JP3932855B2 - 残留応力予測方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力プラント、化学プラント、円筒容器などの配管の溶接時に発生する残留応力の溶接時に発生する溶接残留応力の予測方法、およびそれを実行するための装置に関するものであり、特に、溶接構造物の残留応力を固有ひずみ法を用いて計算する際に、固有ひずみ法の解析に特化した計算プログラムではなく、汎用の構造解析プログラムを用いて計算する方法およびそれを実行するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接構造物などに発生した残留応力は、構造物の疲労寿命あるいは溶接割れなどに大きく影響する。したがって、残留応力と残留変形の把握は、構造物の設計及び製作上有用な指針を与えるものである。
【0003】
従来、残留応力を予測するためには、溶接学会論文集vol.2,no.1(1984),75-82のように、大型計算機を用いて有限要素法による熱弾塑性解析を行う必要があった。しかし、この方法は計算時間が膨大になり、複雑な形状の構造物の残留応力を求めるのは事実上不可能であった。
【0004】
複雑な形状の構造物の残留応力を求める方法として、「溶接残留応力・溶接変形の解析」,産報出版(1997)のように溶接部に分布する非弾性ひずみを荷重条件としてデータとして与え、非弾性ひずみと平衡するための応力が発生するような解を弾性解析により求める方法がある。この方法は、溶接残留応力を求める対象が複雑な形状であっても、弾性解析を一度行うことにより実施することができる。現状では、複雑な構造物の溶接残留応力分布を予測する際に、本方法が用いられている。現状では、本方法を適用する際には固有ひずみ解析用に特化した構造解析プログラムが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
溶接残留応力を求めるには、有限要素法による熱弾塑性解析を行うが、この方法は計算時間が膨大になり、複雑な形状の構造物の残留応力を求めるのは事実上不可能であった。
【0006】
一方、固有ひずみ法は有限要素法による弾性解析を行うため、仮に複雑な形状であり、解析対象の自由度が大きい場合でも剛性方程式を解くのは一度でよく、複雑な形状の構造物の残留応力を求めるのは可能である。しかし、本方法を実施するための汎用解析コードはなく、本方法を適用するには特化した有限要素法解析プログラムを作成する必要がある。
【0007】
本発明は、固有ひずみ法による残留応力解析機能がない汎用解析コードを用いて、熱応力解析機能を代用することにより擬似的に固有ひずみ法を適用する方法に関するものである。すなわち、汎用解析コードを用いた一回の弾性解析により、複雑な形状の残留応力分布を求める方法および解析装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る残留応力予測方法は、残留応力が発生する構造物において、構造物の評価点において得られている非弾性ひずみ量を固有ひずみデータとし、構造物全体に固有ひずみ分布データを与えて、構造物全体の残留応力を数値計算により求めることにより、構造物全体の残留応力分布を予測する。
【0009】
また、構造物全体に固有ひずみ分布データを与えるために、構造物全体の仮想初期温度データと仮想後続温度データを与え、仮想後続温度データと仮想初期温度データから仮想温度データを求め、それにあらかじめ求めておいた構造物の仮想熱物性データから仮想熱ひずみを計算し、それを与えるべき固有ひずみ分布データとして用いてもよい。
【0010】
また、仮想後続温度データを与えるために、一部の領域には既知の仮想後続温度データを与え、それ以外の領域は補間することにより、構造物全体の仮想後続温度データを与える方法でもよい。
【0011】
さらにまた、残留応力が発生する因子ごとに、因子と仮想後続温度データの関係があらかじめデータベースとして蓄積してあり、因子の指定により用いるべき仮想後続温度データと仮想熱物性データとを与える方法でもよい。
【0012】
また、仮想温度差と仮想熱ひずみとの関係式として、仮想熱ひずみは、仮想温度差と線膨張係数の積として計算する方法でもよい。
【0013】
さらにまた、残留応力が発生する因子は溶接による入熱であり、溶接条件に対応した仮想初期温度分布と仮想後続温度分布からなる仮想温度分布データのデータベースと、溶接条件と仮想温度分布データに対応した仮想熱物性データのデータベースとをを有し、これらを介して構造物全体の残留応力を求める方法でもよい。
【0014】
また、残留応力予測を行う装置を残留応力の発生因子ごとに分類された、仮想温度分布データと仮想熱物性データとを記憶しておく記憶装置と、残留応力を予測しようとしている構造物を有限要素に分割することにより生じる、節点の名前と座標と、要素の名前と要素を構成する節点の名前の組合せと、構造物を構成する材料の機械的性質とを記憶しておく記憶装置と、有限要素法に基づき応力解析を行う汎用解析コードと、汎用解析コードを実行する演算装置と、解析コードの実行により生成される計算結果を記憶する記憶装置から構成することにより、解析装置が提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による残留応力予測法の説明図である。溶接施工を行う構造物1において、溶接施工により溶接部とその近傍は残留応力の原因となる固有ひずみが発生する。固有ひずみ分布は、溶接施工時の入熱量、被溶接構造物の予熱温度、拘束状態、開先形状などの溶接条件2に対応して決まる。したがって、溶接条件2に対応した固有ひずみ分布データ3がデータベースとして構築してあれば、溶接条件2が設定されれば固有ひずみ分布データ3が得られることになる。構造物1に発生する残留応力は、固有ひずみと等しい非弾性ひずみが分布するときの応力として計算することができる。しかし、このような計算は、現状では専用の解析コードを製作する必要がある。本発明は、固有ひずみ分布データを、構造物の仮想温度分布データと仮想熱物性データ4に置き換えることにより、汎用解析コード5を用いた数値解析6により、残留応力7の予測を可能とする。
【0016】
本発明で用いる汎用解析コードとは、構造物に発生する応力を有限要素法により計算する計算プログラムである。ここで、有限要素法について、図2と図3を参照しながら説明する。図2に示すような矩形の構造物があり、それに荷重が負荷される場合を考える。有限要素法では、構造物の挙動を有限個の点を選んで、その点の挙動で代表させる。これらの点を重複なしに結ぶことにより、構造物はいくつかの部分に分割される。この個々の部分を要素と呼び、代表点を節点と呼ぶ。そうすると、構造物は、節点で定義される要素の集合となる。図2では、矩形の構造物を8個の節点で定義される四辺形の要素を用いて、4個の要素の集合として定義した例である。それぞれの要素には、E−1、E−2、E−3、およびE−4の名前が付けられている。また、節点には1から21までの通し番号が付けられている。有限要素法では、構造物の形状を定義するために、節点の番号とその座標、および要素の名前とその要素を構成する節点の番号が必要となる。また、構造物を構成する材料の挙動を示す材料物性が必要となる。応力を解析する場合には、ヤング率と、ポアソン比が必要となる。
【0017】
図3は、有限要素法を用いて応力解析を行うときのフローチャートである。処理71で、節点の番号とその座標、および要素の名前とその要素を構成する節点の番号と、構造物を構成する材料のヤング率と、ポアソン比とが入力される。
【0018】
形状・物性データが読込まれると、処理72で要素ごとに、要素を構成する節点の節点変位と節点荷重との関係を表すマトリックスが計算される。例えば、図2のE−1の要素で、要素内の節点番号が(1)から(8)で定義されているとする。u1からu8は、要素内の節点番号(1)から(8)のそれぞれの節点のx方向の変位とする。また、v1からv8はy方向の変位とする。fx1からfx8は、(1)から(8)のそれぞれの節点に作用するx方向の荷重、fy1からfy8はy方向の荷重とする。これらの変位と荷重の間には式1に示す関係があり、式1のk1−1からk16−16の成分が計算される。この計算方法と、それをコンピュータプログラムにする方法は公知の技術であり、その方法は、例えば「有限要素法による熱応力・クリープ・熱伝導解析」,サイエンス社(1985)に詳細に記述されている。
【0019】
【数1】
Figure 0003932855
【0020】
各要素ごとに計算された節点の変位と荷重の関係式から、処理73で構造物を構成する全節点の、変位と、節点荷重との関係を示すマトリックスが計算される。これは、式2における、K1−1からK2NODT−2NODTの成分である。ここでNODTは、定義した節点の総数である。
【0021】
【数2】
Figure 0003932855
【0022】
ここで、U1からUNODTは、節点のx方向の変位とする。また、V1からVNODTはy方向の変位とする。FxNODTからFxNODTは、それぞれの節点に作用するx方向の荷重、Fy1からFyNODTはy方向の荷重とする。それぞれの要素ごとに計算される式1中のマトリックスから、全体の節点の変位と荷重の関係を表す式2のマトリックスを計算する方法と、それをコンピュータプログラムにする方法も公知の技術であり、その方法は、例えば「有限要素法による熱応力・クリープ・熱伝導解析」,サイエンス社(1985)に詳細に記述されている。
【0023】
式2の中のFxNODTからFxNODTと、Fy1からFyNODTは、節点に負荷される荷重である。ここでは、構造物中に温度差があるときに発生する熱荷重のみを対象とする。熱荷重を求める方法について説明する。温度分布が一様である構造物において、ある時点で温度が変化した場合を考える。節点荷重は、熱ひずみによるみかけの節点荷重として与えられる。熱ひずみが式3で与えられるとする。
【0024】
【数3】
Figure 0003932855
【0025】
このとき、要素内で定義される節点荷重は、式4で与えられる。
【0026】
【数4】
Figure 0003932855
【0027】
ここで[B]はひずみ形状マトリックスであり、[D]は応力ひずみ関係マトリックスである。積分は、要素内で体積積分されることを意味している。熱ひずみが与えられたとき、式4により要素内で定義される節点荷重、すなわち、式1の右辺を計算し、次に、それを全体の節点荷重、すなわち、式2の右辺に組込む方法と、それをコンピュータプログラムにする方法も公知の技術であり、その方法は、例えば「有限要素法による熱応力・クリープ・熱伝導解析」,サイエンス社(1985)に詳細に記述されている。ここで、熱ひずみは、温度の変化分と線膨張係数の積から計算される。材料に異方性がある場合は、各方向ごとに線膨張係数を定義する。また、温度依存性がある場合には、線膨張係数およびヤング率、ポアソン比を温度ごとに定義することにより考慮することができる。
【0028】
図3の処理81で荷重データとして、構造物の初期温度分布と、後続の温度分布と、線膨張係数と、が荷重データとして入力されれば、処理82で式3と式4の処理が行われ、節点荷重が計算される。
【0029】
節点の変位が与えられる場合には、対応する節点の変位量を式2の左辺のU1からUNODTと、V1からVNODTの対応する項で指定する。処理としては、処理83で変位を与える節点の番号と、変位の値と、を入力し、それを式2の節点変位の項に組込む処理84で行われる。
【0030】
これらの処理から、全体剛性方程式74が計算される。全体剛性方程式74は、一次の連立方程式となる。この方程式は、数値的な処理により処理75で方程式求解が可能である。解として、未知の節点変位と、節点反力と、が得られる。節点変位から、処理76で要素内のひずみ分布を計算され、さらに、処理77で応力ひずみ関係式から応力が計算される。計算された応力が、処理78で結果として出力される。
【0031】
市販の有限要素法の解析コードは、ほとんどの場合、上記で定義した汎用解析コードの機能を有することを確認している。一方、固有ひずみ分布データを入力データとして用いて有限要素法による解析を行うためには、固有ひずみが分布している要素ごとに、固有ひずみに対応した節点荷重を計算し、それを節点荷重として負荷する必要がある。固有ひずみ分布データを入力条件として解析に組込むルーチンが必要である。一般に初期条件としてひずみ分布を与えることができる解析コードは見られない。固有ひずみ法により残留応力分布を求めるには、固有ひずみ法を用いるために特化した解析コードを個々に作成し、用いているのが現状である。
【0032】
図3に示す汎用解析コードにおける処理81と処理82の部分で、固有ひずみと等しい値の熱ひずみを与えることにより、固有ひずみ法の原理に基づいた残留応力予測計算を汎用解析コードで実行することが可能になる。溶接部の固有ひずみ分布を、熱ひずみ分布を用いて近似できれば、固有ひずみデータを温度データとそれに関連した物性値で置き換えて、汎用解析コードでの解析が可能となる。これを実現するために、固有ひずみ分布データを熱ひずみ分布で近似できるようにした汎用解析コードへの入力データをについて考察する。熱応力解析では、温度分布と線膨張係数を与える必要がある。固有ひずみ分布データを近似するために、仮想的な温度分布データと、仮想熱物性データとと用いて近似することを考える。仮想温度データおよび仮想熱物性データにより固有ひずみ分布データを置き換えれば、それを汎用解析コードに入力データとして与えることにより、数値解析を行うことが可能となり、残留応力分布を求めることができる。
【0033】
本発明による残留応力予測方法を、図4に示す配管11で実施した場合を説明する。配管11は、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304でできており、外形φ=50mm、内径φ=38mmであり、溶接後の軸方向長さL=300mmである。溶接部はV字型にしており、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304でできた溶接棒を用いて、6層13パスの円周溶接12を行っている。配管は二つの配管を突き合わせ溶接により接合したものであり、溶接部の近傍に残留応力が発生していると考えられる。
【0034】
ここで、配管11に発生している溶接部の近傍の固有ひずみ分布とそれに相当する仮想温度分布、および仮想熱物性について図5と図6を用いて説明する。図5は、配管を中心軸を含む断面で中心軸に平行に切断したときの断面である。ここで、点線13は開先の形状を表している。溶接部の近傍の固有ひずみは、周方向成分21、軸方向成分22、および径方向成分23に分けることができる。その分布は、周方向成分21の外表面の分布では、溶接金属部分で絶対値が最大となり、母材の領域に入ると減少していき、零になる。軸方向成分22、および径方向成分23の分布も同様な分布となる。
【0035】
図5に示した固有ひずみ分布を、仮想温度分布と仮想熱物性で置き換えることを考える。まず、基準状態の温度分布を与え、次に後続状態の温度分布を与える。基準状態の温度分布は、構造物全体が一様な温度分布になるように与えるのが最も簡便な方法である。ここでは0℃とする。一方、後続状態の仮想温度分布24は、固有ひずみ分布で絶対値が最も大きい部分の温度を−100℃とした。熱応力解析が実行可能な汎用解析コードでは、温度に対応した熱ひずみを規定するために、線膨張係数を材料物性として入力する必要がある。
【0036】
図5の仮想温度分布24を用いて、周方向成分21、軸方向成分22、および径方向成分23の固有ひずみ分布を与えるための線膨張係数を、図6の線膨張係数31、および線膨張係数32で示す。汎用解析コードでは、線膨張係数を入力する際に、材料の異方性を考慮できるように、直交した3個の方向のそれぞれに対して、線膨張係数を定義することができる。それゆえ、周方向の線膨張係数31、軸方向および径方向の線膨張係数32を図6に示すようにすることにより、図5に示す仮想温度分布24で図5に示す周方向成分21、軸方向成分23、および径方向成分24の固有ひずみ分布を与えることができる。
【0037】
ここで仮定した仮想温度は温度の次元を有するが、固有ひずみ法に基づく解析を汎用解析コードで行うために、入力データとして与えられるように便宜的に導入したものであり、構造物の実際の温度とは何ら関係はない。同様に仮想熱物性データとして与えた線膨張係数も、固有ひずみ法に基づく解析を汎用解析コードで行うために、入力データとして与えられるように便宜的に導入したものであり、構造物をなす材料の実際の線膨張係数とは何ら関係はない。図7は、板厚さ方向の分布を与える手順を示している。固有ひずみ分布に対して仮想温度分布41、42、43で与えられる温度を決めていけばよい。
【0038】
以上の手順により、固有ひずみの値を仮想温度差データおよび仮想熱物性データで置き換えた解析条件を満たす入力データを作成することができる。作成した入力データを汎用解析コードを用いて解析を実行することにより、仮想温度差データおよび仮想熱物性データで与えられる熱ひずみ分布と平衡する残留応力分布を求めることができる。
【0039】
図6に示す仮想熱物性と、図7に示す仮想温度分布を用いて、図2に示す配管11の溶接残留応力分布を求めた結果を、図8と、図9と、に示す。図8は、残留応力の分布であり、突合せ溶接部12の内面で引張残留応力が発生し、当該部の外面では、圧縮応力となる結果が得られた。得られた残留応力分布は、固有ひずみ分布を与えた際に発生する残留応力分布に他ならない。この結果は、実験による測定値とも良好に一致することを確認している。図9は、併せて得られた変形図である。破線10は初期の形状である。突合せ溶接部12が内面側に収縮する現象が、本発明による解析で求められることが明らかとなった。
【0040】
本方法により、汎用解析コードにより固有ひずみ法の原理に基づいた溶接残留応力解析が可能となる。これにより、溶接残留応力解析のために、固有ひずみ法に特化した解析コードを作成する必要はなく、このための工数と、それにかかるコストと、を削減することが可能となる。
【0041】
本実施例は、溶接条件に対応した固有ひずみ分布データが予め準備されていて、固有ひずみ分布データに対応した仮想温度分布および仮想熱物性を逐次求めて入力データとする手順である。一方、溶接条件に対応した仮想温度分布および仮想熱物性をデータベースとして蓄積しておくことにより、溶接条件を指定すればただちに仮想温度分布データおよび仮想熱物性データを作成することが可能となり、入力データの作成に要する時間を大幅に削減できる効果がある。
【0042】
図10は、本発明の請求項7に示す残留応力予測装置の構成を示すものである。残留応力予測装置は、制御装置60−aとCPU60−bとメモリー60−cとを含む演算装置60と、構造物の節点データと要素データと材料物性データからなる形状・物性データを記憶する領域66−aと溶接条件を記憶する領域66−bと変位データを記憶する領域66−cと、溶接条件に対応した仮想温度分布データと仮想熱物性データを記憶する領域67と、汎用解析コードを記憶する領域68と、計算結果を記憶する領域69とを含む記憶装置66と、作業者がデータの入力、演算装置60に対する命令を入力と確認とをするためのディスプレイ64と入力装置65と、ディスプレイ64と入力装置65と演算装置60と記憶装置65を結ぶ基幹LAN63と、から構成される。
【0043】
上記の残留応力予測装置で、解析実行の命令が入力装置65から入力されると、制御装置は60−aは、汎用解析コードをメモリー60−c上にロードし、メモリー60−c上にロードされた汎用解析コードが実行される。汎用解析コードは、記憶装置66から形状・物性データ66−aと溶接条件66−bと変位データ66−cとを読込む。汎用解析コードは読込んだ溶接条件に対応する仮想温度分布データ・仮想熱物性データ67を記憶装置66から読み込む。汎用解析コードは、図3に示す手順で解析を行い、結果出力を記憶装置66の計算結果ファイル69の領域に書き込み、汎用解析コードの処理を終了が終了した信号を制御装置60−aに送信する。制御装置は60−aは、汎用解析コードの処理が終了した信号を受けると、メモリー60−c上から汎用解析コードをクリアーし、計算が終了したことをディスプレー装置64を介して作業者に知らせる。
【0044】
上記の残留応力予測装置により、図1に示す残留応力解析の一連の作業を一つの計算機システム内で実行することが可能となり、これにより作業時間の短縮を図ることが可能となる
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、溶接構造物の残留応力を固有ひずみ法を用いて計算する際に、固有ひずみ法の解析に特化した計算プログラムではなく、汎用の構造解析プログラムを用いて計算することができる。そのため、固有ひずみ法に特化した計算プログラムを作成する必要がなくなり、工数の削減を図ることができる。また、本発明の残留応力予測装置により、残留応力解析の一連の作業を一つの計算システム内で実行することが可能となり、これにより作業時間の短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による残留応力予測法の説明図である。
【図2】矩形の領域を8節点の要素を用いて、要素分割を行った例を示す図である。
【図3】有限要素法により応力解析を行う処理のフローチャートを示す図である。
【図4】本発明で解析の対象とする突合せ溶接による配管の説明図である。
【図5】配管溶接部の外面に沿った固有ひずみ分布、および固有ひずみ分布に対応する仮想温度分布を示す図である。
【図6】固有ひずみ分布を与えるために用いる仮想熱物性を示す図である。
【図7】配管溶接部の外面、板厚中央、および内面に沿った固有ひずみ分布に対応する仮想温度分布を示す図である。
【図8】本発明の方法による配管溶接部の残留応力予測結果を示す図である。
【図9】本発明の方法により得られた配管溶接部の変形を示す図である。
【図10】残留応力予測装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…解析対象の構造物、2…溶接条件、3…固有ひずみデータ、4…仮想温度・熱物性データ、5…汎用解析コード、6…汎用解析コードによる応力解析、7…残留応力解析結果、10…解析対象の配管の初期形状、11…解析対象の配管、12…突合せ溶接部、13…溶融境界、21…固有ひずみの周方向成分、22…固有ひずみの軸方向成分、23…固有ひずみの径方向成分、24…仮想温度分布、31…周方向の線膨張係数、32…軸方向・径方向の線膨張係数、41…内面に沿った仮想温度分布、42…板厚中央に沿った仮想温度分布、43…外面に沿った仮想温度分布、60…演算装置、60−a…制御装置、60−b…CPU、60−c…メモリー、63…基幹LAN、64…ディスプレイ、65…入力装置、66…記憶装置、66−a…形状・物性データ記憶領域、66−b…溶接条件記憶領域、66−c…変位データ記憶領域、67…仮想温度分布・仮想熱物性データ記憶領域、68…汎用解析コード記憶領域、69…計算結果ファイル記憶領域、71…形状・物性データ入力処理、72…要素剛性計算処理、73…全体剛性組込み処理、74…剛性方程式構築処理、75…方程式求解処理、76…要素内ひずみ計算処理、77…要素内応力計算処理、78…結果出力処理、81…荷重データ入力処理、82…節点荷重計算処理、83…変位データ入力処理、84…節点変位計算処理。

Claims (2)

  1. 残留応力が発生する構造物において、構造物の評価点において得られている非弾性ひずみ量を固有ひずみデータとし、構造物全体に固有ひずみ分布データを与えて、構造物全体の残留応力を数値計算により求めることにより、構造物全体の残留応力分布を予測する残留応力予測方法において、
    前記構造物全体に固有ひずみ分布データを与えるために、前記構造物全体の仮想初期温度データと仮想後続温度データを与え、仮想後続温度データと仮想初期温度データとから仮想温度データを求め、それにあらかじめ求めておいた構造物の仮想熱物性データから仮想熱ひずみを計算し、それを与えるべき固有ひずみ分布データとすることを特徴とする残留応力予測方法。
  2. 請求項1に記載の残留応力予測方法であって、仮想後続温度データを与えるために、一部の領域には既知の仮想後続温度データを与え、それ以外の領域は補間することにより、構造物全体の仮想後続温度データを与えることを特徴とする残留応力予測方法。
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