JP3930594B2 - 配管端末器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管端末器に関し、特に病院の手術室や集中治療室或いは病室に設置される医療用配管の端末器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近建設された病院では、医療用酸素、圧縮エア、笑気ガス等のガス配管或いは吸引用の真空配管等を建物の壁内に敷設し、手術室や集中治療室或いは病室に配管端末器を設置することで各種ガスの集中管理を行うと共に病室等にガスボンベを搬送する作業を排除して労力の軽減化を図ることが多い。
【0003】
従来の配管端末器は、図11に示すように、筐体51が図示しない壁面に埋設して設置され、該筐体51内部に壁内に敷設された配管52と接続されたベースブロック53が固定されている。このベースブロック53にソケット54が取り付けられており、該ベースブロック53を介して配管52からソケット54にガスが流通し得るようになっている。
【0004】
筐体51はカバー55によって表面が被蓋され、ソケット54はカバー55から室内側に突出するように設けられている。また、ソケット54には通常ダストキャップ56が取り付けられており、該ダストキャップ56によって非使用時にソケット54が汚染されることを防止している。
【0005】
そして、例えば、慢性呼吸疾患患者が配管52から供給された酸素を吸入する場合、ダストキャップ56を取り外した後、ソケット54にチューブ58の一端に取り付けられたプラグ57を装着する。チューブ58の他端部は蒸留水59aが入った容器59の蒸留水59a中に差し込まれており、該容器59の蒸留水59a上部のガス室59bには鼻カニューラ1のチューブ端部が差し込まれている。
【0006】
そして、図示しないガス供給源から配管52を通って供給された酸素は容器59の蒸留水59aを通過して適当な湿度を含んで鼻カニューラ1を装着した患者に連続的に供給されるようになっている。
【0007】
また、筐体51内の機械的なメンテナンスはソケット54をベースブロック53から取り外した後、ビス60を弛めてカバー55を筐体51から取り外して行うようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来の技術では、慢性呼吸患者が酸素吸入を行う場合、酸素を連続的に供給するため、患者に吸引されない酸素の無駄が生じて経済的でない。また、筐体51内部のメンテナンスを行う際にビス60を弛めてカバー55を取り外すといった面倒さがあり、メンテナンス上の操作性が悪いものとなっていた。
【0009】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、配管を介してガス供給源から流出するガスを呼吸に同調させて供給するように制御する呼吸同調装置を壁内に埋設された筐体内部に組み込み、更には筐体のフロントパネルの一部を可動手段により開閉可能に構成することで、ガスを経済的に使用することが出来ると共に、メンテナンスの操作性を向上させた配管端末器を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、壁内に埋設された筐体に、壁内に敷設された配管と接続され且つ所定位置にプラグを着脱可能に構成したソケットを取り付けて構成した配管端末器において、前記配管を介してガス供給源から流出するガスを呼吸に同調させて供給するように制御する呼吸同調装置を前記筐体内部に組み込んで構成し、前記呼吸同調装置は、一端または両端が基板に支持された板状の圧電素子を該圧電素子の面と対向する位置に形成された外気通気孔及び前記面と平行な位置に形成された呼吸通気孔を有する容器に収容して構成され前記各通気孔を介して導入される空気の圧力変化を検出して電気信号を発生する呼吸検出器と、前記呼吸検出器の容器に形成された呼吸通気孔と接続され呼気及び吸気が作用し且つ吸気時にガスを流通させる流通路と、前記流通路に配設され常時閉鎖口にガス供給源を接続した電磁弁と、前記呼吸検出器から発生した電気信号によって吸気状態を検出したとき前記電磁弁を操作して一定時間ガス供給源と流通路を接続すると同時に呼吸検出器と流通路の接続を遮断するように制御する制御部とを有することを特徴とする配管端末器である。
【0011】
本発明は、上述の如く構成したので、配管を介してガス供給源から流出するガスを呼吸に同調させて供給するように制御する呼吸同調装置を壁内に埋設された筐体内部に組み込んで構成することで、ガスを経済的に使用することが出来ると共に、室内設備の簡略化及び単純化が図れ、操作性が良い。
【0012】
上記構成によれば、一端又は両端が基板に支持された板状の圧電素子を該圧電素子の面と対向する位置に外気通気孔を形成すると共に圧電素子の面と平行な位置に呼吸通気孔を形成した容器に収容して構成された呼吸検出器を用い、この呼吸検出器の呼吸通気孔に呼気及び吸気が作用し且つ吸気時にガスを流通させる流通路を接続したので、該流通路に呼気が作用すると、容器内の空気は圧電素子の面と略平行に流動して外気通気孔から外気に放出される。このため、圧電素子は小さい振幅で振動し発生する電気信号も小さい。
【0013】
また、流通路に吸気が作用すると、容器内の空気の流通路側への流動に伴って外気通気孔から外気が流入して圧電素子の面に略垂直に作用する。このため、圧電素子は大きな振幅で振動し発生する電気信号も大きい。即ち、発生した電気信号から呼気と吸気を判別することが出来る。
【0014】
従って、制御部において呼吸検出器で発生した電気信号から呼気と吸気を判別し、吸気に対応する電気信号に応じて流通路とガス供給源を接続した電磁弁を一定時間操作して流通路とガス供給源を接続すると同時に流通路と呼吸検出器の接続を遮断するように制御することで、呼吸に同調させて一定時間ガスを供給することが出来る。
【0015】
また、前記呼吸同調装置のメンテナンスを目的として前記筐体の壁面から露出したフロントパネルの一部を可動手段により開閉可能に構成した場合には、フロントパネルの一部を開放して呼吸同調装置の電池交換等のメンテナンスが容易にできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る配管端末器の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る配管端末器の構成を示す横断面説明図、図2は本発明に係る配管端末器の構成を示す正面図、図3は本発明に係る配管端末器のフロントパネルの一部を開放した様子を示す図、図4は本発明に係る配管端末器に組み込まれた呼吸同調装置の構成を示すブロック図、図5は制御系の構成を示すブロック図、図6(a)は呼吸同調装置に設けられた呼吸検出器の構成を示す斜視図、図6(b)は呼吸検出器の構成を示す断面説明図、図7は呼吸検出器によって検出された電気信号を示す図、図8は制御部の同調系の構成を示すブロック図、図9は制御部の同調系の動作を示すタイミング図、図10は呼吸同調装置をバイパスする配管構成を示す図である。
【0017】
図1〜図3において、配管端末器Aは病院における所定の壁内に埋設して設置され、表面が略壁面と等しい面となるように構成されている。この配管端末器Aは、壁内に埋設される筐体Bと、該筐体Bの表面を被蓋するフロントパネルDと、該フロントパネルDに取り付けられたソケットCとによって構成されている。
【0018】
また、配管端末器Aには、設置場所に応じて壁内に敷設された医療用酸素ガス配管、笑気ガス配管、圧縮空気配管、真空配管等と接続される1または複数のソケットCが設けられている。筐体Bは図1に示すように箱型に形成された本体21と、該本体21の底面21aに取り付けられるベースプレート22と、本体21の表面側に設けられ、フロントパネルDを取り付けるための取付鍔21bとによって構成されている。
【0019】
本体21は図示しないボルトによって壁面に形成された窪み内に固定されるものであり、配管端末器Aに必要なソケットCの数に応じた長さと、ソケットCを取り付けた時、該ソケットCの表面が略壁面と等しい面になるような深さを持って形成されている。この本体21の底面21a及び取付鍔21bには、一定のピッチで複数のネジ孔21cが形成されている。
【0020】
筐体B内部には、壁内に敷設された配管23と接続されたベースブロック24が固定されており、酸素ガスを供給する配管23aの場合には、このベースブロック24からチューブ25を介して呼吸同調装置Eに酸素が導かれるようになっている。尚、ベースブロック24には圧力調整機能が組み込まれている。
【0021】
呼吸同調装置Eを通った酸素は湾曲自在なチューブ26を介してフロントパネルDの一部であるメンテナンス用の開閉扉27に取り付けられたソケットCに導かれるようになっている。ソケットCには通常ダストキャップ28が取り付けられており、該ダストキャップ28によって非使用時にソケットCが汚染されることを防止している。
【0022】
そして、例えば、慢性呼吸疾患患者が図4に示すガス供給源2から配管23aを介して供給された酸素を吸入する場合、ダストキャップ28を取り外した後、ソケットCに鼻カニューラ1の一端に取り付けられたプラグ29を装着し、配管23aから呼吸同調装置Eを通った酸素がソケットC、プラグ29を介して鼻カニューラ1に供給され該鼻カニューラ1を装着した慢性呼吸疾患患者に酸素が供給される。
【0023】
図1及び図4に示すガス供給装置は、慢性呼吸疾患患者に酸素を吸入させるガス供給装置として構成されており、患者の鼻に装着される鼻カニューラ1と、配管23aの上流側に接続された酸素ガス供給源2とを有し、ガス供給源2から流出する酸素を筐体B内部に組み込まれた呼吸同調装置Eによって吸気と同調させて供給し得るように構成されている。
【0024】
即ち、図4に示すように、鼻カニューラ1に作用する患者の呼気及び吸気に応じた圧力変化を呼吸同調装置Eに設けた呼吸検出器となる微圧センサ3によって検出し、吸気時に対応させて電磁弁4を作動させてガス供給源2と鼻カニューラ1を接続することで、患者の呼吸と同調させて酸素を供給し得るように構成されている。
【0025】
本実施形態では、呼気及び吸気が作用し且つ吸気時に酸素等のガスを流通させる流通路を構成する部品として鼻カニューラ1を用いた場合について説明するが、鼻カニューラ1以外に例えば、顔面を覆うマスク或いは口にくわえるマウスピースであっても良いし、必要に応じて他の機器を接続する場合もある。
【0026】
また、患者に供給するガスとしては、特に医療用酸素を用いている。このため、ガス供給源2は酸素ボンベ2aと、該酸素ボンベ2aに着脱可能に装着された圧力調整器又は流量調整器等からなる調整器2bによって構成されている。従って、ガス供給源2から一定の圧力を持った酸素、或いは一定流量の酸素を配管23aに供給することが出来るようになっている。
【0027】
呼吸同調装置Eは、図3及び図4に示すように、筐体B内部に固定された図示しないスタッドにビス7aにより着脱可能に固定されるプリント基板7上に微圧センサ3、増幅回路5、制御部6が夫々実装されており、電磁弁4は筐体B内部の所定位置に取り付けられている。
【0028】
また、図3に示すように、筐体B内部に装着されたプリント基板7の右側面部には、ガス流量調整手段となるロータリー式の流量調整ダイアル17が設けてあり、該流量調整ダイアル17を回転させると、該流量調整ダイアル17と一体的に回転する流量調整器により鼻カニューラ1に供給される酸素の流量が調整できるようになっている。
【0029】
この流量調整器は、流路に対応して径の異なる孔が円盤上に多数設けられており、流量調整ダイアル17を回転させて所定の径の孔を選択することで、該孔を流通する酸素の流量が調整できるようになっている。
【0030】
また、流量調整ダイアル17には、該流量調整ダイアル17の設定位置を検知する流量センサ18が設けてあり、該流量センサ18の検知情報が図5に示して詳しくは後述する制御部6に流量情報として伝達される。
【0031】
フロントパネルDの一部である開閉扉27は、可動手段となるヒンジ30により該フロントパネルDに対して開閉可能に構成されており、開閉扉27をフロントパネルD側に押して開閉扉27に設けられた係合板バネ31をフロントパネルD側に設けられた係止バー32に係合して係止することで開閉扉27をフロントパネルDに対して閉鎖することが出来、開閉扉27に設けられた指掛け27aに指を掛けて開閉扉27を引き出すことで、開閉扉27を開放することが出来るようになっている。
【0032】
開閉扉27の流量調整ダイアル17に対応する位置には、該流量調整ダイアル17の外形に対応する穴27b及び流量目盛17aを表示するための窓27cが形成されており、窓27cを介して流量目盛17aを目視しながら流量調整ダイアル17を回転させて鼻カニューラ1に供給される酸素の流量を調整する。
【0033】
また、開閉扉27の中央部には、詳しくは図4に示して後述する呼吸同調装置Eの電磁弁4のINポート4aに一端が接続されたチューブ26の他端に接続されたソケットCが設けられており、該ソケットCに図1に示すプラグ29を差し込んで接続することで呼吸同調装置Eを介して鼻カニューラ1に酸素を供給する。
【0034】
図2に示すように、開閉扉27の左側部には、呼吸同調装置Eの電源を投入するためのスイッチ16が配置されており、該スイッチ16は呼吸同調装置Eの同調制御による酸素の同調供給と酸素の連続供給とを切り換える切換スイッチを兼ねている。
【0035】
スイッチ16を連続供給に切り換えた際には、万一、呼吸同調装置Eの電池が無くなっても酸素を毎分2リットルの標準状態で連続供給できるように安全設計が施されている。また、スイッチ16を連続側に切り換え、流量調整ダイアル17を最大目盛に設定することで、アウトレットバルブであるソケットCに大流量機器を接続して使用することが出来る。
【0036】
また、開閉扉27の上部には、制御部6から出力された報知情報を文字や図形表示して報知するための表示パネル20が設けてある。本実施形態では、表示パネル20として、比較的安価で消費電力の少ない液晶表示装置で構成したものであるが、他の表示パネル20の構成として、暗い場所でも報知情報を容易に確認可能なLED(発光ダイオード)で構成した表示装置でも良い。
【0037】
表示パネル20には、流量調整ダイアル17により設定した流量情報や、所定の検知手段により検知した吸気確認や呼吸の同調状態や呼気異常、或いは呼吸同調装置Eの電池残量等の各種の報知情報が表示出来るようになっている。
【0038】
また、呼吸同調装置Eにはアラーム等の図示しない警報装置も装備されており、上述の吸気異常や電池消耗、或いは配管23a内の酸素欠乏等を検知して患者やその周囲に警報を発するようになっている。
【0039】
また、開閉扉27の上部で表示パネル20の右側には警報解除ボタン33が設けられており、該警報解除ボタン33を押すことにより、前述の警報を解除する。尚、図3中、34,35,36はプリント基板7上の電子回路から夫々表示パネル20、警報解除ボタン33及びスイッチ16に接続されるケーブルである。
【0040】
前記制御部6は、図5に示すように、CPU(中央演算処理装置),ROM(読み出し専用メモリー),RAM(リードライトメモリー)等から構成されている。CPUはROMに予め記憶されたプログラムや、一旦RAMに記憶された各種データを読み出し、必要な演算や判断を行い、各種制御を行うものである。
【0041】
ROMは読み出し専用メモリーであり、CPUが動作するための各種プログラムや演算に必要な各種データを格納している。RAMは所定の検知手段により検知された時々刻々と変化する酸素の圧力や流量、或いは呼吸同調装置Eの電池残量等の情報を随時記憶してCPUに伝達する。
【0042】
また、表示パネル20には、呼吸同調装置Eの同調、吸気異常、電池残量等の報知情報、或いは供給される酸素の圧力や流量情報等を表示して報知出来るようになっており、所定の検知手段により検知した検知情報に基づいて制御部6が表示パネル20に所定の報知情報を出力し、この報知情報に基づいて呼吸同調装置Eの同調、吸気異常、電池残量、或いは供給される酸素の圧力や流量情報等を表示パネル20に表示して報知する。
【0043】
呼吸同調装置Eには、図4に示すように、呼吸検出器となる微圧センサ3、電磁弁4、微圧センサ3から発生した電気信号を増幅する増幅回路5、該増幅回路5によって増幅された電気信号を受けて電磁弁4を操作する制御部6が設けられている。
【0044】
鼻カニューラ1を介して患者の呼吸を検知する場合、呼吸センサは0.04Pa程度の圧力変化を検知し得ることが必要である。このため、呼吸検出器となる微圧センサ3は、図6(b)に示すように、薄い板状に形成された圧電素子3aの一端部を基板3bに支持すると共に、該基板3bを容器3cに収容して構成されている。
【0045】
容器3cには圧電素子3aの面と対向する位置に外気通気孔3dが形成され、且つ圧電素子3aの面と平行な位置に呼吸通気孔3eが形成されている。また、呼吸通気孔3eには電磁弁4を介して鼻カニューラ1と導通するチューブ8が接続されている。
【0046】
上記のように構成された微圧センサ3では、圧電素子3aが基板3bに一端部で支持されているため、容器3cの内部に生じる極めて微弱で且つ低周波の空気振動に応じて振動し、該振動に応じた電気信号を発生することが可能であり、0.01Pa程度の圧力変化を検知することが可能である。尚、圧電素子3aを基板3bに支持する場合、支持位置は必ずしも該圧電素子3aの一端部である必要はなく、両端部で支持しても良い。
【0047】
鼻カニューラ1、チューブ8に呼気が作用した時、容器3c内の空気の流れは図6(b)の一点鎖線で示すように、圧電素子3aの面と平行になり、外気通気孔3dから外気に放出される。このため、圧電素子3aは大きな振幅で振動することがなく、発生する電気信号も小さい。
【0048】
また、鼻カニューラ1を口でくわえる等の事故が生じ、鼻カニューラ1に作用する比較的大きい圧力が容器3cに導入された場合、この圧力変動に伴う空気流は直接圧電素子3aの面に作用することなく、且つ圧力変動に伴う空気流は速やかに外気通気孔3dから外気に放出される。即ち、容器3c内の圧力が衝撃的に上昇して保持されることがなく、微圧センサ3が破壊に至ることがない。
【0049】
鼻カニューラ1、チューブ8に吸気が作用した時、容器3c内の空気は図6(b)の実線で示すように、チューブ8に吸引されて外気通気孔3dから外気が流入して圧電素子3aの面と直交する方向に作用する。このため、圧電素子3aは大きい振幅で振動して発生する電気信号も大きくなる。
【0050】
電磁弁4としては三方弁を用いている。この電磁弁4のINポート(常時開放口,ノルマルオープンポート)4aに鼻カニューラ1が接続され、OUTポート(常時開放口,ノルマルオープンポート)4bに微圧センサ3の呼吸通気孔3eに接続されたチューブ8が接続され、EXポート(常時閉鎖口,ノルマルクローズポート)4cにチューブ25を介してベースブロック24が接続され、更に該ベースブロック24に配管23aを介してガス供給源2が接続されている。
【0051】
従って、電磁弁4が非作動状態の時、INポート4aとOUTポート4bが導通し、鼻カニューラ1に作用する呼気,吸気に伴う圧力変化が微圧センサ3に導入される。また、電磁弁4が作動状態の時、INポート4aとOUTポート4bが遮断されると共に、INポート4aとEXポート4cが導通し、ガス供給源2から鼻カニューラ1に酸素が供給される。
【0052】
微圧センサ3から発生する電気信号は微弱であり、増幅回路5によって増幅されて制御部6に伝達される。この増幅回路5は増幅率70dBに設定されている。また、微圧センサ3を構成する圧電素子3aの出力が外部温度の変化に影響を受けるため、ローカットフィルターを用いることが好ましく、且つ高周波ノイズの影響を排除することを目的としてハイカットフィルターを用いることが好ましい。そして、0.1Hz〜100Hz程度の信号成分を増幅し得るようにバンドパスフィルターを用いることが望ましい。
【0053】
微圧センサ3は微分検出型であるため、出力された電気信号は、鋭いピークを有している。そして、本実施形態では、増幅回路5によって微圧センサ3から出力された電気信号を中心周波数30Hz,下限周波数7Hz,上限周波数100Hzで増幅して制御部6に伝達している。
【0054】
図7は増幅回路5によって増幅した微圧センサ3の電気信号を示すものである。図7からも明らかなように、吸気時に発生した電気信号のピーク値は呼気時に発生したピーク値の約4倍の値を示しており、この電気信号から呼気と吸気を判別することが容易である。
【0055】
制御部6は増幅回路5から伝達された電気信号から、患者の吸気に対応する信号を判別して電磁弁4を一定時間作動させるように制御する機能を有しており、図8に示すように、比較器6aと、出力回路6bと、マスク信号発生回路6cと、論理回路6dとを有して構成されている。そして、電磁弁4の作動に伴ってガス供給源2から流出する酸素を鼻カニューラ1を介して患者に供給することが可能である。
【0056】
上記のように構成された呼吸同調装置Eを適用したガス供給装置の動作について説明する。先ず、患者は図1に示されたダストキャップ28をソケットCから外して該ソケットCにプラグ29を差し込んで鼻カニューラ1を接続し、開閉扉27の表面に設けられた呼吸同調装置Eのスイッチ16を同調側へ投入する。
【0057】
そして、図2に示す流量調整ダイアル17を用いて所望する酸素の流量に設定すると、該流量調整ダイアル17の設定値に対応して流量センサ18から流量情報が制御部6に伝達されて、酸素の流量報知情報が表示パネル20に伝達され、この時点で表示パネル20に該流量調整ダイアル17の設定値に対応する現在の酸素の流量が表示される。
【0058】
また、呼吸同調装置Eに内蔵された電池の残量が図示しない検知手段により検知され、制御部6を介して表示パネル20に表示される。
【0059】
スイッチ16により呼吸同調装置Eを同調制御に切り換えると、電磁弁4が非作動状態である間、鼻カニューラ1は微圧センサ3と導通し、該微圧センサ3によって鼻カニューラ1に作用する呼気,吸気に伴う圧力変化が検知される。この時発生した電気信号は増幅回路5によって増幅され、制御部6に伝達される。
【0060】
増幅回路5から伝達された電気信号9は、比較器6aによって予め設定された所定の電圧レベル10に達しているか否かが比較される。電気信号9が所定の電圧レベル10に達している場合、周囲の状況に関わらず比較器6aから信号11が発生する。この信号11は論理回路6dに入力され、該論理回路6dからトリガー信号12が発生して出力回路6bに入力される。
【0061】
出力回路6bにトリガー信号12が入力すると、該出力回路6bから予め設定された一定時間にわたる操作信号13が発生して電磁弁4に伝達され、電磁弁4のポートを切り換えてINポート4aとEXポート4cとを導通することで、ガス供給源2から鼻カニューラ1に酸素が供給される。同時にINポート4aとOUTポート4bとが遮断されるため、供給された酸素の圧力が微圧センサ3に導入されることがない。
【0062】
一定時間経過して操作信号13がローとなり電磁弁4が初期状態に復帰してINポート4aとEXポート4cとが遮断されて鼻カニューラ1に対する酸素の供給が遮断され、同時にINポート4aとOUTポート4bとが導通して鼻カニューラ1と微圧センサ3とが導通する。
【0063】
前記操作信号13の設定時間をプリント基板7上に配置した図示しない入力手段により入力することで制御部6を介して適宜変更することが出来るようになっており、患者の症状に応じて操作信号13の設定時間を変更して一呼吸の間に鼻カニューラ1に供給される酸素の供給時間を変更して流量を調整することが出来るようになっている。また、必要に応じて操作信号13の設定時間を表示パネル20に表示することも出来るようになっている。
【0064】
電磁弁4が初期状態に復帰した時、鼻カニューラ1内に残留した酸素の圧力が微圧センサ3に導入されるため、この圧力が微圧センサ3によって検知され、恰も吸気と同様の電気信号を発生することがある。このため、操作信号13のローレベルへの移行をトリガーとしてマスク信号発生回路6cから約0.5秒のマスク信号14を発生させて論理回路6dに入力し、該マスク信号14が発生している間に比較器6aから信号11が発生した場合であっても、トリガー信号12が出力しないようになっている。
【0065】
また、他の実施形態として、図10に示すように、ソケットCに接続されるチューブ26と、配管23aに接続された呼吸同調装置E及び該配管23aとの間に、筐体B内部に設けられた三方弁37を接続し、切換スイッチ37aを操作してソケットCに通じるチューブ26に対して三方弁37を切り換えることで、配管23aから供給された酸素が呼吸同調装置Eを介してソケットCに流通するか、または配管23aから供給された酸素が呼吸同調装置Eを介さずにソケットCに直結されて流通するかのいずれかが選択できるように構成しても良い。
【0066】
このように、切換スイッチ37aを操作して呼吸同調装置EをバイパスすることによりアウトレットバルブとなるソケットCに大流量機器を接続して呼吸同調装置Eに関係なく使用することが出来る。
【0067】
尚、呼吸同調装置Eは、AC100Vや蓄電池や乾電池等の各種の電源手段により動作するように構成することが出来、例えば、基本電源としてAC100Vで動作し、予備電源として蓄電池や乾電池により動作するように構成しても良い。
【0068】
上記構成によれば、配管端末器Aの内部に呼吸同調装置Eを一体的に組み込んだため、配管端末器Aに直接鼻カニューラ1を接続して使用することが出来、室内設備の簡略化及び単純化が図れ、操作性が向上すると共に、患者の呼吸に同調させて酸素を供給することが出来るので、前述した従来例のように、酸素を常時連続的に供給して、患者に吸引されない酸素の無駄が生じることがなく経済的である。
【0069】
また、呼吸同調装置Eや筐体51内部のメンテナンスを行う際には、フロントパネルDの一部である開閉扉27を開放して容易にメンテナンスを行うことが出来、例えば、呼吸同調装置Eの電池交換や、プリント基板7の交換等が容易にできる。従って、図11に示して前述した従来例のように、ビス60を弛めてカバー55を取り外すといったメンテナンス上の面倒さがなくなり、操作性が向上する。
【0070】
また、呼吸同調装置Eの電池交換は開閉扉27を開けて交換する以外に別に設けた電池専用の開閉扉を開放して交換するように構成しても良い。
【0071】
また、前記実施形態では、開閉扉27をフロントパネルDに対して開閉可能に構成する可動手段としてヒンジ30を用いて構成したが、他の可動手段としてシャッター機構により開閉扉27を上下或いは左右にスライドして開閉可能に構成することでも良い。
【0072】
また、前記実施形態では、開閉扉27にソケットCやスイッチ16、表示パネル20等を配置して構成したが、フロントパネルDの開閉扉27でない部位にソケットCやスイッチ16、表示パネル20等を配置して構成し、開閉扉27はメンテナンスのための開閉扉だけの機能を有するように構成しても良い。
【0073】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、配管端末器の壁内に埋設した筐体内部に呼吸同調装置を一体的に組み込んだことにより、配管端末器に直接鼻カニューラ等のガス吸入手段を接続して使用することが出来、室内設備の簡略化及び単純化が図れ、操作性が向上すると共に、患者の呼吸に同調させてガスを供給出来るので、患者に吸引されないガスの無駄が生じることがなく経済的である。
【0074】
また、呼吸同調装置や筐体内部のメンテナンスを行う際には、フロントパネルの一部である開閉扉を可動手段により開放して容易にメンテナンスを行うことが出来、例えば、呼吸同調装置の電池交換や、部品の交換等が容易にでき、メンテナンス上の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る配管端末器の構成を示す横断面説明図である。
【図2】 本発明に係る配管端末器の構成を示す正面図である。
【図3】 本発明に係る配管端末器のフロントパネルの一部を開放した様子を示す図である。
【図4】 本発明に係る配管端末器に組み込まれた呼吸同調装置の構成を示すブロック図である。
【図5】 制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】 (a)は呼吸同調装置に設けられた呼吸検出器の構成を示す斜視図、(b)は呼吸検出器の構成を示す断面説明図である。
【図7】 呼吸検出器によって検出された電気信号を示す図である。
【図8】 制御部の同調系の構成を示すブロック図である。
【図9】 制御部の同調系の動作を示すタイミング図である。
【図10】 呼吸同調装置をバイパスする配管構成を示す図である。
【図11】 従来例を説明する図である。
【符号の説明】
A…配管端末器、B…筐体、C…ソケット、D…フロントパネル、E…呼吸同調装置、1…鼻カニューラ、2…ガス供給源、2a…酸素ボンベ、2b…調整器、3…微圧センサ、3a…圧電素子、3b…基板、3c…容器、3d…外気通気孔、3e…呼吸通気孔、4…電磁弁、4a…INポート、4b…OUTポート、4c…EXポート、5…増幅回路、6…制御部、6a…比較器、6b…出力回路、6c…マスク信号発生回路、6d…論理回路、7…プリント基板、7a…ビス、8…チューブ、9…電気信号、10…電圧レベル、11…信号、12…トリガー信号、13…操作信号、14…マスク信号、15…信号ケーブル、16…スイッチ、17…流量調整ダイアル、17a…流量目盛、18…流量センサ、20…表示パネル、21…本体、21a…底面、21b…取付鍔、21c…ネジ孔、22…ベースプレート、23,23a…配管、24…ベースブロック、25,26…チューブ、27…開閉扉、27a…指掛け、27b…穴、27c…窓、28…ダストキャップ、29…プラグ、30…ヒンジ、31…係合板バネ、32…係止バー、33…警報解除ボタン、34,35,36…ケーブル、37…三方弁、37a…切換スイッチ
Claims (2)
- 壁内に埋設された筐体に、壁内に敷設された配管と接続され且つ所定位置にプラグを着脱可能に構成したソケットを取り付けて構成した配管端末器において、前記配管を介してガス供給源から流出するガスを呼吸に同調させて供給するように制御する呼吸同調装置を前記筐体内部に組み込んで構成し、前記呼吸同調装置は、一端または両端が基板に支持された板状の圧電素子を該圧電素子の面と対向する位置に形成された外気通気孔及び前記面と平行な位置に形成された呼吸通気孔を有する容器に収容して構成され前記各通気孔を介して導入される空気の圧力変化を検出して電気信号を発生する呼吸検出器と、前記呼吸検出器の容器に形成された呼吸通気孔と接続され呼気及び吸気が作用し且つ吸気時にガスを流通させる流通路と、前記流通路に配設され常時閉鎖口にガス供給源を接続した電磁弁と、前記呼吸検出器から発生した電気信号によって吸気状態を検出したとき前記電磁弁を操作して一定時間ガス供給源と流通路を接続すると同時に呼吸検出器と流通路の接続を遮断するように制御する制御部とを有することを特徴とする配管端末器。
- 前記呼吸同調装置のメンテナンスを目的として前記筐体の壁面から露出したフロントパネルの一部を可動手段により開閉可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の配管端末器。
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JP00375997A JP3930594B2 (ja) | 1997-01-13 | 1997-01-13 | 配管端末器 |
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JPH10192404A JPH10192404A (ja) | 1998-07-28 |
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JP00375997A Expired - Lifetime JP3930594B2 (ja) | 1997-01-13 | 1997-01-13 | 配管端末器 |
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-
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- 1997-01-13 JP JP00375997A patent/JP3930594B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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