JP3937959B2 - 車輌用操舵制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の操舵制御装置に係り、更に詳細には操舵伝達比可変手段を有する操舵制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
操舵伝達比可変手段を有する自動車等の車輌の操舵制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる特開平10−324269号公報に記載されている如く、運転者により操作されるステアリングホイールに連結された入力部と、パワーステアリング装置を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、ステアリングホイールに連動して回転作動するアクチュエータによって入力部と出力部とを相対回転させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する操舵制御装置が従来より知られている。
【0003】
一般に、操舵伝達比可変手段のアクチュエータは電動モータであり、電動モータの本体は入力部に支持され、電動モータの回転軸は出力部に連結され、電動モータによって出力部が入力部に対し相対的に回転されることにより操舵伝達比が変更されるようになっているが、上述の如き操舵制御装置によれば、電動モータによる相対回転はパワーステアリング装置のアシスト力により補助されるので、電動モータが高出力のものでなくても操舵伝達比を所望の伝達比に制御することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしパワーステアリング装置は一般に油圧によりアシスト力を発生するので、パワーステアリング装置のオイルの温度が非常に低い状況に於いては、オイルの粘性が非常に高く、また各摺動部の摩擦抵抗が高く、従ってパワーステアリング装置は十分なアシスト力を発生することができない場合がある。かくしてアシスト力が低下した状況に於いては、操舵伝達比可変手段のアクチュエータによって入力部に対する出力部の相対回転を正常に行うことができなくなると共に、アクチュエータに対する負荷が過剰になり、アクチュエータが電動モータである場合には電動モータが発熱し過剰に昇温するという問題がある。
【0005】
またアクチュエータとしての電動モータが過剰に発熱し昇温することを防止するためには、例えば電動モータの作動を停止しロック装置によるロックにより入力部及び出力部が一体的に変位する状態にもたらすことが好ましいが、その場合には何れロック装置によるロックを解除して電動モータによって入力部に対し出力部を相対回転し得るようにしなければならない。
【0006】
この場合ロック装置のロック解除が早過ぎると、例えばパワーステアリング装置のオイルの温度が十分に上昇していない状況に於いてロック装置によるロックが解除されると、ロック装置により再度入力部及び出力部の相対回転が阻止され、そのためロックとその解除が繰り返されることになり、逆にロック装置のロックが遅く解除されると、操舵伝達比の制御の開始が遅れ、何れの場合にも運転者が異和感を感じるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、アクチュエータによって入力部と出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更するよう構成された従来の操舵制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、アクチュエータに対する負荷が高いときにはアクチュエータにかかる負荷を軽減することにより、アクチュエータの過剰発熱や昇温を防止し、またアクチュエータにかかる負荷の軽減を時間的に最適に解除することにより、再度アクチュエータにかかる負荷を繰り返し軽減したり負荷の軽減解除の遅れに起因して運転者が異和感を感じることを効果的に防止することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち運転者により操作される操舵操作子に連結された入力部と、操舵機構を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、前記操舵操作子に連動して作動するアクチュエータによって前記入力部と前記出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記アクチュエータに対する負荷が高い状況を判定し該状況が判定されたときには前記入力部及び前記出力部の相対変位の増減を抑制する抑制手段を有し、前記抑制手段は前記アクチュエータへの指示値に比して前記入力部に対する前記出力部の相対変位速度が小さいときに前記アクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定することを特徴とする車輌用操舵制御装置、又は請求項2の構成、即ち運転者により操作される操舵操作子に連結された入力部と、操舵機構を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、前記操舵操作子に連動して作動するアクチュエータによって前記入力部と前記出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記アクチュエータに対する負荷が高い状況を判定し該状況が判定されたときには前記入力部及び前記出力部の相対変位の増減を抑制する抑制手段を有し、前記抑制手段は前記アクチュエータへの指示値に比して前記入力部に対する前記出力部の相対変位量が小さいときに前記アクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定することを特徴とする車輌用操舵制御装置、又は請求項3の構成、即ち運転者により操作される操舵操作子に連結された入力部と、操舵機構を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、前記操舵操作子に連動して作動するアクチュエータによって前記入力部と前記出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記アクチュエータに対する負荷が高い状況を判定し該状況が判定されたときには前記入力部及び前記出力部の相対変位の増減を抑制する抑制手段を有し、前記抑制手段は所定の解除条件が成立すると所定の遅延時間が経過した段階で前記抑制を解除し、前記所定の遅延時間を再度前記抑制が行われる虞れに応じて可変設定することを特徴とする車輌用操舵制御装置によって達成される。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記抑制手段は所定の解除条件が成立すると所定の遅延時間が経過した段階で前記抑制を解除し、前記所定の遅延時間を再度前記抑制が行われる虞れに応じて可変設定するよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れかの構成に於いて、前記抑制手段は前記入力部及び前記出力部が一体的に変位する状態にもたらすことにより前記相対変位の増減を抑制するよう構成される(請求項の構成)。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れかの構成に於いて、前記操舵操作子はステアリングホイールであり、前記アクチュエータは前記入力部及び前記出力部の一方に連結されたステータと前記入力部及び前記出力部の他方に連結されたロータとを有するよう構成される(請求項の構成)。
【0014】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3乃至の何れかの構成に於いて、前記抑制手段は前記所定の遅延時間を前記操舵機構の温度に対応する温度が低いほど長くなるよう温度に応じて可変設定するよう構成される(請求項7の構成)。
【0015】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項7の構成に於いて、前記抑制手段は前記操舵機構がその可動端にてそれより離れ車輌の直進位置の方向へ作動するときには前記所定の遅延時間を短く設定するよう構成される(請求項8の構成)。
【0016】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項乃至8の何れかの構成に於いて、前記抑制手段は前記アクチュエータにより前記出力部を介して前記操舵機構を駆動するに必要な力が高いときには前記抑制を解除しないよう構成される(請求項9の構成)。
【0017】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項乃至8の何れかの構成に於いて、前記抑制手段は前記操舵機構が失陥しているときには前記抑制を解除しないよう構成される(請求項10の構成)。
【0018】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1乃至3の構成によれば、アクチュエータに対する負荷が高い状況が判定され、該状況が判定されたときには入力部及び出力部の相対変位の増減が抑制されるので、アクチュエータに対する負荷を軽減してアクチュエータに対する負荷が高い状況が継続することを防止することができ、これによりアクチュエータが発熱し過剰に昇温することを確実に防止することができる。
特に上記請求項1の構成によれば、アクチュエータへの指示値に比して入力部に対する出力部の相対変位速度が小さいときにアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定されるので、アクチュエータに対する負荷が高い状況を確実に判定することができる。
また上記請求項2の構成によれば、アクチュエータへの指示値に比して入力部に対する出力部の相対変位量が小さいときにアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定されるので、この場合にもアクチュエータに対する負荷が高い状況を確実に判定することができる。
また上記請求項3の構成によれば、所定の解除条件が成立すると所定の遅延時間が経過した段階で前記抑制が解除され、所定の遅延時間は再度前記抑制が行われる虞れに応じて可変設定されるので、遅延時間が一定である場合に比して、入力部及び出力部の相対変位の増減抑制及びその解除が繰り返される虞れを低減しつつ、入力部及び出力部の相対変位の増減抑制の解除をできるだけ早期に行い、運転者が違和感を感じることを効果的に防止することができる。
同様に上記請求項4の構成によれば、上記請求項1又は2の構成に於いて、遅延時間が一定である場合に比して、入力部及び出力部の相対変位の増減抑制及びその解除が繰り返される虞れを低減しつつ、入力部及び出力部の相対変位の増減抑制の解除をできるだけ早期に行い、運転者が違和感を感じることを効果的に防止することができる。
【0019】
また上記請求項の構成によれば、入力部及び出力部が一体的に変位する状態にもたらされることにより前記相対変位の増減を抑制されるので、アクチュエータに対する負荷を確実に軽減することができる。
【0020】
また上記請求項の構成によれば、操舵操作子はステアリングホイールであり、アクチュエータは入力部及び出力部の一方に連結されたステータと入力部及び出力部の他方に連結されたロータとを有するので、アクチュエータの回転負荷を確実に軽減することができる。
【0024】
また上記請求項7の構成によれば、所定の遅延時間は操舵機構の温度に対応する温度が低いほど長くなるよう温度に応じて可変設定されるので、再度前記抑制が行われる虞れが高いほど所定の遅延時間を長く設定し、これにより入力部及び出力部の相対変位の増減抑制及びその解除が繰り返される虞れを効果的に低減することができる。
【0025】
また上記請求項8の構成によれば、操舵機構がその可動端にてそれより離れ車輌の直進位置の方向へ作動するときには所定の遅延時間が短く設定されるので、運転者により操舵機構がその可動端へ向けて操作されることによりアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定された場合に、操舵伝達比可変手段による操舵伝達比の変更を速やかに再開することができる。
【0026】
また上記請求項9の構成によれば、アクチュエータにより出力部を介して操舵機構を駆動するに必要な力が高いときには前記抑制が解除されないので、前記抑制の解除後に再度前記抑制が行われる虞れを効果的に低減することができる。
【0027】
また上記請求項10の構成によれば、操舵機構が失陥しているときには前記抑制が解除されないので、上記請求項9の構成の場合と同様、前記抑制の解除後に再度前記抑制が行われる虞れを効果的に低減することができる。
【0028】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至10の何れかの構成に於いて、抑制手段は入力部及び出力部の相対変位の増減を抑制するときにはアクチュエータの出力を0に低下させるよう構成される(好ましい態様1)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至10の何れかの構成に於いて、抑制手段は操舵伝達比可変手段の作動頻度を低減することにより入力部及び出力部の相対変位の増減を抑制するよう構成される(好ましい態様2)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至10の何れかの構成に於いて、操舵伝達比可変手段は入力部に対し相対的に出力部を回転変位させることにより操舵伝達比を変更するよう構成される(好ましい態様3)。
【0031】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項6乃至10の何れかの構成に於いて、アクチュエータは電動モータであるよう構成される(好ましい態様4)。
【0032】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は乃至10の何れかの構成に於いて、アクチュエータは電動モータであり、抑制手段は電動モータに対する制御信号の電圧に基づき入力部に対し相対的に出力部を回転変位させるアクチュエータの目標相対回転速度を推定し、推定される目標相対回転速度に比して実際の相対回転速度が小さいときにアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定するよう構成される(好ましい態様5)。
【0033】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の構成に於いて、抑制手段は推定される目標相対回転速度に比して実際の相対回転速度が小さい状況が所定の時間以上継続したときにアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定するよう構成される(好ましい態様6)。
【0034】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は4乃至10の何れかの構成に於いて、アクチュエータは電動モータであり、抑制手段は入力部に対する出力部の目標相対回転角度に比して実際の相対回転角度が小さいときにアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定するよう構成される(好ましい態様7)。
【0035】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様7の構成に於いて、抑制手段は目標相対回転角度に比して実際の相対回転角度が小さい状況が所定の時間以上継続したときにアクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定するよう構成される(好ましい態様8)。
【0036】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3乃至10の何れかの構成に於いて、抑制手段はアクチュエータに対する負荷が高い状況であると再度判定される虞れが高いときには前記抑制を解除しないよう構成される(好ましい態様9)。
【0037】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項10の構成に於いて、操舵機構はパワーアシスト装置を含み、抑制手段はパワーアシスト装置が失陥しているときに前記抑制を解除しないよう構成される(好ましい態様10)。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施の形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0039】
図1は油圧式パワーステアリング装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌用操舵制御装置の一つの実施形態を示す概略構成図、図2は図1に示されたステアリングギヤ比可変装置を示す拡大断面図である。
【0040】
図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の油圧式パワーステアリング装置16によりラックバー18及びタイロッド20L及び20Rを介して転舵される。
【0041】
図示の実施形態に於いては、油圧式パワーステアリング装置16はそれ自身周知の構造を有するコントロールバルブ16Aを有し、コントロールバルブ16Aにはリザーバ20より電動モータ22によって駆動されるオイルポンプ24を経て高圧のオイルが供給される。パワーステアリング装置16は運転者によるステアリングホイール14の回転操作に伴い発生する操舵トルクに応じた操舵補助トルクを発生する。
【0042】
ステアリングホイール14はアッパステアリングシャフト26、ステアリングギヤ比可変装置28、ロアステアリングシャフト30、一対のユニバーサルジョイント32を介してパワーステアリング装置16のピニオンシャフト34に駆動接続されている。パワーステアリング装置16はラックバー18及びタイロッド20L及び20Rと共働してロアステアリングシャフト30の回転運動を左右の前輪10FL及び10FRの転舵運動に変換する操舵機構を構成している。
【0043】
図示の実施形態に於いては、図2に示されている如く、ステアリングギヤ比可変装置28は入力部としてのアッパステアリングシャフト26及び出力部としてのロアステアリングシャフト30の軸線36に整合して延在する実質的に円筒状のハウジング38を含み、ハウジング38はその上端の連結部38Aに於いてアッパステアリングシャフト26の下端に連結されている。
【0044】
ハウジング38内には電動モータ40が収容され圧入により固定されており、電動モータ40はモータハウジング42に固定されたステータ44と、モータハウジング42の両端に配置された軸受46及び48により回転可能に支持されたロータ50とを有している。ロータ50は大径の永久磁石部50Aを有し、永久磁石部50Aの周りのステータ44にはコイル52が巻回されている。
【0045】
ロータ50の下部シャフト50Bは軸受48を貫通して軸線36に沿って延在し、減速装置54を介してロアステアリングシャフト30の上端に連結されている。ロータ50の上部シャフト50Cは軸受46を貫通して軸線36に沿って延在し、上部シャフト50Cの上端には外周面に周方向に互いに隔置された複数個のロック溝を有するロックホルダ56が固定されている。
【0046】
ハウジング38の内面にはロックホルダ56に対向してプランジャ式のロック装置58が固定されている。ロック装置58は軸線36に垂直に径方向に延在しハウジング38の内面に固定されたガイド筒60と、ガイド筒60内に往復動可能に配置されたプランジャ62と、プランジャ62をロックホルダ56へ向けて径方向内方へ付勢する圧縮コイルばね64と、ガイド筒60の周りに巻回されたソレノイド66とを有している。
【0047】
ロック装置58はソレノイド66に対する通電が制御されることによりロックオン状態とロックオフ状態とに切り替わり、ソレノイド66が消勢されているときにはプランジャ62がロックホルダ56のロック溝に嵌入して電動モータ40のロータ50の回転を阻止しアッパステアリングシャフト26及びロアステアリングシャフト30の相対回転を阻止するロックオン状態になる。これに対しソレノイド66が付勢されると、プランジャ62が圧縮コイルばね64のばね力に抗して径方向外方へ駆動され、これによりロックホルダ56のロック溝より離脱して電動モータ40のロータ50の回転を許容するロックオフ状態になる。
【0048】
ロータ50の永久磁石部50Aと軸受46との間の上部シャフト50Cには外周面に複数のN極及びS極が交互に配設された永久磁石ディスク68が固定されており、モータハウジング42の内面には永久磁石ディスク68と共働してロータ50の回転角度φ、従ってアッパステアリングシャフト26とロアステアリングシャフト30との間の相対回転角度Δθを検出する回転角度センサ70が永久磁石ディスク68に対向して固定されている。
【0049】
図示の実施形態に於いては、ハウジング38の連結部38Aの周りにはスパイラルケーブル装置72が配置されている。スパイラルケーブル装置72は連結部38Aの周りに環状に延在し車体74に固定されたアウタ給電部材76と、図2には示されていないがアウタ給電部材76の内側にて連結部38Aに固定されたインナ給電部材と、外端にてアウタ給電部材76に固定され内端にてインナ給電部材に固定されインナ給電部材の周りに渦巻き状に数回巻回されたスパイラルケーブル78とを有している。
【0050】
スパイラルケーブル78はゴムや樹脂の如き弾性を有する電気絶縁性の被覆中に複数の導線78A〜78Cを内蔵し、導線78A〜78Cの一端はそれぞれ電動モータ40のコイル52、ロック装置58のソレノイド66、回転角度センサ70に接続され、導線78A〜78Cの他端は電子制御装置80に接続されている。
【0051】
ステアリングホイール14の回転操作に伴いステアリングギヤ比可変装置28はアッパステアリングシャフト26と共に車体74に対し相対的に回転するので、ロック装置58がロックオン状態にあるときにパワーステアリング装置16のラックバー移動可能範囲又は左右前輪10FL、10FRの転舵可能範囲等により決定されるステアリングホイール14の右旋回方向及び左旋回方向の回転可能角度、即ち操舵角の最大値をそれぞれθrmax、θlmaxとすると、スパイラルケーブル装置72の右旋回方向及び左旋回方向の許容回転角度θsrmax、θslmaxは、アウタ給電部材76の内径、インナ給電部材の外径、スパイラルケーブル78の長さにより決定され、θsrmax>θrmax及び|θslmax|>|θlmax|を満たす角度に設定されている。
【0052】
かくしてステアリングギヤ比可変装置28はロック装置58がロックオフ状態にあるときには電動モータ40の回転によってアッパステアリングシャフト26に対しロアステアリングシャフト30を相対的に回転させることにより、操舵伝達比としてのステアリングギヤ比を変更し、ロック装置58がロックオン状態にあるときにはアッパステアリングシャフト26とロアステアリングシャフト30とを一体的に接続する。
【0053】
図示の実施形態に於ては、アッパステアリングシャフト26にはその回転角度を操舵角θとして検出する操舵角センサ82が設けられ、ロアステアリングシャフト30には該ロアステアリングシャフトに発生するトルクを操舵トルクTとして検出するトルクセンサ84が設けられており、操舵角θ及び操舵トルクTを示す信号は電子制御装置80へ入力される。電子制御装置80には車速センサ86により検出された車速Vを示す信号及び温度センサ88よりパワーステアリング装置16のオイルの温度に対応する温度Tempを示す信号も入力される。
【0054】
後述の如く電子制御装置80は、図3に示されたフローチャートに従い、車速Vに基づき車速域が低速域、中速域、高速域の何れであるかを判定し、車速域及び操舵角θに基づき図4に示されたグラフに対応するマップよりアッパステアリングシャフト26に対するロアステアリングシャフト30の目標相対回転角度Δθtを演算し、目標相対回転角度Δθt及び減速装置54のギヤ比に基づき電動モータ40の目標回転角度θmtを演算し、電動モータ40の回転角度が目標回転角度θmtになるよう電動モータ40を制御し、これにより車速域に応じてステアリングギヤ比を制御する。
【0055】
また電子制御装置80はステアリングギヤ比可変装置28に対する負荷が高くステアリングギヤ比可変装置28によりステアリングギヤ比を適正に制御することができない状況であるか否かを判定し、該状況であるときにはステアリングギヤ比の制御を中止すると共に、ロック装置58をロックオン状態に切り替え、これによりアッパステアリングシャフト26及びロアステアリングシャフト30の相対回転を阻止しそれらが一体的に回転する状態にする。
【0056】
またステアリングギヤ比可変装置28に対する負荷が高いことによりロック装置58がロックオン状態に切り替えられているときには、ロック装置58のロックオン状態を解除すべき条件が成立したか否かを判定し、ロックオン状態の解除条件が成立したと判定されたときには、温度Tempが低いほど長くなるよう遅延時間Tdeを演算し、遅延時間Tdeが経過するとロック装置58をロックオフ状態に切り替え、ステアリングギヤ比可変装置28によるステアリングギヤ比の制御が可能な状態にする。
【0057】
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置80はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また回転角度センサ70及び操舵角センサ82はそれぞれ車輌の車輌の直進位置を基準に右旋回方向への操舵の場合を正として相対回転角度Δθ及び操舵角θを検出し、トルクセンサ84は右旋回方向への操舵の場合を正として操舵トルクTを検出する。
【0058】
次に図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於いて電子制御装置80により達成されるステアリングギヤ比可変装置28の制御ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。またイグニッションスイッチが閉成されると、ステップ10に先立ちロック装置58がロックオン状態よりロックオフ状態へ切り替えられ、原則としてイグニッションスイッチが開成されるまでロックオフ状態に維持される。
【0059】
まずステップ10に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いてはロック装置58がロックオン状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ80へ進み、否定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0060】
ステップ30に於いてはステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあるか否かの判別、即ち高負荷に起因してステアリングギヤ比可変装置28によりステアリングギヤ比を適正に制御することができない状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進み、否定判別が行われたときにはステップ40へ進む。
【0061】
尚この場合ステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあるか否かの判別は、ステアリングギヤ比可変装置28の電動モータ40に対する指令信号と実際の相対回転角度Δθとの関係により判定されてよい。例えば目標相対回転角度Δθtと実際の相対回転角度Δθとの偏差δΔθの絶対値が基準値δΔθo(正の定数)以上である状況が所定の時間T1(正の定数)以上継続した場合にステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあると判定される。
【0062】
或いは電動モータ40に対する指令信号の電圧Vcに基づきステアリングギヤ比可変装置28の目標相対回転角速度Δθdtが推定され、アッパステアリングシャフト26に対するロアステアリングシャフト30の実際の相対回転角速度、即ち実際の相対回転角度Δθの変化率をΔθdとして、目標相対回転角速度Δθdtに対する実際の相対回転角速度Δθdの関係が図6のハッチングが施された領域にある状況が所定の時間T2(正の定数)以上継続した場合にステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあると判定される。尚図6に於いて、目標相対回転角速度Δθdtが0近傍の値であるときの不感帯はアクチュエータが実際には高負荷状態ではない状況に於いて高負荷状態であると誤判定されることを防止するためである。
【0063】
ステップ40に於いては車速Vに基づき車速域が低車速域、中車速域、高車速域の何れであるかが判定されると共に、判定された車速域及び操舵角θに基づき図4に示されたグラフに対応するマップよりステアリングギヤ比可変装置28の目標相対回転角度Δθtが演算される。尚図4に於いて、太い実線は車速域が低速域である場合を示し、太い破線は車速域が中速域である場合を示し、太い一点鎖線は車速域が高車速域である場合を示している。
【0064】
ステップ50に於いては目標相対回転角度Δθt及び減速装置54のギヤ比Rrに基づき電動モータ40の目標回転角度θmt(=Δθta・Rr)が演算され、ステップ60に於いては電動モータ40の回転角度φが目標回転角度θmtになるようフィードバック制御により電動モータ40が制御される。
【0065】
ステップ70に於いてはロック装置58がロックオン状態に切り替えられ、ステップ80に於いては例えば操舵トルクTの大きさが基準値Tc(正の定数)以上であるか否かの判別により操舵トルクが高い状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ10へ戻り、否定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
【0066】
ステップ90に於いては例えばオイルポンプ24の吐出圧を検出する図には示されていない圧力センサの検出値等に基づき操舵機構としてのパワーステアリング装置16が失陥しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには図3に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、否定判別が行われたときにはステップ100へ進む。
【0067】
ステップ100に於いてはロック装置58のロックオン状態を解除してロックオフ状態に切り替えるべき条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには図3に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ110へ進む。
【0068】
この場合ロック装置58のロックオン状態を解除すべき条件が成立しているかの判別は、運転者により実質的な操舵操作が行われたか否かの判別により行われてよく、例えば操舵角θの大きさが基準値θo(正の定数)以上変化したとき、又は操舵角速度θd(操舵角θの微分値)の大きさが基準値θdo(正の定数)以上になったときにロックオン状態を解除すべき条件が成立したと判定される。
【0069】
ステップ110に於いてはロック装置58のロックオン状態を解除するまでの遅延時間Tdeが温度センサ86により検出された温度Tempが低いほど長い時間になるよう、温度Tempに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより演算される。尚温度は外気温等であってもよい。
【0070】
この場合ステアリングホイール14が右旋回方向又は左旋回方向の終端位置近傍より車輌の直進位置へ向けて回転操作されているときには、即ち操舵角θがステアリングホイール14の右旋回方向又は左旋回方向の回転可能角度θsrmax又はθslmaxの近傍の値であり且つ操舵角θの絶対値が減少する状況であるときには、遅延時間Tdeは図5に於いて破線にて示されたグラフに対応するマップより演算され、それ以外の状況に於いては図5に於いて実線にて示されたグラフに対応するマップより演算される。
【0071】
ステップ120に於いてはステップ100に於いて肯定判別が行われた時点、即ちロックオン状態の解除条件が成立した時点より時間Tdeが経過したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ120が繰り返し実行され、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いてロック装置58がロックオン状態よりロックオフ状態へ切り替えられる。
【0072】
かくして図示の実施形態によれば、ステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあるときには、ステップ30に於いて肯定判別が行われることにより、ステップ70に於いてロック装置58がロックオン状態に切り替えられ、アッパステアリングシャフト26及びロアステアリングシャフト30が一体的に回転する状態にされるので、ステアリングギヤ比可変装置28の高負荷状態が継続すること及びこれに起因して電動モータ40が過剰に発熱することを確実に防止することができる。
【0073】
特に図示の実施形態によれば、ステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあると判定されると、ロック装置58がロックオン状態に切り替えられると共に、ステアリングギヤ比可変装置28によるギヤ比の制御が中止されるので、例えば目標相対回転角度Δθtの大きさが低減補正され電動モータ40に対する指令電流が低減される場合に比して、ステアリングギヤ比可変装置28の負荷を確実に低減し、電動モータ40により無駄に電力が消費されること及び電動モータ40の発熱による過剰昇温を確実に防止することができる。
【0074】
また図示の実施形態によれば、ステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にあると判定されることにより、ロック装置58がロックオン状態に切り替えられると、ステップ100に於いて運転者により実質的な操舵操作が行われたか否かの判別によりロックオン状態の解除条件が成立したか否かが判定され、ロックオン状態の解除条件が成立したと判定されたときにはステップ120及び130に於いてロックオン状態の解除条件が成立した時点より解除遅延時間Tdeが経過した時点に於いてロック装置58がロックオン状態よりロックオフ状態へ切り替えられる。
【0075】
この場合解除遅延時間Tdeはステップ110に於いて温度センサ86により検出された温度Tempが低いほど長い時間になるよう演算されるので、換言すればパワーステアリング装置16のオイルの粘性や摺動部の摩擦抵抗が高いほど、即ロックオフしてもステップ30に於いて再度高負荷状態であると判定される虞れが高いほど解除遅延時間Tdeが長い時間に演算されるので、ロック装置58が再度ロックオン状態に切り替えられる虞れが高いほどロックオフへの切り替えを遅くすることができる。
【0076】
従ってロック装置58が再度ロックオン状態に切り替えられる虞れが低いときには、ロック装置58のロックオン状態を速やかに解除してステアリングギヤ比可変装置28によるギヤ比制御を開始することができ、またロック装置58がロックオン状態とロックオフ状態との間に繰り返し切り替えられること及びこれに起因して運転者が違和感を感じることを効果的に防止することができる。
【0077】
また図示の実施形態によれば、ステップ80に於いて操舵トルクが高い状況であるか否かの判別が行われ、またステップ90に於いて操舵機構としてのパワーステアリング装置16が失陥しているか否かの判別が行われ、これらのステップに於いて肯定判別が行われたときには、即ちその後のサイクルのステップ30に於いて肯定判別が行われる可能性が高いときにはステップ110〜130が実行されることなく、換言すればロック装置58のロックオン状態が維持されたまま図3に示されたルーチンによる制御を一旦終了するので、ステップ80若しくは90の判別が行われない場合に比して、ロック装置58がロックオン状態とロックオフ状態との間に繰り返し切り替えられること及びこれに起因して運転者が違和感を感じることを効果的に防止することができる。
【0078】
また図示の実施形態によれば、ステップ110に於けるロック装置58のロックオン状態を解除するまでの遅延時間Tdeの演算に際し、ステアリングホイール14が右旋回方向又は左旋回方向の終端位置近傍より車輌の直進位置へ向けて回転操作されているか否かが判定され、その状況であるときには遅延時間Tdeは図5に於いて破線にて示されたグラフに対応するマップより短い時間に演算されるので、ステップ30に於ける肯定判別が運転者によりステアリングホイール14が右旋回方向又は左旋回方向の終端位置へ向けて操作されたことによるものであり、その後ステアリングホイール14が切り戻された状況に於いて、ロック装置58のロックオン状態を速やかに解除してステアリングギヤ比可変装置28によるギヤ比制御を速やかに再開することができる。
【0079】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0080】
例えば上述の実施形態に於いては、操舵トルクが高い状況であるか否かの判別及び操舵機構としてのパワーステアリング装置16が失陥しているか否かの判別はそれぞれステップ80及び90に於いてのみ行われるようになっているが、ステップ30に於いて否定判別が行われたときにステップ80及び90と同様の判別が行われ、それらの何れかに於いて肯定判別が行われたときには、換言すればステアリングギヤ比可変装置28が高負荷状態にはないが高負荷状態になる虞れが高いときには、ステップ70へ進むよう修正されてもよい。
【0081】
また上述の実施形態に於いては、ステップ100に於いてロックオン状態の解除条件が成立したと判定された後にステップ110及び120が実行されるようになっているが、図7に示されている如く、ステップ90に於いて否定判別が行われるとステップ110及び120が実行され、しかる後上述の実施形態のステップ100に対応するステップ125が実行され、これにより所定の遅延時間が経過しない限りロックオン状態の解除条件が成立したか否かの判別が行われないよう修正されてもよい。
【0082】
また上述の実施形態に於いては、目標相対回転角度Δθtは操舵角θに基づき図4に示されたグラフに対応するマップより演算されるようになっているが、操舵角θの大きさが右旋回方向の大きい領域に於いてロック装置58がロックオン状態へ切り替えられ、運転者によりステアリングホイール14が左旋回方向へ大きく回転操作された場合や、操舵角θの大きさが左旋回方向の大きい領域に於いてロック装置58がロックオン状態へ切り替えられ、運転者によりステアリングホイール14が右旋回方向へ大きく回転操作された場合にも、スパイラルケーブル78に過剰な引張り応力が作用すること及びこれに起因してスパイラルケーブル78の導線が破断することがないよう、目標相対回転角度Δθtが操舵角θに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより演算されるよう修正されてもよい。
【0083】
また上述の実施形態に於いては、アッパステアリングシャフト26及びロアステアリングシャフト30の相対回転はプランジャ式のロック装置58により阻止されるようになっているが、ロック装置は当技術分野に於いて公知の任意の構造のものであってよく、また入力部としてのアッパステアリングシャフト26と出力部としてのロアステアリングシャフト30との間の相対回転の増減を抑制することはそれらの相対回転を阻止することにより達成されるようになっているが、相対回転の頻度が低減されることにより達成されるよう修正されてもよい。
【0084】
また上述の各実施形態に於いては、操舵伝達比可変手段のアクチュエータであるステアリングギヤ比可変装置28の電動モータ40はそのステータ44の側にて入力部としてのアッパステアリングシャフト26に連結され、ロータ50の側にて出力部としてのロアステアリングシャフト30に連結されているが、操舵伝達比可変手段のアクチュエータはステータの側にて出力部に連結され、ロータ50の側にて入力部に連結されてもよい。
【0085】
また上述の実施形態に於いては、操舵機構のパワーステアリング装置は電動ポンプ24により高圧のオイルが供給されるパワーステアリング装置であるが、パワーステアリング装置は内燃機関により駆動されるオイルポンプより高圧のオイルが供給される通常の油圧式のパワーステアリング装置であってもよく、また電動モータにより補助操舵トルクが発生される電動式のパワーステアリング装置であってもよい。
【0086】
また上述の実施形態に於いては、目標相対回転角度Δθtは操舵角θの大きさが大きいほど大きさが直線的に大きくなるよう演算されるようになっているが、例えば車輌の直進位置近傍に於けるステアリングギヤ比が他の領域に比して小さくなるよう、操舵角θと目標相対回転角度Δθtとの関係は非線形に設定されてもよい。
【0087】
更に上述の実施形態に於いては、操舵操作子はステアリングホイールであり、操舵伝達比可変手段のアクチュエータはアッパステアリングシャフト26及びロアステアリングシャフト30に対し同軸に配置された回転式のアクチュエータであるが、操舵操作子は枢動式のものであってもよく、アクチュエータは往復動式又は枢動式のものであってもよく、ステアリングシャフトに交差するよう配置された回転式のアクチュエータであってもよく、また本発明の操舵制御装置は車輌の運転状況に応じて操舵輪を補助するアクティブ操舵装置に適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】油圧式パワーステアリング装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌用操舵制御装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示されたステアリングギヤ比可変装置を示す拡大断面図である。
【図3】図示の実施形態に於けるステアリングギヤ比可変装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】車速域及び操舵角θとアッパステアリングシャフトに対するロアステアリングシャフトの目標相対回転角度Δθtとの間の関係を示すグラフである。
【図5】温度Tempとロック装置のロックオン状態を解除するまでの遅延時間Tdeとの間の関係を示すグラフである。
【図6】ステアリングギヤ比可変装置の目標相対回転角速度Δθdtと実際の相対回転角度Δθの変化率をΔθdとの間の関係を示すグラフである。
【図7】修正例に於けるステアリングギヤ比可変装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】他の修正例に於ける操舵角θと目標相対回転角度Δθtとの間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪
16…パワーステアリング装置
26…アッパステアリングシャフト
28…ステアリングギヤ比可変装置
30…ロアステアリングシャフト
40…電動モータ
58…ロック装置
70…回転角度センサ
78…スパイラルケーブル
80…電子制御装置
82…操舵角センサ
84…トルクセンサ
86…車速センサ
88…温度センサ

Claims (10)

  1. 運転者により操作される操舵操作子に連結された入力部と、操舵機構を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、前記操舵操作子に連動して作動するアクチュエータによって前記入力部と前記出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記アクチュエータに対する負荷が高い状況を判定し該状況が判定されたときには前記入力部及び前記出力部の相対変位の増減を抑制する抑制手段を有し、前記抑制手段は前記アクチュエータへの指示値に比して前記入力部に対する前記出力部の相対変位速度が小さいときに前記アクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定することを特徴とする車輌用操舵制御装置。
  2. 運転者により操作される操舵操作子に連結された入力部と、操舵機構を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、前記操舵操作子に連動して作動するアクチュエータによって前記入力部と前記出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記アクチュエータに対する負荷が高い状況を判定し該状況が判定されたときには前記入力部及び前記出力部の相対変位の増減を抑制する抑制手段を有し、前記抑制手段は前記アクチュエータへの指示値に比して前記入力部に対する前記出力部の相対変位量が小さいときに前記アクチュエータに対する負荷が高い状況であると判定することを特徴とする車輌用操舵制御装置。
  3. 運転者により操作される操舵操作子に連結された入力部と、操舵機構を介して操舵輪に駆動接続された出力部と、前記操舵操作子に連動して作動するアクチュエータによって前記入力部と前記出力部とを相対変位させることにより操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記アクチュエータに対する負荷が高い状況を判定し該状況が判定されたときには前記入力部及び前記出力部の相対変位の増減を抑制する抑制手段を有し、前記抑制手段は所定の解除条件が成立すると所定の遅延時間が経過した段階で前記抑制を解除し、前記所定の遅延時間を再度前記抑制が行われる虞れに応じて可変設定することを特徴とする車輌用操舵制御装置。
  4. 前記抑制手段は所定の解除条件が成立すると所定の遅延時間が経過した段階で前記抑制を解除し、前記所定の遅延時間を再度前記抑制が行われる虞れに応じて可変設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌用操舵制御装置。
  5. 前記抑制手段は前記入力部及び前記出力部が一体的に変位する状態にもたらすことにより前記相対変位の増減を抑制することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車輌用操舵制御装置。
  6. 前記操舵操作子はステアリングホイールであり、前記アクチュエータは前記入力部及び前記出力部の一方に連結されたステータと前記入力部及び前記出力部の他方に連結されたロータとを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の車輌用操舵制御装置。
  7. 前記抑制手段は前記所定の遅延時間を前記操舵機構の温度に対応する温度が低いほど長くなるよう温度に応じて可変設定することを特徴とする請求項3乃至の何れかに記載の車輌用操舵制御装置。
  8. 前記抑制手段は前記操舵機構がその可動端にてそれより離れ車輌の直進位置の方向へ作動するときには前記所定の遅延時間を短く設定することを特徴とする請求項7に記載の車輌用操舵制御装置。
  9. 前記抑制手段は前記アクチュエータにより前記出力部を介して前記操舵機構を駆動するに必要な力が高いときには前記抑制を解除しないことを特徴とする請求項乃至8の何れかに記載の車輌用操舵制御装置。
  10. 前記抑制手段は前記操舵機構が失陥しているときには前記抑制を解除しないことを特徴とする請求項乃至8の何れかに記載の車輌用操舵制御装置。
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