JP3935816B2 - ゴボウの栽培方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴボウの栽培方法、とくに若掘りゴボウを端境期に出荷する際の若掘りゴボウの収量を向上させる栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴボウは、植物繊維が多く、フラクトオリゴ糖を含むなど、健康野菜として優れた根菜である。きんぴら、煮物、天ぷらなどからサラダ用にいたるまで、種々に調理され食されている。
【0003】
ところで、若掘りゴボウは一般に1月から3月は端境期となっている。この理由は、ゴボウを通常の方法で10月下旬以前に早播きすると、休眠により若々しさと柔らかさを象徴する葉が枯れ、根の肥大が不良となり商品価値がなくなるためである。この休眠を回避する方法として、研究段階では植物成長調節剤であるジベレリンを施設栽培下で散布する方法が知られているが、このジベレリンは農薬として登録されておらず、また、商品性を低下させる異常茎を発生させたり、低温下で効果が不安定になったりして、現状では使用することができない。
一方、端境期の前に収穫可能な若掘りゴボウの作型がある。この若掘りゴボウの作型は、9月に播種して12月には収穫できる作型であるが、気象条件や年次によって収量が不安定である。
【0004】
このような問題や露地栽培の作業の繁雑性を解消する栽培法として、ゴボウの水耕栽培法が提案されている。この水耕栽培法は、ゴボウを所定深さのタンク状のベッド内で培養液により栽培するようにし、前記培養液の液面をゴボウの根部に対して所定時間ごとに上下動させるようにした栽培法である(たとえば特許文献1参照)。この水耕栽培法によれば、良質のゴボウを省力的に短期間に安定して生産することができる、とされている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−41号公報(段落番号0005−0017)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載のような水耕栽培法によれば、気象条件に左右されることなくゴボウの栽培が可能ではあるが、このような水耕栽培により大量のゴボウの生産を実施するためには、光を通さない材料で形成されたタンク状のベッド、ベッド内に配設する水中ポンプ、ポンプを作動させて仕切られたベッドの培養液の液面を上下動させる装置などの大掛かりな設備を数多く必要とし、一般の農家でこのような水耕栽培を導入することは極めて困難である。
【0007】
本発明が解決すべき課題は、水耕栽培装置のような大掛かりな設備を必要とすることなく、種子の処理によって冬期の休眠を回避して、従来若掘りゴボウの端境期とされていた時期に若掘りゴボウの収穫を可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のゴボウの栽培方法は、ゴボウの種子を流水中で吸水させた後、吸水種子を暗黒下で一定期間、低温処理し、処理後の種子を通常の方法により露地栽培することを特徴とする。
【0009】
このような吸水低温処理を行うことによってゴボウの種子は、発芽が促進されて生育が旺盛となる。この種子は、10月下旬以前に播いても冬期に休眠することがなく、2枚以上の生葉が確保でき、根の肥大が促進されて、従来若掘りゴボウの端境期とされていた1月から3月の間に収穫することができる。また、11月〜12月採りのゴボウに適用して安定した収量を得ることもできる。この低温暗黒処理は大掛かりな設備を必要とせず、農業協同組合などが保有している既存の予冷庫を用いて行うことができ、さらに播種以降の作業は通常のゴボウの栽培と同様な方法で実施できるので、農家においても容易に導入することができる。
【0010】
ここで、流水中での種子の吸水は12〜24時間の範囲とし、吸水後の種子は乾燥を防ぐために合成樹脂フィルム製の袋などに入れて暗黒処理する。暗黒下での低温処理の期間は17〜35日間とし、0〜4℃の低温下で、完全に光を遮断した暗黒状態で保持する。
吸水時間が12時間より短いと吸水が不十分となり、24時間より長くなるとその後の処理期間中に発芽が促進されるので好ましくない。処理期間が17日未満であると播種、発芽後の二枚葉の生育が不十分となり、35日を超えると処理期間中に発芽が進み、播種ができなくなるので、処理期間は前記範囲が望ましい。処理温度が0℃より低くなると種子が凍結して障害を受け、4℃を超えると発芽が進みすぎて播種ができなくなるので、処理温度は前記範囲が望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づいて実施形態を説明する。
〔実施例1〕
ゴボウの種子(裸種子およびシーダーテープ)を12時間、流水中で吸水させた後、乾燥を防ぐためにビニル袋に入れて、30〜35日間、温度4℃で暗黒処理を行った。処理中は種子が乾燥していないかを確認し、乾燥していれば適宜水分を補給した。この処理により発芽によるロスが最大15%程度生じた。この発芽種子を除き、処理後の種子を10月上旬から中旬に播種をし、従来と同様にトンネルマルチ栽培を行った。トンネルの被覆は12月中旬に行い、トンネル被覆後は地上部の伸長生長が盛んになり過繁茂となってトンネルに接触し、採光が悪くなって葉焼けをおこしやすくなるので、トンネル被覆後2週間くらいは温度が高くならないよう換気した。この方法により1月以降の休眠による展葉停止と葉枯れを防止し、生葉を2枚以上確保することができた。また、根が肥大することにより1月下旬〜3月下旬に収穫することが可能であった。
【0012】
〔実施例2〕
種子の吸水低温処理による休眠回避に対する効果は、品種および播種日により異なった。すなわち、10月上旬播種で1月下旬〜2月上旬収穫を行う場合は、ゴボウ品種「てがる」を、10月中旬播種で2月中旬〜3月下旬収穫を行う場合は、ゴボウ品種「渡辺早生」を用いることで可能であった。
【0013】
〔実施例3〕
ゴボウの種子(裸種子およびシーダーテープ)を12時間、流水中で吸水させた後、乾燥を防ぐためビニル袋に入れて、30日間、温度4℃で暗黒処理を行った。処理中は種子が乾燥していないかを確認し、乾燥していれば適宜水分を補給した。この種子を9月中旬に播種し、マルチ栽培を行った結果、発芽後の生育および根の肥大が促進され、12月収穫で増収の効果が認められた。
【0014】
〔試験例1〕
図1は吸水低温処理した種子と無処理の種子についての、葉数と生葉数の推移を示す図である。
品種は渡辺早生で、播種は10月15日、トンネル被覆は12月16日である。種子の吸水低温処理条件は、流水中で12時間の吸水後、4℃で35日間の暗黒処理である。
図1からわかるように、無処理の場合は、1月以降は生葉数が大幅に減少し、葉数の増加はほとんどみられなかった。吸水低温処理した種子は、生葉は減少することなく、葉数も増加した。
【0015】
〔試験例2〕
表1は試験例1のゴボウの収穫物の生育と収量を示す表である。調査日は2月15日で、収量は地上部が枯死していない、根重30g以上で岐根のないものについて算出した。
【表1】
調査日時点で、種子処理なしのゴボウは休眠して地上部が完全に枯死し、根が肥大していなかった。種子処理ありのゴボウは休眠せず、生葉が2枚以上あり、根も十分肥大していた。
【0016】
〔試験例3〕
表2は試験例1と同じ条件で種子を吸水低温処理したゴボウ品種「てがる」と「渡辺早生」の生育と収量を示す表である。播種日は10月2日、調査日は1月30日で、収量は生葉2枚以上で岐根がなく、平均根重が30g以上の試験区のものについて算出した。
【表2】
調査日時点で、種子処理なしのゴボウ品種「てがる」は、根の肥大が不十分であった。種子処理ありの「てがる」は、生葉が3枚以上あり、根の肥大も十分であった。ゴボウ品種「渡辺早生」は、10月中旬播種で2月中旬以降収穫の場合(試験例2の条件)は種子処理の効果が高いが、10月上旬播種で1月下旬〜2月上旬収穫の場合(試験例3の条件)は種子処理の効果が低かった。
【0017】
〔試験例4〕
表3は試験例1と同じ条件で種子を吸水低温処理したゴボウ品種「渡辺早生」の生育と収量を示す表である。播種日は9月11日、調査日は12月3日で、収量は根重が30g以上の試験区のものについて算出した。
【表3】
播種から80日後の12月上旬時点で、種子処理ありのゴボウは処理なしのゴボウに比べて地上部の生育が優れ、収量も増加した。
【0018】
以上の試験結果から、休眠回避に対する種子の吸水低温処理の効果は、品種および播種時期により異なることがわかった。図2に、これらの結果に基づいて作成したゴボウの新作型の例を従来型とともに示す。
【0019】
【発明の効果】
ゴボウの種子を流水中で吸水させた後、吸水種子を暗黒下で一定期間、低温処理することによって、ゴボウの種子は、10月下旬以前に播いても冬期に休眠することがなく、二枚以上の生葉が確保でき、根の肥大が促進されて、従来若掘りゴボウの端境期とされていた1月から3月の間に収穫することができる。また、年内の11月〜12月での若掘りゴボウに適用して安定した収量を得ることもできる。この吸水低温処理は大掛かりな設備を必要とせず、既存の予冷庫を用いて行うことができ、さらに播種以降の作業は通常のゴボウの栽培と同様な方法で実施できるので、農家においても容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 吸水低温処理した種子と無処理の種子についての、葉数と生葉数の推移を示す図である。
【図2】 本発明に基づくゴボウの新作型の例を従来型とともに示す図である。
Claims (1)
- ゴボウの種子を流水中で吸水させた後、吸水種子を暗黒下で17〜35日間、0〜4℃で低温処理し、処理後の種子を通常の方法により露地栽培することを特徴とするゴボウの栽培方法。
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