JP3931721B2 - ポンプ及びそのポンプの組立て方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロータを収納するケーシングと、そのケーシングを間に挾み込むハウジング及びエンドフレームを、相互嵌合部を設けずに心出しして締結できるポンプと、そのポンプの組立て方法に関する。なお、以下の説明はバンケル式真空ポンプを例に挙げて行う。
【0002】
【従来の技術】
バンケル式真空ポンプは、図3、図4に示すように、両端がハウジング1とエンドフレーム2によって、塞がれるケーシング3内に三角形状のロータ4を収納し、そのロータ4と一体の内歯車5を固定ピニオン6に噛合し、このロータ4をクランクシャフト8でピニオン6の外周に沿って公転させながら回転させ、その偏心運動でロータ外周とケーシング内面との間に形成されるチャンバ(ポンプ室)12に体積変化を生じさせて吸排気を行う。
【0003】
このポンプは、チャンバ12を2つ有しており、吸気は各チャンバ12に対応させてサイドハウジング(図はハウジング1)に設けた吸気孔13(これは吸入ポート18に連通している)から行う。
【0004】
また、排気は、ハウジング1に設けた排気孔14から、各排気孔14の出口に設けた逆止弁15を通して行われる。
【0005】
クランクシャフト8は、軸受7を介して両端をハウジング1とエンドフレーム2で支え、そのクランクシャフトの偏心軸8aに軸受9を介してロータ4を嵌合させる。従って、ハウジング1、ケーシング3、エンドフレーム2の3者は心出しして締結する必要がある。
【0006】
その心出しのために、ハウジング1とエンドフレーム2を、ケーシング3との間に互いに嵌まり合ういんろう19、20を設けて同心嵌合させている。ロータ4の内歯車5をピニオン6に噛み合わせ、その後にケーシング3をハウジング1に突き合わせるが、このとき、公転しながら回転するロータ4がケーシング内面と干渉しないように、ケーシング3をロータ公転方向に回してケーシングの姿勢を微調整する必要があり、その作業のためにもいんろう19、20が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
バンケル式ポンプのケーシング3は、内面が双葉形状をなす。このケーシング3の外周に設けるいんろう20は、その直径をケーシング3の長軸側の外径を規準にして設定する必要があり、そのいんろう20とその外側にいんろう19を設ける図3、図4の構造ではポンプの体格や重量が大きくなる。
【0008】
また、ロータ4のサイドシールをクリアランスシールで行って性能を確保するポンプ、即ち、ロータ4とハウジング1間及びロータ4とエンドフレーム2間のクリアランスCを極力小さくしてチャンバ12からの排気洩れを減少させるポンプは、クリアランスCの管理のためにケーシング3の両端と、ハウジング1、エンドフレーム2の内面(ロータとの摺動面)を研削して要求される平面度、面粗度を確保するが、突出しているいんろう19が邪魔になり、ハウジング1とエンドフレーム2の加工の煩雑化、加工工数増加の問題も生じる。
【0009】
この発明は、これ等の問題を無くすことを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、それぞれが独立しているハウジング、ケーシング、エンドフレームの外周に仮想円筒の内面に密着するいんろうをそれぞれ設け、ケーシングとエンドフレームはいんろうが最大外径部になるようにしたポンプを提供する。
【0011】
また、円筒形状のいんろう治具の一端を上述したポンプのハウジング外周のいんろうに嵌合させ、その後、外周にいんろうを有するケーシングとエンドフレームをいんろう治具の内面でセンタリングして順次組付け、ハウジング、ケーシング、エンドフレームの締結後に、エンドフレーム側からいんろう治具を抜き取るポンプの組立て方法を提供する。
【0012】
【作用】
この発明のポンプは、ハウジング、ケーシング、エンドフレームの外周にそれぞれ設けたいんろうに適合して嵌まる円筒状のいんろう治具を用いてこの発明の方法で3者の心出しを行うことができる。従って、図3でハウジング1とエンドフレーム2に設けているいんろう(円筒部)19を無くしてポンプの体格を縮めることができる。
【0013】
また、ケーシング外周のいんろうを、複数個の突起で形成したものは、ケーシングの外周を非円形にして贅肉を落とすことができ、ケーシングのスリム化による体格減少、ポンプの小型、軽量化が可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に、この発明の実施形態を示す。図示のバンケル式真空ポンプでは、ハウジング1とエンドフレーム2(この2者がサイドハウジング)間にケーシング3を挟み込み、3者をボルトBで結合させている。
【0015】
ケーシング3内には三角形状のロータ4が収納されており、そのロータ4に設けた内歯車5がハウジング1に固定したピニオン6と噛み合っている。
【0016】
ロータ4の内側には、軸受7を介してハウジング1とエンドフレーム2に支持されるクランクシャフト8が通されており、そのクランクシャフトの偏心軸8aを、内歯車5と同心配置にしてロータ4に組込んだ軸受9に嵌合させている。
【0017】
クランクシャフト8は、モータ10の出力軸に連結されており、このクランクシャフト8をモータ10で回転させると、ピニオン6に噛合したロータ4が回転しながらピニオン6の周りを公転する。11は、ロータ4の偏心運動によって発生する振動を低減する目的でクランクシャフト8に取付けたウエイトバランサである。
【0018】
ケーシング3の内面は、ロータ4の頂点の移動軌跡よりも若干大きな双葉形をなし、この内面とロータの各頂点間の外周面との間に形成されるチャンバ12がロータ4の公転を伴う回転運動で体積変化を生じて吸排気が繰り返される。
【0019】
ハウジング1には、吸気孔13と排気孔14が各2個設けられ、圧縮行程に移ったチャンバ12内の気体は、排気孔14から各排気孔に設けた逆止弁15を通り、さらに、モータ10の内部を通って、ドレインパイプ16から外部に放出される。各吸気孔13は吸入ポート18に連通している。
【0020】
ロータ4の各頂点部には、アペックスシール17が径方向スライド自在に組込まれており、そのアペックスシール17がロータ回転による遠心力でケーシング3の内面に押しつけられてロータ外周とケーシング内面間のシールがなされる。
【0021】
また、ロータ4とハウジング1間及びエンドフレーム2間のシールはケーシング3の厚みをロータ4の厚みよりも極く僅かに厚くしてロータ4とハウジング1及びエンドフレーム2との間にそれぞれロータ回転のためのクリアランスCを生じさせ、そのクリアランスCを極力小さくしてサイドシール部材を使わずに行うようにしている。
【0022】
ハウジング1のケーシング側外周には、ポンプの軸心と同心の真円のいんろう21を設けている。また、ケーシング3の外周に複数個の突起22を周方向に点在させて設け、その突起22の先端をいんろう21と同心かつ同径の円上に揃えて各突起22でケーシング外周のいんろう23を構成している。ケーシング3の突起形成部を除く外周は、内面に略平行に沿っており、そのため、ケーシング3はスリムで贅肉が殆ど無いものになっている。
【0023】
エンドフレーム2の外周にも、いんろう21と同心かつ同径の真円のいんろう24を設けている。いんろう21、24は、いんろう23と同様、複数の突起の先端を真円上に揃えて構成されるものでもよい。いんろう23、24は、それぞれ、ケーシング3、エンドフレーム2の最大径部になるものが必要である。
【0024】
30は、ポンプ組立て時に用いるいんろう治具である。ハウジング1に固定されたピニオン6にロータ4の内歯車5を指定された位置で噛み合わせてロータ4を組付け、さらに、クランクシャフト8をピニオン6内の軸受7とロータ4内の軸受9に挿入する。
【0025】
次に、いんろう治具30をハウジング1のいんろう21に嵌合させ、その後、いんろう治具30の内面にケーシング3のいんろう23を密着させてケーシング3をいんろう治具30でセンタリングし、この状態でケーシング3をハウジング1との突き合わせ点に挿入する。このとき、ロータ4の頂点部がケーシング3の内面と干渉しないように(歯車の公差の影響による干渉をなくすために)ケーシング3をいんろう治具30をガイドにして回転させ、ケーシング姿勢の微調整を行う。
【0026】
また、その作業を終えたら、今度は、外周にいんろう24を設けたエンドフレーム2をいんろう治具30でセンタリングしてクランクシャフト8に嵌合させ、そのエンドフレーム2をケーシング3を介してハウジング1にボルトBで締結する。
【0027】
その後、いんろう治具30をエンドフレーム2側から抜き取る。
【0028】
以上の作業のほかにクランクシャフト8に対するウェイトバランサ11の取付け、モータ10の連結、ウェイトバランサ室の蓋25の取付け等を行ってポンプの組立てを完了する。
【0029】
なお、ボルトBは相反する位置の突起22に設けた周方向長孔に通しており、このボルトBとケーシング3の内面との間に、ケーシング3の両端面のシール26を配置する。
【0030】
以上、バンケル式真空ポンプを例に挙げて説明を行ったが、この発明は、バンケル式以外のポンプにも適用できる。また、この発明を適用するポンプは、真空ポンプ、圧縮ポンプを問わない。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明のバンケル式ポンプは、締結一体化するハウジングと、ケーシングと、エンドフレームの外周に、各々センタリング用のいんろうを設けたので、そのいんろうを円筒のいんろう治具の内面に嵌合させ、いんろう治具で3者の心出しを行って締結後にいんろう治具を取外すこの発明の方法で組立てを行うことができ、ハウジングとケーシング、エンドフレームとケーシングを直接嵌合させる必要がない。従って、いんろうの設置によるポンプの体格増、重量増を無くすことができる。
【0032】
少なくとも、ケーシング外周のいんろうを、複数の突起を設けて構成したものは、ケーシングの外周を非円形にしてケーシングの贅肉をそぎ落とすことができ、ポンプの小型、軽量化の効果がより顕著に現れる。
【0033】
また、ハウジング、エンドフレームのロータ摺動面とケーシングに対する突き合わせ面を同一平面上に揃えることができるので、ロータ摺動面を簡単に少ない工数で加工可能となり、生産性やコスト面でも有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のポンプの縦断断面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】従来のバンケル式真空ポンプの断面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【符号の説明】
1 ハウジング
2 エンドフレーム
3 ケーシング
4 ロータ
5 内歯車
6 ピニオン
8 クランクシャフト
8a 偏心軸
10 モータ
11 ウェイトバランサ
12 チャンバ
13 吸気孔
14 排気孔
15 逆止弁
17 アペックスシール
18 吸入ポート
21、23、24 いんろう
22 突起
25 蓋
26 シール
30 いんろう治具
Claims (3)
- ロータを収納してロータ外周との間にポンピング用のチャンバを形成するケーシングと、このケーシングの両端を塞ぐハウジング及びエンドフレームを各々独立させて締結具で締結するポンプにおいて、前記ハウジング、ケーシング、エンドフレームの外周に仮想円筒の内面に密着するいんろうをそれぞれ設け、ケーシングとエンドフレームはいんろうが最大外径部になるようにしたことを特徴とするポンプ。
- 少なくともケーシング外周のいんろうが、外周に点在させて設けた複数個の突起の先端をポンプと同心の円上に揃えて構成されている請求項1記載のポンプ。
- 円筒形状のいんろう治具の一端を請求項1記載のポンプのハウジング外周のいんろうに嵌合させ、その後、外周にいんろうを有するケーシングとエンドフレームをいんろう治具の内面でセンタリングして順次組付け、ハウジング、ケーシング、エンドフレームの締結後に、エンドフレーム側からいんろう治具を抜き取ることを特徴とするポンプの組立て方法。
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JP2002124630A JP3931721B2 (ja) | 2002-04-25 | 2002-04-25 | ポンプ及びそのポンプの組立て方法 |
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