JP3937639B2 - 近視野光学系用光源装置、その製造方法、その使用方法、及びそれを用いた装置 - Google Patents

近視野光学系用光源装置、その製造方法、その使用方法、及びそれを用いた装置 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、近視野光学顕微鏡、近視野光学系を用いた記録装置、露光装置などとして用いられるエバネッセント光出射用等の光源装置、その駆動方法、その製造方法、及び光情報記録装置、露光装置等としてそれを用いる方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、尖鋭なプローブ先端の微小開口から染み出すエバネッセント光を用いた光技術、いわゆる近視野(近接場またはニアフィールド)光学系を用いた高分解能観察や次世代用の高密度記録、超微細露光技術等の開発が盛んになってきている。高分解能観察に関しては、資料表面の様子を光プローブで検出して資料表面を調べる走査型近接場光顕微鏡(以下SNOMと略す)(During et al., J.Appl.Phys.,vol.59,3318(1986)等)が開発されている。SNOM用の光導入装置については、例えば、特開平5−100168号公報に開示されている。ここでは、図10のように、Si基板101上に設けられた円錐形状部材の先端に微小開口110が形成され、Si基板101の裏面側には開口部102が形成され、そこに光ファイバ103が挿入されて光ファイバ103を通して光を出射している。尚、図10において、107は電極、108は光導波層、109は金属膜、111は反射防止膜である。
【0003】
或は、図11のように、面発光レーザの出射端面に電極811による微小開口813を形成したものも提案されている。この例では、近接場光の導入装置のみを提供するものであって、像観察あるいは光情報読み出し用の光検出器については、別の光学系を設ける必要がある。尚、図11において、801はレーザ基板、802はバッファ層、803は半導体多層膜ミラー、804、808、809は電流狭窄用半導体層、805は活性層、806はクラッド層、807はコンタクト層、810は絶縁層、812はレーザ電極である。
【0004】
更には、特開平8−306062号公報に開示されている如く、図12のように、端面発光型半導体レーザ201の片方の端面に楕円錐形状のプローブ203が形成され、これが白金電極210等で覆われて先端に微小開口が形成されている構造も提案されている。この例においては、半導体レーザ201のプローブが形成されていない端面に光検出器202を取り付けて、該半導体レーザ201の光出力を検出できるようになっている。すなわち、1つの光学系で、光導入装置と光信号読み出し装置を備えており、光情報の読み出し用のコンパクトな光ヘッドを提供している。尚、図12において、204はエバネッセント光、206は浮上スライダー、207は光記録媒体、209は光記録領域である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近接場光学系では微小開口から僅かに染み出るエバネッセント波を用いるため、光源の効率が要求され、低しきい値で量子効率の高い半導体レーザが必要となる。ところが、図10の如く光ファイバ103などで導波するものは結合損が生じて望ましくなく、また、図12のような端面発光レーザ201を用いたSNOMヘッドでは、動作電流が大きいため、消費電力が高く、特にマルチ化には適さない。
【0006】
更に、近接場光学系では、プローブを媒体表面に殆ど接触するような形で走査するため、媒体表面の凹凸の存在を考えると、適当な弾性体によってプローブが支持されている必要がある。また、高速で走査するにはSNOMヘッドをアレイ化してマルチプローブで同時走査する必要も出て来るが、この際、各々のSNOMヘッドを別々の弾性体で支持して表面を倣うように走査を行わないと、媒体表面或はプローブ先端を破壊してしまう恐れがある。
【0007】
図10や図11のようなSNOMヘッドの場合、アレイ化するためには同一基板上に形成することになるが、これでは各々の微小開口部が同一平面上に存在することになるため、媒体表面に対して倣うように走査ができなくなる。また、光検出用の別の光学系を必要とするため、装置が大型化し、特にアレイ化した場合には、互い光の干渉や、観察点から検出系までの距離が離れることなどにより、検出信号の良好なS/Nを確保することが困難になっている。
【0008】
一方、図12のような端面発光型レーザのタイプでは、光検出系が一体化されているために小型化できるが、端面発光型レーザ1つ1つをアレイ化する場合には、各々を支持する弾性体が多数必要になってSNOMヘッド全体が大型化して重くなってしまい、やはり高速走査が難しくなる。
【0009】
本発明の目的は、このような課題に鑑み、近接場光学系用に適した光導入装置が小型の弾性体上に形成され、2次元等にアレイ化した場合にも小型、軽量で高速走査などが可能な近視野光学系用に適した光源装置、その製造方法、及び光情報記録装置、露光装置等としてそれを用いる方法などを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的を達成する光源装置は、基板に一部が支持された変位可能な弾性体上に微小開口を構成する部材を備え、前記微小開口を通してエバネッセント光を出射する光源装置であって、
前記弾性体はエピタキシャル成長させた半導体層を用いてなり、前記半導体層をクラッド層またはミラー層として、前記弾性体と共通の半導体層を用いて、前記弾性体と一体化して構成された面型発光デバイスを備えると共に、該面型発光デバイス上に前記微小開口を構成する部材を配したことを特徴とする。こうして、光デバイスが弾性体に支持されて媒体表面に対して倣うように走査できる面型発光デバイスを備えた近視野光学系用に適した小型の光源装置を提供できる。
【0011】
上記の基本構成に基づいて、以下のような構成も可能である。
前記面型光デバイスは微小開口を備えた面型発光デバイスであり、該微小開口からエバネッセント光を発生させる様にできる。面型発光装置に微小開口を設けることでエバネッセント波の制御を行なって、高分解能の走査を行なえる。こうして、弾性体に支持された面型光デバイスから発生するエバネッセント光を制御して分解能を上げることができる近視野光学系用に適した小型の光源装置を提供できる。
【0012】
前記面型光デバイスの機能層が半導体薄膜で構成され、該半導体薄膜をエピタキシャル成長する為の第1の基板を一部で除去することで該半導体薄膜の一部は薄膜化され、該薄膜化した半導体薄膜を含む構造体で形成した薄膜弾性体の上に、該半導体薄膜で構成した面型光デバイスを備える様にできる。面型光デバイスの機能層を半導体とすることで、発光効率が高く、加工精度の高いSNOMヘッドなどを実現できる。こうして、弾性体と光デバイスが複雑な工程なしに同一基板上に一体化して作製することのできる構造、材料を提供できる。
【0013】
また、前記薄膜化した半導体薄膜は、エピタキシャル成長した最表面からも該半導体薄膜をエッチングすることで更に薄膜化され、該薄膜化した半導体薄膜を含む構造体で形成した薄膜弾性体の上に、該半導体薄膜で構成した面型光デバイスを備える様にもできる。こうしても、発光効率が高く、加工精度の高いSNOMヘッドなどを実現でき、弾性体と光デバイスが複雑な工程なしに同一基板上に一体化して作製することのできる構造、材料を提供できる。
【0014】
前記薄膜弾性体は、一部が前記面型光デバイスを構成するクラッド層を含んだり、一部が前記面型光デバイスを構成する半導体多層膜ミラーを含んだり、一部が前記面型光デバイスを構成する誘電体多層膜ミラーを含んだりする様にもできる。
【0015】
前記面型光デバイスは半導体で構成された面発光レーザである。SNOMベッドなどの光源を、例えば、微小開口を光出射面に持つ面発光レーザとすることで、エバネッセント波の強度を強くすることができる。こうして、SNOMヘッドなどから発生するエバネッセント光の強度を強くしかもエネルギ変換効率を高くできる。
【0016】
前記半導体薄膜はGaAs、AlGaAs、InGaAsのいずれか1つを少なくとも含む材料で構成され、前記第1の基板がGaAsである様にできる。GaAs基板上のAlGaAs/GaAs系あるいはInGaAs/AlGaAs/GaAs系とすることで、高効率な面型光デバイスを実現できる。こうして、本発明の光源装置に適した半導体材料の具体例を提供できる。
【0017】
また、前記半導体薄膜はGaN、AlGaN、InGaNのいずれか1つを少なくとも含む材料で構成されている様にもできる。GaN系材料を用いることで、光記録や露光装置に適した光源装置を提供できる。
【0018】
前記電気配線の一部に、導電性を持つ構造体で構成された前記薄膜弾性体を用いる様にもできる。導電性の機能層で構成した薄膜弾性体を面型光デバイスに電流注入或は電圧印加するための配線の一部として利用することで、電気配線を簡単に構成できる。こうして、SNOMヘッドなどの発光素子、受光素子等に電流注入或は電圧印加するための手段を提供できる。
【0019】
前記微小開口は、該面型発光デバイスの光出力部に、微小開口を有する微小突起部材を備えて形成されたものある。先端に微小開口を有する四角錐状の金属薄膜などを面型発光装置の光出射面に圧着することで、SNOMヘッドなどを構成できる。こうして、エバネッセント波発生のための微小開口部を提供できる。
【0020】
また、前記微小開口は、該面型発光デバイスの光出力部に、該面型発光デバイスの機能層の最表面層で形成した微小突起の先端部以外の周囲を遮光層で覆うことで構成されている様にもできる。面型発光装置の機能層の最上層を微小突起形状に加工して、先端部以外を金属などの遮光層で覆うことで微小開口つきSNOMヘッドなどを実現できる。
【0021】
複数の前記面型光デバイスが、共通の前記第1の基板で支持される複数の前記薄膜弾性体上に夫々配置されてアレイ化されている様にもできる。同一支持基板上に複数SNOMヘッドなどをアレイ化しておき、格子状等に該基板を除去すれば簡単に高密度にアレイ化された近視野光学系用光源装置が提供できる。この構成は、例えば、面型光デバイスと光検出器の各組が各薄膜弾性体上に設置された図5の構成の様にもできるし、面型光デバイスのみが各薄膜弾性体上に設置されて各光検出器は各面型光デバイスに対応して第2の基板上にアレイ化された図2の構成と図5の構成を組み合わせた構成の様にもできる。こうして、高速走査のためのマルチSNOMヘッド等を提供できる。
【0022】
複数の前記面型光デバイスが、1つの前記薄膜弾性体上に複数配置されている様にもできる。この構成は、例えば、面型光デバイスと光検出器の複数組が1つの薄膜弾性体上に設置された図4の構成の様にもできるし、複数の面型光デバイスのみが1つの薄膜弾性体上に設置されて複数の光検出器は面型光デバイスに対応して第2の基板上に配置された図2の構成と図4の構成を組み合わせた構成の様にもできる。1つの弾性体に、例えば、複数の微小開口を有する面型発光装置を備えることで、高密度の配列を実現でき、トラッキングや光検出用のヘッドを同時に備えることができる。
【0023】
光検出器が、面型発光デバイスである前記面型光デバイスの機能層を成膜した前記第1の基板とは異なる第2の基板に形成されており、該面型光デバイスの光出力のうち、近視野光学系用に適した光源となる該面型光デバイスの面とは反対の面から出力される光をモニタできるようにアライメントされて、該面型光デバイスの機能層を成膜した該第1の基板と該第2の基板が貼り合わされている構成にもできる。光検出器を別の基板に作製して、面型発光装置の光出力をモニターできる位置に基板同志を貼り合わせることで小型で発光素子、受光素子が一体化ないし集積化されたSNOMヘッドなどを実現できる。
【0024】
前記光検出器は、前記第2の基板であるSi基板上の該面型発光デバイスからの光出力を検出できる位置に、ドーピング制御によりホトダイオードあるいはFET(電界効果トランジスタ)として集積化されたものである様にもできるし、前記第2の基板であるSi基板上の該面型発光デバイスからの光出力が検出できる領域に集積化した金属/半導体接触のショットキーバリア型光検出器である様にもできる。また、前記光検出器は、該面型発光デバイスと連続した結晶成長によって積層されて一体化しており、該一体化された光検出器及び面型発光デバイスが該薄膜弾性体上に備えられる様にもできる。
【0025】
前記薄膜弾性体は、例えば、片持ち梁構造を有する様にできる。
【0026】
また、前記薄膜弾性体は、その上面と下面には圧電材料層が形成されてバイモルフ構造にされ、両圧電材料層への電界印加によって該薄膜弾性体を微動調整できる構造或は該薄膜弾性体の微動を両圧電材料層に誘起される電荷で検出できる構造となっている様にもできる。
【0027】
本発明の上記目的を達成する光源装置の製造方法は、基板に一部が支持された変位可能な弾性体上に微小開口を構成する部材を備え、前記微小開口を通してエバネッセント光を出射する光源装置の製造方法であって、
基板上に半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、前記エピタキシャル成長させた半導体層をクラッド層またはミラー層とする面型発光デバイスを形成する工程と、前記面型発光デバイス上に前記微小開口を構成する部材を形成する工程と、前記基板を部分的に除去して前記エピタキシャル成長させた半導体層を用いて変位可能な弾性体を前記面型発光デバイスと一体化して形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の上記目的を達成する近視野光学系用光源装置の製造方法は、面型光デバイスの機能層を第1の基板上に成膜して電流注入領域、電極構造を加工する工程と、該面型光デバイスの機能層を薄膜弾性体の構造体の形状にエッチングする工程と、該第1の基板を該面型光デバイスが形成された面とは反対側の面からエッチングする工程と、該面型光デバイスが形成された面とは反対側の面において、該第1の基板と光検出器を表面に形成した第2の基板とを、該面型光デバイスの出力光を該光検出器で検出できる位置にアライメントして、接合する工程とを少なくとも含むことを特徴とする。こうしても、薄膜弾性体に面型光デバイスが搭載されたSNOMヘッドなどが作製できる。
【0029】
本発明の光源装置は、以下の如き使用方法で或は装置として使用できる。
面型光デバイスからエバネッセント光を媒体表面に照射して、媒体表面からの散乱光の強さによって変動する該面型光デバイスの電流或は両端電極間の電圧信号の検出を光情報の検出として用いる。面型光デバイスに電流注入して媒体表面にエバネッセント光を照射したときの戻り光によって該装置の電流或は両端電圧が変動するが、この信号を読み出すことでSNOMヘッドなどとして駆動できる。こうして、SNOMヘッドなどにより光情報を読み取るための駆動方法を提供できる。
【0030】
面型光デバイスからエバネッセント光を媒体表面に照射して、媒体表面からの散乱光の強さによって変動する該面型光デバイスの光出力を、該媒体表面とは反対側に備えてある光検出器によって電気信号に変換し、光情報の検出器として用いる。面型光デバイスに電流注入して媒体表面にエバネッセント光を照射したときの戻り光によって光出力が変動するが、この信号を光検出器で読み出すことでSNOMヘッドなどとして駆動できる。こうして、SNOMヘッドなどにより光情報を読み取るための他の駆動方法を提供できる。
【0031】
微小突起部から導電性の媒体表面を通して該面型光デバイスに電流或はトンネル電流を注入することで、該媒体表面の状態によって変化する電流量で該面型光デバイスの光出力または該面型光デバイスの電流或は両端電極間の電圧が変化することを検出し、走査型トンネル顕微鏡(STM)として用いる。面型光デバイス上の微小突起を介して媒体表面に電流或はトンネル電流を流し、この電流の大きさによって、例えば、面型光デバイスの光出力の変化する信号を光検出器で読み出すことで、STMとして駆動できる。こうして、SNOMヘッド等を他の観察方法と併用して使用するときの駆動方法を提供できる。
【0032】
微小突起部が媒体表面と原子間力相互作用することによって薄膜弾性体が変位するのを、前記第2の基板に形成された光検出器によって、該薄膜弾性体の変位により該面型光デバイスから放射される光出力の位置が変動することで検出し、原子間力顕微鏡(AFM)として用いる。例えば、微小突起と媒体表面との原子間力相互作用でカンチレバーなどが変位するのを、近傍に一体化された光検出器により、面型発光装置のビームの偏向で読み出すことで、AFMとして駆動できる(この変位は、薄膜弾性体を上記のバイモルフ構造やピエゾ抵抗体とすることによっても検出できる)。こうして、SNOMヘッド等を他の観察方法と併用して使用するときの駆動方法を提供できる。
【0033】
面型光デバイスから発生するエバネッセント光によって光情報記録媒体への高密度情報記録を行い、該光源装置を光情報記録装置として用いる。情報再生は、媒体表面からの散乱光と面型光デバイスとの相互作用により散乱光の強さを検出すること(これは、発光デバイスの出力のモニタで検出できるのは勿論であるが、或は発光デバイスの両端電圧または電流をモニタしても行なえる)で行える。こうして、SNOMヘッド等で光情報の記録、再生を行なうことで、高密度、大容量で高速走査が可能な光情報記録装置を実現できる。
【0034】
面型光デバイスから発生するエバネッセント光によって光感光媒体への高精細パターン形成を行い、該光源装置を露光装置として用いる。SNOMヘッド等で感光媒体を露光させることで、高速に超微細なパターンを焼き付けられる露光装置を実現できる。
【0035】
本発明の作用原理の典型例を具体例に沿って説明する。
本発明のSNOMヘッドは、例えば図1(a)のように、微小なカンチレバーと呼ばれる薄膜弾性体14の先端に、微小開口12を設けた面発光レーザ13などの光源を形成した構造のものである。面発光レーザ13を構成している成長層の一部をカンチレバー形状にパターニングして、さらに面発光レーザ13を形成した基板1を裏面からエッチングすることでフリーな状態にして、弾性体として作用させる。カンチレバー14の弾性定数等は、レバー部の成長層をエッチングする厚さ、レバーの形状等で制御することができる。これによって、使用時に光源部を媒体表面に対して倣うように走査することが可能になり、媒体表面あるいはSNOMヘッドなどを破壊することはない。
【0036】
微小開口12付き面発光レーザ13は、例えばGaAs基板1上に形成した図1(b)の断面図のような構造であり、微小開口12を持つ微小突起部材11を圧着することで形成できる。一方、図2のように半導体結晶20そのものを突起形状に形成して微小開口75を作ることもできる。
【0037】
この方法によれば、各々のプローブが独立に薄膜弾性体14に支持されて図5のように高密度にアレイ化することができ、しかも、図2のように光検出器基板21を貼り合わせれば、光源と光検出系が一体化された小型、軽量のSNOMヘッドなどを実現することができ、高速走査が可能となる。また、微小突起部を介して媒体との間にトンネル電流を流してSTMとして駆動したり、トンネル電流の大小によって面発光レーザの光出力の強弱を検出する新しい媒体観察/情報記録再生方法を提供できる。
【0038】
一方、カンチレバーをSiNなどの絶縁体で構成して、光検出器は離れた位置に設置した図2のような構造でもよい。この場合は、レバーの変位を光検出器で検出する原子間力顕微鏡(AFM)としても動作させることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
(第1実施例)
本発明による第1の実施例は、図1(a)、(b)に示すように、面発光レーザ13のエピタキシャル層表面に微小開口を有する突起部材11を形成したものをカンチレバー14の先端に取り付けた構造のSNOMヘッド、及びその製造方法に関する。
【0041】
本実施例で適用した面発光レーザ13は、斜視図である図1(a)のA−A’断面図である図1(b)の断面図に示すように、AlGaAs/GaAs多重量子井戸活性層とAlGaAsスペーサ層からなる1波長共振器4をAlAs/AlGaAsの1/4波長厚の多層膜(20〜30組程度)から成るDBR(分布反射)ミラー3(n型)及び5(p型)で挟む構造を有する。これらは、MOVPE(有機金属気相成長)法などによって半絶縁性のGaAs基板1上にエピタキシャル成長される。n−DBRミラー3とGaAs基板1の間には、GaAs基板1をエッチングするときのAlAsエッチングストップ層2があり、p−DBRミラー5の最上層は電極コンタクトを取り易いようにハイドープのp−GaAs層(不図示)となっている。発光領域(本実施例では15μmφ)に電流狭窄を行なうため、円環状に活性層近傍までエッチングした後、ポリイミド6で凹部を埋め込んで平坦化している。そして、SiN等の絶縁膜7を形成して、光を取り出す窓構造をもつp電極(例えばCr/Auから成る)9を形成している。このp電極9は、図1(a)のように、絶縁膜7を介しでレバー14上の配線を兼ねている。一方、n側の電極10は、n−DBRミラー層3の一部でn−AlGaAs層とのコンタクトを取ることで構成している(n−AlAs層では、その伝導帯のレベルと電極金属のそれとの差が大きくなり過ぎる)。
【0042】
この面発光レーザ13の光出射面には、例えば、Au箔で形成した四角錐の先端に微小開口12(約100nmφ)を形成した突起部材11が金属同士の圧着により取り付けられる。該微小開口12からはエバネッセント波が漏れ出るようになっている。本実施例では突起状の微小開口付き突起部材11を用いたが、突起を圧着せずに光出射面全体を電極で覆って中央に微小開口を作製する形でもよい。
【0043】
一方、この面発光レーザ13を支持するカンチレバー14は図1のように片持ち梁形状になっており、p−DBRミラー5及び活性層を含む共振器4を先端部を残してエッチングして、n−DBRミラー層3をレバー形状に加工している。GaAs基板1をエッチングしてレバー14をフリーにすれば、図1に示すようなカンチレバー状の弾性体14とすることができる。レバー14にするn−DBRミラー3の厚さ及びレバーの平面形状によって、レバーの弾性定数等を制御することができる。
【0044】
本実施例では、レバー14の幅を50μm、長さを100μmとし、レバーとなるn−DBR層3の厚さを2μmとした。このSNOMヘッドをアレイ化した様子を図5に示す。横方向のピッチWは100μm、縦方向のピッチLはカンチレバーの長さ及び支えている基板1の領域があるため、500μmとした。図5ではn側の電極は図示していないが、n−DBRミラー層3をエッチングにより層分離して(図5の溝19で示す。この分離溝19は、行方向に繋がったp電極9に対して列方向に伸びていて列方向に並んだ面発光レーザ13のn電極を共通化している)マトリックス配線を絶縁膜7の下に形成しており、基板1の端で電極を取り出せるようにしている。このマルチ配列例では面発光レーザ13ヘの電流注入は図5のようにマトリックス配線としたが、独立配線にしてもよい。この場合は、n側電極3を共通にして、p側の電極9のみ独立配線にすればよい。このとき、n側の電極は、面発光レーザ13を成長する基板1としてn基板を用いて、基板の裏面から共通電極(図1(b)の電極15)として取り出してもよい。このとき図1の電極10は必要ない。
【0045】
次に、本実施例によるSNOMヘッドの作製プロセスを図6を沿って説明する。この図では図1(a)で示したA−A’断面での図を表している。
【0046】
図6(a)において、半絶縁性GaAs基板1上に、0.1μm厚のn−AlAsエッチストップ層2、n−AlAs/AlGaAs−DBRミラー3、AlGaAs/GaAs多重量子井戸活性層とAlGaAsスペーサ層からなる1波長共振器4、p−AlAs/AlGaAs−DBRミラー及びp−GaAsコンタクト層5をMOCVD(有機金属気相成長)法などにより成長する。次に、面発光レーザ13を作製する領域に内径15μm、外径30μmのドーナツ状に、ホトリソグラフィー及びC1ガスによるRIE(反応性イオンエッチング)法などにより、活性層4近傍までエッチングして、エッチ部をポリイミド6によって平坦化する。
【0047】
図6(b)において、やはりホトリソグラフィー及びClガスによるRIE(反応性イオンエッチング)法などにより、カンチレバーの片持ち梁形状に成長層をAlAs層2が露出するまでエッチングする。このとき、エッチング深さの制御性を上げるために、AlAs層2が露出する直前でRIEエッチングを中断し、硫酸と過酸化水素水の混合液で、ウエットエッチングによって、AlAsで完全にエッチングを止める選択エッチングを併用してもよい。さらに、カンチレバーの先端の面発光レーザ領域以外の部分は、p−DBR層5及び共振器4を同様のエッチングにより除去し、さらに必要であれば、マトリックス配線の形(図5の説明参照)にn−DBR3をさらにエッチングしておく。
【0048】
次に、絶縁膜としてSiNx膜7を形成して、電極コンタクトを取る領域及びGaAs基板1を除去する領域のみホトリソグラフィーとCF4ガスを用いたRIEエッチングにより窓開けを行なう。n側電極コンタクトを取り出す窓60では、n−DBRミラー層3を構成するAlAsとAl組成の低いAlGaAsのどちらが最表面に露出するかはRIEによるエッチング制御では難しいため、塩酸でAlAs層を選択的にエッチングしてAlGaAsを露出させておく。
【0049】
図6(c)において、リフトオフ法などにより光取り出し用の窓を設けたp側電極兼配線9及びn側電極兼配線10を形成する。次に、微小開口12付き突起部材11をアライメントして圧着する。
【0050】
ここで、微小突起部材11の作製方法を簡単に述べる。基板としてSi(100)基板を用い、熱酸化膜からなる1辺が20μmの正方形のエッチング用窓を、ホトリソグラフィ及びフッ酸とフッ化アンモニウム混合液によるエッチングで形成する。そして、90℃に加熱した30%水酸化カリウム水溶液を用いた結晶軸異方性エッチングにより、(111)面と等価な4つの面で囲まれた深さ約14μmの逆ピラミッド状の凹部を形成する。次に、該マスク用の熱酸化膜を除去してから基板を1000℃で再び熱酸化して、剥離層として二酸化シリコンを400nm堆積する。その後、遮光層としてAuを蒸着することによりピラミッド形状のAu箔からなる微小突起部材11が形成できるが、蒸着源を基板に対して斜めにすることで、凹部の先端部分にAuの堆積しない部分が形成され、微小開口12が得られる。このとき、遮光層としてAuを用いたが、Pt、W、Ti、Crなどの金属、或は半導体や誘電体を用いてもよい。
【0051】
次に、基板表面にはポリイミド層をスピンコートにより塗布して保護層を形成して、GaAs基板1の裏面を必要であれば研磨してから、基板ホールエッチング用のマスクとして金属パターン15をリフトオフ法などで形成する。すでに述べたようにn側電極を分離する必要がない場合には、GaAs基板1としてn型を用い、この金属パターン15そのものをn側電極とすればよい。
【0052】
図6(d)において、裏面の金属15をエッチングマスクにして、過酸化水素水とアンモニアの混合液を40℃に加熱してGaAs基板1をエッチングした後に、塩酸でAlAsエッチングストップ層2を除去する。最後に、酸素プラズマRIEによるエッチングで上記表面保護層を除去して、カンチレバー型SNOMヘッドが完成する。
【0053】
次に、本実施例によるSNOMヘッドの駆動方法を説明する。簡単に近接場光学顕微鏡として用いる場合には、本実施例による装置で面発光レーザを発振させてエバネッセント波を媒体表面に照射し、その散乱光を別の光学系で検出すればよい。しかし、この場合、光学系が大きくなり、S/Nも大きく取れないため、面発光レーザを光検出器としても併用する方法もある。すなわち、面発光レーザの注入電流をしきい値電流付近まで落とすと媒体の反射率によってレーザの発振状態が変化することを利用する。エバネッセント光の媒体表面での反射率が変動して、レーザヘの戻り光量が変化すると、発振状態が大きく変化する。しきい値近傍で戻り光量が増大するとレーザの状態が不安定になり、戻り光の遅延時間に応じた振動が引き起こされる。このときレーザの光量が振動するが、レーザ注入電流も振動するため、レーザヘの注入電流用の電極からDC成分をカットして信号を取り出せば、光情報を読み出すことができる。このレーザ発振光の変動はGaAs基板1側に出射される光を他の検出器でモニターして信号検出してもよい。
【0054】
本実施例のSNOMヘッドでは、微小突起部材11とレーザ4のp電極9が導通しているために、媒体表面との電位差がある場合には動作がトンネル電流などで不安定になることがある。その場合には、導通しないようにp電極9と微小突起部材11の間に絶縁膜を設けてもよい。また、カンチレバー14先端の端面において面発光レーザ13から横方向に導波した光が出射されることがあり、光ノイズとしての影響が大きい場合には、端面に金属をコートあるいは誘電体による反射膜8を形成してもよい。
【0055】
いままでの説明では1つのカンチレバー14に1つの面発光レーザ13を設ける場合であったが、図4のように1つのカンチレバー14上に複数の面発光レーザ13、微小開口付き突起部材11を設けることもできる。ここでは、面発光レーザ13を50μmピッチで2×2の2次元アレイ状に作製し、微小開口12を持つ突起部材11も同様にそれぞれの出射端に取り付け、4つのSNOMヘッドを1つのカンチレバー14に取り付けている。面発光レーザ13ヘの配線は、n側電極はn−DBR3から共通電極44を形成し、p側電極40〜43は4本形成して独立駆動できるようにしている。この場合は、レバー先端の幅は100μmになるが、弾性力を低減するために図4のように一部の幅を50μmに細くしてある。
【0056】
このような構造にすることにより、微小ピッチヘの対応、高速動作などが可能となる。また、すべてをSNOM光源とせず、一部は、ホトダイオードのみにして読み出し専用として用いたり、トラッキング用光源などの別機能を持たせることもできる。
【0057】
本実施例によれば、簡単に小型で高効率のSNOMヘッドを作製することができる。このヘッドを用いて超分解能の像観察、光記録、露光などを行なうことができる。
【0058】
本実施例ではAlGaAs/GaAs系すなわち780〜850nm帯の面発光レーザに適用したが、400nm前後のAlGaN/InGaN/GaN系、980nm帯のInGaAs/GaAs系、1.3〜1.55μm帯のInGaAsP/InPやInGaNAs/GaAs系など、あらゆる波長帯のものを用いることができる。さらには、効率は低下するが、低コスト化するために用途によっては、面型発光ダイオード(前記レーザ構造で多層膜ミラーを除いたようなもの)、あるいは半導体以外の材料も含めたEL(エレクトロルミネッセンス)素子等でもよい。
【0059】
また、カンチレバーとして長方形形状の片持ち梁構造を用いたが、台形形状等のものでもよいし、さらには弾性体を構成するものであれば、両持ち梁やクロス形状(クロス形状弾性体の交点の部分に面発光レーザが貼り付けられる)のもの、更にはヒンジ付きのもの(弾性体の根元部が1軸の周りで枢動可能であるもの)等でもよい。
【0060】
(第2実施例)
本発明による第2の実施例は、図2に示すように結晶成長によって成長した層からエッチングによって先鋭化した構造体20を作製し、電極73を被せたあとにセルフアライン工程によって先端部だけ電極を除去して微小開口75を形成したものである。また、半導体レーザ13の基板1側に出力される光をモニターするためのホトダイオードをSi基板21上に形成して、この基板21をSNOMヘッドを形成したGaAs基板1とアライメントして貼り合わせることで、光検出系も一体化させている。
【0061】
この光検出器は、ノンドープのSi基板21上にn型拡散領域23及びp型拡散領域24を形成し、SiN膜などの絶縁膜22を形成してからそれぞれの電極25、26を設けることで構成されている。この光検出器の配線はSNOMヘッドに対応して、マトリックス配線あるいは独立配線にすることもできる。
【0062】
このときレバー14を支持している基板1の厚さは研磨により150μm程度まで薄くしている。そのため、面発光レーザ13の出射角が立体角で約10度、出力端の窓径が10μmとした場合に、受光面でのビーム径は約40μm程度である。そこで、受光面の窓領域28は十分検出できる程度の100μmとしている。本実施例では、ホトダイオードとしてpin−PD構造としたが、APD(アバランシェホトダイオード)やMSM−PD(金属一半導体一金属ショットキー型ホトダイオード)あるいはFET(電界効果トランジスタ)型としてもよい。
【0063】
次に、セルフアライン工程による微小開口75の作製方法について図7に沿って説明する。図7(a)において、GaAs基板1上の結晶成長は、第1実施例のレーザ構造2〜5の上に、さらに連続してp−Al0.3Ga0.7As層70を1.5μm成長しておく。第1実施例と同様にドーナツ状エッチングを行なってポリイミド6を埋め込むが、オーバーエッチを行なって、ポリイミド層6の最表面はp−DBRミラー5の最上面近傍まで後退させておく。次に、面発光レーザ13の発光領域になる領域の中央に3μmφのレジスト71をホトリソグラフィで形成する。
【0064】
図7(b)において、硫酸と過酸化水素水の混合液でウエットエッチングを行なうと、AlGaAs層70は、縦方向のエッチングと同時に横方向のエッチングも進み、特にレジスト71下部では最もエッチングが進むために先鋭化された突起部72が形成される。場合によってはレジスト71が剥がれることもある。p−DBRミラー5の最表面であるGaAs層が露出したところでエッチングを止め、ポリイミド6をエッチングして平坦化する。エッチングの停止は、表面の干渉色を観察しておくことで精度よく行なうことができる。
【0065】
図7(c)において、第1実施例と同様にSiN7形成と電極73形成を行なうが、p側電極73は微小突起部72の上にも形成しておく。
【0066】
図7(d)において、全面にレジスト74を塗布して、表面を酸素ガスによるRIEで僅かにエッチングすると、微小突起部72の先端のレジスト74の膜厚は薄くなっているために、この先端部だけセルフアライン的にレジスト74を除去することができる。そこで、このレジスト74をマスクとして、連続してArガスによるイオンミリングによって電極73の先端部だけエッチングすれば微小開口75を作製することができる。
【0067】
その他の工程は第1実施例と同様である。
【0068】
ここで、本実施例によるSNOMヘッドの駆動方法について図8を元に簡単に述べる。面発光レーザ13のp側電極73(図1の電極9)と光検出器のn側電極25が共通電極となってポイントAから電源Vccに接続される。面発光レーザのn側電極10はポイントBからレーザ駆動用のトランジスタ(図8でバイポーラ型を示したが、FETでもよい)に接続されている。そこで、LD電流制御回路で、入力信号に対してレーザ13に電流注入できるよになっており、エバネッセント光の出力制御ができる。一方、光検出器のp側電極26はポイントCから抵抗を介してグランドに接続され、ポイントCの電圧変化分を基準電圧86との比較で差動アンプの出力として信号を取り出す。
【0069】
媒体からの情報を取り出す場合には、第1実施例のようにレーザの電流をしきい値近傍にしておき、媒体からの戻り光で発振状態が変化したことを光検出器からの電圧信号で取り出すようにすればよい。これは、DC信号も読み取れる系であるが、コンデンサ結合にしてAC成分のみ取り出す系でもよい。また、S/N向上のために、レーザ13を一定の周波数で変調しておいて、同期検波による光検出を行なってもよい。
【0070】
このSNOMヘッドを用いてSTM(走査型トンネル顕微鏡)として動作させることもできる。すなわち、p側電極73はVccに接続せずに、媒体をVccに接続して微小突起部を通してレーザ13に電流注入するように駆動すると、微小突起部を通してトンネル電流を流すことができるが、このトンネル電流の強弱に応じて、面発光レーザ13の光出力が変化するという新しい媒体観察方法を行なうことができる。この場合、図8のポイントAが媒体と電極73の微小突起部の間のトンネルコンタクトで接続して駆動していることになる。
【0071】
その他にAFM観察を同時に行なうこともできる。カンチレバー14上の面発光レーザ13のビームがレバー14の変形によって偏向されることを利用する。この場合、光検出器の受光面の窓領域28を40μm程度に小さくしておいて、レバー14の撓みによってビーム位置が受光面からずれて光検出強度が減少することから信号検出する。この信号は、ニアフィールド光の相互作用による面発光レーザ13の光出力変動で媒体表面の情報を検知する信号とは、周波数分離でアイソレートすることができる。すなわち、ビーム偏向による光信号の変動はレバー14のメカニカルな振動に相当しているため、面発光レーザ13の出力変動に比ベると低周波の信号となっている。また、ビーム偏向を検知する方法として、受光面が10μmφ程度と小さいものをライン状に並べて位置検出する方法でもよい。このような方法で駆動すれば、近接場観察(これは、面発光レーザ13の両端電圧または電流の変動をモニタして行なってもよい)とAFM観察を同時に行なって、媒体を異なる相において多面的に観察することができる。
【0072】
本実施例によれば、微小突起部材を圧着するときの歩留まりが問題になることがないので、生産性の高いSNOMヘッドなどを提供することができる。また、光検出器を一体化させているために、2次元アレイ化した場合でも小型、軽量のSNOMヘッドなどを提供できる。本実施例では、別の基板21にホトダイオードを形成して基板1、21同志の貼り合わせを用いているが、面発光レーザ13を形成した下の層に光検出器となるp−i−n構造のAlGaAs/GaAsを成長しておいて、レバー先端にレーザと光検出器が一体化されたものでもよい。成長により光検出器を形成しない場合でも、面発光レーザ13の直下で対応する図1の基板1の部分を薄く残し、ここに不純物ドーピングなどで光検出器を形成し、ここへの電極配線は絶縁膜を成膜した上に適当に配する。
【0073】
(第3実施例)
本発明による第3の実施例は、光情報記録装置や露光装置に適した紫外〜青色(380nm〜420nm)を発光させるGaN系面発光デバイスに適用したものである。
【0074】
図3に沿って第3の実施例の構造を説明する。サファイア基板30上に、低い温度(500℃程度)で成膜したAlN低温バッファ層31(厚さ1μm)、n−GaN/AlGaNから成るクラッド層32(厚さ0.3μm)、アンドープのInGaN/AlGaNから成る多重量子井戸活性層33、p−AlGaN/GaNから成るクラッド層34(厚さ0.5μm)、p−GaNコンタクト層40(厚さ0.05μm)がMOCVD法などで成長してある。そして、SiO2/MgOから成る誘電体ミラー37、38を形成して面発光レーザとして発振できるようになっている。
【0075】
電極は、n側電極36としてn/Al/Auをn−GaN/AlGaNから成るクラッド層32上に形成し、p側電極35としてNi/Auをp−GaNコンタクト層40上に窓開けして形成している(必要なところには絶縁層7を形成しておく)。微小開口41は、誘電体ミラー37上に遮光層としてAuなどの金属39を形成した後にエッチングにより形成しているが、第1或は第2実施例のような方法で形成してもよい。
【0076】
サファイア基板30のエッチングはSF6のガスを用いたRIEなどにより行い、バッファ層31が露出したところで300℃に加熱した燐酸によるウエットエッチングで平滑なクラッド層32を露出させる。このとき、アモルファスであるバッファ層31と単結晶であるクラッド層32のエッチングレートの差から選択エッチングが可能となる。露出したクラッド層32上に誘電体ミラー38を形成するので、レバー14はクラッド層32と誘電体38が積層されたものとなっている。
【0077】
本実施例では基板としてサファイア基板30を用いているが、SiC基板あるいはGaN基板などでもよい。本実施例によるSNOMヘッドでは、光エネルギーの高い紫外光を用いることができるため、情報記録や露光を行なう装置に適用することで、効率の良い書き込みを行なうことができる。また、誘電体ミラー37、38であるので、作製が容易である。
【0078】
ところで、今までの実施例では、カンチレバーを単なる弾性体として用いていたが、ピエゾ抵抗を形成してカンチレバーの撓み量を検出できるようにし、バイモルフ構造にすることで電界によってレバー本体を上下に駆動できる構造にしてもよい。こうすれば、例えば、使用時に、媒体表面に対する微小開口の位置決めが好適に調整できる。
【0079】
(第4実施例)
本発明による第4の実施例は、図9に示すように第1乃至第3実施例のSNOMヘッドを光情報記録装置に適用したものである。
【0080】
図9において、上記実施例で説明した微小開口と面発光レーザ13が一体化されたSNOMヘッド90が、半導体等の基板95で支持されたカンチレバー94(ここでは、中央がくり貫かれた台形状になっている)の先端に取り付けられ、このSNOMヘッド90から発生したエバネッセント光は、ディスク93上に形成された相変化記録媒体と相互作用し、光記録ドメイン92を形成する。
【0081】
一方、情報再生時には、面発光レーザ13への注入電流をしきい値電流付近まで落とすと、媒体の反射率によってレーザ13の発振状態が変化するので、このことを利用して情報を再生する。すなわち、光記録ドメイン92があるとエバネッセント光と記録媒体の相互作用が変化し、レーザ13ヘの戻り光量が変化するために、発振状態が大きく変化する。しきい値近傍で戻り光量が増大するとレーザ13の状態が不安定になり、戻り光の遅延時間に応じた振動が引き起こされる。この出力変動を一体化された光検出器で読み取ることで記録情報を読み出せる。
【0082】
このようなSNOMヘッド90で光記録を行なえば、微小開口径が数10nmの場合に100Gb/in以上の記録密度が可能となる。従来のSNOMヘッド記録装置では、小型化、アレイ化が難しく高速駆動ができなかったが、本発明により小型軽量、2次元アレイ化等が簡単になり、高速アクセスが可能となった。図9においては1つのSNOMヘッド90のみ示しているが、図5のようなマルチプローブを用いてもよい。
【0083】
また、本実施例ではディスク型の回転系を示しているが、それ以外の2次元平行移動型などでもよい。
【0084】
同様に、本発明によるSNOMヘッドを用いて近接場光学系を用いた超微細露光装置を構成することができる。任意の基板表面にホトレジストを塗布して、本発明によるSNONヘッドアレイを2次元走査しながら、露光パターンを該レジスト上に焼き付けることができる。微細パターン用のレジストが紫外光で主に感光するように作られているので、光源として第3実施例のようにGaN系などの紫外材料を用いることが望ましい。しかし、現在、最も効率がよくハイパワーの面発光レーザはGaAs系の赤外光のため、赤外光で感光する媒体を用いて露光を行なってもよい。従来のSNOMヘッドでは高密度アレイ化が困難なため、露光パターンを形成するのに非常に時間がかかっていたが、本発明の装置により飛躍的な時間短縮が期待できる。
【0085】
なお、上記実施例では、近視野光学系用の光源装置として微小開口を設けた構造で、作用、効果を説明してきたが、微小開口を設けずに通常の光の放射モードを使って、記録再生装置、露光装置などに適用することもできる。面発光レーザの場合は放射角が数度程度と非常に小さいので、そのまま放射光を用いてもよいが、出射面にマイクロレンズ等を貼り付けて媒体表面でビームを絞る形にしてもよい。この場合、光パワーを強くできるため、上記の応用例以外に、原子や分子などの小さい粒子を光でトラップして所望の位置に移動、成長させるための光ピンセットとして利用することも可能である。
【0086】
また、上記実施例の説明では弾性体の上に面型光デバイスが載った構造となっているが、用途によっては弾性体を用いずに面発光レーザに微小開口が設けられたのみの構造でも、勿論、使うことができる。
【0087】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、近接場光学系用に適した光導入装置が小型の弾性体上に形成されているため、アレイ化した場合にも小型、軽量で高速走査が可能な近視野光学系用に適した光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施例の近接場光学系用光源装置の斜視図(a)とA−A’断面図(b)である。
【図2】本発明による第2実施例の近接場光学系用光源装置の断面図である。
【図3】本発明による第3実施例の近接場光学系用光源装置の斜視図(a)とA−A’断面図(b)である。
【図4】本発明による1つのカンチレバーに複数の近接場光学系用光源装置を配置したときの斜視図である。
【図5】本発明による近接場光学系用光源装置を2次元アレイ状に配置したときの斜視図である。
【図6】本発明による第1実施例の近接場光学系用光源装置の作製プロセスを説明する図である。
【図7】本発明による第2実施例の近接場光学系用光源装置の作製プロセスを説明する図である。
【図8】本発明による近接場光学系用光源装置の駆動方法を説明する図である。
【図9】本発明による近接場光学系用光源装置を用いた光情報記録装置の概略斜視図である。
【図10】従来の近接場光学系用光源の例を示す図である。
【図11】従来の近接場光学系用光源の例を示す図である。
【図12】従来の近接場光学系用光源の例を示す図である。
【符号の説明】
1、21、30、95 基板
2 エッチストップ層
3、5 半導体多層膜ミラー
4、33 活性層
6 埋め込み領域(ポリイミド)
7、8、22 絶縁膜
9、35、73 レーザ電極兼配線
10、25、26、36、40、41、42、43、44 電極配線
11 微小開口付き微小突起部材
12、41、75 微小開口
13 面発光レーザ
14 カンチレバー
15 金属マスク兼電極
19 半導体多層膜ミラー3の分離用溝
20 微小突起構造体
23、24 ドーピング領域
28 窓領域
31 バッファ層
32、34 クラッド層
37、38 誘電体多層膜ミラー
39 遮光層
40 コンタクト層
60 電極用窓
70 微小突起用成長層
71、74 レジスト
72 微小突起
86 基準電圧
90 SNOMヘッド
91 SNOMヘッド支持用アーム
92、209 光記録領域
93、207 光記録媒体
94 カンチレバー
102 開口部
103 光ファイバ
108 光導波層
109 金属膜
111 反射防止膜
201 半導体レーザ
202 光検出器
203 プローブ
204 エバネッセント光
206 浮上スライダー
210 白金膜
802 バッファ層
804、808、809 電流狭窄用半導体層
806 クラッド層

Claims (7)

  1. 基板に一部が支持された変位可能な弾性体上に微小開口を構成する部材を備え、前記微小開口を通してエバネッセント光を出射する光源装置であって、
    前記弾性体はエピタキシャル成長させた半導体層を用いてなり、前記半導体層をクラッド層またはミラー層として、前記弾性体と共通の半導体層を用いて、前記弾性体と一体化して構成された面型発光デバイスを備えると共に、該面型発光デバイス上に前記微小開口を構成する部材を配したことを特徴とする光源装置。
  2. 前記弾性体は、片持ち梁構造を有する請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記面型発光デバイスを前記弾性体上に複数有する請求項1に記載の光源装置。
  4. 前記基板に支持された複数の前記弾性体に対応して複数の前記面型発光デバイスをアレイ化して有する請求項1に記載の光源装置。
  5. 前記面型発光デバイスに対応して前記基板とは別の基板に設けられた光検出器を更に有する請求項1に記載の光源装置。
  6. 前記半導体層はGaN、AlGaN、InGaNのいずれか1つを少なくとも含む材料で構成されている請求項1に記載の光源装置。
  7. 基板に一部が支持された変位可能な弾性体上に微小開口を構成する部材を備え、前記微小開口を通してエバネッセント光を出射する光源装置の製造方法であって、
    基板上に半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、前記エピタキシャル成長させた半導体層をクラッド層またはミラー層とする面型発光デバイスを形成する工程と、前記面型発光デバイス上に前記微小開口を構成する部材を形成する工程と、前記基板を部分的に除去して前記エピタキシャル成長させた半導体層を用いて変位可能な弾性体を前記面型発光デバイスと一体化して形成する工程と、を有することを特徴とする光源装置の製造方法。
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