82を介して各々入力する。補正量が不適であることを表す情報が入力された場合はステップ274からステップ278へ移行し、指定された特定領域に対する補正量が指示された修正量だけ変化するように処理パラメータを修正してステップ266に戻る。これにより、修正した処理パラメータを用いてシミュレーション画像がディスプレイ80に再表示される。
【0142】
上記処理(ステップ264〜278)は、処理パラメータが「OK」であることを表す情報をオペレータが入力する迄繰り返されるので、ステップ262、264で自動的に設定した領域の分割数、領域の境界位置、各領域に対する補正量の少なくとも1つが不適であった場合にも、オペレータによる検定を経て自動覆い焼き処理の処理パラメータが修正されて最適化されることになる。
【0143】
オペレータがキーボード82を介し、処理パラメータが「OK」であることを表す情報を入力すると、ステップ274からステップ280へ移行する。上記処理で扱っていた処理パラメータは低解像度画像データに対応する低解像度のデータであるので、ステップ280では、高解像度のファインスキャン画像データに対して自動覆い焼き処理を行うために、オペレータによって適正と判断された処理パラメータが、ファインスキャン画像データに対応する高解像度のデータとなるように変換する。
【0144】
次のステップ282では、解像度変換後の処理パラメータを自動覆い焼き処理の処理条件として記憶してステップ252に戻る。これにより、ステップ256において、各種の画像処理に加えて自動覆い焼き処理も行なわれた画像(出力画像)を表すシミュレーション画像が表示され、再度オペレータによってシミュレ−ション画像の検定が行なわれ、自動覆い焼き処理を行うことで最適な処理条件が変化した画像処理が有れば、ステップ260で該画像処理の処理条件が修正される。
【0145】
そして、オペレータがキーボード82を介して「検定OK」を表す情報を入力すると、ステップ258からステップ284へ移行し、ステップ250で取り込んだファインスキャン画像データ、及び自動覆い焼き処理の処理パラメータを含む各種画像処理の処理条件をイメージプロセッサ64へ出力して処理条件設定処理を終了する。
【0146】
これにより、イメージプロセッサ64では、入力されたファインスキャン画像データに対し、図10(A)に示すように、所定の表色系のデータに変換し、変換後のデータを入力された処理パラメータに従って補正した後に、元の表色系の画像データに逆変換する自動覆い焼き処理を行う。また、処理条件設定処理で処理条件が設定された他の画像処理も行い、画像処理後の画像データを出力画像データとして出力する。
【0147】
なお、画像の明度を変化させると、それに伴って不自然に彩度が変化することがある。詳しくは、画像中の低明度域の明度を高くすると彩度が不自然に高くなることがあり、画像中の高明度域の明度を低くした場合には彩度が不自然に低くなることがある。このため、明度の変更に伴って彩度が著しく変化する等の場合には彩度の変化を抑制するために、自動覆い焼き処理として、図10(B)に示すように明度の変更量に応じて彩度を補正することが好ましい。
【0148】
図10(B)に示す自動覆い焼き処理は、原画像データ(低解像度画像データ又はファインスキャン画像データ)をマンセル表色系のデータ(明度V,彩度C,色相H)に変換する色空間変換を行い、色空間変換によって得られた明度信号1に対して明度に関する処理パラメータを加算し、処理パラメータ加算後の明度信号2を元の表色系の画像データへの逆変換に用いることによって画像の明度を補正している。なお、明度に関する処理パラメータは画素単位で明度を補正するパラメータであり、或る画素に対するパラメータの符号が正であれば前記画素の明度は増加方向に補正され、前記符号が負であれば前記画素の明度は減少方向に補正される。
【0149】
また、図10(B)では、明度に対応した関数を用いて、明度信号1を出力値1に変換すると共に明度信号2を出力値2に変換し、色空間変換によって得られた彩度信号1を、出力値1と出力値2の差分に相当する差分信号で補正し、補正後の彩度信号2を元の表色系の画像データへの逆変換に用いている。明度に対応した関数としては、例えば図10(C)に示すように、入力値(明度)が高明度域の値又は低明度域の値のときにのみ、入力値の変化に応じて出力値が変化する関数を用いることができる。
【0150】
これにより、中明度域に相当する明度の画像領域の明度を補正(変更)する場合は彩度の補正量(差分信号)が0又は0付近の値になると共に、高明度域に相当する明度の画像領域、或いは低明度域に相当する明度の画像領域の明度を補正(変更)する場合にのみ、明度の変更量に応じて前記画像領域の彩度が補正されることになる。従って、明度の変更に伴って彩度が不自然に変化することを防止することができる。なお、明度に対応する関数としては、入力値(明度)が高明度域の値又は低明度域の値のときに入力値の変化に応じて出力値が非線形に変化する関数を用いてもよい。
【0151】
なお、第2比較例では、異なる処理パラメータで自動覆い焼き処理を行うべき複数種の領域への分割、及び各領域に対する濃度補正量及び色補正量の演算を自動的に行って処理パラメータを設定した後に、ディスプレイ80にシミュレーション画像を表示して処理パラメータが適正か否か(領域分割及び各補正量が適正か否か)をオペレータに検定させていたが、これに限定されるものではなく、領域分割及び補正量の演算が適正に行なわれる確率が高ければ、オペレータによる検定を省略して処理パラメータの設定を完全に自動化してもよい。
【0152】
また、第2比較例ではファインスキャン画像データを低解像度化することにより、第1比較例及び実施形態におけるプレスキャン画像データに相当する低解像度画像データを得ていたが、これに限定されるものではなく、プレスキャンを行って低解像度画像データ(プレスキャン画像データ)を取得するようにしてもよい。
【0153】
また、実施形態では複数種の領域への分割(覆い焼き処理領域の指定)及び補正量(濃度補正値)の決定をオペレータによって各々行なわせる態様、第2比較例では複数種の領域への分割及び補正量の決定を各々自動的に行う態様を説明したが、これに限定されるものではなく、複数種の領域への分割をオペレータによって行なわせ補正量の決定を自動的に行うようにしてもよいし、複数種の領域への分割を自動的に行い補正量の決定をオペレータによって行わせるようにしてもよい。
【0154】
更に、上記では、読取センサとしてエリアセンサ(エリアCCD32)を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、ラインCCD等のように光電変換セル列(センシング部)が1本又は複数本並べられた構成のラインセンサを用いてもよい。またCCDセンサに代えて、例えばMOS型撮像素子等の他の読取センサを用いてもよい。
【0155】
また、上記では写真フィルムに記録されたフィルム画像を読み取る場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、印画紙や普通紙、感熱紙等の記録材料(反射原稿)に記録された画像の読み取りを行うスキャナ(例えば複写機のスキャナ等)に本発明を適用することも可能である。また、第2比較例で説明した自動覆い焼き処理については、画像を読み取ることで得られた画像データを処理対象とすることに限定されるものではなく、例えばCD−R等の情報記憶媒体に記憶された画像データや、通信回線を介して他の情報処理装置から転送された画像データを処理対象とすることも可能であることは言うまでもない。
【0156】
【発明の効果】
以上説明したように発明は、処理対象の原画像を、該原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域に分割し、複数種の部分領域の各々の処理対象の原画像上での濃度、及び、少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報に基づいて、処理対象の原画像の複数回の読み取りにおける読取条件を設定し、処理対象の原画像の複数回の読み取りが前記読取条件設定手段によって設定された読取条件で行なわれるように制御すると共に、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、非基準画像データから求めた共通領域の画像特徴量が、基準画像データから求めた共通領域の画像特徴量と一致するように非基準画像データを変換することを、基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行い、前記変換を経た複数の画像データから部分領域のデータを選択・抽出して合成することで、出力画像を表す画像データを生成するので、原画像の画像内容に拘わらず、画像中の各部の濃度を適正化した出力画像を得ることが可能となる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディジタルラボシステムの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】フィルムスキャナの光学系の概略構成図である。
【図3】フィルムスキャナの信号処理系及び制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図4】画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第1比較例に係る画像読取制御処理を示すフローチャートである。
【図6】第1比較例に係るプレスキャン処理を示すフローチャートである。
【図7】施形態に係る画像読取制御処理を示すフローチャートである。
【図8】施形態に係る画像合成処理を示すフローチャートである。
【図9】第2比較例に係る処理条件設定処理を示すフローチャートである。
【図10】(A)及び(B)は画像データに対する自動覆い焼き処理の内容(データフロー)の一例を示すブロック図、(C)は明度に対応した関数の一例を示す線図である。
【符号の説明】
10 ディジタルラボシステム
19 写真フィルム
32 エリアCCD
38 LCD
52 CCDドライバ
54 LCDドライバ
64 イメージプロセッサ
66 パーソナルコンピュータ
68 オートセットアップエンジン
80 ディスプレイ
82 キーボード

Claims (5)

  1. 処理対象の原画像を、該原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域に分割する領域分割手段と、
    前記複数種の部分領域の各々の前記処理対象の原画像上での濃度、及び、少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報に基づいて、前記処理対象の原画像の複数回の読み取りにおける読取条件を設定する読取条件設定手段と、
    前記処理対象の原画像の複数回の読み取りが前記読取条件設定手段によって設定された読取条件で行なわれるように制御すると共に、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、前記複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、前記非基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量が、前記基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量と一致するように前記非基準画像データを変換することを、前記基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行い、前記変換を経た複数の画像データから前記部分領域のデータを選択・抽出して合成することで、出力画像を表す画像データを生成する制御手段と、
    を含む画像処理装置。
  2. 情報を入力するための入力手段を更に備え、前記領域分割手段は、前記入力手段を介して入力された少なくとも1種の部分領域を指定する情報に基づいて、原画像を前記複数種の部分領域に分割することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記領域分割手段は、前記原画像を表す画像データに基づいて原画像の各部における画像特徴量を演算し、画像特徴量の演算結果に基づいて原画像を前記複数種の部分領域に分割することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  4. 前記読取条件設定手段は、前記原画像を表す画像データに基づいて原画像中の特定の部分領域の画像特徴量を演算し、特定の部分領域の画像特徴量の演算結果に基づいて前記読取条件を設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  5. 処理対象の原画像を、該原画像上での濃度と出力画像上での適正な濃度との関係が互いに異なる複数種の部分領域に分割し、
    前記複数種の部分領域の各々の前記処理対象の原画像上での濃度、及び、少なくとも1種の部分領域の出力画像上での目標濃度を表す情報に基づいて、前記処理対象の原画像の複数回の読み取りにおける読取条件を設定し、
    前記処理対象の原画像の複数回の読み取りが前記設定した読取条件で行なわれるように制御すると共に、複数回の読み取りによって得られた複数の画像データのうちの何れか1つの基準画像データ上で階調が保存されている領域と、前記複数の画像データのうちの何れか1つの非基準画像データ上で階調が保存されている領域で重なっている領域を共通領域として抽出し、前記非基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量が、前記基準画像データから求めた前記共通領域の画像特徴量と一致するように前記非基準画像データを変換することを、前記基準データ以外の全ての非基準画像データに対して各々行い、前記変換を経た複数の画像データから前記部分領域のデータを選択・抽出して合成することで、出力画像を表す画像データを生成する
    画像処理方法。
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