JP3932829B2 - スケール付着防止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷却水系におけるスケール付着を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
開放循環冷却水系では、水の循環利用に伴い、補給水中の塩類が濃縮されることによりその濃度が増加し、炭酸カルシウムやシリカなどのスケール成分が熱交換器のチューブ等に付着して伝熱阻害を引き起こす。
【0003】
従来、これらのスケールを防止するために、低分子量ポリマー、ホスホン酸などの薬品が用いられている。また、金属イオンを添加する方法も実施されている。金属イオンによる方法は、例えば、1対の異種金属の電極を用い、この電極間に電流を発生させてスケール防止効果のある金属イオンを水系に溶出させる、或いは、外部電源を用いて、1対の金属電極に直流電圧を印加して金属イオンを溶出させるなどの方法で、薬品添加を行わずに実施することができるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来において、金属イオンの添加濃度ないし検出濃度の適正範囲が明確にされておらず、このためにスケール防止効果が安定せず、十分な効果が得られない場合があった。
【0005】
本発明は、金属イオンの添加により冷却水系のスケールの付着を防止する方法において、金属イオンの添加濃度又は検出濃度を定義することにより、スケール付着防止効果を安定かつ確実に得る方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1のスケール付着防止方法は、冷却水に、アルミニウムイオン、亜鉛イオン及び鉄イオンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属イオンを供給して冷却水系のスケール付着を防止する方法において、該金属イオンを下記a〜cのいずれか1種又は2種以上の方法により冷却水系に添加し、かつ、該冷却水への金属イオンの供給量を対ブロー水量あたり0.01〜10mg/Lとすることを特徴とする。
【0007】
請求項2のスケール付着防止方法は、冷却水中に、アルミニウムイオン、亜鉛イオン及び鉄イオンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属イオンを存在させることにより冷却水系のスケール付着を防止する方法において、該金属イオンを下記a〜cのいずれか1種又は2種以上の方法により冷却水系に添加し、かつ、該冷却水の金属イオン濃度の分析値が0.001〜10mg/Lとなるように金属イオンを存在させることを特徴とする。
a.該金属イオンを溶出する材料からなる電極の電解により冷却水中に金属イオンを溶出させる方法。
b.金属イオンを含有する水溶液を該冷却水に添加する方法。
c.自然腐食により該金属イオンを溶出する固体金属を該冷却水と接触させる方法。
【0008】
本発明に従って、冷却水への金属イオンの供給量を対ブロー水量あたり0.01〜10mg/Lとすることにより、或いは、冷却水の金属イオン濃度の分析値が0.001〜10mg/Lとなるように金属イオンを存在させることにより、金属イオンを冷却水系に過不足なく存在させて、金属塩の付着等を引き起こすことなく、スケールの付着を確実に防止することができる。
【0009】
なお、冷却水系においては、冷却水への金属イオンの供給量と金属イオン濃度の分析値とは必ずしも一致しない。スケールの付着防止に有効に機能する金属イオン量は分析値相当量であることから、本発明においては、冷却水の金属イオン濃度の分析値が目標値となるように金属イオンの供給量を制御することが、スケール付着防止効果を確実に得る上で望ましい
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1(a)は本発明のスケール付着防止方法の実施の形態を示す開放循環冷却水系の系統図であり、図1(b)は図1(a)の電解装置の構成を示す拡大図である。
【0012】
この開放循環冷却水系では、冷却塔1から、ポンプPを有する循環配管2により循環冷却水が熱交換器3に送給され、戻り水が配管4より冷却塔1に戻される。5は補給水の導入配管、6はブロー配管である。
【0013】
図1の実施の形態では、冷却塔1から熱交換器3への循環配管2に電解装置7を設け、循環冷却水中に金属イオンを溶出させる。
【0014】
この電解装置7では、図1(b)に示す如く、循環冷却水が流通する電解槽8に電極9A,9Bが設けられ、この電極9A,9B間に直流電圧を印加する電流発生装置10が設けられている。図中、Aは電流計である。
【0015】
この開放循環冷却水系では、冷却塔1から熱交換器3に送給される循環冷却水中に、電解装置7から金属イオンが溶出することにより、熱交換器3におけるスケール付着が防止される。
【0016】
本発明においては、このようにして金属イオンを冷却水に供給するに当たり、冷却水への金属イオンの供給量(図1では金属イオンの溶出量)が対ブロー水量あたり0.01〜10mg/Lとなるように、或いは、冷却水の金属イオン濃度の分析値が0.001〜10mg/Lとなるように、電解装置7を制御する。
【0017】
冷却水への金属イオンの供給量が対ブロー水量あたり0.01mg/L未満では、十分なスケール付着防止効果を得ることができない場合があり、10mg/Lを超えると金属塩の付着等の問題が起こる場合がある。好ましい金属イオンの供給量は、0.1〜5mg/L、特に0.3〜2mg/Lである。
【0018】
冷却水の金属イオン濃度の分析値が0.001mg/L未満では、十分なスケール付着防止効果を得ることができない場合があり、10mg/Lを超えると金属塩の付着等の問題が起こる場合がある。好ましい金属イオン濃度の分析値は、0.01〜5mg/L、特に0.2〜1mg/Lである。
【0019】
冷却水への金属イオンの供給量は、冷却水系の水バランスに基き、金属イオンの添加量(図1では金属イオンの溶出量)を調整することにより容易に制御することができる。例えば、図1の方法であれば、後述の実施例に示す如く、ファラデーの法則により電流値から算出することができ、従って、電極間に流れる電解電流値を制御することにより、金属イオン溶出量を制御することができる。
【0020】
また、冷却水の金属イオン濃度の分析値に基いて金属イオンを供給する場合には、任意の箇所に金属イオンの検出装置又は冷却水サンプリング手段を設けておき、連続的に或いは所定の間隔で冷却水系内の金属イオン濃度を測定し、この測定値が上記範囲となるように電極間に流れる電解電流値を制御すれば良い。
【0021】
本発明において、冷却水に供給する金属イオンはアルミニウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオンであり、これらは1種単独であっても2種以上であっても良い。従って、図1において、電極9A,9Bの材質としては、アルミニウム、鉄、亜鉛等が好適である。
【0022】
なお、図1においては、金属イオンを溶出する材料からなる電極の直流電解により冷却水中に金属イオンを溶出させる場合を例示したが、本発明において、冷却水への金属イオンの添加方法はこれに限らず、その他、自然腐食により金属イオンを溶出する固体金属を冷却水と接触させる方法を採用することができる
【0023】
属イオンを含有する水溶液を冷却水に添加する方法としては、塩化アルミニウム水溶液を冷却水系の冷却塔や循環配管又は補給水配管に注入する方法が挙げられ、この場合には、添加する水溶液の濃度及び添加量を制御することにより、所定の供給量又は分析値となるように調整することができる。
【0024】
また、自然腐食により金属イオンを溶出する固体金属を冷却水と接触させる方法としては、アルミニウム板を冷却塔内に浸漬する方法等が挙げられ、この場合には、浸漬するアルミニウム板の大きさや形状を変えることにより、溶出量を制御することができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0026】
実施例1
図1に示すように、冷却塔と熱交換器との間に電解装置を設けた開放循環冷却水系において、スケールの付着試験を行った。
【0027】
この開放循環冷却水系は、厚木市水を補給水とし、10倍濃縮となるように水質を管理しながら、1ヶ月間運転した。運転期間中の水のバランスは以下に示す通りとした。
補給水量 :200L/day
ブロー水量 : 20L/day
濃縮倍数 : 10倍
【0028】
電解装置の電解槽の電極には陰極、陽極共にアルミニウム電極を用い、電解電流が1mAとなるように電流発生装置により直流電圧を印加した。なお、電極表面の流速は1.0m/secとなるようにした。
【0029】
この条件で溶出する1日当りのアルミニウムイオン量は、ファラデーの法則から次の計算により求められる。
1mA×60×60×24/(96500×3) ×27=8mg/day
ここで、ファラデー定数: 96500C/モル
アルミニウムの原子量 : 27
アルミニウムの電荷 : 3
従って、冷却水中のアルミニウムイオン濃度は次の通り、0.4mg/Lと算出される。
アルミニウムイオン濃度=溶出速度/ブロー水量
=8/20=0.4mg/L
【0030】
この開放循環冷却水系において、1ヶ月の運転後、熱交換器に付着したスケールの重量を測定し、結果を表1に示した。また、この開放循環冷却水系の冷却塔下部水槽の部分においてICP−MSによりアルミニウムイオン濃度を測定し、検出濃度を表1に示した。
【0031】
実施例2〜6
実施例1において、印加電流を表1に示す値としたこと以外は同様にしてスケールの付着試験を行い、結果を表1に示した。
【0032】
実施例7
実施例1において、陰極及び陽極の材質を亜鉛とし、印加電流を0.28mAとしたこと以外は同様にしてスケールの付着試験を行い、結果を表1に示した。
【0033】
この条件で溶出する1日当りの亜鉛イオン量は、ファラデーの法則から次の計算により求められる。
0.28mA×60×60×24/(96500×2) ×65=8mg/

ここで、ファラデー定数: 96500C/モル
亜鉛の原子量 : 65
亜鉛の電荷 : 2
従って、亜鉛イオン濃度は次の通り、0.4mg/Lと算出される。
亜鉛イオン濃度=溶出速度/ブロー水量
=8/20=0.4mg/L
【0034】
実施例8
実施例1において、陰極及び陽極の材質を鉄とし、印加電極を0.32mAとしたこと以外は同様にしてスケールの付着試験を行い、結果を表1に示した。
【0035】
この条件で溶出する1日当りの鉄イオン量は、ファラデーの法則から次の計算により求められる。
0.32mA×60×60×24/(96500×2) ×56=8mg/

ここで、ファラデー定数: 96500C/モル
鉄の原子量 : 56
鉄の電荷 : 2
従って、鉄イオン濃度は次の通り、0.4mg/Lと算出される。
鉄イオン濃度=溶出速度/ブロー水量
=8/20=0.4mg/
【0036】
施例
実施例1において、アルミ電解を行わず、塩化アルミニウム水溶液を8mg−Al3+/dayの添加速度で循環配管に注入したこと以外は同様にしてスケールの付着試験を行い、結果を表1に示した。
【0037】
実施例10
実施例1において、アルミ電解を行わず、冷却塔のピット内にアルミニウム板を設置し、自然腐食させてアルミニウムイオンを溶出させたこと以外は同様にしてスケールの付着試験を行い、結果を表1に示した。
【0038】
比較例1
実施例1において、アルミ電解を行わなかったこと以外は同様にしてスケールの付着試験を行い、結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
Figure 0003932829
【0040】
表1の通り、本発明によれば、金属イオンにより熱交換器へのスケール付着を確実に防止することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のスケール付着防止方法によれば、冷却水系に金属イオンを供給することにより系内のスケールの付着を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は本発明のスケール付着防止方法の実施の形態を示す開放循環冷却水系の系統図であり、図1(b)は図1(a)の要部拡大図である。
【符号の説明】
1 冷却塔
3 熱交換器
7 電解装置
8 電解槽
9A,9B 電極
10 電流発生装置

Claims (3)

  1. 冷却水に、アルミニウムイオン、亜鉛イオン及び鉄イオンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属イオンを供給して冷却水系のスケール付着を防止する方法において、
    該金属イオンを下記a〜cのいずれか1種又は2種以上の方法により冷却水系に添加し、かつ、
    該冷却水への金属イオンの供給量を対ブロー水量あたり0.01〜10mg/Lとすることを特徴とするスケール付着防止方法。
    a.該金属イオンを溶出する材料からなる電極の電解により冷却水中に金属イオンを溶出させる方法。
    b.金属イオンを含有する水溶液を該冷却水に添加する方法。
    c.自然腐食により該金属イオンを溶出する固体金属を該冷却水と接触させる方法。
  2. 冷却水中に、アルミニウムイオン、亜鉛イオン及び鉄イオンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属イオンを存在させることにより冷却水系のスケール付着を防止する方法において、
    該金属イオンを下記a〜cのいずれか1種又は2種以上の方法により冷却水系に添加し、かつ、
    該冷却水の金属イオン濃度の分析値が0.001〜10mg/Lとなるように金属イオンを存在させることを特徴とするスケール付着防止方法。
    a.該金属イオンを溶出する材料からなる電極の電解により冷却水中に金属イオンを溶出させる方法。
    b.金属イオンを含有する水溶液を該冷却水に添加する方法。
    c.自然腐食により該金属イオンを溶出する固体金属を該冷却水と接触させる方法。
  3. 請求項1又は2において、前記金属イオンを前記aの方法により冷却水に添加し、前記電極間に流れる電解電流値を制御することにより、金属イオン溶出量を制御することを特徴とするスケール付着防止方法。
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