JP3936569B2 - スクリュープレス - Google Patents

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    • B30B9/00Presses specially adapted for particular purposes
    • B30B9/02Presses specially adapted for particular purposes for squeezing-out liquid from liquid-containing material, e.g. juice from fruits, oil from oil-containing material
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水、産業排水、農業集落排水、し尿、ごみ浸出水などの水処理において、被処理物の減容化や後工程を簡素化する目的で使用されるスクリュープレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
下水、産業排水、農業集落排水、し尿、ごみ浸出水等を処理する場合、被処理物の濃縮・脱水を行う工程では、被処理物の減容化や後工程を簡素化するために、濾布を用いたベルトプレス、フィルタプレス等のプレスフィルタや遠心力を用いた脱水機・濃縮機、或いはスクリュープレス等が従来から使用されてきた。
しかし、近年、人口の集中した住宅地への処理場の設置や設置される処理施設の小型化のために、騒音問題や臭気対策、省電力化といった環境問題に対して対応し易いスクリュープレスによる処理が多く見られるようになった。
【0003】
固定ドラム式のスクリュープレス100,200は、一般に図5(a)に示すコーン型や図5(b)に示す平行管型といった形状のドラム101,201内に被処理物の投入口102,202から被処理物(例えばスラリー)を投入し、固形分の出口側に背圧をかけることのできるプレッサー103,203等を設けて、ドラム内部に設けたスクリュー104,204による搬送・押し出し力により被処理物に強制的な容積変化を創出する加圧/圧搾濾過機である。投入された被処理物は圧搾され、液分を搾汁される。ドラム101,201内で分離された分離液はドラム101,201の側壁に設けた間隙から排出され、脱液された固形分は固形分排出口105,205から排出される。
【0004】
このような固定ドラム式のスクリュープレス100,200には、必ず処理物を出口側から押し出し、ドラム101,201内の内部圧力を維持しておくのに必要なプレッサー103,203が設置されている。
このプレッサー103,203の方式としては、(1)プレッサー位置を固定した方式(2)ドラム101,201からの処理物の排出圧力とプレッサー位置とを検出し、油圧シリンダーによるプレッサーの位置制御を行う方式(3)ドラム101,202からの処理物の出口を油圧シリンダーで塞ぎ定期的に処理物の出口を開く方式(4)ドラム101,201からの処理物の排出圧力に対応したプレッサー加圧方式等がある。これらの方式は、どれも一長一短があり、被処理物の性状の変動に対する追従性や制御性に基づいて適宜選択され実施されている。
【0005】
また、固定ドラム式のスクリュープレス100,200にはドラム101,201を洗浄するための洗浄装置106,206が設けられている。この洗浄装置106,206の方式としては、(1)固定ドラム101,201の全周に対して洗浄パイプ106b,206b、洗浄ノズル106a,206aを多数配置した方式(2)リング状の洗浄パイプを固定ドラム101,201の軸方向に摺動させる方式等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、代表的なこれらのスクリュープレスの本体洗浄(及び目詰まり防止)方法は、ドラム101,201が回転しないため、全周を洗浄するためには、洗浄ノズル106a,206aをドラム101,201の周りに複数個設置する必要があり、目的に応じた箇所(又は全体)に洗浄液を吹きかける方式が主な洗浄方法である。
その場合、均一な洗浄が困難であり、洗浄ノズル106a,206aの設置場所によっては洗浄不良を起こす場所も出てくる。また、全周から洗浄液を吹きかけるため、洗浄液の必要量も多くなるのでランニングコストやメンテナンス作業の増大につながるという問題があった。
また、洗浄のためにだけドラム101,201を回転させる工夫をしたものがあるが、運転時にはドラム101,201の回転を止める必要があり、処理工程と洗浄工程とを同時に行うことができなかった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、ドラム全体に亘って均一な洗浄ができ、洗浄ノズルの設置場所に依って洗浄不良を起こすことがなく、しかも洗浄液量が少なくて済み、かつ、運転しながら処理工程と洗浄工程とを同時に行うことができる回転ドラム式のスクリュープレスを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた発明である。
請求項1に記載されたスクリュープレスの発明は、「駆動源と、ケーシング内に回動自在に軸支され、濃縮・濾過・圧搾された分離液を排出する濾過孔を設け、前記駆動源により駆動される回転ドラムと、前記ドラム内で回動自在に軸支され、前記駆動源により回転しながら被処理物を軸方向に圧縮して搬送する圧縮搬送手段と、前記ドラムの両端部側に形成した2つの開口部とを備え、一方の開口部より投入される前記被処理物を前記圧縮搬送手段で搬送する間に濃縮・濾過・圧搾して固形分から液分を分離させ、分離液は前記ドラムの濾過孔か排出し、脱液された固形分は前記ドラムの端部と該端部の反対側から前記固形分を圧搾するプレッサーとの間に形成された他方の開口部から排出するスクリュープレスにおいて、
前記ドラムの外側から前記ドラムを洗浄する洗浄手段を前記ドラムの外側上方に配設し、前記洗浄手段は、洗浄ノズル取付用フードを有し、該洗浄ノズル取付用フードは、断面形状が円弧状の曲面板であり、前記ドラムの周方向に沿って一端部をヒンジにより回転自在に支持され、他端部を弾性体により吊持されており、その内側には、前記ドラムの捩れ強度を確保するために前記ドラムの長手方向に所定の間隔で離間して複数の梁を設け、前記複数の梁の最高部と摺接して洗浄用区画室を形成し、その外側には洗浄用ノズルを取り付けて、前記洗浄用区画室内で洗浄流体を噴射できるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る請求項1に記載の発明は、前記ドラムの外側から前記ドラムを洗浄する洗浄手段を前記ドラムの外側上方に配設したことにより、ドラムをドラムの外側から洗浄する洗浄工程を前記ドラムの上方で、被処理物を前記ドラムの内側で濃縮・加圧・圧搾する処理工程を前記ドラムの下方で同時に行うことができる。
【0010】
また、洗浄手段は、洗浄ノズル取付用フードを有し、該洗浄ノズル取付用フードは、前記ドラムの周方向に沿って一端部をヒンジにより回転自在に支持され、他端部を弾性体により吊持されたことを特徴とする。
【0011】
さらに、洗浄手段は、洗浄ノズル取付用フードを有し、ドラムの周方向に沿って一端部をヒンジにより回転自在に支持され、他端部を弾性体により吊持されたことにより、前記洗浄ノズル取付用フードの内面にドラムの梁の最高部が摺接して、前記洗浄ノズル取付用フードを内側から外側に押し上げても、上下方向に好適に追従することができる。
【0012】
より詳しくは、前記洗浄ノズル取付用フードは、断面形状が円弧状の曲面板であり、その内側には、前記ドラムの長手方向に所定の間隔で離間して設けられた複数の梁の最高部と摺接して洗浄用区画室を形成し、その外側には洗浄用ノズルを取り付けて、前記洗浄用区画室内で洗浄流体を噴射できるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
この効果として、洗浄ノズル取付用フードは、断面形状が円弧状の曲面板であり、その内側には、ドラムの長手方向に所定の間隔で離間して設けられた複数の梁の最高部と摺接して洗浄用区画室を形成し、その外側には洗浄用ノズルを取り付けて、前記洗浄用区画室内で洗浄流体を噴射できるように構成したことにより、
(1)ドラムの外側上方にシール性の良い洗浄用区画室を形成することができるので、液体を使用せずに気体で洗浄することもできる。特に濃縮ゾーン(重力濾過ゾーン)で気体を使用すると前記ドラムの濾過孔の目詰まりを解消する効果が大きい。
尚、濾過孔の目詰まりの度合いが強い場合は、気体に液体を混合したものか又は液体を噴射することで運動量を大きくすることができるので、気体単独のときよりも目詰まりを解消する効果がさらに大きくなる。
(2)また、ドラムの外側上方に洗浄用区画室を設けて、前記洗浄用区画室内だけで洗浄するようにしたので、ドラム全体に亘って均一な洗浄ができ、洗浄ノズルの設置場所が決まってしまうため、洗浄ノズルの設置場所に依らず洗浄が好適に行え、しかも、従来と比較して洗浄液量を最小限に抑えることができる。その結果、ランニングコストの低減やメンテナンス間隔の延長が図れる。
【0014】
本発明に係る請求項2に記載された発明は、前記梁の最高部は、前記ドラムの中心振り分けで45度の位置に設けられたことを特徴とする。請求項1に記載するスクリュープレスである。
【0015】
本発明によると、梁の最高部を、ドラムの中心振り分けで45度の位置に設けたことにより、常に洗浄ノズル取付用フードの内側に梁で区画されたシール性の良い洗浄用区画室を形成することができ、洗浄ノズルから噴射される洗浄流体が前記洗浄用区画室から外部へ漏れことがないので、洗浄流体を有効に利用でき、効率的にドラムを洗浄することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係るスクリュープレスについて図1を参照して説明する。尚、図1は、本発明に係る第一実施形態のスクリュープレスの縦断面図、図2は、図1のA−A矢視図である。
また、図3は、図2のB−B矢視図、図4は、本発明に係る第二実施形態のスクリュウプレスを示す縦断面図である。
【0017】
本発明に係る第一実施形態の回転ドラム式のスクリュープレス1は、図1に示すように、
ケーシング13内に設けられ、回動自在に軸支される濾過孔を有するドラム2(以下、回転ドラム2という)と、
前記回転ドラム2内で回転しながら被処理物を軸方向に搬送し、圧縮する圧縮搬送手段としてのスクリュー3と、
固形分の出口14側から前記回転ドラム2の内部へ背圧をかけるプレッサー5のリングホルダー5cに回転自在に支持されたプレッサーリング5bと、
前記回転ドラム2及びスクリュー3にそれぞれ外部からの駆動力を伝達するスプロケット6,7と、
前記回転ドラム2内の軸心方向に被処理物を供給する被処理物供給配管8と、前記回転ドラム2内で濃縮・濾過・圧搾された被処理物を脱液された固形分として外部へ排出する固形分排出口9と、
前記回転ドラム2の濾過孔を通って分離された分離液を外部へ排出するためにケーシング13下部に設けられた分離液排出口10と、
前記ケーシング13内上方に設けられ前記回転ドラム2を外側から洗浄する洗浄手段である洗浄装置16と、
から主要部が構成される。
【0018】
回転ドラム2は、円筒の形状をしており、圧縮搬送手段としてのスクリュー3のスクリュー軸3bの周りで回動自在にベアリング軸受12a及び支持ローラ15により支持されている。回転ドラム2は、特殊な断面形状(例えば台形)のウェッジワイヤ2dをリング状にして、そのリング間に濾過孔であるわずかな隙間を設けて並べてつなぎ合わせた構造をしている。また、リング同士の設置間隔(濾材の目開きに相当)は、被処理物の投入側から固形分の排出側へ行くに従って徐々に狭くなるように設定してある。尚、本実施形態では4段に分割したドラムから回転ドラム2が形成され、それぞれがボルトB・ナットNによりフランジFで接合されて連結されている。
尚、被処理物の性状に応じて回転ドラム2の濾過孔の構造は適宜変更できる。例えば、ウェッジワイヤ2dを使用しなくても比較的脱水性のよいものはパンチングメタルを積層して濾過孔を形成したものやスリット又は金網等を設けてスクリーンにしたものも使用できる。
【0019】
回転ドラム2の回転方向は、通常は、スクリュー3の回転方向と同一方向に速度差を持って回転するように運転される。
回転ドラム2と圧縮搬送手段であるスクリュー3の回転方向を同一方向にして速度差を持って回転させるようにしたことにより、固定ドラム式のスクリュープレスと比較して相対的な速度差を小さくできるので被処理物の回転ドラム2内の滞留時間が大きく取れるため、被処理物が充分に加圧・圧搾される。また、固定ドラム式のスクリュープレスの場合、脱液効果をあげるにはドラム内の滞留時間を確保するためにスクリューの回転速度を下げる必要があったが、ドラムの回転速度でも調整できるようになるのでスクリュー3の回転速度を下げる必要がなくなる。
【0020】
また、回転ドラム2の回転速度は、10min-1以下であり、しかもスクリュー3の回転速度よりも速く回転するように運転される。
回転ドラム2の回転速度をスクリュー3の回転速度よりも速く回転するようにしたことにより、
(1)従来、固定ドラム式のスクリュープレスの場合、脱液効果をあげるには、ドラム内の被処理物の滞留時間を確保する必要があるので、どうしてもスクリューの回転速度を下げなければならなかったが、本発明ではスクリュー3の回転速度の他に回転ドラム2の回転速度でも滞留時間が調整できるようになるので、スクリュー3の回転速度を下げずに回転ドラム2の回転速度をスクリュー3の回転速度よりも速く回転させることで同じ滞留時間を確保することができる。
(2)また、スクリュー3の回転速度を下げずに回転ドラム2の回転速度をスクリュー3の回転速度よりも速く回転させることで同じ被処理物の滞留時間を確保することができるので、スクリュー3の被処理物の食い込み率(又はドラム内での被処理物の充填率)を低下させることもなく、回転ドラム2内での被処理物への加圧/圧搾力を大きくできる結果、従来の固定ドラム式のスクリュープレスと比較して、同じ処理量に対して脱液効果を向上させることができる。
【0021】
圧縮搬送手段としてのスクリュー3は、スクリュー軸3bとスクリュー軸3bに螺旋状に巻き廻されたスクリュー羽根3aとから構成され、回転ドラム2内に同軸的に回転自在に軸支される。
尚、スクリュー羽根3aの形状は、被処理物を軸方向に搬送でき、かつ加圧・圧搾できる形状であれば螺旋状でなくてもよい。
【0022】
スクリュー羽根3aは、螺旋状の形状をしておりスクリュー軸3bの周囲に沿って固設されている。スクリュー羽根3aのピッチは、他方の開口部である固形分の出口14に近づくに連れて狭くなるように配置されているため、徐々に圧搾間隔が狭くなり、容積変化に伴う圧搾力が強くなるようになっている。
【0023】
プレッサーリング5bは、回転ドラム2内へ被処理物を初期投入したときに、固形分の出口14側から回転ドラム2内に圧力をかけて、回転ドラム2内の被処理物の圧搾圧力を高めるために設けられており、この圧力はスプリング5a(又は油圧)にて加圧され加圧力は自由に調整が可能な構造となっている。
【0024】
ここで、本実施形態のプレッサー全体の構成・作用について図1を参照して説明する。
本発明に係るプレッサー5は、回転ドラム2の端部2aに対向して設けられる前記プレッサーリング5bと、プレッサーリング5bをリングホルダー5cの周りに回転自在に支持するアンギュラ玉軸受4と、プレッサー本体5dの外周に沿って巻き回され、その付勢力により固形分の出口14に背圧をかけるスプリング5aとから主要部が構成される。
【0025】
このように構成されるプレッサー5は、
(1)運転初期は、回転ドラム2の端部2aとプレッサーリング5bは接しているか又はわずかな隙間を持って離れており、プレッサーリング5bには、圧力が加わらないようになっている。
(2)定常運転時は、脱液された固形分がプレッサーリング5bを押しのけるようにして回転ドラム2から出ようとする際、プレッサーリング5bはスプリング5a(又は油圧)によって押され、圧力を処理物に対して加えるが同時にその摩擦によって回転ドラム2と同一方向に回転する。プレッサーリング5bは回転しながら処理物に背圧を加えるので、回転ドラム2の排出トルクを低減することができる。
尚、本実施形態で使用されるプレッサーリング5bを支持する軸受は、処理物を押す面圧に充分耐えられる許容スラスト荷重を満足できるもの使用する。例えば組合わせアンギュラ玉軸受4を使用している。この軸受4は、ラジアル軸受を2個以上組合わせることにより、両方向、或いは、より大きなアキシャル荷重を受けられるようにしたり、予圧をかけ軸受の剛性を高めることができる。
【0026】
さらに第一実施形態のスクリュープレス1の構成について図1を参照しながら続けて説明する。
スプロケット6,7は、夫々前記回転ドラム2及び前記スクリュー3に外部からの駆動力を伝達するための鎖歯車であり、図示しないチェーンを介して電動機側の減速機と連結される。
【0027】
被処理物供給配管8は、スクリュー軸3bの一端側に形成された中空部からなり、回転ドラム2内の濃縮ゾーンの被処理物が供給できるように一方の開口部である開口8aがスクリュー軸3bに配置されている。
被処理物を回転ドラム2内に供給するときに、周りを大気開放状態で供給せずに配管で密閉して加圧状態で軸心方向に供給することにより、供給圧を有効に使った加圧濾過が行える。その結果、濃縮ゾーンにおける被処理物に付着した付着液の脱液時間が短縮できる。
【0028】
洗浄手段である洗浄装置16は、回転ドラム2の外側上方に配設され、前記回転ドラム2を外側から洗浄するためのものである。ここで本発明に係る洗浄装置について図1から図4を参照して詳細に説明する。
【0029】
本発明に係る洗浄装置16は、図2及び図3に示すように、
ケーシング13内で回転しながら外側から洗浄される回転ドラム2と、
前記回転ドラム2の捩れ強度を確保するために、前記回転ドラム2の外表面の長手方向(軸方向)に、所定の間隔で離間して設けられる複数の梁である高梁2b及び低梁2cと、
前記回転ドラム2の外側上方に設けられる曲面板である洗浄ノズル取付用フード16cと、
前記洗浄ノズル取付用フード16cの外側に取りつけられる洗浄ノズル16a,16bと、
前記洗浄ノズル取付用フード16cを前記ケーシング13内に取り付ける固定部材と、
から主要部が構成される。
【0030】
回転ドラム2は、図2に示すように、回転ドラム2の外側上方に設けた洗浄装置16により回転ドラム2の外側から洗浄ノズル16a,16bを使って洗浄流体(例えば気体としては空気、液体としては水)を噴射することにより洗浄される。
このように回転ドラム2の外側から回転ドラム2を洗浄する洗浄装置16を回転ドラム2の外側上方に配設したことにより、回転ドラム2を回転ドラム2の外側から洗浄する洗浄工程を回転ドラム2の上方で、被処理物を回転ドラム2の内側で濃縮・加圧・圧搾する処理工程を回転ドラム2の下方で同時に行うことができる。
【0031】
梁2b、2cは、図3に示すように、回転ドラム2の外表面の長手方向(軸方向)に、回転ドラム2の捩れ強度を確保するために所定の間隔(図2参照)で離間して複数個設けられている。
梁2b、2cは、回転ドラム2の外表面を高さの基準として、高さの高い高梁2bと高さの低い低梁2c、2種類の梁2b,2cが設けられている。
尚、高梁2bと低梁2cは、交互に設けられている。
高梁2bは、図2に示すように、前記回転ドラム2の中心振り分けで45度の位置に設けられる。
このように高梁2bを中心振り分けで45度の位置に設けたことにより、常に、回転ドラム2の外側上方に、洗浄ノズル取付用フード16c、高梁2b、梁の最高部である高梁2bの摺接部2b1、回転ドラム2から形成されるシール性の良2つの洗浄用区画室16h,16hを形成することができ、洗浄ノズル16a,16bから噴射される洗浄流体が前記洗浄用区画室16h,16h内から外部へ漏れることがないので、洗浄流体を有効に利用でき、効率的に回転ドラム2を洗浄することができる。
【0032】
尚、高梁2bの摺接部2b1は、耐摩耗性のゴムを使用しており、洗浄ノズル取付用フード16cの内面に摺接したときに、洗浄用区画室16h,16h内のシール性を維持できるようにしたものである。摺接部2b1に用いる材料としては、ゴムの代わりにエンジニアリングプラスチックス等シール性が維持できる弾性体であれば何でも良い。
【0033】
洗浄ノズル取付用フード16cは、回転ドラム2の外側上方に設けられる断面形状が円弧状の曲面板である。
洗浄ノズル取付用フード16cは、固定部材により以下のようにケーシング13内に取り付けられる。
回転ドラム2の周方向に沿って一端をヒンジ16fにより回転自在に支持され、他端を弾性体であるスプリング16gにより吊持される。ヒンジ16f及びスプリング16gは、それぞれケーシング13内に突出したブラケット16e,ブラケット16dに固設される。
【0034】
このように構成したことにより、洗浄ノズル取付用フード16cの内面に回転ドラム2の高梁2bの摺接部2b1が摺接して、前記洗浄ノズル取付用フード16cを内側から外側に押し上げてもブラケット16dがストッパーの役目をしてスプリング16gに付勢力を与えるので、洗浄ノズル取付用フード16cは上下方向に好適に追従することができる。
【0035】
また、洗浄ノズル取付用フード16cは、その内側には、回転ドラム2の外表面の長手方向(軸方向)に所定の間隔で離間して設けられた複数の梁、すなわち高梁2b及び低梁2cのうちの3つの高梁2bの最高部2b1と摺接して2つの洗浄用区画室16h,16hを形成し、その外側には洗浄用ノズル16a,16bを取り付けて、前記洗浄用区画室16h,16h内で洗浄流体(例えば空気や水)を噴射できるように構成されている。
【0036】
このように洗浄ノズル取付用フード16c構成したことにより、
(1)回転ドラム2の外側上方にシール性の良い2つの洗浄用区画室16h,16hを形成することができるので、洗浄流体として液体の水の替わりに気体の空気を使用することができる。特に濃縮ゾーン(重力濾過ゾーン)で空気を使用すると、濾過・圧搾ゾーンと比較して、回転ドラム2の濾過孔の目詰まりを解消する効果が大きい。
尚、濾過孔の目詰まりの度合いが強い場合は、空気に水を混合したものか又は水を噴射することで運動量を大きくすることができるので、空気単独のときよりもさらに目詰まりを解消する効果が大きくなる。また、噴射する方法は連続でも間欠でもよい。
(2)また、回転ドラム2の外側上方に2つの洗浄用区画室16h,16hを設けて、前記洗浄用区画室16h,16h内だけで回転ドラム2を洗浄するようにしたので、回転ドラム2全体に亘って均一な洗浄ができ、洗浄ノズル16a,16bの設置場所が決まってしまうため、洗浄ノズル16a,16bの配置に依らず洗浄が好適に行え、しかも、従来と比較して洗浄液量を最小限に抑えることができる。その結果、ランニングコストの低減やメンテナンス間隔の延長が図れる。
【0037】
尚、洗浄ノズル取付用フード16cは、前記回転ドラム2の曲率と同じ曲率を持ち、前記回転ドラム2の長手方向に所定の間隔で離間して設けられた複数の梁、すなわち高梁2b及び低梁2cの隣接する梁同士の間隔の2倍を超える長さの横幅を有する。洗浄ノズル取付用フードの16cの長さは、フランジFの周長さの略1/4の長さをしている。
【0038】
洗浄ノズル16a,16bは、1流体ノズルであり、それぞれが上述した洗浄用区画室16h,16h内で洗浄流体を噴射するためのものである。洗浄ノズル16a,16bの取り付け個数は、要求される洗浄流体の流量に応じて適宜変更できる。
【0039】
以下、このように構成される第一実施形態のスクリュープレス1の作用について図1を参照して説明する。
(1)回転ドラム2が、減速機付き電動機(不図示)からの駆動力をスプロケット6を介して伝達され、定速(例えば6min-1)にて一定方向に回転する。
(2)スクリュー3は、同様にして減速機付き電動機(不図示)からの駆動力をスプロケット7を介して伝達され、回転ドラム2に対して同一方向に一定の速度差(例えば3min-1)を持って回転する(この場合のスクリュー3の回転速度3min-1)。
【0040】
(3)以上のように設定された第一実施形態のスクリュープレス1に、スラリー状の被処理物が図示しないポンプ等により加圧され、被処理物供給配管8から一方の開口部である開口8aを経て回転ドラム2内の濃縮ゾーンに圧入される。濃縮ゾーン(重力濾過ゾーン)では、その圧力、並びにスクリュー3の回転運動により被処理物が主として重力濾過により予備濃縮される。予備濃縮された被処理物は、後工程の濾過ゾーンへと導かれる。
このように、従来、大気開放の開口部にホッパやヘッドタンク等から被処理物を供給して、濃縮ゾーンで重力濾過をしていた場合と比較して、周囲が密閉されている状態で被処理物が供給されるので供給圧を有効に使った加圧濾過が行える。その結果、濃縮ゾーンでの被処理物の濃縮時間が短縮される。
【0041】
(4)回転ドラム2の中央部の濾過ゾーンでは、被処理物は回転ドラム2内での移動に伴う容積変化とスクリュー羽根3aの回転運動により圧搾力を受けながら濾過・脱液され、分離液は回転ドラム2の外周に設けられたウェッジワイヤ2dの間隙から回転ドラム2の外部へ排出され、ケーシング13の下部に設けられた分離液排出口10を通って所定のタンク等へ導かれる。
このように濾過ゾーンでは、前工程で濃縮された被処理物が、回転ドラム2内での移動に伴う容積変化とスクリュー3のスクリュー羽根3aの軸方向への回転運動による圧搾力を受けながら徐々に濾過・脱液されるので、脱液率が向上する。
【0042】
(5)一方、濾過・脱液された固形分は、さらに圧搾ゾーンへと搬送され、移動に伴う容積変化とスクリュー3の回転運動による圧搾力を受けながら、回転ドラム2の端部2aとプレッサー5のプレッサーリング5bとの間に形成された他方の開口部である固形分の出口14へとスクリュー3により導かれる。
このように圧搾ゾーンでは、スクリュー3のスクリュー羽根3aのピッチが小さくなるので被処理物には最も強い圧搾力が作用する。
軸方向には強制的に回転運動による圧搾力が加わるようにしたので、径の小さな固形分も羽根間で捕捉される結果、脱液された固形分の歩留まりと脱液率が向上する。
【0043】
(6)固形分の出口14付近では、充分圧搾された固形分が、スプリング5aの付勢力を有するプレッサー5のプレッサーリング5bが圧力を処理物に対して加えるが、同時にその摩擦によって回転ドラム2と同一方向に回転する。プレッサーリング5bは、このように回転しながら処理物に背圧力を加える。
このようにプレッサーリング5bが回転するので、摩擦による荷重を逃がすことができ、回転ドラム2の排出トルクを低減することができる。その結果、ベアリング軸受12aや回転ドラム2の強度的な寿命の延長、動力損失の低減が図れ、メインテナンンス期間の延長やランニングコストの低減が可能となり産業に大きく貢献できる。
【0044】
(7)尚、プレッサーリング5bをリングホルダー5cで支持するアンギュラ玉軸受4は、処理物を押す面圧に充分耐えられる許容スラスト荷重を満足しているものが使用される。
(8)処理物は、さらに脱液されながら円周上に排出され、プレッサーリング5bのケーシング下部に設けられた固形分排出口9から固形分として外部へ排出される。
【0045】
(9)運転中に回転ドラム2の濾過孔の目詰まりがあったときには、洗浄装置16を作動し、洗浄用区画室16h,16h内で洗浄用ノズル16a、16bから高圧空気(例えば0.8MPaG)や高圧水(例えば0.5MPaG)を連続的又は間欠的に噴射すれば好適に目詰まりを解消することができ、スクリュープレス1を安定して連続運転することができる。
【0046】
このようにして回転ドラム2に供給された被処理物は、スクリュー3で搬送する間に濃縮・濾過・圧搾され、固形分と分離液とに分離された後、分離液は回転ドラム2の濾過孔から外部に排出され、脱液された固形分は回転ドラム2の端部2aと該端部2aの反対側から前記固形分を圧搾するプレッサー5のプレッサーリング5bとの間に形成された固形分の出口14から脱液された固形分として排出され、運転中に回転ドラム2の濾過孔が目詰まりしたときは、洗浄装置16を作動させることでスクリュープレスの運転稼働率を向上させることができる。
【0047】
次に、第二実施形態のスクリュープレスについて図4を参照して説明する。
第二実施形態のスクリュープレス1′と第一実施形態のスクリュープレスとの構成の違いは、第二実施形態のスクリュープレス1′は、プレッサーリング5′を固定したプレッサー5′を使用している点のみである。
尚、図4中の符号で第一実施形態のスクリュープレスの部材と同じものは、同じ符号を付してある。
第二実施形態のスクリュープレス1′のプレッサー5′は、図4からもわかるように、プレッサーリング5′bが回転せずにプレッサー本体5′dに固定されているため、プレッサーリング5′bを回転自在に支持する軸受がない。
このように構成される第二実施形態のスクリュープレス1′も第一実施形態のスクリュープレス1と同じ構成・作用を有する洗浄装置16を備えているので、第一実施形態のスクリュープレス1と同様な洗浄効果が得られるのはいうまでもない。
【0048】
【発明の効果】
以上の構成と作用からなる本発明によれば以下の発明の効果を奏する。
1)請求項1の発明によれば、ケーシング内に設けられ、回動自在に軸支される濾過孔を有するドラムと、該ドラム内で被処理物を軸方向に搬送する圧縮搬送手段と、前記ドラムの両端部側に形成した2つの開口部とを備え、一方の開口部より投入される前記被処理物を前記圧縮搬送手段で搬送する間に濃縮・濾過・圧搾して固形分から液分を分離させ、分離液は前記ドラムの濾過孔から排出し、脱液された固形分は前記ドラムの端部と該端部の反対側から前記固形分を圧搾するプレッサーとの間に形成された他方の開口部から排出するスクリュープレスにおいて、前記ドラムの外側から前記ドラムを洗浄する洗浄手段を前記ドラムの外側上方に配設したことにより、ドラムをドラムの外側から洗浄する洗浄工程を前記ドラムの上方で、被処理物を前記ドラムの内側で濃縮・加圧・圧搾する処理工程を
前記ドラムの下方で同時に行うことができる。
また、前記洗浄手段は、洗浄ノズル取付用フードを有し、該洗浄ノズル取付用フードは、ドラムの周方向に沿って一端部をヒンジにより回転自在に支持され、他端部を弾性体により吊持されたことにより、前記洗浄ノズル取付用フードの内面にドラムの梁の最高部が摺接して、前記洗浄ノズル取付用フードを内側から外側に押し上げても、上下方向に好適に追従することができる。
さらに、洗浄ノズル取付用フードは、断面形状が円弧状の曲面板であり、その内側には、ドラムの長手方向に所定の間隔で離間して設けられた複数の梁の最高部と摺接して洗浄用区画室を形成し、その外側には洗浄用ノズルを取り付けて、前記洗浄用区画室内で洗浄流体を噴射できるように構成したことにより、
(1)ドラムの外側上方にシール性の良い洗浄用区画室を形成することができるので、液体を使用せずに気体で洗浄することもできる。特に濃縮ゾーン(重力濾過ゾーン)で気体を使用すると前記ドラムの濾過孔の目詰まりを解消する効果が大きい。
なお、濾過孔の目詰まりの度合いが強い場合は、気体に液体を混合したものか又は液体を噴射することで運動量を大きくすることができるので、気体単独のときよりもさらに目詰まりを解消する効果がさらに大きくなる。
(2)また、ドラムの外側上方に洗浄用区画室を設けて、前記洗浄用区画室内だけで洗浄するようにしたので、ドラム全体に亘って均一な洗浄ができ、洗浄ノズルの設置場所が決まってしまうため、洗浄ノズルの設置場所に依らず洗浄が好適に行え、しかも、従来と比較して洗浄液量を最小限に抑えることができる。その結果、ランニングコストの低減やメンテナンス間隔の延長が図れる。
2)請求項2の発明によれば、梁の最高部を、ドラムの中心振り分けで45度の位置に設けたことにより、常に洗浄ノズル取付用フードの内側に梁で区画されたシール性の良い洗浄用区画室を形成することができ、洗浄ノズルから噴射される洗浄流体が前記洗浄用区画室から外部へ漏れことがないので、洗浄流体を有効に利用でき、効率的にドラムを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一実施形態のスクリュープレスの縦断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である
【図3】図2のB−B矢視図である。
【図4】本発明に係る第二実施形態のスクリュープレスの縦断面図である。
【図5】(a)従来の固定ドラム式のスクリュープレスの縦断面図である。
(b)従来の固定ドラム式の他のスクリュープレスの縦断面図である。
【符号の説明】
1,1′ スクリュープレス
2 回転ドラム
3 スクリュー(圧縮搬送手段)
3a スクリュー羽根
3b スクリュー軸
4 アンギュラ玉軸受
5 プレッサー
5a スプリング
5b プレッサーリング
5c リングホルダー
6,7 スプロケット
8 被処理物供給配管
9 固形分排出口
10 分離液排出口
11a,11b ベアリング軸受
12a ベアリング軸受
13 ケーシング
14 固形分の出口
15 支持ローラ
16 洗浄装置
16a,16b 洗浄ノズル
16c 洗浄ノズル取付用フード
16d、16e ブラケット
16f ヒンジ
16g スプリング
16h 洗浄用区画室
F フランジ
N ナット
B ボルト

Claims (2)

  1. 駆動源と、ケーシング内に回動自在に軸支され、濃縮・濾過・圧搾された分離液を排出する濾過孔を設け、前記駆動源により駆動される回転ドラムと、前記ドラム内で回動自在に軸支され、前記駆動源により回転しながら被処理物を軸方向に圧縮して搬送する圧縮搬送手段と、前記ドラムの両端部側に形成した2つの開口部とを備え、一方の開口部より投入される前記被処理物を前記圧縮搬送手段で搬送する間に濃縮・濾過・圧搾して固形分から液分を分離させ、分離液は前記ドラムの濾過孔か排出し、脱液された固形分は前記ドラムの端部と該端部の反対側から前記固形分を圧搾するプレッサーとの間に形成された他方の開口部から排出するスクリュープレスにおいて、
    前記ドラムの外側から前記ドラムを洗浄する洗浄手段を前記ドラムの外側上方に配設し、前記洗浄手段は、洗浄ノズル取付用フードを有し、該洗浄ノズル取付用フードは、断面形状が円弧状の曲面板であり、前記ドラムの周方向に沿って一端部をヒンジにより回転自在に支持され、他端部を弾性体により吊持されており、その内側には、前記ドラムの捩れ強度を確保するために前記ドラムの長手方向に所定の間隔で離間して複数の梁を設け、前記複数の梁の最高部と摺接して洗浄用区画室を形成し、その外側には洗浄用ノズルを取り付けて、前記洗浄用区画室内で洗浄流体を噴射できるように構成されたことを特徴とするスクリュープレス。
  2. 前記梁の最高部は、前記ドラムの中心振り分けで45度の位置に設けられたことを特徴とする請求項 1 に記載のスクリュープレス。
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